[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2007327038A - アニオン重合による重合体の製造方法 - Google Patents

アニオン重合による重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007327038A
JP2007327038A JP2007119503A JP2007119503A JP2007327038A JP 2007327038 A JP2007327038 A JP 2007327038A JP 2007119503 A JP2007119503 A JP 2007119503A JP 2007119503 A JP2007119503 A JP 2007119503A JP 2007327038 A JP2007327038 A JP 2007327038A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
polymer
anionic
solvent
anionic polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007119503A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5121045B2 (ja
Inventor
Eiji Takahashi
栄治 高橋
Katsuji Yamaguchi
勝司 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Nippon Soda Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Soda Co Ltd filed Critical Nippon Soda Co Ltd
Priority to JP2007119503A priority Critical patent/JP5121045B2/ja
Publication of JP2007327038A publication Critical patent/JP2007327038A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5121045B2 publication Critical patent/JP5121045B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、アニオン重合において、様々なモノマーや溶媒を用いた場合であっても、所望の分子量の重合体をより狭分散で、かつ効率良く製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを所定の時間反応させて反応液を得る工程(A)と、工程(A)より後に以下の工程(B)〜工程(D)のいずれかの工程とを有する、アニオン重合による重合体の製造方法であって、所定の時間が、アニオン重合反応後に分散度1.3以下の重合体が得られうる時間であることを特徴とする重合体の製造方法。
・工程(B):工程(A)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(C):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(A)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(D):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
【選択図】なし

Description

本発明は、アニオン重合による重合体の製造方法に関し、より詳細には、アニオン重合により所望の分子量の重合体を狭分散でかつ効率よく製造する方法に関する。
リビングアニオン重合法により分子量や分子量分布が制御された重合体を製造する場合は、溶媒中にアニオン重合開始剤を添加し、その中にモノマーを添加する方法が一般的である。リビングアニオン重合において分子量や分子量分布を制御するためには、アニオン重合開始剤と反応させようとするモノマーの反応がモノマー同士の反応よりも非常に速いこと、あるいはアニオン重合開始剤と反応させようとするモノマーの反応がモノマー同士の反応とほぼ同じであることが条件となる。これらが満たされない場合は分子量分布が広くなったり、設定した分子量とはかけ離れた高分子量体が生成したりすることになる。例えば、一般的なアニオン重合開始剤として知られているアルキルリチウム、特にハンドリングの容易なn−ブチルリチウムをテトラヒドロフラン(以下、「THF」という)等の極性溶媒中でリビングアニオン重合に使用した場合、モノマーとしてp−メトキシスチレンのようなアルコキシスチレンなどを用いると、分子量分布が広くなったり、設定した分子量とはかけ離れた高分子量体が生成するなどの問題が生じる。分子量分布が広がってしまうこの傾向は、製造する重合体の分子量が大きくなればなるほど顕著になる。また、メチルメタクリレートなどをアニオン重合した場合、設定分子量よりもはるかに大きい分子量のものが生成してしまう。
これらの問題を避けるためには、モノマーにとって最適な開始剤を用いることが考えられるが、現在知られているアニオン重合開始剤の種類は極限られたものになっており、十分に有効な解決法とはいえない。また、アニオン重合する際の溶媒として、極性溶媒ではなく非極性溶媒を用いると、分子量分布はやや狭くなることが知られている(例えば特許文献1参照)。これは、非極性溶媒を用いることによって、モノマー同士の反応(モノマーの成長反応)の反応速度が、モノマーとアニオン重合開始剤との反応の反応速度に対して相対的に遅くなることによるものであると考えられている。しかし、非極性溶媒を用いると、重合反応自体も遅くなってしまい、工業的な生産性という観点からは十分な方法ではなかった。
このような状況下、アニオン重合において、様々なモノマーや溶媒を用いた場合であっても、所望の分子量の重合体をより狭分散で、かつ効率良く製造する方法が求められていた。
なお、特許文献2には、アニオン重合性化合物をリビングアニオン重合させて分子量分散度が1.5以下の単分散高分子を製造する方法であって、アニオン重合性化合物の添加を複数回に分けて行い、初回に添加したすべてのアニオン重合性化合物が反応するまで、2回目以降のアニオン重合性化合物の添加を行わない方法が開示されている。しかし、この方法は、初回に添加するアニオン重合性化合物の量が多く(例えば、目的の分子量の重合体を得るために必要だと推定されるアニオン重合性化合物の50%から95%に相当する量)、初回に添加するアニオン重合性化合物が極めて少ない(溶媒中の濃度が低い、及び/又は、アニオン重合開始剤に対するモル比が小さい)本発明の重合体の製造方法とは明らかに異なる。
特開2002−241429号公報 米国特許第6218485号明細書
本発明の課題は、アニオン重合において、様々なモノマーや溶媒を用いた場合であっても、所望の分子量の重合体をより狭分散で、かつ効率良く製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、溶媒に対して低濃度の一般式(I)で表される化合物(i)を、アニオン重合開始剤を含む溶媒に添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤と混合して、すべての前記化合物(i)を反応させて反応液を得、該反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合することにより、所望の分子量の重合体をより狭分散で、かつ効率良く製造し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
なお、前述のように、特許文献2には、アニオン重合性化合物をリビングアニオン重合させて分子量分散度が1.5以下の単分散高分子を製造する方法であって、アニオン重合性化合物の添加を複数回に分けて行い、初回に添加したすべてのアニオン重合性化合物が反応するまで、2回目以降のアニオン重合性化合物の添加を行わない方法が開示されている。しかし、特許文献2には、初回に添加するモノマーの量が、目的の分子量の重合体を得るために必要だと推定されるモノマーの50%に相当する量より少ないと、2回目に添加するモノマーの量が多くなり過ぎて、分子量分布が広くなる旨が記載されていることからも明らかなように、本発明のごとく、アニオン重合性化合物の添加を複数回に分けて行い、初回に添加したすべてのアニオン重合性化合物が反応するまで、2回目以降のアニオン重合性化合物を添加しない重合体の製造方法において、初回に添加するアニオン重合性化合物をごく少量(溶媒中の濃度が低い、及び/又は、アニオン重合開始剤に対するモル比が小さい)とすることによって、逆に、所望の分子量の重合体を狭分散で、かつ効率良く製造することができるということは極めて意外であった。
すなわち本発明は、
(1)アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを所定の時間反応させて反応液を得る工程(A)、工程(A)より後に以下の工程(B)〜工程(D)のいずれかの工程とを有する、アニオン重合による重合体の製造方法であって、所定の時間が、アニオン重合反応後に分散度1.3以下の重合体が得られうる時間であることを特徴とする重合体の製造方法
・工程(B):工程(A)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(C):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(A)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(D):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
Figure 2007327038
[式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rはアニオン重合を阻害しない基で置換されていてもよいアルキル基又はシクロアルキル基を表し、Rは各々独立してアルキル基又はアルコキシ基を表し、mは0〜4のいずれかの整数を表す。]や、
(2)工程(A)における溶媒中のアニオン重合開始剤を、溶媒中の一般式(I)で表される化合物(i)に対して0.2倍モル以上含有させることを特徴とする上記(1)に記載の重合体の製造方法や、
(3)アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを混合して、すべての前記化合物(i)を反応させて反応液を得る工程(a)と、工程(a)より後に以下の工程(b)〜工程(d)のいずれかの工程とを有する、アニオン重合による重合体の製造方法
・工程(b):工程(a)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(c):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(a)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(d):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(a)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
Figure 2007327038
[式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rはアニオン重合を阻害しない基で置換されていてもよいアルキル基又はシクロアルキル基を表し、Rは各々独立してアルキル基又はアルコキシ基を表し、mは0〜4のいずれかの整数を表す。]や、
(4)工程(a)が、アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを混合して、少なくとも2分間反応させて反応液を得る工程(a’)であることを特徴とする上記(3)に記載の重合体の製造方法や、
(5)工程(a)又は(a’)における溶媒中のアニオン重合開始剤を、溶媒中の一般式(I)で表される化合物(i)に対して0.2倍モル以上含有させることを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の重合体の製造方法や、
(6)アニオン重合開始剤が、有機アルカリ金属化合物であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の重合体の製造方法や、
(7)有機アルカリ金属化合物が、アルキルリチウムであることを特徴とする上記(6)に記載の重合体の製造方法や、
(8)溶媒が、極性溶媒であることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合体の製造方法や、
(9)アニオン重合性不飽和結合を有する化合物が、一般式(I)で表される化合物(I)であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の重合体の製造方法や、(10)アニオン重合性不飽和結合を有する化合物が、工程(A)又は(a)で用いられる一般式(I)で表される化合物(i)と同一化合物であることを特徴とする上記(9)に記載の重合体の製造方法に関する。
本発明のアニオン重合による重合体の製造方法を用いることにより、所望の分子量の重合体をより狭分散で、かつ効率良く製造することが可能となった。また、本発明の製造方法では、分子量と分子量分布がよくコントロールされるようになったため、厳密な分子量や分子量分布が要求されるレジスト材料への応用やブロック重合体の製造が容易になった。
本発明の重合体の第1の製造方法は、アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを所定の時間反応させて反応液を得る工程(A)と、工程(A)より後に以下の工程(B)〜工程(D)のいずれかの工程とを有する、アニオン重合による重合体の製造方法であって、所定の時間が、アニオン重合反応後に分散度1.3以下の重合体が得られうる時間である限り特に制限されない。
・工程(B):工程(A)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(C):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(A)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(D):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
また、本発明の重合体の第2の製造方法は、アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを混合して、すべての前記化合物(i)を反応させて反応液を得る工程(a)と、工程(a)より後に以下の工程(b)〜工程(d)のいずれかの工程とを有する限り特に制限されない。
・工程(b):工程(a)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(c):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(a)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
・工程(d):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(a)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
ここで、「前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを混合して、すべての前記化合物(i)を反応させる」とは、前記化合物(i)とアニオン重合開始剤との反応、及び、生成したアニオン種と化合物(i)との重合反応を包含する。
本発明に用いられる化合物(i)において、Rは水素原子;又は、メチル基、エチル基等のC1からC6のアルキル基を表す。
はアニオン重合を阻害しない基で置換されていてもよいC1からC24のアルキル基又はC3からC24のシクロアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−アミル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、t−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基などを例示することができる。好ましくは、C1〜C8のアルキル基である。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルへキシル基、シクロヘキシルプロピル基等を例示することができる。好ましくは、C3〜C8のシクロアルキル基である。アニオン重合を阻害しない基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素を含有する基を有しない基や、カルボニル基を有しない基であり、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、フェニル基、アリル基、シクロオレフィン基等を例示することができる。
OR基の置換位置としては特に制限されないが、4位であることが好ましい。
は各々独立してアルキル基又はアルコキシ基を表す。アルキル基及びアルコキシ基のアルキル部分は、C1からC24のアルキル基であり、Rで例示されたアルキル基と同じアルキル基を例示することができる。好ましくは、C1〜C8のアルキル基である。
mは0〜4のいずれかの整数を表す。
上記工程(A)や工程(a)における化合物(i)の濃度は、溶媒に対して1質量%以下であれば特に制限されないが、0.000005〜0.8質量%であることが好ましく、0.000005〜0.2質量%であることがより好ましい。
なお、本願明細書における「溶媒に対して」とは、「純粋に溶媒のみの質量に対して」を意味し、アニオン重合開始剤や化合物(i)等の溶媒以外の物質の質量は、ここでいう溶媒の重量には含めない。
また、化合物(i)は、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物の10質量%以下、好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下使用される。
本発明に用いられるアニオン重合開始剤は、好適な条件下で、アニオン重合性不飽和結合を重合させる能力のあるアニオン種であれば特に制限されず、具体的には、有機アルカリ金属;有機アルカリ土類金属;1,1−ジフェニルエチレン又はスチルベンから誘導される炭素アニオン種;等を例示することができる。さらに具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナフタレンジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオへキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム等を例示することができる。
本発明に用いられるアニオン重合開始剤は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記工程(A)や工程(a)におけるアニオン重合開始剤の濃度は、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体が得られうる限り特に制限されないが、所望の分子量の重合体をより狭分散で得る観点から、溶媒中の化合物(i)に対して0.2倍モル以上とすることが好ましく、1倍モル以上とすることがより好ましく、1〜20倍モルの範囲内とすることがさらに好ましい。
過剰なアニオン重合開始剤は、反応液を30分間以上撹拌することや、反応液に有機金属を添加することによって、不活性化させることができる。したがって、上記工程(A)や工程(a)において、アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を添加した後に、反応液を30分間以上撹拌するか、反応液に有機金属を添加するか、又はその両方を行うことが好ましい。有機金属とは、有機基を金属原子上に有する金属化合物をいい、その具体例は後述のとおりである。
工程(A)における所定の時間とは、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下、より好ましくは1.2以下、さらに好ましくは1.1以下の重合体が得られうる時間である限り特に制限されない。アニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体を得られうる時間は、用いる化合物(i)の種類や濃度、用いるアニオン重合性不飽和結合を有する化合物の種類や濃度、用いるアニオン重合開始剤の種類や濃度、用いる溶媒、反応条件等により左右されるため一概にいうことはできないが、溶媒に含まれるすべての化合物(i)が反応するまでに要する時間以上の時間を例示することができる。溶媒に対して1質量%以下で含まれるすべての化合物(i)が反応するまでに要する時間以上の時間として、通常、2分間以上を要し、上限は反応が終了するまでの時間以上であるが、条件により異なるので、条件に合わせてその都度選択すればよい。
一方、詳細な作用機作については不明であるが、本発明の如く、特定濃度の化合物(i)とアニオン重合開始剤とを所定の時間反応させる工程を有すると、所望の分子量の重合体をより狭分散で、かつ効率良く製造することが可能となる。
また、工程(a)における「すべての前記化合物(i)が前記アニオン重合開始剤と反応するまで少なくとも反応させ」とは、溶媒中に含まれるすべての化合物(i)が、アニオン重合開始剤と反応するまでに要する時間以上の時間、反応させることを意味し、具体的には工程(A)と同様であり、通常2分間以上である。
本発明における「(溶媒に含まれる)すべての化合物(i)が反応する」とは、該反応後における溶媒中に含まれる化合物(i)が、例えばいずれかの通常のガスクロマトグラフィー(例えば株式会社島津製作所製 GC−14A)の検出限界以下であることをいうが、便宜上、溶媒に添加した化合物(i)のうち98質量%以上、好ましくは99質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上の化合物(i)が反応した場合も含まれ、中でも通常のガスクロマトグラフィー(例えば株式会社島津製作所製 GC−14A)の検出限界以下であることが好ましい。
工程(A)や(a)における反応の反応温度は、工程(A)や(a)で得られた反応液を、工程(B)〜(D)のいずれか又は工程(b)〜(d)のいずれかの重合反応に用いた場合に、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体が得られうる温度範囲内であれば特に制限されないが、具体的には、−70℃以上、重合溶媒沸点以下の温度範囲を好ましく例示することができ、−70℃〜25℃の範囲をより好ましく例示することができ、−70℃〜−10℃の範囲をさらに好ましく例示することができる。
本明細書における重合体の分散度(分子量分散度)は、質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)により算出することができる。質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。より具体的には、例えば、GPC装置として、日本ウォーターズ株式会社製のウォーターズ600Eコントローラー(ポンプユニット)、717オートサンプラー、996フォトダイオードアレイ検出器、及び410示差屈折計等を用い、カラムとして、昭和電工株式会社製のKF−801、KF−802、KF−803の3本を連結したものを用い、GPC装置の制御及びGPCの解析に関するソフトウェアとして、日本ウォーターズ株式会社製のEmpower(登録商標)を用いることができる。本明細書における重合体の分散度とは、いずれかの通常のGPC装置で測定された分散度をいうが、より好ましくは、上述の具体的な装置、カラム及びソフトウェアを用いて測定された分散度をいう。
本発明に用いられる溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば、特に制限されず、具体的にはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系化合物;テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の第3級アミン;などを例示することができ、特にTHFを好ましく例示することができる。また、これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上の混合溶媒として用いることができる。
さらに、極性の低い脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物又は脂環式炭化水素化合物であっても、重合体と比較的相溶性があれば、極性溶媒と組み合わせることにより使用することができる。そのような組み合わせとして、具体的には、へキサンとTHFの組み合わせを例示することができる。
工程(A)や(a)における溶媒には、化合物(i)及びアニオン重合開始剤のみを含有させてもよいが、本発明の効果を妨げない限り、他に任意の成分を含有させることができる。そのような任意成分として具体的には、有機金属、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上を好ましく例示することができる。これらの添加剤は、成長アニオン末端を安定化させ、重合を円滑に進行させる働きをする。また、これらの添加剤は、系内に存在する活性水素化合物等と反応するので、活性水素化合物等による重合反応の阻害を抑制又は防止することができる。
ここで有機金属としては、有機基を金属原子上に有する金属化合物をいう。有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を挙げることができ、より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を例示することができる。また、有機金属における金属原子としては、特に制限されないが、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等を好ましく例示することができる。
有機金属として、より具体的には、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−t−ブチルマグネシウム、ジ−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−エチルマグネシウム、ジ−n−アミルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−へキシルアルミニウム等を好ましく例示することができる。
アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とは、具体的にはリチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の硫酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩等の鉱酸塩;アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物;脂肪族アルコールのアルカリ金属塩;脂肪族若しくは芳香族チオールのアルカリ金属塩;等を例示することができ、より具体的にはホウ酸リチウム、硝酸マグネシウム;リチウム、カリウム若しくはバリウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物;リチウムメトキシド、リチウムt−ブトキシド等のアルコキシド;リチウムフェノキシド等のフェノキシド;プロイオン酸リチウム等のカルボキシド;リチウムジフェニルアミド等のアミド;エタンチオールやプロパンチオール等のC1〜C18のアルキルチオールのアルカリ金属塩;シクロヘキシルチオール等のC1〜C18のシクロアルキルチオールのアルカリ金属塩;メルカプトエタノールやp−メルカプトフェノール等の水酸基を含有するチオールのアルカリ金属塩;メルカプト酢酸メチルやメルカプトプロピオン酸エチル等のカルボン酸エステルを含有するチオールのアルカリ金属塩;ベンゼンチオールやトルエンチオール及びナフタレンチオール等の芳香族チオールのアルカリ金属塩;メルカプトチアゾリンメルカプトベンズチアゾリンおよびメルカプトピリミジン等の含窒素芳香族チオールのアルカリ金属塩;などを挙げることができるが、これらの中でも、リチウムのハロゲン化物;アルコール類やチオール類のアルカリ金属塩等を好ましく挙げることができる。
以上に例示した各添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合体の第1の製造方法は、工程(A)と、工程(A)より後に以下の工程(B)〜工程(D)のいずれかの工程とを有する。
工程(B):工程(A)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
工程(C):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(A)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
工程(D):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
工程(B)〜工程(D)の中でも、操作の簡便性の観点から、工程(B)が好ましく挙げられる。
本発明の重合体の第2の製造方法は、工程(a)と、工程(a)より後に以下の工程(b)〜工程(d)のいずれかの工程とを有する。
工程(b):工程(a)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
工程(c):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(a)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
工程(d):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(a)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
工程(b)〜工程(d)の中でも、操作の簡便性の観点から、工程(b)が好ましく挙げられる。
本発明に用いられるアニオン重合性不飽和結合を有する化合物としては、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物である限り特に限定されないが、具体的には、スチレン誘導体、ブタジエン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル誘導体等を好ましく例示することができる。
スチレン誘導体として具体的には、スチレン、α−アルキルスチレン、核置換スチレン等を例示することができる。核置換基としては、重合開始能力があるアニオン種及び重合開始能力がないアニオン種に対して不活性な基であれば特に制限されず、具体的には、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基等を例示することができる。さらにスチレン誘導体の具体例として、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン等を例示することができる。
ブタジエン誘導体として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等を例示することができる。
また(メタ)アクリル酸エステル誘導体は、エステルアルコール残基の炭素数が1〜20のものが反応性の観点より好ましく、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル等を例示することができる。
本発明の製造方法において、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物は、1種単独又は2種以上を用いることができる。従ってブロック共重合体、ランダム共重合体等の共重合体の製造にも適用することが可能である。
アニオン重合性不飽和結合を有する化合物は、工程(A)又は工程(a)における化合物(i)と異なる化合物であってもよいし、工程(A)又は工程(a)における化合物(i)と同一化合物であってもよい。
本発明における工程(D)の「アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを混合する」とは、工程(B)の「工程(A)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加する」及び工程(C)の「アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(A)における反応液を添加する」以外の態様であって、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを接触させるいかなる態様も含まれる。工程(D)として具体的には、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを、空の別の容器に同時に入れて混合する工程を挙げることができる。工程(d)についてもこれと同様である。
工程(B)〜工程(D)や工程(b)〜工程(d)における重合の重合温度は、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体が得られうる温度範囲内であれば特に制限されないが、移動反応や停止反応などの副反応が起こらず、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物(単量体)が消費されて重合が完結する温度範囲内であることが好ましい。工程(B)〜工程(D)や工程(b)〜工程(d)における重合の重合温度として、具体的には、−70℃以上、重合溶媒沸点以下の温度範囲を好ましく例示することができる。
工程(B)〜工程(D)や工程(b)〜工程(d)におけるアニオン重合性不飽和結合を有する化合物の濃度は、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体が得られうる限り特に制限されないが、工程(B)〜工程(D)や工程(b)〜工程(d)における重合溶媒に対して1〜40質量%の範囲内であることが好ましく、2〜15質量%の範囲内であることがより好ましい。
工程(B)〜工程(D)や工程(b)〜工程(d)における重合溶媒には、化合物(i)、アニオン重合開始剤、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物のみを含有させてもよいが、本発明の効果を妨げない限り、他に任意の成分を含有させることができる。そのような任意成分として具体的には、有機金属、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれるいずれか1種又は2種以上を好ましく例示することができる。これらの添加剤は、成長アニオン末端を安定化させ、重合を円滑に進行させる働きをする。また、これらの添加剤は、系内に存在する活性水素化合物等と反応するので、活性水素化合物等による重合反応の阻害を抑制又は防止することができる。
有機金属、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等の添加剤の濃度は、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体が得られうる限り特に制限されない。
本発明の重合体の第1の製造方法は、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体が得られうる限り、工程(A)と、工程(B)〜工程(D)のいずれかの工程の他に、任意の工程を含んでいてもよい。また、本発明の重合体の第2の製造方法は、好適な反応条件下でアニオン重合反応させた後に分散度1.3以下の重合体が得られうる限り、工程(a)と、工程(b)〜工程(d)のいずれかの工程の他に、任意の工程を含んでいてもよい。
任意の工程の具体例としては、工程(B)〜工程(D)のいずれかの工程、又は工程(b)〜工程(d)のいずれかの工程より後に、得られたアニオン重合体の分子量を測定し、その分子量を所望する重合体の分子量と比較して、所望する分子量の重合体を得るために必要なアニオン重合性不飽和結合を有する化合物の添加量を決定し、決定した量のアニオン重合性不飽和結合を有する化合物を、工程(B)〜(D)及び(b)〜(d)のいずれかの重合溶媒に含有させる工程(E)を好ましく例示することができる。このような工程(E)を設けていわゆる多段重合することによって、所望の分子量により近い重合体を得ることができる。
この工程(E)における、アニオン重合体の分子量の測定方法は特に制限されないが、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等を用いることができる。
本発明の製造方法により得られた重合体の用途は特に制限されないが、本発明の重合体の製造方法を用いると、所望の分子量の重合体をより狭分散で得ることができるため、本発明の製造方法により得られた重合体は、厳密な分子量や分子量分布が要求されるレジスト材料への応用やブロック重合体の製造に特に適している。また、本発明の製造方法により得られた重合体は、塗料や接着剤にも好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
窒素雰囲気下、THF30gとトルエン170gの混合溶媒中に、−30℃で、n−ブチルリチウム(n-BuLi)溶液1.17g(2.8mmol)を加え、続いて、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン0.52g(2.7mmol)を加え、30分間攪拌した。その後、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン21.46g(109.3mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.21g(0.3mmol)を加えたものを6分かけて滴下し、滴下終了後、60分攪拌し、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を停止させたこの溶液をガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製 GC−14A)で測定してみるとモノマーは残存していなかった。また、得られた溶液をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(日本ウォーターズ株式会社製)で測定したところ、分子量(Mw)13100、分散度=1.08のポリマーの生成が確認された。
窒素雰囲気下、THF200gに2−メルカプトチアゾリン0.12(1.0mmol)を加えた溶液に室温でn−BuLi溶液1.29g(3.1mmol)を加え、30分間攪拌した。その後、−30℃に冷却し、n−BuLi溶液0.38g(0.9mmol)を加え、続いて、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン0.27g(1.4mmol)を加え、15分間攪拌した。その後、−40℃に冷却し、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン21.87g(111.4mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.15g(0.2mmol)を加えたものを7分かけて滴下し、滴下終了後、30分攪拌し、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を停止させたこの溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマーは残存していなかった。また、得られた溶液をGPCで測定したところ、分子量(Mw)38100、分散度=1.06のポリマーの生成が確認された。
窒素雰囲気下、THF120gとトルエン80gの混合溶媒中に、0℃で、n−BuLi溶液0.81g(2.0mmol)を加え、続いて、p−t−ブトキシスチレン0.41g(2.3mmol)を加え、1分間攪拌した。その後、p−t−ブトキシスチレン17.80g(101.0mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.32g(0.5mmol)を加えたものを9分かけて滴下し、滴下終了後、10分攪拌し、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を停止させたこの溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマーは残存していなかった。また、得られた溶液をGPCで測定したところ、分子量(Mw)17700、分散度=1.24のポリマーの生成が確認された。
窒素雰囲気下、THF200g中に、−50℃で、n−BuLi溶液1.44g(3.5mmol)を加え、続いて、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン0.41g(2.0mmol)を加え、15分間攪拌した。その後、ジブチルマグネシウム溶液1.29g(1.8mmol)を加え、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン21.33g(108.7mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.37g(0.5mmol)を加えたものを5分かけて滴下し、滴下終了後、−35℃で25分攪拌し、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を停止させたこの溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマーは残存していなかった。また、得られた溶液をGPCで測定したところ、分子量(Mw)84500、分散度=1.09のポリマーの生成が確認された。
窒素雰囲気下、THF200g中にp−メルカプトフェノール0.22g(1.7mmol)を溶解させた溶液に、室温でn−BuLi溶液3.01g(7.2mmol)を加え、60分間攪拌した。その後、−40℃に冷却し、n−BuLi溶液1.05g(5.2mmol)を加え、続いて、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン0.51g(2.6mmol)を加え、20分間攪拌した。その後、n−BuLi/ジエチル亜鉛アート錯体1.14g(1.0mmol)とジエチル亜鉛溶液0.36g(0.5mmol)を加え、p−(1−エトキシエトキシ)スチレン21.33g(108.7mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.15g(0.2mmol)を加えたものを9分かけて滴下し、滴下終了後、10分攪拌し、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を停止させたこの溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマーは残存していなかった。また、得られた溶液をGPCで測定したところ、分子量(Mw)16800、分散度=1.14のポリマーの生成が確認された。
窒素雰囲気下、THF120gとトルエン80gの混合溶媒中に、p−t−ブトキシスチレン0.36g(2.0mmol)を加え0℃で、n−BuLi溶液0.72g(1.7mmol)を加え、1分間攪拌した。その後、ジブチルマグネシウム溶液1.51g(2.1mmol)を加え、続いて、p−t−ブトキシスチレン17.71g(100.5mmol)にジブチルマグネシウム溶液0.19g(0.3mmol)を加えたものを4分かけて滴下し、滴下終了後、45分攪拌し、メタノールを加えて反応を停止させた。反応を停止させたこの溶液をガスクロマトグラフィーで測定してみるとモノマーは残存していなかった。また、得られた溶液をGPCで測定したところ、分子量(Mw)47200、分散度=1.23のポリマーの生成が確認された。

Claims (10)

  1. アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを所定の時間反応させて反応液を得る工程(A)と、工程(A)より後に以下の工程(B)〜工程(D)のいずれかの工程とを有する、アニオン重合による重合体の製造方法であって、所定の時間が、アニオン重合反応後に分散度1.3以下の重合体が得られうる時間であることを特徴とする重合体の製造方法。
    ・工程(B):工程(A)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
    ・工程(C):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(A)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
    ・工程(D):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(A)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
    Figure 2007327038
    [式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rはアニオン重合を阻害しない基で置換されていてもよいアルキル基又はシクロアルキル基を表し、Rは各々独立してアルキル基又はアルコキシ基を表し、mは0〜4のいずれかの整数を表す。]
  2. 工程(A)における溶媒中のアニオン重合開始剤を、溶媒中の一般式(I)で表される化合物(i)に対して0.2倍モル以上含有させることを特徴とする請求項1に記載の重合体の製造方法。
  3. アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを混合して、すべての前記化合物(i)を反応させて反応液を得る工程(a)と、工程(a)より後に以下の工程(b)〜工程(d)のいずれかの工程とを有する、アニオン重合による重合体の製造方法。
    ・工程(b):工程(a)における反応液に、アニオン重合性不飽和結合を有する化合物を添加して、アニオン重合体を重合する工程
    ・工程(c):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物に、工程(a)における反応液を添加して、アニオン重合体を重合する工程
    ・工程(d):アニオン重合性不飽和結合を有する化合物と、工程(a)における反応液とを混合して、アニオン重合体を重合する工程
    Figure 2007327038
    [式中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Rはアニオン重合を阻害しない基で置換されていてもよいアルキル基又はシクロアルキル基を表し、Rは各々独立してアルキル基又はアルコキシ基を表し、mは0〜4のいずれかの整数を表す。]
  4. 工程(a)が、アニオン重合開始剤を含む溶媒に、一般式(I)で表される化合物(i)を、溶媒に対して1質量%以下となるように添加し、撹拌下で前記化合物(i)と前記アニオン重合開始剤とを混合して、少なくとも2分間反応させて反応液を得る工程(a’)であることを特徴とする請求項3に記載の重合体の製造方法。
  5. 工程(a)又は(a’)における溶媒中のアニオン重合開始剤を、溶媒中の一般式(I)で表される化合物(i)に対して0.2倍モル以上含有させることを特徴とする請求項3又は4に記載の重合体の製造方法。
  6. アニオン重合開始剤が、有機アルカリ金属化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  7. 有機アルカリ金属化合物が、アルキルリチウムであることを特徴とする請求項6に記載の重合体の製造方法。
  8. 溶媒が、極性溶媒であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  9. アニオン重合性不飽和結合を有する化合物が、一般式(I)で表される化合物(i)であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  10. アニオン重合性不飽和結合を有する化合物が、工程(A)又は(a)で用いられる一般式(I)で表される化合物(i)と同一化合物であることを特徴とする請求項9に記載の重合体の製造方法。
JP2007119503A 2006-05-10 2007-04-27 アニオン重合による重合体の製造方法 Active JP5121045B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007119503A JP5121045B2 (ja) 2006-05-10 2007-04-27 アニオン重合による重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006132000 2006-05-10
JP2006132000 2006-05-10
JP2007119503A JP5121045B2 (ja) 2006-05-10 2007-04-27 アニオン重合による重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007327038A true JP2007327038A (ja) 2007-12-20
JP5121045B2 JP5121045B2 (ja) 2013-01-16

Family

ID=38927714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007119503A Active JP5121045B2 (ja) 2006-05-10 2007-04-27 アニオン重合による重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5121045B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05170920A (ja) * 1991-12-20 1993-07-09 Nippon Soda Co Ltd 変性ポリシロキサン化合物の製造方法
JPH10298235A (ja) * 1997-04-22 1998-11-10 Mitsui Chem Inc 狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)の製造方法
JPH11209429A (ja) * 1998-01-23 1999-08-03 Fuji Xerox Co Ltd アルコキシスチレン重合体の製造方法およびアルコキシスチレン重合体
US6218485B1 (en) * 1995-09-19 2001-04-17 Nippon Soda Co., Ltd. Process for producing narrow polydispersity alkenylphenol polymer
WO2005121189A1 (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Nippon Soda Co., Ltd. アニオン重合体の製造方法
JP2007070452A (ja) * 2005-09-06 2007-03-22 Nippon Soda Co Ltd アニオン重合による重合体の製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05170920A (ja) * 1991-12-20 1993-07-09 Nippon Soda Co Ltd 変性ポリシロキサン化合物の製造方法
US6218485B1 (en) * 1995-09-19 2001-04-17 Nippon Soda Co., Ltd. Process for producing narrow polydispersity alkenylphenol polymer
JPH10298235A (ja) * 1997-04-22 1998-11-10 Mitsui Chem Inc 狭分散性のポリ(p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン)の製造方法
JPH11209429A (ja) * 1998-01-23 1999-08-03 Fuji Xerox Co Ltd アルコキシスチレン重合体の製造方法およびアルコキシスチレン重合体
WO2005121189A1 (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Nippon Soda Co., Ltd. アニオン重合体の製造方法
JP2007070452A (ja) * 2005-09-06 2007-03-22 Nippon Soda Co Ltd アニオン重合による重合体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5121045B2 (ja) 2013-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007070453A (ja) ブロック共重合体の製造方法
JP5189746B2 (ja) スチレン系重合体の製造方法
JP2007217557A (ja) 重合溶媒の精製方法および重合方法
JP5121045B2 (ja) アニオン重合による重合体の製造方法
JPWO2010109928A1 (ja) ビニルエーテル系星型ポリマーおよびその製造方法
JP5090792B2 (ja) 重合体の製造方法
EP1775308B1 (en) Method for producing anionic polymer
JP4865279B2 (ja) アニオン重合による重合体の製造方法
JP5362185B2 (ja) 重合安定化剤を用いたリビングアニオン重合法による重合体の製造方法
JP5226239B2 (ja) スチレン系ポリマーの製造方法
JP5021356B2 (ja) スチレン系重合体の製造方法
JP2002206003A (ja) アニオン重合体の製造方法
JP3887004B2 (ja) 重合体の製造方法
JP2005281688A (ja) アニオン重合体の製造方法
JP4879679B2 (ja) ビニル(メタ)アクリル酸エステル線状重合体、及びその製造方法
JP5184769B2 (ja) 活性水素を含有するモノマーを用いた重合体の製造方法
JP5567324B2 (ja) アニオン重合による重合体の製造方法
JP3870527B2 (ja) アルコキシスチレン重合体の製造方法
JP4971652B2 (ja) (メタ)アクリレート重合体の製造方法
JP5090793B2 (ja) ポリマーの製造方法
JP5550519B6 (ja) アニオン重合体の製造方法
JP5550519B2 (ja) アニオン重合体の製造方法
JP2001055404A (ja) アクリルモノマーと非アクリルコモノマーとの共重合体の製造方法
JP2005048119A (ja) アルケニルフェノール系共重合体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120628

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120824

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121018

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121022

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151102

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5121045

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250