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JP2007251012A - 磁気シールド装置 - Google Patents

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JP2007251012A
JP2007251012A JP2006074832A JP2006074832A JP2007251012A JP 2007251012 A JP2007251012 A JP 2007251012A JP 2006074832 A JP2006074832 A JP 2006074832A JP 2006074832 A JP2006074832 A JP 2006074832A JP 2007251012 A JP2007251012 A JP 2007251012A
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明 伊丹
Taku Meguro
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Abstract

【課題】地磁気に対して効率の良い磁気シールド装置を提供する。
【解決手段】Co基非晶質合金薄板を重ねてなる磁性積層体1を配置することにより磁気シールド空間を画定する磁気シールド装置において、隣接する磁性積層体1の突合せ部を、突合せ部の伸延方向に沿って長尺な、幅方向には継ぎ目の無いCo基非晶質合金薄板の積層橋架部材14で塞いだ構造とする。磁性積層体1が、Co基非晶質合金リボン形状材を平織した編成磁気シールド材を重ねた構造とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、SQUID等を使用して生体から発生する微弱磁場を計測する生体磁場計測装置、各種の理化学機器、或いは電子ビームを使用する半導体加工装置に使用する磁気シールド装置に関するものである。
SQUID等により心臓や脳から発生する微弱磁場を計測する生体磁場計測装置では、検出磁場強度は10のマイナス10乗テスラ(T)程度の弱いものであるために、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気は大きな障害となる。このために、地磁気を最低限でも50dB減衰させるような磁気シールド装置が必要とされている。これに必要とする磁気シールド部材としては、Fe−Ni合金である高透磁率のパーマロイ板やケイ素鋼板、或いは、結晶粒の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性合金の薄膜とポリマーシートとを積み重ねて接着した磁性積層部材が提案されている。
磁気シールド装置の基本構造の一例としては、アルミニウム等で構成する箱型の構造フレームに、壁材や床材としてFe−Ni合金である高透磁率のパーマロイ板やケイ素鋼板を磁気シールド部材として隙間なくボルト等で固定して磁気シールド空間を画定しているもの(例えば、特許文献1参照)がある。また、パーマロイ板に代えて結晶粒の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性合金の薄膜とポリマーシートとを積み重ねて接着した磁気シールドシート材を磁気シールド部材として用いることも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平5−183288号公報(第2頁、図1) 特開2000−077890号公報(第3頁、図6)
特許文献1に開示される磁気シールド装置では、磁気シールド部材として高透磁率のパーマロイ板を用い、磁気シールドすべき空間を囲む構造をとっている。この場合、パーマロイ板は約1mm程度の厚さが必要とされ、磁気シールド装置の組み立て構造に合せて、切断、折り曲げなどの部品加工を行う。しかし、パーマロイ板は、部品加工の際に加わる外力のために機械的強度には影響がないものの、磁気特性が極端に劣化すると言う欠点がある。また、据付後、地震等による外力が磁気シールド装置に加わった場合にもパーマロイ板の磁気特性は大幅に低下する。また、パーマロイ板を用いた磁気シールド装置は、各層で使用するパーマロイの板厚が約1mm以上必要であり、2m×2m×2m程度の大きさの磁気シールド装置でも数百Kg以上の重量に達してしまう。更に、磁気シールド率を高めるためには、パーマロイ板の1層構造では十分でなく多層構造が必要であり、この場合には、磁気シールド装置は1トン以上もの重量にもなってしまい、磁気シールド装置の移動等に困難を生ずるという問題がある。一方、特許文献2に開示される磁気シールド装置では、磁気シールド部材としてパーマロイ板に代えて結晶粒の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性合金の薄膜とポリマーシートとを積み重ねて接着した磁気シールドシート材が用いられる。この場合には、パーマロイ板と異なり多少の外力が加わっても磁気特性が劣化することは無いが、超微細結晶組織を持つ合金部分は機械的強度が弱く外力により容易に破断してしまう。地震等があった場合には、外見上は影響がないように見えても内部の超微細結晶組織を持つ合金部分には機械的破壊が生ずることがある。
従って、本発明の目的は、上記課題を解決し、外力に強く軽量であり、かつ、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気を効果的にシールドするために用いることが出来る磁気シールド装置を提供することである。特に、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気を最低限50dB減衰させることができる磁気シールド装置を提供することにある。
上記目的を達成するための技術的手段として、Co基非晶質合金薄板を重ねてなる磁性積層体を配置することにより磁気シールド空間を画定し、隣接する磁性積層体の突合せ部を、前記突合せ部の伸延方向に沿って長尺な、幅方向には継ぎ目の無いCo基非晶質合金薄板の積層橋架部材で塞いだ磁気シールド装置を提案する。
前記磁性積層体としては、Co基非晶質合金リボン形状材を平織した編成磁気シールド材を重ねて合わせたものとし、ラップ処理してあるものが好ましい。具体的には、例えば、一方のリボン形状Co基非晶質合金基材を経糸のように用い、他方のリボン形状Co基非晶質合金基材を緯糸のように用いて実質的に隙間の無いように平織した編成磁気シールド材の複数枚を積層し、その積層方向に圧力を加えた状態で最高温度が300℃乃至〜480℃になる熱処理をして磁性積層体とした後に、その両面に各々樹脂シートをかぶせ、相対向する二縁において前記磁気積層体の縁から延出せしめ、当該延出部のシート同士を接合するというようなラップ処理をする。磁気積層体は、このラップ処理により樹脂シートで両面から挟持されることになる。この場合、経糸或いは緯糸のように用いる前記リボン形状Co基非晶質合金基材の少なくとも一方を、複数枚のCo基非晶質合金リボン材を重ねたものとすることもできる。
磁性積層体としては、Co基非晶質合金リボン形状材の複数枚をリボン幅方向に突き合せて平面状に敷き詰め、かつ、板厚方向にこれらを積み重ねてなる磁性積層体を用いることが出来る。ラップ処理してあるものが好ましい。
前記Co基非晶質合金基材としては、保磁力(Hc)が0.4A/m以下、飽和磁歪定数が10のマイナス6乗以下、直流最大透磁率を10,000以上とすることが好ましい。
前記Co基非晶質合金の合金成分が、組成式:(Co1-x-y-zFexMnyNiz)100-a-b-cMaSibBc[ただし、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cu、Ag、Au、Y、希土類元素のうちから選ばれた少なくとも1種以上の元素]で表され、かつ、xが0〜0.1、yが0〜0.1、zが0〜0.2、aが0〜6、bが8〜18、cが7〜18、(b+c)が18〜30であることが好ましい。
場合により、前記Co基非晶質合金薄板の積層橋架部材が、非磁性補強板で裏打ちされていることが好ましい。非磁性補強板は、積層橋架部材の機械的強度を増加するもので、Al薄板やステンレス薄板などを使用することができる。
前記非磁性補強板は、Co基非晶質合金薄板の積層橋架部材を介して前記突合せ部とは反対側に配置されるのが、普通である。
前記磁性積層体を内外面方向に少なくとも二重構造になるように配置することが磁気シールド効果を高めるために好ましい。
前記Co基非晶質合金薄板を最高温度が300℃乃至480℃となる熱処理を施したものとすることが有利である。
前記ラップ処理に用いるシートとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂シートなどを使用しても良いし、樹脂に金属フレークを混ぜ合わせたシート、或いは薄膜金属シートを使用しても良い。延出部のシート同士を接合するやり方としては、接着剤による接合でも良いし、加熱圧着するなど、色々の手段を採る事が出来る。
Co基非晶質合金薄板の熱処理を効率よく実施するために、磁性積層体を収納したトレーを多段済みして熱処理炉に投入することが好ましい。
本発明の磁気シールド装置では、基材として結晶粒界が存在しない非晶質合金を用いるので、超微細結晶組織を持つ合金を使用する場合とは相違して、多少の外力が加わっても合金の機械的強度が大きいので破断するようなことは殆どない。地震等があった場合にも、基材の非晶質合金部分に機械的破壊が生ずることは殆どない。
本発明に従って作られる磁気シールド装置は、機械的強度に優れ、軽量であり、磁気特性にも優れ、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気を最低限50dB減衰させることができる。地震等の外力が加わった場合でもCo基非晶質合金基材の磁気特性の劣化は殆ど発生することが無い。特に、隣接する磁性積層体の突合せ部を蔽うCo基非晶質合金薄板の積層橋架部材を配置するので、磁性積層体の突合せ部での磁気抵抗が小さく、磁気シールド効果が大きいものである。本発明に従って、あらかじめ磁性積層体のパネル部材を作り上げておき、これを構造フレームに張り周わせて組み合わせ、その上で、積層橋架部材を配置することにより磁気シールド装置の製作工程を簡略化でき、組み立て時間も早くできる。
本発明の特色のひとつは、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気をシールドするための磁性材料としてCo基非晶質合金を用いることである。磁気をシールドするための磁性材料としては、ケイ素鋼板、パーマロイ、Fe基非晶質合金、Co基非晶質合金、結晶粒の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性Fe基合金、結晶粒の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性Co基合金などがあるが、ケイ素鋼板やFe基非晶質合金は、1kHz以下の低周波磁気或いは静磁気をシールドするには、透磁率が小さ過ぎるためにかなり肉厚の厚い板とする必要があり、このために重量が大きくなりすぎて実用的ではない。
結晶粒の大きさが100nm以下の超微細結晶組織を持つ軟磁性合金の透磁率は、ケイ素鋼板やFe基非晶質合金に比べるとかなり大きく、1kHz以下の低周波磁気或いは静磁気をシールドする磁気特性の面では好ましい材料であるが、非晶質合金薄帯を結晶化するために結晶化温度に近い温度での熱処理を経るため、超微細結晶組織を持つ合金部分の機械的強度が比較的弱く外力によって容易に破断してしまう。地震等があった場合には、外見上は影響がないように見えても超微細結晶組織を持つ合金部分には材料の破断等が生ずる場合がある。
パーマロイは、加工の際に加わる外力のために磁気特性が極端に劣化し、また、地震等による外力が磁気シールド装置に加わった場合には、大幅に磁気特性が低下するという問題がある。磁気特性の劣化したパーマロイ板の特性を回復するには再度熱処理をするなどの手段を取る必要がある。また、パーマロイ板を用いた磁気シールド装置は、使用するパーマロイの板厚が約1mm以上必要であり2m×2m×2m程度の大きさの磁気シールド装置でもでも場合によっては1トン以上の重量に達してしまうという問題がある。本発明は、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気をシールドするための磁性材料として、特にCo基非晶質合金が優れるとの知見に基づくものである。
心臓の健康状態をチェックするための心磁計を使用するような大容積の磁気シールド装置に使用する磁性積層体としては、大面積であり、かつ、板厚の大きいもの(例えば、320μm)が作業を簡略化するためにも望まれるが、現在のところ、リボン形状のCo基非晶質合金は、長尺(例えば30,000m)ではあるが、リボン幅は最大で200mm程度、板厚は最大で20μm〜50μm程度のものしか得られない。大面積であり、かつ、板厚の大きい磁性積層体とするために、リボンを幅方向に多数並べ幅方向端部同士を接合し大面積の薄板とした上で、これら薄板を多層に重畳し樹脂等で層間を接着することにより、大面積であり、かつ、板厚の大きい磁性積層体とすることも可能である。
別の手段として、例えば、鋳造したまま、或いは熱処理したCo基非晶質合金の長尺リボンのスプールを使用して実質的に隙間無く平織すれば、リボン厚の約2倍の厚みを有し、幅は望むまま広く、かつ、長尺(例えば30,000m)の編成磁気シールド材を得る。通常の布織機と同様の原理による専用織機により、効率良く編成磁気シールド材を生産することが出来る。Co基非晶質合金の弾性は熱処理前の方が大きいので、専用織機により、編成磁気シールド材した後に、トレー上で積層体として熱処理(通常は、300℃〜480℃で、1〜2時間加熱する)をすることが良い。熱処理後は、磁性積層体を樹脂等のシートによりラップ(WRAP)して、シートの延出部を熱圧着などする。これら作業を連続して行うことにより長尺の磁気シールド部材を製造できる。磁気シールド装置の施工に際しては、切断して用いることができる。熱処理を実施することにより、Co基非晶質合金の直流最大透磁率を一段と高め、磁気シールド性能を一段と高めることができる。
磁気シールドの効率を高めるために、平織する際に、リボンを複数枚重ねたものを一方の経糸のように用い、同様にリボンの複数枚を重ねたものを他方の緯糸のように用いて実質的に隙間の無いように平織することにより、板厚がリボン板厚の約4倍以上の編成磁気シールド部材を得ることも出来る。このようにして作成した編成磁気シールド材を板厚方向へ積層することによりリボン板厚の10倍〜60倍の板厚の磁性積層体を容易に得ることができる。熱処理後、この磁性積層体の両面に直接或いはAl板などを介して間接に樹脂シートなどを各々配置し、例えば、幅方向の少なくとも相対向する二縁において前記積層体の縁から延出せしめ、当該延出部のシート同士を部分的或いは全面的に接合し磁気シールド部材とする。このような磁気シールド部材は、磁気シールドルームの壁材等に用いて十分な磁気シールド特性を持つ。
磁性積層体としては、Co基非晶質合金リボン材が15層以上の多層構造となるようにすることが磁気シールド特性を十分なものとする為には好ましい。パーマロイの磁気シールド板と比較して、Co基非晶質合金リボン材を重ね合わせて形成した本発明の磁性積層体は、軽量でありながらパーマロイ以上の磁気シールド効果を発揮することができる。磁気シールド空間を画定するために磁性積層体を組み込んだ磁気シールド部材を壁材として多重に配置し、磁気シールド効果を最大限に発揮させる場合にも同様の事情である。アルミニウム等の軽量金属材を骨組部材として組み合わせて構成することにより、磁気シールド装置全体の軽量化も図ることができる。
磁気シールド空間を画定する磁性積層体を壁材として多重に配置する場合には、これら壁間の間隙には、例えば、発泡スチロールを充当して磁気シールド効果を高めるとともに磁気シールドルームの機械的強度を高め、更に、磁気シールドルーム内部空間の空調効率を高めることができる。壁材内に配置したCo基非晶質合金リボン材の合計積層数を、30層以上とすることにより、容易に、30マイクロテスラ(μT)程度の地磁気を最低限50dB減衰させることができる。さらに高いシールドの効率(性能)が要求される脳磁計測装置等に必要な磁気シールド装置では、さらに積層数を増やして30層よりも多くすることや、3重以上の多重シールド配置とすることで、必要なシールドの効率(性能)を得ることが可能であり、このような方法は、本技術を応用することで可能となる。
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて更に説明する。
図1は、本発明の磁気シールド装置の一部斜視模式図であり、磁性積層体20を表裏に貼った2つの磁気シールド部材12間の間隙13を蔽うように積層橋架部材14を配置してある。磁性積層体20と積層橋架部材14には熱処理を施したCo基非晶質合金薄板を使用してある。このような磁気シールド部材を壁、床、天井材として貼りめぐらして、磁気シールド空間を形成する。これら磁気シールド部材の継ぎ目には、コーナー部を含めて積層橋架部材14を配置して、間隙部の磁気抵抗を減少せしめる。
これら磁気シールド部材をアルミニウム製の軽量金属骨組部材に固定し、磁気シールドルーム用パネル部材とすることにより磁気シールドルームなどの磁気シールド装置の組み立て工程を簡便化できる。このようなパネルとしては、図1に示したように、磁性積層体を壁厚方向に二重に配置し、その間に、例えば、発泡スチロール板を充当することにより、重量を殆ど増加することなくパネルの機械的強度を高めると共に断熱効果を高めることができる。配置する磁性積層体間の間隙は、好ましくは10mm〜200mmとすることにより、2枚の磁性積層体が相まって磁気シールドの効率を高める。
これらパネルにより磁気シールド空間を画定し、内周壁は化粧材で仕上げをすることが好ましい。本発明を利用した磁気シールドルームは、通常の家屋のようにアルミニウムの軽量金属材の骨組部材でルーム骨格を形成した後、この骨格に磁気シールド部材を張り合わせる簡便な工法で形成できる。
このようにして形成した磁気シールドルームの磁気シールド空間に心磁計や脳磁計を設置して心臓や脳から発生する磁場をSQUIDを使用して測定し、心臓や脳に流れる電流の分布を画像として捉える等の手段により、生体の健康状態を把握することができる。磁気シールド装置の一側面には、人の出入り或いは医療機材搬入のために使用する扉(図示せず)を設ける。
軽金属の骨組部材としては、アルミニウム材が適切であるが、マグネシウム材など他の軽金属材を用いることもできる。骨組部材を中空構造化することにより強度は落とさずに軽量化を行えることは、通常の建築と同様である。軽金属の骨組部材は、磁気シールド装置の全体強度を高める。
骨組部材で磁気シールドルームの骨格を形成した後、本発明の磁気シールド部材を内壁、外壁を形成するように貼り合わせて磁気シールド空間を画定することもできる。また、骨組部材を使用してパネル部材の骨組とし、これらを予め作成しておいてパネルの両面に磁気シールド部材を貼り合わせて磁気シールドルームとすることもできる。磁気シールドルームの外面を保護し、清潔感を持たせるため化粧板を外面仕上げ材として配置することが好ましい。
リボン形状のCo基非晶質合金基材は、Co基合金の溶解物を急速に回転する冷却ロールの表面に射出することにより、一般には、厚さ8μm〜80μm、通常は、16μm〜40μmの非晶質合金として得られる。幅は、一般には5mm〜200mmのものを得る。Co基非晶質合金薄板の1kHzに於ける透磁率は約80000以上のものを得る。合金組成としては、好ましくは、組成式:(Co1-x-y-zFexMnyNiz)100-a-b-cMaSibBc[ただし、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cu、Ag、Au、Y、希土類元素のうちから選ばれた少なくとも1種以上の元素]で表され、かつ、xが0〜0.1、aが0〜6、(b+c)が18〜30、yが0〜0.2、bが8〜18、zが0〜0.13、cが7〜18を満足するものである。本発明で使用するCo基非晶質合金薄板は、結晶粒界は無く、全くの非晶質の金属組織を有する。前記Co基非晶質合金基材の保磁力(Hc)が0.001Oe以下、磁歪が10のマイナス6乗以下、直流最大透磁率を10,000以上とすることにより磁気シールド特性の優れた磁気シールド部材を得る。
本発明を利用した磁気シールドルームの壁には、貫通口又は通気口等を設け、外部からの空気を取り入れたり、電子機器用のケーブル類を通すことができる。貫通口としては、本発明の磁気シールド部材を丸めて形成した管を挿入することで形成することもできる。このようにすれば、磁気シールド率を劣化させずに、空気の取り入れができるし、ケーブル類を通すことができる。
従来技術で使用されてきたパーマロイの代わりに、Co基非晶質合金を用いた磁気シールド部材は、積層構造にもよるが、一般には、厚さ80μm〜300μmの高透磁率の磁性積層体となる。この磁気シールド部材は、パーマロイに比較して軽量であり、磁気シールド率も高く、また、外力が加わっても磁気特性や機械的強度の劣化は無い。磁気シールド装置の移動や地震等に遭遇しても、大丈夫である。折り曲げ、切り取り加工も容易であり、壁紙を扱うように取り扱うこともできる。
従来技術では、壁構造体の主要な部材としてパーマロイ板を用いて、磁気シールド空間を画定していたが、本発明では、磁気シールド装置の骨組部材としてアルミニウム等の軽金属材を使用し、磁気シールド空間の凡そを画定した後に、本発明の磁気シールド部材を使用すれば、磁気シールドルームを簡便に構築することができる。
Co基非晶質合金リボンを多層したものになっているので、厚さ1mm程度のパーマロイと同等以上の磁気シールド率を実現ができる。重ねるCo基非晶質合金リボンの枚数は10以上が好ましいが、更に好ましくは、積層数が20層〜50層である多層構造としたものである。
従来技術のパーマロイを磁気シールド板とする磁気シールドルームは、重量が大きく、組み立て、移動に困難があるが、本発明を利用した磁気シールドルームは軽量であり、病院内の設置場所の変更に対応できる。また、外力に対して、磁気特性面でも機械的強度の面でも強く、その製作工法も簡便なものとすることができる。内部に設置する機器と外部を結ぶ貫通孔の設置、或いは扉の設置も、切断しやすい材料であるので、施工が容易である。ボルト、着剤材等による装置の組み立ても簡単であるので、産業上の利用性は高い。本発明の磁気シールド装置は軽量なので、床強度もさほど必要は無いので、その構造や材質の選択をする任意性が拡大する。
本発明の磁気シールド装置の一部斜視模式図。
符号の説明
1…磁性積層体、2…緩衝材、12…磁気シールド部材、13…間隙、14…積層橋架部材。

Claims (9)

  1. Co基非晶質合金薄板を重ねてなる磁性積層体を配置することにより磁気シールド空間を画定する磁気シールド装置において、隣接する磁性積層体の突合せ部を、前記突合せ部の伸延方向に沿って長尺な、幅方向には継ぎ目の無いCo基非晶質合金薄板の積層橋架部材で塞ぐことを特徴とする磁気シールド装置。
  2. 前記磁性積層体が、Co基非晶質合金リボン形状材を平織した編成磁気シールド材を重ねて合わせたものであり、ラップ処理してあることを特徴とする請求項1記載の磁気シールド装置。
  3. 前記磁性積層体が、Co基非晶質合金リボン形状材の複数枚をリボン幅方向に突合せて平面状に敷き詰め、かつ、板厚方向にこれらを積み重ねてなるものであり、ラップ処理してあることを特徴とする請求項1記載の磁気シールド装置。
  4. 請求項1において、前記Co基非晶質合金基材の保磁力(Hc)が0.4A/m以下、飽和磁歪定数が10のマイナス6乗以下、直流最大透磁率を10,000以上とする磁気シールド装置。
  5. 前記Co基非晶質合金の合金成分が、組成式:(Co1-x-y-zFexMnyNiz)100-a-b-cMaSibBc[ただし、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cu、Ag、Au、Y、希土類元素のうちから選ばれた少なくとも1種以上の元素]で表され、かつ、xが0〜0.1、yが0〜0.1、zが0〜0.2、aが0〜6、bが8〜18、cが7〜18、(b+c)が18〜30である請求項1記載の磁気シールド装置。
  6. 前記Co基非晶質合金薄板の積層橋架部材が、非磁性補強板で裏打ちされていることを特徴とする磁気シールド装置。
  7. 前記非磁性補強板は、Co基非晶質合金薄板の積層橋架部材を介して前記突合せ部とは反対側に配置される請求項6記載の磁気シールド装置。
  8. 前記磁性積層体を内外面方向に少なくとも二重構造になるように配置することを特徴とする磁気シールド装置。
  9. 前記Co基非晶質合金薄板を最高温度が300℃乃至480℃となる熱処理を施したものとする請求項1記載の磁気シールド装置。
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