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JP2007084044A - カーテンエアバッグ装置 - Google Patents

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JP2007084044A JP2006152428A JP2006152428A JP2007084044A JP 2007084044 A JP2007084044 A JP 2007084044A JP 2006152428 A JP2006152428 A JP 2006152428A JP 2006152428 A JP2006152428 A JP 2006152428A JP 2007084044 A JP2007084044 A JP 2007084044A
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Abstract

【課題】カーテンエアバッグでウインド部を覆った状態を保持できるようにする。
【解決手段】 カーテン20の膨張展開による該カーテン先端部の移動によって、カーテン側部がウインド部の第1辺側から移動して該第1辺から離れた支持部36,37に係合する。同時に、テザー22がウインド部周辺から当該支持部36,37の位置へ移動して該ウインド部を横切って張られた状態になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車、電車、船舶、航空機、宇宙船等の乗り物や、家屋、ビル、宇宙ステーション等の建造物のウインド部を瞬時に覆うカーテンエアバッグ装置に関する。
車両のウインド部の縁にカーテン状のエアバッグを収容しておき、車両衝突時や横転時に該エアバッグにガスを供給することにより、これを膨張展開させてウインド部を瞬時に覆うようにしたカーテンエアバッグ装置は一般に知られている。この装置の場合、そのカーテンにテンションが得られないと、乗員を十分に保護することができない。例えば、カーテンを矩形状ウインド部の1辺とその両側の各辺に跨るように、つまり3辺にわたるように折り畳んで収容しておき、その状態からカーテンを展開させると、カーテンの裾は上記3辺を合わせた長さに広がる。つまり、カーテンの自由端の長さが長くなることから、カーテンが小さな力で簡単にひるがえり、乗員の保護に不利になる。
この問題に対して、ウインド部の1辺側からカーテンの先端に向かって延びる複数の膨張部(バッグ)をカーテン幅方向に間隔をおいて形成し、この膨張部の膨張によって、カーテン幅方向の広がりを小さくする、つまり、自由端の長さを短くして、カーテンのテンションを高めることがなされている。しかし、十分なテンションを得ることは難しい。また、大きなウインド部を覆うためには膨張部がかなり大きなものになり、そのために、膨張部に供給する大量のガスを賄うためにインフレータが大型になることから、大型ウインド部への適用が難しい。
そこで、特許文献1に記載されているように、車両のバックウインド部を覆うカーテンエアバッグに関して、バックウインド部の上縁にカーテンを収容し、バックウインド部の左右側縁の中間位置に張力付与部を設け、カーテンを張力付与部よりも下方へ膨張展開させて、左右の張力付与部によりカーテンにテンションを与えることが提案されている。
また、特許文献2に記載されているように、バックウインド部の左右側縁に上下方向に延びるガイドレールを設けてこれにカーテンの両側縁を係合させ、バックウインド部上縁からカーテンが膨張展開するとき、カーテン両側縁を、ガイドレールを伝って下方へ移動させることが提案されている。すなわち、ガイドレールによって左右の張力付与部を下方へ移動させて、テンションラインを下げる、というものである。
特開2004−58849号公報 特開2004−58850号公報
しかし、特許文献1の場合、張力付与部の位置を低くしてテンションラインを下げると、それだけ一方の張力付与部からウインド部上縁を通って他方の張力付与部に至る距離が長くなってしまう。つまり、カーテンが展開したときに両張力付与部間に介在する部分の長さ(カーテン幅)が長くなり、所望のテンションを得るには膨張部を大きくして大量のガスを供給しなければならない。
一方、特許文献2の場合、張力付与部が移動するから、上記特許文献1の問題はないものの、ガイドレールがカーテンの膨張展開の摺動抵抗になり、カーテンの円滑且つ速やかな展開を図ることが難しくなる。
そこで、本発明は、展開したカーテンが乗り物や建造物内部の人や物によって押されて動くことを確実に且つ簡単に阻止できるようにすることを課題とする。
本発明は、このような課題を解決するために、カーテンに膨張部とは別にカーテンの展開状態の保持性能が低下することを防止するテザーを設けるようにした。
すなわち、請求項1に係る発明は、1又は2以上のウインドを有するウインド部に設けられるカーテンエアバッグ装置であって、
ガスが注入される膨張部を有し、上記ウインド部周辺の少なくとも第1辺に畳んで収容され、上記膨張部の上記ガスの注入による膨張によって上記ウインド部の少なくとも一部を覆うように展開するカーテンと、
上記カーテンの膨張部に上記ガスを供給するガス供給装置と、
上記第1辺に続く第2辺の上記第1辺から離間した部位に設けられた支持部と、
上記カーテンの上記第2辺側の側部に設けられ、該カーテンの収容状態においては上記支持部よりも上記第1辺側に若しくは該第1辺に位置し、上記膨張部の膨張により該カーテンの先端部が該カーテンの展開方向に移動することに伴って上記第1辺側若しくは該第1辺から上記支持部に向かって移動して該支持部に係合する係合部と、
一端が上記カーテンの係合部又は該係合部の近傍部分に結合され、他端が上記ウインド部周辺の上記第2辺以外の所定部位に、又はカーテン展開時に当該所定部位に拘束される上記カーテン周辺部に結合されていて、上記カーテンと共に上記ウインド部周辺に収容され、該カーテンの展開によって上記支持部側から上記ウインド部周辺の上記所定部位側にわたって該ウインド部を横切るように延び、上記支持部と上記ウインド部周辺の上記所定部位とで張力が受けられるテザーとを備えていることを特徴とする。
従って、カーテンの膨張部にガスが注入されると、その膨張によりカーテンの先端部が該カーテンの展開方向に移動する。これに伴ってカーテン側部の係合部はウインド部周辺の第1辺側から第2辺に沿って移動し、該第2辺に設けられている支持部に係合する。よって、カーテンの側部はその支持部に拘束される。
一方、テザーは、その一端が上記カーテンの係合部又は該係合部の近傍部分に結合されているから、上記カーテンの膨張展開と同時に該一端が上記支持部の位置へ移動し、そこから、上記ウインド部を横切って、ウインド部周辺の上記第2辺以外の部位に、又は該部位に拘束されるカーテン周辺部に渡された状態になる。このため、カーテンが押し動かされることがテザーによって抑えられ、乗り物や建造物の内部の人や物を確実に保護する上で有利になる。
しかも、テザーの一端は、膨張部の膨張によるカーテン先端部の展開方向への移動に伴って、カーテンの係合部と共に第2辺の支持部に移動するから、ガイドレール等の移動手段は不要になり、構造も簡単になる。
ウインド部の形状は、その全体が略三角形状であっても、略四角形状であっても、或いはその他の多角形状であってもよく、また、その各辺は直線に限らず、円弧状になっていてもよい。
また、テザーはカーテンの内側に張られるものであっても、外側に張られるものであってもよい。
また、テザーの他端が結合される、ウインド部周辺の上記第2辺以外の部位としては上記第1辺であってもよく、或るいは他の辺であってもよい。また、テザーの他端は、カーテンの第1辺近傍或いは他の辺の近傍に結合されていてもよい。或いは、ウインド部周辺の上記第2辺と対向する辺に支持部を設けて、カーテンの膨張展開時に該対向辺を移動して当該支持部に係合する係合部をカーテンに設けておき、上記テザーの他端をその係合部又は該係合部近傍に結合するようにしてもよい。
カーテンはウインド部全体を覆うものであっても、ウインド部の一部を覆うもの、すわち、ウインド部にカーテンで覆われない非封鎖領域を部分的に形成するものであってもよい。非封鎖領域の形成により、事後的に人や物が乗物や建造物の内部から外部に出ることを容易にすることができる。
また、カーテンは、例えば蛇腹状に折り畳んで第1辺に収容する他、ロール状になるように丸くくるくる捲き畳んで第1辺に収容することができる。
請求項2に係る発明は、1又は2以上のウインドを有する四角形状ウインド部に設けられるカーテンエアバッグ装置であって、
ガスが注入される膨張部を有し、上記ウインド部周辺の少なくとも第1辺に畳んで収容され、上記膨張部の上記ガスの注入による膨張によって上記ウインド部の少なくとも一部を覆うように展開するカーテンと、
上記カーテンの膨張部に上記ガスを供給するガス供給装置と、
上記第1辺の一方側に位置する第2辺の上記第1辺から離間した部位に設けられた第2辺側支持部と、
上記第1辺の他方側に位置する第3辺の上記第1辺から離間した部位に設けられた第3辺側支持部と、
上記カーテンの上記第2辺側の側部に設けられ、該カーテンの収容状態においては上記第2辺側支持部よりも上記第1辺側に若しくは該第1辺に位置し、上記膨張部の膨張により該カーテンの先端部が該カーテンの展開方向に移動することに伴って上記第1辺側若しくは該第1辺から上記第2辺側支持部に向かって移動して該第2辺側支持部に係合する第2辺側係合部と、
上記カーテンの上記第3辺側の側部に設けられ、該カーテンの収容状態においては上記第3辺側支持部よりも上記第1辺側に若しくは該第1辺に位置し、上記膨張部の膨張により該カーテンの先端部が該カーテンの展開方向に移動することに伴って上記第1辺側若しくは該第1辺から上記第3辺側支持部に向かって移動して該第3辺側支持部に係合する第3辺側係合部と、
上記カーテンの第2辺側係合部又は該係合部近傍部分と、上記カーテンの第3辺側係合部又は該係合部近傍部分とを連結していて、上記カーテンと共に上記ウインド部周辺に収容され、該カーテンの展開によって上記第2辺側から上記第3辺側にわたって上記ウインド部を横切るように延び、上記第2辺側支持部と上記第3辺側支持部とで張力が受けられるテザーとを備えていることを特徴とする。
すなわち、請求項2に係る発明の場合、カーテンの膨張展開により、該カーテンの第2辺側係合部は第1辺側からウインド部の第2辺側支持部に移動して係合し、該カーテンの第3辺側係合物は第1辺側からウインド部の第3辺側支持部に移動して係合し、テザーはカーテンの第2辺側係合部又はその近傍部分と第3辺側係合部又はその近傍部分とに渡された状態になる。
従って、上記両係合部各々の対応する支持部への係合により、ウインド部の両支持部を結ぶテンションラインに沿ってテザーが配置されることになるから、カーテンが押し動かされることがテザーによって確実に抑えられ、乗り物や建造物の内部の人や物を確実に保護する上で有利になる。
上記ウインド部の各辺は直線に限らず、円弧状になっていてもよい。
また、テザーはカーテンよりも内側に張られるものであっても、外側に張られるものであってもよい。
カーテンはウインド部全体を覆うものであっても、ウインド部の一部を覆うもの、すわち、ウインド部にカーテンで覆われない非封鎖領域を部分的に形成するものであってもよい。非封鎖領域の形成により、事後的に人や物が乗物や建造物の内部から外部に出ることを容易にすることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記カーテンは、上記ウインド部周辺の上記第1辺と少なくとも上記第2辺とに跨がるように畳んで収容され、該カーテンに係合部が設けられており、
上記テザーの上記ウインド部を横切るように延びる長さは、上記膨張部を膨張させずに上記カーテンを展開したときの該カーテンの上記テザーに沿って延びる対応する長さよりも短いことを特徴とする。
従って、テザーの方がカーテンよりもテンションが高くなり、カーテンによる防護のバックアップに有利になる。
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記カーテンは車両のウインド部を覆うものであり、
上記テザーは、上記カーテンが展開したとき該カーテンの膨張部の車外側を延びるように設けられていることを特徴とする。
従って、乗員はテザーには直接触れず、カーテンを介してテザーで受け止められることになるから、乗員の身体の保護に有利になる。また、乗員がカーテンを車室内側にひるがえらせるように第1辺側に移動させると、乗員はウインド部のテザーとウインド部周縁との隙間から車外に出ることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記テザーは上記カーテンの膨張部の傍らを通って延びていることを特徴とする。
従って、カーテン自体には積極的にはテンションラインが形成されず、そのため、膨張部へのガス注入、或いは膨張部の膨張が妨げられず、カーテンの円滑な膨張展開に有利になる。
請求項6に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記カーテンはカーテン本体側部に紐状部材を備え、
上記紐状部材の基端側がカーテン本体側部の中間部に結合され、上記紐状部材の先端側がカーテン本体側部の中間部よりも先端側に結合され、
上記カーテン本体側部と上記紐状部材との間に上記支持部が配置され、
上記カーテンの収容状態では、上記紐状部材の先端側部分が、上記支持部の上記第1辺とは反対側を向いた側に存し、
上記カーテンの展開によって、上記紐状部材の基端側部分が上記係合部としてカーテン展開方向に移動して上記支持部に係合することを特徴とする。
従って、カーテンが膨張展開するとき、紐状部材の先端側部分は支持部に妨げられることなく、ウインド部の第2辺に沿ってカーテン展開方向前方へ移動することができる。よって、カーテン膨張展開時に、カーテン本体側部先端の展開方向前方への移動が紐状部材に支障なく伝達されるから、上記係合部を支持部に円滑に係合させることができ、簡単な構造でカーテンの円滑な膨張展開、テンションラインの形成、及びテザーの展開を図ることができる。
請求項7に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記カーテンはカーテン本体側部に紐状部材を備え、
上記紐状部材の基端側が、カーテン本体側部の上記ウインド部周辺に固定された固定部に、又は該固定部近傍の上記ウインド周辺部に結合され、上記紐状部材の先端側がカーテン本体側部の先端側に結合され、
上記カーテン本体側部と上記紐状部材との間に上記支持部が配置され、
上記カーテンの収容状態では、上記紐状部材の先端側部分が、上記支持部の上記第1辺とは反対側を向いた側に存し、
上記カーテンの展開によって、上記紐状部材の中間部が上記係合部としてカーテン展開方向に移動して上記支持部に係合することを特徴とする。
従って、カーテンが膨張展開するとき、紐状部材の先端側部分は支持部に妨げられることなく、ウインド部の第2辺に沿ってカーテン展開方向前方へ移動することができる。よって、カーテン膨張展開時に、カーテン本体側部先端の展開方向前方への移動が紐状部材に支障なく伝達されるから、上記係合部を支持部に円滑に係合させることができ、簡単な構造でカーテンの円滑な膨張展開、テンションラインの形成、及びテザーの展開を図ることができる。
請求項8に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記カーテンは車両のウインド部を覆うものであり、
上記ガス供給装置は、上記車両の衝突が予知されたとき、該車両の衝突が検出されたとき、又は該車両の横転が判定されたときに、上記カーテンの膨張部にガスを供給することを特徴とする。
従って、車両の衝突や横転という異常時にカーテンを速やかに膨張展開させて乗員を保護することができる。
請求項9に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記係合部の近傍に上記カーテンの膨張部が設けられていることを特徴とする。
従って、カーテンの膨張部が膨張するとき、その動きが係合部に速やかに且つ確実に伝達され、該係合部の支持部への移動・係合が円滑に行なわれる。
請求項10に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記カーテンは、その先端部が上記ウインド部の縁を越えて外側へはみ出すように展開することを特徴とする。
従って、ウインド部全体をカーテンによって確実に覆うことができ、また、ウインド部の縁がカーテンの煽りを抑えるように働くことから、人や物の保護に有利になる。
請求項11に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記ウインド部周辺の第1辺と第2辺とのなす角度が130度以下であり、
上記カーテンは上記ウインド部の第1辺から第2辺に跨って収容されていることを特徴とする。
すなわち、このようにウインド部周辺の第1辺と第2辺とのなす角度が例えば90度以上130度以下の小さな角度になっている場合、第1辺に対向する例えば第4辺の長さに対して、第1辺とから第2辺に亘って設置された、若しくは第1辺から第2辺及び第3辺の両辺に亘って設置されたカーテンの長さが長くなり、カーテンへの張力付与が困難にな。かかる場合に、上述のテザーがカーテンの内方又は外方への移動を抑えることに特に有効に働く。
請求項12に係る発明は、請求項1において、
上記テザーの他端は、上記ウインド部周辺の第1辺中央よりも上記第2辺から離れた部位に、若しくは上記第1辺を挟んで上記第2辺の反対側に存する第3辺の所定部位に、又はカーテン展開時に当該部位に拘束されるカーテン周辺部に結合されていることを特徴とする。
従って、テザーが上記ウインド部中央又は中央近くを横切ることになり、乗り物や建造物の内部の人や物を確実に保護する上で有利になる。また、非封鎖領域を設定することも妨げられない。
請求項13に係る発明は、請求項1又は請求項2において、
上記カーテンは車両サイドのウインド部を覆うものであり、
上記カーテンが展開したときに、上記テザーは、上記車両のベルトラインよりも高位置で且つ該車両のシートのヘッドレスト部上端よりも低位置を前後方向に延びるように設けられていることを特徴とする。
従って、カーテンが展開したときに、テザーがシート着座乗員と交差する配置になり、テザーによる乗員の保護に有利になる。また、非封鎖領域を設定することも妨げられない。
請求項14に係る発明は、請求項7において、
上記カーテンが展開したときの、上記紐状部材の上記支持部から上記カーテン本体側部先端側の結合点までの長さが、上記カーテン本体側部の固定部から先端までの長さの1/2以上になっていることを特徴とする。
このことは、上記支持部からカーテン本体側部先端側の結合点までの紐状部材の長さが長いことを意味する。従って、カーテン本体が展開した後、膨張部が萎む前にカーテン本体をめくり上げて人や物を乗物や建造物の内部から外に出す場合、紐状部材がカーテン本体のめくり上げの大きな妨げになることが避けられる。
すなわち、人や物を乗物や建造物の内部から外に出す場合、カーテン本体の固定部を支点としてカーテン本体をめくり上げることになる。その場合、紐状部材の上記長さが短いと、カーテン本体先端部をウインド部から離すことができる距離、或いはカーテン本体先端部を第1辺側へ移動させることができる距離が短くなり、カーテンによる封鎖を広範囲で解除することが難しくなる。
そこで、本発明では、上記カーテン本体側部の固定部から先端側の紐状部材結合点までの長さとの関係で、紐状部材の上記長さを長く設定して、カーテン本体を大きくめくり上げることができるようにし、人や物を乗物や建造物の内部から外に出すことを容易にしている。
請求項15に係る発明は、請求項14において、
上記カーテン本体側部の固定部は、上記ウインド部周辺の第1辺に、又は該第1辺と第2辺との境界部に固定されていることを特徴とする。
従って、展開したカーテン本体をめくり上げてウインド部とカーテン本体との間を広く空けることができ、人や物を乗物や建造物の内部から外へ出し易くする上で有利になる。
以上のように本発明によれば、カーテンの膨張展開による該カーテン先端部の移動によって、カーテン側部の係合部がウインド部の第1辺側から移動して該第1辺から離れた支持部に係合すると同時に、テザーが上記係合部と共に当該支持部の位置へ移動して上記ウインド部を横切って張られた状態になる。従って、カーテン側部の上記支持部による拘束によってテザーにテンションが与えることができるとともに、テザーがカーテンによる防護のバックアップとなるから、乗り物や建造物内部の人や物の保護が確実になる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<実施形態1>
図1に示すように、本実施形態は車両(自動車)のサイドウインド部のカーテンエアバッグ装置に関する。同図において、1は車体、2は運転席5の横のドア6に形成された第1ウインド(フロントウインド)、3は後部の前列席7の横に設けられた第2ウインド(リヤウインド)、4は後部の後列席8の横に設けられた第3ウインド(クォータウインド)である。11はドア6の前側に配置された第1ピラー(フロントピラー)、12はドア6の後側の第2ピラー(前部センタピラー)、13は第2ウインド3と第3ウインド4との間に設けられた第3ピラー(後部センタピラー)、14は第2ウインド4の後側の第4ピラー(クォータピラー)である。各乗員席5,7,8には乗員9を保護するシートベルト15が設けられている。
本実施形態では、車体1の上記3つのウインド2〜4が前後に並設された部分を1つのサイドウインド部と捉えている。すなわち、このサイドウインド部は、車体1のルーフ側縁部によって構成される第1辺(上辺)と、第1ピラー11で構成される第2辺(前辺)と、第4ピラー14で構成される第3辺(後辺)と、ドア6及び車体1のベルトラインによって構成される第4辺とによって略四角形状に、より具体的には第1辺が第4辺よりも短い略台形状になっている。また、第1辺と第3辺とのなす角度θは130度以下に設定されている。
なお、本実施形態では、前側を第2辺、後側を第3辺としているが、これは説明の便宜上そのように定義しているだけであり、この定義に基いて特許請求の範囲を解釈してはならない。特許請求の範囲でいう「第2辺」が本実施形態でいう「第3辺」である場合もある。この点は他の実施形態も同じである。
そうして、上記サイドウインド部を覆うことができるようにカーテンエアバッグ装置が構成されている。カーテンエアバッグ装置は、ガスが注入されて膨張する膨張部を有するカーテン20(カーテン本体)と、膨張部にガスを供給するガス供給装置としてのインフレータ21と、テープ状のテザー22と、テープ状の紐状部材38,39とを備えている。
カーテン20は蛇腹状に折り畳まれて、テザー22と共に、サイドウインド部の第1辺から第2辺上部及び第3辺上部に跨るように設けられたケーシング23に収容されている。なお、カーテン20はロール状に巻き畳んで収容するようにしてもよい。カーテン20は、第2辺に沿って上下に延びる膨張部24、第3辺に沿って上下に延び後列席8の乗員の頭部を保護するようにそのシートバックの横に配置された膨張部25、並びに運転席5及び後部の前列席7の乗員の頭部を保護するようにこの両席各々のシートバックの横に設けられた上下に延びる2つの中央膨張部26,26とを備えている。これら膨張部24〜26はカーテン上部を前後方向に延びる上部膨張部に連通しており、換言すれば、該上部膨張部より分岐してそれぞれ下方へ延びている。相隣る膨張部は膨張しない非膨張膜27によって繋がっている。カーテン20は、サイドウインド部の略全体を覆うように展開するとともに、カーテン先端部がサイドウインド部の第4辺を越えてその外側にはみ出すように展開する。
インフレータ21は、車両が所定の状態になったときに作動してガスを発生して供給するものであり、カーテン20の上部膨張部にパイプ28によって繋がっている。所定の状態とは、例えば車両の衝突が予知されたとき、該車両の衝突が検出されたとき、又は該車両の横転が判定されたときであり、当該車両にはそれらの状態を検知するためのセンサと、該センサの出力を受けてそれら状態の発生を判定し、インフレータ21を作動させるコントローラとが設けられている。
図2に示すように、折り畳まれたカーテン20を収容するケーシング23は、断面コ字状をなし、ルーフパネル31の側縁に沿って前後方向に延びるルーフレール32に、ブラケット33によって支持されている。このケーシング23は、ヘッドライニング34によって内側から覆われている。ヘッドライニング34は、その側縁がサイドライニング35に脱離可能に係合していて、カーテン20の膨張展開力によってサイドライニング35から外れ、サイドライニング35との間に隙間を形成し、カーテン20の車室内への展開を許容するようになっている。すなわち、カーテン20はヘッドライニング34とサイドライニング35との隙間から車室に展開する。サイドライニング35は、ルーフレール31と共にウェルトによってルーフパネル32に保持されている。なお、図2では便宜上、テザー22をカーテン20が展開したときに張られる位置に描いており、ケーシング23に収容された状態は描いていない。
次にテンションラインの形成及びテザー22について説明する。
図1Aに示すように、ケーシング23の上記第2辺及び第3辺に沿って下方へ延びる両側部の下端には、支持部としての第2辺側支持ピン36と第3辺側支持ピン37とが設けられている。すなわち、この両支持ピン36,37は、サイドウインド部周辺の第2辺の第1辺から離隔した部位と、第3辺の第1辺から離隔した部位とに配置されている。一方、カーテン20の両側部(第2辺側及び第3辺側)には、上記支持ピン36,37との協働によりカーテン20に弱いテンションラインを形成するための紐状部材38,39が設けられている。
カーテン20の基端部は、ケーシング23の第1辺に沿って延びる部分から第2辺側及び第3辺側に跨がるように保持されている。図1Aにおいて、ケーシング23に×印を付けた部位は、カーテン本体基端部を固定した固定点10である。カーテン本体は、支持ピン36,37よりも第1辺側に存するようにケーシング23に収容されている。また、範囲Eは、ケーシング23におけるテザー22の収容部位を表している。テザー22は基本的には延ばした状態で(但し、部分的に弛みがあってもよい。)ケーシング23に収容されている。
図3は第2辺側でのカーテン20及びテザー22のケーシング23への収容状態を示し、図4はカーテン展開状態を示す。なお、図3ではテザー22の収容状態をわかりやすくするために、テザー22をカーテン20の手前側に描いているが、テザー22はカーテン20の裏側(つまり、車両外側)に収容されている。図4に示すように、第2辺側の紐状部材38は、その基端部が第2辺側膨張部24の側面(前側面)の中間部に結合され、先端部がカーテン20の第2辺側膨張部24の先端に結合されている。第2辺側支持ピン36は、図5に示すようにケーシング23の両側壁に支持されてウインド面と略直交するように配向されており、第2辺側膨張部24の側面と紐状部材38との間に通されている。図3に示すように、カーテン20の収容状態では、紐状部材38は、その先端部が支持ピン36の下面(第1辺とは反対側を向いた面)側に巻き掛けられて存するように、基端部は支持ピン36よりも第1辺側に寄った位置に存するように、第2辺側膨張部24に沿わせてケーシング23に収められている。
従って、第2辺側膨張部24がガスの注入によって膨張し、その先端部が第4辺側へ移動すると、それに伴って紐状部材38の先端も第4辺側へ移動し、該移動によって紐状部材38の基端部が第4辺側に引かれて第2辺側支持ピン36に係合する。この係合により、カーテン20は、膨張展開状態ではその基端部がケーシング23に拘束されているたけでなく、その第2辺側の側部が支持ピン36に拘束されることになる。この場合、紐状部材38の基端部は支持ピン36に係合する係合部38aを構成している。
なお、図3において、カーテン20の側部基端の支持ピン36に最も近い固定点10から紐状部材38が結合されている部分までのカーテン長さ(折り畳まれているカーテン20を展開したときの長さ)h1は、固定点10から支持ピン36までの長さH1に匹敵するように設定され、紐状部材38の長さは、カーテン20が展開したときの、支持ピン36からカーテン側部先端までのカーテン長さに匹敵する長さになされ(若しくはそれよりも長くされ)ている。
図6及び図7に示すように、第3辺側の紐状部材39も第2辺側紐状部材38と同様の構成になっている。すなわち、第3辺側紐状部材39は、その基端部が第3辺側膨張部25の側面(後側面)の中間部に結合され、先端部はカーテン20の第3辺側膨張部25の先端近傍に結合されている。第3辺側支持ピン37は、第2辺側支持ピン36と同じく、ケーシング23に支持されてウインド面と略直交するように配向されており、第3辺側膨張部25の側面と紐状部材39との間に通されている。図6に示すように、カーテン20の収容状態では、紐状部材39は、その先端部が支持ピン37の下面(第1辺とは反対側を向いた面)側に巻き掛けられて存するように、基端部は支持ピン37よりも第1辺側に寄った位置に存するように、第3辺側膨張部25に沿わせてケーシング23に収められている。
従って、第3辺側膨張部25がガスの注入によって膨張し、その先端部が第4辺側へ移動すると、それに伴って紐状部材39の先端も第4辺側へ移動し、該移動によって紐状部材39の基端部が第4辺側に引かれて第3辺側支持ピン37に係合する(図7)。この係合により、カーテン20は、膨張展開状態ではその第3辺側の側部が支持ピン36に拘束されることになる。この場合、紐状部材39の基端部は支持ピン37に係合する係合部39aを構成している。
そうして、上述の如く、カーテン20の膨張展開によって第2辺側及び第3辺側の紐状部材38,39の基端部が支持ピン36,37に係合し、カーテン20の両側部が支持ピン36,37に拘束されるということは、この両支持ピン36,37がカーテン20に弱いテンションを与える張力付与部になるということである。本例の場合は、カーテン20の両側部が両支持ピン36,37に直接拘束されるから、図1Aに示すように、この両支持ピン36,37を結ぶ直線がカーテン20のテンションライン40となり、このテンションライン40上でカーテン20に外力が加わっても、カーテン20は煽られないことになる。このように、ケーシング23に保持されているカーテン20の基端部よりも第4辺側に離れた位置で、該カーテン20にテンションラインが形成されるから、乗員がウインド2〜4から飛び出すことを防止する上で有利になる。なお、本発明ではカーテン20には必ずしもテンションラインを設けることは要しないが、テンションラインに沿ったカーテン20の布地の長さ(膨張部24〜26を膨張させずにカーテン20を展開したときの長さ)を調節して所望の張力にすることができる。また、次に説明するテザー22のみによってテンションラインを確保するようにしてもよい。
テザー22は、その一端が図8に示すように第2辺側紐状部材38の基端部に、その他端が第3辺側紐状部材39の基端部に、それぞれ結合されている。このテザー22は、図9に示すように、ケーシング23内において折り畳まれたカーテン20の傍ら(車外側)に収容されている。従って、テザー22は、カーテン20の膨張展開により、上記紐状部材38,39の基端部と共に両端部が第4辺側へ移動して、カーテン20の車外側においてカーテン20の膨張部24〜26の傍らを通ってサイドウインド部を横切るように、すなわち、上記テンションライン40に沿って前後に張られることになる。これにより、テザー22がカーテン20のバックアップ(煽り止め)となる。また、テザー22は車体1のベルトラインよりも高位置で且つシート5,7,8のヘッドレスト部上端よりも低位置を前後方向に延びるように張られる。これにより、乗員9を確実に保護する上で有利になる。
図1Bに概略的に示すように、テザー22は、そのウインド部を横切るように延びる長さが、膨張部24〜26を膨張させずにカーテン20を展開させたときの該カーテン20のテザー22に沿って延びる部分の対応する長さ、すなわち、テンションライン40での長さ(カーテン20の車両内方側の面を構成するカーテン布地の長さと、カーテン20の車両外方側の面を構成するカーテン布地の長さとのうちの短い方の長さ)よりも短い。このため、テザー22の方がカーテン20よりもテンションが高くなり、テザー22によってカーテン20の移動が確実に抑えられることになる。なお、図1Bではテザー22が第1ピラー11の支持ピン36近傍と第4ピラー14の支持ピン37近傍とを結んで真っ直ぐに延びているが、テザー22がカーテン20の車外側への大きな移動を抑制することができるのであれば、必ずしも高いテンションをもって張られていることは要しない。
よって、時間の経過に従って膨張部24〜26からガスが抜けて該膨張部24〜26がしぼみ始め、カーテン20の上記テンションラインでのテンションが弱くなってきても、テザー22がカーテン20のバックアップとなり、乗員を確実に保護することができる。
また、テザー22はケーシング23内において折り畳まれたカーテン20の傍らに収容されて、膨張部24〜26の傍らに張られるようにしたから、カーテン20の膨張展開を妨げることがない。
図8に2点鎖線で示すように、テザー22は必ずしも紐状部材38,39に結合することは要さず、紐状部材38,39の基端部、すなわちカーテン20の支持ピン36,37に対する係合部38a,39aの近傍においてカーテン20自体に、例えば膨張部24,25に結合するようにしてもよい。つまり、支持ピン36,37がテザー22をウインド2〜4より車外に出ない程度に支持できるならば、テザー22の両端はカーテン20の適宜の位置に結合することができる。
また、本実施形態において、テザー22の長さを、カーテン本体の車両内方側の面を構成するカーテン布地のテザー22に沿って延びる長さ、及び車両外方側の面を構成するカーテン布地のテザー22に沿って延びる長さのうちの短い方の長さよりも、短くすることで、テザー22のテンションを、カーテン20におけるテザー付近のテンションよりも強くすることができる。換言すれば、カーテンエアバッグによる防護性を落とすことなく、カーテン本体のテンションを弱くすることができ、そのため、カーテン本体を車両内外方向に移動させたり、車両前後方向に延びる適宜のラインで内外に屈曲させたりすることが容易になる。すなわち、乗員がカーテン本体を適宜の箇所でひるがえして(図4の2点鎖線参照)テザー22とウインド部周縁との隙間から車外に出ることが容易になる。
なお、上記実施形態では車体1にケーシング23を設けてこれにカーテン20の基端部を固定したが、ケーシング23を設けずに、カーテン20を折り畳んでウインド部の第1辺側に配置し、カーテン基端部を車体1に固定するようにしてもよい。この点は他の実施形態も同じである。
<実施形態2>
本形態については図10に要部のみが示されている。他の構成は実施形態1と同じである。すなわち、本実施形態では、紐状部材を設けることに代えて、カーテン20の第2辺側の側部に所定幅の耳部41を第2辺に沿って延びるように形成し、この耳部41に長孔(ガイド孔)42を形成している。この長孔42は、実施形態1のカーテン20本体と紐状部材との隙間に相当する。この長孔42に実施形態1と同様に支持ピン36を通している。耳部41の基端部(第1辺寄りの端部)にテザー22が結合されている。カーテン20の第3辺側の側部も第2辺側と同様に構成されている。
カーテン20の収容状態では、長孔42の先端側(第4辺側)に支持ピン36を位置付けておく。カーテン20を膨張展開させると、その先端部が第4辺側へ移動することにに伴って、耳部41と支持ピン36との長孔42による係合位置が変化して、耳部41は長孔42の基端部(係合部)41aにおいて支持ピン36に係合することになる。
よって、カーテン20の展開状態においては、そのケーシング23に保持された部位よりも第4辺側に離れた側部が支持ピン36に拘束され、カーテン20には、両側の支持ピン36(第3辺側の図示は省略)を結ぶテンションラインが形成されるとともに、該テンションラインに沿ってテザー22が張られることになる。
<実施形態3>
本形態については図11〜図13に要部のみが示されている。実施形態1では第2辺側支持ピン36に係合するカーテン20の係合部が紐状部材38の基端部に設けられているが、図11に示すように、本実施形態は紐状部材38を長くして、該紐状部材38の中間部に係合部38aを位置付けている。そのため、カーテン20を膨張展開したときカーテン側部は支持ピン36からウインド部内側に離れ、ウインド部の第2辺とカーテン20(カーテン本体)との間に非封鎖領域45(隙間)が形成される。他の基本的な構成は実施形態1と同じである。範囲Eはテザー22の収容範囲である。
以下、具体的に説明すると、カーテン20の第2辺側には、実施形態1とは違って、運転席のシートバック横を上下に延びる膨張部26が前方に拡大した幅広に形成されていて、第2辺に沿って延びる独立した側部膨張部は設けられていない。運転席横の膨張部26が側部膨張部を構成している。そうして、ウインド部の第2辺側において、紐状部材38は、その基端がカーテン20の基端、例えば上記膨張部26の基端(支持ピン36に最も近い固定点近傍)のケーシング23に結合された部位に結合され、紐状部材38の先端は、カーテン20の展開側であって車両前方側の先端近傍、例えば膨張部26の車両前方側の先端に結合されている。
なお、本実施形態では、紐状部材38の基端は、上記固定点近傍であれば、ケーシング23やウインド部に設けてもよい。
図12に示すように、カーテンを折り畳んでケーシング23に収容した状態においては、紐状部材38はその中間部が支持ピン36に巻き掛けられて且つ弛んだ状態でケーシング23に収容されている。紐状部材38の係合部38aは支持ピン36よりも第1辺側に離れた位置に設けられ、該係合部38aにテザー22の一端が結合されている(テザー22の図示は一部省略している)。この状態から、カーテン20を膨張展開させると、カーテン20の膨張部26の先端部が第4辺側へ移動することに伴って紐状部材38の係合部38aが支持ピン36の位置に移動する。
そうして、図13に示すように紐状部材38は、その係合部38aが支持ピン36に係合し、ケーシング23とカーテン20の膨張部26の先端とに結合された両端を支点として支持ピン36の位置で車両側面視において「く」字状に折れ曲がった張り状態になる。一方、テザー22は支持ピン36の位置から後方へ延びた張り状態になる。第3辺側は実施形態1と同じく紐状部材39の基端部が支持ピン37に係合した状態になる。
本実施形態では、図13に示すように、カーテン20が展開したときの、紐状部材38の支持ピン36からカーテン20の側部先端側の結合点までの長さL1が、上記カーテン20の側部基端側固定点10からカーテン20の先端までの長さL2の1/2以上になっている。
従って、本実施形態の場合、カーテン20には、カーテン布地のテンションラインに沿った長さを調整することで、その第2辺側膨張部26の基端のケーシング23に保持された部位と第3辺側支持ピン37とを結ぶ弱いテンションライン40が形成される。テザー22がカーテン20のバックアップとなる点は実施形態1と同じである。
そうして、本実施形態では、紐状部材38の上記長さL1をカーテン20の上記長さL2の1/2以上にしたから、カーテン20が展開した後、膨張部26が萎む前にカーテン20をめくり上げて乗員や物を車外に出す場合、紐状部材38がカーテン20のめくり上げの大きな妨げになることが避けられる。
すなわち、紐状部材38の上記長さL1を長くしたから、固定点10を支点としてカーテン20の第2辺側膨張部26側をめくり上げたとき、カーテン20の先端部をウインド部から大きく離すことができ、或いはカーテン20の先端部を第1辺側へ大きくめくり上げることができ、カーテン20による封鎖を広い範囲で解除することができる。よって、乗員や物を車外に出すことが容易になる。
また、フロントドア6及びサイドドア16のウインド2,3は一般に大きく開口できるように形成されている。従って、非常時には乗員はそのウインド2,3を開けて(ウインドガラスを下げて)、そこから脱出するケースが多くなる。これに対して、本実施形態では、カーテン20のウインド2,3に対応する車体前側部分をめくり上げ易くしたから、乗員の車外脱出に有利になる。また、カーテン20が展開した状態で前側膨張部26とウインド部第2辺との間に非封鎖領域45が形成されているから、カーテン20をめくり上げたときの脱出口が広くなる。しかも、この非封鎖領域45は、脱出口を探す際の目標になる。
また、実施形態1と同様に、テザー22の長さを、カーテン本体の車両内方側の面を構成するカーテン布地のテザー22に沿って延びる長さ、及び車両外方側の面を構成するカーテン布地のテザー22に沿って延びる長さのうちの短い方の長さよりも、短くするか、又は、カーテン20の下端(下辺)の長さを比較的長くすることで、カーテン本体におけるテザー付近のテンションを弱くすることができる。これにより、乗員が車外に出ることも容易になる。
なお、本実施形態では、カーテン本体の基端部の前端(車両前方の端部)をウインド部周辺の第2辺においてケーシング23に保持させたが、該前端を第1辺においてケーシング23に保持させるように設定してもよい。これにより、乗員は車外へ出ることが容易になる。また、カーテン本体の基端部の後端(車両後方の端部)を上記第1辺においてケーシング23に保持させるように設定しても同様の効果を奏する。
また、本実施形態では、非封鎖領域の形成上、第1辺と第2辺とのなす角度は90度以上180度以下であることが好ましい。
<実施形態4>
本形態については図14〜図16に要部のみが示されている。実施形態3との相違点は、カーテン20の第2辺側の側部の基端部が、ウインド部周辺の第1辺と第2辺との境界部に固定され、カーテン20と第2辺との間に広い非封鎖領域45を形成した点である。なお、図14において、範囲Eはテザー22の収容範囲である。また、図16に示すように、カーテン20が展開したときの、紐状部材38の支持ピン36からカーテン20の側部先端側の結合点までの長さL1は、カーテン20の側部基端側固定点10からカーテン20の先端までの長さL2の1/2以上になっている。
従って、実施形態3と同じ効果が得られ、特にカーテン20の側部基端部を第1辺と第2辺との境界部に固定し、カーテン20と第2辺との間に広い非封鎖領域45を形成したから、展開したカーテン20をめくり上げてウインド部とカーテン20との間を広く空けることができ、人や物を車外へ出し易くする上でさらに有利になる。
<実施形態5>
本形態については図17〜図19に要部のみが示されている。ウインド部周辺の第2辺は直線状に下降傾斜している。この第2辺側では、図17に示すように、カーテン20の側部基端の固定点10が第2辺の中間位置に設けられている。また、カーテン20の側部先端は、固定テザー48を介して第2辺に固定されている。
第3辺側では、図19にも示すように、実施形態1と同じく、紐状部材39の一端がカーテン20の側部中間部に結合され、その他端がカーテン20の側部先端に結合されていて、紐状部材39の他端部が支持ピン37に巻き掛けられている。但し、紐状部材39には弛みが設けられている。
テザー22は、その一端が第2辺の固定点10近傍においてカーテン20周辺部に結合され、テザー22の他端はカーテン20の第3辺側の中間部(紐状部材39の基端部が結合された部位)に結合されている。なお、図17において、範囲Eはテザー22の収容範囲である。テザー22は、図18に鎖線で示すように、その他端を固定テザー48の第2辺側固定部近傍に、又は固定テザー48に結合してもよい。
従って、カーテン20を展開させたとき、第2辺側では、カーテン20が紐状部材38によって張られた状態になり、第3辺側では、紐状部材39の基端部が支持ピン37に係合し、カーテン側部は該支持ピン37に拘束される。テザー22は、第2辺の固定点10と第3辺の支持ピン37とを結ぶ方向に延びて、ウインド部を横切った状態になる。
よって、本実施形態でも、テザー22がカーテン20による防護のバックアップとなるから、乗員の保護が確実になる。また、カーテン収容状態において、第3辺側では紐状部材39に弛みをもたせるようにしたから、支持ピン37を第1辺に近付けて配置しても、支持ピン37からカーテン20の展開長さを長くすることができ、第4辺を越えてカーテン20を展開させる上で有利になる。また、先の実施形態と同じく、カーテン20の展開後に、該カーテン20をめくり上げて脱出口を形成することができる。
<実施形態6>
本形態は図20に示されており、車両のバックドア51に形成されたバックウインド部に本発明を適用した例である。バックウインド部は、車体1のルーフ後縁部で構成される第1辺(上辺)と、左右の第4ピラー14で構成される第2辺及び第3辺と、バックウインド52の下縁で構成される第4辺と備えてなる四角形状のものである。そして、このバックウインド部を覆うことができるようにカーテンエアバッグ装置が構成されている。カーテンエアバッグ装置は、実施形態1と同じく膨張部を有するカーテン20とインフレータ21とテザー22とを備えている。
カーテン20は、バックウインド部の第1辺から第2辺上部及び第3辺上部に跨るように設けられたケーシング23に畳んで収容されている。カーテン20は、第2辺に沿って上下に延びる膨張部24、第3辺に沿って上下に延びる膨張部25、並びにバックウインド部中央を上下に延びる中央膨張部26とを備えている。これら膨張部24〜26はカーテン上部を前後方向に延びる上部膨張部に連通している。相隣る膨張部は膨張しない非膨張膜27によって繋がっている。カーテン20は、図20に示すように、車両を後方から視たときに、バックウインド部に近接する最後席のシートバック53の上端よりも下方へ展開されるが、バックウインド部全体を覆うように展開するとともに、カーテン先端部がバックウインド部の第4辺を越えてその外側にはみ出すように展開してもよい。
インフレータ21は、実施形態1と同じものであり、カーテン20の上部膨張部にパイプ28によって繋がっており、当該車両の上記所定の状態を検知するセンサの出力を受けてコントローラがインフレータ21を作動させる。ケーシング23は、実施形態1のものと実質的に同じであり、ルーフレールに支持され、ヘッドライニングによって内側から覆われており、カーテン20の膨張展開力によってヘッドライニングに隙間が形成されてカーテン20が車室内への展開する。
ケーシング23の上記第2辺及び第3辺に沿って下方へ延びる両側部の下端には、支持部としての第2辺側支持ピン36と第3辺側支持ピン37とが設けられている。一方、カーテン20の両側部(第2辺側及び第3辺側)には、上記支持ピン36,37との協働によりカーテン20にテンションラインを形成するための紐状部材38,39が設けられている。カーテン20は、その基端部がケーシング23の第2辺の上部から第1辺を挟んで第3辺の上部に至る範囲で該ケーシング23に固定されている。符号10はカーテン基端部のケーシングへの固定点を示す。支持ピン36,37は、第2辺上部及び第3辺上部の固定点10よりも下方に配置されている。
紐状部材38,39は、各々の基端部がカーテン20の第2辺側及び第3辺側の各膨張部24,25の側面の中間部に結合され、各々の先端部が該膨張部24,25の先端に結合されている。支持ピン36,37は実施形態1と同様に設けられ、膨張部24,25の側面と紐状部材38,39との間に通されている。カーテン20の収容状態では、紐状部材38,39は、実施形態1と同じく、その先端部が支持ピン36,37の下面側に存するように、基端部は支持ピン36,37よりも第1辺側に寄った位置に存するように、膨張部24,25に沿わせてケーシング23に収められている。
従って、実施形態1と同じく、膨張部24,25がガスの注入によって膨張すると、紐状部材38,39の先端が第4辺側へ移動して紐状部材38,39の基端部が支持ピン36,37に係合する。この係合により、カーテン20は、その両側部が支持ピン36,37に拘束され、両支持ピン36,37がカーテン20にテンションを与える張力付与部になり、カーテン20にはこの両支持ピン36,37を結ぶテンションライン40が形成される。
テザー22は、その一端が第2辺側紐状部材38の基端部に、その他端が第3辺側紐状部材39の基端部に、それぞれ結合されていて、実施形態1と同じく、ケーシング23内のカーテン20の傍ら(車外側)に収容されている。図20において、範囲Eはテザー22の収容範囲である。
従って、カーテン20の膨張展開により、テザー22は、その両端部が紐状部材38,39の基端部と共に支持ピン36,37の位置へ移動し、カーテン20の車外側においてカーテン20の膨張部24〜26の傍らを通ってバックウインド部を横切るように、すなわち、上記テンションライン40に沿って左右に張られることになる。テザー22のウインド部を横切るように延びる長さと、カーテン20の対応する長さとの関係は実施形態1と同じである。
よって、時間の経過に従って膨張部24〜26からガスが抜けて該膨張部24〜26がしぼみ始め、カーテン20の上記テンションラインでのテンションが弱くなってきても、テザー22がカーテン20のバックアップとなり、乗員を確実に保護することができる。
<実施形態7>
本形態については図21及び図22に示されており、車両のルーフウインド部に本発明を適用した例である。すなわち、車体1のルーフ60に四角形状のルーフウインド61が形成され、該ルーフウインド部を覆うことができるようにカーテンエアバッグ装置が構成されている。
カーテンエアバッグ装置は、各々ガスが注入されて膨張する膨張部を有する第1及び第2の各カーテン20A,20Bと、各カーテン20A,20Bの膨張部にガスを供給するガス供給装置としてのインフレータ21A,21Bと、各カーテン20A,20Bに設けられたテザー22A,22Bとを備えている。
第1カーテン20Aは、ルーフウインド部の相隣る第1辺から第2辺に跨るように設けられたL字状ケーシング23Aに畳んで収容され、第2カーテン20Bはルーフウインド部の相隣る第3辺から第4辺に跨るように設けられたL字状ケーシング23Bに畳んで収容されている。カーテン20A,20Bはいずれも、第1辺及び第4辺がなす角部と、第2辺及び第3辺がなす角部を結ぶ対角線に横切るように延びる両側膨張部24,25及び中央膨張部26を備え、相隣る膨張部間は非膨張膜によって繋がっている。カーテン20A,20Bは互いに相手側へ先端部同士が上下に重なるように膨張展開する。この場合、カーテン20A,20Bの各々の中央膨張部26は相手側の非膨張膜27に重なるように展開する。カーテン20A,20Bの各々の両側膨張部24,25は互いに膨張部同士が重なることになるから、図22に示すように先端部の厚みが薄くなっている。カーテン20A,20Bの各々では、膨張部24〜26は互いに連通している。
インフレータ21A,21Bは、実施形態1と同じものであり、カーテン20A,20Bの膨張部24〜26にパイプ28によって繋がっており、当該車両の上記所定の状態を検知するセンサの出力を受けてコントローラがインフレータ21A,21Bを作動させる。ケーシング23A,23Bは、実施形態1のものと実質的に同じであり、ルーフ内側に支持されてヘッドライニングによって内側から覆われており、カーテン20A,20Bの膨張展開力によってヘッドライニングに隙間が形成されてカーテン20A,20Bが車室内への展開する。
ケーシング23A,23B各々の両端には、支持部としての支持ピン36,37が設けられている。一方、カーテン20A,20Bの両側部には、上記支持ピン36,37との協働によりカーテン20A,20Bにテンションラインを形成するための紐状部材38,39が設けられている。カーテン20Aは、その基端部がケーシング23Aに固定されている。図21において、符号10はカーテン20A,20Bの基端部のケーシング23A,23Bへの固定点を示す。ケーシング23Aの両端の固定点10は支持ピン36,37よりも第1辺及び第2辺がなす角部の方へ離れた位置に設定されている。ケーシング23Bの両端の固定点10も支持ピン36,37よりも第3辺及び第4辺がなす角部の方へ離れた位置に設定されている。
紐状部材38,39は、各々の基端部が膨張部24,25の側面に結合され、各々の先端部が膨張部24,25の先端に結合されている。支持ピン36,37は、ケーシング23A,23Bに支持されてウインド面と略直交するように配向されており、膨張部24,25の側面と紐状部材38,39との間に通されている。
カーテン20Aの収容状態では、紐状部材38,39は、膨張部24,25に沿わせてケーシング23Aに収められており、その基端部は支持ピン36,37よりもケーシング23Aの中央側に寄った位置に存し、先端部は支持ピン36,37のケーシング23B側を向いた面に存する。カーテン20B側の紐状部材38,39も、膨張部24,25に沿わせてケーシング23Bに収められており、その基端部は支持ピン36,37よりもケーシング23Bの中央側に寄った位置に存し、先端部は支持ピン36,37のケーシング23A側を向いた面に存する。
従って、カーテン20A,20Bの膨張部24,25がガスの注入によって膨張し、その先端部が互いに相手側へ向かって移動すると、それに伴って紐状部材38,39の先端も相手側へ向かって移動し、該移動によって紐状部材38,39の基端部が支持ピン36,37に係合する。この係合により、各カーテン20A,20Bは、その両側部が支持ピン36,37に拘束され、両支持ピン36,37がカーテン20A,20Bにテンションを与える張力付与部になり、カーテン20A,20Bにはこの両支持ピン36,37を結ぶテンションラインが形成される。
テザー22A,22Bは、各々の一端が紐状部材38の基端部に、その他端が紐状部材39の基端部に、それぞれ結合されている。このテザー22A,22Bは、ケーシング23A,23B内において折り畳まれたカーテン20の傍ら(車外側)に収容されている。図21において、範囲Eはテザー22の収容範囲である。
従って、テザー22A,22Bは、カーテン20A,20Bの膨張展開により、上記紐状部材38,39の基端部と共に両端部が移動して、カーテン20A,20Bの車外側においてカーテン20A,20Bの膨張部24〜26の傍らを通ってルーフウインド部を横切るように、すなわち、上記テンションラインに沿って張られることになる。テザー22A,22Bのウインド部を横切るように延びる長さと、カーテン20A,20B各々の対応する長さとの関係は実施形態1と同じである。
よって、時間の経過に従って膨張部24〜26からガスが抜けて該膨張部24〜26がしぼみ始め、カーテン20A,20Bの上記テンションラインでのテンションが弱くなってきても、テザー22A,22Bがカーテン20A,20Bのバックアップとなり、乗員を確実に保護することができる。
<実施形態8>
本形態については図23に示されており、実施形態7と同じく、車両のルーフウインド部に本発明を適用した例であるが、四角形状のルーフウインド61を1つのカーテンで覆うようにした点が実施形態7とは相違する。カーテンエアバッグ装置は、実施形態1と同じく膨張部を有するカーテン20とインフレータ21とテザー22とを備えている。
カーテン20は、ルーフウインド部の相隣る第1辺から第2辺に跨るように設けられたL字状ケーシング23に畳んで収容されている。カーテン20は、第1辺に沿って延びる第1膨張部62と、第3辺に略沿うように延びる第2膨張部63とを備え、両膨張部間は非膨張膜64によって繋がっている。両膨張部62,63は第2辺側において互いに連通している。
インフレータ21は、実施形態1と同じものであり、カーテン20の膨張部にパイプ28によって繋がっており、当該車両の上記所定の状態を検知するセンサの出力を受けてコントローラがインフレータ21を作動させる。ケーシング23は、実施形態1のものと実質的に同じであり、ルーフ内側に支持されてヘッドライニングによって内側から覆われており、カーテン20の膨張展開力によってヘッドライニングに隙間が形成されてカーテン20が車室内への展開する。
ケーシング23には第2辺側の端より第1辺と平行に突出した延設部が設けられ、その延設端に支持部としての支持ピン36が設けられている。一方、カーテン20の第2膨張部63の側部には、支持ピン36との協働によりカーテン20にテンションラインを形成するための紐状部材38が設けられている。カーテン20は、その基端部がケーシング23の第1辺側全長から第2辺側の中間部にわたる部分に固定されている。符号10は固定点を示す。
紐状部材38は、その基端部が第2膨張部63の側面に結合され、先端部は該膨張部63の先端に結合されている。支持ピン36は、ケーシング23に支持されてウインド面と略直交するように配向されており、第2膨張部63の側面と紐状部材38との間に通されている。
カーテン20の収容状態では、紐状部材38は、第2膨張部63に沿わせてケーシング23に収められており、その基端部は支持ピン36よりも第1辺側に寄った位置に存し、先端部は支持ピン36の第3辺(第2辺と対向する辺)側を向いた面に存する。
従って、カーテン20の第2膨張部63がガスの注入によって膨張し、その先端部が第3辺側へ向かって移動すると、それに伴って紐状部材38の先端も第3辺側へ向かって移動し、該移動によって紐状部材38の基端部が支持ピン36に係合する。この係合により、カーテン20は、その第2膨張部の側部が支持ピン36に拘束され、支持ピン36がカーテン20にテンションを与える張力付与部になる。よって、カーテン20には、この支持ピン36と、カーテン20の基端部が保持されたケーシング23の第1辺側の端部とを結ぶテンションラインが形成される。
テザー22は、その一端が紐状部材38の基端部に、その他端がケーシング23の第1辺側の端に、それぞれ結合されている。このテザー22は、ケーシング23内において折り畳まれたカーテン20の傍ら(車外側)に収容されている。範囲Eはテザー22の収容範囲である。
従って、テザー22は、カーテン20の膨張展開により、上記紐状部材38の基端部と共にその一端が支持ピン36の位置へ移動し、カーテン20の車外側においてカーテン20の膨張部62,63の傍らを通ってルーフウインド部を横切るように、すなわち、上記テンションラインに沿ってに張られることになる。テザー22のウインド部を横切るように延びる長さと、カーテン20の対応する長さとの関係は実施形態1と同じである。
よって、時間の経過に従って膨張部62,63からガスが抜けて該膨張部62,63がしぼみ始め、カーテン20の上記テンションラインでのテンションが弱くなってきても、テザー22がカーテン20のバックアップとなり、乗員を確実に保護することができる。
<実施形態9>
本形態については図24に模式的に示されており、三角形ウインド部71を覆うカーテンエアバッグ装置に関する。
すなわち、カーテンエアバッグ装置は、ガスが注入されて膨張する膨張部(図示省略)を有するカーテン20と、カーテン20の膨張部にガスを供給するガス供給装置としてのインフレータ21と、カーテン20に設けられたテザー22とを備えている。
カーテン20は、その基端部が三角形ウインド部の相隣る第1辺(図24の上辺)の全長から第2辺(同図の左辺)の中間部にわたる部分に保持されて、この両辺に跨るように畳んで収容されている。インフレータ21は、実施形態1と同じものであり、カーテン20の膨張部にパイプ28によって繋がっており、当該車両の上記所定の状態を検知するセンサの出力を受けてコントローラがインフレータ21を作動させる。
ウインド部の第2辺には第1辺から離れた位置(カーテン基端部の固定点よりもさらに第1辺から離れた位置)に支持部としての支持ピン36が設けられている。一方、カーテン20の第2辺側の側部には、支持ピン36との協働によりカーテン20にテンションラインを形成するための紐状部材38が設けられている。
紐状部材38は、その基端部がカーテン20の第2辺側の側面に結合され、先端部は該第2辺側の側面の先端に結合されている。支持ピン36は、ウインド面と略直交するように配向されており、カーテン20の側面と紐状部材38との間に通されている。
カーテン20の収容状態では、紐状部材38の基端部は支持ピン36よりも第1辺側に寄った位置に存し、先端部は支持ピン36の第1辺とは反対側を向いた面に存する。
従って、カーテン20は、膨張部にガスが注入されると、図24(ロ)に示すように、その第2辺側の先端部が第1辺から離れるように移動して三角形ウインド部71を覆って、周辺部が該ウインド部71から外側へはみ出す。上記第2辺側の先端部の移動に伴って、紐状部材38の先端も同様に移動し、紐状部材38の基端部が支持ピン36に係合する。この係合により、カーテン20は、その第2辺側の側部が支持ピン36に拘束され、支持ピン36がカーテン20にテンションを与える張力付与部になる。よって、カーテン20には、この支持ピン36と、カーテン20の基端部が保持された第1辺側の端部とを結ぶテンションラインが形成される。
テザー22は、その一端が紐状部材38の基端部に、その他端が第1辺側の端に、それぞれ結合されている。このテザー22は、カーテン20が折り畳まれた状態ではその傍ら(車外側)に収容されている。従って、テザー22は、カーテン20の膨張展開により、上記紐状部材38の基端部と共にその一端が支持ピン36の位置へ移動し、カーテン20の車外側においてウインド部を横切るように、すなわち、上記テンションラインに沿ってに張られることになる。テザー22のウインド部を横切るように延びる長さと、カーテン20の対応する長さとの関係は実施形態1と同じである。
よって、時間の経過に従ってカーテン20の膨張部からガスが抜けて該膨張部がしぼみ始め、カーテン20の上記テンションラインでのテンションが弱くなってきても、テザー22がカーテン20のバックアップとなり、乗員を確実に保護することができる。
なお、本発明は上記実施形態1〜9に限定されるものではなく、自動車以外の例えば電車、その他の車両、航空機、船舶、宇宙船、その他の乗り物、建物、宇宙船、その他建造物のウインド部やドアで開閉される開口(出入口)にも適用することができる。
また、支持部に関しては、支持ピンに代えて、フックや支持孔等を用いてカーテンの側部を拘束するように構成してもよい。
また、紐状部材及びテザーに関しても、縄状、帯状など、その形状は特に限定されるものではない。
本発明の実施形態1に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン展開状態において車室側から見た正面図(A)及び概略平面図(B)である。 図1AにおけるA−A線での概略断面図である。 実施形態1のカーテンの第2辺側の収容状態を示す正面図である(図4の展開状態よりも拡大して描いている。)。 実施形態1のカーテンの第2辺側の展開状態を示す正面図である。 実施形態1の支持ピン部分の断面図である。 実施形態1のカーテンの第3辺側の収容状態を示す正面図である(図7の展開状態よりも拡大して描いている。)。 実施形態1のカーテンの第3辺側の展開状態を示す正面図である。 実施形態1のカーテンの第2辺側を展開状態で示す車外側から見た斜視図である。 実施形態1のカーテン及びテザーの収容状態を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る図8と同様の図である。 本発明の実施形態3に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン展開状態において車室側から見た正面図である。 実施形態3の第2辺側のカーテン収容状態を示す断面図である。 実施形態3の第2辺側のカーテン展開状態を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン展開状態において車室側から見た正面図である。 実施形態4の第2辺側のカーテン収容状態を示す断面図である。 実施形態4の第2辺側のカーテン展開状態を示す断面図である。 本発明の実施形態5に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン収容状態において車外側から見た正面図である。 実施形態5に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン展開状態において車外側から見た正面図である。 実施形態5の第3辺側のカーテン収容状態を示す図である。 本発明の実施形態6に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン展開状態において車外側から見た正面図である。 本発明の実施形態7に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン展開状態において車外側から見た正面図である。 実施形態7のカーテン展開状態における断面図である。 本発明の実施形態8に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン展開状態において車外側から見た正面図である。 本発明の実施形態9に係るカーテンエアバッグ装置をカーテン収容状態(イ)及びカーテン展開状態(ロ)において見た概略正面図である。
符号の説明
1 車体
2〜4 ウインド
20 カーテン
21 インフレータ(ガス供給装置)
22 テザー
24〜26 膨張部
36,37 支持ピン(支持部)
38,39 紐状部材
38a 係合部
39a 係合部

Claims (15)

  1. 1又は2以上のウインドを有するウインド部に設けられるカーテンエアバッグ装置であって、
    ガスが注入される膨張部を有し、上記ウインド部周辺の少なくとも第1辺に畳んで収容され、上記膨張部の上記ガスの注入による膨張によって上記ウインド部の少なくとも一部を覆うように展開するカーテンと、
    上記カーテンの膨張部に上記ガスを供給するガス供給装置と、
    上記第1辺に続く第2辺の上記第1辺から離間した部位に設けられた支持部と、
    上記カーテンの上記第2辺側の側部に設けられ、該カーテンの収容状態においては上記支持部よりも上記第1辺側に若しくは該第1辺に位置し、上記膨張部の膨張により該カーテンの先端部が該カーテンの展開方向に移動することに伴って上記第1辺側若しくは該第1辺から上記支持部に向かって移動して該支持部に係合する係合部と、
    一端が上記カーテンの係合部又は該係合部の近傍部分に結合され、他端が上記ウインド部周辺の上記第2辺以外の所定部位に、又はカーテン展開時に当該所定部位に拘束される上記カーテン周辺部に結合されていて、上記カーテンと共に上記ウインド部周辺に収容され、該カーテンの展開によって上記支持部側から上記ウインド部周辺の上記所定部位側にわたって該ウインド部を横切るように延び、上記支持部と上記ウインド部周辺の上記所定部位とで張力が受けられるテザーとを備えていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  2. 1又は2以上のウインドを有する四角形状ウインド部に設けられるカーテンエアバッグ装置であって、
    ガスが注入される膨張部を有し、上記ウインド部周辺の少なくとも第1辺に畳んで収容され、上記膨張部の上記ガスの注入による膨張によって上記ウインド部の少なくとも一部を覆うように展開するカーテンと、
    上記カーテンの膨張部に上記ガスを供給するガス供給装置と、
    上記第1辺の一方側に位置する第2辺の上記第1辺から離間した部位に設けられた第2辺側支持部と、
    上記第1辺の他方側に位置する第3辺の上記第1辺から離間した部位に設けられた第3辺側支持部と、
    上記カーテンの上記第2辺側の側部に設けられ、該カーテンの収容状態においては上記第2辺側支持部よりも上記第1辺側に若しくは該第1辺に位置し、上記膨張部の膨張により該カーテンの先端部が該カーテンの展開方向に移動することに伴って上記第1辺側若しくは該第1辺から上記第2辺側支持部に向かって移動して該第2辺側支持部に係合する第2辺側係合部と、
    上記カーテンの上記第3辺側の側部に設けられ、該カーテンの収容状態においては上記第3辺側支持部よりも上記第1辺側に若しくは該第1辺に位置し、上記膨張部の膨張により該カーテンの先端部が該カーテンの展開方向に移動することに伴って上記第1辺側若しくは該第1辺から上記第3辺側支持部に向かって移動して該第3辺側支持部に係合する第3辺側係合部と、
    上記カーテンの第2辺側係合部又は該係合部近傍部分と、上記カーテンの第3辺側係合部又は該係合部近傍部分とを連結していて、上記カーテンと共に上記ウインド部周辺に収容され、該カーテンの展開によって上記第2辺側から上記第3辺側にわたって上記ウインド部を横切るように延び、上記第2辺側支持部と上記第3辺側支持部とで張力が受けられるテザーとを備えていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記カーテンは、上記ウインド部周辺の上記第1辺と少なくとも上記第2辺とに跨がるように畳んで収容され、該カーテンに係合部が設けられており、
    上記テザーの上記ウインド部を横切るように延びる長さは、上記膨張部を膨張させずに上記カーテンを展開したときの該カーテンの上記テザーに沿って延びる対応する長さよりも短いことを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  4. 請求項1又は請求項2において、
    上記カーテンは車両のウインド部を覆うものであり、
    上記テザーは、上記カーテンが展開したとき該カーテンの膨張部の車外側を延びるように設けられていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  5. 請求項1又は請求項2において、
    上記テザーは上記カーテンの膨張部の傍らを通って延びていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  6. 請求項1又は請求項2において、
    上記カーテンはカーテン本体側部に紐状部材を備え、
    上記紐状部材の基端側がカーテン本体側部の中間部に結合され、上記紐状部材の先端側がカーテン本体側部の中間部よりも先端側に結合され、
    上記カーテン本体側部と上記紐状部材との間に上記支持部が配置され、
    上記カーテンの収容状態では、上記紐状部材の先端側部分が、上記支持部の上記第1辺とは反対側を向いた側に存し、
    上記カーテンの展開によって、上記紐状部材の基端側部分が上記係合部としてカーテン展開方向に移動して上記支持部に係合することを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  7. 請求項1又は請求項2において、
    上記カーテンはカーテン本体側部に紐状部材を備え、
    上記紐状部材の基端側が、カーテン本体側部の上記ウインド部周辺に固定された固定部に、又は該固定部近傍の上記ウインド周辺部に結合され、上記紐状部材の先端側がカーテン本体側部の先端側に結合され、
    上記カーテン本体側部と上記紐状部材との間に上記支持部が配置され、
    上記カーテンの収容状態では、上記紐状部材の先端側部分が、上記支持部の上記第1辺とは反対側を向いた側に存し、
    上記カーテンの展開によって、上記紐状部材の中間部が上記係合部としてカーテン展開方向に移動して上記支持部に係合することを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  8. 請求項1又は請求項2において、
    上記カーテンは車両のウインド部を覆うものであり、
    上記ガス供給装置は、上記車両の衝突が予知されたとき、該車両の衝突が検出されたとき、又は該車両の横転が判定されたときに、上記カーテンの膨張部にガスを供給することを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  9. 請求項1又は請求項2において、
    上記係合部の近傍に上記カーテンの膨張部が設けられていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  10. 請求項1又は請求項2において、
    上記カーテンは、その先端部が上記ウインド部の縁を越えて外側へはみ出すように展開することを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  11. 請求項1又は請求項2において、
    上記ウインド部周辺の第1辺と第2辺とのなす角度が130度以下であり、
    上記カーテンは上記ウインド部の第1辺から第2辺に跨って収容されていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  12. 請求項1において、
    上記テザーの他端は、上記ウインド部周辺の第1辺中央よりも上記第2辺から離れた部位に、若しくは上記第1辺を挟んで上記第2辺の反対側に存する第3辺の所定部位に、又はカーテン展開時に当該部位に拘束されるカーテン周辺部に結合されていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  13. 請求項1又は請求項2において、
    上記カーテンは車両サイドのウインド部を覆うものであり、
    上記カーテンが展開したときに、上記テザーは、上記車両のベルトラインよりも高位置で且つ該車両のシートのヘッドレスト部上端よりも低位置を前後方向に延びるように設けられていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  14. 請求項7において、
    上記カーテンが展開したときの、上記紐状部材の上記支持部から上記カーテン本体側部先端側の結合点までの長さが、上記カーテン本体側部の固定部から先端までの長さの1/2以上になっていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
  15. 請求項14において、
    上記カーテン本体側部の固定部は、上記ウインド部周辺の第1辺に、又は該第1辺と第2辺との境界部に固定されていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。
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