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JP2007225079A - 斜め割りコンロッド用のすべり軸受 - Google Patents

斜め割りコンロッド用のすべり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】 合わせ面の近傍に形成される油溜まりや二次溝における軸受疲労を防止することができる斜め割りコンロッド用のすべり軸受を提供する。
【解決方法】 すべり軸受10aは、2分割大端部のうちの最大荷重を受ける側のロッド側大端部の内周面に固定されるすべり軸受10aの軸受内面15aに形成される油溜まり部12を円周方向に延びる所定ピッチの細溝13で形成することにより、細溝13の凸部13aが油膜を保持して負荷容量を落とすことがないため、軸受疲労によるクラックが発生しない。また、細溝13の凹部13bによって給油効果を保持することができると共に、キャビテーションの発生を抑制することができる。
【選択図】 図2

Description

内燃機関のピストンとクランクシャフトとを連結する斜め割りコンロッドの2分割大端部のそれぞれの内周面に固定されるように半割形状に形成されたすべり軸受に関するものである。
従来、発電機や船舶用の内燃機関のピストンとクランクシャフトとを連結するコンロッドは、その下方の大端部がシリンダ軸線に対して傾斜する面で分割するように形成されているため、その斜め割りコンロッドのそれぞれの内周面に固定される半割形状のすべり軸受も、その合わせ面がコンロッドの合わせ面と同一になるように組み付けられる。このため、すべり軸受における最大荷重を受ける部分が合わせ面に近い位置となっている。一方、すべり軸受の合わせ面に近い部分には、特開平3−48017号公報や特開2003−222119号公報に示されるように、すべり軸受とクランクシャフトとの間に潤滑油の供給をスムーズにして油膜を形成しやすくするため、あるいはキャビテーション対策として油溜まりや油溝(及び油溝に連通する二次溝)を形成している。
特開平3−48017号公報(第1図〜第4図) 特開2003−222119号公報(図1、図7)
しかしながら、上記したように、斜め割りコンロッドのそれぞれの内周面に固定される半割形状のすべり軸受は、その合わせ面がコンロッドの合わせ面と同一になるように組み付けられるため、合わせ面に近い油溜まりや二次溝が最大荷重を受ける部分に極めて近い位置にあり、このため、油溜まりや二次溝の、特にそれぞれの立ち上がり部にクラック等の軸受疲労が発生するという問題があった。
本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、合わせ面の近傍に形成される油溜まりや二次溝における軸受疲労を防止することができる斜め割りコンロッド用のすべり軸受を提供することにある。
上記した目的を達成するために採用された解決手段として、請求項1に係る発明は、内燃機関のピストンとクランクシャフトとを連結する斜め割りコンロッドの2分割大端部のそれぞれの内周面に固定されるように半割形状に形成されたすべり軸受において、前記2分割大端部のうちの最大荷重を受ける側の大端部の内周面に固定されるすべり軸受の軸受内面に形成される油溜まり部又は二次溝部を円周方向に延びる所定ピッチの細溝で形成したことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記油溜まり部又は二次溝部には、当該すべり軸受の片側端部まで形成される油溝が連通するように形成されていることを特徴とする。
更に、請求項3に係る発明は、前記軸受内面がボーリング加工によって微細溝を有するように形成されると共に、該微細溝のピッチと前記油溜まり部又は二次溝に形成される細溝の所定ピッチとが異なるように形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明においては、2分割大端部のうちの最大荷重を受ける側の大端部の内周面に固定されるすべり軸受の軸受内面に形成される油溜まり部又は二次溝部を円周方向に延びる所定ピッチの細溝で形成することにより、細溝の凸部が油膜を保持し、負荷容量を落とすことがないため、軸受疲労によるクラックが発生しない。また、細溝の凹部によって給油効果を保持することができると共に、キャビテーションの発生を抑制することができる。
また、請求項2に係る発明においては、前記油溜まり部又は二次溝部には、当該すべり軸受の片側端部まで形成される油溝が連通するように形成されているので、油溜まり部又は二次溝部の潤滑油の移動をスムーズに行うことができる。
更に、請求項3に係る発明においては、前記軸受内面がボーリング加工によって微細溝を有するように形成されると共に、該微細溝のピッチと前記油溜まり部又は二次溝部に形成される細溝の所定ピッチとが異なるように形成されているので、それらのピッチが同一ピッチの場合に比べて油溜まり部又は二次溝部の細溝から軸受内面の微細溝への潤滑油の移動がスムーズではなく、このため、充分に油溜まり部と二次溝部に潤滑油を保持することができると共に、最大荷重部への潤滑油の供給を徐々に行うことができるので、非焼付性や摺動特性が向上する。
以下、本発明の実施形態について図1乃至図4を参照して説明する。図1は、斜め割りコンロッド1の大端部を示す正面図であり、図2は、最大荷重を受けるアッパー側のすべり軸受10aの断面図(A)、底面図(B)、細溝部分の断面図(C)であり、図3は、二次溝が形成されるすべり軸受10aの断面図(A)、底面図(B)であり、図4は、油溜まり部の形状及び二次溝の形状がことなるすべり軸受10aの底面図である。
図1において、斜め割りコンロッド1は、シリンダ軸線に対して傾斜する合わせ面3,4に沿って2分割された大端部2を備えている。その2分割された大端部2のロッド側大端部2aとキャップ側大端部2bとは、合わせ面3,4を貫通するボルト挿通孔5,6に挿通される一対の連結ボルト7,8によって連結されている。また、2分割された大端部2のロッド側大端部2aとキャップ側大端部2bとを連結したときに、大端部2に形成される円形開口の内周面9a,9bに半割形状に形成されたすべり軸受10a,10bが固定されている。この場合、すべり軸受10a,10bの合わせ面が大端部2の合わせ面3,4と同一になるように組み付け固定されている。なお、大端部2のロッド側大端部2aはシリンダボア(図示しない)の上方からシリンダブロック内に挿入されるため、大端部2におけるシリンダボアの径方向に沿う幅Lは、シリンダボアの径よりも小さく形成されている。
また、本実施形態に係るすべり軸受10a,10bは、鋼製鉄板を円弧状に曲げて半割形状に形成されており、このすべり軸受10a,10bを2個組み合わせることにより円筒形に構成してクランクシャフト(図示省略)を回転可能に支持するものである。このすべり軸受10a,10bの軸受内面15a,15bは、非焼付性などすべり軸受10a,10bの軸受特性を満足するために、例えば、銅系合金、アルミニウム合金、錫系または鉛系合金の摺動材がライニングされており、必要に応じて錫系あるいは鉛系合金や合成樹脂系のオーバーレイが施されている。
また、図2に示すように、すべり軸受10a,10b(図2には一方のすべり軸受10aを示すが、他方のすべり軸受10bも同じ。)の軸受内面15a,15bには、すべり軸受10a,10bとすべり軸受10a,10bに支持されるクランクシャフトとの間に潤滑油を供給するための油溝11が、片側端部中央から円周方向に沿って形成されている。この油溝11は、所定の範囲に亘って一定の深さで形成される。ただし、2つのすべり軸受10a,10bのうち、最大荷重を受ける側のロッド側大端部2aの内周面に固定されるすべり軸受10aの軸受内面15aには、その油溝11と連通するように油溜まり部12が形成されている。この油溜まり部12は、潤滑油の供給をスムーズにして油膜を形成しやすくするため、あるいはキャビテーションによる侵食を防止するために形成されるものである。
ところで、上記した油溜まり部12は、図2(C)(図2(B)のa−a断面図、b−b断面図)に示すように、油溜まり部12自体が円周方向に延びる所定ピッチpの複数の細溝13によって形成されている。この細溝13の凸部13aの頂点を結ぶ線は、すべり軸受10aの軸受内面15aと合致する。そして、油溜まり部12の細溝13は、ボーリング加工によって形成される。なお、図示はしないが、軸受内面15a,15bもボーリング加工によって形成されている。そして、軸受内面15a,15bの凹凸のピッチ(例えば、0.02mm)と上記細溝13のピッチpとは、その寸法が異なるように形成されている。
なお、図2に示すすべり軸受10aは、外径(D)210mm×幅(W)80mm×肉厚(T)5mmの大きさで、油溜まり部12は、楕円形状(長径50mm×短径30mm)で深さ(h)0.2mm、細溝ピッチ(p)0.4mmで形成されている。また、すべり軸受10aの片側端部から油溜まり部12の中心位置までの角度(A)は80度となっている。もちろん、上記の寸法は、一例であり、発電機や船舶の内燃機関に用いられる斜め割りコンロッド用のすべり軸受の寸法として、外径(D)=120〜495mm,幅(W)=40〜280mm,肉厚(T)=3〜10mmの範囲のものが使用され、油溜まり部12として、深さ(h)=0.004〜0.200mm,細溝ピッチ(p)=0.1〜1.0mm、角度(A)=5〜90度の範囲で形成される。ただし、油溜まり部12の形状は、楕円形状に限らず、例えば、図4(A)に示すような横楕円形状の油溜まり部20や、図4(B)に示すような方形状の油溜まり部21であっても良い。更に、軸受内面15a,15bの凹凸ピッチと細溝13のピッチpが、1対10〜1対20の場合に良好な耐キャビテーション性が維持できる。
また、2つのすべり軸受10a,10bのうち、最大荷重を受ける側のロッド側大端部2aの内周面に固定されるすべり軸受10aの軸受内面15aには、図3に示すように、上記した油溜まり部12に代えて、油溝11から連続して徐々に浅くなるように傾斜状に形成される二次溝部14が形成されるものもある。この二次溝部14も潤滑油の供給をスムーズにして油膜を形成しやすくするため、耐キャビテーション性を低下させることなく、耐荷重性の向上を図ることができるものである。そして、図3に示す場合にも、二次溝部14は、油溜まり部12と同様に二次溝部14自体が所定ピッチpの複数の細溝13によって形成されている。なお、図3に示す二次溝部14は、方形状となっているが、図4(C)に示すように、放物線状の形状であっても良い。
以上、実施形態に係るすべり軸受10aの構造について説明してきたが、本実施形態に係るすべり軸受10aは、2分割大端部2a,2bのうちの最大荷重を受ける側のロッド側大端部2aの内周面に固定されるすべり軸受10aの軸受内面15aに形成される油溜まり部12,20,21又は二次溝部14,22を円周方向に延びる所定ピッチの細溝13で形成することにより、細溝13の凸部13aが油膜を保持し、負荷容量を落とすことがないため、軸受疲労によるクラックが発生しない。ここで、細溝13の凸部13aの頂点が、油溜まり部12,20,21又は二次溝部14,22の中央付近で部分的に凹状となっても、エッジ近辺で凸部13aの頂点を結ぶ線が、すべり軸受10aの軸受内面15aに合致していれば同様の効果が得られる。また、細溝13の凹部13bによって給油効果を保持することができると共に、キャビテーションの発生を抑制することができる。
また、本実施形態においては、油溜まり部12,20,21又は二次溝部14,22には、当該すべり軸受10aの片側端部まで形成される油溝11が連通するように形成されているので、油溜まり部12,20,21又は二次溝部14,22の潤滑油の移動をスムーズに行うことができる。
更に、本実施形態においては、軸受内面15a,15bがボーリング加工によって微細溝を有するように形成されると共に、該微細溝のピッチと油溜まり部12,20,21又は二次溝14,22に形成される細溝の所定ピッチ(p)とが異なるように形成されているので、それらのピッチが同一ピッチの場合に比べて油溜まり部12,20,21又は二次溝部14,22の細溝13から軸受内面15aの微細溝13への潤滑油の移動がスムーズではなく、このため、充分に油溜まり部12,20,21と二次溝部14,22に潤滑油を保持することができると共に、最大荷重部への潤滑油の供給を徐々に行うことができるので、非焼付性や摺動特性が向上する。
なお、図5に示す概略図によって表される試験装置で表1に示す試験条件にて油溜まり部の境界部分への負荷により軸受疲労試験を行った結果、表2に示されるように、油溜まり部に細溝を形成した実施例と単なる油溜まり部だけが形成されている比較例とでは、面圧負荷が20MPaでは実施例及び比較例共に疲労クラックの発生は認められなかった。さらに面圧負荷を増大させて25MPaとしたときに、実施例では疲労クラックの発生が認められなかったが、比較例においては、油溜まり部の切り上がり部で顕微鏡による観察で疲労クラックの発生が認められた。さらに面圧負荷を30MPa〜50MPaに増加させたときに、実施例では疲労クラックの発生が認められなかったが、比較例においては、油溜まり部の切り上がり部で目視による観察で疲労クラックの発生が認められた。この試験結果から、油溜まり部に細溝を形成した場合の負荷能力は、細溝の凸部が軸と接触して負荷容量を落とすことがないため、軸受疲労によるクラックが発生しないことが確認できる。
Figure 2007225079
Figure 2007225079
また、図2に示す油溝11と細溝13付きの油溜まり部12とが形成された実施例と、油溝11と細溝なし油溜まり部12とが形成された比較例とを実際の斜め割りコンロッドに固定して表3の試験条件でキャビテーション試験を行った結果、表4に示されるように、実施例及び比較例共に、キャビテーションの発生は認められなかった。この試験結果から、油溜まり部に細溝を形成した場合においても、従来の単に油溜まり部を形成することにより耐キャビテーション性を向上させたものと同等の効果を奏するものであることが確認できる。
Figure 2007225079
Figure 2007225079
なお、以上説明したすべり軸受10aは、斜め割りコンロッドに使用されるものとして説明したが、細溝13の機能に着目すれば、すべり軸受の内周面に凹状に形成された部分があれば、その凹状部分に細溝を形成することにより耐疲労性、耐キャビテーション性の向上を図ることができると考えられるため、必ずしも斜め割りコンロッドに用いられるすべり軸受でなくとも良いと考えられる。
斜め割りコンロッドの大端部を示す正面図である。 最大荷重を受けるアッパー側のすべり軸受の断面図(A)、底面図(B)、細溝部分の断面図(C)である。 二次溝が形成されるすべり軸受の断面図(A)、底面図(B)である。 油溜まり部の形状及び二次溝の形状が異なるすべり軸受の底面図である。 油溜まり部の境界部分への負荷により軸受疲労試験を行うための試験装置の概略図である。
符号の説明
1 斜め割りコンロッド
2 大端部
2a ロッド側大端部
2b キャップ側大端部
3 合わせ面
4 合わせ面
9a,9b 内周面
10a,10b すべり軸受
11 油溝
12 油溜まり部
13 細溝
13a 凸部
13b 凹部
14 二次溝
15a,15b 軸受内面
20 油溜まり部
21 油溜まり部
22 二次溝

Claims (3)

  1. 内燃機関のピストンとクランクシャフトとを連結する斜め割りコンロッドの2分割大端部のそれぞれの内周面に固定されるように半割形状に形成されたすべり軸受において、
    前記2分割大端部のうちの最大荷重を受ける側の大端部の内周面に固定されるすべり軸受の軸受内面に形成される油溜まり部又は二次溝部を円周方向に延びる所定ピッチの細溝で形成したことを特徴とする斜め割りコンロッド用のすべり軸受。
  2. 前記油溜まり部又は二次溝部には、当該すべり軸受の片側端部まで形成される油溝が連通するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の斜め割りコンロッド用のすべり軸受。
  3. 前記軸受内面がボーリング加工によって微細溝を有するように形成されると共に、該微細溝のピッチと前記油溜まり部又は二次溝に形成される細溝の所定ピッチとが異なるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の斜め割りコンロッド用のすべり軸受。

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