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JP2007179883A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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JP2007179883A JP2005377233A JP2005377233A JP2007179883A JP 2007179883 A JP2007179883 A JP 2007179883A JP 2005377233 A JP2005377233 A JP 2005377233A JP 2005377233 A JP2005377233 A JP 2005377233A JP 2007179883 A JP2007179883 A JP 2007179883A
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Abstract

【課題】サイクル特性が良好で、かつサイクルが進行しても低温放電性能が良好な非水電解質二次電池を得る。
【解決手段】正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池において、前記非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、不飽和スルトン化合物0.2〜1.5質量%とを含有する。
Figure 2007179883

【選択図】なし

Description

本発明は非水電解質二次電池に関するものである。
近年、民生用の携帯電話、ポータブル機器や携帯情報端末などの急速な小型軽量化・多様化に伴い、その電源である電池に対して、小型で軽量かつ高エネルギー密度で、さらに長期間繰り返し充放電が実現できる二次電池の開発が強く要求されている。なかでも、水溶液系電解液を使用する鉛電池やニッケルカドミウム電池と比較して、これらの要求を満たす二次電池としてリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が最も有望であり、活発な研究がおこなわれている。
非水電解質二次電池の正極活物質には、二硫化チタン、五酸化バナジウムおよび三酸化モリブデンをはじめとして、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物およびスピネル型マンガン酸化物等の一般式LiMO(ただし、Mは一種以上の遷移金属)で表される種々の化合物が検討されている。なかでも、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物およびスピネル型リチウムマンガン複合酸化物などは、4Vvs.Li/Li以上の極めて貴な電位での充放電が可能であるため、正極として用いることで高い放電電圧を有する電池を実現できる。
非水電解質二次電池の負極活物質には、金属リチウム、リチウム合金、リチウムを吸蔵・放出が可能な炭素材料など種々検討されているが、なかでも炭素材料を使用すると、サイクル寿命の長い電池が得られ、かつ安全性が高いという利点がある。
非水電解質二次電池の非水電解質には、一般にエチレンカーボネートやプロピレンカーボネートなどの高誘電率溶媒とジメチルカーボネートやジエチルカーボネートなどの低粘度溶媒との混合系溶媒にLiPFやLiBF等のLi塩を溶解させた電解液が使用されているが、これらの溶媒やリチウム塩は、目的の電池性能によって無数の組み合わせが可能である。
近年開発が進められているハイブリッド車などの移動体搭載用の電池では、良好な寿命性能だけでなく、寒冷地での使用を考慮した、優れた低温放電性能が求められ、さらには、寿命末期においても十分な低温放電性能を有することが求められている。
この低温放電特性を向上させる方法には種々の方法があり、上述のようなリチウムイオン二次電池では、例えば、特許文献1に示されるように、低粘度でかつ凝固点の低いメチルアセテートなどのカルボン酸エステルを溶媒として用いる方法が検討されている。
また、特許文献2および特許文献3に示されるように、一般的なLi塩であるLiPFに代わって、リチウムビス(オキサラト)ボレートをLi塩として用いることで、電解液の熱安定性の向上や、正極活物質に含まれる遷移金属の溶出を引き起こすフッ酸の発生の抑制によって寿命性能を改善する方法が検討されている。
また、特許文献4には、高分子ゲル電解質を用いた非水電解質電池において、高分子ゲル電解質に含まれる電解液には、リチウムビス(オキサイド)ボレートやLiPFなどから選ばれる少なくとも1種のリチウム塩を含む技術が開示されている。
さらに、特許文献5に示されるように、不飽和スルトン化合物を含有する非水電解液を用いることによって、電池の容量低下およびガス発生を抑制して、寿命特性を改善する方法が検討されている。
特許第2924329号公報 特表2002−519352号公報 特表2003−536229号公報 特開2005−050755号公報 特開2002−329528号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、電解液の溶媒にメチルアセテートなどのカルボン酸エステルを用いた場合、カルボン酸エステルは鎖状炭酸エステルよりも還元されやすいために、寿命性能が悪くなるという問題があった。
特許文献2や特許文献3に記載のように、電解質塩にリチウムビス(オキサラト)ボレートを用いる場合、非水電解質の伝導率がLiPFをLi塩として用いた非水電解質よりも低いために、低温放電性能が低下する問題があった。
特許文献4には、電解質塩としてリチウムビス(オキサイド)ボレートを用いた例は記載されていないため、最適濃度や他のリチウム塩と組み合わせた場合の電池特性は不明であった。
特許文献5では、非水電解液に不飽和スルトン化合物を含有させることにより、非水電解液二次電池の高温環境下での寿命特性の改善効果は認められたが、低温放電性能が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、サイクル寿命性能と、サイクル後の低温放電性能とが良好な非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、前記非水電解質中に、化学式1で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレートを0.1〜1.0質量%と、化学式2で示される不飽和スルトン化合物を0.2〜1.5質量%とを含有させることによって、サイクル寿命性能と、サイクル後の低温放電性能とが良好な非水電解質二次電池を得ることができることを見出した。また、前記不飽和スルトン化合物として、化3で示される1,3−プロペンスルトンを用いることで、特に良好なサイクル寿命性能と、サイクル後の低温放電性能とが得られることを見出した。
請求項1の発明は、正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池において、前記非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物とを含有することを特徴とする。
Figure 2007179883
Figure 2007179883
ただし、化学式(2)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。
請求項2の発明は、上記非水電解質二次電池において、不飽和スルトン化合物として化学式(3)で示される1,3−プロペンスルトンを用いることを特徴とする。
Figure 2007179883
請求項3の発明は、正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池の製造方法において、前記非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物0.2〜1.5質量%とを含有することを特徴とする。
Figure 2007179883
Figure 2007179883
ただし、式(2)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。
請求項1の発明によれば、リチウムイオンを吸蔵・放出する物質を含む正極と、負極と、非水電解質とで構成する非水電解質二次電池において、前記非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレートを0.1〜1.0質量%と、化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物とを同時に含有することによって、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が抑制され、かつ充放電サイクル後においても良好な低温放電性能を得ることができる。
この理由は明確には解明されていないが、一般に、電池を充放電サイクルさせた場合、貴な電位を有する正極および卑な電位を有する負極上で非水電解質の酸化および還元反応が進行し、ガス発生、活物質の集電性の低下、電極上への高抵抗の被膜形成および正負極の容量バランスのずれなどがおこることによって、電池の放電容量の低下、つまりサイクル寿命性能の低下や、低温放電性能の低下が生じると考えられている。
リチウムビス(オキサラト)ボレートと不飽和スルトン化合物とを合わせて用いることで、それぞれを単独で用いた場合よりも特異的に良好な特性が得られるのは、リチウムビス(オキサラト)ボレートと不飽和スルトン化合物とからなる混成皮膜が負極上に形成し、上記の劣化メカニズムの起点のひとつである非水電解質の還元分解を抑制する相乗効果を発揮したためであると推察される。
リチウムビス(オキサラト)ボレートと不飽和スルトン化合物とを同時に含有する場合、非水電解質の総質量に対するリチウムビス(オキサラト)ボレートの含有量が0.1質量%より少ない量では、負極活物質表面上に低抵抗で安定な皮膜を形成することができず、1.0質量%を超える量では、リチウムビス(オキサラト)ボレートの分解によって発生するガスが多くなり、電池膨れが著しくなる。
また、上記不飽和スルトン化合物として、化学式(3)で示される1,3−プロペンスルトンを用いることで、特に優れたサイクル寿命性能と低温放電性能とを得ることができる。この理由は明確には解明できていないが、1,3−プロペンスルトンを用いた場合、他の不飽和スルトン化合物を用いた場合よりも比較的低抵抗な皮膜を負極表面上に形成するためであると推察される。
請求項3の発明によれば、非水電解質二次電池の製造方法において、非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレートを0.1〜1.0質量%と、化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物を0.2〜1.5質量%とを同時に含有させることにより、充放電サイクルにともなう放電容量の低下が抑制され、かつ充放電サイクル後においても良好な低温放電性能を得ることができる。
なお、非水電解質二次電池の製造時の非水電解質中に、不飽和スルトン化合物の含有量が0.2質量%より少ない場合は、十分な寿命性能を得ることができず、1.5質量%を超える場合は、不飽和スルトン化合物に起因する高抵抗な皮膜が形成されるため、十分な低温放電性能を得ることができない。
本発明は、正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池において、前記非水電解質中に、リチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、不飽和スルトン化合物とを含有することを特徴とする。
ここで、リチウムビス(オキサラト)ボレートとは、化学式(1)で示される構造を有するものであり、また、不飽和スルトン化合物とは、化学式(2)で示される構造を有するものである。
Figure 2007179883
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ただし、化学式(2)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。また、化学式(2)において、n=2または3の場合、各炭素に結合するR1およびR2は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基である。
ここで化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物の具体例としては、1,3−プロペンスルトン、1−メチル−1,3−プロペンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロペンスルトン、2−メチル−1,3−プロペンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロペンスルトン、3−メチル−1,3−プロペンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロペンスルトン、1−エチル−1,3−プロペンスルトン、2−エチル−1,3−プロペンスルトン、3−エチル−1,3−プロペンスルトン、2,3−ジメチル−1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトンなどが挙げられる。
これらは単独でまたは混合して使用することができるが、負極表面上に形成する皮膜の抵抗上昇を抑制する点から、化学式(3)で示される1,3−プロペンスルトンを用いることが好ましい。また、R1〜R4が炭素数5以上の炭化水素基のものや、nが4以上の不飽和スルトン化合物は非水電解質の粘度上昇による注液性の低下を招くため、好ましくない。
Figure 2007179883
さらに本発明は、正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池の製造方法において、前記非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物0.2〜1.5質量%とを含有することを特徴とする。
Figure 2007179883
Figure 2007179883
ただし、化学式(2)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。また、化学式(2)において、n=2または3の場合、各炭素に結合するR1およびR2は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基である。
非水電解質としては、電解液または固体電解質のいずれも使用することができる。電解液を用いる場合には、電解液溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状炭酸エステルを含んでいてもよく、その他溶媒としてγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソランやハロゲン化ジオキソラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルイソプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、アセトニトリル、ハロゲン化アセトニトリルや、エトキシペンタフルオロシクロトリホスファゼンなどのアルコキシおよびハロゲン置換環状ホスファゼン類および鎖状ホスファゼン類、また、リン酸トリエチルやリン酸トリメチルなどのリン酸エステル類、N−メチルオキサゾリジノン、N−エチルオキサゾリジノン等の非水溶媒を含んでいてもよく、単独で、またはこれらを混合して使用することができる。
好ましくは、環状炭酸エステルとしてエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートを単独または混合したものを用い、鎖状炭酸エステルとしてジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを単独または混合したものを用いることが好ましい。また、非水電解液の溶媒中の環状炭酸エステルは体積比で10〜60%が好ましく、20〜50%であることがより好ましい。鎖状炭酸エステルの含有量は40〜90%が好ましく、50〜80%であることがより好ましい。
また、環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの他に、メチルアセテート、エチルアセテート、エチルモノフルオロアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、メチルブチレート、エチルブチレート、プロピルブチレートなどに代表される鎖状カルボン酸エステルを含んでいてもよく、その非水電解液の溶媒に対する割合は0%〜80%まで適宜決定すればよい。
非水電解質は、これらの非水溶媒に支持塩を溶解して使用する。一般に、リチウムビス(オキサラト)ボレートは支持塩として知られているが、本発明におけるリチウムビス(オキサラト)ボレートは負極表面上への皮膜形成剤として使用されるため、支持塩とはならない。支持塩としては、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCFCO、LiCFSO、LiCFCFSO、LiCFCFCFSO、LiN(SOCF、LiN(SOCFCF、LiN(COCF、LiN(COCFCF、LiBF、LiPF(CおよびLiPF(CFCFなどの塩もしくはこれらの混合物を使用することができ、より好ましくはLiPFを用いるか、あるいはLiPFを主体とし、前記電解質を少量混合して用いることが好ましい。
また、電池特性向上のために、リチウムビス(オキサラト)ボレートと不飽和スルトン化合物に加えて少量の添加剤を非水電解質中に混合してもよく、ビニレンカーボネートやビニルエチレンカーボネートなどの不飽和結合含有カーボネート、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、フルオロビフェニル、フルオロベンゼン、アニソール類などの芳香族化合物やフルオロオクタンなどのハロゲン置換アルカンなどを目的に応じて適宜添加してもよく、溶媒のエステル交換反応の抑制を目的とした場合は、ビニレンカーボネートなどの不飽和結合含有カーボネートを混合して用いてもよい。
固体電解質を用いる場合は、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を用い、高分子固体電解質にさらに環状炭酸エステルと鎖状炭酸酸エステルとを含む非水電解液を含有させることで良い。
本発明を適用する非水電解質二次電池の正極活物質としては、特に制限はなく、種々の材料を適宜使用できる。例えば、二酸化マンガン、五酸化バナジウムのような遷移金属化合物や、硫化鉄、硫化チタンのような遷移金属カルコゲン化合物、さらにはこれらの遷移金属とリチウムの複合酸化物LiMO2−δ(ただし、Mは、Co、NiまたはMnを表し、0.4≦x≦1.2、0≦δ≦0.5である複合酸化物)、またはこれらの複合酸化物にAl、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Znから選ばれる少なくとも一種の元素、または、P、Bなどの非金属元素を含有した化合物を使用することができる。さらに、リチウムとニッケルの複合酸化物、すなわちLiNiM1M22−δで表される正極活物質(ただし、M1、M2はAl、Mn、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Znから選ばれる少なくとも一種の元素、または、P、Bなどの非金属元素でもよい。さらに0.4≦x≦1.2、0.8≦p+q+r≦1.2、0≦δ≦0.5である)などを用いることができる。また、有機化合物としては、例えばポリアニリン等の導電性ポリマー等が挙げられる。さらに、無機化合物、有機化合物を問わず、上記各種活物質を混合して用いてもよい。
さらに、負極材料たる化合物としては、グラファイト、難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)等の炭素質材料が好適であり、これらの炭素材料と共にAl、Si、Snなどの合金系化合物や金属Liを含んでいてもよいが、安全性や寿命性能の面から難黒鉛化性炭素や易黒鉛化性炭素を主体とすることが特に好ましい。
また、本発明に係る非水電解質電池の隔離体としては、織布、不織布、合成樹脂微多孔膜等を用いることができ、特に、合成樹脂微多孔膜を好適に用いることができる。なかでもポリエチレン及びポリプロピレン製微多孔膜や、アラミドなどを加工した耐熱性樹脂またはこれらを複合した微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗等の面で好適に用いられる。
さらに、高分子固体電解質等の固体電解質を用いることで、セパレータを兼ねさせることもできる。さらに、合成樹脂微多孔膜と高分子固体電解質等を組み合わせて使用してもよい。この場合、高分子固体電解質として有孔性高分子固体電解質膜を用い、高分子固体電解質にさらに電解液を含有させる。
また、電池の形状は特に限定されるものではなく、角形、長円筒形、コイン形、ボタン形、シート形、円筒型電池等の様々な形状の非水電解質二次電池に適用可能である。
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではなく、その主旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
[実施例1〜15および比較例1〜11]
[実施例1]
図1は、本実施例の角形非水電解質二次電池の概略断面図である。この角形非水電解質二次電池1は、アルミニウム集電体に正極合材を塗布してなる正極3と、銅集電体に負極合材を塗布してなる負極4とがセパレータ5を介して巻回された扁平巻状電極群2と、非水電解液とを電池ケース6に収納してなる、幅30mm×高さ50mm×厚さ5mmのものである。
電池ケース6には、安全弁8を設けた電池蓋7がレーザー溶接によって取り付けられ、正極3は正極リード10を介して電池蓋7と接続され、負極4は負極リード11を介して負極端子9と接続されている。
正極板は、結着剤であるポリフッ化ビニリデン8質量%と導電剤であるアセチレンブラック6質量%とスピネル型リチウムマンガン複合酸化物(LiMn)である正極活物質86質量%とを混合してなる正極合材に、N−メチルピロリドンを加えてペースト状に調製した後、これを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体両面に塗布、乾燥することによって作製した。
負極板は、難黒鉛化性炭素90質量%とポリフッ化ビニリデン10質量%をN−メチルピロリドンに加えてペースト状に調製した後、これを厚さ10μmの銅箔集電体両面に塗布、乾燥することによって製作した。
セパレータには、ポリエチレン微多孔膜を用いた。非水電解質としては、エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):エチルメチルカーボネート(EMC)=25:35:40(体積比)の混合溶媒にLiPFを1mol/L溶解した溶液を用いた。
さらに、非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(以下では「LiBOB」と略す)を0.10質量%と、化学式(3)で示される1,3−プロペンスルトン(以下では「PS」と略す)を0.20質量%とを含有させた非水電解質を用いた。以上の構成・手順で実施例1の非水電解質二次電池を作製した。
Figure 2007179883
Figure 2007179883
なお、ここで「非水電解質中にLiBOBを0.10質量%含有させる」とは、ECとDMCとEMCとLiPFとLiBOBとPSの合計質量に対するLiBOBの質量の割合が0.10%であることを意味し、「非水電解質中に1,3−プロペンスルトンを0.20質量%含有させる」とは、ECとDMCとEMCとLiPFとLiBOBとPSの合計質量に対するPSの質量の割合が0.20%であることを意味する。
[実施例2]
非水電解質中にLiBOBを0.50質量%、PSを0.20質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例3]
非水電解質中にLiBOBを1.00質量%、PSを0.20質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例4]
非水電解質中にLiBOBを0.10質量%、PSを1.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例5]
非水電解質中にLiBOBを0.50質量%、PSを1.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例6]
非水電解質中にLiBOBを1.00質量%、PSを1.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例7]
非水電解質中にLiBOBを0.10質量%、PSを1.50質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例8]
非水電解質中にLiBOBを0.50質量%、PSを1.50質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例9]
非水電解質中にLiBOBを1.00質量%、PSを1.50質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、実施例9の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例10]
非水電解質中にLiBOBを0.10質量%、PSを0.10質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例10の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例11]
非水電解質中にLiBOBを0.50質量%、PSを0.10質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例11の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例12]
非水電解質中にLiBOBを1.00質量%、PSを0.10質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例12の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例13]
非水電解質中にLiBOBを0.10質量%、PSを2.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例13の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例14]
非水電解質中にLiBOBを0.50質量%、PSを2.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例14の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例15]
非水電解質中にLiBOBを1.00質量%、PSを2.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例15の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例1]
LiBOBとPSとを含まない非水電解質を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例2]
非水電解質中にLiBOBを0.01質量%、PSを0.20質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例3]
非水電解質中にLiBOBを1.2質量%、PSを0.20質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例4]
非水電解質中にLiBOBを0.01質量%、PSを1.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例5]
非水電解質中にLiBOBを1.20質量%、PSを1.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例5の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例6]
非水電解質中にLiBOBを0.01質量%、PSを1.50質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例6の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例7]
非水電解質中にLiBOBを1.20質量%、PSを1.50質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例7の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例8]
非水電解質中にLiBOBを0.01質量%、PSを0.10質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例8の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例9]
非水電解質中にLiBOBを1.20質量%、PSを0.10質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例9の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例10]
非水電解質中にLiBOBを0.01質量%、PSを2.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例10の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例11]
非水電解質中にLiBOBを1.20質量%、PSを2.00質量%含有させたこと以外は実施例1と同様にして、比較例11の非水電解質二次電池を作製した。
[特性測定]
実施例1〜15および比較例1〜11の角形非水電解質二次電池を各5セルづつ作製し、初期放電容量確認試験をおこなった。初期放電容量は、25℃において、250mA定電流で4.2Vまで、さらに4.2V定電圧で、合計3時間充電した後、250mA定電流で終止電圧2.5Vの条件で放電をおこなった。
つぎに、充放電サイクル寿命試験をおこなった。初期放電容量確認試験時の充放電条件で、45℃の恒温槽中にて500サイクルの充放電をおこない、その後、25℃で5時間冷却した後に25℃で容量確認試験をおこなった。
その後、−20℃での低温放電試験をおこなった。低温放電試験は、25℃において、初期放電容量確認試験時の充電条件で充電した後、電池を−20℃で5時間冷却し、−20℃の恒温槽中で、250mA定電流で終止電圧2.5Vの条件で放電をおこなった。
なお、45℃充放電サイクル試験の500サイクル目の「容量保持率」は、初期放電容量に対する45℃充放電500サイクル後の25℃での放電容量の割合を100分率で示したものである。また、「低温保持率」は、高温充放電500サイクル後の電池において、初期放電容量に対する−20℃での放電容量の割合を100分率で示したものである。
実施例1〜9および比較例1〜17の非水電解質二次電池の電解質中のLiBOBおよびPSの含有量、試験結果を表1に示す。なお、表1において、「容量保持率」および「低温保持率」は、5セルの平均値を示したものである。
Figure 2007179883
表1の結果から、非水電解質中に、リチウムビス(オキサラト)ボレートを0.2〜1.0質量%含有し、かつ1,3−プロペンスルトンを含有した実施例1〜15のサイクル寿命性能および低温放電性能は、いずれの添加剤も含有しない比較例1よりも著しく良好であることがわかった。
また、実施例1〜15のサイクル寿命性能および低温放電性能は、リチウムビス(オキサラト)ボレートの含有量が0.1〜1.0質量%の範囲内にない比較例2〜11よりも非常に良好であった。
なお、非水電解質中に、リチウムビス(オキサラト)ボレートを0.2〜1.0質量%含有した実施例1〜15の中では、1,3−プロペンスルトンを0.20〜1.5質量%含有した実施例1〜9の方が、1,3−プロペンスルトンを0.10質量%含有した実施例10〜12および2.00質量%含有した実施例13〜15よりも、サイクル寿命性能および低温放電性能とも優れていることがわかった。
この原因は現時点では不明であるが、リチウムビス(オキサラト)ボレートに起因する低温放電性能に優れた性質と、1,3−プロペンスルトンに起因するサイクル寿命性能に優れた性質とを兼ね備えた混成皮膜が負極表面上に形成され、特異な作用を発揮したためであると推察される。
[実施例16、17および比較例12]
[実施例16]
非水電解質中にLiBOBを0.10質量%含有し、PSに代えて1−フルオロ−1,3−プロペンスルトンを0.20質量%添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例16の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例17]
非水電解質中にLiBOBを0.10質量%含有し、PSに代えて1,4−ブテンスルトンを0.20質量%添加したこと以外は実施例1と同様にして、実施例17の非水電解質二次電池を作製した。
[比較例12]
非水電解質中にLiBOBに0.10質量%含有し、PSに代えてエチレンサルファイトを0.20質量%添加したこと以外は実施例1と同様にして、比較例12の非水電解質二次電池を作製した。
[特性測定]
実施例16、17および比較例12の角形非水電解質二次電池を各5セルづつ作製し、実施例1と同等の条件で、初期放電容量確認試験、45℃での充放電サイクル寿命試験および−20℃での低温放電試験をおこなった。
実施例16、17および比較例12の非水電解質二次電池の電解質中のLiBOB含有量、添加溶媒の含有量、試験結果を表2に示す。なお、表2において、「容量保持率」および「低温保持率」は、5セルの平均値を示したものである。
Figure 2007179883
表2から、実施例16および実施例17に示すように、種々の不飽和スルトン化合物を用いた場合においても良好なサイクル寿命性能と高い低温放電性能とが得られることがわかった。しかし、比較例12のように、不飽和スルトン化合物以外の溶媒を添加した場合には、サイクル寿命性能、低温放電性能とも改善されなかった。
[実施例18〜24]
[実施例18]
非水電解質溶媒の組成をEC:DMC=25:75(体積比)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例18の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例19]
非水電解質溶媒の組成をEC:EMC=25:75(体積比)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例19の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例20]
非水電解質溶媒の組成をEC:DEC=25:75(体積比)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例20の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例21]
非水電解質溶媒の組成をEC:DMC:EMC:DEC=20:20:30:30(体積比)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例21の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例22]
非水電解質溶媒の組成をPC:DMC:EMC=20:40:40(体積比)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例22の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例23]
非水電解質溶媒の組成をEC:エチルアセテート=25:75(体積比)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例23の非水電解質二次電池を作製した。
[実施例24]
非水電解質溶媒の組成をEC:メチルプロピオネート=25:75(体積比)としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例24の非水電解質二次電池を作製した。
[特性測定]
実施例18〜24の角形非水電解質二次電池を各5セルづつ作製し、実施例1と同等の条件で、初期放電容量確認試験、45℃での充放電サイクル寿命試験および−20℃での低温放電試験をおこなった。
実施例18〜24の非水電解質二次電池の電解質の溶媒組成および試験結果を表3に示す。なお、表3において、「容量保持率」および「低温保持率」は、5セルの平均値を示したものである。
Figure 2007179883
表3から、電解質の溶媒組成として、環状カーボネートと鎖状カーボネートの種類や混合比率を変化させた場合や、また、鎖状カーボネートの代わりにエチルアセテートやメチルプロピオネートなどの鎖状カルボン酸エステルを用いた場合にも同様の効果が得られることがわかった。
なお、上記実施例では、電解質塩として濃度1mol/lのLiPFを用いたが、電解質塩の種類や濃度を変化させた場合にも同様の効果が得られた。
さらに、正極活物質としてリチウムコバルト酸化物やリチウムニッケル酸化物やそれらの混合系を用いた場合にも同様の効果が得られ、負極活物質として黒鉛やコークス類、また、負極の一部に合金を用いた場合でも同様の効果が得られた。
以上のことから、非水電解質中に、リチウムビス(オキサラト)ボレートを0.1〜1.0質量%含有し、かつ不飽和スルトン化合物を含有させることで、良好なサイクル寿命性能と高い低温放電性能とが得られることがわかった。
また、正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池の製造方法において、前記非水電解質中に、リチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、不飽和スルトン化合物0.2〜1.5質量%とを含有させることにより、良好なサイクル寿命性能と高い低温放電性能とを示す非水電解質二次電池を製造できることがわかった。
本発明の実施例及び比較例の角形電池の断面構造を示す図。
符号の説明
1 角型非水電解質二次電池
2 巻回型電極群
3 正極
4 負極
5 セパレータ

Claims (3)

  1. 正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池において、前記非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物とを含有することを特徴とする非水電解質二次電池。
    Figure 2007179883
    Figure 2007179883
    ただし、化学式(2)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。
  2. 不飽和スルトン化合物が化学式(3)で示される1,3−プロペンスルトンであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
    Figure 2007179883
  3. 正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池の製造方法において、前記非水電解質中に、化学式(1)で示されるリチウムビス(オキサラト)ボレート0.1〜1.0質量%と、化学式(2)で示される不飽和スルトン化合物0.2〜1.5質量%とを含有することを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
    Figure 2007179883
    Figure 2007179883
    ただし、化学式(2)において、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数1〜4のフッ素を含んでもよい炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。
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