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JP2008017948A - 医療用複室容器 - Google Patents

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JP2008017948A JP2006190877A JP2006190877A JP2008017948A JP 2008017948 A JP2008017948 A JP 2008017948A JP 2006190877 A JP2006190877 A JP 2006190877A JP 2006190877 A JP2006190877 A JP 2006190877A JP 2008017948 A JP2008017948 A JP 2008017948A
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Kazunobu Sugiyama
和伸 杉山
Satoshi Chiba
聡 千葉
Shigeaki Tomiya
滋晃 冨家
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Abstract


【課題】剥離可能な仕切部により2室に区分され、各薬剤室に薬剤が充填された医療用複室容器において、仕切部が剥離されない状態にて、薬液が投与されることがなく、容易な操作で投与準備を行うことができる医療用複室容器を提供する。
【解決手段】医療用複室容器1は、懸垂孔25を有する上端側シール部5を有し、第1薬剤室21と第2薬剤室22に区分する剥離可能な仕切部9を備える軟質容器本体2と、容器本体2の第1の薬剤室21と連通する排出ポート3と、懸垂孔使用阻害部材7とを備える。懸垂孔使用阻害部材7は、上端側シール部5の端部被包部71と、懸垂孔の少なくとも一方の面を被包する懸垂孔被包部と、第2の薬剤室22の拡張時の力を受ける拡張力受部72,73とを備え、第2の薬剤室の圧迫時に、第2の薬剤室22の拡張時の力により、懸垂孔使用可能状態となるものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、剥離可能な仕切部により2つの薬剤室に区分されるとともに、各薬剤室に薬剤が充填された医療用複室容器に関する。
患者に静脈より栄養成分を投与する薬剤の中には、予め配合すると経時的変化を起こしやすい不安定な薬剤がある。例えば、あらかじめアミノ酸液とブドウ糖液を配合して保存すると、メイラード反応によって混合液が着色(褐変)する。また、カルシウム化合物はリン酸化合物と配合すると、高いpHの液剤中ではリン酸カルシウムの沈殿を生じ、製品価値が著しく低下してしまうことになる。このような薬剤を患者に投与する場合、例えば、特許第2675075号(特許文献1)のように混合前の成分を個別に収納する医療用複室容器を用い、投与直前に混合してから投与するようになってきている。
この医療用複室容器は、異なる成分の薬剤を個別に収納する複数の室と、各室間を仕切り、外部からの圧力により剥離開封する仕切用弱シールとを備えている。
しかしながら、前記医療用複数容器は排出口側の収納部に液剤を収納している場合が多く、仕切用弱シールを剥離せずに、ゴム栓に瓶針を刺入し、排出口から液剤を取り出すという可能性がある。
このため、確実に各収納部に収納されている薬剤を混合した後に患者に投与することを保証し、薬剤を誤って混合しないで患者に投与する事故を確実に防止する方法が工夫されており、例えば、特開平9−327498号(特許文献2)や特開2002−136570号(特許文献3)のように薬剤排出口と薬剤を収納する分室との間を区切る連通阻害用弱シール部を備える複室容器が提案されている。
特許第2675075号公報 特開平9−327498号公報 特開2002−136570号公報 特開2005−218661号公報
特許文献2および3に示すものでは、仕切用弱シール部を剥離せずに、栓体に瓶針を刺入し、排出口から液剤を取り出すという可能性がかなり少ないものとなる。しかし、薬剤を収納する分室を仕切る仕切用弱シール部と薬剤排出口と薬剤を収納する分室との間を仕切る連通阻害用弱シール部の複数の弱シールを備えるため、仕切用弱シール部を剥離し、薬剤を混合後、連通阻害用弱シール部を剥離することが必要となる。このため、投与準備に手間がかかるものであった。
また、特開2005−218661号公報(特許文献4)が提案されている。この医療用複室容器は、少なくとも1つに液状薬剤が収納された複数の収納部と、前記収納部を仕切っていて外部から圧力を加えることにより剥離し得る弱シール部と、容器本体を吊り下げるための掛吊穴と、前記容器本体に取り付けられ収納部に連通する薬液取出口とを備えており、前記弱シール部を剥離して複数の収納部どうしを連通させて収納部に収納されている薬剤を混合する医療用複室容器において、前記掛吊穴と薬液取出口の少なくとも一方を使用不可能状態に保つ保持部材を備えて、前記保持部材は収納部に弱シール部が剥離して収納部どうしが連通する圧力が加わると使用不可能状態が解除されて前記掛吊穴と薬液取出口の両方が使用可能状態になるものである。
具体的には、容器本体は、後端側に後フラップ部を有し、この後フラップ部には掛吊穴が形成されている。容器本体は、前端側に前フラップ部を有し、この前フラップ部に薬液取出口が取り付けられている。後フラップ部は、収納部に向かって折られており、保持部材としての粘着シールによって収納部に固定されている。粘着シールは、その表面に「開通していますか?」の文字から成る表示を有している。即ち、粘着シールは複数の収納部どうしを連通させ薬剤の混合を促す表示を有している。なお、粘着シールは掛吊穴を覆わない位置に貼り付けられている。
上記の特許文献4のものでは、後フラップ部が折られ、保護部材である粘着シールによりその折り曲げ状態が保持されている。この容器では、収納部に弱シール部が剥離して収納部どうしが連通する圧力が加わっても、後フラップ自体には、薬液が流入しないため、後フラップに収納部より離間する方向への力を付与することが困難である。このため、収納部に弱シール部が剥離させて収納部どうしを連通する作業を行った後、保護部材である粘着シールの剥離作業を行わなければならない場合がある。また、この医療用複室容器では、後フラップが折り曲げられた状態が製造時から使用時まで継続するため、後フラップ部に折りぐせが残り、粘着シールを剥離しても、起きあがらない可能性が高く、スタンドへの懸垂作業を困難なものとなる。
本発明の目的は、剥離可能な仕切用弱シール部により2つの薬剤室に区分されるとともに、薬剤室に薬剤が充填された医療用複室容器において、仕切部が剥離されない状態にて、薬液が投与されることがなく、かつ、容易な操作で投与準備を行うことができ、かつ、容器に不必要な折ぐせが付与されることもなく、スタンドへの懸垂作業を困難性なものとすることもない医療用複室容器を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 表面側シート部および裏面側シート部と、上端側シール部および下端側シール部と、前記下端側シール部側となる第1の薬剤室と前記上端側シール部側となる第2の薬剤室とに区分する剥離可能な仕切部とを備える軟質容器本体と、前記容器本体の前記第1の薬剤室と連通する排出ポートと、前記第1の薬剤室に収納された第1の薬剤と、前記第2の薬剤室に収納された第2の薬剤とを備える医療用複室容器であって、
前記容器本体は、前記上端側シール部に設けられた懸垂孔を有し、前記医療用複室容器は、該容器本体に装着された懸垂孔使用阻害部材を備え、該懸垂孔使用阻害部材は、前記上端側シール部の端部を部分的に被包する端部被包部と、該端部被包部より延び、前記懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部と、前記第2の薬剤室を形成する前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力を受ける拡張力受部とを備え、かつ、前記第1の薬剤室または前記第2の薬剤室の圧迫時における前記拡張力受部に付与される前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、懸垂口使用可能状態または前記容器本体より易離脱可能状態となるものであることを特徴とする医療用複室容器。
(2) 前記懸垂孔使用阻害部材は、該懸垂孔使用阻害部材の操作による前記容器本体からの離脱が困難な状態に装着されている上記(1)に記載の医療用複室容器。
(3) 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記拡張力受部に付与される前記第2の薬剤室を形成する前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、前記懸垂孔使用阻害部材が移動し、懸垂口使用可能状態または前記容器本体より易離脱可能状態となるものである上記(1)または(2)に記載の医療用複室容器。
(4) 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記拡張力受部に付与される前記第2の薬剤室を形成する前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、前記懸垂孔使用阻害部材が開き易離脱可能状態となるものである上記(1)または(2)に記載の医療用複室容器。
(5) 前記拡張力受部は、前記第2の薬剤室を構成する前記表面側シート部もしくは前記裏面側シート部に接触可能なものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(6) 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記上端側シール部もしくは前記第2の薬剤室を挟持する挟持部を有する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(7) 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記懸垂孔内に侵入した離脱規制部を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(8) 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記懸垂孔内で係合するとともに、前記薬剤室の圧迫時に、前記拡張力受部に付与される前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、係合が解除される係合部を有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(9) 前記医療用複室容器は、前記上端側シール部に固定された薬剤容器を備え、前記懸垂孔使用阻害部材は、前記薬剤容器を被包する薬剤容器保護部を備えている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(10) 前記薬剤容器は、内部に薬剤が収納された薬剤収納部と、開封用操作部と、前記薬剤収納部と前記開封用操作部間に設けられた破断可能部とを有し、該破断可能部の破断により前記薬剤収納部内の薬剤が、前記容器本体内に流入するように前記上端側シール部に固定されている上記(9)に記載の医療用複室容器。
本発明の医療用複室容器では、表面側シート部および裏面側シート部と、上端側シール部および下端側シール部と、下端側シール部側となる第1の薬剤室と上端側シール部側となる第2の薬剤室とに区分する剥離可能な仕切部を備える軟質容器本体と、前記容器本体の前記第1の薬剤室と連通する排出ポートと、前記第1の薬剤室に収納された第1の薬剤と、前記第2の薬剤室に収納された第2の薬剤とを備える医療用複室容器であって、前記容器本体は、前記上端側シール部に設けられた懸垂孔を有し、前記医療用複室容器は、該容器本体に装着された懸垂孔使用阻害部材を備え、該懸垂孔使用阻害部材は、前記上端側シール部の端部を部分的に被包する端部被包部と、該端部被包部より延び、前記懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部と、前記第2の薬剤室を形成する前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力を受ける拡張力受部とを備え、かつ、前記第1の薬剤室または前記第2の薬剤室の圧迫時における前記拡張力受部に付与される前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、懸垂口使用可能状態または前記容器本体より易離脱可能状態となるものである。
よって、本発明の医療用複室容器では、懸垂孔使用阻害部材は、上端側シール部を部分的に挟むように前記容器本体に装着されるとともに懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を有するので、医療用複室容器に不必要な折ぐせが付与されることもなく、また、懸垂孔使用阻害部材は、薬剤室の圧迫時に、拡張力受部に付与される第2の薬剤室を形成する表面側シート部と裏面側シート部間の拡張時の力により、懸垂口使用可能状態または容器本体より易離脱可能状態となるものであるので、仕切部が剥離されない状態にて、懸垂孔を用いた薬液を投与することが不能であり、また、仕切部の剥離作業後において必要となるのは、多くても易離脱可能状態となった懸垂孔使用阻害部材を懸垂口使用可能状態(例えば、離脱)とすることのみであり、容易な操作で投与準備を行うことができる。
本発明の医療用複室容器について、図面に示す実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の医療用複室容器の一実施例の正面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図3は、図2の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。図4は、図1に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の正面図である。図5は、図4に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。図6は、図4に示した懸垂孔使用阻害部材の平面図である。
なお、図中の上側を「上端」、下側を「下端」として説明する。
本発明の医療用複室容器1は、表面側シート部2aおよび裏面側シート部2bと、上端側シール部5および下端側シール部6と、下端側シール部6側となる第1の薬剤室21と上端側シール部5側となる第2の薬剤室22に区分する剥離可能な仕切部9とを備える軟質容器本体2と、容器本体2の第1の薬剤室21と連通する排出ポート3と、第1の薬剤室21に収納された第1の薬剤21aと、第2の薬剤室22に収納された第2の薬剤22aとを備える。
そして、容器本体2は、上端側シール部5に設けられた懸垂孔25を有し、医療用複室容器1は、容器本体2に装着された懸垂孔使用阻害部材7を備える。
懸垂孔使用阻害部材7は、上端側シール部5の端部を部分的に被包する端部被包部71と、端部被包部71より延び、懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部と、第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力を受ける拡張力受部72,73とを備える。そして、懸垂孔使用阻害部材7は、第1の薬剤室21もしくは第2の薬剤室22の圧迫時(第1の薬剤室圧迫時については、第1の薬剤室21の圧迫による仕切部9の剥離後)に、拡張力受部72,73に付与される第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、懸垂口使用可能状態または容器本体2より易離脱可能状態となるものである。
この実施例の医療用複室容器1は、図1および図2に示すように、表面側シート部2aおよび裏面側シート部2bにより、シート状の筒状体に形成された容器本体2を備え、この容器本体2には、内部収納部を区画する仕切部9が形成されており、収納部は、第1の薬剤室21と第2の薬剤室22に区画されている。
また、図1に示すように、容器本体2の上端側に設けられたシール部5と下端側に設けられたシール部6を備える。実施例の医療用複室容器1では、第1の薬剤室21側に設けられた薬剤排出ポート3と、容器本体2の懸垂孔25の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔使用阻害部材7を備えている。さらに、この実施例の医療用複室容器1では、第2の薬剤室22側に設けられた薬剤注入ポート4を備えている。
容器本体2は、軟質合成樹脂により形成されている。容器本体2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、容器本体2は、例えば、ブロー成形法、共押出インフレーション法などの種々の方法により製造されたものでもよい。また、容器本体2は、上記のような筒状体の外周部の全周(4辺)をシールしたもの、2枚のシート材を重ねその外周部全周をシールしたもの、一枚のシートを2つ折りし、折り曲げ部以外の3辺をシールしたものなどの袋状物であってもよい。
そして、容器本体2の上端側のシール部5には、医療用複室容器1をハンガー等に吊り下げるための懸垂孔25が設けられている。懸垂孔25は、上端側シール部を打ち抜くことにより形成されている。懸垂孔の大きさは、医療用複室容器1の大きさによっても相違するが、直径5〜20mm程度の真円もしくは楕円状あるいは三角形の孔であることが好ましい。
容器本体2は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。
このように容器本体2が水蒸気バリヤー性を有することにより、医療用複室容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、充填される薬剤(具体的には、薬液)の減少、濃縮を防止することができる。また、医療用複室容器1の外部からの水蒸気の侵入も防止することができる。
このような容器本体2の形成材料として、ポリオレフィン類が含有されるとき、本発明の有用性が大きいものとなる。したがって、本発明においては、容器本体2の形成材料として、ポリオレフィン類を含むものであるのが好ましい。容器本体2の形成材料として、特に好ましいものとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン類に、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーあるいはエチレン−プロピレン共重合体やエチレン−ブテン共重合体,プロピレン−αオレフィン共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を用いてもよい。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、製造コストの低減を図ることができる点で好ましい。
さらに、上記のブレンド樹脂を用いる場合には、2種以上の融点の異なる材料を用いることになり、容器本体2の上端側のシール部5や下端側のシール部6、仕切部9の各シール条件の設定、各シール部分のシール強度の安定化を容易かつ良好に図ることができる。
また、容器本体は、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、容器本体2の耐衝撃性を向上させたり、耐ブロッキング性を付与したりすることができる。また、金属層を有するものの場合、容器本体2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与したりすることができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、容器本体2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。なお、容器本体2が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
容器本体2を構成するシート材の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜550μm程度であるのが好ましく、200〜400μm程度であるのがより好ましい。
容器本体2は、剥離可能な仕切部9により、2室に区分されている。そして、仕切部は、仕切用弱シール部により形成されている。仕切用弱シール部9は、第1の弱シール部9aと第1の弱シール部9aの両側に設けられた第1の弱シール部よりバッグへの押圧操作では剥離しにくいもしくは剥離不能な第2の弱シール部9bとを備えている。第1の弱シール部9aが剥離可能な仕切部を実質的に構成している。
具体的には、剥離可能な仕切部(第1の弱シール部)のシール強度(初期の剥離強度)は、0.1〜5N/10mm、特に、0.3〜3N/10mmであることが好ましい。シール強度がこの範囲内であれば、輸送や保管中等に誤って第1の弱シール部が剥離することがなく、また、第1の弱シール部を剥離する作業も容易である。第2の弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、3N/10mm以上、特に、4N/10mm以上であることが好ましい。
第2の弱シール部とのシール強度差(初期の剥離強度差)は、第1の弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)より、3〜30N/10mm、特に、4〜25N/10mm大きいものであることが好ましい。
なお、本件出願におけるシール強度の具体的な測定方法としては、以下のようにして行うことができる。
医療用複室容器を各測定対象シール部を含む部分を容器の幅方向に10mmの長さに切断して、それぞれのシール強度部分に含まれる切断片を引張速度300mm/分で測定した値の各シール強度部分の平均値である。
また、医療用複室容器1の容積は、内部に収納する薬剤の種類等によって異なるが、通常は、第1の薬剤室の容積が、50〜3000mL程度であることが好ましく、第2の薬剤室の容積が、50〜3000mL程度であることが好ましい。第1の薬剤室21と第2の薬剤室22の容積比は5:1〜1:5であることが好ましい。
このように薬剤室を第1の薬剤室21と第2の薬剤室22の2つに区分することにより、反応等による変質、劣化を生じる物質を含有する液体を使用するまでは別々に保存でき、使用に際し、両液を混合することが好ましいとき等に適用することができる。それぞれの薬剤室に収納される薬剤としては、薬液、散剤などが考えられる。特に、本発明の医療用複室容器では、第1の薬剤は、薬液であることが好ましい。第2の薬剤は、薬液もしくは散剤いずれであってもよい。好ましくは、薬液である。第1の薬剤および第2の薬剤の組合せとしては、例えば、輸液剤では、メーラード反応による着色を防止するために、アミノ酸電解質液とブドウ糖液との組合せとしたり、他に、ブドウ糖液と重曹液等の組み合わせ、また、腹膜透析液剤としてブドウ糖が配合される側のpHを3〜5とし、他方の電解質液を混合後、投薬時にほぼ中性域のpHとなるように調整したものなどが挙げられる。また、容器本体2は、第1の薬剤室21への薬剤注入部29を備えている。薬剤注入部29は、第1の薬剤室21内に薬剤を注入した後に形成されたシール部16によりシールされている。
なお、本発明において、第1の薬剤および第2の薬剤は、特に限定されず、例えば、生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、アミノ酸輸液、脂肪輸液、注射用水、腹膜透析液、経口・経腸栄養剤等、いかなるものであってもよい。
そして、容器本体2には、懸垂孔使用阻害部材7が装着されている。
この実施例における懸垂孔使用阻害部材7は、図1ないし図6に示す形態を有している。この例の懸垂孔使用阻害部材7は、懸垂孔使用阻害部材7の操作による前記容器本体からの離脱が困難な状態に装着されている。具体的には、懸垂孔使用阻害部材7には、容器本体2より離脱させるための積極的な把持部となる部分は設けられていない。よって、作業者に、懸垂孔使用阻害部材7の離脱作業を行うことは、困難であると認識させる形態となっている。
そして、この例の懸垂孔使用阻害部材7は、拡張力受部72,73に付与される第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、懸垂孔使用阻害部材7が移動し、懸垂孔が表出するもの、すなわち、懸垂口使用可能状態となるものとなっている。特に、このこの例の懸垂孔使用阻害部材7は、拡張力受部72,73に付与される表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、上方向へ移動することにより、懸垂孔を表出させるものとなっている。なお、懸垂孔使用阻害部材7は、水平方向に移動することにより、懸垂孔を表出させるものであってもよい。また、懸垂孔使用阻害部材7は、拡張力受部72,73に付与される表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、移動するものの懸垂孔を使用可能に表出させるまで至らないものの、易離脱可能状態となるものであってもよい。
そして、この例の懸垂孔使用阻害部材7は、上端側シール部5の端部を部分的に被包するアーチ状に形成された端部被包部71と、端部被包部71より延び、懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を備え、かつ第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力を受ける拡張力受部を備える。
この例の懸垂孔使用阻害部材7は、端部被包部71より延び、懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を備え、かつ第2の薬剤室22の上部を形成する表面側シート部2aの表面に到達する第1の拡張力受部72と、懸垂孔の他方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を備え、かつ第2の薬剤室22の上部を形成する裏面側シート部2bの表面に到達する第2の拡張力受部73を備えている。第1の拡張力受部72および第2の拡張力受部73は、第2の薬剤室22の上部を介して向かい合うように、言い換えれば、第2の薬剤室22の上部を挟む状態となっている。また、第1の拡張力受部72および第2の拡張力受部73は、ともに平板状に形成されており、その上部に、懸垂孔被包部を備えるものとなっている。なお、上記のように、第1の拡張力受部72および第2の拡張力受部73を設けることが好ましい。同様に、上記の懸垂孔使用阻害部材7では、懸垂孔被包部は、懸垂孔の両面を使用不能に被包しているが、一方のみの面を使用不能に被包するものであればよい。
また、この例の懸垂孔使用阻害部材7では、第1の拡張力受部72は、第2の薬剤室22を構成する表面側シート部2aに接触しており、同様に、第2の拡張力受部73は、第2の薬剤室22を構成する裏面側シート部2bに接触している。なお、容器本体2への装着時において、上記のように、拡張力受部は、容器本体に接触していることが好ましいが、第2の薬剤室22の圧迫時に、容器本体2と接触するものであってもよい。
そして、この例の懸垂孔使用阻害部材7は、上端側シール部5もしくは第2の薬剤室22を挟持する挟持部75a,75bを有している。特に、この例の懸垂孔使用阻害部材7は、図1ないし図6に示すように、上端側シール部5を挟持する挟持部75a,75bを有している。この挟持部75a,75bは、上端側シール部5に装着されない状態では、図5に示すように、上端側シール部の厚さより狭い狭小部を形成しており、上端側シール部にクリップされることにより、懸垂孔使用阻害部材7を容器本体2より容易に離脱しないものとなっている。
具体的には、この例の懸垂孔使用阻害部材7は、上端側シール部5の端部を部分的に被包するアーチ状に形成された端部被包部71と、端部被包部71の向かい合うそれぞれの端部より延びる板状部72,73を有しており、それぞれの板状部72,73の上部には、上述した挟持部75a,75bを有し、さらに、この挟持部75a,75bの下部には、懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を備え、さらに、この懸垂孔被包部より下方には、上述した第1の拡張力受部72および第2の拡張力受部73が設けられたものとなっている。
そして、この実施例では、端部被包部71は、図2、図3および図5に示すように湾曲した弾性変形可能部となっている。そして、この例の懸垂孔使用阻害部材7では、第2の薬剤室22が拡張すると、第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間は、上端側シート部側に向かって急激に狭くなるように広がるため、挟持部(拡張力受部)75a,75bには、これを上端側シール部5方向に移動しようとする力が付与されることになり、図7に示すように、自ら上端側シール部5方向に移動し、やがて、懸垂孔を表出させ、また、自然離脱もしくは易離脱可能状態となる。
また、懸垂孔使用阻害部材は、図8に示す実施例の医療用複室容器20に設けられているようなタイプのものであってもよい。
図8は、本発明の医療用複室容器の他の実施例の断面図である。図9は、図8の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。図10は、図8に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の正面図である。図11は、図10に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。図12は、図10に示した懸垂孔使用阻害部材の平面図である。
この医療用複室容器20に設けられている懸垂孔使用阻害部材7aと、上述した懸垂孔使用阻害部材7との相違点は、挟持部75a,75bの位置のみであり、その他の点については、上述した懸垂孔使用阻害部材7の説明を参照するものとする。
この懸垂孔使用阻害部材7aは、第2の薬剤室22の圧迫時に、拡張力受部に付与される第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、容器本体2より離脱するものとなっている。具体的には、この例の懸垂孔使用阻害部材7aは、拡張力受部に付与される第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、懸垂孔使用阻害部材7aが自動的に移動し、自然離脱もしくは易離脱可能状態となるものである。
この懸垂孔使用阻害部材7aは、上述した懸垂孔使用阻害部材7と同様に、容器本体2の第2の薬剤室22を挟持することにより、容器本体2に装着されている。
図8ないし図12に示すように、この例の懸垂孔使用阻害部材7aは、第2の薬剤室22の上部を挟持する挟持部75a,75bを有している。この挟持部75a,75bは、第2の薬剤室22の上部を挟持しない状態では、図9に示すように、第2の薬剤室22の上部の厚さより狭い狭小部を形成しており、第2の薬剤室22の上部にクリップされることにより、懸垂孔使用阻害部材7aの容器本体2からの容易を防止する。
具体的には、この例の懸垂孔使用阻害部材7aは、上端側シール部5の端部を部分的に被包するアーチ状に形成された端部被包部71と、端部被包部71の向かい合うそれぞれの端部より延びる板状部72,73を有しており、それぞれの板状部72,73の上部には、懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を備え、さらに、この懸垂孔被包部より下方に挟持部75a,75bを有し、この挟持部75a,75bが、拡張力受部も構成するものとなっている。
そして、この実施例では、端部被包部71は、図8、図9および図11に示すように湾曲した弾性変形可能部となっている。
そして、この例の懸垂孔使用阻害部材7aでは、第2の薬剤室22が圧迫されると、第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間は、上端側シート部側に向かって狭くなるように広がるため、挟持部(拡張力受部)75a,75bには、これを上端側シール部5方向に移動しようとする力が付与されることになり、図13に示すように、自ら上端側シール部5方向に移動し、やがて、懸垂孔を表出させ、また、自然離脱もしくは易離脱可能状態となる。
また、懸垂孔使用阻害部材は、図14に示す実施例の医療用複室容器30に設けられているようなタイプのものであってもよい。
図14は、本発明の医療用複室容器の他の実施例の正面図である。図15は、図14のB−B線断面図である。図16は、図15の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。図17は、図14に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の取付前の状態の平面図である。図18は、図17に示した懸垂孔使用阻害部材の正面図である。図19は、図17のC−C線断面図である。
この医療用複室容器30に設けられている懸垂孔使用阻害部材7bと、上述した懸垂孔使用阻害部材7との主な相違点は、懸垂孔25内で係合する係合部77,78を持ち、挟持部75a,75bを持たない点、端部被包部71に塑性変形可能なヒンジ部74を有する点であり、その他の点については、上述した懸垂孔使用阻害部材7の説明を参照するものとする。
この懸垂孔使用阻害部材7bは、第2の薬剤室22の圧迫時に、拡張力受部に付与される第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、容器本体2より離脱するものとなっている。
この懸垂孔使用阻害部材7bは、図14ないし図19に示すように、懸垂孔25内で係合するとともに、第2の薬剤室22の圧迫時に、拡張力受部72,73に付与される第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力により、係合が解除される係合部77,78を有する。係合部77は、凹部77aを備えており、係合部78は、上記係合部77の凹部77aと係合可能な突起部により構成されている。
具体的には、この例の懸垂孔使用阻害部材7bは、上端側シール部5の端部を部分的に被包するアーチ状に形成された端部被包部71と、端部被包部71の向かい合うそれぞれの端部より延びる板状部72,73を有しており、それぞれの板状部72,73の上部には、懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を備え、さらに、板状部72,73には、懸垂孔被包部部分の向かい合う内面に形成さえた一組の係合部77,78を有している。そして、この一組の係合部77,78は、上述したように、懸垂孔25内で係合しており、懸垂孔使用阻害部材7bを容器本体2に装着させている。
この実施例においても、端部被包部71には、塑性変形可能なヒンジ部74を有しており、拡張力受部でもある挟持部72,73に、第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間の拡張時の力が付与されると、板状部72,73の係合部77,78の係合が解除されるとともに、懸垂孔使用阻害部材7bは開き、かつその状態が保持される。また、係合部77,78は、懸垂孔25より離脱する。これにより、懸垂孔使用阻害部材7bは、容器本体より実質的に離脱した状態もしくは易離脱可能状態となる。
そして、懸垂孔使用阻害部材の構成材料は、硬質もしくは半硬質材料で構成されているのが好ましい。これらの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン(低密度〜高密度)、ポリ塩化ビニル(半硬質〜硬質)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、本発明の医療用複室容器が備える薬剤排出ポート3は、下端側シール部6の排出ポート固定部のシート材間に挟まれた状態にて融着され、容器本体2に対し液密に固着されている。
薬剤排出ポート3は、容器本体2内に充填された薬剤を排出するためのものである。この実施例における排出ポート3は、図1ないし図3に示すように、上端(第1の薬剤室側端部)が開口した筒状部材31と、筒状部材31の下端側に液密に取り付けられた薬剤排出用針により連通可能な連通部を備えている。連通部は、キャップ部材33と、その後端開口を封止するとともに薬剤排出用針の刺通が可能な弾性部材32とを備えている。連通部としては、このような形態のものに限定されるものではない。
また、本発明の医療用複室容器は、薬剤注入ポート4を備えていてもよい。薬剤注入ポート4は、容器本体2内に薬剤を注入するためのものである。この実施例における注入ポート4は、図1に示すように、下端(第2の薬剤室側端部)が開口した筒状部材41と、筒状部材の上端側に液密に取り付けられた薬剤注入用針により連通可能な連通部を備えている。連通部は、キャップ部材43と、その後端開口を封止するとともに薬剤注入用針の刺通が可能な弾性部材42とを備えている。連通部としては、このような形態のものに限定されるものではない。
弾性部材42および上述した排出ポート3の弾性部材32は、瓶針、カヌラ針等の針管(図示せず)を刺通可能なものであり、必要時にこの針管を刺通して、容器本体2内からの薬剤の排出もしくは容器本体2内への薬剤等の添加を行うことができる。また、弾性部材は、自己閉塞性を有し、針管を弾性部材から抜き取った後は、その穿刺孔が瞬時に閉塞し、薬剤の漏れを防止する。弾性部材の構成材料としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムのような各種ゴム材料等の弾性材料、あるいはこれらのうちの任意の2以上を組み合わせたもの(ブレンド、積層体等)、さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、あるいは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド等の高分子材料を配合したものが挙げられる。
薬剤排出ポート3の筒状部材31およびキャップ部材33ならびに薬剤注入ポート4の筒状部材41およびキャップ部材43の構成材料としては、その用途や機能に応じた条件、例えば硬度、強度、靭性、耐薬品性、透明性、その他の条件を有する材料が用いられ、比較的硬質な材料で構成されているのが好ましく、これらの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン(低密度〜高密度)、ポリ塩化ビニル(軟質〜硬質)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル(PET、PBT等)、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、フッ素系樹脂等が挙げられ、前述したような条件に応じ、また、筒状部材31およびキャップ部材33、筒状部材41およびキャップ部材43と容器本体2との固定手段を考慮して適宜選択して用いることができる。
また、上述したすべての実施例の医療用複室容器において、図20に示す医療用複室容器50のように、上端側シール部5に固定された薬剤容器8を備えるものであってもよい。
図20は、本発明の医療用複室容器の他の実施例の正面図である。図21は、図20のD−D線断面図である。図22は、図21の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。図23は、図20に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の正面図である。図24は、図23に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。図25は、図23に示した懸垂孔使用阻害部材の平面図である。
薬剤容器8は、図20に示すように、内部に薬剤が収納された薬剤収納部83と、開封用操作部84と、薬剤収納部83と開封用操作部84間に設けられた破断可能部85とを有し、破断可能部85の破断により、薬剤収納部83内の薬剤が、容器本体2内に流入するように上端側シール部5に固定されている。
薬剤容器8内に収納される薬剤としては、輸液剤に配合・溶解させるものであって、例えば抗生物質、ビタミン剤(総合ビタミン剤)、各種アミノ酸、ヘパリン等の抗血栓剤、インシュリン、抗腫瘍剤、鎮痛剤、強心剤、静注麻酔剤、抗パーキンソン剤、潰瘍治療剤、副腎皮質ホルモン剤、不整脈用剤、補正電解質、抗ウィルス薬、免疫賦活剤等が挙げられる。また、薬剤容器8内は、常圧でもよいが、減圧または真空状態としてもよい。
薬剤容器8の構成材料としては、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、環状ポリオレフィン[具体的には、ZEONEX(日本ゼオン株式会社製)、APEL(三井化学株式会社製)]、ポリプロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、ポリカーボネート、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、アイオノマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ブタジエン−スチレン共重合体、芳香族または脂肪族ポリアミド等の各種樹脂、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、安全性が高く、容器本体2との密着性に優れるという点で、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルが好ましい。
また、上述したすべての実施例の医療用複室容器において、図20に示す医療用複室容器50のように、懸垂孔使用阻害部材は、薬剤容器8を被包する薬剤容器保護部81を備えるものであってもよい。
そして、薬剤容器保護部81は、薬剤容器8を保護可能であり、第2の薬剤室22の圧迫時に、拡張力受部に付与される第2の薬剤室を形成する表面側シート部と裏面側シート部間の拡張時の力による容器本体からの懸垂孔使用阻害部材の離脱化もしくは易離脱可能状態化を阻害しないものであれば、どのようなものであってもよい。
この例の懸垂孔使用阻害部材7cは、図20ないし図25に示すように、懸垂孔使用阻害部と薬剤容器保護部81とを備えており、薬剤容器保護部81は、連結部82により懸垂孔使用阻害部と連結されている。
この例の懸垂孔使用阻害部材7cにおける懸垂孔使用阻害部は、上述した懸垂孔使用阻害部材7と同じであり、上述した説明を参照するものとする。
そして、薬剤容器保護部81は、図20ないし図25に示すように、連結部82aにより平板部72と連結された表面側保護部81aと、連結部82bにより平板部73と連結された裏面側保護部81bとを備えている。表面側保護部81aおよび裏面側保護部81bは、略半筒状となっており、表面側保護部81aが、薬剤容器8を容器本体2の表面側シート部2a上より保護し、裏面側保護部81bが、薬剤容器8を容器本体2の裏面側シート部2b上より保護している。
そして、この例の懸垂孔使用阻害部材7cは、上述した懸垂孔使用阻害部材7と同様に、上端側シール部5の端部を部分的に被包するアーチ状に形成された端部被包部71と、端部被包部71の向かい合うそれぞれの端部より延びる板状部72,73を有しており、それぞれの板状部72,73の上部には、懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部を備え、さらに、この懸垂孔被包部より下方に挟持部75a,75bを有し、この挟持部75a,75bが、拡張力受部も構成するものとなっている。
この実施例においても、端部被包部71は、図21,図22、図24に示すように、湾曲した弾性変形可能部となっている。そして、この例の懸垂孔使用阻害部材7cにおいて、第2の薬剤室22が拡張すると、第2の薬剤室22を形成する表面側シート部2aと裏面側シート部2b間は、上端側シート部側に向かって急激に狭くなるように広がるため、挟持部(拡張力受部)75a,75bには、これを上端側シール部5方向に移動しようとする力が付与されることになり、自ら上端側シール部5方向に移動し、やがて、懸垂孔を表出させ、また、自然離脱もしくは易離脱可能状態となる。
また、このような薬剤容器保護部81を有するタイプの懸垂孔使用阻害部材においても、上述した実施例に限定されるものではない。図26および図27に示す懸垂孔使用阻害部材7eに示すようなものであってもよい。この実施例の懸垂孔使用阻害部材7eと、上述した懸垂孔使用阻害部材7cとの相違点は、挟持部75a,75bの位置のみであり、その他の点については、上述した懸垂孔使用阻害部材7cと同じ、すなわち、懸垂孔使用阻害部分においては、上述した懸垂孔使用阻害部材7aと同じであり、上述した説明を参照するものとする。
さらに、懸垂孔使用阻害部材としては、図28、図29および図30に示す懸垂孔使用阻害部材7fに示すようなものであってもよい。この実施例の懸垂孔使用阻害部材7fと、上述した懸垂孔使用阻害部材7cとの相違点は、懸垂孔25内で係合する係合部77,78を持ち、挟持部75a,75bを持たない点、端部被包部71に塑性変形可能なヒンジ部74を有する点であり、その他の点については、上述した懸垂孔使用阻害部材7cの説明を参照するものとする。また、懸垂孔25内で係合する係合部77,78、端部被包部71に設けられた塑性変形可能なヒンジ部74については、上述した懸垂孔使用阻害部材7bと同じであり、上述した懸垂孔使用阻害部材7bの説明を参照するものとする。
図1は、本発明の医療用複室容器の一実施例の正面図である。 図2は、図1のA−A線断面図である。 図3は、図2の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。 図4は、図1に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の正面図である。 図5は、図4に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。 図6は、図4に示した懸垂孔使用阻害部材の平面図である。 図7は、本発明の医療用複室容器の作用を説明するための説明図である。 図8は、本発明の医療用複室容器の他の実施例の断面図である。 図9は、図8の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。 図10は、図8に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の正面図である。 図11は、図10に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。 図12は、図10に示した懸垂孔使用阻害部材の平面図である。 図13は、本発明の医療用複室容器の作用を説明するための説明図である。 図14は、本発明の医療用複室容器の他の実施例の正面図である。 図15は、図1のB−B線断面図である。 図16は、図15の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。 図17は、図14に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の取付前の状態の平面図である。 図18は、図17に示した懸垂孔使用阻害部材の正面図である。 図19は、図17のC−C線断面図である。 図20は、本発明の医療用複室容器の他の実施例の正面図である。 図21は、図20のD−D線断面図である。 図22は、図21の医療用複室容器の懸垂孔付近の拡大断面図である。 図23は、図20に示す医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の正面図である。 図24は、図23に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。 図25は、図23に示した懸垂孔使用阻害部材の平面図である。 図26は、本発明の医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の他の実施例の正面図である。 図27は、図26に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。 図28は、本発明の医療用複室容器に使用される懸垂孔使用阻害部材の他の実施例の正面図である。 図29は、図29に示した懸垂孔使用阻害部材の右側面図である。 図30は、図28に示した懸垂孔使用阻害部材の平面図である。
符号の説明
1 医療用複室容器
2 容器本体
20 薬剤室
3 排出ポート
4 薬剤注入ポート
5,6 シール部
7 懸垂孔使用阻害部材
9 仕切部
21 第1の薬剤室
22 第2の薬剤室

Claims (10)

  1. 表面側シート部および裏面側シート部と、上端側シール部および下端側シール部と、前記下端側シール部側となる第1の薬剤室と前記上端側シール部側となる第2の薬剤室とに区分する剥離可能な仕切部とを備える軟質容器本体と、前記容器本体の前記第1の薬剤室と連通する排出ポートと、前記第1の薬剤室に収納された第1の薬剤と、前記第2の薬剤室に収納された第2の薬剤とを備える医療用複室容器であって、
    前記容器本体は、前記上端側シール部に設けられた懸垂孔を有し、前記医療用複室容器は、該容器本体に装着された懸垂孔使用阻害部材を備え、該懸垂孔使用阻害部材は、前記上端側シール部の端部を部分的に被包する端部被包部と、該端部被包部より延び、前記懸垂孔の少なくとも一方の面を使用不能に被包する懸垂孔被包部と、前記第2の薬剤室を形成する前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力を受ける拡張力受部とを備え、かつ、前記第1の薬剤室または前記第2の薬剤室の圧迫時における前記拡張力受部に付与される前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、懸垂口使用可能状態または前記容器本体より易離脱可能状態となるものであることを特徴とする医療用複室容器。
  2. 前記懸垂孔使用阻害部材は、該懸垂孔使用阻害部材の操作による前記容器本体からの離脱が困難な状態に装着されている請求項1に記載の医療用複室容器。
  3. 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記拡張力受部に付与される前記第2の薬剤室を形成する前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、前記懸垂孔使用阻害部材が移動し、懸垂口使用可能状態または前記容器本体より易離脱可能状態となるものである請求項1または2に記載の医療用複室容器。
  4. 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記拡張力受部に付与される前記第2の薬剤室を形成する前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、前記懸垂孔使用阻害部材が開き易離脱可能状態となるものである請求項1または2に記載の医療用複室容器。
  5. 前記拡張力受部は、前記第2の薬剤室を構成する前記表面側シート部もしくは前記裏面側シート部に接触可能なものである請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用複室容器。
  6. 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記上端側シール部もしくは前記第2の薬剤室を挟持する挟持部を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用複室容器。
  7. 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記懸垂孔内に侵入した離脱規制部を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用複室容器。
  8. 前記懸垂孔使用阻害部材は、前記懸垂孔内で係合するとともに、前記薬剤室の圧迫時に、前記拡張力受部に付与される前記表面側シート部と前記裏面側シート部間の拡張時の力により、係合が解除される係合部を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用複室容器。
  9. 前記医療用複室容器は、前記上端側シール部に固定された薬剤容器を備え、前記懸垂孔使用阻害部材は、前記薬剤容器を被包する薬剤容器保護部を備えている請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用複室容器。
  10. 前記薬剤容器は、内部に薬剤が収納された薬剤収納部と、開封用操作部と、前記薬剤収納部と前記開封用操作部間に設けられた破断可能部とを有し、該破断可能部の破断により前記薬剤収納部内の薬剤が、前記容器本体内に流入するように前記上端側シール部に固定されている請求項9に記載の医療用複室容器。
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