JP2008063442A - 水性塗料組成物、架橋促進剤および硬化塗膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水性ウレタン系樹脂や水性アクリル系樹脂などの各種水性樹脂をポリカルボジイミドで架橋して硬化塗膜を製造する際に、従来よりも短い処理時間で十分な強度を有する硬化塗膜を与える水性塗料組成物を提供すること。
【解決手段】架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含む水性塗料組成物。
【選択図】なし
【解決手段】架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含む水性塗料組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、水性塗料組成物、架橋促進剤および硬化塗膜の製造方法に関し、さらに詳述すると、架橋型水性樹脂、カルボジイミド化合物、および所定の架橋促進剤を含有する水性塗料組成物、およびこの組成物を用いた硬化塗膜の製造方法に関する。
水溶性または水分散性樹脂である水性樹脂は、塗料、インキ、繊維処理剤、接着剤、コーティング剤など、多くの分野で使用されている。
この水溶性または水分散性の水性塗料は、水を媒体として用い、有機溶媒を使用していないことから、環境汚染や火災などの心配がないうえに、刷毛、ローラ、スプレーガンなどの塗装機器の掃除や、塗料汚染の後始末なども水で簡単にできるので、近年、特にその需要が伸びてきている。
水性樹脂には、樹脂自体に水溶性または水分散性を付与するために、一般にカルボン酸基が導入されている。このため、塗膜中に残存するカルボン酸基が加水分解を誘引し、塗膜の強度、耐久性、美観を損ねることがある。
この水溶性または水分散性の水性塗料は、水を媒体として用い、有機溶媒を使用していないことから、環境汚染や火災などの心配がないうえに、刷毛、ローラ、スプレーガンなどの塗装機器の掃除や、塗料汚染の後始末なども水で簡単にできるので、近年、特にその需要が伸びてきている。
水性樹脂には、樹脂自体に水溶性または水分散性を付与するために、一般にカルボン酸基が導入されている。このため、塗膜中に残存するカルボン酸基が加水分解を誘引し、塗膜の強度、耐久性、美観を損ねることがある。
このような水性樹脂の耐水性を始めとする諸物性を向上させる手段として、上述したカルボン酸基などと反応して架橋構造を形成し得る水性メラミン樹脂、アジリジン化合物、水分散型イソシアネート化合物などの外部架橋剤を併用する方法が、一般に採用されている。
しかし、これらの架橋剤は、毒性、反応性などの問題から使用しにくい場合がある。
すなわち、上記架橋剤による架橋反応は、カルボン酸基をつぶしながら進行するものであるため、カルボン酸基の減少により、塗膜の強度、耐水性、耐久性などを向上させることはできるが、未反応の架橋剤が残存すると塗膜に毒性が生じる場合がある。一方、塗膜中に未反応のカルボン酸基が残存すれば、塗膜の耐水性や耐久性が低下する。このように、架橋剤および水性樹脂中のカルボン酸基が100%反応しない場合、様々な問題が生じることになる。
しかし、これらの架橋剤は、毒性、反応性などの問題から使用しにくい場合がある。
すなわち、上記架橋剤による架橋反応は、カルボン酸基をつぶしながら進行するものであるため、カルボン酸基の減少により、塗膜の強度、耐水性、耐久性などを向上させることはできるが、未反応の架橋剤が残存すると塗膜に毒性が生じる場合がある。一方、塗膜中に未反応のカルボン酸基が残存すれば、塗膜の耐水性や耐久性が低下する。このように、架橋剤および水性樹脂中のカルボン酸基が100%反応しない場合、様々な問題が生じることになる。
一方、ポリウレタン中に架橋剤を組み込んだり、ポリウレタン自体に架橋構造を導入したりする方法も検討されているが、これらの方法では、ポリウレタンの製造プロセスが煩雑になるのを免れない。
熱硬化型水性ウレタン樹脂の代表的なものは、水分散性に劣る疎水性の架橋剤を、水性ウレタン樹脂を分散剤として使用することで共分散させたものである。具体的には、疎水性の架橋剤にブロック化イソシアネート化合物やエポキシ樹脂を用い、これを自己乳化性のイソシアネート末端プレポリマーに添加混合して、共に乳化分散させる方法が数多く提案されている。
しかし、これらの方法においても、上述した毒性などの問題をやはり有している。
熱硬化型水性ウレタン樹脂の代表的なものは、水分散性に劣る疎水性の架橋剤を、水性ウレタン樹脂を分散剤として使用することで共分散させたものである。具体的には、疎水性の架橋剤にブロック化イソシアネート化合物やエポキシ樹脂を用い、これを自己乳化性のイソシアネート末端プレポリマーに添加混合して、共に乳化分散させる方法が数多く提案されている。
しかし、これらの方法においても、上述した毒性などの問題をやはり有している。
近年、常温硬化性の官能基として、アルコキシシリル基をポリウレタン骨格中に組み込む方法が各種提案されている。いずれもアルコキシシリル基が水中で加水分解することにより、水中では安定でありながら、一旦水分が蒸発するとシロキサン結合を形成して架橋する常温硬化システムとして機能させるものである。
また、水分散体の特性を活かして、粒子内で予めゲル構造(三次元架橋構造)をとらせることにより、耐久性を向上させることが試みられており、特に塗料分野などで実用化されている。
また、水分散体の特性を活かして、粒子内で予めゲル構造(三次元架橋構造)をとらせることにより、耐久性を向上させることが試みられており、特に塗料分野などで実用化されている。
さらに、架橋構造の導入方法として、プレポリマーを予め分岐させる方法、鎖伸長剤に多官能のポリアミンを使用する方法、およびプレポリマーをポリイソシアネートと共に分散後、鎖伸長することで三次元構造を導入する方法が知られている。
ウレタンポリマー骨格中に二重結合を導入し、これをラジカル重合や空気酸化で硬化させる方法として、無水マレイン酸による不飽和ポリエステルポリオールを使用する方法、アルキッドポリオールを使用する方法がある。
また、外部架橋剤として使用しているエポキシ樹脂やアジリジン架橋剤を、予めポリウレタン骨格中のカルボキシル基と水中で反応させて架橋構造を導入させる方法もある。
しかし、これらの方法は、製造プロセスが煩雑であったり、架橋物の物性が不十分であったり、架橋物が高価なものになったりし、必ずしも工業的に利用し易いものであるとは言えない。
ウレタンポリマー骨格中に二重結合を導入し、これをラジカル重合や空気酸化で硬化させる方法として、無水マレイン酸による不飽和ポリエステルポリオールを使用する方法、アルキッドポリオールを使用する方法がある。
また、外部架橋剤として使用しているエポキシ樹脂やアジリジン架橋剤を、予めポリウレタン骨格中のカルボキシル基と水中で反応させて架橋構造を導入させる方法もある。
しかし、これらの方法は、製造プロセスが煩雑であったり、架橋物の物性が不十分であったり、架橋物が高価なものになったりし、必ずしも工業的に利用し易いものであるとは言えない。
ところで、カルボジイミド化合物が、水性樹脂の架橋剤として使用し得ることが知られている。例えば、特許文献1には、反応性および保存性が良好であって、水性樹脂用架橋剤として取り扱いを容易にした水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドが開示されている。
この水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドは、毒性がなく、ポットライフも十分であるといった特徴を有しているが、以下に示すような問題があり、その改善が望まれていた。
(1)水性樹脂での塗膜形成工程では潜熱の高い水を揮発させる必要があるため、溶剤型樹脂よりも処理時間を長くしなければならず、このため生産性に影響を及ぼすことがある。
(2)溶剤型と同じような短い処理時間で水を揮発させる場合、カルボジイミドの架橋作用が十分に発揮されないことがある。
この水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドは、毒性がなく、ポットライフも十分であるといった特徴を有しているが、以下に示すような問題があり、その改善が望まれていた。
(1)水性樹脂での塗膜形成工程では潜熱の高い水を揮発させる必要があるため、溶剤型樹脂よりも処理時間を長くしなければならず、このため生産性に影響を及ぼすことがある。
(2)溶剤型と同じような短い処理時間で水を揮発させる場合、カルボジイミドの架橋作用が十分に発揮されないことがある。
すなわち、十分な処理時間を持たせればカルボジイミドを添加した水性樹脂は実用に値する十分な強度の塗膜を形成できるが、処理時間が不足すればその架橋効果は不十分となってしまい、高強度の塗膜を効率よく生産することは困難である。
したがって、従来よりも短い処理時間で十分な強度を有する硬化塗膜を得ることのできる、水性樹脂の水性ポリカルボジイミドによる硬化システムの開発が望まれていた。
これに関して本出願人は、水性樹脂のポリカルボジイミドによる架橋の際に、架橋促進剤として、所定の金属炭酸塩類を使用する方法(特許文献2)や、水溶性トリアジン化合物を使用する方法(特許文献3)を既に開発しているが、さらなる改良が求められている。
したがって、従来よりも短い処理時間で十分な強度を有する硬化塗膜を得ることのできる、水性樹脂の水性ポリカルボジイミドによる硬化システムの開発が望まれていた。
これに関して本出願人は、水性樹脂のポリカルボジイミドによる架橋の際に、架橋促進剤として、所定の金属炭酸塩類を使用する方法(特許文献2)や、水溶性トリアジン化合物を使用する方法(特許文献3)を既に開発しているが、さらなる改良が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水性ウレタン系樹脂や水性アクリル系樹脂などの各種水性樹脂をポリカルボジイミドで架橋して硬化塗膜を製造する際に、従来よりも短い処理時間で十分な強度を有する硬化塗膜を与える水性塗料組成物、およびこの塗料組成物を用いた工業的に有利な硬化塗膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および特定の架橋促進剤(C)を含む水性塗料組成物が、従来よりも短い処理時間で十分な強度を有する硬化塗膜を与えることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むことを特徴とする水性塗料組成物、
2. 前記架橋型水性樹脂(A)が、分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上である1の水性塗料組成物、
3. 前記カルボジイミド化合物(B)が、水溶性または水分散性のポリカルボジイミド化合物である1または2の水性塗料組成物、
4. 前記カルボジイミド化合物(B)が、末端にイソシアネート基を有し、かつ、そのイソシアネート基が、親水性セグメントで封止されている3の水性塗料組成物、
5. 前記カルボジイミド化合物(B)が、脂肪族系カルボジイミド化合物である1〜4のいずれかの水性塗料組成物、
6. 前記架橋促進剤(C)が、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム(n=2)である1〜5のいずれかの水性塗料組成物、
7. 前記架橋促進剤(C)が、前記カルボジイミド化合物(B)100質量部に対し、1〜20質量部含まれる1〜6のいずれかの水性塗料組成物、
8. 一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表されることを特徴とするカルボジイミド化合物を含む架橋型水性樹脂用の架橋促進剤、
9. カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むことを特徴とするカルボジイミド組成物、
10. 架橋型水性樹脂(A)を、カルボジイミド化合物(B)を用いて架橋して硬化塗膜を製造するに際し、架橋促進剤として一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を用いることを特徴とする硬化塗膜の製造方法、
11. 架橋型水性樹脂(A)を、カルボジイミド化合物(B)および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)からなるカルボジイミド組成物を用いて架橋することを特徴とする硬化塗膜の製造方法
を提供する。
1. 架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むことを特徴とする水性塗料組成物、
2. 前記架橋型水性樹脂(A)が、分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上である1の水性塗料組成物、
3. 前記カルボジイミド化合物(B)が、水溶性または水分散性のポリカルボジイミド化合物である1または2の水性塗料組成物、
4. 前記カルボジイミド化合物(B)が、末端にイソシアネート基を有し、かつ、そのイソシアネート基が、親水性セグメントで封止されている3の水性塗料組成物、
5. 前記カルボジイミド化合物(B)が、脂肪族系カルボジイミド化合物である1〜4のいずれかの水性塗料組成物、
6. 前記架橋促進剤(C)が、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム(n=2)である1〜5のいずれかの水性塗料組成物、
7. 前記架橋促進剤(C)が、前記カルボジイミド化合物(B)100質量部に対し、1〜20質量部含まれる1〜6のいずれかの水性塗料組成物、
8. 一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表されることを特徴とするカルボジイミド化合物を含む架橋型水性樹脂用の架橋促進剤、
9. カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むことを特徴とするカルボジイミド組成物、
10. 架橋型水性樹脂(A)を、カルボジイミド化合物(B)を用いて架橋して硬化塗膜を製造するに際し、架橋促進剤として一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を用いることを特徴とする硬化塗膜の製造方法、
11. 架橋型水性樹脂(A)を、カルボジイミド化合物(B)および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)からなるカルボジイミド組成物を用いて架橋することを特徴とする硬化塗膜の製造方法
を提供する。
本発明の水性塗料組成物は、優れた架橋促進作用を有する上記式(I)で示される化合物を含んでいるから、この組成物を用いることで、従来よりも短い処理時間で十分な強度を有する硬化塗膜を得ることができ、その結果、工業的に有利な硬化塗膜の製造方法を提供することができる。また、本発明の組成物を用いて硬化塗膜を形成する際に、従来と同程度の処理時間をかければ、より強固な硬化塗膜が得られることもある。
さらに、従来と同様に水性樹脂に上記架橋促進剤を添加するだけでよいため、操作も簡便であり、また、カルボジイミド液に架橋促進剤を含有させておけば、従来の二液タイプと同様にして使用することができる。
さらに、従来と同様に水性樹脂に上記架橋促進剤を添加するだけでよいため、操作も簡便であり、また、カルボジイミド液に架橋促進剤を含有させておけば、従来の二液タイプと同様にして使用することができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る水性塗料組成物は、架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むものである。
本発明に係る水性塗料組成物は、架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むものである。
ここで、塗膜形成物質として機能する架橋型水性樹脂(A)としては、水溶性または水分散性を有し、カルボジイミド化合物で架橋され得る樹脂であればよく、特に制限されるものではない。
具体的には、分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられるが、中でもウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好適である。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のウレタン系樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有ポリオール類および/またはアミノ酸類、並びにポリオール類から得られるカルボキシル基含有のウレタン系プレポリマーを、有機溶媒または水の存在下、塩基性有機化合物および鎖延長剤と反応させ、次いで減圧下、脱溶媒することで得られる樹脂などが挙げられる。
具体的には、分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられるが、中でもウレタン系樹脂、アクリル系樹脂が好適である。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のウレタン系樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有ポリオール類および/またはアミノ酸類、並びにポリオール類から得られるカルボキシル基含有のウレタン系プレポリマーを、有機溶媒または水の存在下、塩基性有機化合物および鎖延長剤と反応させ、次いで減圧下、脱溶媒することで得られる樹脂などが挙げられる。
分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のアクリル系樹脂としては、例えば、重合性不飽和カルボン酸またはその無水物、(メタ)アクリル酸エステル類や(メタ)アクリル酸以外のアクリル系モノマー、および必要に応じてα−メチルスチレン、酢酸ビニル等を、乳化重合、溶液重合、塊状重合などの重合法により共重合させて得られるアクリル系樹脂などが挙げられる。
この場合、重合性不飽和カルボン酸およびそれらの無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸およびそれらの無水物などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸以外のアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
この場合、重合性不飽和カルボン酸およびそれらの無水物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸およびそれらの無水物などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸以外のアクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
分子内にカルボキシル基を有する水溶性または水分散性ポリエステル系樹脂としては、例えば、グリコールまたは末端に水酸基を有するポリエステルグリコールと、テトラカルボン酸二無水物とを、選択的モノエステル化反応によって鎖延長して得られるポリエステル系樹脂などが挙げられる。
また、架橋剤として機能するカルボジイミド化合物(B)は、分子中にカルボジイミド基を有する化合物であれば、特に限定はないが、水性樹脂との相溶性を考えると、水溶性または水分散性のカルボジイミド化合物であることが好ましい。なお、カルボジイミド化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
水溶性または水分散性のカルボジイミド化合物としては、末端に親水性基を有するものを挙げることができる。このようなカルボジイミド化合物は、例えば、有機ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により、イソシアネート末端ポリカルボジイミド化合物を合成した後、これを、イソシアネート基と反応性を有する官能基を有する親水性有機化合物と反応させ、親水性セグメントで末端イソシアネートを封止して得ることができる。
水溶性または水分散性のカルボジイミド化合物としては、末端に親水性基を有するものを挙げることができる。このようなカルボジイミド化合物は、例えば、有機ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応により、イソシアネート末端ポリカルボジイミド化合物を合成した後、これを、イソシアネート基と反応性を有する官能基を有する親水性有機化合物と反応させ、親水性セグメントで末端イソシアネートを封止して得ることができる。
親水性セグメントとしては、下記の親水性有機化合物(1)〜(4)由来のものが例示される。
(1)(R1)2−N−R2−OH
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、またはポリオキシアルキレン基である。)
で示されるジアルキルアミノアルコールの4級アンモニウム塩
特に、2−ジメチルアミノエタノールの4級塩が好適である。この場合、カルボジイミド化合物はカチオン性となる。
(2)(R1)2−N−R2−NH2
(式中、R1、R2は上記と同様である。)
で示されるジアルキルアミノアルキルアミンの4級アンモニウム塩
特に、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミンの4級塩が好適である。この場合、カルボジイミド化合物はカチオン性となる。
(1)(R1)2−N−R2−OH
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、またはポリオキシアルキレン基である。)
で示されるジアルキルアミノアルコールの4級アンモニウム塩
特に、2−ジメチルアミノエタノールの4級塩が好適である。この場合、カルボジイミド化合物はカチオン性となる。
(2)(R1)2−N−R2−NH2
(式中、R1、R2は上記と同様である。)
で示されるジアルキルアミノアルキルアミンの4級アンモニウム塩
特に、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミンの4級塩が好適である。この場合、カルボジイミド化合物はカチオン性となる。
(3)HO−R3−SO3R4
(式中、R3は炭素数1〜10のアルキレン基、R4はNa,Kなどのアルカリ金属である。)
で示される反応性ヒドロキシル基を少なくとも1個有するアルキルスルホン酸塩
特に、ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムが好適である。この場合、カルボジイミド化合物はアニオン性となる。
(4)R5O−(CH2−CHR6−O−)m−H
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基、R6は水素原子またはメチル基であり、mは4〜30の整数である。)
で示されるアルコキシ基で末端封鎖されたポリ(エチレンオキシド)またはポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)との混合物
特に、メトキシ基またはエトキシ基で末端封鎖されたポリ(エチレンオキシド)が好適である。この場合、カルボジイミド化合物はノニオン性となる。
(式中、R3は炭素数1〜10のアルキレン基、R4はNa,Kなどのアルカリ金属である。)
で示される反応性ヒドロキシル基を少なくとも1個有するアルキルスルホン酸塩
特に、ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウムが好適である。この場合、カルボジイミド化合物はアニオン性となる。
(4)R5O−(CH2−CHR6−O−)m−H
(式中、R5は炭素数1〜4のアルキル基、R6は水素原子またはメチル基であり、mは4〜30の整数である。)
で示されるアルコキシ基で末端封鎖されたポリ(エチレンオキシド)またはポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)との混合物
特に、メトキシ基またはエトキシ基で末端封鎖されたポリ(エチレンオキシド)が好適である。この場合、カルボジイミド化合物はノニオン性となる。
イソシアネート末端カルボジイミド化合物の原料となる有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物、脂環族ジイソシアネート化合物およびこれらの混合物が挙げられる。具体的には、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(以下、HMDIという)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(以下、TMXDIという)などが挙げられる。
有機ジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応は、カルボジイミド化触媒の存在下で進行する。この触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドなどを使用することができ、中でも反応性の面から、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。なお、上記触媒の使用量は触媒量とすることができる。
有機ジイソシアネート化合物の縮合反応における反応温度は、通常80〜200℃程度である。
縮合反応により得られるポリカルボジイミドの重合度は、1〜20程度が好ましく、さらに好ましくは3〜10である。重合度が上記範囲にあれば、得られる水性ポリカルボジイミド化合物は、水性樹脂に添加する際に良好な分散性を有するものになる。
また、イソシアネート末端カルボジイミド化合物に、親水性有機化合物を反応させて、親水性セグメントを付加する際の反応温度は、通常60〜180℃、好ましくは100〜160℃である。
縮合反応により得られるポリカルボジイミドの重合度は、1〜20程度が好ましく、さらに好ましくは3〜10である。重合度が上記範囲にあれば、得られる水性ポリカルボジイミド化合物は、水性樹脂に添加する際に良好な分散性を有するものになる。
また、イソシアネート末端カルボジイミド化合物に、親水性有機化合物を反応させて、親水性セグメントを付加する際の反応温度は、通常60〜180℃、好ましくは100〜160℃である。
以上のようにして得られる水性カルボジイミド化合物の中でも、本発明の水性塗料組成物の(B)成分としては、反応性や保存安定性の点から脂肪族系カルボジイミド化合物が好ましい。脂肪族系カルボジイミド化合物としては、水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドおよび水性テトラメチルキシリレンカルボジイミドが好ましく、特に、水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドが好ましい。この水性ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドは、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを、上述したカルボジイミド化触媒の存在下に縮合させて、イソシアネート基末端ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドを得、これを上述した親水性有機化合物と反応させ、末端イソシアネート基を親水性セグメントで封止して得ることができる。
本発明の水性塗料組成物は、架橋促進剤(C)として、一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
で表される化合物を含む。
式(I)において、nは整数を表し、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。特に工業的に容易に入手可能な点から2−(ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム)が好ましい。
なお、架橋促進剤(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
で表される化合物を含む。
式(I)において、nは整数を表し、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。特に工業的に容易に入手可能な点から2−(ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム)が好ましい。
なお、架橋促進剤(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の水性塗料組成物において、各成分の配合割合は任意であるが、得られる硬化塗膜の物性および経済性のバランスなどを考慮すると、架橋型水性樹脂(A)100質量部に対し、カルボジイミド化合物(B)を、0.5〜15質量部の割合で用いることが好ましく、特に1〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
また、架橋促進剤(C)は、架橋促進性および作業性などの面から、カルボジイミド化合物(B)100質量部に対し、1〜20質量部、特に2〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
また、架橋促進剤(C)は、架橋促進性および作業性などの面から、カルボジイミド化合物(B)100質量部に対し、1〜20質量部、特に2〜10質量部の割合で用いることが好ましい。
本発明の水性塗料組成物の製造法は、上記(A)〜(C)の各成分を任意の順序で配合して得ることができるが、特に以下に示す(1)および(2)の方法が好適である。
(1)架橋型水性樹脂(A)を含む水溶液または水分散液と、カルボジイミド化合物(B)を含む水溶液または水分散液と、架橋促進剤(C)の粉体または架橋促進剤(C)を含む水溶液もしくは水分散液とを、任意の順序で混合する方法
(2)カルボジイミド化合物(B)を含む水溶液または水分散液と、架橋促進剤(C)を含む水溶液または水分散液とを予め混合してなるカルボジイミド組成物をまず調製し、この組成物と、架橋型水性樹脂(A)を含む水溶液または水分散液とを混合する方法
なお、(2)の方法では、カルボジイミド化合物(B)の安定剤として、1,4−ブタンジオールなどのグリコール類等を、カルボジイミド組成物中に含有させてもよい。
(1)架橋型水性樹脂(A)を含む水溶液または水分散液と、カルボジイミド化合物(B)を含む水溶液または水分散液と、架橋促進剤(C)の粉体または架橋促進剤(C)を含む水溶液もしくは水分散液とを、任意の順序で混合する方法
(2)カルボジイミド化合物(B)を含む水溶液または水分散液と、架橋促進剤(C)を含む水溶液または水分散液とを予め混合してなるカルボジイミド組成物をまず調製し、この組成物と、架橋型水性樹脂(A)を含む水溶液または水分散液とを混合する方法
なお、(2)の方法では、カルボジイミド化合物(B)の安定剤として、1,4−ブタンジオールなどのグリコール類等を、カルボジイミド組成物中に含有させてもよい。
この場合、架橋型水性樹脂(A)を含む水溶液または水分散液の樹脂濃度に特に制限はないが、得られる水性塗料組成物の塗工性および塗工層の乾燥性などの点から、15〜50質量%程度が好ましく、20〜40質量%程度がより好ましい。
カルボジイミド化合物(B)を含む水溶液または水分散液のカルボジイミド濃度にも特に制限はないが、取扱い性などの点から、20〜60質量%程度が好ましく、30〜50質量%程度がより好ましい。
架橋促進剤(C)を含む水溶液または水分散液の濃度は、ハンドリングの点から、20〜80質量%程度が好ましく、40〜70質量%程度がより好ましい。
カルボジイミド化合物(B)を含む水溶液または水分散液のカルボジイミド濃度にも特に制限はないが、取扱い性などの点から、20〜60質量%程度が好ましく、30〜50質量%程度がより好ましい。
架橋促進剤(C)を含む水溶液または水分散液の濃度は、ハンドリングの点から、20〜80質量%程度が好ましく、40〜70質量%程度がより好ましい。
なお、本発明の水性塗料組成物には、用途などに応じ、必要であれば各種添加成分、例えば、顔料、充填剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを、適宜配合することができる。
本発明の硬化塗膜の製造方法は、上記水性塗料組成物を、所定の基材上に塗布して塗工層を形成し、これを硬化処理することで硬化塗膜を得るものである。
この場合、塗布法としては従来公知の方法を適宜用いることができ、例えば、刷毛塗り、タンポ塗り、吹付塗り、ホットスプレー塗り、エアレススプレー塗り、ローラ塗り、カーテンフロー塗り、流し塗り、浸し塗り、ナイフエッジコートなどを用いることができる。
硬化処理は、通常、加熱処理して塗膜の架橋反応を促進させる方法が用いられる。加熱処理方法に特に制限はなく、例えば電気加熱炉、熱風加熱炉、赤外線加熱炉、高周波加熱炉などを用いる方法を採用することができる。
この場合、塗布法としては従来公知の方法を適宜用いることができ、例えば、刷毛塗り、タンポ塗り、吹付塗り、ホットスプレー塗り、エアレススプレー塗り、ローラ塗り、カーテンフロー塗り、流し塗り、浸し塗り、ナイフエッジコートなどを用いることができる。
硬化処理は、通常、加熱処理して塗膜の架橋反応を促進させる方法が用いられる。加熱処理方法に特に制限はなく、例えば電気加熱炉、熱風加熱炉、赤外線加熱炉、高周波加熱炉などを用いる方法を採用することができる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
[合成例1]重合度=3のHMDIカルボジイミドの合成
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で10時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=3)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)1200gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で10時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=3)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)1200gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
[合成例2]重合度=6のHMDIカルボジイミドの合成
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で22時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=6)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)686gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で22時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=6)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)686gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
[合成例3]重合度=10のHMDIカルボジイミドの合成
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で40時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=10)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)436gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で40時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=10)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)436gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
[合成例4]重合度=3のHMDIカルボジイミドの合成
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で10時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=3)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)160gとジアルキルアミノアルコール(1−ジエチルアミノ−2−プロパノール)の混合物314gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
HMDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)15.7gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で10時間撹拌し、イソシアネート末端4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド(重合度=3)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)160gとジアルキルアミノアルコール(1−ジエチルアミノ−2−プロパノール)の混合物314gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
[合成例5]重合度=5のTMXDIカルボジイミドの合成
TMXDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)31.4gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で10時間撹拌し、イソシアネート末端テトラメチルキシリレンカルボジイミド(重合度=5)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)859gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
TMXDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)31.4gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で10時間撹拌し、イソシアネート末端テトラメチルキシリレンカルボジイミド(重合度=5)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)859gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
[合成例6]重合度=10のTMXDIカルボジイミドの合成
TMXDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)31.4gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で24時間撹拌し、イソシアネート末端テトラメチルキシリレンカルボジイミド(重合度=10)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)469gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
TMXDI1572gとカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)31.4gとを、還流管および撹拌機付き5000ml反応容器に入れ、窒素気流下185℃で24時間撹拌し、イソシアネート末端テトラメチルキシリレンカルボジイミド(重合度=10)を得た。
その後、反応容器を120℃まで放冷し、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量400)469gを加え、さらに同じ温度で撹拌しながら1時間反応させ、再び150℃まで加温し、さらに撹拌しながら5時間反応させた後、赤外吸収(IR)スペクトル測定により波長2200〜2300cm-1のイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、約80℃まで冷却し、水を投入して固形分40質量%の黄色透明なカルボジイミド溶液を得た。
[実施例1]
ポリウレタン樹脂(69VP AlberdingBoley社製)100gに、合成例1で得られたカルボジイミド溶液5g、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム50質量%水溶液0.2gを加えてよく撹拌して水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物を、アルミ板(200mm×100mm×1mm)上に厚みが20μmとなるようにキャスティングして塗膜を形成した。キャスティング後、25℃で24時間キュアを行った。
ポリウレタン樹脂(69VP AlberdingBoley社製)100gに、合成例1で得られたカルボジイミド溶液5g、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム50質量%水溶液0.2gを加えてよく撹拌して水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物を、アルミ板(200mm×100mm×1mm)上に厚みが20μmとなるようにキャスティングして塗膜を形成した。キャスティング後、25℃で24時間キュアを行った。
[実施例2〜6]
合成例2〜6のカルボジイミド溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして塗膜を形成した。
合成例2〜6のカルボジイミド溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして塗膜を形成した。
[実施例7〜12]
キュア時間を24時間から6時間に変更した以外は、実施例1〜6と同様にして塗膜を形成した。
キュア時間を24時間から6時間に変更した以外は、実施例1〜6と同様にして塗膜を形成した。
[実施例13〜15]
キュア温度を25℃から15℃に変更した以外は、実施例2〜4と同様にして塗膜を形成した。
キュア温度を25℃から15℃に変更した以外は、実施例2〜4と同様にして塗膜を形成した。
[実施例16,17]
ポリウレタン樹脂をアクリル樹脂(NeoCryl XK−12 Avecia社製)に変更した以外は、実施例2,3と同様にして塗膜を形成した。
ポリウレタン樹脂をアクリル樹脂(NeoCryl XK−12 Avecia社製)に変更した以外は、実施例2,3と同様にして塗膜を形成した。
[比較例1〜17]
ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムを加えない以外は、実施例1〜17と同様にして塗膜を形成した。
ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムを加えない以外は、実施例1〜17と同様にして塗膜を形成した。
上記実施例および比較例で作製した塗膜について、下記の方法でラビング試験を行った。結果を表1に示す。
[ラビング試験]
溶剤にメチルエチルケトンを用い、加重900g/cm2にて摩擦試験機FR−1B(スガ試験機(株)製)によりダブルラビングを行った。塗膜が剥離したときのラビング回数を目視にて測定した。なお、試験は3回行い、ダブルラビング回数の平均を求めた。
[ラビング試験]
溶剤にメチルエチルケトンを用い、加重900g/cm2にて摩擦試験機FR−1B(スガ試験機(株)製)によりダブルラビングを行った。塗膜が剥離したときのラビング回数を目視にて測定した。なお、試験は3回行い、ダブルラビング回数の平均を求めた。
表1に示されるように、実施例1〜17で形成した塗膜は、比較例の塗膜に比べて十分な強度を有していることがわかる。
[実施例18]
ポリウレタン樹脂(69VP AlberdingBoley社製)100gに、合成例3で得られたカルボジイミド溶液5g、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム50質量%水溶液0.2gを加えてよく撹拌して水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物を、アルミ板(200mm×100mm×1mm)上に厚みが20μmとなるようにキャスティングして塗膜を形成した。キャスティング後、キュア温度100℃で、キュア時間1分、5分、10分、20分それぞれにおいて上記と同様のラビング試験を行った。
ポリウレタン樹脂(69VP AlberdingBoley社製)100gに、合成例3で得られたカルボジイミド溶液5g、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム50質量%水溶液0.2gを加えてよく撹拌して水性塗料組成物を調製した。
得られた水性塗料組成物を、アルミ板(200mm×100mm×1mm)上に厚みが20μmとなるようにキャスティングして塗膜を形成した。キャスティング後、キュア温度100℃で、キュア時間1分、5分、10分、20分それぞれにおいて上記と同様のラビング試験を行った。
[比較例18]
ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムを加えない以外は、実施例18と同様にして塗膜を形成し、同様の試験を行った。
実施例18および比較例18の結果を表2に示す。
ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウムを加えない以外は、実施例18と同様にして塗膜を形成し、同様の試験を行った。
実施例18および比較例18の結果を表2に示す。
表2に示されるように、所定の架橋促進剤を含む実施例18の水性塗料組成物は、当該架橋促進剤を含まない比較例18の水性塗料組成物と比べて、短いキュア時間で充分な強度の塗膜を形成することがわかる。
Claims (11)
- 架橋型水性樹脂(A)、カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むことを特徴とする水性塗料組成物。 - 前記架橋型水性樹脂(A)が、分子内にカルボキシル基を有する、水溶性または水分散性のウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂から選ばれる1種以上である請求項1記載の水性塗料組成物。
- 前記カルボジイミド化合物(B)が、水溶性または水分散性のポリカルボジイミド化合物である請求項1または2記載の水性塗料組成物。
- 前記カルボジイミド化合物(B)が、末端にイソシアネート基を有し、かつ、そのイソシアネート基が、親水性セグメントで封止されている請求項3記載の水性塗料組成物。
- 前記カルボジイミド化合物(B)が、脂肪族系カルボジイミド化合物である請求項1〜4のいずれか1項記載の水性塗料組成物。
- 前記架橋促進剤(C)が、ヒドロキシエタンスルホン酸ナトリウム(n=2)である請求項1〜5のいずれか1項記載の水性塗料組成物。
- 前記架橋促進剤(C)が、前記カルボジイミド化合物(B)100質量部に対し、1〜20質量部含まれる請求項1〜6のいずれか1項記載の水性塗料組成物。
- 一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表されることを特徴とするカルボジイミド化合物を含む架橋型水性樹脂用の架橋促進剤。 - カルボジイミド化合物(B)、および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を含むことを特徴とするカルボジイミド組成物。 - 架橋型水性樹脂(A)を、カルボジイミド化合物(B)を用いて架橋して硬化塗膜を製造するに際し、架橋促進剤として一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中、nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)を用いることを特徴とする硬化塗膜の製造方法。 - 架橋型水性樹脂(A)を、カルボジイミド化合物(B)および一般式(I)
HO−(CH2)n−SO3Na (I)
(式中nは1〜5の整数を表す。)
で表される架橋促進剤(C)からなるカルボジイミド組成物を用いて架橋することを特徴とする硬化塗膜の製造方法。
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