JP2007219257A - 積層型電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】露光メモリ、及びかぶりを効果的に抑制するとともに、容易に製造できる積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】基体上に、少なくとも、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であって、電荷発生層に含有される電荷発生剤として、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層における結着樹脂がポリビニルアセタール樹脂であって、当該ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とする。
【選択図】図2
【解決手段】基体上に、少なくとも、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であって、電荷発生層に含有される電荷発生剤として、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層における結着樹脂がポリビニルアセタール樹脂であって、当該ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とする。
【選択図】図2
Description
本発明は、積層型電子写真感光体及び画像形成装置に関し、特に、特定のチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層における結着樹脂として、特定のポリビニルアセタール樹脂を用いた積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置に関する。
一般に、複写機やレーザープリンター等の電子写真機器において使用される電子写真感光体には、近年、低価格や低環境汚染性等の要求から、有機感光体が多く用いられている。このような有機感光体において使用される電荷発生剤としては、半導体レーザーや赤外線LEDなどから照射される赤外ないし近赤外の波長の光に感応するフタロシアニン系顔料が広く使用されている。
また、かかるフタロシアニン系顔料には、その化学構造によって、無金属フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン化合物、チタニルフタロシアニン化合物等が存在するとともに、それぞれのフタロシアニン化合物が、その製造条件の違いによって種々の結晶型をとり得ることが知られている。
このように結晶型が異なる多数種のフタロシアニン化合物結晶が存在する中で、電荷発生剤として、Y型結晶構造を有するチタニルフタロシアニンを使用した感光体を製造した場合、他の結晶型のチタニルフタロシアニンを使用した場合と比較して、感光体における電気特性が向上することが知られている。
例えば、X線回折スペクトルにおいてCu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=27.3゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであって、フタロシアニン環を形成し得る有機化合物と、チタン化合物と、を尿素又はアンモニアを添加したジアルキルアミノアルコール中で、130℃、4時間程度の条件で反応させてなるY型結晶の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、かかるフタロシアニン系顔料には、その化学構造によって、無金属フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン化合物、チタニルフタロシアニン化合物等が存在するとともに、それぞれのフタロシアニン化合物が、その製造条件の違いによって種々の結晶型をとり得ることが知られている。
このように結晶型が異なる多数種のフタロシアニン化合物結晶が存在する中で、電荷発生剤として、Y型結晶構造を有するチタニルフタロシアニンを使用した感光体を製造した場合、他の結晶型のチタニルフタロシアニンを使用した場合と比較して、感光体における電気特性が向上することが知られている。
例えば、X線回折スペクトルにおいてCu−Kα線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)=27.3゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであって、フタロシアニン環を形成し得る有機化合物と、チタン化合物と、を尿素又はアンモニアを添加したジアルキルアミノアルコール中で、130℃、4時間程度の条件で反応させてなるY型結晶の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
また、o−フタロニトリルと、チタンテトラブトキシドとを、尿素化合物を用いずに直接的に反応させて、215℃、2時間程度の条件で反応させてなるY型結晶のチタニルフタロシアニン化合物の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2及び3)。
より具体的には、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるピークを所定の範囲に有し、示差走査熱量分析において50〜400℃の範囲内における温度変化のピークを有しないチタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている。
特開平8−176456(実施例)
特許第3463032 (特許請求の範囲)
特開2004−145284(特許請求の範囲)
より具体的には、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるピークを所定の範囲に有し、示差走査熱量分析において50〜400℃の範囲内における温度変化のピークを有しないチタニルフタロシアニン結晶の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の場合、製造されたY型結晶構造を有するチタニルフタロシアニン結晶が、感光層用塗布液中で、β型もしくはα型結晶に結晶転移を起こしやすいという問題が見られた。そのため、感光層用塗布液の貯蔵安定性が乏しくなり、結果として、良好な電気特性を有する感光層を安定して形成することができないという問題が見られた。
一方、特許文献2や特許文献3に記載のチタニルフタロシアニン結晶を用いた場合、感光層用塗布液中でのY型結晶から、感度特性に劣るβ型結晶への結晶転移については抑制できるものの、特許文献2や特許文献3に記載のチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体を使用した画像形成装置は、高温高湿下でカブリが発生し、良好な画像が得られない場合が見られた。
そこで、本発明者らは、上述の問題に鑑み鋭意検討したところ、電荷発生層の結着樹脂として、特定のポリビニルアセタール樹脂を用いるとともに、電荷発生剤として、特定のチタニルフタロシアニン結晶を用いることにより、電荷発生層における当該チタニルフタロシアニン結晶の分散性が向上し、優れた電気特性及び画像特性を発揮することができるばかりか、電荷発生層用塗布液における貯蔵安定性が向上し、感光体を安定的に製造できることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、露光メモリ及びかぶりを効果的に抑制するとともに、容易に製造できる積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
すなわち、本発明の目的は、露光メモリ及びかぶりを効果的に抑制するとともに、容易に製造できる積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、基体上に、少なくとも、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であって、電荷発生層に含有される電荷発生剤として、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層における結着樹脂がポリビニルアセタール樹脂であって、当該ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とすることを特徴とする積層型電子写真感光体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、このような光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、有機溶媒中に、例えば、7日以上の長期にわたって浸漬した場合であっても、α型結晶及びβ型結晶への結晶転移を有効に抑制することができる。したがって、貯蔵安定性にさらに優れた電荷発生層用塗布液を得ることができ、それを用いて電気特性や画像特性等に優れた電子写真感光体を安定的に製造することができる。
また、電荷発生層における結着樹脂として、特定のポリビニルアセタール樹脂を用いていることから、上述した特定のチタニルフタロシアニン結晶を効果的に分散させ、露光メモリやかぶりの発生を、効果的に抑制することができる。
また、電荷発生層における結着樹脂として、特定のポリビニルアセタール樹脂を用いていることから、上述した特定のチタニルフタロシアニン結晶を効果的に分散させ、露光メモリやかぶりの発生を、効果的に抑制することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、チタニルフタロシアニン結晶が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい。
このように構成することにより、チタニルフタロシアニン結晶がβ型に転移することをさらに長期にわたって制御することができ、有機溶媒中におけるチタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を、さらに優れたものとすることができる。
このように構成することにより、チタニルフタロシアニン結晶がβ型に転移することをさらに長期にわたって制御することができ、有機溶媒中におけるチタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を、さらに優れたものとすることができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、チタニルフタロシアニン結晶を、有機溶媒中に7日間浸漬した後に測定したCuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さないことが好ましい。
このように構成することにより、有機溶媒中における結晶転移を、さらに確実に制御することができ、その結果、貯蔵安定性に優れたチタニルフタロシアニン結晶の良否を定量的に判断することができる。
このように構成することにより、有機溶媒中における結晶転移を、さらに確実に制御することができ、その結果、貯蔵安定性に優れたチタニルフタロシアニン結晶の良否を定量的に判断することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、有機溶媒が、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、1,4−ジオキサン、及び1−メトキシ−2−プロパノールからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
このように構成することにより、かかる有機溶媒を電荷発生層用塗布液における有機溶剤として用いた場合に、特定のチタニルフタロシアニン結晶の安定性をより確実に判断することができる。
このように構成することにより、かかる有機溶媒を電荷発生層用塗布液における有機溶剤として用いた場合に、特定のチタニルフタロシアニン結晶の安定性をより確実に判断することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、電荷発生層におけるチタニルフタロシアニン結晶の含有量を、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して50〜350重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性がより向上し、露光メモリやかぶりの発生を、より効果的に抑制することができる。
このように構成することにより、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性がより向上し、露光メモリやかぶりの発生を、より効果的に抑制することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、ポリビニルアセタール樹脂における重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、電荷発生層用塗布液における粘度を、好適な範囲内の値に保持し、均一な膜厚の電荷発生層を形成することが容易となる。
このように構成することにより、電荷発生層用塗布液における粘度を、好適な範囲内の値に保持し、均一な膜厚の電荷発生層を形成することが容易となる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの積層型電子写真感光体を備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段を配置することを特徴とする画像形成装置である。
すなわち、このような画像形成装置であれば、電気特性及び画像特性に優れた感光体を備えるため、優れた画像を効率的に形成することができる。
すなわち、このような画像形成装置であれば、電気特性及び画像特性に優れた感光体を備えるため、優れた画像を効率的に形成することができる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、基体上に、少なくとも、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であって、電荷発生層に含有される電荷発生剤として、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層における結着樹脂がポリビニルアセタール樹脂であって、当該ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とすることを特徴とする積層型電子写真感光体である。
本発明の第1の実施形態は、基体上に、少なくとも、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であって、電荷発生層に含有される電荷発生剤として、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層における結着樹脂がポリビニルアセタール樹脂であって、当該ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とすることを特徴とする積層型電子写真感光体である。
1.基本的構成
図1に示すように、積層型感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤としての特定のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤等と、結着樹脂を含む感光層用塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
また、上述の構造とは逆に、図1に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図1に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
図1に示すように、積層型感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤としての特定のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤等と、結着樹脂を含む感光層用塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
また、上述の構造とは逆に、図1に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図1に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
また、電荷輸送層22においては、正孔輸送剤または電子輸送剤のいずれか一方を含有することが好ましい。
このように構成することにより、上述したチタニルフタロシアニン結晶と、電荷輸送剤等との相性等を特別に考慮する必要がなく、また、かかるチタニルフタロシアニン結晶に対して相性がよい結着樹脂、及び溶剤等を用いて感光層を構成することができる。よって、かかるチタニルフタロシアニン結晶の特性を、より効果的に発揮させて、電気特性、及び画像特性に優れた電子写真感光体を安定的に得ることができる。
このように構成することにより、上述したチタニルフタロシアニン結晶と、電荷輸送剤等との相性等を特別に考慮する必要がなく、また、かかるチタニルフタロシアニン結晶に対して相性がよい結着樹脂、及び溶剤等を用いて感光層を構成することができる。よって、かかるチタニルフタロシアニン結晶の特性を、より効果的に発揮させて、電気特性、及び画像特性に優れた電子写真感光体を安定的に得ることができる。
また、この積層型感光体は、上述の電荷発生層及び電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、図1に示すように、基体12上に電荷発生層24を形成し、その上に電荷輸送層22を形成した場合において、電荷輸送層22における電荷輸送剤として、アミン化合物誘導体やスチルベン誘導体の正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。この場合、電荷発生層24には電子輸送剤を含有させてもよい。そして、このような積層型の電子写真感光体であれば、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度を向上させることができる。
また、図1に示すように、感光層を形成する前に、かかる基体12上に、中間層25を予め形成しておくことも好ましい。この理由は、かかる中間層25を設けることによって、基体側の電荷が容易に感光体層へ注入されるのを防ぐと共に、感光体層を基体12上に強固に結着させ、基体12における表面上の欠陥を被覆し平滑化することができるためである。
2.基体
積層型感光層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された導電性基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
積層型感光層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された導電性基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するものが好ましい。
また、基体の形状は使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、及びドラム状などのいずれであってもよい。
3.電荷発生層
(1)電荷発生剤
本発明としての積層型感光体に用いられる電荷発生剤としては、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることを特徴とする。
以下、チタニルフタロシアニン結晶の内容について詳述する。
(1)電荷発生剤
本発明としての積層型感光体に用いられる電荷発生剤としては、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることを特徴とする。
以下、チタニルフタロシアニン結晶の内容について詳述する。
(1)−1 光学特性
電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶は、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有することを特徴とする(第1の光学特性)。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい(第2の光学特性)。
さらに、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°にピークを有さないことが好ましい(第3の光学特性)。
この理由は、かかる第1の光学特性を備えない場合には、このような光学特性を有するチタニルフタロシアニン結晶と比較して、有機溶媒中における安定性が著しく低下する傾向にあるためである。逆に言えば、第1の光学特性、より好ましくは、第2の光学特性及び第3の光学特性を備えることにより、有機溶媒中における貯蔵安定性を向上させることができるためである。
また、有機溶媒中に7日間浸漬した後に回収したチタニルフタロシアニン結晶が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さないことが好ましい。
この理由は、有機溶媒中において7日間浸漬した場合であっても、チタニルフタロシアニン結晶が、上述した特性を保持できることによって、チタニルフタロシアニン結晶の有機溶媒中における結晶転移を、さらに確実に制御することができるためである。
なお、チタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を評価する基準となる有機溶媒への浸漬実験評価は、例えば、電子写真用感光体を作成するための感光層用塗布液(以下、感光層用塗布液)を実際に保管する条件と、同一条件で実施することが好ましい。したがって、例えば、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下で、密閉系中において、チタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を評価することが好ましい。
電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶は、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有することを特徴とする(第1の光学特性)。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい(第2の光学特性)。
さらに、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.4°にピークを有さないことが好ましい(第3の光学特性)。
この理由は、かかる第1の光学特性を備えない場合には、このような光学特性を有するチタニルフタロシアニン結晶と比較して、有機溶媒中における安定性が著しく低下する傾向にあるためである。逆に言えば、第1の光学特性、より好ましくは、第2の光学特性及び第3の光学特性を備えることにより、有機溶媒中における貯蔵安定性を向上させることができるためである。
また、有機溶媒中に7日間浸漬した後に回収したチタニルフタロシアニン結晶が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さないことが好ましい。
この理由は、有機溶媒中において7日間浸漬した場合であっても、チタニルフタロシアニン結晶が、上述した特性を保持できることによって、チタニルフタロシアニン結晶の有機溶媒中における結晶転移を、さらに確実に制御することができるためである。
なお、チタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を評価する基準となる有機溶媒への浸漬実験評価は、例えば、電子写真用感光体を作成するための感光層用塗布液(以下、感光層用塗布液)を実際に保管する条件と、同一条件で実施することが好ましい。したがって、例えば、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下で、密閉系中において、チタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を評価することが好ましい。
また、チタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を評価する際の有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、1,4−ジオキサン、及び1−メトキシ−2−プロパノールからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
この理由は、かかる有機溶媒を感光層用塗布液における有機溶剤として用いた場合に、特定のチタニルフタロシアニン結晶の安定性をより確実に判断することができるとともに、特定のチタニルフタロシアニン結晶、電荷輸送剤、及び結着樹脂等における相溶性が良好となるためである。したがって、特定のチタニルフタロシアニン結晶及び電荷輸送剤等の特性を、より有効に発揮させる感光体を形成することで、さらに電気特性及び画像特性に優れた電子写真感光体を、安定して製造することができるためである。
この理由は、かかる有機溶媒を感光層用塗布液における有機溶剤として用いた場合に、特定のチタニルフタロシアニン結晶の安定性をより確実に判断することができるとともに、特定のチタニルフタロシアニン結晶、電荷輸送剤、及び結着樹脂等における相溶性が良好となるためである。したがって、特定のチタニルフタロシアニン結晶及び電荷輸送剤等の特性を、より有効に発揮させる感光体を形成することで、さらに電気特性及び画像特性に優れた電子写真感光体を、安定して製造することができるためである。
(1)−2 熱特性
また、電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶は、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することを特徴とする。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニ結晶であれば、有機溶媒中に添加して長時間放置した場合であっても、結晶構造が、α型結晶及びβ型結晶への結晶転移することを有効に抑制することができるためである。したがって、このようなチタニルフタロシアニン結晶を用いることによって、貯蔵安定性に優れた電荷発生層用塗布液を得るこができ、その結果、電気特性や画像特性に優れた電子写真感光体を安定して製造することができる。
なお、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角の具体的な測定方法、及び、示差走査熱量分析の具体的な方法については、後述する実施例において詳述する。
また、電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶は、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することを特徴とする。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニ結晶であれば、有機溶媒中に添加して長時間放置した場合であっても、結晶構造が、α型結晶及びβ型結晶への結晶転移することを有効に抑制することができるためである。したがって、このようなチタニルフタロシアニン結晶を用いることによって、貯蔵安定性に優れた電荷発生層用塗布液を得るこができ、その結果、電気特性や画像特性に優れた電子写真感光体を安定して製造することができる。
なお、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角の具体的な測定方法、及び、示差走査熱量分析の具体的な方法については、後述する実施例において詳述する。
(1)−3 チタニルフタロシアニン化合物
また、チタニルフタロシアニン化合物の構造が、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物を用いることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶の安定性をさらに向上させることができるばかりでなく、かかる特定のチタニルフタロシアニン結晶を安定して製造することができるためである。
また、一般式(1)で表される化合物の中でも、特に、下記式(2)で表される無置換のチタニルフタロシアニン化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物を用いることによって、より安定した性質を備えた特定のチタニルフタロシアニン結晶をさらに容易に製造することができるためである。
また、チタニルフタロシアニン化合物の構造が、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物を用いることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶の安定性をさらに向上させることができるばかりでなく、かかる特定のチタニルフタロシアニン結晶を安定して製造することができるためである。
また、一般式(1)で表される化合物の中でも、特に、下記式(2)で表される無置換のチタニルフタロシアニン化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物を用いることによって、より安定した性質を備えた特定のチタニルフタロシアニン結晶をさらに容易に製造することができるためである。
(一般式(1)中、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、またはニトロ基を示しており、繰り返し数eは1〜4の整数を示す。)
(1)−4 チタニルフタロシアニン結晶の製造方法
CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、以下の工程(a)〜(b)によって製造することができる。
(a)o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンを0.40〜0.53molの範囲内の値で添加し、かつ、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して尿素化合物を0.1〜0.95molの範囲内の値で添加して反応させ、チタニルフタロシアニン化合物を製造する工程
(b)(a)工程において製造したチタニルフタロシアニン化合物に対して、酸処理を実施し、チタニルフタロシアニン結晶を製造する工程
以下、チタニルフタロシアニン結晶の製造方法について詳細に説明する。
CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、以下の工程(a)〜(b)によって製造することができる。
(a)o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンを0.40〜0.53molの範囲内の値で添加し、かつ、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して尿素化合物を0.1〜0.95molの範囲内の値で添加して反応させ、チタニルフタロシアニン化合物を製造する工程
(b)(a)工程において製造したチタニルフタロシアニン化合物に対して、酸処理を実施し、チタニルフタロシアニン結晶を製造する工程
以下、チタニルフタロシアニン結晶の製造方法について詳細に説明する。
(チタニルフタロシアニン化合物の製造工程)
チタニルフタロシアニン化合物の製造方法としては、かかる分子の製造材料としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体と、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、を尿素化合物の存在下において反応させて、チタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
ここで、式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を例にとって、その製造方法を具体的に説明する。
すなわち、式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を製造する場合には、下記反応式(1)又は下記反応式(2)に準じて実施することが好ましい。なお、反応式(1)及び反応式(2)においては、チタンアルコキシドとして、一例ではあるが、式(4)で表されるチタンテトラブトキシドを用いている。
チタニルフタロシアニン化合物の製造方法としては、かかる分子の製造材料としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体と、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、を尿素化合物の存在下において反応させて、チタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
ここで、式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を例にとって、その製造方法を具体的に説明する。
すなわち、式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を製造する場合には、下記反応式(1)又は下記反応式(2)に準じて実施することが好ましい。なお、反応式(1)及び反応式(2)においては、チタンアルコキシドとして、一例ではあるが、式(4)で表されるチタンテトラブトキシドを用いている。
したがって、反応式(1)に示すように、式(3)で表されるo−フタロニトリルと、式(4)で表されるチタンアルコキシドとしてのチタンテトラブトキシドとを反応させるか、反応式(2)において示すように、式(5)で表される1,3−ジイミノイソインドリンと、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドとを反応させて、式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
なお、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドの替わりに、四塩化チタンを用いてもよい。
なお、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドの替わりに、四塩化チタンを用いてもよい。
また、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(3)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(5)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して、0.40〜0.53molの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(3)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(5)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体に対して、1/4mol当量を超えた過剰量を添加することにより、後述する尿素化合物との相互作用が効果的に発揮されるためである。なお、かかる相互作用については、尿素化合物の項で詳述する。
したがって、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(3)で表されるo−フタロニトリルまたは式(5)で表される1,3−ジイミノイソインドリン等1molに対して、0.43〜0.50molの範囲内の値とすることがより好ましく、0.45〜0.47molの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(3)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(5)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体に対して、1/4mol当量を超えた過剰量を添加することにより、後述する尿素化合物との相互作用が効果的に発揮されるためである。なお、かかる相互作用については、尿素化合物の項で詳述する。
したがって、式(4)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(3)で表されるo−フタロニトリルまたは式(5)で表される1,3−ジイミノイソインドリン等1molに対して、0.43〜0.50molの範囲内の値とすることがより好ましく、0.45〜0.47molの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、工程(a)を、尿素化合物の存在下において行うことが好ましい。この理由は、尿素化合物の存在下において製造されたチタニルフタロシアニン化合物を用いることにより、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンにおける相互作用が発揮されるため、特定のチタニルフタロシアニン結晶を効率的に得ることができるためである。
すなわち、かかる相互作用とは、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンとの反応によって生成するアンモニアが、さらにチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をより促進させる作用である。そして、このような促進作用のもとに、原料物質を反応させることにより、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することができる。
すなわち、かかる相互作用とは、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンとの反応によって生成するアンモニアが、さらにチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をより促進させる作用である。そして、このような促進作用のもとに、原料物質を反応させることにより、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することができる。
また、工程(a)で使用される尿素化合物が、尿素、チオ尿素、O−メチルイソ尿素硫酸塩、O−メチルイソ尿素炭酸塩、及びO−メチルイソ尿素塩酸塩からなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
この理由は、かかる尿素化合物を、反応式(1)及び(2)中の尿素化合物として用いることにより、反応の過程で生成するアンモニアが、より効率的にチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
すなわち、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成するためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
なお、かかる錯体化合物は、180℃以上の高温条件で反応させた場合に、特異的に生成しやすいことが判明している。そのため、沸点が180℃以上の含窒素化合物中、例えば、キノリン(沸点::237.1℃)やイソキノリン(沸点:242.5℃)、あるいはこれらの混合物(重量比10:90〜90:10)中で実施することがより有効である。
よって、反応促進剤としてのアンモニアや、それに起因した錯体化合物がさらに生成しやすいことから、上述した尿素化合物の中でも、尿素を用いることがより好ましい。
この理由は、かかる尿素化合物を、反応式(1)及び(2)中の尿素化合物として用いることにより、反応の過程で生成するアンモニアが、より効率的にチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
すなわち、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成するためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
なお、かかる錯体化合物は、180℃以上の高温条件で反応させた場合に、特異的に生成しやすいことが判明している。そのため、沸点が180℃以上の含窒素化合物中、例えば、キノリン(沸点::237.1℃)やイソキノリン(沸点:242.5℃)、あるいはこれらの混合物(重量比10:90〜90:10)中で実施することがより有効である。
よって、反応促進剤としてのアンモニアや、それに起因した錯体化合物がさらに生成しやすいことから、上述した尿素化合物の中でも、尿素を用いることがより好ましい。
また、工程(a)で使用する尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して、0.1〜0.95molの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、尿素化合物の添加量をかかる範囲内の値とすることにより、上述した尿素化合物の作用をより効率的に発揮させることができるためである。
したがって、かかる尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して、0.3〜0.8molの範囲内の値とすることがより好ましく、0.4〜0.7molの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、尿素化合物の添加量をかかる範囲内の値とすることにより、上述した尿素化合物の作用をより効率的に発揮させることができるためである。
したがって、かかる尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1molに対して、0.3〜0.8molの範囲内の値とすることがより好ましく、0.4〜0.7molの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、工程(a)で使用する溶媒としては、例えば、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリン、及びニトロベンゼン等の炭化水素系溶剤、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、及びクロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、及びジエチレングリコール等のアルコール系溶剤、シクロヘキサノン、アセトフェノン、1−メチル−2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のケトン系溶剤、ホルムアミド、及びアセトアミド等のアミド系溶剤、ピコリン、キノリン、及びイソキノリン等の窒素含有溶剤からなる群の1種または2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
特に、沸点が180℃以上の含窒素化合物、例えば、キノリンやイソキノリンであれば、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成しやすくなることから好適な溶媒である。
特に、沸点が180℃以上の含窒素化合物、例えば、キノリンやイソキノリンであれば、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成しやすくなることから好適な溶媒である。
また、工程(a)における反応温度を150℃以上の高温とすることが好ましい。この理由は、かかる反応温度が150℃未満、特に135℃以下となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。
したがって、工程(a)における反応温度を180〜250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜240℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
したがって、工程(a)における反応温度を180〜250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜240℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、工程(a)における反応時間は、反応温度にもよるが、0.5〜10時間の範囲とすることが好ましい。この理由は、かかる反応時間が0.5時間未満となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。一方、かかる反応時間が10時間を越えると、経済的に不利となったり、あるいは生成した錯体化合物が減少したりする場合があるためである。
したがって、工程(a)における反応時間を0.6〜3.5時間の範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
したがって、工程(a)における反応時間を0.6〜3.5時間の範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(チタニルフタロシアニン結晶の製造工程)
次いで、上述した工程において製造されたチタニルフタロシアニン化合物に対して、後処理としての酸処理を実施し、チタニルフタロシアニン結晶を得ることが好ましい。
すなわち、酸処理を実施する前段階として、上述した反応によって得たチタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、攪拌処理し、ついで当該攪拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理する酸処理前工程を行うことが好ましい。
また、酸処理前工程に使用する水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、及びエチレングリコール等の1種または2種以上が挙げられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であれば、非水溶性の有機溶媒を添加してもよい。
次いで、上述した工程において製造されたチタニルフタロシアニン化合物に対して、後処理としての酸処理を実施し、チタニルフタロシアニン結晶を得ることが好ましい。
すなわち、酸処理を実施する前段階として、上述した反応によって得たチタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、攪拌処理し、ついで当該攪拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理する酸処理前工程を行うことが好ましい。
また、酸処理前工程に使用する水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、及びエチレングリコール等の1種または2種以上が挙げられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であれば、非水溶性の有機溶媒を添加してもよい。
また、酸処理前工程のうち攪拌処理の条件は特に限定されないが、およそ70〜200℃程度の温度範囲の一定温度条件下で、1〜3時間程度の攪拌処理を行うのが好ましい。
さらにまた、攪拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜15時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。
さらにまた、攪拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜15時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。
次いで、酸処理工程を以下のように実施することが好ましい。
すなわち、上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニン結晶を酸に溶解させた後、当該溶液を、水に対して滴下して再結晶させ、次いで得られたチタニルフタロシアニン結晶をアルカリ水溶液中で洗浄することが好ましい。具体的には、得られた粗結晶を酸に溶解し、この溶液を氷冷下の水中に滴下したのち一定時間にわたって攪拌し、さらに10〜30℃の範囲内の温度で静置して再結晶させることが好ましい。次いで、乾燥させず、水が存在した状態において、非水系溶媒中で、30〜70℃で2〜8時間攪拌することが好ましい。
すなわち、上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニン結晶を酸に溶解させた後、当該溶液を、水に対して滴下して再結晶させ、次いで得られたチタニルフタロシアニン結晶をアルカリ水溶液中で洗浄することが好ましい。具体的には、得られた粗結晶を酸に溶解し、この溶液を氷冷下の水中に滴下したのち一定時間にわたって攪拌し、さらに10〜30℃の範囲内の温度で静置して再結晶させることが好ましい。次いで、乾燥させず、水が存在した状態において、非水系溶媒中で、30〜70℃で2〜8時間攪拌することが好ましい。
なお、酸処理に使用する酸としては、例えば濃硫酸、トリフルオロ酢酸、及びスルホン酸等を用いることが好ましい。
この理由は、かかる強酸を酸処理に用いることによって、不純物を十分に分解することができる一方、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分解は抑えることができるためである。よって、より高純度かつ結晶特性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を得ることができるためである。
また、洗浄処理に使用するアルカリ水溶液としては、例えばアンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等の一般的なアルカリ水溶液を用いることが好ましい。
この理由は、酸処理後の特定のチタニルフタロシアニン結晶を、かかるアルカリ水溶液を用いて洗浄することによって、当該結晶の環境を酸性から中性とすることができるためである。その結果、次工程における当該結晶の取り扱いが容易となるとともに、当該結晶の安定性を向上させることができるためである。
また、攪拌処理のための非水系溶媒としては、例えばクロロベンゼン、及びジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
この理由は、かかる強酸を酸処理に用いることによって、不純物を十分に分解することができる一方、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分解は抑えることができるためである。よって、より高純度かつ結晶特性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を得ることができるためである。
また、洗浄処理に使用するアルカリ水溶液としては、例えばアンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等の一般的なアルカリ水溶液を用いることが好ましい。
この理由は、酸処理後の特定のチタニルフタロシアニン結晶を、かかるアルカリ水溶液を用いて洗浄することによって、当該結晶の環境を酸性から中性とすることができるためである。その結果、次工程における当該結晶の取り扱いが容易となるとともに、当該結晶の安定性を向上させることができるためである。
また、攪拌処理のための非水系溶媒としては、例えばクロロベンゼン、及びジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
(1)−5 添加量
また、電荷発生剤の添加量としては、後述する結着樹脂としてのポリアセタール樹脂100重量部に対して50〜350重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量をかかる範囲内の値とすることによって、感光体への露光をした際に、当該電荷発生剤が効率的に電荷を発生することができるためである。
すなわち、かかる電荷発生剤の添加量が、結着樹脂100重量部にたいして50重量部未満となると、電荷発生量が、感光体上に静電潜像を形成するのに不十分となる場合があるためである。一方、かかる電荷発生剤の添加量が、結着樹脂100重量部に対して350重量部を超えると、感光層用塗布液中に均一に分散することが困難になる場合があるためである。
よって、結着樹脂100重量部に対する電荷発生剤の添加量を、70〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、電荷発生剤の添加量は、電荷発生剤として本発明のチタニルフタロシアニン結晶のみを用いる場合は、当該チタニルフタロシアニン結晶の添加量であり、チタニルフタロシアニン結晶と他の電荷発生剤とを併用する場合は、両者の合計の添加量である。
また、電荷発生剤の添加量としては、後述する結着樹脂としてのポリアセタール樹脂100重量部に対して50〜350重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量をかかる範囲内の値とすることによって、感光体への露光をした際に、当該電荷発生剤が効率的に電荷を発生することができるためである。
すなわち、かかる電荷発生剤の添加量が、結着樹脂100重量部にたいして50重量部未満となると、電荷発生量が、感光体上に静電潜像を形成するのに不十分となる場合があるためである。一方、かかる電荷発生剤の添加量が、結着樹脂100重量部に対して350重量部を超えると、感光層用塗布液中に均一に分散することが困難になる場合があるためである。
よって、結着樹脂100重量部に対する電荷発生剤の添加量を、70〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、電荷発生剤の添加量は、電荷発生剤として本発明のチタニルフタロシアニン結晶のみを用いる場合は、当該チタニルフタロシアニン結晶の添加量であり、チタニルフタロシアニン結晶と他の電荷発生剤とを併用する場合は、両者の合計の添加量である。
また、本発明としてのチタニルフタロシアニン結晶と、他の電荷発生剤とを併用する場合、他の電荷発生剤は、前述したチタニルフタロシアニン結晶の効果を妨げない範囲で少量添加することが好ましい。具体的には、他の電荷発生剤を、チタニルフタロシアニン結晶100重量部に対して、100重量部以下の範囲内の割合で添加することが好ましい。
(2)結着樹脂
結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いることを特徴とする。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂であれば、上述した特定のチタニルフタロシアニン結晶を、効果的に分散させることができ、その結果、露光メモリやかぶりの発生を、効果的に抑制することができるためである。
すなわち、ポリビニルアセタール樹脂は、後述するアセチル基、及び水酸基を有していることから、顔料等の分散性に優れており、当該チタニルフタロシアニン結晶の有する電荷発生能を、効率的に発揮させることができるばかりか、当該チタニルフタロシアニン結晶と電荷輸送剤との電荷の伝達効率も向上させることができるためである。
結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いることを特徴とする。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂であれば、上述した特定のチタニルフタロシアニン結晶を、効果的に分散させることができ、その結果、露光メモリやかぶりの発生を、効果的に抑制することができるためである。
すなわち、ポリビニルアセタール樹脂は、後述するアセチル基、及び水酸基を有していることから、顔料等の分散性に優れており、当該チタニルフタロシアニン結晶の有する電荷発生能を、効率的に発揮させることができるばかりか、当該チタニルフタロシアニン結晶と電荷輸送剤との電荷の伝達効率も向上させることができるためである。
(2)−1 種類
使用されるポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、変性ポリビニルホルマール樹脂、変性ポリビニルブチラール樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
使用されるポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、変性ポリビニルホルマール樹脂、変性ポリビニルブチラール樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
(2)−2 アセチル基
また、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるアセチル基の含有率が4mol%未満になると、溶剤への溶解性が低くなるため、特定のチタニルフタロシアニンを効果的に分散させることが困難となり、その結果、感光体における露光メモリ電位の値が増加したり、電荷発生層用塗布液を作成するのが困難になる場合があるためである。一方、アセチル基の含有率が25mol%を超えると、溶剤への溶解性が非常に高くなるため、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。
また、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるアセチル基の含有率が4mol%未満になると、溶剤への溶解性が低くなるため、特定のチタニルフタロシアニンを効果的に分散させることが困難となり、その結果、感光体における露光メモリ電位の値が増加したり、電荷発生層用塗布液を作成するのが困難になる場合があるためである。一方、アセチル基の含有率が25mol%を超えると、溶剤への溶解性が非常に高くなるため、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。
また、ここで、図2を用いて、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有量と、感光体における露光メモリとの関係を説明する。
図2においては、横軸にポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)、縦軸に感光体における露光メモリ電位(V)をそれぞれ採った特性図を示している。かかる特性図から理解されるように、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値が0mol%から増加するにしたがって、感光体における露光メモリ電位(V)の値は減少している。そして、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値が約17(mol%)である時、露光メモリ電位(V)の値は約10(V)で極小値をとっている。そして、さらにポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値を増加させていくと、それにともなって露光メモリ電位(V)の値も増加していることがわかる。
よって、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値を、所定の範囲内の値とすることによって、感光体における露光メモリ(V)の値を低い値に抑制することができることがわかる。より具体的には、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値を4〜25(mol%)の範囲内の値とすることによって、感光体における露光メモリ電位(V)の値を25V以下に抑制することができることが理解される。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を8〜20mol%の範囲内の値とすることがより好ましく、12〜18mol%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、アセチル基の含有率の測定方法は、後述する実施例1において具体的に記載する。
図2においては、横軸にポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)、縦軸に感光体における露光メモリ電位(V)をそれぞれ採った特性図を示している。かかる特性図から理解されるように、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値が0mol%から増加するにしたがって、感光体における露光メモリ電位(V)の値は減少している。そして、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値が約17(mol%)である時、露光メモリ電位(V)の値は約10(V)で極小値をとっている。そして、さらにポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値を増加させていくと、それにともなって露光メモリ電位(V)の値も増加していることがわかる。
よって、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値を、所定の範囲内の値とすることによって、感光体における露光メモリ(V)の値を低い値に抑制することができることがわかる。より具体的には、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率(mol%)の値を4〜25(mol%)の範囲内の値とすることによって、感光体における露光メモリ電位(V)の値を25V以下に抑制することができることが理解される。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を8〜20mol%の範囲内の値とすることがより好ましく、12〜18mol%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、アセチル基の含有率の測定方法は、後述する実施例1において具体的に記載する。
また、ここで、アセチル基の含有率について説明する。
ポリビニルアセタール樹脂は、下記一般式(6)に示すような分子構造を有すると考えられる。
ポリビニルアセタール樹脂は、下記一般式(6)に示すような分子構造を有すると考えられる。
(一般式(6)中、Rは水素原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、あるいは置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基を示し、かつ、m/(l+m+n)で表されるモル比が0.04〜0.25の範囲内の値である。)
すなわち、ポリビニルアセタール樹脂は、構造単位r、s、及びtからなる。そして、アセチル基の含有率(mol%)とは、ポリビニルアセタール樹脂中における構成単位r、s、及びtの合計モル数に対する構成単位sのモル数の割合(mol%)を意味する。
(2)−3 残存水酸基
また、ポリビニルアセタール樹脂における残存水酸基の含有率を20〜45mol%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる残存水酸基の含有率を20mol%未満の値とすると、特定のチタニルフタロシアニン結晶との相溶性が低下し、効果的な分散が困難となる場合があるためである。一方、かかる残存水酸基の含有率を45mol%を超えた値とすると、分散媒としての有機溶媒等との相溶性が低下し、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂における残存水酸基の含有率を、22〜40mol%の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35mol%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、残存水酸基の含有率の測定方法は、上述したアセチル基の含有率の測定方法と同様であるので、後述する実施例1において具体的に記載する。
また、ポリビニルアセタール樹脂における残存水酸基の含有率を20〜45mol%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる残存水酸基の含有率を20mol%未満の値とすると、特定のチタニルフタロシアニン結晶との相溶性が低下し、効果的な分散が困難となる場合があるためである。一方、かかる残存水酸基の含有率を45mol%を超えた値とすると、分散媒としての有機溶媒等との相溶性が低下し、均一な電荷発生層を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂における残存水酸基の含有率を、22〜40mol%の範囲内の値とすることがより好ましく、25〜35mol%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、残存水酸基の含有率の測定方法は、上述したアセチル基の含有率の測定方法と同様であるので、後述する実施例1において具体的に記載する。
(2)−4 重合度
また、ポリビニルアセタール樹脂における重合度を5〜700の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリビニルアセタール樹脂の重合度が5未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の重合度が700を超えると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、特定のチタニルフタロシアニン結晶を均一に分散させることが困難になったり、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合があるためである。したがって、ポリビニルアセタール樹脂の重合度を100〜500の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、ポリビニルアセタール樹脂における重合度を5〜700の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリビニルアセタール樹脂の重合度が5未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の重合度が700を超えると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、特定のチタニルフタロシアニン結晶を均一に分散させることが困難になったり、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合があるためである。したがって、ポリビニルアセタール樹脂の重合度を100〜500の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)−5 平均分子量
また、ポリビニルアセタール樹脂における重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量平均分子量が10,000未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量が500,000を超えた値となると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、特定のチタニルフタロシアニン結晶を均一に分散させることが困難となったり、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量を50,000〜400,000の範囲内の値とすることがより好ましく、100,000〜300,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
また、ポリビニルアセタール樹脂における重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる重量平均分子量が10,000未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量が500,000を超えた値となると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、特定のチタニルフタロシアニン結晶を均一に分散させることが困難となったり、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量を50,000〜400,000の範囲内の値とすることがより好ましく、100,000〜300,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することができる。
(2)−6 溶液粘度
また、ポリビニルアセタール樹脂における溶液粘度(エタノール/トルエン=7/3溶剤中、5重量%濃度)を5〜200mPa・secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が5mPa・sec未満になると、電荷発生層の成膜性が低下して膜厚差が大きくなったり、電荷発生層の機械的強度や接着性が著しく低下したり、さらには顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が200mPa・secを超えると、特定のチタニルフタロシアニン結晶を均一に分散させることが困難となったり、均一な厚さの電荷発生層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=7/3溶剤中、5重量%濃度)を10〜180mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、30〜150mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、溶液粘度はB型粘度計を用いて室温(25℃)下で測定することができる。
また、ポリビニルアセタール樹脂における溶液粘度(エタノール/トルエン=7/3溶剤中、5重量%濃度)を5〜200mPa・secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が5mPa・sec未満になると、電荷発生層の成膜性が低下して膜厚差が大きくなったり、電荷発生層の機械的強度や接着性が著しく低下したり、さらには顔料等の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が200mPa・secを超えると、特定のチタニルフタロシアニン結晶を均一に分散させることが困難となったり、均一な厚さの電荷発生層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=7/3溶剤中、5重量%濃度)を10〜180mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、30〜150mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、溶液粘度はB型粘度計を用いて室温(25℃)下で測定することができる。
(2)−7 架橋
また、ポリビニルアセタール樹脂が架橋剤、例えば、有機酸によって架橋してあることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、高分子量化して、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性等を向上させることができるためである。したがって、初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後であっても、感光体層における感度特性を維持することができる。また、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、電荷発生層の上に、感光体層を均一な厚さで形成することができるためである。
また、ポリビニルアセタール樹脂が架橋剤、例えば、有機酸によって架橋してあることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、高分子量化して、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性等を向上させることができるためである。したがって、初期のみならず、所定の連続印刷を実施した後であっても、感光体層における感度特性を維持することができる。また、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、電荷発生層の上に、感光体層を均一な厚さで形成することができるためである。
(2)−8 有機溶媒
また、電荷発生層を形成するための有機溶媒(溶剤)としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテルと、環状エーテル化合物との混合溶媒を用いることが好ましい。
この理由は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルと、環状エーテル化合物との混合溶媒を用いることにより、中間層の形成工程が簡略化されるとともに、低温低湿条件下での明電位及び高温高湿下でのかぶり特性が向上し、安定的かつ経済的に形成することができるためである。
なお、プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、具体的に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。環状エーテルとしては、具体的に、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3−ジオキサン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電荷発生層を形成するための有機溶媒(溶剤)としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテルと、環状エーテル化合物との混合溶媒を用いることが好ましい。
この理由は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルと、環状エーテル化合物との混合溶媒を用いることにより、中間層の形成工程が簡略化されるとともに、低温低湿条件下での明電位及び高温高湿下でのかぶり特性が向上し、安定的かつ経済的に形成することができるためである。
なお、プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、具体的に、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。環状エーテルとしては、具体的に、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3−ジオキサン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、環状エーテル化合物の添加量を、プロピレングリコールモノアルキルエーテル100重量部に対して、5〜2,000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような配合比率の特定有機溶媒を用いることにより、均一かつ安定的な電荷発生層の形成ができるようになって、所定の電荷発生層用塗布液の塗布物として形成することができるためである。すなわち、電荷発生層の形成工程が簡略化されるとともに、低温低湿条件下での明電位及び高温高湿下でのかぶり特性がさらに向上して、安定的かつ経済的に形成することができるようになるためである。
この理由は、このような配合比率の特定有機溶媒を用いることにより、均一かつ安定的な電荷発生層の形成ができるようになって、所定の電荷発生層用塗布液の塗布物として形成することができるためである。すなわち、電荷発生層の形成工程が簡略化されるとともに、低温低湿条件下での明電位及び高温高湿下でのかぶり特性がさらに向上して、安定的かつ経済的に形成することができるようになるためである。
(3)厚さ
また、電荷発生層の厚さを0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷発生層の厚さを0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
4.電荷輸送層
(1)正孔輸送剤
また正孔輸送剤としては、従来公知の種々の正孔輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物〔例えば2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど〕、スチリル系化合物〔例えば9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなど〕、カルバゾール系化合物〔例えばポリ−N−ビニルカルバゾールなど〕、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物〔例えば1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなど〕、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、及びジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
中でも特に下記式(7)〜(31)で表される正孔輸送剤(HTM−1〜25)が、正孔輸送能に優れた正孔輸送剤として、好適に使用される。
(1)正孔輸送剤
また正孔輸送剤としては、従来公知の種々の正孔輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物〔例えば2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど〕、スチリル系化合物〔例えば9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなど〕、カルバゾール系化合物〔例えばポリ−N−ビニルカルバゾールなど〕、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物〔例えば1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなど〕、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、及びジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
中でも特に下記式(7)〜(31)で表される正孔輸送剤(HTM−1〜25)が、正孔輸送能に優れた正孔輸送剤として、好適に使用される。
また、正孔輸送剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。なお、正孔輸送剤と、上述の電子輸送剤とを併用する場合には、その合計量を、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)電子輸送剤
電子輸送剤としては、従来公知の種々の電子輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、フルオレノン系化合物〔例えば2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンなど〕、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、無水こはく酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、2,4,7−トリニトロフルオレノンイミン系化合物、エチル化ニトロフルオレノンイミン系化合物、トリプトアントリン系化合物、トリプトアントリンイミン系化合物、アザフルオレノン系化合物、ジニトロピリドキナゾリン系化合物、チオキサンテン系化合物、2−フェニル−1,4−ベンゾキノン系化合物、2−フェニル−1,4−ナフトキノン系化合物、5,12−ナフタセンキノン系化合物、α−シアノスチルベン系化合物、4,’−ニトロスチルベン系化合物、及びベンゾキノン系化合物の陰イオンラジカルとカチオンとの塩などの電子吸引性化合物が好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
中でも特に下記式(32)〜(46)で表される電子輸送剤(ETM−1〜15)が、電子輸送能に優れた電子輸送剤として、好適に使用される。
電子輸送剤としては、従来公知の種々の電子輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、フルオレノン系化合物〔例えば2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンなど〕、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、無水こはく酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、2,4,7−トリニトロフルオレノンイミン系化合物、エチル化ニトロフルオレノンイミン系化合物、トリプトアントリン系化合物、トリプトアントリンイミン系化合物、アザフルオレノン系化合物、ジニトロピリドキナゾリン系化合物、チオキサンテン系化合物、2−フェニル−1,4−ベンゾキノン系化合物、2−フェニル−1,4−ナフトキノン系化合物、5,12−ナフタセンキノン系化合物、α−シアノスチルベン系化合物、4,’−ニトロスチルベン系化合物、及びベンゾキノン系化合物の陰イオンラジカルとカチオンとの塩などの電子吸引性化合物が好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
中でも特に下記式(32)〜(46)で表される電子輸送剤(ETM−1〜15)が、電子輸送能に優れた電子輸送剤として、好適に使用される。
また、電子輸送剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。なお、電子輸送剤と、後述の正孔輸送剤とを併用する場合には、その合計量を、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電子輸送剤と、正孔輸送剤とを併用して用いる場合、電子輸送剤の添加量を、正孔輸送剤100重量部に対して10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、電子輸送剤と、正孔輸送剤とを併用して用いる場合、電子輸送剤の添加量を、正孔輸送剤100重量部に対して10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
(3)結着樹脂
また、電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。中でも、ポリカーボネート樹脂等であれば、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や正孔輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
また、電荷輸送層を構成する結着樹脂としては、従来から感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。中でも、ポリカーボネート樹脂等であれば、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や正孔輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
(4)添加剤
また、上述した各成分のほかに、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。その他にも、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。
また、上述した各成分のほかに、従来公知の種々の添加剤、例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられる。また、光安定剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体があげられる。その他にも、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。
(5)有機溶媒
また、種々の有機溶媒をさらに併用することが可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。
また、種々の有機溶媒をさらに併用することが可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。
(6)厚さ
また、電荷輸送層の厚さを0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷輸送層の厚さを0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
5.製造方法
本発明の積層型感光体層の製造方法に関し、以下のように電荷輸送層用塗布液と、電荷発生層用塗布液とを作成して、それぞれ基体上に塗布した後、乾燥させて製造することが好ましい。
本発明の積層型感光体層の製造方法に関し、以下のように電荷輸送層用塗布液と、電荷発生層用塗布液とを作成して、それぞれ基体上に塗布した後、乾燥させて製造することが好ましい。
(1)塗布液作成工程
塗布液作成工程は、例えば、結着樹脂と、正孔輸送剤と、溶剤と、からなる電荷輸送層用塗布液、および結着樹脂と、電荷発生剤と、溶剤と、からなる電荷発生層用塗布液と、をそれぞれ作成する工程である。例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度が10〜30重量%の範囲内の値、電荷発生層用塗布液の固形分濃度が1〜10重量%の範囲内の値の塗布液を作成することが好ましい。この理由は、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度は10重量%未満の値になると、被膜欠陥を生じるおそれがあるためであり、一方、塗布液の固形分濃度は30重量%を超えると、層むらが生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合があるためである。また、同様に電荷発生層用塗布液の固形分濃度も1重量%未満の値になると被膜欠陥を生じるおそれがあり、固形分濃度が10重量%を超えると、層むらを生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合がある。
また、電荷輸送層用塗布液および電荷発生層用塗布液を作成するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能である。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤等の分散性や、感光体層表面における平滑性を良くするために、塗布液を作成する際に、界面活性剤やレベリング剤等を添加することも好ましい。
塗布液作成工程は、例えば、結着樹脂と、正孔輸送剤と、溶剤と、からなる電荷輸送層用塗布液、および結着樹脂と、電荷発生剤と、溶剤と、からなる電荷発生層用塗布液と、をそれぞれ作成する工程である。例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度が10〜30重量%の範囲内の値、電荷発生層用塗布液の固形分濃度が1〜10重量%の範囲内の値の塗布液を作成することが好ましい。この理由は、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度は10重量%未満の値になると、被膜欠陥を生じるおそれがあるためであり、一方、塗布液の固形分濃度は30重量%を超えると、層むらが生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合があるためである。また、同様に電荷発生層用塗布液の固形分濃度も1重量%未満の値になると被膜欠陥を生じるおそれがあり、固形分濃度が10重量%を超えると、層むらを生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合がある。
また、電荷輸送層用塗布液および電荷発生層用塗布液を作成するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能である。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤等の分散性や、感光体層表面における平滑性を良くするために、塗布液を作成する際に、界面活性剤やレベリング剤等を添加することも好ましい。
(2)塗布工程および乾燥工程
第1塗布工程および第1乾燥工程と、第2塗布工程および第2乾燥工程とを設けて、電荷輸送層と電荷発生層からなる感光体層を形成することが好ましい。例えば、第1塗布工程および第1乾燥工程により、図1(a)に示すように、基体12の上に、電荷発生層24を形成し、次いで、第2塗布工程および第2乾燥工程により、電荷発生層24の上に、電荷輸送層22を形成することが好ましい。
第1塗布工程および第1乾燥工程と、第2塗布工程および第2乾燥工程とを設けて、電荷輸送層と電荷発生層からなる感光体層を形成することが好ましい。例えば、第1塗布工程および第1乾燥工程により、図1(a)に示すように、基体12の上に、電荷発生層24を形成し、次いで、第2塗布工程および第2乾燥工程により、電荷発生層24の上に、電荷輸送層22を形成することが好ましい。
(2)−1 塗布工程
また、塗布工程を実施するにあたり、基体上に、塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、中間層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの感光体層を形成するために、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
なお、電荷発生層は残留電位を低くするため、電荷輸送層よりも薄く塗膜を形成するのが好ましい。
また、塗布工程を実施するにあたり、基体上に、塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、中間層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの感光体層を形成するために、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
なお、電荷発生層は残留電位を低くするため、電荷輸送層よりも薄く塗膜を形成するのが好ましい。
(2)−2 乾燥工程
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。この理由は、かかる乾燥温度が60℃未満の値になると、乾燥時間が過度に長くなって、均一な厚さを有する感光体層を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる乾燥温度が150℃を超えると、感光体が熱分解する場合があるためである。
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。この理由は、かかる乾燥温度が60℃未満の値になると、乾燥時間が過度に長くなって、均一な厚さを有する感光体層を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる乾燥温度が150℃を超えると、感光体が熱分解する場合があるためである。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の積層型電子写真感光体備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段を配置することを特徴とする画像形成装置である。
なお、この画像形成装置の例では、積層型電子写真感光体として、本発明の積層型電子写真感光体を用いた場合を想定して、説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の積層型電子写真感光体備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段を配置することを特徴とする画像形成装置である。
なお、この画像形成装置の例では、積層型電子写真感光体として、本発明の積層型電子写真感光体を用いた場合を想定して、説明する。
第2の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、図3に示すような画像形成装置である複写機40を好適に使用することができる。かかる複写機40は、画像形成ユニット41、排紙ユニット42、画像読取ユニット43、及び原稿給送ユニット44を備えている。また、画像形成ユニット41には、画像形成部41a及び給紙部41bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット44は、原稿載置トレイ44a、原稿給送機構44b、及び原稿排出トレイ44cを有しており、原稿載置トレイ44a上に載置された原稿は、原稿給送機構44bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ44cに排出される。
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット43において、光源43aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子43bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部41bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部41aに送られる。この画像形成部41aには、像担持体である感光体ドラム51が備えられており、さらに、この感光体ドラム51の周囲には、帯電器52、露光器53、現像器54、及び転写ローラ55、並びにクリーニング装置56が、感光体ドラム51の回転方向に沿って配置されている。
一方、給紙部41bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部41aに送られる。この画像形成部41aには、像担持体である感光体ドラム51が備えられており、さらに、この感光体ドラム51の周囲には、帯電器52、露光器53、現像器54、及び転写ローラ55、並びにクリーニング装置56が、感光体ドラム51の回転方向に沿って配置されている。
これらの構成部品のうち、感光体ドラム51は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電器52により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光器53により感光体ドラム51に対して露光プロセスが実施され、この感光体ドラム51の表面において静電潜像が形成される。この静電潜像に基づき、現像器54によりトナーを付着させて現像し、感光体ドラム51の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、感光体ドラム51と転写ローラ55とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット57に搬送されて、定着プロセスが行われる。
ここで、定着後の用紙Sは、排紙ユニット42に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ42aに送られた後、後処理が実施される。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ42aの下側に設けられた排紙トレイ42bに排紙される。
なお、中間トレイ42a及び排紙トレイ42bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
上述のようにして、転写が行われた後、感光体ドラム51に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング装置56で除去される。すなわち、感光体ドラム51がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
なお、中間トレイ42a及び排紙トレイ42bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
上述のようにして、転写が行われた後、感光体ドラム51に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング装置56で除去される。すなわち、感光体ドラム51がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
なお、本発明の画像形成装置であれば、電気特性及び画像特性に優れた感光体を備えるため、優れた画像を効率的に形成することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載内容に限定されるものではない。
1.チタニルフタロシアニン結晶の製造
(1)チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)の製造
(1)−1 チタニルフタロシアニン化合物の製造
アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gとを加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維持しつつさらに2時間、撹拌して反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体24gを得た。
(1)チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)の製造
(1)−1 チタニルフタロシアニン化合物の製造
アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gとを加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維持しつつさらに2時間、撹拌して反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体24gを得た。
(1)−2 顔料化前処理
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、撹拌しつつ130℃に加熱して2時間、撹拌処理を行った。
次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、さらに、23±1℃まで冷却した時点で撹拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄したのち真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、撹拌しつつ130℃に加熱して2時間、撹拌処理を行った。
次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、さらに、23±1℃まで冷却した時点で撹拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄したのち真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
(1)−3 顔料化処理
上述した顔料化前処理で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。
次いで、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間撹拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。
次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗したのち、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間、撹拌した。そして上澄みをガラスフィルターによってろ別したのち、得られた結晶を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(7)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.1gを得た。
上述した顔料化前処理で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。
次いで、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間撹拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。
次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗したのち、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間、撹拌した。そして上澄みをガラスフィルターによってろ別したのち、得られた結晶を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(7)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(2)チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)の製造
チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した顔料化前処理を行なう前の段階における非結晶性のチタニルフタロシアニン2gをガラスビーカに入れ、ジエチレングリコールジメチルエーテルを、総量が200ミリリットルになるまで加えた。
次いで、これを23±1℃で24時間、撹拌してチタニルフタロシアニンの結晶を1.8g得た。
チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した顔料化前処理を行なう前の段階における非結晶性のチタニルフタロシアニン2gをガラスビーカに入れ、ジエチレングリコールジメチルエーテルを、総量が200ミリリットルになるまで加えた。
次いで、これを23±1℃で24時間、撹拌してチタニルフタロシアニンの結晶を1.8g得た。
(3)チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)の製造
チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した顔料化前処理後の段階におけるチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸との混合溶媒(体積比4:1)100ミリリットルに加えて溶解した。
次いで、この溶液を、メタノールと水の混合貧溶媒(体積比1:1)中に滴下したのち、室温で15分間、撹拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。
次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた結晶を洗浄液が中性になるまで水洗したのち、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて室温で1時間、撹拌した。そして上澄みをガラスフィルターによってろ別したのち、得られた結晶を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(7)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.2gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した顔料化前処理後の段階におけるチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、ジクロロメタンとトリフルオロ酢酸との混合溶媒(体積比4:1)100ミリリットルに加えて溶解した。
次いで、この溶液を、メタノールと水の混合貧溶媒(体積比1:1)中に滴下したのち、室温で15分間、撹拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。
次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた結晶を洗浄液が中性になるまで水洗したのち、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて室温で1時間、撹拌した。そして上澄みをガラスフィルターによってろ別したのち、得られた結晶を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(7)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.2gを得た。
(4)チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の製造
チタニルフタロシアニンD(TiOPc−D)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、アルゴン置換したフラスコに対して、o−フタロニトリル22g(0.17mol)、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)、キノリン300gのほかに、尿素2.28g(0.038mol)を加えた以外は、チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
チタニルフタロシアニンD(TiOPc−D)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、アルゴン置換したフラスコに対して、o−フタロニトリル22g(0.17mol)、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)、キノリン300gのほかに、尿素2.28g(0.038mol)を加えた以外は、チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
(5)チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)の製造
チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えた尿素の添加量を5.7g(0.095mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えた尿素の添加量を5.7g(0.095mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
(6)チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)の製造
チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、加えた尿素の添加量を8.4g(0.14mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、加えた尿素の添加量を8.4g(0.14mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
(7)チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)の製造
チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えたチタンテトラブトキシドの添加量を15.0g(0.044mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えたチタンテトラブトキシドの添加量を15.0g(0.044mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
(8)チタニルフタロシアニン結晶H(TiOPc−H)の製造
チタニルフタロシアニン結晶Hの製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えた尿素の添加量を20.25g(0.342mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶Hの製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えた尿素の添加量を20.25g(0.342mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、無置換のチタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4、1gを得た。
2.チタニルフタロシアニン結晶の評価
(1)CuKα特性X線回折スペクトル測定
上述した各製造例で得られた、製造後60分以内のチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、それぞれ、後述する実施例において塗工液に使用したテトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%の条件下、密閉系中で7日間、保管したのちテトラヒドロフランを除去して、X線回折装置〔理学電機(株)製のRINT1100〕のサンプルホルダーに充填して測定を行った。得られたスペクトルチャートを、それぞれ図4〜11に示す。
なお測定の条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
(1)CuKα特性X線回折スペクトル測定
上述した各製造例で得られた、製造後60分以内のチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、それぞれ、後述する実施例において塗工液に使用したテトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%の条件下、密閉系中で7日間、保管したのちテトラヒドロフランを除去して、X線回折装置〔理学電機(株)製のRINT1100〕のサンプルホルダーに充填して測定を行った。得られたスペクトルチャートを、それぞれ図4〜11に示す。
なお測定の条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
また、得られた測定結果を、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さない。
×:ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有する。
○:ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さない。
×:ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有する。
(2)示差走査熱量分析
示差走査熱量計〔理学電機(株)製のTAS−200型、DSC8230D〕を用いて、各製造例で得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。得られた示差走査奈津量分析チャートを、それぞれ図12〜19に示す。また、それぞれのチャートにおけるピーク温度及びピークの個数を表1に示す。
なお、測定条件は下記のとおりとした。
サンプルパン:Al
昇温速度:20℃/分
示差走査熱量計〔理学電機(株)製のTAS−200型、DSC8230D〕を用いて、各製造例で得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。得られた示差走査奈津量分析チャートを、それぞれ図12〜19に示す。また、それぞれのチャートにおけるピーク温度及びピークの個数を表1に示す。
なお、測定条件は下記のとおりとした。
サンプルパン:Al
昇温速度:20℃/分
3.ポリビニルアセタール樹脂の製造
(1)ポリビニルアセタール樹脂A(Resin−A)の製造
容器内において、700gの蒸留水に対して、重合度500、ケン化度98mol%のポリビニルアルコール130gを加熱溶解させたのち、溶液の温度を80℃に保ちながら、35重量%の塩酸29gを加え、さらに60%ブチルアルデヒド水溶液84gを加えた。
次いで、アセタール化樹脂が析出し始めた時点で、室温まで冷却して30分間放置し、その後、35重量%の塩酸108gを加え、50℃で6時間反応させた。
次いで、反応終了後に、得られた樹脂を蒸留水で洗浄し、洗浄後の樹脂を蒸留水に再分散させた。次いで、得られた分散液に水酸化ナトリウムを加え、分散液のpHを7に調整した。
次いで、かかる分散液を50℃で10時間放置したのち、常温まで冷却し、再度、上述したように、得られた樹脂を蒸留水で洗浄し、洗浄後の樹脂を蒸留水に再分散させ、50℃で5時間放置した。
次いで、得られた樹脂を100倍量の蒸留水で洗浄したのち、脱水、乾燥を行い、アセチル基の含有率が3mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
なお、アセチル基の含有率は、1H−NMRを用いて、下記の条件で測定した。
すなわち、得られたポリビニルアセタール樹脂を60℃で24時間真空乾燥して樹脂粉末を得た。次いで、かかる樹脂粉末をジメチルスルホキシド−d6に対して溶解し、1重量%濃度の溶液とした。次いで、少量のテトラメチルシランを標準物質として添加し、25℃の条件下で1H−NMRスペクトルを測定した。次いで、得られたスペクトルの各ピークの積分強度から、アセチル基の含有率を算出した。
(1)ポリビニルアセタール樹脂A(Resin−A)の製造
容器内において、700gの蒸留水に対して、重合度500、ケン化度98mol%のポリビニルアルコール130gを加熱溶解させたのち、溶液の温度を80℃に保ちながら、35重量%の塩酸29gを加え、さらに60%ブチルアルデヒド水溶液84gを加えた。
次いで、アセタール化樹脂が析出し始めた時点で、室温まで冷却して30分間放置し、その後、35重量%の塩酸108gを加え、50℃で6時間反応させた。
次いで、反応終了後に、得られた樹脂を蒸留水で洗浄し、洗浄後の樹脂を蒸留水に再分散させた。次いで、得られた分散液に水酸化ナトリウムを加え、分散液のpHを7に調整した。
次いで、かかる分散液を50℃で10時間放置したのち、常温まで冷却し、再度、上述したように、得られた樹脂を蒸留水で洗浄し、洗浄後の樹脂を蒸留水に再分散させ、50℃で5時間放置した。
次いで、得られた樹脂を100倍量の蒸留水で洗浄したのち、脱水、乾燥を行い、アセチル基の含有率が3mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
なお、アセチル基の含有率は、1H−NMRを用いて、下記の条件で測定した。
すなわち、得られたポリビニルアセタール樹脂を60℃で24時間真空乾燥して樹脂粉末を得た。次いで、かかる樹脂粉末をジメチルスルホキシド−d6に対して溶解し、1重量%濃度の溶液とした。次いで、少量のテトラメチルシランを標準物質として添加し、25℃の条件下で1H−NMRスペクトルを測定した。次いで、得られたスペクトルの各ピークの積分強度から、アセチル基の含有率を算出した。
(2)ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)の製造
ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂A(Resin−A)の製造におけるブチルアルデヒド水溶液の濃度が60%であったのに対し、かかる濃度を75%としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂A(Resin−A)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が7mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂A(Resin−A)の製造におけるブチルアルデヒド水溶液の濃度が60%であったのに対し、かかる濃度を75%としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂A(Resin−A)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が7mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
(3)ポリビニルアセタール樹脂C(Resin−C)の製造
ポリビニルアセタール樹脂C(Resin−C)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)の製造において、アセタール樹脂が析出し始めた後に塩酸を加え、50℃に昇温して6時間反応させたのに対し、かかる反応時間を8時間としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が12mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
ポリビニルアセタール樹脂C(Resin−C)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)の製造において、アセタール樹脂が析出し始めた後に塩酸を加え、50℃に昇温して6時間反応させたのに対し、かかる反応時間を8時間としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が12mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
(4)ポリビニルアセタール樹脂D(Resin−D)の製造
ポリビニルアセタール樹脂D(Resin−D)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)の製造において、アセタール樹脂が析出し始めた後に塩酸を加え、50℃に昇温して6時間反応させたのに対し、かかる反応時間を12時間としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が17mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
ポリビニルアセタール樹脂D(Resin−D)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)の製造において、アセタール樹脂が析出し始めた後に塩酸を加え、50℃に昇温して6時間反応させたのに対し、かかる反応時間を12時間としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が17mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
(5)ポリビニルアセタール樹脂E(Resin−E)の製造
ポリビニルアセタール樹脂E(Resin−E)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂D(Resin−D)の製造におけるブチルアルデヒド水溶液の濃度が75%であったのに対し、かかる濃度を80%とし、また、アセタール樹脂が析出し始めた後に塩酸を加え、50℃に昇温して12時間反応させたのに対し、かかる反応温度を60時間としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂D(Resin−D)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が24mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
ポリビニルアセタール樹脂E(Resin−E)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂D(Resin−D)の製造におけるブチルアルデヒド水溶液の濃度が75%であったのに対し、かかる濃度を80%とし、また、アセタール樹脂が析出し始めた後に塩酸を加え、50℃に昇温して12時間反応させたのに対し、かかる反応温度を60時間としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂D(Resin−D)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が24mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
(6)ポリビニルアセタール樹脂F(Resin−F)の製造
ポリビニルアセタール樹脂F(Resin−F)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂E(Resin−E)の製造におけるブチルアルデヒド水溶液の濃度が80%であったのに対し、かかる濃度を90%としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂E(Resin−E)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が33mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
ポリビニルアセタール樹脂F(Resin−F)の製造においては、ポリビニルアセタール樹脂E(Resin−E)の製造におけるブチルアルデヒド水溶液の濃度が80%であったのに対し、かかる濃度を90%としたほかは、ポリビニルアセタール樹脂E(Resin−E)と同様に樹脂を製造し、アセチル基の含有率が33mol%であるポリビニルアセタール樹脂を得た。
以下、上述した製造方法で得られたそれぞれのチタニルフタロシアニン結晶、及びポリビニルアセタール樹脂を、それぞれ電荷発生剤、及び結着樹脂として用いた電荷発生層を備えた積層型感光体を製造し、実施例等として評価した。
[実施例1]
1.積層型感光体の製造
(1)中間層の形成
ペイントシェーカーを用いて、酸化チタン(MT−02、アルミナ、シリカ、シリコーンで表面処理した数平均一次粒子径が10nm(テイカ製))2.5g、四元共重合ポリアミド樹脂CM8000(東レ製)1g、溶媒としてメタノール10gと、n-ブタノール2.5gとを、10時間混合、分散させ、さらに5ミクロンのフィルタにてろ過処理して、中間層用塗布液を作成した。
次いで、30mmφ、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。
1.積層型感光体の製造
(1)中間層の形成
ペイントシェーカーを用いて、酸化チタン(MT−02、アルミナ、シリカ、シリコーンで表面処理した数平均一次粒子径が10nm(テイカ製))2.5g、四元共重合ポリアミド樹脂CM8000(東レ製)1g、溶媒としてメタノール10gと、n-ブタノール2.5gとを、10時間混合、分散させ、さらに5ミクロンのフィルタにてろ過処理して、中間層用塗布液を作成した。
次いで、30mmφ、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。
(2)電荷発生層の形成
次いで、ボールミルを用いて、電荷発生剤として上述したようにして製造したチタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)を100重量部、結着樹脂としてポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)100重量部、分散媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル2000重量部、テトラヒドロフラン6000重量部を、48時間混合、分散させ、電荷発生層用の塗布液を得た。得られた塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過後、上述した中間層上にディップコート法にて塗布し、80℃で5分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、ボールミルを用いて、電荷発生剤として上述したようにして製造したチタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)を100重量部、結着樹脂としてポリビニルアセタール樹脂B(Resin−B)100重量部、分散媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル2000重量部、テトラヒドロフラン6000重量部を、48時間混合、分散させ、電荷発生層用の塗布液を得た。得られた塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過後、上述した中間層上にディップコート法にて塗布し、80℃で5分間乾燥させて、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(3)電荷輸送層の形成
次いで、超音波分散機内に、正孔輸送剤として式(7)で表されるスチルベン化合物(HTM−1)70重量部と、バインダ樹脂として、ポリカーボネート樹脂 (帝人化成 TS2020)100重量部、溶剤としてテトラヒドロフラン460重量部を収容したのち、10分間分散処理させて、電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、130℃で30分間乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し積層型電子写真感光体を作製した。
なお、感光体は、製造直後の電荷発生層用塗布液を用いて形成したものと、製造後7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成したものと、の2通りを製造した。
次いで、超音波分散機内に、正孔輸送剤として式(7)で表されるスチルベン化合物(HTM−1)70重量部と、バインダ樹脂として、ポリカーボネート樹脂 (帝人化成 TS2020)100重量部、溶剤としてテトラヒドロフラン460重量部を収容したのち、10分間分散処理させて、電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、130℃で30分間乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し積層型電子写真感光体を作製した。
なお、感光体は、製造直後の電荷発生層用塗布液を用いて形成したものと、製造後7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成したものと、の2通りを製造した。
2.評価
(1)明電位変化の評価
また、製造直後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した感光体の明電位Vr1(V)と、7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した感光体の明電位Vr2(V)とをそれぞれ以下の条件下で測定した。
すなわち、常温常湿下(温度:20℃、湿度:60%)にて、製造した電子写真感光体を、ドラム感度試験機を用いて、コロナ放電により、表面電位−700Vに帯電させた。
次いで、バンドパスフィルターを用いて波長780nm、半値幅20nmに単色化した光強度8μW/cm2の光を、電子写真感光体の表面に1.5秒間、露光しつつ、露光開始から0.5秒後の表面電位を明電位として測定した。そして、ΔVr(V)(=Vr2−Vr1)を算出して、その明電位変化の絶対値から、感光層の電気特性として、下記の基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:明電位変化の絶対値が、10V未満の値である。
△:明電位変化の絶対値が、10〜30V未満の値である。
×:明電位変化の絶対値が、30V以上の値である。
(1)明電位変化の評価
また、製造直後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した感光体の明電位Vr1(V)と、7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した感光体の明電位Vr2(V)とをそれぞれ以下の条件下で測定した。
すなわち、常温常湿下(温度:20℃、湿度:60%)にて、製造した電子写真感光体を、ドラム感度試験機を用いて、コロナ放電により、表面電位−700Vに帯電させた。
次いで、バンドパスフィルターを用いて波長780nm、半値幅20nmに単色化した光強度8μW/cm2の光を、電子写真感光体の表面に1.5秒間、露光しつつ、露光開始から0.5秒後の表面電位を明電位として測定した。そして、ΔVr(V)(=Vr2−Vr1)を算出して、その明電位変化の絶対値から、感光層の電気特性として、下記の基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:明電位変化の絶対値が、10V未満の値である。
△:明電位変化の絶対値が、10〜30V未満の値である。
×:明電位変化の絶対値が、30V以上の値である。
(2)かぶり画像評価
また、7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した電子写真感光体を搭載したプリンター(Microline5400 沖データ(株)製)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)にて白紙画像を5枚印刷し、かかる白紙画像におけるFD値を測定し、下記の基準に沿って画像かぶりを評価した。得られた結果は、表1に示す。
○:FD値が0.008未満であり、かぶり不良が全く観察されない。
△:FD値が0.008以上0.015未満であり、かぶり不良が少々観察される。
×:FD値が0.15以上であり、顕著なかぶり不良が観察される。
また、7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した電子写真感光体を搭載したプリンター(Microline5400 沖データ(株)製)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)にて白紙画像を5枚印刷し、かかる白紙画像におけるFD値を測定し、下記の基準に沿って画像かぶりを評価した。得られた結果は、表1に示す。
○:FD値が0.008未満であり、かぶり不良が全く観察されない。
△:FD値が0.008以上0.015未満であり、かぶり不良が少々観察される。
×:FD値が0.15以上であり、顕著なかぶり不良が観察される。
(3)露光メモリ電位の評価
また、7日間貯蔵後の電荷発生用塗布液を用いて形成した電子写真感光体を、除電手段を省略した京セラミタ製マルチファンクションプリンタ(Antico40)に搭載し、未露光部分の表面電位、及び露光部分の帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差を露光メモリとして測定した。得られた結果を表2に示す。
また、7日間貯蔵後の電荷発生用塗布液を用いて形成した電子写真感光体を、除電手段を省略した京セラミタ製マルチファンクションプリンタ(Antico40)に搭載し、未露光部分の表面電位、及び露光部分の帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差を露光メモリとして測定した。得られた結果を表2に示す。
(4)露光メモリ画像の評価
また、7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した電子写真感光体を搭載したプリンター(Microline5400 沖データ(株)製)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)、及び低温低湿下(温度:10℃、湿度20%)において、それぞれ10万枚複写後に、文字画像の後にハーフトーン画像を連続複写し、ハーフトーン画像上に残像としての文字画像が発生しているかを観察し、下記基準に沿って評価した。
○:ハーフトーン画像上に文字画像の発生が観察されない。
△:ハーフトーン画像上にわずかに画像むらの発生が観察される。
×:ハーフトーン画像上にはっきりと文字画像の発生が観察される
また、7日間貯蔵後の電荷発生層用塗布液を用いて形成した電子写真感光体を搭載したプリンター(Microline5400 沖データ(株)製)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)、及び低温低湿下(温度:10℃、湿度20%)において、それぞれ10万枚複写後に、文字画像の後にハーフトーン画像を連続複写し、ハーフトーン画像上に残像としての文字画像が発生しているかを観察し、下記基準に沿って評価した。
○:ハーフトーン画像上に文字画像の発生が観察されない。
△:ハーフトーン画像上にわずかに画像むらの発生が観察される。
×:ハーフトーン画像上にはっきりと文字画像の発生が観察される
[実施例2〜12]
実施例2〜12においては、電荷発生層を製造する際に用いたチタニルフタロシアニン結晶の種類、及びポリビニルアセタール樹脂の種類を、表2に示すように変えたほかは、実施例1と同様に積層型感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例2〜12においては、電荷発生層を製造する際に用いたチタニルフタロシアニン結晶の種類、及びポリビニルアセタール樹脂の種類を、表2に示すように変えたほかは、実施例1と同様に積層型感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例1〜36]
比較例1〜36においては、電荷発生層を製造する際に用いたチタニルフタロシアニン結晶の種類、及びポリビニルアセタール樹脂の種類を、表2に示すように変えたほかは、実施例1と同様に積層型感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例1〜36においては、電荷発生層を製造する際に用いたチタニルフタロシアニン結晶の種類、及びポリビニルアセタール樹脂の種類を、表2に示すように変えたほかは、実施例1と同様に積層型感光体を製造し、評価した。得られた結果を表2に示す。
本発明にかかる積層型電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置によれば、電荷発生層における結着樹脂として、特定のポリビニルアセタール樹脂を用いるとともに、電荷発生剤として、特定のチタニルフタロシアニン結晶を用いることにより、電荷発生層における当該チタニルフタロシアニン結晶の分散性が向上し、優れた電気特性及び画像特性を有するとともに、電荷発生層用塗布液における貯蔵安定性が向上し、感光体を安定的に製造できるようになった。
したがって、本発明の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンター等各種画像形成装置における電気特性や画像特性のみならず、製造管理を容易にし、さらには経済的効果に著しく寄与することが期待される。
したがって、本発明の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置は、複写機やプリンター等各種画像形成装置における電気特性や画像特性のみならず、製造管理を容易にし、さらには経済的効果に著しく寄与することが期待される。
20:積層型感光体
20´:積層型感光体
20´´:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
40:複写機
41:画像形成ユニット
41a:画像形成部
41b:給紙部
42:排紙ユニット
43:画像読取ユニット
43a:光源
43b:光学素子
44:原稿給送ユニット
44a:原稿載置トレイ
44b:原稿給送機構
44c:原稿排出トレイ
51:感光体ドラム
52:帯電器
53:露光源
54:現像器
55:転写ローラ
56:クリーニング装置
57:定着ユニット
20´:積層型感光体
20´´:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
40:複写機
41:画像形成ユニット
41a:画像形成部
41b:給紙部
42:排紙ユニット
43:画像読取ユニット
43a:光源
43b:光学素子
44:原稿給送ユニット
44a:原稿載置トレイ
44b:原稿給送機構
44c:原稿排出トレイ
51:感光体ドラム
52:帯電器
53:露光源
54:現像器
55:転写ローラ
56:クリーニング装置
57:定着ユニット
Claims (7)
- 基体上に、少なくとも、中間層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、が順次形成された積層型電子写真感光体であって、
前記電荷発生層に含有される電荷発生剤として、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、
前記電荷発生層における結着樹脂がポリビニルアセタール樹脂であって、当該ポリビニルアセタール樹脂におけるアセチル基の含有率を4〜25mol%の範囲内の値とすることを特徴とする積層型電子写真感光体。 - 前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことを特徴とする請求項1に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶を、有機溶媒中に7日間浸漬した後に測定したCuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さないことを特徴とする請求項1または2に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、1,4−ジオキサン、及び1−メトキシ−2−プロパノールからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記電荷発生層における前記チタニルフタロシアニン結晶の含有量を、前記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して50〜350重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体。
- 前記ポリビニルアセタール樹脂における重量平均分子量を10,000〜500,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体を備えるとともに、当該積層型電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段を配置することを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (3)
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US8568945B2 (en) | 2008-11-26 | 2013-10-29 | Ricoh Company, Ltd. | Electrophotographic photoreceptor, and image forming apparatus and process cartridge therefor using the photoreceptor |
JP2017026909A (ja) * | 2015-07-24 | 2017-02-02 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
-
2006
- 2006-02-17 JP JP2006040830A patent/JP2007219257A/ja active Pending
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US8568945B2 (en) | 2008-11-26 | 2013-10-29 | Ricoh Company, Ltd. | Electrophotographic photoreceptor, and image forming apparatus and process cartridge therefor using the photoreceptor |
JP2017026909A (ja) * | 2015-07-24 | 2017-02-02 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
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