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JPH11209429A - アルコキシスチレン重合体の製造方法およびアルコキシスチレン重合体 - Google Patents

アルコキシスチレン重合体の製造方法およびアルコキシスチレン重合体

Info

Publication number
JPH11209429A
JPH11209429A JP1150598A JP1150598A JPH11209429A JP H11209429 A JPH11209429 A JP H11209429A JP 1150598 A JP1150598 A JP 1150598A JP 1150598 A JP1150598 A JP 1150598A JP H11209429 A JPH11209429 A JP H11209429A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkoxystyrene
polymer
molecular weight
polymerization
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP1150598A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3870527B2 (ja
Inventor
Yoshihiro Inaba
義弘 稲葉
Satoshi Hiraoka
智 平岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP01150598A priority Critical patent/JP3870527B2/ja
Publication of JPH11209429A publication Critical patent/JPH11209429A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3870527B2 publication Critical patent/JP3870527B2/ja
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F12/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an aromatic carbocyclic ring
    • C08F12/02Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical
    • C08F12/04Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring
    • C08F12/14Monomers containing only one unsaturated aliphatic radical containing one ring substituted by hetero atoms or groups containing heteroatoms
    • C08F12/16Halogens
    • C08F12/20Fluorine

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  • Chemical & Material Sciences (AREA)
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  • Medicinal Chemistry (AREA)
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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アニオンリビング重合を利用して、数平均分
子量で10000以上であり、分子量分布がMw/Mn
=1.10以下の狭い分子量分布をもつアルコキシスチ
レン重合体を高収率で製造できるアルコキシスチレン重
合体の製造方法を提供する。 【解決手段】 重合開始温度未満の温度で、ルイス塩基
を含有する炭化水素溶媒中、アルコキシスチレンとアニ
オン重合開始剤を混合する工程と、該混合物を加温して
重合させる工程とを有するアルコキシスチレン重合体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感光性材料である
アルコキシスチレン重合体の製造方法に関し、さらに、
詳しくは、数平均分子量が10000以上で、狭い分子
量分布を有するアルコキシスチレン重合体の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】アルコキシスチレン重合体は酸を作用さ
せることでビニルフェノール重合体に変換することがで
きる。この反応は第1級水酸基の脱保護反応として知ら
れている。従って、アルコキシスチレン重合体に光酸発
生剤を含有させ光照射すれば、いわゆる化学増幅作用に
よって疎水性のアルコキシスチレン重合体から親水性の
ビニルフェノール重合体に変換することが可能である。
この光による物性変換はフォトレジストあるいは光粘着
剤等に利用することができる。例えば、色材協会誌67
〔7〕,449(1994)で述べられているように、
集積度を増したLSIの加工には、化学増幅タイプのフ
ォトレジストが有望とされており、その中でもアルコキ
シスチレン重合体は高解像度フォトレジストとして期待
されている。さらに、変換した後のビニルフェノール重
合体の水酸基は高分子反応によって他のさまざまな官能
基に変換することが可能である。これらアルコキシスチ
レン重合体は、機械的な強度、被着体への接着性、耐溶
剤性、および解像度の点で、比較的高分子量で狭い分子
量分布を有することが好ましい。
【0003】狭い分子量分布を有する重合体の製造に
は、一般に、リビング重合が有効である。リビング重合
では、あらかじめ製造しようとする重合体の分子量を
{モノマー量(mol)/開始剤量(mol)} ×
(モノマーの分子量)で計算される分子量に制御でき
る。さらに重合終了後も重合体の活性末端が“生きて
(リビング)”いるので他のモノマーとのブロック共重
合体の作製を行うことができる。この場合にも、あらか
じめ製造しようとするブロック共重合体の各セグメント
の分子量を{モノマー量(mol)/活性末端基量(m
ol)} ×(モノマーの分子量)で計算される分子量
に制御できる。さらに重合終了後も重合体の活性末端が
依然として生きているので他のモノマーとの多種多様な
ブロック共重合体の作製、ブロック共重合体末端への官
能基の導入などを行うことができる。
【0004】しかしながら、一般にアルコキシ基のよう
な極性基が存在すると副反応のためリビング性が低下す
ることが知られている。ここで、リビング性の評価尺度
の一つとして、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)との比Mw/Mnが分子量分布と称され、よく
使用されている。この分子量分布Mw/Mnが1.10
より小さいとき理想的なリビング重合が進行したとみな
してよい。Mw/Mnが1.10より大きいものはリビ
ング性が低いと判断できる。
【0005】アニオンリビング重合を利用した分子量分
布が狭いアルコキシスチレン重合体の製造方法として、
特公昭63−36602号公報には、sec−ブチルリ
チウムを重合開始剤として使用し、溶剤としてベンゼン
を用いてp−tert−ブトキシスチレンモノマーをア
ニオン重合させたという記載がある。該公報には肝心な
重合温度、重合時間等の重合条件が全く記載されていな
いが、一般に、ベンゼン等の炭化水素溶媒中でのアニオ
ンリビング重合の進行は遅いことが知られており、炭化
水素溶媒を用いる場合には、反応促進のため、重合温度
を高くするのが通常である。しかしながら、p−ter
t−ブトキシスチレンモノマーは、スチレン部のビニル
基だけでなくp位にtert−ブトキシ基を有するた
め、重合温度を高くすると、重合反応中に副反応が起こ
り、n−ブチルリチウムを使用した通常のアニオン重合
は、現実には、単分散性が低い、すなわちリビング性が
低いものになるという問題があった。さらに、sec−
ブチルリチウムは、反応性には優れているが、アニオン
重合で一般に使用されているn−ブチルリチウムに比べ
価格が高いというコスト面での欠点を有し、しかも低温
で保存しなければならないという取り扱い上の欠点も有
する。
【0006】また、該公報にはスチレンモノマーとp−
tert−ブトキシスチレンモノマーを二段階で投入
し、ブロック共重合させたという記載がある。しかしな
がら、該公報には分子量分布Mw/Mnに関する具体的
な記述はなく、重合温度、重合時間等の重合条件が全く
記載されていない。我々の実験ではスチレンモノマーと
p−tert−ブトキシスチレンモノマーを二段階で投
入しても副反応が起こり、分子量分布が狭いブロック共
重合体は得られなかった。
【0007】特開平3−277608号公報には、ナト
リウムあるいはカリウムなどのアルカリ金属を重合開始
剤として使用し、この開始剤を溶解させたTHF溶液に
p−tert−ブトキシスチレンモノマーをゆっくり滴
下しアニオン重合させて重合体を作製する方法が提案さ
れている。また、該公報には開始剤を溶解させたTHF
溶液にブタジエンモノマーをゆっくり滴下しアニオン重
合させた後、p−tert−ブトキシスチレンモノマー
をゆっくり滴下しアニオン重合させることによりブタジ
エンとp−tert−ブトキシスチレンとのブロック共
重合体を作製する方法が提案されている。しかしなが
ら、この方法では分子量分布がMw/Mn=1.10よ
り小さな分子量分布をもつ重合体、いわゆる単分散性重
合体は得られない。さらに、一般に、THF等の極性溶
媒中でのアニオンリビング重合の進行は速く、発熱を伴
うため、極低温でモノマーを滴下するのが通常である
が、開始剤を溶解させたTHF溶液にモノマーを滴下す
るのに長時間を要し、重合を完結させるためにさらに長
時間の反応を要するという欠点があった。また、ナトリ
ウムなどのアルカリ金属は保存性に問題があり、分散媒
体中に溶解した酸素により、金属表面に酸化物が生成し
活性が低下するという欠点があった。
【0008】特開平6−298869号公報には、重合
溶媒として炭化水素系溶剤を使用し、テトラヒドロフラ
ンを溶媒に対し、0.2〜10wt%添加し、sec−
ブチルリチウムでアニオン重合する方法が提案されてい
る。しかしながら、この方法では数平均分子量Mnが1
0000以下の場合はMw/Mn=1.10以下の狭い
分子量分布をもつ重合体が得られるものの、数平均分子
量が10000以上の分子量をもつ重合体を得ようとす
ると、理由は定かではないが、分子量分布が広がり、リ
ビング性が悪化するという欠点があった。また、重合開
始剤で使用しているsec−ブチルリチウムは、前述の
通り、アニオン重合で一般に使用されているn−ブチル
リチウムに比べ価格が高いというコスト面での欠点を有
し、しかも低温で保存しなければならないという取り扱
い上の欠点も有する。
【0009】以上の通り、数平均分子量が10000以
上で、狭い分子量分布を有するアルコキシスチレン重合
体の製造方法は確立されていないのが現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の第一
の目的は、アニオンリビング重合を利用して、数平均分
子量で10000以上であり、分子量分布がMw/Mn
=1.10以下の狭い分子量分布をもつアルコキシスチ
レン重合体を高収率で製造できるアルコキシスチレン重
合体の製造方法を提供することにある。本発明の第二の
目的は、重合開始剤としてアニオン重合で一般に使用さ
れているn−ブチルリチウムが使用できるアルコキシス
チレン重合体の製造方法を提供することにある。本発明
の第三の目的は、アルコキシスチレンリビング重合体に
他のモノマーを添加し、分子量分布がMw/Mn=1.
10以下の狭い分子量分布をもつブロック共重合体を高
収率で製造できるアルコキシスチレン重合体の製造方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
の結果、上記目的を達成可能なアルコキシスチレン重合
体の製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明は、重合開始温度未満の温度で、ルイス
塩基を含有する炭化水素溶媒中、アルコキシスチレンと
アニオン重合開始剤を混合する工程と、該混合物を加温
して重合させる工程とを有することを特徴とするアルコ
キシスチレン重合体の製造方法である。
【0012】従来の製造方法においては、重合開始剤に
よって発生したアニオンの重合反応性を溶媒の極性を高
めることによって上げてきたのであるが、アニオンの重
合反応性が高くなると発熱が大きくなる。この反応時の
発熱を抑制するためにはモノマーの添加速度を落とし、
反応温度を低下させる必要がある。従って、従来の製造
方法において、数平均分子量で10000以上であり、
分子量分布がMw/Mn=1.10以下の狭い分子量分
布をもつアルコキシスチレン重合体が得られていないの
は、溶媒の極性を高めて、重合反応速度が速くなった場
合には、個々のアニオンリビングの発生時間のずれが生
じ、これが重合体の分子量分布に大きな影響を与えるた
めであると推察される。すなわち、重合体の分子量は反
応時間に比例して大きくなり、先に発生したアニオンリ
ビングはより大きな分子量の重合体を与えるのである。
【0013】これに対し、本発明の特徴は、テトラヒド
ロフランのようなルイス塩基を存在させた炭化水素系溶
媒にアルコキシスチレンモノマーを溶解させ、実質的に
重合を開始させない温度でアニオン重合開始剤を添加し
た後、加温させて重合させる点にある。すなわち、炭化
水素系溶媒にルイス塩基を存在させることにより、アニ
オンの重合反応性を高め、また、重合開始温度よりも低
温で、アルコキシスチレンモノマーと重合開始剤とを混
合して均一な系とし、その後、昇温することにより、ア
ニオンリビングを同時に発生させることができ、高分子
量で、狭い分子量分布をもつアルコキシスチレン重合体
が得られるものと考えられる。このように、アニオンリ
ビングの発生時期を制御するという考え方は従来無かっ
たものである。
【0014】本発明のアルコキシスチレン重合体の製造
方法は、理想的なリビングアニオン重合であり、本発明
によれば、数平均分子量で10000以上の重合体を分
子量分布がMw/Mn=1.10以下の極めて狭い分子
量分布をもつ重合体として、高収率で製造することがで
きる。
【0015】
【発明の実施の形態】ルイス塩基としては、テトラヒド
ロフラン、1,4−ジオキサン、エチルエーテルなどの
エーテル類、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N
−メチルピロリジンなどの三級アミン類を使用できる。
この中でも、特にテトラヒドロフランの添加が効果的で
ある。添加量は上記溶媒に対して0.1重量%以上10
重量%以下、好ましくは0.5重量%以上5重量%以下
である。
【0016】溶媒中にはルイス塩基を添加する理由は、
1983年発行のAdvancedPolymer S
cience第49巻に掲載されているMichael
Szwarcの論文「Living Polymers
and Mechanism of Anionic
Polymerization」の67〜68項に記
載されているとおり、テトラヒドロフランのようなルイ
ス塩基は、重合開始反応を速める効果があるからであ
る。本発明においても、ルイス塩基を添加することによ
り、加温時の開始反応速度を促進させ分子量分布を狭く
する効果がある。
【0017】炭化水素系溶媒としては、メチルシクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘキセン等の脂
肪族炭化水素系化合物、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、アルキルナフタレン等の芳香族炭化水素系化合物が
利用できる。この中でも反応後に溶剤の再利用のしやす
さから比較的沸点の低いメチルシクロヘキサン、トルエ
ンが好ましい。
【0018】本発明では、アルコキシスチレンをモノマ
ーとしてリビングアニオン重合をさせる。本発明のアル
コキシスチレンは下記一般式(1)で表され、
【0019】
【化1】
【0020】式中、R1 ,R2 ,R3 は炭素数1〜12
のアルキル基である。蒸留精製の容易さの点で、R1
2 ,R3 は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、
具体的には、p−tert−ブトキシスチレン等の、常
圧で300℃以下の沸点を有するアルコキシスチレンを
モノマーとして使用するのが好ましい。
【0021】本発明において、前記の一般式(1)で表
されるアルコキシスチレンモノマーをアニオン重合させ
る際に使用する重合開始剤としては、n−ブチルリチウ
ム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウ
ム、ナトリウムナフタレン、リチウムナフタレン、ナト
リウムアントラセン、α−メチルスチレンテトラマーナ
トリウムなどリビングアニオン重合で使用されている公
知の有機金属化合物が使用できるが、価格、取り扱いの
面でn−ブチルリチウムを使用することがより好まし
い。
【0022】使用する溶媒、モノマーおよび添加剤は、
重合に先だって不純物を除き、乾燥剤存在下で分留管等
を用いて減圧蒸留した後、使用することが好ましい。乾
燥剤としては、通常のアニオン重合で使用されている乾
燥剤を使用できる。例えば、ナトリウム、水素化リチウ
ムアルミニウム、水素化カルシウム、モレキュラーシー
ブス、シリカゲル、活性アルミナ、五酸化リン、酸化バ
リウムなどが使用できる。
【0023】本発明のアルコキシスチレン重合体の製造
方法は、重合開始温度未満の温度で、ルイス塩基を含有
する炭化水素溶媒中、アルコキシスチレンモノマーとア
ニオン重合開始剤を混合する工程(以下、混合工程とい
う。)と、該混合物を加温して重合させる工程(以下、
重合工程という。)とを有している。
【0024】混合工程において、重合開始温度未満の温
度とは、開始剤とアルコキシスチレンモノマーとが反応
して活性種であるアルコキシスチリルアニオンが実質的
に生成していない状態での温度をいい、アルコキシスチ
リルアニオンに起因する反応液の呈色がなく、無色透明
状態にあるときの温度をいう。具体的には、たとえば、
n−ブチルリチウムであれば、反応系を−50℃以下の
温度、好ましくは−55℃以下の温度にする。
【0025】混合の方法は、特に限定されるものではな
く、アルコキシスチレンモノマーをルイス塩基を存在さ
せた炭化水素系溶媒に溶解させ、ここにアニオン重合開
始剤を添加してもよく、ルイス塩基を存在させた炭化水
素系溶媒にアニオン重合開始剤を溶解させ、ここにアル
コキシスチレンモノマーを添加してもよい。また、ルイ
ス塩基を存在させた炭化水素系溶媒にアニオン重合開始
剤を溶解させ、重合開始温度未満の温度で、アルコキシ
スチレンモノマーの一部を添加し、加温させたのち、残
りのモノマーを添加して重合させることもできる。
【0026】重合工程において、加温の温度、すなわち
重合温度は、重合開始温度以上であれば特に制限はな
く、反応時間との関係で、最適化される。具体的には、
たとえば、n−ブチルリチウムであれば、−50℃以上
の温度、好ましくは−20℃以上の温度まで加温し重合
を行わせる。−50℃より低い温度では重合体の収率が
悪くなる。
【0027】アルコキシスチレンモノマーの濃度は、ル
イス塩基を含有する炭化水素溶媒に対して1重量%以上
50重量%以下、好ましくは5重量%以上40重量%以
下である。50重量%を超えると、溶液粘度が増大し、
副反応が生じ易くなり、1重量%より少ないと、生産性
が低下するからである。
【0028】また、水分、酸素等との反応を防止するた
めに、重合は高真空下あるいは高純度の窒素ガス、アル
ゴンガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが望まし
い。
【0029】重合の停止は水、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール等の一般的な停
止剤を反応系に添加すればよい。停止剤を添加するとア
ルコキシスチリルアニオンに起因する重合体溶液の紅茶
色が一瞬にして消失するので停止したことが容易にわか
る。さらに、ジクロロシラン、テトラクロロシランなど
の多官能カップリング剤を使用すれば重合の停止と同時
に重合体鎖の延長、分岐重合体の形成などをおこなうこ
ともできる。
【0030】重合反応停止後の重合体溶液はメチルアル
コール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等
のモノマーは溶解するが重合体は溶解しにくい溶剤中に
あけ、重合体を析出させて分離することができる。この
操作の前に、停止後の重合体溶液をイオン交換水あるい
は蒸留水等で洗浄し、微量のイオン性物質を除去するこ
ともできる。
【0031】本発明のもう一つの特徴は、上記のように
重合させたアルコキシスチレンが理想的なリビング重合
体になっていることを利用してブロック共重合体を作製
することにある。すなわち、アルコキシスチレンモノマ
ーを、上記方法により重合させた後、重合の停止を行わ
ないで、二番目のモノマーを添加してブロック共重合体
を作製することにある。アルコキシスチレンモノマーと
共重合可能なモノマーとしては、1,3ブタジエン、イ
ソプレンのごとき共役ジエン類、スチレン、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、p−ブチルスチレンな
どのビニル芳香族化合物類、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブ
チルなどの(メタ)アクリル酸エステル類があげられ
る。
【0032】本発明のアルコキシスチレン重合体は、上
記製造方法により得られてなるものであり、数平均分子
量で10000以上の重合体を分子量分布がMw/Mn
=1.10以下の極めて狭い分子量分布をもつ重合体で
ある。
【0033】
【実施例】
【0034】(実施例1)p−tert−ブトキシスチ
レンを10重量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、
蒸留水でよく水洗した後、硫酸マグネシウムで予備乾燥
させた。次に、硫酸マグネシウムをろ別し、水素化カル
シウムを加えて減圧蒸留した。このようにして精製した
p−tert−ブトキシスチレン28g(0.16モ
ル)と、同じく水素化カルシウムを加えて還流した後、
減圧蒸留して精製したトルエン150gおよび精製した
テトラヒドロフラン0.60g(8.3×10-3モル)
を窒素雰囲気下で、あらかじめ十分乾燥させた300m
lのガラス製反応容器に入れた。この反応液を攪拌しな
がら−58℃まで冷却し、この中に濃度1.6モル/リ
ットルのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(和光純薬社
製)1.2ml(1.9×10-3モル)を注射器で注入
した。この時点では反応液は無色透明であった。次にこ
の反応系を−15℃まで加温したところ、反応液は−5
5℃から−50℃の間で淡黄色に呈色し続いて紅茶色に
変わった。このまま−15℃で3時間反応させた後、メ
タノールを加えて反応を停止させた。メタノールを添加
すると反応液の紅茶色が一瞬にして消失した。この反応
液をイソプロパノールにあけ、白色重合体を析出させ
た。この白色重合体をろ別した後80℃で真空乾燥さ
せ、27gのp−tert−ブトキシスチレン重合体を
得た(収率96%)。GPC溶出曲線から分子量および
分布を求めたとこMn=15000、Mw/Mn=1.
04であり、きわめて単分散性の高いものであった。
【0035】(実施例2)実施例1と同様に、精製乾燥
したトルエン150gおよびテトラヒドロフラン0.6
0g(8.3×10-3モル)を500mlのガラス製反
応容器に入れた。攪拌しながらこの反応系を−78℃ま
で冷却し、1.6モル/リットルのn−ブチルリチウム
ヘキサン溶液(和光純薬社製)1.2ml(1.9×1
-3モル)を反応系に注射器で注入した。続いて実施例
1と同様に精製したp−tert−ブトキシスチレン5
g(2.8×10-2モル)を注射器で注入した。この時
点では反応系は無色透明であった。次にこの反応系を−
40℃まで加温したところ、反応液は−55℃から−5
0℃の間で淡黄色に呈色し続いて紅茶色になった。−4
0℃に保持したまま、追加のp−tert−ブトキシス
チレン20g(0.11モル)を1時間かけて滴下し
た。滴下終了後、−15℃でさらに3時間反応させた
後、メタノールを加えて反応を停止させた。この反応液
を200gのイオン交換水で洗浄した後、トルエン層を
イソプロパノール中にあけ白色重合体を析出させた。こ
の白色重合体をろ別した後80℃で真空乾燥させ、24
gのp−tert−ブトキシスチレン重合体を得た(収
率96%)。GPC溶出曲線から分子量および分布を求
めたところMn=13000、Mw/Mn=1.06で
あり、きわめて単分散性の高いものであった。
【0036】(比較例1)1.6モル/リットルのn−
ブチルリチウムヘキサン溶液(和光純薬社製)1.2m
l(1.9×10-3モル)を−78℃で反応系に注入
し、そのまま−78℃で反応させた以外は実施例1と全
く同様に反応させた。この反応液をイソプロパノールに
あけたところ、重合体は析出しなかった。
【0037】(比較例2)1.6モル/リットルのn−
ブチルリチウムヘキサン溶液(和光純薬社製)1.2m
l(1.9×10-3モル)を−15℃で反応系に注入
し、そのまま−15℃で反応させた以外は実施例1と全
く同様に反応させたところ、26gのp−tert−ブ
トキシスチレン重合体を得た(収率93%)。GPC溶
出曲線から分子量および分布を求めたとこMn=220
00、Mw/Mn=1.24であり、分子量分布は広い
ものであった。
【0038】(比較例3)実施例1と同様にして精製し
たp−tert−ブトキシスチレン28g(0.16モ
ル)と、精製したテトラヒドロフラン150gを窒素雰
囲気下で、あらかじめ十分よく乾燥させた300mlの
ガラス製反応容器に入れた。この反応系を攪拌しながら
−78℃まで冷却し、この中に1.6モル/リットルの
n−ブチルリチウムヘキサン溶液(和光純薬社製)1.
2ml(1.9×10-3モル)を注射器で注入した。こ
の時点で反応液はオレンジ色に変わった。次にこの反応
系を−15℃まで加温し3時間反応させた後、メタノー
ルを加えて反応を停止させた。この反応液をイソプロパ
ノールにあけ、白色重合体を析出させた。この白色重合
体をろ別した後80℃で真空乾燥させ、27gのp−t
ert−ブトキシスチレン重合体を得た(収率96
%)。GPC溶出曲線から分子量および分布を求めたと
ころMn=33000、Mw/Mn=1.89であり、
単分散性の低いものであった。
【0039】(比較例4)p−tert−ブトキシスチ
レンを10重量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、
蒸留水でよく水洗した後、硫酸マグネシウムで予備乾燥
させた。次に、硫酸マグネシウムをろ別し、水素化カル
シウムを加えて減圧蒸留した。このようにして精製した
p−tert−ブトキシスチレン28g(0.16モ
ル)と、同じく水素化カルシウムを加えて還流した後、
減圧蒸留して精製したベンゼン150gおよび精製した
テトラヒドロフラン0.60g(8.3×10-3モル)
を窒素雰囲気下で、あらかじめ十分乾燥させた300m
lのガラス製反応容器に入れた。この反応液を攪拌しな
がらベンゼンの融点(5.5℃)に近い7℃まで冷却
し、この中に濃度12重量%のsec−ブチルリチウム
ヘキサン溶液(ケメタジャパン社製)1.6ml(1.
9×10-3モル)を注射器で注入した。このまま7℃で
3時間反応させた後、メタノールを加えて反応を停止さ
せた。メタノールを添加すると反応液の紅茶色が一瞬に
して消失した。この反応液をイソプロパノールにあけ、
白色重合体を析出させた。この白色重合体をろ別した後
80℃で真空乾燥させ、27gのp−tert−ブトキ
シスチレン重合体を得た(収率96%)。GPC溶出曲
線は、鋭いピークの他に、いくつかのピークが存在して
おり、得られたポリマーは多分散性であることが分かっ
た。GPC溶出曲線から分子量および分布を求めたとこ
Mn=38000で、{モノマー量(モル)/開始剤量
(モル)}×(モノマーの分子量)から計算される分子
量より大きかった。このように、ベンゼン中で、sec
−ブチルリチウムを使用して重合すると理想的なリビン
グ重合にはならなかった。
【0040】(実施例3)実施例1と同様にして精製し
たp−tert−ブトキシスチレン28g(0.16モ
ル)、トルエン150gおよびテトラヒドロフラン0.
60g(8.3×10-3モル)を窒素雰囲気下で、あら
かじめ十分乾燥させた300mlのガラス製反応容器に
入れた。この反応系を攪拌しながら−58℃まで冷却
し、この中に1.6モル/リットルのn−ブチルリチウ
ムヘキサン溶液(和光純薬社製)1.2ml(1.9×
10-3モル)を注射器で注入した。この時点では反応液
は無色透明であった。次にこの反応系を−15℃まで加
温したところ、反応液は−55℃から−50℃の間で淡
黄色に呈色し続いて紅茶色に変わった。このまま−15
℃で3時間反応させた後、一旦、−58℃まで下げ、こ
の中に精製したスチレンモノマー17g(0.16モ
ル)を入れ再び−15℃で3時間反応させた。反応終了
後、メタノールを加えて反応を停止させた。メタノール
を添加すると反応液の紅茶色が一瞬にして消失した。こ
の反応液をイソプロパノールにあけ、白色重合体を析出
させた。この白色重合体をろ別した後80℃で真空乾燥
させ、44gのp−tert−ブトキシスチレンとスチ
レンからなるブロック重合体を得た(収率98%)。G
PC溶出曲線から分子量および分布を求めたところMn
=24000、Mw/Mn=1.09であり、きわめて
単分散性の高いものであった。
【0041】(比較例5)1. 6モル/リットルのn
−ブチルリチウムヘキサン溶液(和光純薬社製)1.2
ml(1.9×10-3モル)を−15℃で反応系に注入
し、そのまま−15℃で反応させた以外は実施例3と全
く同様に反応させたところ、32gのp−tert−ブ
トキシスチレン重合体スチレンブロック共重合体を得た
(収率71%)。GPC溶出曲線から分子量および分布
を求めたとこMn=42000、Mw/Mn=1.28
であり、分子量分布は広いものであった。
【0042】以上の実施例と比較例の結果を分子量(数
平均分子量Mn)の設計値とともに表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】実施例1、2から、本発明の製造方法によ
れば、理想的なアニオンリビング重合を行うことがで
き、数平均分子量で10000以上であり、分子量分布
がMw/Mn=1.10以下の狭い分子量分布をもつア
ルコキシスチレン重合体を高収率で製造できることが分
かる。また、その製造方法においては、n−ブチルリチ
ウムを使用できることが分かる。一方、重合開始温度未
満の温度(n−ブチルリチウムの場合は−78℃)のま
までは、重合反応は全く進行せず(比較例1)、重合開
始温度以上の温度で、アルコキシスチレンとアニオン重
合開始剤を混合した場合には、分子量分布が拡がってし
まい(比較例2)、反応溶媒を極性溶媒であるTHFの
みにした場合は、単分散性が低下する(比較例3)。ま
た、特公昭63−36602号公報にあるように、ベン
ゼン中で、sec−ブチルリチウムを使用して重合する
と、理想的なリビング重合にはならず、多分散性であっ
た(比較例4)。
【0045】実施例3から、本発明の製造方法によれ
ば、アルコキシスチレンリビング重合体に他のモノマー
を添加することで、分子量分布がMw/Mn=1.10
以下の狭い分子量分布をもつブロック共重合体を高収率
で製造できることが分かる。一方、重合開始温度以上の
温度で、アルコキシスチレンとアニオン重合開始剤を混
合した場合には、分子量分布が拡がってしまうことが分
かる(比較例5)。
【0046】
【発明の効果】本発明のアルコキシスチレン重合体の製
造方法は、理想的なリビングアニオン重合であり、数平
均分子量で10000以上の重合体を分子量分布がMw
/Mn=1.10以下の極めて狭い分子量分布をもつ重
合体として、高収率で製造することができる。すなわ
ち、本発明の製造方法はきわめて高いリビング性を有し
ており、製造しようとする重合体の分子量あるいはブロ
ック共重合体の各セグメントの分子量を{モノマー量
(モル)/開始剤量(モル)} ×(モノマーの分子
量)で計算される分子量に制御できる。したがって、本
発明の製造方法によれば、高い精度で所望の分子量をも
つ重合体を作製することができる。また、使用する重合
開始剤としては、アニオン重合で一般に使用されている
n−ブチルリチウムを使用することができ、価格と取り
扱いの面で欠点をもつsec−ブチルリチウムを使う必
要が無い。また、本発明はあらかじめ開始剤を溶解させ
た反応液にモノマーを滴下しながら反応を進行させる方
法だけでなく、あらかじめモノマーを溶解させた反応液
に開始剤を投入して一気に反応させる方法も適用できる
ので、反応を短時間で完結することができる。さらに、
本発明の製造方法では、モノマーを消費した後も重合活
性を持ついわゆるリビング重合体ができるので、他のモ
ノマーを反応系に追加投入してブロック重合体を容易に
作製することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合開始温度未満の温度で、ルイス塩基
    を含有する炭化水素溶媒中、アルコキシスチレンとアニ
    オン重合開始剤を混合する工程と、該混合物を加温して
    重合させる工程とを有することを特徴とするアルコキシ
    スチレン重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記混合物を加温して重合する工程の後
    に、他のモノマーを追加して、ブロック共重合を行うこ
    とを特徴とする請求項1に記載のアルコキシスチレン重
    合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ルイス塩基が、テトラヒドロフラン
    であることを特徴とする請求項1または2に記載のアル
    コキシスチレン重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ルイス塩基の添加量が、溶媒に対
    し、0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項
    1から3までのいずれか一項に記載のアルコキシスチレ
    ン重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アニオン重合開始剤が、n−ブチル
    リチウムであることを特徴とする請求項1から4までの
    いずれか一項に記載のアルコキシスチレン重合体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記アニオン重合開始剤が、n−ブチル
    リチウムであり、−55℃以下の温度でアルコキシスチ
    レンとn−ブチルリチウムとを混合することを特徴とす
    る請求項5に記載のアルコキシスチレン重合体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記混合物を加温して重合させる工程に
    おいて、該重合を−50℃以上の温度で行うことを特徴
    とする請求項1から6までのいずれか一項に記載のアル
    コキシスチレン重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 得られるアルコキシスチレン重合体の数
    平均分子量が10000以上であることを特徴とする請
    求項1から7までのいずれか一項に記載のアルコキシス
    チレン重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から8までのいずれか一項に記
    載のアルコキシスチレン重合体の製造方法により得られ
    てなることを特徴とするアルコキシスチレン重合体。
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