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JP2007128724A - 負極および電池 - Google Patents

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JP2007128724A JP2005319740A JP2005319740A JP2007128724A JP 2007128724 A JP2007128724 A JP 2007128724A JP 2005319740 A JP2005319740 A JP 2005319740A JP 2005319740 A JP2005319740 A JP 2005319740A JP 2007128724 A JP2007128724 A JP 2007128724A
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Masayuki Iwama
正之 岩間
Kenichi Kawase
賢一 川瀬
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Sony Corp
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Abstract

【課題】サイクル特性を向上させることができる負極およびそれを用いた電池を提供する。
【解決手段】繊維状の導電性基材11にケイ素を構成元素として含む活物質層12を設けた繊維部材10を用いて三次元構造を形成することにより負極を作製する。導電性基材11の平均繊維径は1μm以上60μm以下の範囲内が好ましく、導電性基材11の平均繊維径Rに対する活物質層12の平均厚みrの比r/Rは、0.09以上1.030以下または0.3以上3.0以下の範囲内が好ましい。また、活物質層12は、更に構成元素として酸素を含有し、その含有量は5原子数%以上40原子数%以下の範囲内であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、ケイ素(Si)を構成元素として含む負極およびそれを用いた電池に関する。
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が要求されている。この要求に応える二次電池としてはリチウムイオン二次電池があるが、現在実用化されているものは、負極に黒鉛を用いているので、電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は難しい。そこで、負極にケイ素を用いることにより高容量化を図ることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−171876号公報
しかしながら、ケイ素は充放電に伴う膨張収縮が大きいので、充放電を繰り返すと、膨張収縮による応力により負極集電体から負極活物質層が脱落し、サイクル特性が低下してしまうという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、膨張収縮による応力を緩和し特性を向上させることができる負極および電池を提供することにある。
本発明による負極は、繊維状の導電性基材にケイ素を構成元素として含む活物質層が設けられた繊維部材を有するものである。
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、繊維状の導電性基材にケイ素を構成元素として含む活物質層が設けられた繊維部材を有するものである。
本発明の負極によれば、導電性基材にケイ素を構成元素として含む活物質層が設けられた繊維部材を有するようにしたので、活物質層の膨張収縮による応力を緩和することができる。よって、この負極を用いた本発明の電池によれば、優れたサイクル特性を得ることができる。
特に、導電性基材の平均繊維径を1μm以上60μm以下の範囲内とするようにすれば、また、導電性基材の平均繊維径Rに対する活物質層の平均厚みrの比r/Rを0.09以上1.030以下または0.3以上3.0以下の範囲内とするようにすれば、また、導電性基材の少なくとも一部の表面を粗化するようにすれば、より高い効果を得ることができる。
更に、活物質層が構成元素として酸素を含有し、その含有量を5原子数%以上40原子数%以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施の形態に係る負極は、例えば、繊維状の導電性基材にケイ素を構成元素として含む活物質層が設けられた繊維部材を有しており、この繊維部材により三次元構造が形成されている。これによりこの負極では、活物質層の膨張収縮による応力を緩和することができるようになっている。繊維部材は、例えば、織ったり、編んだり、またはフェルト状あるいは不織布状に加工されることにより、立体的な三次元構造を形成している。また、これらの2以上が組み合わされていてもよい。例えば、平織と綾織とを組み合わせてもよく、しゅす織の先に編み込み構造を有していてもよく、織物とフェルトとを組み合わせてもよい。
図1は繊維部材10の長手方向における断面構造を表すものである。導電性基材11は、集電体として機能するものであり、導電性を有し、繊維状に加工できるものであればどのようなものでもよい。例えば、銅繊維、ニッケル繊維、金繊維、ステンレス繊維などの金属繊維により構成することができる。また、有機化合物繊維に金属の被覆層を設けた被覆繊維などにより構成するようにしてもよい。導電性基材11の平均繊維径Rは、例えば、1μm以上60μm以下の範囲内であることが好ましい。平均繊維径Rがあまり小さいと強度が低下してしまい、あまり大きいと活物質層12の膨張収縮によりかかる応力が大きくなり、また、体積エネルギー密度が低下してしまうからである。導電性基材11の少なくとも一部の表面は粗化されていることが好ましい。活物質層12との密着性を向上させることができるからである。
活物質層12は、導電性基材11の全体に設けられていても、一部に設けられていてもよい。活物質層12において、ケイ素は単体で含まれていても、合金として含まれていても、化合物として含まれていてもよい。ケイ素以外の構成元素としては、例えば、スズ(Sn),ニッケル(Ni),銅(Cu),鉄(Fe),コバルト(Co),マンガン(Mn),亜鉛(Zn),インジウム(In),銀(Ag),チタン(Ti),ゲルマニウム(Ge),ビスマス(Bi),アンチモン(Sb),あるいはクロム(Cr)が挙げられる。また、活物質層12は、構成元素として酸素(O)を含むことが好ましい。活物質層12の膨張収縮を抑制し、応力を緩和することができるからである。活物質層12に含まれる酸素の少なくとも一部は、ケイ素と結合していることが好ましく、結合の状態は一酸化ケイ素でも二酸化ケイ素でも、あるいはそれ以外の準安定状態でもよい。活物質層12における酸素の含有量は、5原子数%以上40原子数%以下の範囲内であることが好ましい。これよりも少ないと十分な効果を得ることができず、これよりも多いと不可逆容量が増加してしまうからである。なお、活物質層12には、充放電により電解液などが分解して活物質層12の表面に形成される被膜は含めない。よって、活物質層12における酸素の含有量を算出する際には、この被膜に含まれる酸素は含めない。
活物質層12の平均厚みrは、導電性基材11の平均繊維径Rに対する比r/Rで、0.09以上1.03以下の範囲内であることが好ましい。比r/Rがあまり大きいと、活物質層12の膨張収縮により活物質層12が導電性基材11から剥離しやすくなり、比r/Rがあまり小さいと、活物質層12の構成元素と導電性基材11の構成元素との結合が強くなり不可逆容量が俗化してしまうからである。
この負極は、例えば、導電性基材11に活物質層12を形成して繊維部材10を形成したのち、この繊維部材10を織ったり、編んだり、圧縮成形などの加工をし、三次元構造とすることにより形成することができる。活物質層12は、例えば、気相法により形成するようにしてもよく、また、導電性基材11に酸化ケイ素などの前駆層を形成したのち、これを還元することにより形成するようにしてもよい。気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法などが挙げられる。活物質層12に酸素を添加する場合には、例えば活物質層12を形成する際の雰囲気中に酸素を導入したり、酸化物の前駆層を還元する際の条件を制御することにより、酸素の含有量を調節することができる。
この負極は、例えば、次のような二次電池に用いられる。
図2は、その二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ21に収容した負極22と、外装缶23の内に収容した正極24とを、セパレータ25を介して積層したものである。外装カップ21および外装缶23の周縁部は絶縁性のガスケット26を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ21および外装缶23は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウムなどの金属によりそれぞれ構成されている。
負極22は、上述した構造を有している。但し、活物質層12は充電により膨張するので、充電状態における活物質層12の平均厚みrは、導電性基材11の平均繊維径Rに対する比r/Rで、0.3以上3.0以下の範囲内であることが好ましい。
正極24は、例えば、正極集電体24Aと、正極集電体24Aに設けられた正極活物質層24Bとを有しており、正極活物質層24Bの側が負極22と対向するように配置されている。正極集電体24Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
正極活物質層24Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどの結着材を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることができるからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
なお、正極24は、例えば、正極活物質と導電材と結着材とを混合して合剤を調製し、この合剤を分散媒に分散させて合剤スラリーを作製し、この合剤スラリーを金属箔よりなる正極集電体24Aに塗布し乾燥させたのち、圧縮成型し正極活物質層24Bを形成することにより作製することができる。
セパレータ25は、負極22と正極24とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ25は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
セパレータ25には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、1,3−ジオキソール−2−オン、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいはハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体などの非水溶媒が挙げられる。溶媒はいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、1,3−ジオキソール−2−オンおよび4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンの少なくとも一方を用いるようにすれば、電解液の分解反応を抑制することができるので好ましい。また、ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体を用いるようにしても、電解液の分解反応を抑制することができるので好ましい。
ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体は、環式化合物でも鎖式化合物でもよいが、環式化合物の方がより高い効果を得ることができるので好ましい。このような環式化合物としては、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ブロモ−1,3−ジオキソラン−2−オン、あるいは4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられ、中でも、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンが好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
電解質塩としては、例えば、LiPF6 ,LiCF3 SO3 あるいはLiClO4 などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩は、いずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
この二次電池は、例えば、負極22、電解液が含浸されたセパレータ25および正極24を積層して、外装カップ21と外装缶23との中に入れ、それらをかしめることにより製造することができる。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極24からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極24に吸蔵される。負極22は、導電性基材11に活物質層12を設けた繊維部材10により三次元構造が形成されているので、活物質層12の膨張収縮による応力が緩和される。
本実施の形態に係る負極は、次のような二次電池に用いてもよい。
図3は、その二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、リード31,32が取り付けられた電極巻回体30をフィルム状の外装部材41内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。リード31,32は、それぞれ、外装部材41の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。リード31,32は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材41は、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に貼り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材41は、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材41とリード31,32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム42が挿入されている。密着フィルム42は、リード31,32に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材41は、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図4は、図3に示した電極巻回体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、負極33と正極34とをセパレータ35および電解質層36を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ37により保護されている。
負極33は、上述した負極22と同様の構成を有している。正極34は、正極集電体34Aの両面に正極活物質層34Bが設けられた構造を有しており、正極活物質層34Bと負極33とが対向するように配置されている。正極集電体34A,正極活物質層34Bおよびセパレータ35の構成は、それぞれ上述した正極集電体24A,正極活物質層24Bおよびセパレータ25と同様である。
電解質層36は、高分子化合物よりなる保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。電解液の構成は、上述した二次電池と同様である。高分子材料としては、例えばポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、負極33および正極34のそれぞれに、保持体に電解液を保持させた電解質層36を形成し、リード31,32を取り付ける。次いで、電解質層36が形成された負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層し、巻回して、最外周部に保護テープ37を接着して電極巻回体30を形成する。続いて、例えば、外装部材41の間に電極巻回体30を挟み込み、密着フィルム42を挿入して、外装部材41の外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。これにより、図3,4に示した二次電池が得られる。
また、次のようにして製造してもよい。まず、負極33および正極34のそれぞれにリード31,32を取り付けたのち、負極33と正極34とをセパレータ35を介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ37を接着して、電極巻回体30の前駆体である巻回体を形成する。次いで、この巻回体を外装部材41に挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状としたのち、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を、外装部材41の内部に注入する。続いて、外装部材41の開口部を真空雰囲気下で熱融着して密封し、熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とすることによりゲル状の電解質層36を形成する。これにより、図3,4に示した二次電池が得られる。
この二次電池の作用は、図2に示したコイン型の二次電池と同様である。
このように本実施の形態によれば、導電性基材11にケイ素を構成元素として含む活物質層12が設けられた繊維部材10を有するようにしたので、活物質層12の膨張収縮による応力を緩和することができ、優れたサイクル特性を得ることができる。
特に、導電性基材11の平均繊維径を1μm以上60μm以下の範囲内とするようにすれば、また、導電性基材11の平均繊維径Rに対する活物質層12の平均厚みrの比r/Rを0.09以上1.030以下または0.3以上3.0以下の範囲内とするようにすれば、また、導電性基材11の少なくとも一部の表面を粗化するようにすれば、より高い効果を得ることができる。
更に、活物質層12が構成元素として酸素を含有し、その含有量を5原子数%以上40原子数%以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
更に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−3)
図1に示した繊維部材10を作製した。実施例1−1では、まず、導電性基材11として平均繊維径Rが15μmの銅繊維を用意し、導電性基材11の表面にペルヒドロポリシラザンを含む溶液の被膜を形成したのち、大気中において450℃で焼成し、導電性基材11の表面に二酸化ケイ素の前駆層を形成した。次いで、この前駆層をコークスを用いて還元し、導電性基材11にケイ素を含む活物質層12を形成した。また、実施例1−2,1−3では、実施例1−1の同一の導電性基材11に、CVD法または電子ビーム蒸着法によりケイ素を蒸着することにより活物質層12を形成した。
作製した実施例1−1〜1−3の繊維部材10について、断面を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)により観察したところ、活物質層12の平均厚みrはいずれも8μmであった。また、活物質層12における酸素の含有量をエネルギー分散型蛍光X線分析装置(Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometer ;EDX)により測定したところ、いずれも約7原子数%であった。
続いて、作製した繊維部材10を用いて、図2に示したようなコイン型の試験電池を作製した。負極は作製した繊維部材10を平織することにより形成した。対極にはリチウム金属板を用い、セパレータには多孔質ポリプロピレンフィルムを用いると共に、電解液には炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを炭酸エチレン:炭酸ジエチル=3:7の質量比で混合した溶媒にLiPF6 を1mol/lの濃度で溶解させたものを用いた。
また、実施例1−1〜1−3に対する比較例1−1として、厚み15μmの圧延銅箔に電子ビーム蒸着法によりケイ素を蒸着し、厚み8μmの活物質層を形成したものを負極としたことを除き、他は実施例1−1と同様にして試験電池を作製した。
作製した実施例1−1〜1−3および比較例1−1の試験電池について、1mA/cm2 の電流密度で充放電を50サイクル行い、1サイクル目に対する50サイクル目の放電容量の割合を放電容量維持率として求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2007128724
表1に示したように、繊維部材10を用いた実施例1−1〜1−3によれば、銅箔に活物質層を形成した比較例1−1に比べて、放電容量維持率を大幅に向上させることができた。すなわち、導電性基材11に活物質層12が設けられた繊維部材10を用いるようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
(実施例2−1−1〜2−7−4)
導電性基材11の平均繊維径Rおよび活物質層12の平均厚みrを表2に示したように変えたことを除き、他は実施例1−1と同様にして繊維部材10および試験電池を作製した。作製した実施例2−1−1〜2−7−4の試験電池についても、実施例1−1と同様にして放電容量維持率を求めた。また、実施例2−1−1〜2−7−4の試験電池について50サイクル充放電を繰り返したのちに再度充電し、充電した状態のものを解体して、繊維部材10をSEMにより観察し、活物質層12の平均厚みrを調べた。得られた結果を表2に示す。
Figure 2007128724
表2に示したように、導電性基材11の平均繊維径Rを大きくするに従い、放電容量維持率は向上したのち低下する傾向がみられた。また、導電性基材11の平均繊維径Rに対する活物質層12の平均厚みrの比r/Rを大きくするに従い、放電容量維持率は向上したのち低下する傾向がみられた。
すなわち、導電性基材11の平均繊維径Rを1μm以上60μm以下の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得られることが分かった。また、活物質層12の平均厚みrを、導電性基材11の平均繊維径Rに対する比r/Rで、0.09以上1.03以下の範囲内、または、0.3以上3.0以下の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得られることが分かった。
(実施例3−1〜3−3)
導電性基材11の種類を表3に示したように変えたことを除き、他は実施例1−1と同様にして繊維部材10および試験電池を作製した。作製した実施例3−1〜3−19の試験電池についても、実施例1−1と同様にして放電容量維持率を求めた。得られた結果を実施例1−1の結果と共に表3に示す。
Figure 2007128724
表3に示したように、いずれも実施例1−1と同様に高い放電容量維持率を得ることができた。すなわち、いずれの導電性基材11を用いても、優れた効果を得られることが分かった。
(実施例4−1)
導電性基材11の表面をウエットエッチングにより粗化処理したことを除き、他は実施例1−1と同様にして繊維部材10および試験電極を作製した。作製した実施例4−1の試験電池についても、実施例1−1と同様にして放電容量維持率を求めた。得られた結果を実施例1−1の結果と共に表4に示す。
Figure 2007128724
表4に示したように、実施例4−1によれば実施例1−1よりも更に放電容量維持率を向上させることができた。すなわち、導電性基材11の表面を粗化するようにすれば、より高い効果を得られることが分かった。
(実施例5−1〜5−5)
活物質層12における酸素の含有量を表7に示したように変えたことを除き、他は実施例1−1と同様にして繊維部材10および試験電極を作製した。なお、酸素の含有量は、前駆層を還元する際の条件を変えることにより調節した。作製した実施例5−1〜5−5の試験電池についても、実施例1−1と同様にして放電容量維持率を求めた。得られた結果を実施例1−1の結果と共に表5に示す。
Figure 2007128724
表5に示したように、酸素の含有量を増加させると、放電容量維持率は向上したのち低下する傾向がみられた。すなわち、活物質層12における酸素の含有量を5原子数%以上40原子数%以下の範囲内とすれば、より高い効果を得られることが分かった。
(実施例6−1)
炭酸エチレンに代えて、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを混合した電解液を用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして試験電池を作製した。作製した実施例6−1の試験電池についても、実施例1−1と同様にして放電容量維持率を求めた。得られた結果を実施例1−1の結果と共に表6に示す。
Figure 2007128724
表6に示したように、実施例6−1によれば実施例1−1よりも更に放電容量維持率を向上させることができた。すなわち、電解液に4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いるようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液、またはいわゆるゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。高分子固体電解質の高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを含むもの用いることができる。
また、上記実施の形態および実施例では、コイン型または巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型,角型,ボタン型,薄型,大型あるいは積層ラミネート型などの他の形状を有する二次電池についても同様に適用することができる。加えて、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
本発明の一実施の形態に係る負極に含まれる繊維部材の構成を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を用いた二次電池の構成を表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を用いた他の二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図3に示した二次電池のI−I線に沿った構造を表す断面図である。
符号の説明
10…繊維部材、11…導電性基材、12…活物質層、21…外装カップ、22,33…負極、23…外装缶、24,34…正極、24A,34A…正極集電体、24B,34B…正極活物質層、25,35…セパレータ、26…ガスケット、31,32…リード、30…電極巻回体、36…電解質層、37…保護テープ、41…外装部材、42…密着フィルム

Claims (15)

  1. 繊維状の導電性基材にケイ素を構成元素として含む活物質層が設けられた繊維部材を有することを特徴とする負極。
  2. 前記繊維部材は三次元構造を形成していることを特徴とする請求項1記載の負極。
  3. 前記導電性基材の平均繊維径は1μm以上60μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の負極。
  4. 前記導電性基材の平均繊維径Rに対する前記活物質層の平均厚みrの比r/Rは、0.09以上1.030以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の負極。
  5. 前記導電性基材の少なくとも一部は、金属繊維により、または有機化合物繊維に金属の被覆層を設けた被覆繊維により構成されたことを特徴とする請求項1記載の負極。
  6. 前記導電性基材の少なくとも一部は、表面が粗化されていることを特徴とする請求項1記載の負極。
  7. 前記活物質層は、酸素を構成元素として含有し、その含有量は5原子数%以上40原子数%以下であることを特徴とする請求項1記載の負極。
  8. 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
    前記負極は、繊維状の導電性基材にケイ素を構成元素として含む活物質層が設けられた繊維部材を有することを特徴とする電池。
  9. 前記繊維部材は三次元構造を形成していることを特徴とする請求項8記載の電池。
  10. 前記導電性基材の平均繊維径は1μm以上60μm以下の範囲内であることを特徴とする請求項8記載の電池。
  11. 前記導電性基材の平均繊維径Rに対する前記活物質層の平均厚みrの比r/Rは、0.3以上3.0以下の範囲内であることを特徴とする請求項8記載の電池。
  12. 前記導電性基材の少なくとも一部は、金属繊維により、または有機化合物繊維に金属の被覆層を設けた被覆繊維により構成されたことを特徴とする請求項8記載の電池。
  13. 前記導電性基材の少なくとも一部は、表面が粗化されていることを特徴とする請求項8記載の電池。
  14. 前記活物質層は、酸素を構成元素として含有し、その含有量は5原子数%以上40原子数%以下であることを特徴とする請求項8記載の電池。
  15. 前記電解質は、ハロゲン原子を有する炭酸エステル誘導体を含むことを特徴とする請求項8記載の電池。
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