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JP2009208713A - 電動パーキングブレーキ制御装置 - Google Patents

電動パーキングブレーキ制御装置 Download PDF

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JP2009208713A
JP2009208713A JP2008056027A JP2008056027A JP2009208713A JP 2009208713 A JP2009208713 A JP 2009208713A JP 2008056027 A JP2008056027 A JP 2008056027A JP 2008056027 A JP2008056027 A JP 2008056027A JP 2009208713 A JP2009208713 A JP 2009208713A
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Yutaka Noguchi
野口  裕
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】ブレーキ装置及び駆動系に過負荷をかけることなく短時間で摩擦部材と被制動部材との摺り合せを行うことができる電動パーキングブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】摩擦部材を被制動部材に押し付けることで制動力を発生させ、押付け力を電動アクチュエータ20により可変制御可能な電動パーキングブレーキ制御装置40を、摩擦部材と被制動部材とを車両が走行可能な程度の押付け力で押し付ける摺り合せモードが選択可能な入力部43と、摩擦部材と被制動部材との間で発生している制動力に相関するパラメータを検出する制動力検出部41と、前記摺り合せモードの選択時に、前記パラメータの増大に応じて押付け力を減少させる制御部41とを備える構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車両に備えられる電動パーキングブレーキを制御する制御装置に関するものである。
電動パーキングブレーキは、車両の駐停車時等に制動を行うパーキングブレーキを、例えばモータ等の電動アクチュエータを用いて駆動するものである。
このような電動パーキングブレーキは、運転者が電気的なスイッチによって操作できるから、一般的な手動レバーや足踏みペダルによる操作に対して労力が低減され、また、車両の状態に応じて自動的に作動させることによって、ATクリープや坂道の傾斜等に起因する運転者の意図しない車両の動き出しを防止することができ、安全性の向上にも寄与するものである。
また、従来よりパーキングブレーキは、例えば新車組立時のようにブレーキシューやパッド等の摩擦部材や、ドラムやロータ等の被制動部材が新品である場合には、これらが相互に摺動する摩擦部を摺り合わせて摩擦係数を向上させ、制動力を確保するため、ならし運転による摺り合せが行われる。
この摺り合せは、手動式のパーキングブレーキにおいては、例えば作業者が通常の駐車時よりも小さい制動力となるように手加減しながらレバーを引いた状態で、車両を実際に走行させて行っていた。
従来、電動パーキングブレーキ装置におけるならし運転に関する技術として、例えば特許文献1には、所定の走行距離にわたって車両が駐車状態を維持するのに必要なブレーキ力よりも小さなブレーキ力を発生するように制御する、当たりつけモードを有する電動駐車ブレーキ装置が記載されている。
また、例えば特許文献2には、車両の走行距離、運転に関する所定の操作の回数、車両使用開始からの経過時間が所定値に達するまでの間、微小な引き摺りを発生させて摩擦部材と被制動部材との摺り合せをするようにしたパーキングブレーキ装置が記載されている。
特開2006−82688号公報 特開2006−137257号公報
通常、摩擦部材と被制動部材との間の摩擦係数は、摺り合せの進行とともに増大する。このため、摩擦部材を一定の押し付け力で被制動部材に押し付けて摺り合せを行うと、摺り合せが進むにつれてパーキングブレーキの制動力が増大し、ブレーキ装置や、エンジン、動力伝達機構等の駆動系にかかる負荷が大きくなる。これに対し、摺り合せが進行しても制動力が過度に大きくならないように、初期の制動力を低く設定した場合には、摩擦係数が増大するまでに時間がかかり、摺り合せに要する時間が長くなってしまう。
本発明の課題は、ブレーキ装置及び駆動系に過負荷をかけることなく短時間で摩擦部材と被制動部材との摺り合せを行うことができる電動パーキングブレーキ制御装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1の発明は、摩擦部材を被制動部材に押し付けることで制動力を発生させ、押付け力を電動アクチュエータにより可変制御可能な電動パーキングブレーキ制御装置において、摩擦部材と被制動部材とを車両が走行可能な程度の押付け力で押し付ける摺り合せモードが選択可能な入力部と、摩擦部材と被制動部材との間で発生している制動力に相関するパラメータを検出する制動力検出部と、前記摺り合せモードの選択時に、前記パラメータの増大に応じて前記押付け力を減少させる制御部とを備えることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項2の発明は、前記制御部は、前記摺り合せモードの選択時に、前記制動力に相関するパラメータが第1の所定値を上回った際に前記押付け力の減少を開始するとともに、前記制動力に相関するパラメータが前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値を上回った際に前記押付け力を解除して前記摺り合せモードを終了することを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項3の発明は、前記制動力に相関するパラメータは、車両の走行用動力源による推定駆動トルクであることを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項4の発明は、前記制動力に相関するパラメータは、摺り合せモード選択後における前記摩擦部材と前記被制動部材との摺動時間であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置である。
請求項5の発明は、前記制動力に相関するパラメータは、摺り合せモード選択後における前記摩擦部材と前記被制動部材との累積摺動量に相関するパラメータであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置である。
ここで、累積摺動量(摺動距離)に相関するパラメータは、典型的には車両の摺り合せ走行時における走行距離(トリップメータ読み)、被制動部材の累積回転数、被制動部材が取り付けられた車輪と当接するローラの累積回転数等である。
請求項6の発明は、前記制動力に相関するパラメータは、車両の走行用動力源の出力をほぼ一定に維持した際の前記被制動部材の回転速度低下量であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置である。
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)摩擦部材と被制動部材との間で発生している制動力に相関するパラメータの増大に応じて押付け力を減少させることによって、制動力が過大となってブレーキ装置や車両の駆動系に過負荷をかけることがない。また、初期制動力を大きく設定できることから、摺り合せ効果を向上することができ、摺り合せに要する時間を短縮できる。
(2)制動力に相関するパラメータが第1の所定値を上回った際に押付け力の減少を開始し、第2の所定値を上回った際に押付け力を解除して摺り合せモードを終了することによって、摺り合せを適切な時期に終了することができ、摺り合せ時間が長くなったり摺り合せが不完全となることがない。
(3)車両の走行用動力源による推定駆動トルクを制動力に相関するパラメータとして用いることによって、制動力自体及び摩擦係数を直接測定できない場合であってもこれらを精度よく推定することができる。
(4)摩擦部材と被制動部材との摺動時間を制動力に相関するパラメータとして用いることによって、摺動時間と制動力との相関が予めわかっている場合には、センサ類等を用ることなく摺り合せモードにおける押付け力を良好に制御することができる。
(5)摩擦部材と被制動部材との累積摺動量に相関するパラメータを制動力に相関するパラメータとして用いることによって、例えば摺り合せ走行時の走行距離等に基づいて容易に検出することができる。
(6)車両の走行用動力源の出力をほぼ一定に維持した際の被制動部材の回転速度低下量を制動力に相関するパラメータとして用いることによって、例えば車両の車速センサ出力等に基づいて容易に検出することができる。
本発明は、ブレーキ装置及び駆動系に過負荷をかけることなく短時間で摩擦部材と被制動部材との摺り合せを行うことができる電動パーキングブレーキ制御装置を提供する課題を、例えば車速一定の場合の駆動トルク、摺り合せ走行時間又は距離、駆動力ほぼ一定の場合の車輪速低下量といった制動力に相関するパラメータの増加に応じて、摩擦部材の被制動部材への押付け力を低減し、制動力を低下させることによって解決した。
以下、本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置の実施例1について説明する。
図1は、実施例1の制御装置を含む電動パーキングブレーキ装置の構成を示す概略図である。図2は、電動パーキングブレーキ装置の回路構成を示すブロック図である。
電動パーキングブレーキ装置は、パーキングブレーキ10、アクチュエータユニット20、バッテリ30、コントローラ40を備え、さらに車両側ユニット50が接続されている。
パーキングブレーキ10は、車両の車輪を制動することによって、例えば駐停車時等における車両の移動を防止する制動装置である。パーキングブレーキ10は、車両の左右後輪のホイールハブ部にそれぞれ設けられている。パーキングブレーキ10は、フットブレーキ(サービスブレーキ)として用いられるディスクブレーキのロータの内径側に配置されたドラムインハットタイプのブレーキドラム(被制動部材)と、制動時にこのブレーキドラムの内径側に押付けられ、摩擦によって制動力を発生する図示しないブレーキシュー(摩擦部材)とを備えている。
アクチュエータユニット20は、パーキングブレーキ10のブレーキシューを駆動し、パーキングブレーキ10が制動力を発生する制動状態と、実質的に制動力を発生しない解除状態との間の移行を行うものである。アクチュエータユニット20は、パーキングブレーキケーブル21を備え、車両の例えばフロアパネル部に固定されている。
アクチュエータユニット20は、例えば直流(DC)モータの回転力を減速ギア列によって減速してリードスクリュを回転させ、このリードスクリュにネジ結合されたイコライザによってパーキングブレーキケーブル21を牽引し又は弛緩させるものである。
パーキングブレーキケーブル21は、左右のパーキングブレーキ10に対応してそれぞれ設けられ、図示しないリアサスペンションのストロークに応じて変形するよう可撓性を備えている。パーキングブレーキケーブル21は、牽引されることによってパーキングブレーキ10を制動状態とし、また弛緩されることによってパーキングブレーキ10を解除状態とするものである。
ここで、アクチュエータユニット20は、パーキングブレーキケーブル21に負荷される牽引力(張力)を調整することによって、制動状態におけるブレーキドラムへのブレーキシューの押付け力を変化させ、パーキングブレーキ10の制動力を調整する機能を備えている。この牽引力の調整は、アクチュエータユニット20がパーキングブレーキケーブル21を牽引するストロークを変化させることによって行われ、このためアクチュエータユニット20は、このストロークを検出する図示しないストロークセンサが設けられている。
バッテリ30は、車両の電装系の主電源として用いられる二次電池であって、例えば直流12Vの端子電圧を発生するものである。バッテリ30は、プラス端子31、マイナス端子32を備えている。
プラス端子31は、コントローラ40及び車両側ユニット50に配線(ハーネス)を介して接続されている。
また、マイナス端子32は、車両の車体(ボディ)に対して接地されている。
コントローラ40は、ECU41、リレー42、操作スイッチ43を備える電動パーキングブレーキ制御装置である。
ECU41は、操作スイッチ43、車両側ユニット50等からの入力に応じてパーキングブレーキ10の制動要否を判断するとともに、後述する自動摺り合せモード制御を行うCPUを備えている。
また、ECU41は、車両側ユニット50から提供される情報に基づいて、パーキングブレーキ10のブレーキドラムとブレーキシューとの間で発生している制動力に相関するパラメータである制動トルクを推定する制動力検出部、及び、自動摺り合せモードの選択時に、このパラメータの増大に応じて制動力を減少させる制御部としても機能する。
リレー42は、ECU41が出力する制御信号に応じて、アクチュエータユニット20に対してその駆動電力を供給するものであって、パーキングブレーキ10の制動状態から解除状態への移行、及び、解除状態から制動状態への移行を行うため、駆動電力の極性を反転させる機能を備えるとともに、アクチュエータユニット20の駆動時以外は、アクチュエータユニット20との導通を遮断した中立状態となっている。
操作スイッチ43は、ユーザがパーキングブレーキ10のオートモードとマニュアルモードとの選択操作、及び、マニュアルモードの場合には制動状態、解除状態のマニュアルによる選択操作を入力する入力部であって、例えば車両の図示しないインストルメントパネルに装着された押しボタンスイッチを備えている。操作スイッチ43は、その入力をECU41に伝達し、ECU41はこれに応じてリレー42を制御し、アクチュエータユニット20に駆動電力を供給してパーキングブレーキ10を駆動する。
また、操作スイッチ43は、通常の操作パターンとは異なった操作パターンの入力によって、後述する自動摺り合せモードの選択操作を入力する機能を備えている。この点については後に詳しく説明する。
車両側ユニット50は、例えば、車両のエンジンを制御するエンジン制御ユニット(ECU)、トランスミッション(変速機)を制御するトランスミッション制御ユニット(TCU)、ABS制御を及びヨーコントロール制御を含む車両操安性制御を行う車両操安性制御ユニット、車両のその他の電装品を統括的に制御する車両統合ユニットを備え、コントローラ40と車載LANの一種であるCAN通信システムを介して通信するものである。
車両側ユニット50は、ホイールハブに備えられ、磁気センサ等によって車輪の回転速度を検出する車速センサ51が接続されている。
車両側ユニット50は、コントローラ40に対して、例えば、エンジン回転数、スロットル開度(エンジン吸入空気量)、燃料噴射量、トランスミッションのシフトポジション、フットブレーキの操作状況、車輪の回転速度等の情報を逐次提供する。コントローラ40は、オートモードにおいては、これらの入力に基づいて、車両が走行状態から停車状態に移行したと判断した場合には、パーキングブレーキ10の制動要と判断し、アクチュエータユニット20に駆動電力を供給してパーキングブレーキ10を解除状態から制動状態に移行させる。一方、コントローラ40は、車両が停車状態から走行状態に移行すると判断した場合には、パーキングブレーキ10を制動状態から解除状態に移行させる。
ここで、このときにパーキングブレーキ10が発生する制動力は、そのときの車両のATクリープ力、路面の傾斜度等を考慮して車両の動き出しを防止するように設定され、アクチュエータユニット20は、制動力及び運転時におけるブレーキドラムとブレーキシューとの摩擦係数を考慮して予め設定されたストロークだけパーキングブレーキケーブル21を牽引する。
次に、実施例1の電動パーキングブレーキ装置のならし運転時における自動摺り合せモードの制御について説明する。このならし運転は、パーキングブレーキ10が制動力を発生するブレーキシューとドラムとの摩擦部において、摩擦材の少なくとも一方に新品が組み込まれた場合に行うものであって、例えば新車組立後や、摩擦材の交換を伴う整備後に行われるものである。
本発明は、制動力に相関するパラメータに応じて、摺り合せ中のパーキングブレーキケーブル21の牽引力を、制動トルクがほぼ一定となるように低下させている。この実施例1では、制動力に相関するパラメータとして、推定制動トルク及び摺り合せ走行時間(ブレーキドラムとブレーキシューとの摺動時間)を用いる。
図3は、自動摺り合せモードの制御を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:摺り合せモード選択有無判断>
コントローラ40のECU41は、操作スイッチ43によって自動摺り合せモードが選択されたか否かを判断し、自動摺り合せモードが選択されている場合はステップS02に進み、選択されていない場合はステップS01を繰り返す。
<ステップS02:初期制動力発生・走行開始>
ECU41は、アクチュエータユニット20を駆動してパーキングブレーキケーブル21を牽引させ、パーキングブレーキ10のブレーキシューをブレーキドラムに押し付けて初期制動力を発生させる。このときの初期制動力は、車両の駐車時や動的制動時における制動力よりも小さく、車両の走行を妨げない程度に設定される。
そして、作業者が車両をフリーローラ上等で運転し、パーキングブレーキ10を引き摺った状態で車両の走行(制動輪の回転)を開始する。このとき、作業者は、車両の速度(スピードメータ読み)が所定の目標速度を維持するようにスロットル操作を行う。
その後、ステップS03に進む。
<ステップS03:制動トルク判断>
ECU41は、パーキングブレーキ10の制動トルク(ブレーキシューとの摩擦力に打ち勝ってブレーキドラムを回転させるのに必要なトルク)を推定するとともに、推定された制動トルクが予め設定された規定トルクよりも大きいか否かを判断する。制動トルクが規定トルクよりも大きい場合にはステップS04に進み、その他の場合にはステップS03を繰り返す。
ここで、制動トルクは、例えば、車両側ユニット50のエンジン制御ユニットから提供されるスロットル開度、燃料噴射量に関する情報に基づいて求められるエンジンの推定出力トルクに、トルクコンバータによるトルク増幅比、トランスミッションにおける変速比、最終減速部における最終減速比、駆動系の効率等を乗じて求められる推定駆動トルクと釣り合っていると考えられる。
規定トルクは、初期制動トルクよりもわずかに大きく設定されており、摺り合せ開始直後には規定トルクのほうが制動トルクよりも大きい。摺り合せの進行とともにブレーキシューとブレーキドラムとの摩擦係数が増大すると、ある時点で制動トルクが規定トルクを上回るようになっている。
<ステップS04:制動力減少>
ECU41は、アクチュエータユニット20を駆動してパーキングブレーキケーブル21の牽引力を緩め、パーキングブレーキ10の制動力を初期制動力とほぼ同じ程度まで減少させる。
ここで、制動力の減少量及び上述した規定トルクは、アクチュエータユニット20による制動力調節の分解能を考慮して設定される。すなわち、制動力の減少量は、このアクチュエータユニット20の分解能よりも十分に大きく設定される。このとき、規定トルクは制動力減少時の制動トルク低下分だけ初期制動トルクよりも大きい値に設定することによって、制動力の減少時に制動トルクを初期制動トルクまで戻すことができる。
その後、ステップS05に進む。
<ステップS05:摩擦係数判断>
ECU41は、上述した制動トルク及びパーキングブレーキケーブル21の牽引力に基づいて推定されるブレーキドラムとブレーキシューとの摩擦係数が、予め設定された規定摩擦係数よりも大きい場合には、自動摺り合せモードを完了可能と判断して一連の処理を終了し、パーキングブレーキ10を解除する。一方、その他の場合には、ステップS06に進む。
<ステップS06:摺り合せ時間判断>
ECU41は、車両の摺り合せ走行が行われた時間が予め設定された規定時間を超過しているか否か判断し、超過している場合は処理を終了し、パーキングブレーキ10を解除する。一方、規定時間を未だ超過していない場合はステップS03に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
以下、上述した実施例1の効果を、以下説明する本発明の比較例と対比して説明する。
なお、この比較例及び後述する各実施例においては、上述した実施例1と実質的に同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
比較例の電動パーキングブレーキ装置は、摺り合わせモードにおけるパーキングブレーキケーブル21の牽引力をほぼ一定に維持するものである。
図4及び図5は、それぞれ実施例1及び比較例におけるパーキングブレーキケーブル21の牽引力及び制動トルクの履歴を示すグラフである。
図5に示す比較例の場合には、摺り合せの進行に伴いブレーキドラムとブレーキシューとの摩擦係数が増大すると、制動トルクも増大する。ここで、摺り合せ末期における制動トルクが過大になると、ブレーキ装置やエンジン、トランスミッション等の駆動系の負担も大きくなる。そこで、摺り合せ末期における制動トルクが駆動系等に過負荷を生じさせないようにパーキングブレーキケーブル21の牽引力を設定すると、初期制動力が小さくなり、摺り合せ作業に要する時間が長くなる。
これに対し、図4の示す実施例1の場合には、制動トルクの増大に応じてパーキングブレーキケーブル21の牽引力を小さくして制動力を初期制動力近傍まで戻す制御を行っていることから、制動トルクが過度に大きくなって車両の駆動系等に過負荷をかけることがない。また、初期制動トルクを大きくすることができるから、特に摺り合せ初期における摺り合せ効果を高くすることができ、摺り合せ作業に必要な時間を短縮することができる。
また、ブレーキドラムとブレーキシューとの摩擦係数を推定し、この推定値に基づいて摺り合せモードの終了を判断しているため、十分な摺り合せがなされているにも関わらず摺り合せが続行されて作業時間が長くなったり、ブレーキシューの磨耗が進んでしまうことがない。また、摺り合せが不足であるにもかかわらず摺り合せモードが終了されることがなく、確実な摺り合せを実施することができる。
さらに、推定摩擦係数に加えて、摺り合せ走行時間に基づいて摺り合せモードの終了を判断することによって、例えば摩擦係数の検出エラー等があった場合でも摺り合せモードを適切に終了することができる。
次に、本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置の実施例2について説明する。実施例2は、本発明にいう制動力に相関するパラメータとして、車両の走行距離(ブレーキドラムのブレーキシューに対する摺動量に相関するパラメータ)を用いる。なお、ここでいう走行距離とは、車両の実際の移動距離に限らず、例えばフリーローラ上で車両を運転した場合の模擬的な走行距離も含むものとする。
実施例2においては、コントローラ40のECU41は、車両側ユニット50のエンジン制御ユニット等から提供される車両の走行距離情報に基づいて、摺り合せ走行を行った距離を累積するトリップメータ機能を備えている。
図6は、実施例2の電動パーキングブレーキ制御装置における自動摺り合せモードの制御を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS11:摺り合せモード選択有無判断>
コントローラ40のECU41は、操作スイッチ43によって自動摺り合せモードが選択されたか否かを判断し、自動摺り合せモードが選択されている場合はステップS12に進み、選択されていない場合はステップS11を繰り返す。
<ステップS12:走行距離リセット>
ECU41は、そのトリップメータ機能における走行距離をリセットし、ステップS13に進む。
<ステップS13:初期制動力発生・走行開始>
ECU41は、アクチュエータユニット20を駆動してパーキングブレーキケーブル21を牽引させ、パーキングブレーキ10のブレーキシューをブレーキドラムに押し付けて初期制動力を発生させる。
そして、作業者が車両をローラ上あるいは実走行路上で運転し、パーキングブレーキ10を引き摺った状態で車両の走行を開始する。このとき、作業者は、車両の速度(スピードメータ読み)が所定の目標速度を維持するようにスロットル操作を行う。
その後、ステップS14に進む。
<ステップS14:走行距離更新>
ECU41は、トリップメータの走行距離情報を、車速センサ51の出力に基づいた最新の走行距離情報に更新し、ステップS15に進む。
<ステップS15:走行距離判断1>
ECU41は、トリップメータが保持する現在の走行距離が、規定距離1よりも大きいか否かを判断し、走行距離が規定距離1よりも大きい場合にはステップS16に進み、その他の場合にはステップS14に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
<ステップS16:制動力減少、規定距離1増加>
ECU41は、アクチュエータユニット20を駆動してパーキングブレーキケーブル21の牽引力を緩め、ブレーキドラムに対するブレーキシューの押付け力を小さくして、パーキングブレーキ10の制動力を初期制動力とほぼ同じ程度まで減少させる。
また、ECU41は、上述したステップS15での判定に用いられる規定距離1を、従前の規定距離1に所定値αを加算した値で更新し、規定距離1を増大させる。
その後、ステップS17に進む。
<ステップS17:走行距離判断2>
ECU41は、トリップメータが保持する現在の走行距離が、予め設定された規定距離2よりも大きいか否かを判断し、走行距離が規定距離2よりも大きい場合には自動摺り合せモードを完了可能と判断して一連の処理を終了し、パーキングブレーキ10を解除する。一方、その他の場合には、ステップS14に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
以上説明した実施例2においても、摺り合せ走行における走行距離に応じたブレーキドラムとブレーキシューとの摩擦係数、制動トルクの変動について実験的にデータが得られている場合には、上述した実施例1の効果と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置の実施例3について説明する。実施例3では、摺り合せ走行中の車両の速度(車輪速=ブレーキドラムの回転速度)を制動力に関するパラメータとして用いる。
図7は、実施例3の電動パーキングブレーキ制御装置における自動摺り合せモードの制御を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS21:摺り合せモード選択有無判断>
コントローラ40のECU41は、操作スイッチ43によって自動摺り合せモードが選択されたか否かを判断し、自動摺り合せモードが選択されている場合はステップS22に進み、選択されていない場合はステップS21を繰り返す。
<ステップS22:制動力発生>
ECU41は、アクチュエータユニット20を駆動してパーキングブレーキケーブル21を牽引させ、パーキングブレーキ10のブレーキシューをブレーキドラムに押し付けて初期制動力を発生させる。
その後、ステップS23に進む。
<ステップS23:出力一定走行開始>
作業者が車両をローラ上あるいは実走行路上で運転し、パーキングブレーキ10を引き摺った状態で車両の走行を開始する。このとき、作業者は、先ず車両の走行速度(スピードメータ読み)が所定の目標速度となるまで加速し、その後、車両のエンジン出力を現時点での出力に維持するように、スロットル開度をほぼ一定に保持する。
その後、ステップS24に進む。
<ステップS24:車両速度判断>
ECU41は、摺り合せの進行による制動トルクの増大によって、車速センサ51の出力に基づいて検出される車両速度(車輪速)が、予め設定された設定下限速度を下回ったか否かを判断し、走行速度が設定下限速度を下回った場合にはステップS25に進み、その他の場合にはステップS25をスキップしてステップS26に進む。
<ステップS25:制動力減少>
ECU41は、アクチュエータユニット20を駆動してパーキングブレーキケーブル21の牽引力を緩め、パーキングブレーキ10の制動力を初期制動力とほぼ同じ程度まで減少させる。これによって、車両速度は、摺り合せ走行開始直後の速度付近まで向上する。
その後、ステップS26に進む。
<ステップS26:終了条件充足判断>
ECU41は、予め設定された摺り合せモードの終了条件が充足したか否かを判断し、充足した場合は一連の処理を終了し、パーキングブレーキ10を解除する。一方、その他の場合には、ステップS24に戻り、それ以降の処理を繰り返す。
ここで、終了条件としては、例えば、実施例1、2において説明したような、推定摩擦係数、摺り合せ走行時間、摺り合せ走行距離等を、単独又は組み合わせて用いることができる。
以上説明した実施例3においても、出力一定での摺り合せ走行における速度低下に応じたブレーキドラムとブレーキシューとの摩擦係数、制動トルクの変動について実験的にデータが得られている場合には、上述した実施例1の効果と同様の効果を得ることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)実施例の電動パーキングブレーキ制御装置は、その構成要素の全てを車両に搭載したものであったが、本発明はこれに限らず、例えば、その一部の機能を車両に対して着脱可能でありかつ車両側の電動パーキングブレーキ装置と通信が可能な端末機器等に備えるようにしてもよい。例えば、摺り合せモードの選択操作をする入力部や、摺り合せモードにおけるアクチュエータの駆動制御を行う制御部の機能を、携帯式等の端末機器に設けてもよい。
(2)本発明の制御装置が適用される電動パーキングブレーキの構成は、各実施例のものに限定されず、他の構成を有するものであってもよい。
例えば、実施例のパーキングブレーキは、フットブレーキ用のブレーキディスクの内径側に配置されたインハットタイプのドラムを用いるものであるが、パーキングブレーキの形式は他の形式であってもよく、例えば、フットブレーキ用のディスクブレーキ及びドラムブレーキとその摩擦材を共用し、パーキングブレーキと一体化したものであってもよい。
また、実施例のパーキングブレーキは、ボディ側に固定された電動アクチュエータを用い、パーキングブレーキケーブルを介してパーキングブレーキを駆動するものであったが、本発明はこれに限らず、例えば電動アクチュエータをホイールハブ側に設けてパーキングブレーキと一体化したいわゆるビルトイン型の電動パーキングブレーキにも適用することができる。
(3)各実施例では、摺り合せモードにおける走行は、例えばフリーローラ上で行っているが、安全に実走行が行える場所が確保されている場合には、車両を路上で走行させて摺り合せを行うようにしてもよい。
(4)各実施例では、摺り合せ走行では作業者がスロットル操作を行っているが、本発明はこれに限らず、例えば車速センサの出力に基づいて電子制御スロットルを自動制御してもよい。
(5)各実施例では、摩擦部材の被制動部材への押付け力をステップ状に変化させているが、これに限らず、連続的に変化させるようにしてもよい。
本発明を適用した制御装置の実施例1を含む電動パーキングブレーキ装置の構成を示す概略図である。 図1の電動パーキングブレーキ装置の回路構成を示すブロック図である。 図1の電動パーキングブレーキ装置の自動摺り合せモードにおける制御を示すフローチャートである。 図1の電動パーキングブレーキ装置の自動摺り合せモードにおけるケーブル牽引力と制動力の履歴を示すグラフである。 本発明の比較例である電動パーキングブレーキ装置の自動摺り合せモードにおけるケーブル牽引力と制動力の履歴を示すグラフである。 本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置の実施例2の自動摺り合せモードにおける制御を示すフローチャートである。 本発明を適用した電動パーキングブレーキ制御装置の実施例3の自動摺り合せモードにおける制御を示すフローチャートである。
符号の説明
10 パーキングブレーキ 20 アクチュエータユニット
21 パーキングブレーキケーブル
30 バッテリ 40 コントローラ
41 ECU 42 リレー
43 操作スイッチ 50 車両側ユニット
51 車速センサ

Claims (6)

  1. 摩擦部材を被制動部材に押し付けることで制動力を発生させ、押付け力を電動アクチュエータにより可変制御可能な電動パーキングブレーキ制御装置において、
    摩擦部材と被制動部材とを車両が走行可能な程度の押付け力で押し付ける摺り合せモードが選択可能な入力部と、
    摩擦部材と被制動部材との間で発生している制動力に相関するパラメータを検出する制動力検出部と、
    前記摺り合せモードの選択時に、前記パラメータの増大に応じて前記押付け力を減少させる制御部と
    を備えることを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。
  2. 前記制御部は、前記摺り合せモードの選択時に、前記制動力に相関するパラメータが第1の所定値を上回った際に前記押付け力の減少を開始するとともに、前記制動力に相関するパラメータが前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値を上回った際に前記押付け力を解除して前記摺り合せモードを終了すること
    を特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御装置。
  3. 前記制動力に相関するパラメータは、車両の走行用動力源による推定駆動トルクであることを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ制御装置。
  4. 前記制動力に相関するパラメータは、摺り合せモード選択後における前記摩擦部材と前記被制動部材との摺動時間であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置。
  5. 前記制動力に相関するパラメータは、摺り合せモード選択後における前記摩擦部材と前記被制動部材との累積摺動量に相関するパラメータであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置。
  6. 前記制動力に相関するパラメータは、車両の走行用動力源の出力をほぼ一定に維持した際の前記被制動部材の回転速度低下量であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置。
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KR101252770B1 (ko) 2011-06-27 2013-04-09 주식회사 현대케피코 차대 동력계 제어방법
CN109969322A (zh) * 2017-10-24 2019-07-05 株式会社岛野 刹车系统
CN113825685A (zh) * 2019-05-16 2021-12-21 沃尔沃卡车集团 具有复合管理功能的车辆制动系统

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