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JP2007099950A - 天然ゴムの製造方法及びゴム組成物 - Google Patents

天然ゴムの製造方法及びゴム組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】素練りによりゴム粘度を低下させて原料ゴムや配合剤の混合性、分散性、さらに成型加工性を向上し、しかも製造コストが安価である天然ゴムを提供する。
【解決手段】下記化合物(1)及び化合物(2)で代表的に例示される分子量200以上の化合物の群から選ばれた1種類以上を添加し素練りを行うことを特徴とする天然ゴムの製造方法である。
化合物(1):テトラメチルチウラムジスルフィド,テトラエチルチウラムジスルフィド,テトラブチルチウラムジスルフィド,テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド,ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド
化合物(2):ジベンゾチアジルジスルフィド
【選択図】なし

Description

本発明は、天然ゴムの製造方法及びゴム組成物に関し、さらに詳しくは、原料天然ゴムの粘度を低下させゴム組成物の配合剤の分散性、混合性、加工性等を向上させることができる天然ゴムの製造方法、及びこの方法により製造された天然ゴムを用いたゴム組成物に関する。
天然ゴムは、その優れた物理的性質のため、タイヤ、防振ゴム、ベルト、ホースなど、工業用及び家庭用ゴム製品において幅広く、かつ、大量に使用されている。このようなゴム製品は加硫剤、補強剤等の種々の配合剤が混合されているが、この混合作業やゴム製品の成型作業性を容易にするため、まず原料となる天然ゴムの素練り工程が不可欠である。
天然ゴムは他の合成ゴムに比べて分子量が高く高粘度であるため、ゴム分子の主鎖を切断し分子量を下げ、生ゴムに可塑性を与える素練りが一般に行われている。素練りは、原料ゴムに機械的なせん断力を与えることにより、充分な可塑性を与えることであり、これにより、加硫剤、充填剤等の各種配合剤を分散しやすくするなど混合作業を容易にし、さらには後工程である圧延、押出しなどにおいて、寸法安定性、表面状態を向上し、スコーチをしにくくするなど、これらの作業性を向上している。
このような素練り工程では、天然ゴムの可塑性確保のため、大型の設備を要し、その電力、労力、時間を要しコストにも影響するものとなっている。
従来より、素練り促進剤として各種しゃっ解剤が用いられ素練り効果を高めているが、さらに未加硫ゴムの粘度を低下させ加工性を改善するためアミン化合物やマレイミド化合物を添加することが提案され(特許文献1、2)、また天然ゴムの水洗後の乾燥処理工程を2段階以上で行うことが開示されている(特許文献3)。
特開2001−192506号公報 特開2002−69242号公報 特開平11−292902号公報
ところで、上記しゃっ解剤は、ゴム分子を化学的に切断し可塑性を与える作用を有する芳香族ジスルフィド系化合物、芳香族メルカプタン系化合物が使用されるが、通常原料ゴム100重量部当たり0.01〜5重量部程度の少量で添加されるのが一般的である。すなわち、しゃっ解剤の使用が必要とされ、コストを伴うものとなっている。また、上記特許文献1、2に記載のアミン化合物やマレイミド化合物の使用においては、どちらかというと特殊な化合物であること、特許文献3においては多段階処理であり、コスト、加工性においてしゃっ解剤使用に比べ有利であるとは言えない。
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、天然ゴムの粘度を低下させて原料ゴムや配合剤の混合性、分散性、さらに成型加工性を向上し、しかも製造コストが安価である天然ゴムの製造方法及びその方法により製造した天然ゴムを用いたゴム組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、すでにゴム用配合剤として大量に使用されている配合剤の内から、しゃっ解剤と同様にゴム分子を化学的に切断し可塑性を与える作用を有する特定成分を見出し本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)及び一般式(2)で示される分子量200以上の化合物の群から選ばれた1種類以上を添加し素練りを行うことを特徴とする天然ゴムの製造方法である。
Figure 2007099950
式中、nは2〜4の整数。R〜Rは炭化水素基であり、全て同じであっても、異なっていてもよい。
本発明においては、前記一般式(1)で示される化合物が、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドであり、前記一般式(2)で示される化合物がジベンゾチアジルジスルフィドであることが好ましい。
また、前記化合物の配合量は、前記天然ゴム成分100重量部に対して0.5〜10重量部とすることが好適である。
さらに、本発明は、上記天然ゴムの製造方法により製造された天然ゴムを用いたゴム組成物である。
本発明によれば、未加硫ゴム、特に天然ゴムの素練りの際に上記化合物を添加することで原料ゴムの粘度を効果的に低下させることができ、原料ゴムや配合剤の混練、分散性、さらに成形加工性を向上できる。しかも、請求項2に記載の化合物は、すでに通常のゴム配合剤として使用されている加硫促進剤であるので、配合剤が安価に入手可能でありゴム組成物の製造コストへの影響は少ないと言える。
すなわち、本発明のゴム組成物製造方法は、天然ゴムを素練りする際に、下記一般式(1)及び一般式(2)で示される分子量200以上の化合物の群から選ばれた1種類以上を添加し素練りを行うことにある。
Figure 2007099950
式中、nは2〜4の整数である。R〜Rは炭化水素基であり、全て同じであっても、異なっていてもよい。
一般式(1)中のR〜Rの炭化水素基としては、脂肪族、芳香族であり、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、フェニル基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−ブチルオクチル、2−ブチルデシル、2−ヘキシルオクチル、2−ヘキシルデシル、2−オクチルデシル、2−ヘキシルドデシル、2−オクチルドデシル、2−デシルテトラデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−ヘキサデシルオクタデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分枝−イソステアリル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、フェニルフェニル、ベンジルフェニル、スチレン化フェニル、p−クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基、シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
上記炭化水素基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が好ましい。
また、上記一般式(1)及び(2)で示される化合物の分子量は200以上であり、分子量が200未満であるとラジカル補足作用が不十分となってゴム分子の主鎖切断が少なくなり素練りによる天然ゴムの粘度低下の効果が得られ難くなる。
これらの化合物は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記一般式(1)で示される化合物の内で、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBT)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)はチウラム系加硫促進剤として通常のゴム配合剤に大量に使用されているもので入手しやすく、配合コストが有利となる。
また、前記一般式(2)で示される化合物の内でジベンゾチアジルジスルフィド(DM)はチアゾール系加硫促進剤として通常のゴム配合に使用されているもので、やはりコスト的に有利である。
また、前記化合物の配合量は、前記天然ゴム成分100重量部に対して0.5〜10重量部とすることが好適である。配合量が0.5重量部未満では発明の効果が十分得られず、10重量部を超えても粘度低下の効果は飽和してしまい、不経済となる。
本発明に用いられる天然ゴムの種類は特に制限されない。例えば、RSS(リブドスモークドシート)#1〜6、TSR(技術的格付けゴム)のSMR、STR、SIR等により分類された各種グレード(等級)の天然ゴムが用いられる。また、これらの天然ゴムを任意の割合で混合して用いることができる。
本発明において、素練り作業に用いられる混合装置としては、特に制限されることはない。例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダなどの密閉式混合機など各種型式、容量の混合機を使用することができ、またそれらを併用してもよい。
本発明の天然ゴムの製造方法は、天然ゴムに上記化合物を添加し、素練り温度100〜160℃、好ましくは150℃以下の温度条件で、2〜20分、好ましくは15分以内の混練りを行うことで所望の粘度、例えばムーニー粘度が30〜65に調整された素練りゴムを作製する。この素練り工程は、多段階で行ってもよい。
また、本発明に係る化合物に加えて、従来からのしゃっ解剤を添加し併用してもよい。
本発明のゴム組成物は、上記製造方法により製造された天然ゴム単独、または合成ゴムとのブレンドに各種配合剤を配合して混合し得られ、モールド加硫、オープン加硫、射出成型等により各種ゴム製品に使用される。
ブレンド使用される合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルゴム(NBR)等のジエン系合成ゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)等の非ジエン系合成ゴムが使用でき、それらを複数で用いてもよく、天然ゴムとのブレンド割合も任意である。
また、上記ゴム組成物には、カーボンブラックやシリカ等のフィラー、硫黄等の加硫剤をはじめ、ゴム工業において通常に用いられる加硫促進剤、プロセスオイル、老化防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、加硫助剤などの各種配合剤を、ゴム製品の使用目的に従って適宜配合し用いることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例により更に本発明を詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
表1に記載の実施例1、2及び比較例1〜6の素練りゴムを、原料ゴムに添加剤を添加し容量20リットルのバンバリーミキサー及び20インチオープンロールを用いて下記(A)〜(C)の3段階で素練りを行い調製した。各段階でのムーニー粘度(ML1+4、100℃)をJIS K6300に準じて測定した。結果を表1に示す。
使用した原料ゴムは、天然ゴム(SIR3L)、SBR(JSR製、SBR1502)、添加剤は、DM(ジベンゾチアジリジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、添加量(重量部)は表1記載の通りである。
(A)バンバリーミキサーの素練り条件をスタート温度80℃で4分間素練りしミキサーから排出(排出温度120℃)し素練りゴム(A)を得、サンプルAとした。
(B)一旦冷却した素練りゴム(A)をバンバリーミキサーに再投入し、スタート温度80℃で4分間素練りしミキサーから排出(排出温度130℃)し素練りゴム(B)を得、サンプルBとした。
(C)一旦冷却した素練りゴム(B)をロール表面温度80℃のロールで2分間切り返しながら素練りし、厚み1cmのシートを得、サンプルCとした。
次に、各素練りゴム(B)100重量部に、カーボンブラック(N330)50重量部、亜鉛華3重量部、ステアリン酸1重量部、アロマオイル25重量部、硫黄2重量部、加硫促進剤(CZ)1重量部を配合し、バンバリーミキサーにて3分間混合しゴム組成物を作製した。得られたゴム組成物の加硫ゴムについて、カーボンブラック分散性を光学顕微鏡を用いて観察した結果、本発明に係るDMを添加した実施例1、2の分散性は、CZを添加した比較例2,3に比べて良好であった。
Figure 2007099950
表1の結果から明らかなように、本発明である実施例1、2の素練りゴム(天然ゴム)は、本発明に係る化合物によりゴム分子の主鎖切断による分子量低下により粘度を効果的に低減させ、混合性、加工性の向上にも寄与することができる。一方、本発明の範囲外のCZを添加したものは、ゴム粘度低下の効果が明らかに低く、またSBR等の合成ゴムに対しては粘度低下の効果が発現されず、本発明に係る化合物は天然ゴムのみに対して特有の作用効果を奏することが判る。
本発明により得られた天然ゴムは、タイヤ、防振ゴム、コンベアベルト、ベルト、ホースなどの各種ゴム製品のゴム材料として好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)及び一般式(2)で示される分子量200以上の化合物の群から選ばれた1種類以上を添加し素練りを行う
    ことを特徴とする天然ゴムの製造方法。
    Figure 2007099950
    式中、nは2〜4の整数。R〜Rは炭化水素基であり、全て同じであっても、異なっていてもよい。
  2. 前記一般式(1)で示される化合物が、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドであり、
    前記一般式(2)で示される化合物がジベンゾチアジルジスルフィドである
    ことを特徴とする請求項1に記載の天然ゴムの製造方法。
  3. 前記化合物の配合量が、前記天然ゴム成分100重量部に対して0.5〜10重量部である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の天然ゴムの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の天然ゴムの製造方法により製造された天然ゴムを用いた
    ことを特徴とするゴム組成物。
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