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JP2006306233A - 駐車位置調整システム - Google Patents

駐車位置調整システム Download PDF

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JP2006306233A
JP2006306233A JP2005130270A JP2005130270A JP2006306233A JP 2006306233 A JP2006306233 A JP 2006306233A JP 2005130270 A JP2005130270 A JP 2005130270A JP 2005130270 A JP2005130270 A JP 2005130270A JP 2006306233 A JP2006306233 A JP 2006306233A
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parking position
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adjusting
adjustment system
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JP2005130270A
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English (en)
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Toshihiro Hattori
敏弘 服部
Yuji Sugimoto
勇次 杉本
Hideyuki Morita
英之 盛田
Motonori Tominaga
元規 富永
Kenji Takeda
武田  憲司
Norio Mima
紀雄 三摩
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Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Denso Corp
Nippon Soken Inc
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Abstract

【課題】 安全性の確保された駐車位置調整システムを提供すること。
【解決手段】 車両運動制御装置100は、車両の駐車位置が調整される際、車室外において操作する遠隔操作装置200を用いて自らが直接、車両と障害物との隙間を目視しながら駐車位置の調整を可能にすると共に、車両が極めて低い車速域(好ましくは、1[km/h]以下の車速域)で移動するように、車両の車速を制御する。これにより、遠隔操作装置200の操作者が所望の駐車位置で車両を停止させようと判断してから実際に車両が停止するまでの間の車両の移動距離を短くすることができるため、操作者は、車両の駐車位置を簡便に微調整することができる。また、極めて低い車速域で車両が移動するため、安全性についても確保することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車等の車両の駐車位置を調整する駐車位置調整システムに関するものである。
従来、車両を遠隔操作により車庫に入れるための車庫入れリモコン装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されている車庫入れリモコン装置によれば、例えば、車両にエンジン始動・停止、アクセル、ブレーキ、操舵装置および前進後進切替え装置、ランプ消・点灯等を制御する制御ユニットを設け、リモートコントローラによる遠隔操作により車両を移動させて車庫に入れる。また、車両に自車位置を検出する位置認識装置を備え、リモートコントローラでは、この位置認識装置により認識された位置情報を確認しながら車庫入れを行うことで、車両を直接見通せない位置からの入庫作業を可能としている。
特開平9−136660号公報
車両の運転者は、例えば、ある位置へ車両を駐車させた後、車両から降りたところ、もう少し車両を前進・後退させたいと思う場合がある。このような場合、運転者は、何度も車両に乗り降りして駐車位置を調整する必要があるため、車両に何度も乗り降りすることなく、駐車位置を簡便に微調整することができるシステムが望まれている。
このような駐車位置を調整可能とするシステムにおいては、あらゆる面での安全対策が重要となる。すなわち、運転者自身が車両に乗車して車両を移動させるものではないため、例えば、操作者の人為的なミスによる誤操作の防止、障害物との接触の回避、接触した場合の被害軽減、さらには、システムの悪用の防止等、あらゆる面での安全対策が重要となる。
上述した従来の技術は、駐車位置が調整可能なシステムの一例として挙げることができるが、この技術は、位置認識装置により認識された位置情報を確認しながら車庫入れを行うといった程度の安全対策に留まっており、安全性が十分に確保されていない。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、駐車位置が簡便に調整可能であるとともに、安全性の確保された駐車位置調整システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の駐車位置調整システムは、
車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、を備え、
車両運動制御手段は、
車両の車速を検出する車速検出手段と、
車両の車速を制御する車速制御手段と、を備え、
車速制御手段は、車両の駐車位置を調整する際、車両が極めて低い車速域で移動するように車両の車速を制御することを特徴とする。
このように、本発明の駐車位置調整システムは、車両が極めて低い車速域で移動するように車両の車速を制御する。これにより、操作手段の操作者が所望の駐車位置で車両を停止させようと判断してから実際に車両が停止するまでの間の車両の移動距離を短くすることができるため、操作者は、車両の駐車位置を簡便に微調整することができる。また、極めて低い車速域で車両が移動するため、安全性についても確保することができる。
請求項2に記載の駐車位置調整システムによれば、車速制御手段は、車両が1[km/h]以下の車速域で移動するように車両の車速を制御することを特徴とする。
例えば、車両と車両の後方に存在する障害物との間隔を10[cm]以下に微調整しようとする場合、操作手段の操作者が車両を停止させようと判断してから実際に車両が停止するまでの間に、車両が10[cm]以上移動するようであってはならない。従って、操作者が停止させようと判断してから実際に車両が停止するまでの移動距離が10[cm]以内におさまる車速域で車両を移動させる必要がある。
ここで、移動距離は、次式に示すように、操作者が停止させようと判断してから操作手段を操作するまでの間に移動する空走距離と、車両の制動距離との和によって示される。
(数1)
移動距離=空走距離+制動距離
また、空走距離は、次式に示すように、操作手段の操作者が車両を停止させようと判断してから実際に操作手段を操作するまでの反応時間と車速とから算出される。
(数2)
空走距離=反応時間[s]×車速[m/s]
一方、制動距離は、次式に示すように、車速、重力加速度、及び路面の摩擦係数とから算出される。
(数3)
制動距離=(車速[km/h])/(254×摩擦係数)
ここで、操作者の反応時間を0.1[s]、車速を1[km/h]とすると、数式2から空走距離は、次式に示すようになる。
(数4)
空走距離=0.1×1000×1000/3600=2.77[cm]
また、路面状態が「凍結」(摩擦係数は0.07)であるとし、車速を1[km/h]とすると、数式3から制動距離は、次式に示すようになる。
(数5)
制動距離=(1[km/h])/(254×0.07)=5.62[cm]
従って、移動距離は、
(数6)
移動距離=2.77+5.62=8.39[cm]≦10[cm]
となる。従って、車両を1[km/h]以下の車速で移動するように車速を制御することで、車両と障害物との間隔を10[cm]以下に微調整することができる。なお、上述した移動距離の算出式、制動距離の算出式に含まれる定数(254)や摩擦係数等については、”交通事故における車速と停止距離を考える”、平成15年7月7日、[平成17年4月25日検索]、インターネット<URL:http://www5d.biglobe.ne.jp/~Jusl/Keisanki/JTSL/TeisiSyasoku.html>において詳細に述べられているので、そちらを参照されたい。
請求項3に記載の駐車位置調整システムは、車両の周囲に存在する物体との距離を検出する物体検出手段を備え、
車両運動制御手段は、車両の駐車位置を調整する際に物体検出手段が予め設定された一定距離以内に存在する物体を検出した場合、車両の移動を禁止する車両移動禁止手段を備えることを特徴とする。これにより、一定距離以内に存在する物体を検出した場合、安全面を考慮して車両の移動を禁止することができる。
請求項4に記載の駐車位置調整システムは、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
車両の周囲に存在する物体との距離を検出する物体検出手段と、を備え、
車両運動制御手段は、車両の駐車位置を調整する際に物体検出手段が予め設定された一定距離以内に存在し、且つ、車両に近づく物体を検出した場合、車両の移動を禁止する車両移動禁止手段を備えることを特徴とする。
これにより、接触する危険性の高い移動物体が車両に対して一定距離以内に近づいた場合、車両の移動を禁止することができる。
請求項5に記載の駐車位置調整システムによれば、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
車両の周囲に存在する物体を検出する物体検出手段と、
車両の将来の移動軌跡を推定する移動軌跡推定手段と、を備え、
車両運動制御手段は、物体検出手段の検出した物体が将来の移動軌跡上に位置し、さらに、車両の駐車位置の調整によって車両が物体検出手段の検出した物体に対して所定距離以下となるまで接近した場合、車両の移動を禁止する車両移動禁止手段を備えることを特徴とする。
これにより、推定した将来の移動軌跡上に位置する物体との接触を回避しつつ、物体に対して所定距離以下まで接近するように、車両の駐車位置を調整することができる。
請求項6に記載の駐車位置調整システムは、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
車両の車体の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、
傾斜角検出手段の検出した傾斜角が所定傾斜角以上である場合に、車両の移動を禁止する車両移動禁止手段と、を備えることを特徴とする。
例えば、車両の車体が前後に傾斜するような傾斜のある場所において車両を移動させると、車体の慣性力がその移動方向に加わるため、その慣性力により車両の制動距離が長くなり、その結果、障害物と接触する場合も考えられる。従って、車体の傾斜角が所定傾斜角以上である場合に車両の移動を禁止することで、障害物との接触を未然に回避することができる。
請求項7に記載の駐車位置調整システムは、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
車両の車体と車両の周囲に存在する物体との接触を検出する接触検出手段と、を備え、
車両運動制御手段は、車両の駐車位置の調整中に接触検出手段が接触を検出した場合、車両の移動を停止する制御を行うことを特徴とする。
これにより、車両の駐車位置の調整中に車両の周囲に存在する物体と接触した場合、車両の移動を停止することができるため、接触時の被害を軽減することができる。
請求項8に記載の駐車位置調整システムによれば、車両運動制御手段は、車両の移動を停止する制御を行った後、車両が停止するまでに移動していた方向と反対方向に移動するように、車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする。これにより、接触した物体から車両を速やかに移動させることができる。
請求項9に記載の駐車位置調整システムは、
車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
車両の車体と操作手段の操作者との接触を検出することが可能な接触検出手段と、を備え、
車両運動制御手段は、車両の駐車位置の調整中に接触検出手段が接触を検出した場合、車両の移動を停止する制御を行うことを特徴とする。
これにより、例えば、車両の駐車位置の調整中に車両を緊急停止させたいような場合、操作者は、接触手段に自ら接触することで、車両の移動を停止させることができるようになる。
請求項10に記載の駐車位置調整システムは、無線通信を用いて、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において遠隔操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
車両に搭載され、操作手段と無線通信によって接続する車載無線通信手段と、を備え、
車載無線通信手段は、車両の車体の前部、又は後部を基準とする所定距離以内に無線通信による接続を限定する無線通信エリアを設定することを特徴とする。
これにより、遠隔操作する操作者は、車両の駐車位置を調整する際、車体の前部、又は/及び後部の周辺に設定された無線通信エリア内において必然的に操作することになるため、車両の監視を操作者に促すことが可能となる。
請求項11に記載の駐車位置調整システムによれば、車載無線通信手段は、無線通信エリアとして、車両の車体から10[m]以内に設定することを特徴とする。
例えば、車両と車両の後方に存在する障害物との間隔を10[cm]以下に微調整しようとする場合、少なくとも1[cm]程度の分解能で、障害物と車両との隙間を監視しながら調整可能であることが好ましい。ここで、人間が辛うじて見分けられる隙間(X)は、次式で示される。次式におけるθは、図8に示すように、ある2点間の半分の隙間と人間の眼との間にできる角度(視角)であり、視力の逆数で示される。
(数7)
X=2×距離×tan(θ)=2×距離×tan(1/60×1/視力/2)
ここで、自動車の運転免許を所有する最低視力(片眼0.3)の人間が隙間(X=10[mm])を認識することができる距離は、次式により得られる。
(数8)
距離=10/{2×tan(1/60×1/0.3/2)}=10313[mm]>10[m]
以上から、無線通信エリアを車体から10[m]以内に設定することで、視力が極端に悪くない操作者であれば、1[cm]以下の分解能で障害物と車両との隙間を監視しながら駐車位置の微調整が可能となる。
なお、上述した隙間(X)の算出式については、株式会社和真、”眼とメガネのQ&A”、[平成17年4月25日検索]、インターネット<URL:http://www.washin-optical.co.jp/02_qa/0002/0002_a_18.html>において詳細に述べられているので、そちらを参照されたい。
請求項12に記載の駐車位置調整システムによれば、車載無線通信手段は、
車両が前方に移動する場合、車体の前部に設定した無線通信エリアのみ無線通信による接続を可能とし、
車両が後方に移動する場合、車体の後部に設定した無線通信エリアのみ無線通信による接続を可能とすることを特徴とする。
これにより、操作者は、移動する方向の車体の先端付近で操作手段を操作しなければ、車両の駐車位置を調整することができなくなる。その結果、操作者に、車両の移動方向の監視を促すことができる。
請求項13に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段は、無線通信として暗号通信を用いることを特徴とする。これにより、悪意の第三者による不正操作への対策が図れる。
請求項14に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段は、車両のキーと一体で構成されることを特徴とする。これにより、操作手段を紛失し難くすることができるとともに、車両のキーを所有しない悪意の第三者が不正に操作しないようにすることができる。
請求項15に記載の駐車位置調整システムは、有線通信を用いて、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において遠隔操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、を備え、
有線通信に用いられる通信線は、その一端が車両の車体の前部、又は後部に接続され、その他端が操作手段に接続され、当該通信線の長さは10[m]以内であることを特徴とする。
このように、有線通信を用いて車両の駐車位置を遠隔操作する場合であっても、有線通信に用いる通信線の長さを10[m]以内とすることで、上述したように、視力が極端に悪くない操作者であれば、1[cm]以下の分解能で障害物と車両との隙間を監視しながら駐車位置の微調整が可能となる。
請求項16に記載の駐車位置調整システムは、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
車両に搭載され、操作手段の操作に応じて車両の移動に関わる制御を実行して車両を移動させることで、車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、を備え、
操作手段は、車両の車体の前部、及び後部の少なくとも一方の部位に取り付けられることを特徴とする。
これにより、操作手段の操作者は、車体に取り付けられた操作手段に触れながら操作しなければならないため、車両の移動に対する監視を間接的に促すことができる。
請求項17に記載の駐車位置調整システムによれば、車両運動制御手段は、
車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
車両の操舵角を制御する操舵角制御手段と、を備え、
操舵角制御手段は、車両の駐車位置の調整が開始される前に、車両が前方又は後方に直進して移動するように車両の操舵角を制御することを特徴とする。
これにより、車両の移動方向が制限されるため、複雑な操作をすることなく、駐車位置を簡便に調整することができる。
請求項18に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段は、車両の移動を指示するための指示手段を備え、
車両運動制御手段は、指示手段からの指示が継続している間は車両が移動するように、車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする。
これにより、操作者が車両の移動を継続して指示し続けている間だけ、車両を移動させることができる。
請求項19に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段は、車両の移動を指示するための指示手段を備え、車両運動制御手段は、指示手段からの1回の指示に対して、車両が一定距離移動するように、車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする。
これにより、操作者が誤って車両の移動を継続して指示したとしても、車両は一定距離のみ移動し、その後一旦停止するため、操作者の誤操作対策を図ることができる。なお、一定距離以上移動させる場合には、操作者は、指示手段からの指示を繰り返すことで可能となる。
請求項20に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段は、車両の移動を指示するための指示手段を備え、
車両運動制御手段は、
指示手段からの指示が所定時間以上の時間継続した場合、車両が一定距離移動するように、車両の移動に関わる制御を実行するとともに、
指示手段からの指示が所定時間に満たない時間継続した場合、その継続時間だけ車両が移動するように、車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする。
これにより、操作者が誤って所定時間以上車両の移動を継続して指示したとしても、車両は一定距離のみ移動し、その後一旦停止する。また、所定時間に満たない時間継続した指示した場合には、その継続時間だけ車両は移動するため、操作者の誤操作対策を高めることができる。
請求項21に記載の駐車位置調整システムによれば、前記車両運動制御手段は、
操作手段を前回操作してからの経過時間をカウントするタイマ手段と、
タイマ手段のカウントした経過時間が一定時間を超える場合に操作手段からの操作を停止する操作停止手段と、を備えることを特徴とする。
これにより、車両の駐車位置を所望の位置に調整した後、一定時間を超えていれば、操作者が誤って操作手段を操作したとしても、操作手段の操作を無効にすることができる。
請求項22に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段は、当該操作手段を操作する操作者を認証するための個人認証手段を備え、個人認証手段が認証した場合に、操作手段の操作開始を許可することを特徴とする。これにより、本システムの悪用を防止することができる。
請求項23に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段が操作中である場合、その旨を車両の周囲に報知する報知手段を備えることを特徴とする。これにより、車両の周囲に対する安全対策を講じることができる。
請求項24に記載の駐車位置調整システムによれば、車両運動制御手段による車両の駐車位置の調整が開始される前に、車両の移動に関わる制御に必要な各種車載機器の異常の有無を検出する車載機器検査手段を備え、
操作手段は、車載機器検査手段によって各種車載機器の異常が検出されない場合に、当該操作手段の操作開始を許可することを特徴とする。
これにより、本駐車位置調整システムの誤作動を未然に防ぐことができるため、システムの信頼性を高めることができる。
請求項25に記載の駐車位置調整システムによれば、車両運動制御手段は、車両の駐車位置の調整中に車載機器検査手段によって各種車載機器の異常が検出された場合、車両の移動を停止する制御を行うことを特徴とする。
これにより、車両の駐車位置の調整中の異常検出によって、車両の移動を継続させないようにすることができる。
請求項26に記載の駐車位置調整システムによれば、操作手段による操作を許可する操作許可手段を車両の車室内に設けることを特徴とする。これにより、車両のキーを持たない悪意の第三者が操作することを防止できる。
以下、本発明の駐車位置調整システムの実施形態について、図面を用いて説明する。本実施形態の駐車位置調整システムは、運転者が所望の位置へ車両を駐車させる場合に、車両への乗り降りを何度も繰り返すことなく、車両の移動を監視しながら遠隔操作装置(リモコン)等を操作して駐車位置を簡便に微調整できることを目的としたものである。
図1に、本実施形態の駐車位置調整システムの利用場面を示す。具体的な利用場面としては、例えば、ある位置へ車両を駐車させた後、車両から降りたところ、もう少し車両を前進、或いは後退させたいと思うような場合である。このような場合、運転者は、車両への乗り降りを何度も繰り返して駐車位置を調整する必要があるが、本駐車位置調整システムを利用することで、障害物に対して”ぎりぎり”まで接近させて駐車することが可能となる。なお、本駐車位置調整システムは、自動車等の車両全般に適用可能なものである。
図2に、駐車位置調整システムの全体構成を示す。同図に示すように、駐車位置調整システムは、車両運動制御装置100、遠隔操作装置200、前方障害物検出装置300a、後方障害物検出装置300b、車載機器検査装置400、移動距離検出センサ500、報知装置600、接触検出装置700、通信機800により構成される。
車両運動制御装置100は、遠隔操作装置200からの情報に応じて、車両の移動に関わる制御を実行する。遠隔操作装置200は、車両の駐車位置を微調整する際に遠隔操作するもので、通信機800との間で無線通信を行う。この車両運動制御装置100、及び遠隔操作装置200の内部構成については後述する。
前方障害物検出装置300a、及び後方障害物検出装置300bは、車両の前方や後方に存在する障害物を検出するもので、車体のフロントバンパ部やリヤバンパ部に並んで配置された複数の超音波センサからの信号に基づいて、障害物までの距離を検出する。前方障害物検出装置300a、及び後方障害物検出装置300bは、障害物の検出結果を示す障害物情報(障害物までの距離や方向等)を車両運動制御装置100へ送信する。なお、超音波センサに限らず、例えば、レーザ光等の光やミリ波等の電波を用いたセンサや画像センサ等によって、車両の前方や後方に存在する障害物を検出するようにしてもよい。
車載機器検査装置400は、車両運動制御装置100による車両の移動に関わる制御に必要な各種車載機器の異常の有無を検出するもので、その検出結果を示す異常検出情報を車両運動制御装置100、及び遠隔装置装置200へ送信する。
移動距離検出センサ500は、車両の移動距離を検出するセンサであり、検出した移動距離の情報を車両運動制御装置100へ送信する。報知装置600は、スピーカや警告灯等で構成され、遠隔操作装置200によって車両が遠隔操作中である旨の注意喚起音や音声をスピーカから車両の周囲に出力したり、遠隔操作中である場合に警告灯を点灯したりする。このように、遠隔操作中である旨を車両の周囲に報知することで、車両の周囲に対する安全対策を講じることができる。
接触検出装置700は、車両の車体の周囲に万遍なく配置された接触センサにより、車両の車体と車両の周囲に存在する物体との接触を検出するもので、検出結果を示す接触検出情報を車両運動制御装置100へ送信する。なお、接触センサとしては、例えば、静電容量の変化を用いて接触を検出する静電容量センサ等を採用することができる。
通信機800は、遠隔操作装置200との無線通信による接続を行うものであり、図5に示すように、車両の車体の前部及び後部を基準とする所定距離(好ましくは、車体から10[m]以内)に、無線通信による接続を限定する無線通信エリアを設定する。
これにより、遠隔操作する操作者は、車両の駐車位置を調整する際、車体の前部や後部の周辺に設定された無線通信エリア内において必然的に操作することになるため、車両の監視を操作者に促すことが可能となる。ここで、車両の車体から10[m]以内に無線通信エリアを設定する点について、以下に説明する。
例えば、車両と車両の後方に存在する障害物との間隔を10[cm]以下に微調整しようとする場合、少なくとも1[cm]程度の分解能で、障害物と車両との隙間を監視しながら調整可能であることが好ましい。ここで、人間が辛うじて見分けられる隙間(X)は、次式で示される。次式におけるθは、図8に示すように、ある2点間の半分の隙間と人間の眼との間にできる角度(視角)であり、視力の逆数で示される。
(数9)
X=2×距離×tan(θ)=2×距離×tan(1/60×1/視力/2)
ここで、自動車の運転免許を所有する最低視力(片眼0.3)の人間が隙間(X=10[mm])を認識することができる距離は、次式により得られる。
(数10)
距離=10/{2×tan(1/60×1/0.3/2)}=10313[mm]>10[m]
以上から、無線通信エリアを車体から10[m]以内に設定することで、視力が極端に悪くない操作者であれば、1[cm]以下の分解能で障害物と車両との隙間を監視しながら駐車位置の微調整が可能となる。
なお、上述した隙間(X)の算出式については、株式会社和真、”眼とメガネのQ&A”、[平成17年4月25日検索]、インターネット<URL:http://www.washin-optical.co.jp/02_qa/0002/0002_a_18.html>において詳細に述べられているので、そちらを参照されたい。
また、通信機800は、車両運動制御装置100の制御によって車両が前方に移動する場合、車体の前部に設定した無線通信エリアのみ無線通信による接続を可能とし、車両が後方に移動する場合、車体の後部に設定した無線通信エリアのみ無線通信による接続を可能とする。これにより、遠隔操作装置200の操作者は、移動する方向の車体の先端付近で遠隔操作しなければ、車両の駐車位置を調整することができなくなる。その結果、操作者に、車両と車両の移動方向の監視を促すことができる。
図3に、車両運動制御装置100の内部構成を示す。同図に示すように、車両運動制御装置は、制御装置(CPU)107を主として、操舵角制御装置101、操舵角センサ102、傾斜角センサ103、車速センサ104、車速制御装置105、移動禁止装置106、メモリ108、及びタイマ109により構成される。
操舵角制御装置101は、ステアリングアクチュエータを備えており、車両のステアリングの操舵角(又は車両の車輪の切れ角)を検出する操舵角センサ102の検出結果に基づいて、車両の駐車位置の調整が開始される前に、車両が前方又は後方に直進して移動するように、車両のステアリングの操舵角を制御する。これにより、車両の駐車位置の調整方向(車両の移動方向)が制限されるため、遠隔操作装置200の操作者は、複雑な操作をすることなく、駐車位置を簡便に調整することができる。
傾斜角センサ103は、車両の車体の傾斜角(ロール角、ピッチ角)を検出するセンサである。車速センサ104は、車両の車速を検出するセンサである。車速制御装置105は、図示しないスロットルアクチュエータ、及びブレーキアクチュエータを備えており、車速センサ105の検出結果を取得して、車両の駐車位置が調整される際、車両が極めて低い車速域(好ましくは、1[km/h]以下の車速域)で移動するように、車両の車速を制御する。
これにより、遠隔操作装置200の操作者が所望の駐車位置で車両を停止させようと判断してから実際に車両が停止するまでの間の車両の移動距離を短くすることができるため、操作者は、車両の駐車位置を簡便に微調整することができる。また、極めて低い車速域で車両が移動するため、安全性についても確保することができる。ここで、車両が1[km/h]以下の車速域で移動するように車両の車速を制御する点について、以下に説明する。
例えば、車両と車両の後方に存在する障害物との間隔を10[cm]以下に微調整しようとする場合、遠隔操作装置200の操作者が車両を停止させようと判断してから実際に車両が停止するまでの間に、車両が10[cm]以上移動するようであってはならない。従って、操作者が停止させようと判断してから実際に車両が停止するまでの移動距離が10[cm]以内におさまる車速域で車両を移動させる必要がある。
ここで、移動距離は、次式に示すように、操作者が停止させようと判断してから遠隔操作装置200を操作するまでの間に移動する空走距離と、車両の制動距離との和によって示される。
(数11)
移動距離=空走距離+制動距離
また、空走距離は、次式に示すように、遠隔操作装置200の操作者が車両を停止させようと判断してから実際に遠隔操作装置200を操作するまでの反応時間と車速とから算出される。
(数12)
空走距離=反応時間[s]×車速[m/s]
一方、制動距離は、次式に示すように、車速、重力加速度、及び路面の摩擦係数とから算出される。
(数13)
制動距離=(車速[km/h])/(254×摩擦係数)
ここで、操作者の反応時間を0.1[s]、車速を1[km/h]とすると、数式12から空走距離は、次式に示すようになる。
(数14)
空走距離=0.1×1000×1000/3600=2.77[cm]
また、路面状態が「凍結」(摩擦係数は0.07)であるとし、車速を1[km/h]とすると、数式13から制動距離は、次式に示すようになる。
(数15)
制動距離=(1[km/h])/(254×0.07)=5.62[cm]
従って、移動距離は、
(数16)
移動距離=2.77+5.62=8.39[cm]≦10[cm]
となる。従って、車両を1[km/h]以下の車速で移動するように車速を制御することで、車両と障害物との間隔を10[cm]以下に微調整することができる。なお、上述した移動距離の算出式、制動距離の算出式に含まれる定数(254)や摩擦係数等については、”交通事故における車速と停止距離を考える”、平成15年7月7日、[平成17年4月25日検索]、インターネット<URL:http://www5d.biglobe.ne.jp/~Jusl/Keisanki/JTSL/TeisiSyasoku.html>において詳細に述べられているので、そちらを参照されたい。
移動禁止装置105は、車両の前方又は/及び後方の予め設定された一定距離以内に存在する物体を検出した場合(禁止条件1)、車両の将来の移動軌跡上に位置する物体に対し、駐車位置の調整によって所定距離(例えば、10[cm])以下までその物体に接近した場合(禁止条件2)、車両の車体の傾斜角が所定傾斜角以上である場合(禁止条件3)の3つの禁止条件を満たすか否かを判定し、何れか1つの禁止条件を満たすと判定した場合に、遠隔操作装置200の遠隔操作による駐車位置の調整、すなわち、車両の移動を禁止する。
このように、禁止条件1を満たす場合に車両の移動を禁止することで、安全面を考慮して車両の移動を禁止することができる。。なお、禁止条件1については、車両の前方又は/及び後方の予め設定された一定距離以内に存在する車両に近づく物体を検出した場合としてもよい。これにより、接触する危険性の高い移動物体が車両に対して一定距離以内に近づいた場合、車両の移動を禁止することができる。なお、一定距離以内に存在する物体を始めて検出したときに、その物体は車両に近づく物体として検出するようにしてもよい。
また、禁止条件2を満たす場合に車両の移動を禁止することで、推定した将来の移動軌跡上に位置する物体との接触を回避しつつ、その物体に対して所定距離以下まで接近するように、車両の駐車位置を調整することができる。なお、車両の将来の移動軌跡は、制御装置107において、ステアリングの操舵角、車速等から幾何学的に算出される。
また、例えば、車両の車体が前後に傾斜するような傾斜のある場所において車両を移動させると、車体の慣性力がその移動方向に加わるため、その慣性力により車両の制動距離が長くなり、その結果、障害物と接触する場合も考えられる。従って、禁止条件3を満たす場合に車両の移動を禁止することで、障害物との接触を未然に回避することができる。
メモリ108は、読み書き可能な記憶装置であり、遠隔操作装置200からの暗号化された通信データを復号するための復号キー、遠隔操作装置200の操作者を認証するための認証情報、遠隔操作装置200を識別するための識別コード等の各種情報が記憶されている。
タイマ109は、操作者が遠隔操作装置200を前回操作してからの経過時間をカウントするもので、この経過時間が一定時間を超える場合に、時間超過情報を制御装置107へ出力する。
制御装置107は、主に、マイクロコンピュータとして構成され、何れも周知のCPU、ROM、RAM、I/O、及びこれらを接続するバスによって構成される。この制御装置107は、遠隔操作装置200からの通信データ、前方障害物検出装置300a、後方障害物検出装置300bからの障害物情報、車載機器検査装置400からの異常検出情報、移動距離検出センサ500からの移動距離情報、接触検出装置700からの接触検出情報、及びタイマ109からの時間超過情報を収集し、これらの情報に基づいて、車両の移動の開始・停止を指示する指示情報を操舵角制御装置101や車速制御装置105へ出力する。また、制御装置107は、遠隔操作装置200からの暗号化された通信データを復号化する復号化機能、車両の将来の移動軌跡を推定する移動軌跡推定機能等を実行する。
図4に示すように、遠隔操作装置200は、主に、通信部201、遠隔操作部202、及び個人認証部203の各機能を備えている。通信部201は、車両に搭載される通信機800との無線通信を行うもので、通信データを暗号化する暗号化機能を備えている。このように、遠隔操作装置200と通信機800との無線通信として暗号通信を用いることで、通信データの盗聴を防止することができるため、不正に通信データを入手した悪意の第三者による不正操作への対策が図れる。
なお、遠隔操作装置200は、車両のキーと一体で構成されるものであってもよい。これにより、遠隔操作装置200を紛失し難くすることができるとともに、車両のキーを所有しない悪意の第三者が不正に操作しないようにすることができる。
遠隔操作部202は、車両の駐車位置を前後に調整する際に操作するもので、例えば、前進、後退に各々対応した2つの押しボタンと表示部(何れも図示せず)で構成される。この押しボタンを押すことで、車両運動制御装置100に対して、車両の移動を指示することができる。例えば、図9(a)に示すように、操作者は、この押しボタンを押し続けることで、それが継続している間だけ、極めて低い車速域で車両を移動し続けることができる。
個人認証部203は、メモリ108に記憶された認証情報を用いて、正規の操作者であるか認証を行う。この認証には、バイオメトリクス認証等を採用することができる。そして、操作者の認証が得られた場合に、遠隔操作部202の操作開始を許可するようにする。これにより、本駐車位置調整システムの悪用を防止することができる。
また、制御装置107は、タイマ109から時間超過情報を受信した場合には、遠隔操作装置200の遠隔操作部202からの操作を停止する。これにより、車両の駐車位置を所望の位置に調整した後、一定時間を超えていれば、操作者が誤って遠隔操作部202を操作したとしても、操作者による遠隔操作部202の操作を無効にすることができる。
また、さらに、制御装置107は、遠隔操作装置200の操作を許可する操作許可スイッチ(図示せず)を車室内に設けるようにしてもよい。これにより、車両のキーを持たない悪意の第三者が操作することを防止できる。
次に、遠隔操作により車両の駐車位置を調整する本駐車位置調整システムの動作について、図6及び図7に示すフローチャートを用いて説明する。先ず、図6に示すステップ(以下、Sと記す)10では、遠隔操作装置200から遠隔操作開始要求が送信されると、S20では、操作者の認証を行う。S30では、認証が得られたか否かを判定し、肯定判定される場合にはS40へ処理を進め、否定判定される場合には、S50へ処理を移行する。
S40では、異常検出情報を参照して、車両の移動に関わる制御に必要な各種車載機器の異常が検出されたか否かを判定する。ここで、肯定判定される場合にはS50へ処理を進め、否定判定される場合にはS60へ処理を進める。S50では、認証が得られない、或いは、各種車載機器の異常が検出された旨を遠隔操作装置200の遠隔操作部202の表示部に表示する。これにより、操作者は、遠隔操作を開始することができない旨を把握することができる。
S60では、操作者の認証が得られ、各種車載機器の異常が検出されないため、遠隔操作の開始を許可する。これにより、本駐車位置調整システムの誤作動を未然に防ぐことができるため、システムの信頼性を高めることができる。
S70では、車両の現在の操舵角を検出して、車両が前方又は後方に直進して移動するように、車両の操舵角を制御する。S80では、遠隔操作装置200からの移動指示の指令を入力し、S90では、その指令(前進、後退)の判別を行う。S100では、判別した指令が前進又は後退であるか否かを判定し、肯定判定される場合にはS110へ処理を進め、否定判定される場合にはS130へ処理を移行する。また、S80において、前回の入力から一定時間経過した場合、タイマ109から時間超過情報が出力されるため、この場合にもS130へ処理を移行する。
S110では、再び、異常検出情報を参照して、車両の移動に関わる制御に必要な各種車載機器の異常が検出されたか否かを判定する。ここで、肯定判定される場合にはS130へ処理を進め、否定判定される場合にはS120へ処理を進める。S120では、車両の周囲に存在する障害物等の物体の検出、及び物体との接触の有無を検出する。
S130では、駐車位置の調整中である場合には、車両の移動を停止させ、車両が停止した旨を報知する。なお、S130では、駐車位置の調整中に各種車載機器の異常を検出した場合にも車両の移動を停止させる。これにより、駐車位置の調整中の異常検出によって、車両の移動を継続させないようにすることができる。
S140では、上述した3つの禁止条件を満たすか否かを判定し、何れか1つの禁止条件を満たすと判定した場合にS150へ処理を進め、S150では、車両の移動を禁止(移動中の場合には停止させた後、その後の移動を禁止)し、車両の移動を禁止した旨を報知して、S80へ処理を移行する。一方、3つの禁止条件の何れも満たさないと判定した場合、S160へ処理を進める。
図7に示すS160では、報知装置600から車両の移動を報知し、S170では、極めて低い車速域で車両を移動させ、駐車位置を微調整する。S180では、車両の周囲に存在する障害物等の物体の検出、及び物体との接触の有無を検出する。S190では、車両の車体が障害物に接触したか否かを判定する。ここで、肯定判定される場合には、S210へ処理を進め、車両の移動を停止するとともに、車体の接触を検出した旨を報知する。
これにより、車両の駐車位置の調整中に車両の周囲に存在する物体と接触した場合、車両の移動を停止することができるため、接触時の被害を軽減することができる。なお、S210においては、車体の接触によって車両を停止した場合、車両を停止させた後、車両が停止するまでに移動していた方向と反対方向に移動するように、車両の移動に関わる制御を実行するようにしてもよい。これにより、接触した物体から車両を速やかに移動させることができる。
なお、接触検出装置700に用いられる接触センサは、操作者との接触を検出することが可能であるとよい。これにより、例えば、車両の駐車位置の調整中に車両を緊急停止させたいような場合、操作者は、接触センサに自ら接触することで、車両の移動を停止させることができるようになる。
S200では、障害物までの距離が所定距離(例えば、10[cm])以下か否かを判定する。ここで、肯定判定される場合には、S210へ処理を進め、車両の移動を停止するとともに、障害物までの距離を報知して、S10へ処理を移行する。一方、否定判定される場合には、S80へ処理を移行し、移動指示の指令の入力を待ち、入力があった場合、上述した処理を繰り返し実行する。
このように、本実施形態の駐車位置調整システムは、操作者の人為的なミスによる誤操作の防止、障害物との接触の回避、接触した場合の被害軽減、さらには、システムの悪用の防止等、あらゆる面での安全対策を講じているため、安全性の確保されたシステムとして構築することができる。
(変形例1)
図9(a)に示したように、本実施形態の遠隔操作装置200の遠隔操作部202は、操作者が押しボタンを押し続けることで、それが継続している間だけ車両を移動し続けることができるものあるが、図9(b)に示すように、操作者が押しボタンを1回押すことで、一定距離のみ車両を移動するようにしてもよい。これにより、操作者が誤って押しボタンを押し続けたとしても、車両は一定距離のみ移動し、その後一旦停止するため、操作者の誤操作対策を図ることができる。なお、一定距離以上車両を移動させる場合には、操作者は、押しボタンを繰り返し押すことで可能となる。
(変形例2)
図9(a)に示したように、本実施形態の遠隔操作装置200の遠隔操作部202は、操作者が押しボタンを押し続けることで、それが継続している間だけ車両を移動し続けることができるものあるが、図9(c)に示すように、所定時間(T1)以上の時間、ボタン操作を継続した場合に一定距離(d1)移動し、所定時間(T1)に満たない時間、ボタン操作を継続した場合、その継続時間だけ車両を移動するようにしてもよい。
これにより、操作者が誤って所定時間(T1)以上押しボタンをボタンを押し続けたとしても、車両は一定距離(d1)のみ移動し、その後一旦停止する。また、所定時間(T1)に満たない時間、押しボタンをボタンを押し続けた場合には、その継続時間だけ車両は移動するため、操作者の誤操作対策を高めることができる。
(変形例3)
本実施形態の駐車位置調整システムは、無線通信による遠隔操作で車両の駐車位置を調整するものであるが、図10に示すように、通信線の一端が車両の車体の後部に接続され、その他端が遠隔操作装置200aに接続された有線通信による遠隔操作で車両の駐車位置を調整するようにしてもよい。なお、この通信線の長さは、同図に示すように、10[m]以内であることが好ましい。
このように、有線通信を用いて車両の駐車位置を遠隔操作する場合であっても、有線通信に用いる通信線の長さを10[m]以内とすることで、上述したように、視力が極端に悪くない操作者であれば、1[cm]以下の分解能で障害物と車両との隙間を監視しながら駐車位置の微調整が可能となる。
(変形例4)
本実施形態の駐車位置調整システムは、無線通信による遠隔操作で車両の駐車位置を調整するものであるが、図11に示すように、操作装置200bを車両の車体の後部に直接取り付け、この操作装置200bを操作することで、車両の駐車位置を調整するようにしてもよい。これにより、操作者は、車体に取り付けられた操作装置200bに触れながら操作しなければならないため、車両の移動に対する監視を間接的に促すことができる。
駐車位置調整システムの利用場面を示した概念図である。 駐車位置調整システムの全体構成を示すブロック図である。 車両運動制御装置100の内部構成を示すブロック図である。 遠隔操作装置200の内部構成を示すブロック図である。 車両の車体の前部及び後部を基準とする所定距離(車体から10[m])以内に設定された無線通信エリアを示す図である。 駐車位置調整システムの動作の流れを示すフローチャート(前半部分)である。 駐車位置調整システムの動作の流れを示すフローチャート(後半部分)である。 隙間Xと人間の眼との間にできる角度(視角θ)、及び距離(L)の関係を示した図である。 (a)は、押しボタンが押し続けている間は車両の移動が継続する場合の例を示す図であり、(b)は、押しボタンを1回押すことで一定距離のみ車両を移動する場合の例を示した図であり、(c)は、所定時間(T1)以上の時間、ボタン操作を継続した場合に一定距離(d1)移動し、所定時間(T1)に満たない時間、ボタン操作を継続した場合、その継続時間だけ車両を移動する場合の例を示した図である。 実施形態の変形例3に係わる、通信線の一端が車両の車体の後部に接続され、その他端が遠隔操作装置200aに接続された有線通信による遠隔操作で車両の駐車位置を調整する場合のイメージを示した図である。 実施形態の変形例4車両の車体の後部に直接取り付けられた操作装置200bを示す図である。
符号の説明
100 車両運動制御装置
200 遠隔操作装置
300a 前方障害物検出装置
300b 後方障害物検出装置
400 車載機器検査装置
500 移動距離検出センサ
600 報知装置
700 接触検出装置
800 通信機

Claims (26)

  1. 車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、を備え、
    前記車両運動制御手段は、
    前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記車両の車速を制御する車速制御手段と、を備え、
    前記車速制御手段は、前記車両の駐車位置を調整する際、前記車両が極めて低い車速域で移動するように前記車両の車速を制御することを特徴とする駐車位置調整システム。
  2. 前記車速制御手段は、前記車両が1km/h以下の車速域で移動するように前記車両の車速を制御することを特徴とする請求項1記載の駐車位置調整システム。
  3. 前記車両の周囲に存在する物体との距離を検出する物体検出手段を備え、
    前記車両運動制御手段は、前記車両の駐車位置を調整する際に前記物体検出手段が予め設定された一定距離以内に存在する物体を検出した場合、前記車両の移動を禁止する車両移動禁止手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の駐車位置調整システム。
  4. 車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
    前記車両の周囲に存在する物体との距離を検出する物体検出手段と、を備え、
    前記車両運動制御手段は、前記車両の駐車位置を調整する際に前記物体検出手段が予め設定された一定距離以内に存在し、且つ、前記車両に近づく物体を検出した場合、前記車両の移動を禁止する車両移動禁止手段を備えることを特徴とする駐車位置調整システム。
  5. 車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
    前記車両の周囲に存在する物体を検出する物体検出手段と、
    前記車両の将来の移動軌跡を推定する移動軌跡推定手段と、を備え、
    前記車両運動制御手段は、前記物体検出手段の検出した物体が前記将来の移動軌跡上に位置し、さらに、前記車両の駐車位置の調整によって前記車両が前記物体検出手段の検出した物体に対して所定距離以下となるまで接近した場合、前記車両の移動を禁止する車両移動禁止手段を備えることを特徴とする駐車位置調整システム。
  6. 車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
    前記車両の車体の傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、
    前記傾斜角検出手段の検出した傾斜角が所定傾斜角以上である場合に、前記車両の移動を禁止する車両移動禁止手段と、を備えることを特徴とする駐車位置調整システム。
  7. 車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
    前記車両の車体と前記車両の周囲に存在する物体との接触を検出する接触検出手段と、を備え、
    前記車両運動制御手段は、前記車両の駐車位置の調整中に前記接触検出手段が接触を検出した場合、前記車両の移動を停止する制御を行うことを特徴とする駐車位置調整システム。
  8. 前記車両運動制御手段は、前記車両の移動を停止する制御を行った後、前記車両が停止するまでに移動していた方向と反対方向に移動するように、前記車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする請求項7記載の駐車位置調整システム。
  9. 車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
    前記車両の車体と前記操作手段の操作者との接触を検出することが可能な接触検出手段と、を備え、
    前記車両運動制御手段は、前記車両の駐車位置の調整中に前記接触検出手段が接触を検出した場合、前記車両の移動を停止する制御を行うことを特徴とする駐車位置調整システム。
  10. 無線通信を用いて、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において遠隔操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段と無線通信によって接続する車載無線通信手段と、を備え、
    前記車載無線通信手段は、前記車両の車体の前部、又は後部を基準とする所定距離以内に無線通信による接続を限定する無線通信エリアを設定することを特徴とする駐車位置調整システム。
  11. 前記車載無線通信手段は、前記無線通信エリアとして、前記車両の車体から10m以内に設定することを特徴とする請求項10記載の駐車位置調整システム。
  12. 前記車載無線通信手段は、
    前記車両が前方に移動する場合、前記車体の前部に設定した無線通信エリアのみ無線通信による接続を可能とし、
    前記車両が後方に移動する場合、前記車体の後部に設定した無線通信エリアのみ無線通信による接続を可能とすることを特徴とする請求項10又は11記載の駐車位置調整システム。
  13. 前記操作手段は、前記無線通信として暗号通信を用いることを特徴とする請求項10〜12の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  14. 前記操作手段は、前記車両のキーと一体で構成されることを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  15. 有線通信を用いて、車両の駐車位置を調整する際に、車室外において遠隔操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、を備え、
    前記有線通信に用いられる通信線は、その一端が前記車両の車体の前部、又は後部に接続され、その他端が前記操作手段に接続され、当該通信線の長さは10m以内であることを特徴とする駐車位置調整システム。
  16. 車両の駐車位置を調整する際に、車室外において操作する操作手段と、
    前記車両に搭載され、前記操作手段の操作に応じて前記車両の移動に関わる制御を実行して前記車両を移動させることで、前記車両の駐車位置を調整する車両運動制御手段と、を備え、
    前記操作手段は、前記車両の車体の前部、及び後部の少なくとも一方の部位に取り付けられることを特徴とする駐車位置調整システム。
  17. 前記車両運動制御手段は、
    前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    前記車両の操舵角を制御する操舵角制御手段と、を備え、
    前記操舵角制御手段は、前記車両の駐車位置の調整が開始される前に、前記車両が前方又は後方に直進して移動するように前記車両の操舵角を制御することを特徴とする請求項1〜16の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  18. 前記操作手段は、前記車両の移動を指示するための指示手段を備え、
    前記車両運動制御手段は、前記指示手段からの指示が継続している間は前記車両が移動するように、前記車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  19. 前記操作手段は、前記車両の移動を指示するための指示手段を備え、
    前記車両運動制御手段は、前記指示手段からの1回の指示に対して、前記車両が一定距離移動するように、前記車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  20. 前記操作手段は、前記車両の移動を指示するための指示手段を備え、
    前記車両運動制御手段は、
    前記指示手段からの指示が所定時間以上の時間継続した場合、前記車両が一定距離移動するように、前記車両の移動に関わる制御を実行するとともに、
    前記指示手段からの指示が所定時間に満たない時間継続した場合、その継続時間だけ前記車両が移動するように、前記車両の移動に関わる制御を実行することを特徴とする請求項1〜17の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  21. 前記車両運動制御手段は、
    前記操作手段を前回操作してからの経過時間をカウントするタイマ手段と、
    前記タイマ手段のカウントした経過時間が一定時間を超える場合に前記操作手段からの操作を停止する操作停止手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  22. 前記操作手段は、
    当該操作手段を操作する操作者を認証するための個人認証手段を備え、
    前記個人認証手段が認証した場合に、前記操作手段の操作開始を許可することを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  23. 前記操作手段が操作中である場合、その旨を前記車両の周囲に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1〜22の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  24. 前記車両運動制御手段による前記車両の駐車位置の調整が開始される前に、前記車両の移動に関わる制御に必要な各種車載機器の異常の有無を検出する車載機器検査手段を備え、
    前記操作手段は、前記車載機器検査手段によって前記各種車載機器の異常が検出されない場合に、当該操作手段の操作開始を許可することを特徴とする請求項1〜23の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
  25. 前記車両運動制御手段は、前記車両の駐車位置の調整中に前記車載機器検査手段によって前記各種車載機器の異常が検出された場合、前記車両の移動を停止する制御を行うことを特徴とする請求項24記載の駐車位置調整システム。
  26. 前記操作手段による操作を許可する操作許可手段を前記車両の車室内に設けることを特徴とする請求項1〜25の何れか1項に記載の駐車位置調整システム。
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