JP2014056667A - 非水電解質二次電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来のSEI膜が形成された負極32とを備えるリチウムイオン二次電池1であって、
前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下である。
【選択図】図2
Description
前記電解液としては、例えば、電解質である「LiPF6」等のリチウム塩を、「EC(エチレンカーボネート)」や「DMC(ジメチルカーボネート)」や「EMC(エチルメチルカーボネート)」等の有機溶媒に溶解させたものが用いられている。
また、電解液に添加されたLiBOBによって負極活物質上にSEI膜が形成されることにより、負極活物質の反応面積が減少することが知られている。
従って、前記電池抵抗および負極材料の反応面積を適切に設定することにより、非水電解質二次電池の発熱を抑えることが可能になると考えられる。
しかし、LiBOBの添加量を電解液中の濃度のみにより規定した場合、LiBOBとLiBOBにより皮膜が形成される負極活物質の特性との関係が不明であるため、負極活物質の種類や特性によっては、LiBOBを添加することによる効果が十分に発現しないおそれがある。
つまり、添加するLiBOBの電解液中の濃度を規定するだけでは、必ずしも非水電解質二次電池の発熱を抑えることができるものではない。
即ち、請求項1記載の如く、LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来の皮膜が形成された負極とを備える非水電解質二次電池であって、前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下である。
蓋体22の長手方向一端部(図1における左端部)には正極端子4aが設けられ、蓋体22の長手方向他端部(図1における右端部)には負極端子4bが設けられている。
その後、電極体3および電解液をケース本体21内に収容するとともに、ケース本体21の開口部に蓋体22を嵌合して、蓋体22とケース本体21とを溶接により密封することにより、二次電池1を構成する。
正極活物質としては、三元系活物質である「Li(Ni、Mn、Co)O2系活物質」や、「リン酸鉄リチウム(LiFeO2)」などを用いることができる。
負極活物質としては、天然黒鉛系活物質を用いることができる。本実施形態では、前記天然黒鉛系活物質として、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛を用いている。なお、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛は、例えば天然黒鉛の表面を、石油残渣を原料とするピッチにて覆い、約1000℃に加熱することにより得ることができる。
つまり、負極32を模したサンプルピースとなる、負極集電体の一面に負極合材層を形成した一対のサンプルピースを、所定の距離だけ離間した状態で、互いの負極合材層が対向するように配置するとともに、前記サンプルピース間にリチウムイオン二次電池1の電解液を充填した状態で、前記サンプルピース間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスよりコールコールプロットを用いてキャパシタンスを算出することができる。
また、前記電解液には、LiBOB(リチウムビス(オキサラト)ボレート)を添加している。LiBOBの電解液に対する添加量は、LiBOBの電解液に対する濃度が所定の濃度となるように設定されている。
LiBOBに由来するSEI膜は、充放電を繰り返した場合の皮膜厚みの成長が遅いため、SEI膜の過剰な成長が抑制されて、負極抵抗の過剰な上昇を抑えることが可能となっている。
さらに、LiBOBによって形成されるSEI膜の膜厚は、LiBOBの電解液への添加量に応じて増加し、LiBOBによって形成されたSEI膜の膜厚の増加に比例して、リチウムイオン二次電池1の電池抵抗が上昇する。
前記ジュール熱の発生はリチウムイオン二次電池1の電池抵抗に比例し、負極活物質の発熱は負極活物質の反応面積に比例する。
これにより、高温環境下にて充放電を行った際のリチウムイオン二次電池1の発熱を抑えることが可能となっている。
高温環境下での充放電サイクル試験は、リチウムイオン二次電池1の実施例1〜5、および比較例1〜4に対して行った。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
なお、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)の値は、小数点以下第3位の値を四捨五入して、小数点以下第2位までの値で表したものである。
なお、リチウムイオン二次電池1の温度としては、電池ケース2の底部の温度を測定した。
一方、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下の範囲外にある比較例1〜4においては、リチウムイオン二次電池1の温度は116℃〜122℃であって、100℃を超える高い温度となっている。
図3には、LiBOBの添加量X(mol/l)およびキャパシタンスY(F)の値による、高温環境下での充放電サイクル試験後のリチウムイオン二次電池1の発熱度合いの違いを示しており、LiBOBの添加量X(mol/l)とキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が0.01以上かつ0.1以下の範囲内にあるとリチウムイオン二次電池1の発熱度合いが小さく、0.01以上かつ0.1以下の範囲外にあるとリチウムイオン二次電池1の発熱度合いが大きくなっている。
これは、LiBOBが殆ど存在しない状態から、負極活物質量に対するLiBOB量が増加することにより、負極活物質量の表面にSEI膜が形成され、負極活物質量の反応面積が減少して発熱が抑制されたものであると考えられる。
また、負極活物質量は温度が100℃を超えると発熱を生じるため、温度が118℃および116℃と高い値を示した比較例1および比較例3は、負極活物質量の発熱により高温になったと考えられる。
これは、負極活物質量に対するLiBOB量が必要以上に増加することにより、負極活物質の表面にSEI膜が過剰に形成されることとなって負極抵抗が増加し、ジュール熱の発生が増大したことによるものと考えられる。
2 電池ケース
3 電極体
31 正極
32 負極
Claims (2)
- LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来の皮膜が形成された負極とを備える非水電解質二次電池であって、
前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下である、
ことを特徴とする非水電解質二次電池。 - LiBOBが添加された電解液と、表面が非晶質炭素にてコートされた天然黒鉛にて構成される負極活物質を含み、前記負極活物質の表面にLiBOB由来の皮膜が形成された負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記電解液に対するLiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)との比(X/Y)が、0.01以上かつ0.1以下となるように、前記LiBOBの添加量X(mol/l)と前記負極のキャパシタンスY(F)とを調製する、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
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