JP2007283743A - ポリプロピレン系樹脂積層フィルム、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主体とする基層の表裏両面にポリオレフィン系樹脂を主体とするシール層が積層されている。また、基層およびシール層を構成するポリプロピレン系樹脂が、気相法によって形成されている。そして、40℃の雰囲気下で測定した動摩擦係数、空気抜け指数、およびヘイズ値が所定の条件を満たすように調整されている。
【選択図】なし
Description
(1)40℃の雰囲気下で測定した動摩擦係数(以下、μH40という)が0.2以上1.1以下であること
(2)フィルムを2枚重ねて減圧したときにフィルム間から空気が抜け切るまでの時間である空気抜け指数(以下、ARという)が1.8秒以上9.0秒以下であること
(a)前記フィルム化工程が、無機系微粒子を添加して1回造粒したプロピレン−エチレン共重合体と、無機系微粒子を添加して2回造粒したプロピレン−エチレン共重合体とポリプロピレン系樹脂とによってシール層を形成するものであること
(b)前記フィルム化工程が、プロピレン−エチレン共重合体によって基層を形成するものであるとともに、そのプロピレン−エチレン共重合体におけるエチレン含有量を0.5重量%以上1.5重量%未満に調整したものであること
(c)前記二軸延伸工程が、縦方向および横方向に二軸延伸した後に熱固定を行うものであるとともに、前記熱固定の温度を160℃以上170℃未満に調整したものであること
(1)シール層形成樹脂中の無機系微粒子の分散条件の調整
(2)基層形成樹脂におけるエチレン含有量の調整
(3)横延伸後の熱固定条件の調整
(4)コロナ放電処理条件の調整
以下、上記した各手段について順次説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィルムの製造においては、シール層を形成するポリオレフィン系樹脂中に無機系微粒子を添加する際に、粉末の無機系微粒子を押出機内に添加して混練りするのではなく、予めポリオレフィン系樹脂中に高濃度の無機系微粒子を添加したマスターバッチポリマーチップを作成し、そのマスターチップを、無機系微粒子を含まないポリオレフィン系樹脂でブレンド希釈する方法を採用する必要がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィルムの製造においては、上述したように、基層を形成するポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレンを主成分とした各種のポリプロピレン系樹脂を用いることができるが、その中でも、ポリプロピレンとエチレンとが共重合したものあるいはその変性物を利用するのが好ましい。また、そのような共重合体や変性物の中でも、エチレンの含有率が0.5重量%以上1.5重量%未満である樹脂を用いるのが好ましい。かかる樹脂を用いることによって、基層に添加された防曇剤がブリードアウトし易くなり、ポリプロピレン系樹脂フィルムの防曇性(後述する初期防曇性および防曇持続性)が格段に向上する。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィルムは、上記したように、共押出法により、基層上にシール層を積層させて形成した未延伸フィルムを、縦・横二軸に延伸した後に熱固定することによって製造される。かかる二軸延伸フィルムの製造において、通常のポリプロピレン系樹脂フィルムの製造の場合には、融点をやや下回る155℃以上160未満の温度条件で熱固定されるのが通常であるが、本発明のフィルムを得るためには、160℃以上170℃未満という通常よりもきわめて高い温度で熱固定処理を行う必要がある。そのように高い温度で熱固定処理を行うことにより、フィルムの収縮応力が除去され、ロール状に巻き取った後の経時変化が抑制され、皺の発生がきわめて低いレベルに低減される。それゆえ、皺の発生による防曇剤のブリードアウト不良が起こらず、フィルムの防曇性の悪化という事態が発生しない。また、皺の発生に起因した製袋加工や印刷加工における加工性の悪化という事態が発生しない。
本発明のポリプロピレン系樹脂積層フィルムの製造においては、フィルムの表面に、所定の条件でコロナ放電処理を施すことが必要である。すなわち、コロナ放電処理は、公知の各種の方法を採用することができるが、フィルムの幅方向に懸架されたアルミニウム製バータイプ等の電極によって、二軸延伸後のフィルムの表面に施されるのが好ましく、フィルムと電極との間隔を1〜3mmに調整した上で、15〜45W/m2 /minの処理電力で行うのが好ましい。そして、コロナ放電後のフィルム表面の濡れ特性を35mN/m以上45mN/mの範囲に調整する必要がある。
所定の大きさに切断したフィルム(移動フィルム)を、下面をフラットに形成した1500gの扁平な直方体状の取付治具に、シール層が外側になるように巻き付け、取付治具の下面(縦×横=7cm×5cm)を移動フィルムで覆わせる。一方、取付治具に比べて十分に大きく切断した他のフィルム(固定フィルム)を、一部(20cmの長さに亘る部分)が40℃に加熱された水平な基台上に、シール層が上向きになるように貼り付ける。しかる後、移動フィルムを取り付けた取付治具を固定フィルム上に載置して、移動フィルムのシール層と固定フィルムのシール層とを接合させ、その状態で、駆動装置を利用して取付治具を2.5m/分の速度で引っ張り、基台の加熱部分上を通過させる。そして、加熱部分の通過時の動摩擦係数をμH40として算出する。なお、測定用のフィルムは、23℃、65RH%の雰囲気下において12時間以上に亘ってエージングし、測定自体も23℃、65RH%の雰囲気下にて行う。また、測定は、試料を取り替えて5回繰り返し行い、その平均値をμH40として算出する。
フィルムの空気抜け速さは、図1に示す装置を用いて測定する。すなわち、フィルム4を、リング状の台盤1上に置いた後、リング状のフィルム押さえ2をフィルム4の上から台盤1に載せ、張力をかけた状態でフィルム4を固定する。次いで、フィルム押さえ2上に別のフィルム5を置き、そのフィルム5上にさらに別のリング状のフィルム押さえ8を載せ、ネジ3を用いてフィルム押さえ8,2、および台盤1を固定する。ここで、フィルム押さえ2は、上面に円形の溝孔2a、その溝孔2aの一部とフィルム押さえ2の外側部分とが連通する孔2c、および溝孔2aの一部とフィルム押さえ2の内側部分とが連通する細孔2dを備える。なお、2枚のフィルム4,5は、いずれも、ロール状に巻き取ったときに外側になる面が上側になるように設置する。
得られた二軸配向フィルムを所定の大きさに切断し、JIS K7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定する。なお、測定は試料を取り替えて5回繰り返し行い、その平均値を求める。
次の順序でフィルムの防曇性を測定する。
(1)500mLの上部開口容器に50℃の温水を300mL入れる。
(2)フィルムの防曇性測定面を内側にしてフィルムで容器開口部を密閉する。
(3)5℃の冷室中に放置した後に、室温(約23℃)下に取り出し、フィルム測定面の露付着状況を下記の6段階で評価する。なお、測定は、フィルム試料を取り替えて5回繰り返し行い、その平均の等級を初期防曇性とする(たとえば、5回測定したときの各等級が、6,6,5,4,4の場合には、5級とする)。
評価6級:全面露なし(付着面積=0)
評価5級:若干の露付着(付着面積1/5まで)
評価4級:多少の露付着(付着面積1/4まで)
評価3級:約1/2の露付着(付着面積2/4まで)
評価2級:ほとんど露付着(付着面積3/4まで)
評価1級:全面露付着(付着面積3/4以上)
次の順序でフィルムの防曇性を測定する。
(1)500mLの上部開口容器に50℃の温水を300mL入れる。
(2)フィルムの防曇性測定面を内側にしてフィルムで容器開口部を密閉する。
(3)5℃の冷室中に放置する。
(4)5℃の冷室に放置12時間後、30℃の環境に移し、12時間放置する。
(5)(4)の操作を2日間に亘って繰り返した後、フィルム測定面の露付着状況を下記の6段階で評価する。なお、測定は、試料を取り替えて5回繰り返し行い、その平均の等級を防曇持続性とする(たとえば、5回測定したときの各等級が、6,6,5,4,4の場合には、5級とする)。
評価6級:全面露なし(付着面積=0)
評価5級:若干の露付着(付着面積1/5まで)
評価4級:多少の露付着(付着面積1/4まで)
評価3級:約1/2の露付着(付着面積2/4まで)
評価2級:ほとんど露付着(付着面積3/4まで)
評価1級:全面露付着(付着面積3/4以上)
溶断シール機(共栄印刷機械材料(株)製:PP500型 サイドウェルダー)を用いて、下記の条件にてフィルムの溶断シール袋(200mm×300mm)を作製する。そして、作製された溶断シール袋1000枚当たりの不良率を溶断シール性として求める。
条件:溶断刃;刃先角度60度、刃先設定温度390℃、刃先実温度:370℃
ショット数;120袋/分
製品取り幅×長さ方向500mmのサンプルをサンプリングして、これを幅方向に3等分し、それぞれの中央部より、幅方向50mm×長さ方向250mmの大きさのサンプルをサンプリングし、このサンプルをシール面が合わさるように二つ折りにして、ヒートシール温度140℃、圧力1kg/cm2 、ヒートシール時間1秒の条件で、熱板シールを行い、15mm幅の試験片を作製する。この試験片の180度剥離強度を測定し、ヒートシール強度(N/15mm)とする。なお、測定は、二軸延伸フィルム試料を取り替えて5回繰り返し行い、その平均値を算出する。
JIS−K−6768法に準じて23℃65%RHの雰囲気下で測定する。なお、測定は、二軸延伸フィルム試料を取り替えて5回繰り返し行い、その平均値を算出する。
JIS K7210にしたがって条件−14の方法で測定する。なお、測定は、原料樹脂試料を取り替えて5回繰り返し行い、その平均値を算出する。
なお、プロピレン−エチレン共重合体中のエチレン含有量は、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第615〜617頁に記載された方法により、13C−NMRスペクトル法によって決定する。なお、同書の256頁「(i)ランダム共重合体」の項記載の方法によってIRスペクトル法で決定することも可能である。
コールター・カウンターマルチサイザーで重量分布を測定し、50%径で表示したものを平均粒子径とする。なお、二軸延伸フィルムから画像処理によって平均粒子径を求めたり、得られたフィルムを酸等で処理した後の残渣から平均粒子径を求めたりすることも可能である。
BET方式に基づくJIS−K−1150の方法によって測定した。
ロール状に巻き取られたポリプロピレン系樹脂フィルムを40℃の雰囲気下で12時間に亘ってエージングした後、そのフィルムロールを目視して、以下の基準によって皺の有無を判定する。
○・・皺なし
△・・皺のない部分もあるが、製品の収率が悪い
×・・全体的に皺が発生
プロピレン−エチレン共重合体粉末であるRW140EG(住友化学社製、エチレン含有量4.0重量%、メルトフローレート5.0g/10分)に、イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)を0.15重量部、イルガホス168(チバ・スペシャリティ−ケミカルズ社製)を0.15重量部、無機系微粒子としてサイリシア350(富士シリシア化学社製、二酸化珪素粉末;平均粒子径1.8μm、細孔容積1.60ml/g)を2.0重量部配合して、トータル重量20kgとし、115Lのスーパーミキサーにて、羽根先端の周速度20m/secにて5分間混合した。
<シール層の作成>
アンチブロッキング剤マスターバッチとして、ペレットAを2.5重量%、ペレットBを12.3重量%、ベース原料としてFSX66E8(気相法により製造された住友化学社製のポリプロピレン系樹脂、エチレン含有量2.5重量%、ブテン−1含有量7.0重量%、メルトフローレート3.5g/10分)を68.7重量%、BH180EL−2(気相法により製造された住友化学社製のポリプロピレン系樹脂、ブテン−1含有量25.0重量%、メルトフローレート3.0g/10分)を16.0重量%、モノステアリン酸モノグリセライドを0.4重量%、エルカ酸アミドを0.1重量%を115mmφの押出機(L/D;29)内で溶融混合してヒートシール層とした。
FS2011DG3(気相法により製造された住友化学社製のポリプロピレン系樹脂、エチレン含有量0.9重量%、メルトフローレート2.5g/10分)を97.89重量%、S131(気相法により製造された住友化学社製のポリプロピレン系樹脂、エチレン含有量5.0重量%、メルトフローレート1.7g/10分)を1.26重量%、モノステアリン酸モノグリセライドを0.10重量%、ポリオキシエチレン(2)ステアリルアミンモノステアリン酸エステルを0.60重量%、ポリオキシエチレン(2)ステアリルアミンを0.15重量%をタンデム押出機(第1段175mmφ、L/D;17、第2段220mmφ、L/D;20)内で溶融混合して基層とした。
基層とシール層それぞれが各押出機にて溶融された状態のまま、基層の吐出量1980kg/H、シール層の吐出量126kg/Hの供給量にて260℃の3層Tダイ(マルチマニホールド型、リップ幅900mm、リップギャップ2.4mm)内で積層押出しした後、20℃のキャスティングロールへ、エアーナイフにて風速1050mmAqで吹き付け、58.8m/分の速度で引き取り、冷却固化してシートを得た。得られたシートは、連続して、それぞれ108℃から130℃まで順番に加熱したロールにて予備過熱後、131℃に過熱したロール間で、それぞれのロール速度を65.44m/分と242.12m/分とに調整して速度差を付けることで、3.7倍の縦延伸をした後、130℃に加熱したロールにて緩和させた。そして、縦延伸されたシートを、引き続き167.5℃のオーブン内にて241.4m/分の速度で予備加熱後、155℃にて変形速度1.39m/秒の速さで10.7倍に横延伸し、さらに165℃の環境下で熱固定しながら4.5秒間で8%緩和させ、40℃の環境下で1.5秒間冷却することによって、シール層0.8μm、基層18.4μm、シール層0.8μmの順に積層されたトータル20μmの2種3層フイルムを連続的に作製した。しかる後、そのように連続的に作製されるフイルムの表面に、フイルム表面の濡れ張力が39mN/mとなるようにコロナ放電処理を施し、コロナ放電処理後のフィルムを、絶対湿度 8g/kgDryAir以上となるようにコントロールした環境下で、巻き取り速度241.4m/分にて巻き取ることによって、幅方向6240mm、流れ方向29000mの巻き取りフイルムロールを得た。さらに、巻き取ったフイルムロールを12時間、40℃の環境下に保管し、自然緩和を行った後、幅方向600mm、流れ方向4000mのサイズにスリットして製品フィルムロールを70本得た。得られた製品フィルムロールは、皺がなく、印刷、製袋等の加工が良好に実施できるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を上記した方法によって評価した。評価結果を表3に示す。また、得られたフィルムロールから所定量(約1.0g)のフィルム試料を切り出し、そのフィルム試料を乾式分解して酸で処理した後に、プラズマ発光分析によってAl含有量を測定したところ、Alの含有量は34mg/kgであった。
実施例1において、シール層を作成する際、ペレットAの代わりにペレットCを使用した以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、実施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が良好に実施できるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1において、シール層を作成する際、ペレットAの代わりにペレットGを使用し、ペレットBの一部をペレットFに置き換えた。それ以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、実施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が良好に実施できるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1において、基層形成用の押出機の吐出量およびシール層形成用の押出機の吐出量をそれぞれ調整することにより、二軸延伸後の2種3層フィルムのシール層の厚みを0.6μmに変更するとともに、基層の厚みを18.8μmに変更した(すなわち、0.6μmのシール層、18.8μmの基層、0.6μmのシール層が順に積層されたトータル20μmの2種3層フイルムとした)。それ以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、実施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が良好に実施できるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
ヒートシール層を形成する際に、アンチブロッキング剤マスターバッチとして、ペレットAを5.0重量%、ペレットBを10.0重量%、ベース原料としてFSX66E8を68.5重量%、BH180EL−2を16.0重量%、モノステアリン酸モノグリセライドを0.4重量%、エルカ酸アミドを0.1重量%を実施例1と同じ115mmφの押出機内で溶融混合した。それ以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、実施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が良好に実施できるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
ヒートシール層を形成する際に、アンチブロッキング剤マスターバッチとして、ペレットAを1.2重量%、ペレットBを17.5重量%、ベース原料としてFSX66E8を64.8重量%、BH180EL−2を16.0重量%、モノステアリン酸モノグリセライドを0.4重量%、エルカ酸アミドを0.1重量%を実施例1と同じ115mmφの押出機内で溶融混合した。それ以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、実施例1と同様に皺がなく、印刷、製袋等の加工が良好に実施できるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1において、シール層を作成する際、ペレットAの代わりにペレットBを用い、ペレットBの合計配合量を14.8重量%とした。それ以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、皺が入り、印刷、製袋等の加工に不具合が生じるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1において、シール層を作成する際、ペレットBの代わりにペレットAを用い、ペレットAの合計配合量を14.8重量%とした以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、皺が入り、印刷、製袋等の加工に不具合が生じるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1において、シール層を作成する際、ペレットBの代わりにペレットEを使用した以外は、実施例1と同様にしてフイルムロールの作製を試みた。ところが、無機系微粒子の分散不良による異物が多数発生したため、評価に値するフィルムサンプルを得ることができなかった。
実施例1において、シール層を作成する際、ペレットAの代わりに、ペレットCを用い、ペレットBの代わりにペレットDを用いた以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。得られた製品フィルムロールは、皺が入り、印刷、製袋等の加工に不具合が生じるものであった。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
実施例1において、フィルムの横延伸後の熱固定の条件を、171℃の環境下で4.5秒間8%の緩和を実施するものに変更した以外は、実施例1と同様にして製品フィルムロールを得た。そして、得られた製品フィルムロールを構成するフィルムの特性を実施例1と同様の方法によって評価した。評価結果を表3に示す。
表3から、実施例のフィルムは、μH40、AR、ヘイズ値が本発明の条件を満たしているため、防曇性、透明性が良好であり、フィルムロールに皺が発生せず、溶断シール性が良好であることが分かる。これに対して、比較例1のフィルムは、μH40が大きく、本発明の条件を満たしておらず、フィルムロールに皺が発生し、溶断シール性がきわめて不良であり、比較例2,4のフィルムは、ARの値が小さく、本発明の条件を満たしておらず、フィルムロールに皺が発生し、溶断シール性が不良であり、比較例5のフィルムは、透明性が悪く、ヘイズ値において本発明の条件を満たしておらず、包装時に内容物が鮮明に見えないものであった。
Claims (17)
- ポリプロピレン系樹脂を主体とする基層の表裏両面にポリオレフィン系樹脂を主体とするシール層が積層されており、厚みが10μm以上70μm未満であり、かつ、ヘイズ値が0.4%以上5.0%以下であるポリプロピレン系樹脂積層フィルムであって、
基層およびシール層を構成するポリプロピレン系樹脂が気相法によって形成されたものであり、かつ、下記式(1),(2)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
(1)40℃の雰囲気下で測定した動摩擦係数が0.2以上1.1以下であること
(2)フィルムを2枚重ねて減圧したときにフィルム間から空気が抜け切るまでの時間である空気抜け指数が1.8秒以上9.0秒以下であること - 空気抜け指数が7.8秒以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 少なくとも基層が2軸延伸されたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 積層フィルム全層中に15mg/kg以上150mg/kg未満のAlが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 基層が、プロピレン−エチレン共重合体によって形成されており、そのプロピレン−エチレン共重合体におけるエチレン含有量が0.5重量%以上1.5重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 積層フィルムの全層に対するシール層の厚みの比率が1/60〜1/3であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 基層およびシール層に防曇剤が添加されていることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 50℃の温水を入れた容器の開口部を覆わせた状態で5℃の雰囲気下で30分間放置してから室温の雰囲気下に取り出した後の露の付着面積が全体の1/4以下であることを特徴とする請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 刃先角度を60度に調整し刃先設定温度を390℃に調整した溶断シール機を用いて、刃先温度370℃で120袋/分のショット速度にてフィルムの溶断シール袋を作成した場合の不良率が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 140℃で1秒間、1kg/cm2 の圧力を加えてシール層同士を熱融着させた後に、それらの熱融着部分を180度剥離させたときの強度が、1.5N/15mm 以上6.0N/15mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- シール層表面の濡れ張力が35mN/m以上45mN/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- シール層を形成する樹脂が、メルトフローレートを1.5g/10分以上9.0g/10分に調整したもの、あるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- シール層を形成するポリオレフィン系樹脂層中に、平均粒径が1.0μm以上12.0μm未満で細孔容積が1.0ml/g以上2.0ml/g未満の無機系微粒子が添加されていることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 防曇剤が、ポリオキシエチレンアルキルアミン型防曇剤、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル型防曇剤、脂肪酸グリセリンエステル型防曇剤の内の少なくとも2種以上を併用したものであることを特徴とする請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 積層フィルム全層中の防曇剤量が0.2重量%以上1.5重量%未満であることを特徴とする請求項7に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルム。
- 請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂積層フィルムを製造するための製造方法であって、
ポリプロピレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を複数の押出機から共押出法により溶融押し出しすることにより、未延伸のポリプロピレン系樹脂積層シートを形成するフィルム化工程と、
そのフィルム化工程で得られる未延伸のポリプロピレン系樹脂積層シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程とを含んでおり、
下記要件(a)〜(c)を満たすことを特徴とするポリプロピレン系樹脂フィルムの製造方法。
(a)前記フィルム化工程が、無機系微粒子を添加して1回造粒したプロピレン−エチレン共重合体と、無機系微粒子を添加して2回造粒したプロピレン−エチレン共重合体と、ポリプロピレン系樹脂とによってシール層を形成するものであること
(b)前記フィルム化工程が、プロピレン−エチレン共重合体によって基層を形成するものであるとともに、そのプロピレン−エチレン共重合体におけるエチレン含有量を0.5重量%以上1.5重量%未満に調整したものであること
(c)前記二軸延伸工程が、縦方向および横方向に二軸延伸した後に熱固定を行うものであるとともに、前記熱固定の温度を160℃以上170℃未満に調整したものであること - 前記フィルム化工程における造粒を100rpm以上500rpm以下の回転速度で回転させた回転体により行うことを特徴とする請求項16に記載のポリプロピレン系樹脂フィルムの製造方法。
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