JP2008094142A - 電動パーキングブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パーキングブレーキ10を駆動する電動アクチュエータ20を制御する電動パーキングブレーキ制御装置40を、少なくとも車両の速度変化に基づいて路面の傾斜を判定する傾斜判定部41cと、傾斜判定部41cが判定した路面の傾斜に応じて、パーキングブレーキ10の制動力を、平地用制動力よりも大きい傾斜路用制動力に設定するとともに、傾斜路用制動力による制動の解除後であって、所定の車速条件を充足する前に車両が停止した場合は、この車速条件が充足した場合よりも緩和された条件において傾斜路用制動力を設定する制動力設定部41とを備える構成とする。
【選択図】図8
Description
このような電動パーキングブレーキは、運転者が電気的なスイッチによって操作できるから、一般的な手動レバーや足踏みペダルによる操作に対して労力が低減される。
ヒルホールド機能において必要な制動力は、車両が停止した路面の傾斜に(勾配)によって異なり、例えば勾配の大きい坂道で車両の動き出しを防止するためには、制動力を大きく設定する必要があるが、常時このように大きい制動力を発生させると、通常使用における装置の負担が増大するとともに、駆動に必要なエネルギも大きくなる。
これに対し、従来の電動パーキングブレーキ装置は、加速度(G)センサによって路面の傾斜を検出する傾斜センサを設け、その出力に応じて制動力を変更するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
これに対し、車両の停止直前における車速センサの出力変化と車両の前後Gとを比較することによって傾斜判定を行うことが提案されている。これによれば、車両の停止後短時間に傾斜判定を行うことができるが、例えば坂道における渋滞時のように、低速走行と停止とを繰り返す場合には、車速が不足する結果、傾斜判定の精度を確保することが困難な場合がある。
また、このような電動パーキングブレーキを備えたマニュアルトランスミッション車の場合、坂道発進時にエンジンストールした際に、車両の動き出しを防止することが要望される。
本発明の課題は、ヒルホールド機能を備えるとともに、安全性をより向上した電動パーキングブレーキ制御装置を提供することである。
請求項1の発明は、パーキングブレーキを駆動する電動アクチュエータを制御する電動パーキングブレーキ制御装置において、少なくとも車両の速度変化に基づいて路面の傾斜を判定する傾斜判定部と、前記傾斜判定部が判定した路面の傾斜に応じて、前記パーキングブレーキの制動力を、平地用制動力よりも大きい傾斜路用制動力に設定するとともに、前記傾斜路用制動力による制動の解除後であって、所定の車速条件を充足する前に車両が停止した場合は、前記車速条件が充足した場合よりも緩和された条件において前記傾斜路用制動力を設定する制動力設定部とを備えることを特徴とした電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、前記車速条件は、前記傾斜判定部における傾斜判定が可能な下限車速に基づいて設定されることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、前記制動力設定部は、前記傾斜路用制動力による制動の解除後であって、前記車速条件を充足する前に車両が停止した場合において、前記傾斜判定部による平地判定が成立した場合は前記平地用制動力を設定することを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
(1)傾斜路用制動力による制動の解除後であって、所定の車速条件を充足する前に車両が停止した場合は、通常より緩和された条件において傾斜路用制動力を設定することによって、車速が不足して十分な精度で傾斜判定が行えない場合に制動力を大きくして安全サイドの制御を行うことができ、安全性が向上する。
(2)傾斜路用制動力による制動の解除後であって、所定の車速条件を充足する前に車両が停止した場合に、傾斜判定部による傾斜判定が成立しない場合であっても、パーキングブレーキを傾斜路用制動力において作動させることによって、簡単な制御ロジックによって安全性の向上を実現することができる。
(3)所定の車速条件を、傾斜判定部における傾斜判定が可能な下限車速に基づいて設定することによって、それ以上の車速に達した場合には通常の傾斜判定を用いた制御に切り換えて、制動力の設定を最適化することができる。
(4)傾斜路用制動力による制動の解除後であって、車速条件を充足する前に車両が停止した場合に、傾斜判定部による平地判定が成立した場合は平地用制動力を設定することによって、安全性を確保しつつ装置の耐久性に関する要求を緩和することができる。
(5)傾斜路用制動力による制動の解除後であって、車両のエンジンが停止している場合に、パーキングブレーキを傾斜路用制動力において作動させることによって、坂道発進におけるエンジンストール時等に車両が動き出すことを防止して安全性を向上することができる。
図1は、本実施例の電動パーキングブレーキ装置の機械的構成を示す図である。
図2は、電動パーキングブレーキ装置の回路構成を示すブロック図である。
電動パーキングブレーキ装置は、パーキングブレーキ10、アクチュエータユニット20、バッテリ30、コントローラ40、操作スイッチ50、車両側ユニット60を備えている。
アクチュエータユニット20は、例えば直流(DC)モータの回転力を減速ギア列によって減速してリードスクリュを回転させ、このリードスクリュにネジ結合されたイコライザによって、パーキングブレーキケーブル21を牽引し又は弛緩させるものである。
ここで、アクチュエータユニット20は、パーキングブレーキケーブル21に負荷される牽引力を調整することによって、制動状態におけるパーキングブレーキ10の制動力を変更する機能を備えている。この牽引力の調整は、アクチュエータユニット20がパーキングブレーキケーブル21を牽引するストロークを変化させることによって行われ、このためアクチュエータユニット20は、この牽引ストロークを検出する図示しないストロークセンサを備えている。
プラス端子31は、コントローラ40に配線(ハーネス)を介して接続されている。このプラス端子31からコントローラ40に電力を供給する配線は、図2に示すように、イグニッション配線31a、常時接続配線31bが設けられている。イグニッション配線31aは、その中間部に図示しないイグニッションスイッチのオンオフと連動して導通、遮断が切換えられるイグニッションリレーIが挿入され、車両の走行用動力源である図示しないエンジンのオン時(運転時)に通電されるものである。また、常時接続配線31bは、イグニッションスイッチの状態に関わらず常時通電され、コントローラ40内部におけるデータの保持等に利用されるものである。
また、マイナス端子32は、図1に示すように、車体の金属部分に接地されている。
ECU41は、操作スイッチ50、車両側ユニット60からの入力に応じて、パーキングブレーキ10の制動要否を判断するとともに、後述する増し引き(ヒルホールド)制御及びヒルホールドバックアップ制御を行うCPUを備えている。ECU41は、統合コントローラ41a、停止判定部41b、傾斜判定部41cを備えている。
停止判定部41bは、車両が走行状態から停止状態へ移行したことを判定する車両停止判定処理を行うものである。
傾斜判定部41cは、Gセンサ43の出力を処理し、車両が停止する路面の傾斜を判定する公知の傾斜判定処理を行うとともに、Gセンサ43の出力と車速の低下率とを比較する傾斜判定処理を行うものである。この傾斜判定処理については、後に詳しく説明する。
Gセンサ43は、車両の前後方向に作用する加速度を検出する加速度センサを備え、その出力をECU41に入力するものである。なお、本明細書において、車両の前後方向の加速度の極性(正負)は、減速側を正、加速側を負として以下説明する。
車速センサ61は、例えば各車輪のホイールハブ部にそれぞれ設けられ、車輪とともに回転するトーンホイールの回転速度に応じた車速パルス信号を出力することによって、車両の走行速度(車速)の検出に用いられるものである。
このヒルホールド機能において用いられる傾斜判定方法について、以下詳しく説明する。
図3は、本実施例における傾斜判定方法を示すフローチャートの第1分図であって、メインルーチンを示す図である。
図4は、このフローチャートの第2分図であって、通常G領域における傾斜判定のサブルーチンを示す図である。
図5は、このフローチャートの第3分図であって、高G領域における傾斜判定のサブルーチンを示す図である。
図6は、このフローチャートの第4分図であって、バックアップ用傾斜判定のサブルーチンを示す図である。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:車体速度Vso受信>
コントローラ40のECU41は、車両側ユニット60が車速センサ61を用いて検出した車両の走行速度である車体速度(車速)Vsoを受信してステップS02に進む。
<ステップS02:車体速度Vso判断>
ECU41は、現在の車体速度Vsoを、処理開始時におけるVso(開始時Vso)と比較し、現在の車体速度Vsoが開始時Vsoよりも小さく、かつ、0よりも大きい場合はステップS04に進み、現在の車体速度Vsoが0である場合は、ステップS31(図6参照)に進み、それ以降のバックアップ用傾斜判定サブルーチンの処理を開始する。
また、これら以外の場合は、ステップS03に進む。
ECU41は、上述したステップS01及びステップS02を含む全ての内部演算結果を消去し、V[0,・・N],Gr,Grf等の各パラメータをリセットし、ステップS01に戻ってそれ以降の処理を繰り返す。
ECU41は、Gセンサ43からその出力SGを取り込み、ステップS05に進む。ここで、Gセンサ43の出力SGの符号は、減速側が正、加速側が負となるように設定されている。
<ステップS05:車体速度Vストック処理>
ECU41は、蓄積している時系列の車体速度データV[N](N:整数)を、それぞれV[N−1]によって更新するとともに、現在の車体速度VsoをV[0]とするストック処理を行ない、ステップS06に進む。
<ステップS06:参照G(Gr)算出>
ECU41は、車速センサ61の出力に基づいて演算によって求められる車両の減速Gである参照G(Gr)を式1の通り算出し、ステップS07に進む。
Gr(m/s2)
=(V[N](km/h)−V[0](km/h)/(T×N)×1000/3600
・・・(式1)
但し、T:車体速度Vsoの受信間隔(s)
ECU41は、ステップS06において算出した参照G(Gr)に対して、所定のローパスフィルタ(LPF)処理を施し、LPF後参照G(Grf)を生成し、ステップS08に進む。
ここで、上述したGセンサ43は、平地において車体の傾斜が無視できる状態で車両が減速した場合に、その出力SGがこのLPF後参照G(Grf)とほぼ同じとなるようにゲインが調整されている。
ECU41は、ステップS07において生成したLPF後参照G(Grf)を、車両の減速度を所定の高G領域と、これよりも減速度が小さい通常領域とに層別するための閾値である高参照G判別値(High G)と比較する。そして、LPF後参照Gが高参照G判別値よりも大きい場合は、ステップS11(図4参照)以降の通常G領域における傾斜判定サブルーチンに進み、これ以外の場合は、ステップS21(図5参照)以降の高G領域における傾斜判定サブルーチンに進む。
<ステップS11:差分G判断>
ECU41は、LPF後参照G(Grf)からGセンサ出力SGを減じた差分G(Gd)を算出し、この差分G(Gd)を所定の定数である判定値C(C>0)及びその符号(正負)を反転させた−Cと比較する。
そして、差分G(Gd)がCよりも大きい場合はステップS12に進み、差分G(Gd)が−Cがよりも小さい場合はステップS14に進み、差分G(Gd)がC以下でありかつ−C以上である場合はステップS13に進む。
図7は、車両が登坂路に停止する際のGセンサ出力と参照Gとの関係を示す模式図である。
Gセンサ出力SGは、車両の速度低下による減速G及び路面の傾斜等に起因する車両の傾斜によって生ずるGが合成されたものであるから、車両の減速度が同じであっても、路面の傾斜が異なる場合には変化する。例えば、図7に示す登坂路の場合は、重力の影響によって車両の後方側(加速側)に働くG(Gb)が発生することによって、Gセンサ出力SGは小さくなる。
これに対し、参照Gは、車速センサ61が検出する車速の低下率であることから、路面の傾斜による影響は実質的に無視でき、ほぼ減速Gのみを表していると考えられる。
このため、Gセンサ出力SGと参照Gとの差分G(Gd)を求めることによって、Gセンサ出力SGから減速Gの影響をキャンセルして、路面の傾斜に起因するGを検出することができる。
LPF後参照G(Grf)からGセンサ出力SGを減じた値(差分G(Gd))は、重力の影響によって車両の前後方向に生ずるGと実質的に等しく、登坂路の場合は正(減速側)となり、降坂路の場合は負(加速側)となり、平坦地の場合はほぼ0となるから、これに基づいて路面の傾斜を判定することができる。
ECU41は、車両が停止する路面が、電動パーキングブレーキの制動力を通常よりも向上する必要がある所定の斜度以上の登坂路であることを示す上り坂判定を出力し、メインルーチンに復帰する。
<ステップS13:平地判定出力>
ECU41は、車両が停止する路面が、実質的に平坦であり、電動パーキングブレーキの制動力が通常の制動力で足りることを示す平地判定を出力し、メインルーチンに復帰する。
<ステップS14:下り坂判定出力>
ECU41は、車両が停止する路面が、電動パーキングブレーキの制動力を通常よりも向上する必要がある所定の斜度以上の降坂路であることを示す下り坂判定を出力し、メインルーチンに復帰する。
なお、本明細書において、傾斜判定とは、上述した上り坂判定と下り坂判定とを含むものとする。
<ステップS21:差分G判断>
ECU41は、LPF後参照G(Grf)からGセンサ出力SGを減じた差分G(Gd)を算出する。
そして、Gd≧C−Chの場合はステップS22に進み、−2C−Ch<Gd<C−Chの場合はステップS23に進み、Gd≦−2C−Chの場合はステップS24に進む。
ここで、Chは、高G領域における判定値Cの補正値であって、判定値Cよりも絶対値が小さくかつ負である所定の定数である。
ECU41は、上り坂判定を出力してメインルーチンに復帰する。
<ステップS23:平地判定出力>
ECU41は、平地判定を出力してメインルーチンに復帰する。
<ステップS24:下り坂判定出力>
ECU41は、下り坂判定を出力してメインルーチンに復帰する。
<ステップS31:平地判定判断>
ECU41は、現在平地判定が行われているか否かを判断し、平地判定が行われている場合はステップS32に進み、それ以外の場合はメインルーチンに復帰する。
ECU41は、時間の経過に応じてタイマー値tをカウントアップする停止判定タイマーを作動させ、そのタイマー値tが0以上となっているか否かを判断し、タイマー値tが0以上である場合はステップS33に進み、それ以外の場合はメインルーチンに復帰する。
ここで、停止判定タイマーは、タイマー値tが0以外のとき、メインフローにおいて車体速度が入力された時点で初期化(t←0)される。
<ステップS33:停止判定タイマーカウントアップ>
ECU41は、停止判定タイマーのタイマー値tに1を加算(t←t+1)して、ステップS34に進む。
<ステップS34:タイマー値判断>
ECU41は、停止判定タイマーのタイマー値tと予め設定された停止判定値(ストップジャッジメントカウント)とを比較し、タイマー値tを停止判定値とが等しい場合はステップS35に進み、それ以外の場合はメインルーチンに復帰する。この停止判定値は、車両の停止後、Gセンサ43の出力が安定し、その出力のみに基づいて傾斜判定を行うことが可能となる時間を考慮して設定されている。
ECU41は、Gセンサ43からその出力SGを取り込み、ステップS36に進む。
<ステップS36:Gセンサ出力判断>
ECU41は、ステップS35において取り込んだGセンサ出力SGを、予め設定された判定用G(Gj)、及び、極性を反転させた判定用G(−Gj)と比較する。この判定用G(Gj)は、パーキングブレーキの制動力増加が必要な程度の傾斜路であるか否かをGセンサ出力SGの出力に応じて判別するための閾値である。
そして、Gセンサ出力SGが−Gjよりも小さい場合はステップS37に進み、Gセンサ出力SGがGjよりも大きい場合はステップS39に進み、これ以外の場合はステップS38に進む。
なお、このステップS36は、車両が停止中に参照Gに関わらず傾斜の判定を行う停止時用傾斜判定ステップであり、また、参照GとGセンサ出力とを比較して平地判定が行われた場合に、参照Gに関わらず再度傾斜を判定するバックアップ用傾斜判定ステップとして機能する。
ECU41は、上り坂判定を出力してステップS40に進む。
<ステップS38:平地判定出力>
ECU41は、平地判定を出力してステップS40に進む。
<ステップS39:下り坂判定出力>
ECU41は、下り坂判定を出力してステップS40に進む。
<ステップS40:停止判定タイマー停止>
ECU41は、停止判定タイマーのタイマー値tを−1(t←−1)とし、停止判定タイマーを停止してメインルーチンに復帰する。
この場合、コントローラ40は、パーキングブレーキ10の制動力を、平地に駐車する場合に用いられる制動力である平地用制動力よりも増加した傾斜路用制動力とする増し引き制御を行なう。
図8は、ヒルホールドバックアップ機能を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS101:ヒルホールド状態フラグ判断>
ECU41は、現在のヒルホールド状態フラグが1であるか否かを判断し、ヒルホールド状態フラグが1である場合はステップS102に進み、それ以外の場合はステップS115に進む。
ここで、ヒルホールド状態フラグは、通常走行時において0、パーキングブレーキ10の増し引き制動時において1、増し引き制動の解除後、所定の車速条件を充足するまでの状態において2にそれぞれ設定されるフラグであって、ECU41によって保持されている。
ECU41は、パーキングブレーキ10が増し引き制動を解除されるための条件であるヒルホールド解除条件が充足されたか否かを判断する。ヒルホールド解除条件の充足有無は、例えば図示しないスロットルペダル、クラッチペダル、シフトレバー等の運転操作部の操作状態に基づいて判断される。ECU41は、車両側ユニット60からこれらの情報の提供を受けてこの判断を行なう。
そして、ヒルホールド解除条件が充足された場合(アクティブである場合)は、その充足時に一回のみステップS103に進み、その他の場合(ヒルホールド解除条件の充足後も含む)はステップS104に進む。
ここで、ヒルホールド解除条件が充足された場合は、アクチュエータユニット20はパーキングブレーキケーブル21を弛緩させ、パーキングブレーキ10を解除状態へ移行させる。
ECU41は、ヒルホールド状態フラグを2に設定し、ステップS104に進む。
<ステップS104:ヒルホールド状態フラグ判断>
ECU41は、ヒルホールド状態フラグが2であるか否かを判断し、2である場合はステップS105に進み、それ以外の場合はリターン(ステップS101に戻る)する。
ECU41は、車両側ユニット60から提供される現在のエンジン回転数、及び、Gセンサ43の出力に基づいて、エンジンストールの有無を判定する。
具体的には、現在のエンジン回転数が0でありかつGセンサ43がエンジンストール時特有の前後G変動パターンを検出した場合は、エンジンストールしたものとしてステップS106に進み、それ以外の場合はステップS107に進む。
<ステップS106:ヒルホールド作動>
ECU41は、パーキングブレーキ10を、傾斜路用制動力において作動させ、リターンする。
ECU41は、現在の車体速度Vsoを0及び所定の設定速度Vlimitと比較し、VsoがVlimitより小さくかつ0より大きい場合はステップS108に、Vsoが0である場合はステップS111に、VsoがVlimit以上である場合はステップS114にそれぞれ進む。
ここで、Vlimitは、上述した車速を利用した傾斜判定ロジックによって所定の判定精度が得られる車速を基準として設定され、例えば、12km/h程度に設定される。
ECU41の傾斜判定部41cは、平地判定ロジックを実施する。平地判定ロジックは、上述した傾斜判定ロジックと実質的に同様の処理であるが、例えば20msec間隔で繰り返し判断した結果のうち、例えば90%以上が平地判定であった場合に、最終的な平地判定を成立させるものである。すなわち、この場合、車両が減速を開始する初速がVlimitを下回っていることから、傾斜判定の精度は確保することが困難であるが、それでも90%以上の確立で平地であった場合には、平地である可能性が十分に高いものとして最終的な平地判定を成立させる。
ECU41は、ステップS108における平地判定の成立有無を判断し、平地判定が成立した場合はステップS110に進み、平地判定が成立しない場合はリターンする。
<ステップS110:ヒルホールド状態フラグ変更>
ECU41は、ヒルホールド状態フラグを0に設定し、リターンする。
これによって、パーキングブレーキ10は、次回停車時に平地用制動力において作動する。
ECU41の停止判定部41bは、車両が完全に停止(停車)したか否かを判定する。
ここで、車速センサ61は、例えば1.6km/h以下程度の微低速においては、車速を正確に検出することが困難である。そこで、この停止判定は、例えば車速センサ61の指示速度が、所定の検出下限速度となったタイミングと、そのときの車両の減速度とに基づいて、車両の停止時期を推定することによって行なわれる。
<ステップS112:停止判定成立判断>
ECU41は、ステップS111において停止判定が成立したか否かを判断し、停止判定が成立した場合はステップS113に進み、停止判定が成立しない場合はリターンする。
<ステップS113:ヒルホールド作動>
コントローラ40は、アクチュエータユニット20を駆動し、パーキングブレーキ10を傾斜路用制動力において作動(制動)させ、リターンする。
<ステップS114:ヒルホールド状態フラグ変更>
ECU41は、ヒルホールド状態フラグを0に変更する。これによって、次回停車時においては、上述した通常の傾斜判定ロジックを用いて平地用制動力又は傾斜路用制動力の設定が行なわれる。
<ステップS115:通常ヒルホールドロジック>
ECU41は、このヒルホールドバックアップロジックから、上述した通常の傾斜判定を用いたロジックに復帰する。
(1)傾斜路用制動力による制動(増し引き)の解除後であって、車速がVlimitに達する前に車両が再度停止した場合に、傾斜判定が成立しなくても、平地判定が成立しない限り自動的に傾斜路用制動力においてパーキングブレーキ10を作動させることによって、車速が不足し、精度よく傾斜判定を行うことが難しい場合であっても、簡単な制御ロジックによって安全サイドの制御を行なうことができ、車両の動き出しを防止して安全性を向上することができる。
(2)車速条件であるVlimitを、ECU41の傾斜判定部41cにおける傾斜判定を精度よく行える下限速度に基づいて設定することによって、車速がそれ以上となった場合は、通常の傾斜判定を用いた制御に切換えることによって、制動力の設定を最適化することができる。
(3)傾斜路用制動力による制動の解除後であって、車速がVlimitに達する前に車両が再度停止した場合に、平地判定が所定の確かさで成立した場合には平地用制動力を設定することによって、傾斜路用制動力による作動頻度を低下させ、安全性を確保しつつ電動パーキングブレーキ装置の機械的耐久性に対する要求を緩和することができる。
(4)傾斜路用制動力による制動の解除後であって、車両のエンジンが停止している場合に、パーキングブレーキ10を傾斜路用制動力において作動させることによって、例えばエンジンストール時のように車速信号が入力されず傾斜判定が困難な場合であっても車両の動き出しを防止することができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)上述した実施例は、パーキングブレーキの制動力を、平地用制動力、傾斜路用制動力の2段階に設定しているが、3段階以上に設定したり、傾斜判定結果に応じて無段階に変化するようにしてもよく、この場合、所定の車速条件を充足せずに車両が再度停止した場合は、通常よりも緩和された条件においてより高い制動力が設定されるようにするとよい。
(2)傾斜判定方法は、上述した実施例に限定されず、車速に関する情報を用いた他の方法であってもよい。また、停止判定方法も特に限定されない。
(3)電動パーキングブレーキ装置の構成は、実施例のものに限らず、適宜変更することができる。
例えば、実施例のパーキングブレーキは、フットブレーキ用のブレーキディスク(ロータ)の内径側に配置されたドラムを用いるものであるが、パーキングブレーキの形式は他の形式であってもよく、例えば、フットブレーキ用のディスクブレーキ又はドラムブレーキをその摩擦材を共用し、パーキングブレーキと一体化したものであってもよい。
また、実施例のパーキングブレーキは、ボディ側に固定された電動アクチュエータを用い、パーキングブレーキケーブルを介してパーキングブレーキを駆動するものであったが、本発明はこれに限らず、例えば電動アクチュエータをホイールハブ側に設けてパーキングブレーキと一体化したいわゆるビルトイン型の電動パーキングブレーキにも適用することができる。
(4)実施例の車両は、手動変速機を備えたものであったが、本発明は、エンジンストールに対する制御を除いて、例えばトルクコンバータ式やCVT等の自動変速機を備えた車両や、電気自動車、エンジン−電気ハイブリッド車両等にも適用することができる。
20 アクチュエータユニット
21 パーキングブレーキケーブル
30 バッテリ
40 コントローラ
41 ECU
43 Gセンサ
50 操作スイッチ
60 車両側ユニット
61 車速センサ
Claims (5)
- パーキングブレーキを駆動する電動アクチュエータを制御する電動パーキングブレーキ制御装置において、
少なくとも車両の速度変化に基づいて路面の傾斜を判定する傾斜判定部と、
前記傾斜判定部が判定した路面の傾斜に応じて、前記パーキングブレーキの制動力を、平地用制動力よりも大きい傾斜路用制動力に設定するとともに、前記傾斜路用制動力による制動の解除後であって、所定の車速条件を充足する前に車両が停止した場合は、前記車速条件が充足した場合よりも緩和された条件において前記傾斜路用制動力を設定する制動力設定部と
を備えることを特徴とした電動パーキングブレーキ制御装置。 - 請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記制動力設定部は、前記傾斜路用制動力による制動の解除後であって、前記車速条件を充足する前に車両が停止した場合において、前記傾斜判定部による傾斜判定が成立しない場合であっても、前記パーキングブレーキを前記傾斜路用制動力において作動させること
を特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記車速条件は、前記傾斜判定部における傾斜判定が可能な下限車速に基づいて設定されること
を特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記制動力設定部は、前記傾斜路用制動力による制動の解除後であって、前記車速条件を充足する前に車両が停止した場合において、前記傾斜判定部による平地判定が成立した場合は前記平地用制動力を設定すること
を特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。 - パーキングブレーキを駆動する電動アクチュエータを制御する電動パーキングブレーキ制御装置において、
路面の傾斜を判定する傾斜判定部と、
前記傾斜判定部が判定した路面の傾斜に応じて、前記パーキングブレーキの制動力を、平地用制動力よりも大きい傾斜路用制動力に設定するとともに、前記傾斜路用制動力による制動の解除後であって、エンジンが停止している場合に、前記パーキングブレーキを平地用制動力よりも大きい傾斜路用制動力において作動させる制動力設定部と
を備えることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。
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