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JP2006346122A - 水蒸気発生体 - Google Patents

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JP2006346122A JP2005175625A JP2005175625A JP2006346122A JP 2006346122 A JP2006346122 A JP 2006346122A JP 2005175625 A JP2005175625 A JP 2005175625A JP 2005175625 A JP2005175625 A JP 2005175625A JP 2006346122 A JP2006346122 A JP 2006346122A
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Abstract

【課題】 水蒸気が安定に発生し、発生した水蒸気を均一に適用することができる水蒸気発生体を提供すること。
【解決手段】 水蒸気発生体1は、通気面、及びそれと反対側に位置し且つ該通気面よりも通気性が低いか又は難通気性である面とを有する収容体3内に発熱体2が収容されており、発熱体2の酸化反応によって生じる熱を利用して該通気面から水蒸気が発生するようになされている。該通気面に、見かけ密度が0.01〜0.3g/cm3で、厚みが0.1〜10.0mmである繊維集合体が配されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は水蒸気発生体に関する。また本発明は、水蒸気発生体を着用者の身体に固定するために用いられる保持具に関する。更に本発明は、水蒸気発生体の使用方法に関する。
本出願人は、先に、被酸化性金属の酸化反応で発生する熱を利用した水蒸気発生体を提案した(特許文献1参照)。この水蒸気発生体は、人体の皮膚や粘膜に水蒸気を付与して、血行を促進させ、また皮膚を好ましい保湿状態に維持するか若しくは改善するために用いられる。この水蒸気発生体は、水蒸気発生組成物が袋体に収容されてなるものである。水蒸気を外部に放出させるために、袋体は、透湿性素材から構成されている。
前記の水蒸気発生体の適用対象部位である体表は一般に凹凸形状となっているので、該発生体を体表に当接させて水蒸気を付与する場合、体表の凹凸形状に応じて該発生体が体表に密着する部分と、体表から離間する部分とが生じる。つまり、該発生体の体表への密着性が均一となりにくい。該発生体が体表に密着しすぎると、水蒸気が放出されづらく、また酸化反応が起こりにくく発熱温度を十分に高められないことがある。一方、該発生体が体表から離間しすぎると、水蒸気は放出されやすいものの、酸化反応が促進されやすい傾向にあり、それによって発熱温度が高めになりやすい。
特開2002−78728号公報
従って本発明の目的は、水蒸気を均一に人体へ適用し得るようにすることにある。
本発明は、通気面、及びそれと反対側に位置し且つ該通気面よりも通気性が低いか又は難通気性である面とを有する収容体内に発熱体が収容されており、該発熱体の酸化反応によって生じる熱を利用して該通気面から水蒸気が発生するようになされている水蒸気発生体であって、該通気面に、見かけ密度が0.01〜0.3g/cm3で、厚みが0.1〜10.0mmである繊維集合体が配されている水蒸気発生体を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、水蒸気発生体の収容保持が可能な収容部と、該収容部から延出した固定部とを備え、該固定部を着用者の身体に固定して用いられる水蒸気発生体保持具であって、該収容部における着用者の肌対向面に、0.01〜0.3g/cm3で、厚みが0.1〜10.0mmである繊維集合体が配されている水蒸気発生体保持具を提供するものである。
更に本発明は、通気面、及びそれと反対側に位置し且つ該通気面よりも通気性が低いか又は難通気性である面とを有する収容体内に発熱体が収容されており、該発熱体の酸化反応によって生じる熱を利用して該通気面から水蒸気が発生するようになされている水蒸気発生体を、該通気面が着用者の身体に対向するように該発生体の保持具に取り付け、次いで該保持具を着用者の身体に固定する水蒸気発生体の使用方法であって、該発生体と着用者の身体との間に、見かけ密度が0.01〜0.3g/cm3で、厚みが0.1〜10.0mmである繊維集合体を介在させる水蒸気発生体の使用方法を提供するものである。
本発明においては、水蒸気発生体の通気面から酸素が取り込まれることにより発熱体内部で起こる酸化反応によって生じる熱を利用して、同じ通気面から水蒸気が発生する。そして、本発明によれば、繊維集合体を用いて水蒸気の発生部である発熱体通気面と人体との間の空間を安定的に確保できることにより、発熱体の酸化反応に用いられる酸素が安定して供給される。その結果、発熱体の発熱温度が安定する。また、曲面である人体と、平面である発熱体の間隔が一定に近くなる。その結果、発熱体から人体に伝わる熱量や水蒸気量が均一かつ安定したものになる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1及び図2には、本発明の水蒸気発生体の一実施形態が示されている。図1及び図2に示す水蒸気発生体1は扁平な矩形状であり、発熱部2及び該発熱部2を収容する収容体3を備えている。収容体3は扁平な袋状のものであり、複数のシート材の周縁を貼り合わせて、内部が空洞の袋状となされている。収容体3は、その一方の側が通気面になっており、該通気面と反対側に位置する面が該通気面よりも通気性が低いか又は難通気性になっている(以下、この面を難通気面という)。発熱部には、被酸化性金属のほかに水が含まれており、発熱部が酸素と接触して発熱することを利用して、水蒸気を発生させている。水蒸気は、収容体における通気面から外部に放出される。
収容体3は、透湿性フィルム3aと難透湿性フィルム3bとの周縁が互いに接合されて扁平な袋状に形成されている。つまり収容体3の一方の側が透湿性フィルム3aを有しており、他方の側が難透湿性フィルム3bを有している。透湿性フィルム3aは、発熱部2から発生した水蒸気を通過させる。しかし難透湿性フィルム3bは水蒸気の通過性が低いか又は水蒸気をほとんど通過させない。つまり収容体3の一方の側、即ち透湿性フィルム3aの側から多量の水蒸気が外部へ放出される。水蒸気発生体1は、透湿性フィルム3aの側が、水蒸気を施したい対象物と対向するように用いられる。透湿性フィルム3a及び難透湿性フィルム3bの外側には、水蒸気発生体1の風合いを高める目的で、風合いの良好なシート材料であるエアスルー不織布等の不織布3c,3dが配されている。
収容体3における通気面は、その透湿度(JIS Z0208、40℃、90%RH、以下透湿度というときにはこの方法で測定された値をいう)が好ましくは300〜2000g/m2・24hr、更に好ましくは600〜1000g/m2・24hrである。透湿度をこの範囲とすることで、所望とする蒸気放出量及び所望とする温度の持続時間を容易に達成し得る。同様の観点から、収容体3における通気面の通気度(JIS P8117、以下通気度というときにはこの方法で測定された値をいう)は、8000〜20000s/100cm3であることが好ましく、9000〜13000s/100cm3であることが更に好ましい。
収容体3における通気面である透湿性フィルム3a側の表面には、繊維集合体からなる隔離部材4が配されている。隔離部材4は、水蒸気発生体1を着用者の身体に適用したとき、透湿性フィルム3aと体表とを適度に隔離して、水蒸気を体表に安定的に付与するために用いられるものである。隔離部材4は、接着剤による接着や、熱融着等の手段によって、収容体3の表面に接合されている。
隔離部材4によって、透湿性フィルム3aと体表との間の空間が、必要且つ十分に確保される。詳細には、隔離部材4によって着用者の体圧を面で支えることが可能となり、体圧に起因する水蒸気発生体1のたわみ、ひいては体表との接触が防止される。隔離部材4の厚みを過小にしないことで、透湿性フィルム3aと体表との間の空間が、着用者の体圧で潰されることが防止され、水蒸気の十分な放出が確保される。一方、隔離部材4の厚みを過大にしないことで、酸化反応の著しい促進が防止され、水蒸気の発生量や、発熱温度が適切な範囲になる。これらの観点から、隔離部材4はその厚みが0.1〜10.0mmとなっており、好ましくは、1.0〜5.0mmとなっている。隔離部材4の厚みは、ミツトヨ製定圧ノギス(モデル番号NTD20−20C)を用いて測定される。
透湿性フィルム3aを通じて放出された水蒸気は、隔離部材4を介して体表へ付与される。従って隔離部材4は、水蒸気の通過を実質的に妨げないものであることが必要である。この観点から、本実施形態においては、隔離部材4として繊維集合体を用いている。繊維集合体は一般に目開き(繊維間距離)が大きく、水蒸気の透過を実質的に妨げない。隔離部材4としてスポンジのような多孔性材料を用いることも考えられるが、一般にスポンジは水蒸気の通過抵抗が大きく、十分な量の水蒸気を体表に付与しづらい。またスポンジは、水蒸気を結露させやすい。
水蒸気の通過のしやすさの尺度としては透湿度を用いることが一般的である。しかし、本実施形態の隔離部材4として用いられる繊維集合体は、水蒸気の通過を実質的に妨げないものであるから、該繊維集合体の透湿度を測定しても、測定限界を超えてしまう。そこで本実施形態においては、繊維集合体の水蒸気の通過のしやすさの尺度として、透湿度に代えて、該繊維集合体の見かけ密度を採用している。見かけ密度が小さいほど、繊維集合体はその目開き(繊維間距離)が大きく、水蒸気の透過を実質的に妨げないようになる。繊維集合体の構造安定性の低下防止や、軽荷重での圧潰防止の観点からは、見かけ密度は過度に小さくならないことが望ましい。これらの観点から繊維集合体の見かけ密度は0.01〜0.3g/cm3であり、好ましくは0.03〜0.1g/cm3である。見かけ密度は、繊維集合体の坪量を厚みで除すことで算出される。
繊維集合体とは、繊維を原料とし、一定の形状を保ち得る構造体のことである。繊維集合体は一般に、前記の厚みを有するシート状物、つまり繊維シートであり得る。繊維シートとしては、原料の繊維が絡み合いによってシート状をなしている構造体であるウエブが挙げられる。また、不織布、編地、織布、これらの複合体などが挙げられる。特に繊維集合体として、立体編成された編地又は不織布を用いると、先に述べた見かけ密度を容易に前記範囲内に設定し得ることから好ましい。
立体編成された編地としては、経編(たてあみ)された編地を用いることが、先に述べた厚みを容易に前記範囲内に設定し得る点から好ましい。経編とはループを縦方向に連続して編み上げる編み方である。経編された編地の例としては、ダブルラッセル編地やトリコット編地などが挙げられる。特にダブルラッセル編地は、荷重下でもその厚みを安定的に維持しやすく、しかも風合いが良好なので好ましい素材である。
一方、不織布としては、嵩高で且つ荷重下でもその厚みを安定的に維持しやすい観点から、エアスルー不織布などを用いることが好ましいが、効果を発揮できるものであればそれに限定するものではない。
隔離部材4として用いられる繊維集合体の厚み及び見かけ密度は前述の通りであり、また該繊維集合体の坪量は、その厚み及び見かけ密度が前述の範囲であることを条件として30〜3000g/m2、特に50〜500g/m2であることが好ましい。
繊維集合体を構成する繊維の素材に特に制限はなく、天然繊維及び合成繊維の何れをも用いることができる。水蒸気の結露を起こりにくくする観点からは、疎水性の素材を用いることが好ましい。例えば、各種熱可塑性樹脂からなる繊維を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド6やポリアミド66等のポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。繊維の太さにも特に制限はなく、繊維集合体の種類に応じて適切な太さのものが用いられる。繊維の太さは一般に200〜2000dtexであることが好ましい。
繊維集合体は、着用者の体圧に抗してその厚みを維持し得るものであることが、着用者の体位が様々に変化しても、透湿性フィルム3aと体表との間の空間を安定的に保持し得る点から好ましい。この観点から、繊維集合体は、2kPa荷重下での厚みが、先に述べた定圧ノギスを用いた測定での厚みの50%以上、特に80%以上であることが好ましい。勿論、2kPa荷重下での厚みが、先に述べた定圧ノギスを用いた測定での厚みに対して100%であることが理想的であるが、80%程度の厚みを確保できれば、着用者の体圧に抗してその厚みを十分に維持することができる。厚みの測定についてはJIS L1906の厚さの測定法に準じる。
繊維集合体からなる隔離部材4は、水蒸気発生体1における通気面の全域を覆うように配されていてもよく、或いは該通気面の一部を覆うように配されていてもよい。隔離部材4が通気面の一部を覆う場合、該隔離部材4を、例えば通気面における中央部に配することができる。或いは、通気面における左右両側部に各一カ所ずつ配することができる。更に、通気面の周縁部に環状に配することもできる。勿論、これらの配し方を組み合わせることもできる。何れの場合においても、通気面の面積の20%以上、特に50%以上を覆うように隔離部材を配することが、透湿性フィルム3aと体表との間の空間を安定的に保持し得る点から好ましい。
次に、水蒸気発生体1における収容体3内に収容される発熱部2について説明する。発熱部2は、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む発熱シート又は発熱粉体からなる。発熱部2が発熱シートからなる場合には、発熱シートは被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物、電解質及び水を含む繊維シートから構成されていることが好ましい。つまり、発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤、繊維状物及び電解質を含む繊維シートが含水状態となっているものであることが好ましい。特に、発熱シートは、被酸化性金属、反応促進剤及び繊維状物を含有する成形シートに、電解質水溶液を含有させて構成されていることが好ましい。発熱シートとしては、湿式抄造により得られたものや、発熱粉体を紙等で挟持してなる積層体等が挙げられる。そのような発熱シートは、例えば本出願人の先の出願に係る特開2003−102761号公報に記載の湿式抄造法や、ダイコーターを用いたエクストルージョン法を用いて製造することができる。一方、発熱部2が発熱粉体からなる場合には、発熱粉体は被酸化性金属、反応促進剤、保水剤、電解質及び水を含んで構成されていることが好ましい。発熱シート及び発熱粉体のうち、温度分布を均一化する事が容易であり、また、被酸化性金属の担持能力が優れている点から、発熱シートを用いることが好ましい。
以上の通りの構成を有する水蒸気発生体1は、例えばこれを人体の体表に適用することで、適用部位の表面温度のみならず、人体の深部温度を高めることができる。その結果、全身の血流量が増加し、適用部位の温度が上昇するのみならず、指先などの末梢温度も上昇する。また末梢温度の保温効果もある。従って、水蒸気発生体1は、血行促進、筋肉の疲れを取る、筋肉の凝りや筋肉痛の緩和、冷え性の緩和、神経痛の緩和などの効能を有する。
本実施形態の水蒸気発生体1は、これを例えば図3(a)及び(b)に示すようなベルト状の保持具に保持させ、該保持具を人体に固定することによって、該水蒸気発生体1を人体に適用することができる。図3(a)及び(b)に示す保持具10は、水蒸気発生体11の収容保持が可能な矩形状の収容部12を中央に有し、その両側からそれぞれ延出した一対の固定部である第1腕部13a及び第2腕部13bを備えている。第1腕部13aと第2腕部13bとは対称形になっている。第1及び第2腕部13a,13bは、保持具10の長手方向に延びる水平線に対して、傾斜して延びている。
第1腕部13aの肌面側(図3(a)における紙面側)の先端部には、面ファスナのフック部材のような止着手段15が取り付けられている。一方、第2腕部13bの外面側(図3(a)における紙面と反対側)には、止着手段15の止着が可能な被着手段(図示せず)、例えば面ファスナのループ部材が取り付けられている。
第1及び第2腕部13a,13bは、それらの収容部12寄りに位置する基部14が、いわゆるツーウエイの伸縮布地から構成されていることが好ましい。伸縮方向は、腕部13a,13bの延びる方向とそれに直交する方向の双方(図3(a)中、矢印で示す方向)であることが好ましい。
図3(b)に示すように、水蒸気発生体1の収容部12は、3枚のシート材21,22,23を縫製して袋状に形成されている。外面側シート材21は保持具10の外面側に位置しており、矩形状をしている。第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23は、保持具10の肌面側に位置しており、それぞれ矩形状をしている。両肌面側シート材22,23の横幅は、外面側シート材21と同じになっている。両肌面側シート材22,23の縦の長さは、外面側シート材21の縦の長さよりも短くなっている。第1肌面側シート材22は、その上辺及び両側辺が、外面側シート材21の上辺及び両側辺と縫合されている。第2肌面側シート材23は、その下辺及び両側辺が、外面側シート材21の下辺及び両側辺と縫合されている。第1肌面側シート材22の下部と、第2肌面側シート材23の上部とは重ね合わせの状態になっており、且つ第1肌面側シート材22の下辺22a及び第2肌面側シート材23の上辺23aがそれぞれ自由縁部になっている。これによって収容部12には、その肌面側に、収容部2の幅方向に延びる水蒸気発生体1の挿入部24が形成される。水蒸気発生体1は、該挿入部24を通じて収容部12内に収容される。
外面側シート材21は、風合いの良好な布地から構成されていることが好ましい。また外面側シート材21は、十分な通気性を有することが好ましい。外面側シート材21は、例えばトリコット編みの編地から構成することができる。同様に、第1及び第2肌面側シート材22,23も、風合いの良好な布地から構成されていることが好ましい。また、第1及び第2肌面側シート材22,23は、十分な水蒸気透過性ないし通気性を有する素材から構成されていることが好ましい。
保持具10に収容保持された水蒸気発生体1は、図4(a)及び(b)に示すように、例えば人体の腰部や腹部に適用される。保持具10を人体に固定するには、保持具10を胴部に巻き付け、固定部である第1腕部13aに取り付けられた止着手段(図示せず)を、同じく固定部である第2腕部13bに取り付けられた被着手段(図示せず)へ止着する。この場合には、水蒸気発生体1は、保持具10における水蒸気の透過材料である第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23を介して体表へ接触する。先に述べた通り、第1腕部13a及び第2腕部13bは伸縮布地から構成されていることから、保持具10は、人体に密着して固定される。その結果、水蒸気発生体1には締め付け圧が加わり、該発生体1と体表との間の空間は減じられる状態にある。しかし、本実施形態においては、水蒸気発生体1の通気面に隔離部材4が配されていることから、該発生体1と体表との間の空間が安定的に確保され、水蒸気が安定して体表に付与される。
次に、本発明の別の実施形態について図5を参照しながら説明する。先に述べた実施形態においては、図1及び図2に示すように、繊維集合体からなる隔離部材4を、水蒸気発生体1における収容体3の通気面に配したが、本実施形態においては収容体3には隔離部材は配されていない。即ち、本実施形態における水蒸気発生体は、図1及び図2に示す水蒸気発生体において、隔離部材を備えていないものである。本実施形態においては、水蒸気発生体が隔離部材を備えていないことに代えて、該発生体の保持具が隔離部材を備えている。
詳細には、図5に示すように、ベルト状の保持具10における収容部12の肌対向面に、繊維集合体からなる隔離部材4が配されている。隔離部材4は、第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23の上にそれぞれ配されている。隔離部材4と、これらのシート材22,23とは、接着剤による接着や、熱融着、縫合等の手段によって固定されている。
本実施形態で用いられる隔離部材4は、先に述べた実施形態で用いられる隔離部材と同様のものである。従って該隔離部材4に関する詳細については、先に述べた実施形態に関する記載が適宜適用される。
隔離部材4は、収容部12に収容されている水蒸気発生体1における通気面の全域を覆うように、シート材22,23上に配されていてもよく、或いは該通気面の一部を覆うように、シート材22,23上に配されていてもよい。隔離部材4が通気面の一部を覆うように配されている場合、該隔離部材4を、例えば通気面における中央部に対応するシート材22,23上の位置に配することができる。或いは、通気面における左右両側部に対応するシート材22,23上の位置に各一カ所ずつ配することができる。更に、通気面の周縁部に対応するシート材22,23上の位置に環状に配することもできる。勿論、これらの配し方を組み合わせることもできる。何れの場合においても、通気面の面積の20%以上、特に50%以上を覆うように、シート材22,23上に隔離部材を配することが、透湿性フィルム3aと体表との間の空間を安定的に保持し得る点から好ましい。
本実施形態においては、以上の水蒸気発生体と保持具との組み合わせを用いることで、先に述べた実施形態と同様の効果が奏される。
次に、本発明の更に別の実施形態について説明する。これまで説明してきた実施形態では、繊維集合体からなる隔離部材が、水蒸気発生体又はその保持具に備えられていたが、本実施形態においては、隔離部材は、水蒸気発生体及びその保持具の何れにも備えられていない。これに代えて、本実施形態においては、水蒸気発生体及びその保持具とは別体の隔離部材を用いる。具体的には次の通りである。
本実施形態における水蒸気発生体は、図1及び図2に示す水蒸気発生体において、隔離部材を備えていないものである。そのような水蒸気発生体を、図3(a)及び(b)に示す保持具に取り付ける。水蒸気発生体はその通気面が、着用者の身体に対向するように該保持具に取り付けられる。次いで該保持具を着用者の身体に固定する。このとき、水蒸気発生体と着用者の身体との間に、水蒸気発生体及びその保持具とは別体の隔離部材を介在させる。具体的には、保持具における収容部の肌面側に位置する第1肌面側シート材及び第2肌面側シート材と着用者の身体との間に隔離部材を挟み込む。保持具は、着用者の身体に密着して固定されるから、隔離部材はこれを単に挟み込むだけでも十分に固定される。このような隔離部材の用い方によっても、先に述べた各実施形態と同様の効果が奏される。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図1及び図2に示す実施形態においては、不織布3c上に隔離部材4が配されていたが、透湿性フィルム3aの強度が確保される範囲において、不織布3cは用いずに、透湿性フィルム3a上に直接隔離部材4を配してもよい。
また図5(a)及び(b)に示す保持具においては、第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23における肌対向面上に隔離部材4が配されたが、これに代えて、これらのシート材22,23における水蒸気発生体対向面上に隔離部材4を配してもよい。
また図5(a)及び(b)に示す保持具においては、第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23に代えて、隔離部材4を用いて収容部12を構成してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
(1)保持具の作製
図5(a)及び(b)に示す構造の保持具を作製した。第1腕部13aにおいては、肌面の先端部に面ファスナのフック部材を用いた。基部14としては、ツーウエイに伸縮可能な編地を用いた。一方、第2腕部13bにおいては、外面の自由端部に面ファスナのループ部材を用いた。基部としては、第1腕部13aと同様のツーウエイに伸縮可能な編地を用いた。収容部2においては、外面側シート材21としてトリコット編みの編地を用いた。また、第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23としてメッシュ状の編地を用いた。これらの材料を組み合わせて縫製し、目的とする保持具を作製した。
更に、第1肌面側シート材22及び第2肌面側シート材23における着用者の肌対向面上に、ダブルラッセル編地からなる隔離部材4を縫合した。ダブルラッセル編地は、定圧ノギスを用いて測定した厚みが2.0mm、2kPa荷重下での厚みが1.9mm、見かけ密度が0.09g/cm3であった。編地の構成繊維は、太さ550dtexのポリエステル繊維と太さ1000dtexのナイロン繊維であった。隔離部材は、水蒸気発生体における通気面の全域を覆うように配した。
(2)水蒸気発生体の作製
鉄粉(同和鉄粉鉱業(株)製、商品名「RKH」)、活性炭(日本エンバイロケミカル(株)製、商品名「カルボラフィン」)及びパルプ繊維(NBKP、製造者:フレッチャー チャレンジ カナダ、商品名「Mackenzie」)を含む固形分濃度0.3重量%のスラリーを用い、傾斜型短網抄紙機によって、ライン速度15m/分にて抄紙して湿潤状態の成形シートを作製した。成形シートをフェルトで挟持して加圧脱水し、そのまま140℃の加熱ロール間に通し乾燥した。成形シートの組成を熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ社製、TG/DTA6200)を用いて測定した結果、鉄粉75重量%、活性炭10重量%、パルプ重量15%であった。シートの坪量は180g/m2であった。
得られた成形シートを80mm×100mmに切り取り、6枚を重ね合わせ、成形シート100重量部に対し60重量部の5%塩化ナトリウム水溶液を注入した。これによってシート状の発熱部を得た。
炭酸カルシウムを含有するポリエチレン製の透湿性フィルム(透湿度800〜1200g/m2・24hr、通気度10000±2000s/100cm3、厚み0.05mm)、線状低密度ポリエチレン製の難透湿性フィルム及びエアスルー不織布(厚み0.13mm)を用いて図1及び図2に示す袋状の収容体を作製した。この中に、前記のシート状の発熱部を封入して水蒸気発生体を得た。水蒸気放出面積は0.016m2であった。なお、この水蒸気発生体には隔離部材は配されていない。
(3)評価
得られた水蒸気発生体を保持具に収容保持し、該保持具を図4(a)に示すように被験者の腰部に装着した。水蒸気発生体の直下の皮膚温度を測定した。皮膚温度は、温度計(Gram Corporation社製LT8A、肌用サーミスタ)を用いて測定した。また水蒸気発生体そのものの発熱温度を、サーミスタを用いて測定した。皮膚温度及び水蒸気発生体の発熱温度を、装着開始時から測定し、38℃以上の温度が持続する時間を測定した。また最高到達温度を測定した。その結果、皮膚温度については、持続時間が5.0時間、最高到達温度が41.5℃、持続時間中の平均温度40.5℃、分散は0.73であった。水蒸気発生体の発熱温度については、持続時間が5.5時間、最高到達温度が50.0℃、持続時間中の平均温度44.9℃、分散は2.15であった。
〔実施例2〕
保持具に隔離部材を取り付けず、その代わりに水蒸気発熱体の収容部における透湿性フィルムの側の表面に隔離部材を取り付けた以外は、実施例1と同様にして水蒸気発生体及び保持具を得た。これらを用いて実施例1と同様の評価を行った結果、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
〔比較例1〕
保持具に隔離部材を取り付けない以外は、実施例1と同様にして水蒸気発生体及び保持具を得た。これらを用いて実施例1と同様の評価を行った。その結果、皮膚温度、水蒸気発生体温度ともに38℃に到達しなかった。
本発明の水蒸気発生体の一実施形態を示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 図1に示す水蒸気発生体を保持収容する保持具を示す平面図及び断面図である。 図3に示す保持具を着用者に固定した状態を示す図である。 本発明の水蒸気発生体保持具の一実施形態を示す平面図及び断面図である。
符号の説明
1 水蒸気発生体
2 発熱部
3 収容部
4 隔離部材

Claims (7)

  1. 通気面、及びそれと反対側に位置し且つ該通気面よりも通気性が低いか又は難通気性である面とを有する収容体内に発熱体が収容されており、該発熱体の酸化反応によって生じる熱を利用して該通気面から水蒸気が発生するようになされている水蒸気発生体であって、該通気面に、見かけ密度が0.01〜0.3g/cm3で、厚みが0.1〜10.0mmである繊維集合体が配されている水蒸気発生体。
  2. 前記繊維集合体が、立体編成された編地又は不織布からなる請求項1記載の水蒸気発生体。
  3. 立体編成された前記編地が、経編された編地からなる請求項2記載の水蒸気発生体。
  4. 水蒸気発生体の収容保持が可能な収容部と、該収容部から延出した固定部とを備え、該固定部を着用者の身体に固定して用いられる水蒸気発生体保持具であって、該収容部における着用者の肌対向面に、見かけ密度が0.01〜0.3g/cm3で、厚みが0.1〜10.0mmである繊維集合体が配されている水蒸気発生体保持具。
  5. 前記繊維集合体が、立体編成された編地又は不織布からなる請求項4記載の水蒸気発生体保持具。
  6. 立体編成された前記編地が、経編された編地からなる請求項5記載の水蒸気発生体保持具。
  7. 通気面、及びそれと反対側に位置し且つ該通気面よりも通気性が低いか又は難通気性である面とを有する収容体内に発熱体が収容されており、該発熱体の酸化反応によって生じる熱を利用して該通気面から水蒸気が発生するようになされている水蒸気発生体を、該通気面が着用者の身体に対向するように該発生体の保持具に取り付け、次いで該保持具を着用者の身体に固定する水蒸気発生体の使用方法であって、該発生体と着用者の身体との間に、見かけ密度が0.01〜0.3g/cm3で、厚みが0.1〜10.0mmである繊維集合体を介在させる水蒸気発生体の使用方法。
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