JP2006201273A - 偏光光照射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 光配向膜31が形成されたワーク30はワークステージ32上に載置され、ワークステージ32全体が試料室1内に収納されている。試料室1には窒素などの不活性ガスが導入されたり減圧される。試料室1の上部には、光透過窓3が設けられ、光照射部20からの光は光透過膜3を透過し、光透過窓3とワークステージとの間に設けたワイヤーグリッド偏光素子10により偏光され、ワークステージ32上の光配向膜31に照射される。偏光素子10と光配向膜31との間に光を透過または反射する光学素子が設けられていないので、偏光軸の回転は生じず、偏光軸のばらつきは生じない。
【選択図】 図1
Description
光配向膜は、液晶パネルの大型化と共に大型化しており、それと共に光配向膜に偏光光を照射する偏光光照射装置も大型化している。光配向膜において、例えば視野角補償フィルムは、帯状の長いワークであり、配向処理後所望の長さに切断し使用する。最近は、パネルの大きさに合わせて大きくなり、幅1500mmのものもある。
近年、このような帯状の長い光配向膜に対して光配向を行うために、光配向膜の幅に相当する長さの棒状ランプを光源とする光照射装置を用い、光配向膜を棒状ランプの長手方向に対して直交する方向に搬送しながら光照射を行なうことが提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
棒状ランプは、従来より比較的長いものが製造されており、光配向膜の幅方向に対応するような、例えば上記した1500mmといった長さのものを製造することができる。しかし、棒状ランプから放射される光は拡散光なので、拡散光を効率よく偏光する偏光素子を選択する必要があり、上記公報では、そのような偏光素子としてワイヤーグリッド偏光子と呼ばれる偏光素子が使用されている。
ワイヤーグリッド偏光素子の特徴として、偏光光の消光比の入射角度(偏光素子に入射する光の角度)依存性が小さいことが知られている。
図6に、棒状ランプとワイヤーグリッド偏光素子を組み合わせた偏光光照射装置の構成例を示す。
高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の棒状ランプ21と、ランプ21からの光を反射する断面が楕円形の樋状集光鏡22を備えた光照射部20を、ランプ21の長手方向が、ワーク30上に形成された光配向膜31の幅方向(搬送方向に対して直交方向)になるように配置する。光照射部20には、ワイヤーグリッド偏光素子10が設けられている。ワイヤーグリッド偏光素子10は、ランプ21の発光長よりやや長い一辺を持つ長方形状で、その長手方向がランプ21の長手方向に一致するように設けられている。
ワーク30は例えば長尺の連続ワークであり、送り出しローラR1にロール状に巻かれており、送り出しローラR1から引き出されて搬送され、光照射部20の下を通って巻き取りローラR2に巻き取られる。
ワーク30が光照射部20の下を搬送されるとき、ワーク30の光配向膜31に、ワイヤーグリッド偏光素子10により偏光された棒状ランプ21からの光が照射され、光配向処理される。
図6では、ワイヤーグリッド偏光素子10のグリッドは、棒状ランプ21の長手方向に対し平行に設けられており、したがって、光配向膜に照射される偏光光の偏光軸は、棒状ランプ21の長手方向に対し直交方向、即ち光配向膜の搬送方向に平行な方向になる。 棒状ランプ21の長さを、光配向膜の幅に対応させて設け、光配向膜を偏光光照射装置に対して相対的に一方向に移動させれば、原理的には1本のランプで、帯状の長い光配向膜の配向処理を行うことができる。またランプからの光を平行光にするような光学素子も不要になり装置の小型化が可能である。
例えば、光配向膜に偏光光を照射する時に処理雰囲気を作るために、仕切られた部屋を設ける場合や、工場に偏光光照射装置を設置するにおいて高さや専有床面積の制限により偏光光の光路を折り返さなければならない場合などである。
上記において、まず処理雰囲気を作るために仕切られた部屋を作る場合について説明する。
光配向は光配向膜の化学反応(光架橋、光分解、光二量化など)によるものであるため、配向膜の種類によっては、大気中での光照射により表面酸化といった酸素阻害の影響を受け、反応が進行しにくくなったり、完了しなくなったりするものもある。
このような酸素阻害の影響を受けやすい光配向膜を光配向する場合、光配向膜近傍の雰囲気から酸素を減らせば、酸素阻害の影響が少なくなり、光配向処理に必要な光照度やエネルギーの閾値が低くなるなど、反応が進行しやすい状態になる。
光配向膜近傍の雰囲気から酸素を減らす一般的な手段として、窒素などの不活性なガスをパージして置換したり、減圧するとことが考えられる。
例えば特許文献5には、光配向膜を試料室内に置き、ガスを導入して空気と置換し、偏光光を照射することが示されている。
特許文献5に記載の装置の場合、ガスをパージする試料室に光を透過する窓部材(石英板)を設け、この透過窓を介してコリメータにより平行光にされた偏光光が照射される。
例えば、偏光光照射装置が設置される工場において、高さ方向に制限がある場合、図7に示すように、偏光光照射装置100から出射する偏光光を、反射ミラー4により光路を折り返して光配向膜31に照射する場合がある。例えば、特許文献6のFig.5Bには、偏光光を折り返して照射する装置構成が示されている。
しかし、棒状ランプからの拡散光を偏光した光を、石英板を透過させたり、図7に示した装置のように、反射ミラーを介して照射したところ、光照射面において、偏光軸のばらつきが発生することがわかった。
偏光軸がばらついた偏光光により光配向処理を行うと、処理された光配向膜を使って作られた液晶表示素子のコントラストが場所により異なり、むらとして目に映るといった問題が生じる。このため、光照射面での偏光軸のばらつきが±0.1°以内であることが要求される場合もある。
図8(a)は、偏光方向(偏光軸の方向)が、図面手前奥方向の場合である。また、図8(b)は、偏光方向が、図面手左右方向の場合である。
いずれの場合も、平行平板への偏光光の入射角が大きくなると、偏光軸(偏光光の方向)が回転し、光照射領域での偏光軸のばらつきは大きくなる。
図8(c)は、偏光方向が、上記(a)と(b)の中間である45°の場合である。この場合は、入射角度が大きくなると偏光軸の回転角度が、上記(a)と(b)と比べても大きくなり、光照射領域での偏光軸のばらつきも大きくなる。
本実験では、平行平板を透過した偏光光の回転を測定したが、偏光光を反射ミラーによって反射した場合も、反射ミラーへの入射角が大きくなると、同様の偏光軸の回転が生じた。
図9(a)は、偏光方向(偏光軸の方向)が、図面手前奥方向の場合である。また、図5(b)は、偏光方向が、図面手左右方向の場合である。
図9(c)は、偏光方向が、上記(a)と(b)の中間である45°の場合である。 偏光軸がずれる(回転する)方向は、透過の場合と反対になるが、基本的には透過の場合と同様の傾向を示し、即ち入射角度が大きくなるほど偏光軸のずれ量(回転量)が大きくなった。
上記の実験より、偏光光が、透過または反射する光学素子に、入射角度の大きい状態で入射すると、その光学素子から出射される偏光光の偏光軸に、回転が生じることがわかった。棒状ランプのような拡散光を放射する光源の場合、その光を偏光した偏光光も拡散光となる。拡散光が光学素子に入射するとき、入射する光には入射角度が大きい成分が含まれるので、偏光軸が回転し、光照射領域においては、偏光軸のばらつきが発生する。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、拡散光である偏光光を光配向膜に照射する装置において、光が透過したり反射したりする光学素子を、その光路中に配置する場合であっても、偏光軸のばらつきを生じさせることなく、光照射領域の光配向膜に照射できるようにすることである。
例えば、前記したように不活性ガスをパージして酸素と置換したり減圧するために仕切り部材を設ける場合は、試料室の光透過窓が、光配向膜に最も近い光学素子となる。そこで、ワイヤーグリッド偏光素子は、この光透過窓と光配向膜の間に設ける。また、光透過窓自体を偏光素子としても良い。
また、例えば、光路を折り返すために反射ミラーを用いる場合は、反射ミラーが光配向膜に最も近い光学素子となる。そこで、ワイヤーグリッド偏光素子は、この反射ミラーと光配向膜との間に設ける。
(1)拡散光である偏光光と光配向膜との間に光学素子を設けないようにしたので、偏光軸のばらつきが生じない。したがって、偏光軸のばらつきが少ない偏光光を光配向膜に照射することができる。
(2)ワイヤーグリッド偏光子を使用することにより、拡散光を効率よく偏光することができるとともに、平面形状であるので、試料室の光透過窓や反射ミラーと光配向膜の間のスペースが広くなるのを防ぐことができる。
光照射部20には、前記図5と同様に、線状の光源である、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等の棒状のランプ21と、ランプ21からの光を反射する樋状の集光鏡22が内蔵されている。
以下、線状の光源として棒状ランプを例にして説明するが、近年は、紫外光を放射するLEDやLDも実用化されており、このようなLEDまたはLDを直線状に並べて配置し線状光源としても良い。その場合は、LEDまたはLDを並べる方向がランプの長手方向に相当する。
なお、現在光配向膜の材料としては、波長260nm±20nmの光で配向されるもの、280nm〜330nmの光で配向されるもの、365nmの光で配向されるものなどが知られており、光源の種類は必要とされる波長に応じて適宜選択する。
また、以下の説明では線状光源を用いる場合について説明するが、光源としては、超高圧水銀ランプやキセノン水銀ランプ等の点光源や、上記線状光源や点光源を平面上に複数並べた面状の光源に適用することもできる。
また、試料室1の上部には、石英ガラスによる光透過窓3が設けられ、光照射部20からの光が透過する。透過した光は、石英窓とワークステージとの間に設けた、ワイヤーグリッド偏光素子10により偏光され、ワークステージ32上の光配向膜31に照射される。
光配向膜31に照射される偏光光は拡散光であるが、偏光素子10と光配向膜31との間に光を透過または反射する光学素子がないので、前記図8、図9に示したような偏光軸の回転は生じず、したがって偏光軸のばらつきは生じない。
その他の構成は、図1に示したものと同様であり、試料室1には窒素などの不活性ガスを導入するガス導入口2aと、不活性ガスにより置換されたガス等を排気するガス排出口2bとが設けられている。
また、試料室1の上部には、ワイヤーグリッド偏光素子から構成される光透過窓3が設けられ、光照射部20からの光が偏光される。偏光素子から構成される光透過窓3により偏光された偏光光は、ワークステージ32上の光配向膜31に照射される。
この場合も、第1の実施例と同様に、偏光素子10と光配向膜31との間に光を透過または反射する光学素子がないので、偏光軸の回転は生じず、したがって偏光軸のばらつきは生じない。
なお、上記第1および第2の実施例では、不活性ガスを置換する構造を示しているが、試料室内を排気して減圧にする構造でもよい。
同図に示すように光配向膜31が長尺帯状のワーク30上に形成されている場合、帯状のワーク30全体を一つの試料室に入れてしまうことは装置が大型化して困難である。
しかし、同図に示すように、光が照射される部分を覆うカバー状の試料室1を設け、ガス導入口2aから不活性ガス(窒素ガス)を流すようにすれば光配向膜近傍の酸素を減らすことができる。
試料室1の上部には、図1と同様に、光照射部20からの光を透過する光透過窓3(石英窓)を設け、該光透過窓3と光配向膜31との間に、ワイヤーグリッド偏光子10を設ける。光透過窓3を透過した光が偏光素子10によって偏光され、光配向膜31に照射される。
酸素と置換される窒素などの不活性ガスは、偏光素子10と光配向膜31との間を流れるように、試料室内に導入される。
本実施例においても、偏光素子10と光配向膜31との間には、偏光光を透過したり反射したりする光学素子がないので、偏光軸の回転が生じず、したがって偏光軸のばらつきのない光が光配向膜に照射される。
光照射部20の構成は図1と基本的に同じであり、前記したように棒状ランプ21から拡散光が出射し反射ミラー4で光路が折り返され、偏光素子10で偏光され光配向膜31に照射される。ワーク30は例えば長尺の連続ワークであり、送り出しローラR1にロール状に巻かれており、送り出しローラR1から引き出されて搬送され、光照射部20の下を通って巻き取りローラR2に巻き取られる。
本実施例においては、反射ミラー4が光配向膜31に最も近い光学素子になる。したがって、同図に示すように、反射ミラー4と光配向膜31との間に偏光素子10を設けている。
偏光素子10は、反射ミラー4により反射された光を偏光することになる。光配向膜31に照射される偏光光は拡散光であるが、偏光素子10と光配向膜31との間に光を透過または反射する光学素子がないので、前記したように、偏光軸の回転は生じず、したがって偏光軸のばらつきは生じない。
なお、光透過部材に遮光部を形成したマスクやレチクルを介して、光配向膜の所望の部分のみに偏光光を照射するような場合においては、該マスクやレチクルが光配向膜に最も近い光学素子となる。したがって、ワイヤーグリッド偏光素子は、マスクやレチクルと光配向膜との間に設ける。
2a ガス導入口
2b ガス排気口
3 光透過窓
4 反射ミラー
10 ワイヤーグリッド偏光素子
20 光照射部
21 ランプ
22 集光鏡
30 ワーク
31 光配向膜
32 ワークステージ
Claims (2)
- 光を偏光し光配向膜に照射する偏光光照射装置において、
光を放射する光源と光配向膜との間に、上記光源からの光を透過または反射する、単数もしくは複数の光学素子を有し、
上記光学素子のうち、光配向膜に最も近い光学素子と光配向膜との間に、光源からの光を偏光するワイヤーグリッド偏光素子を設けた
ことを特徴とする偏光光照射装置。 - 上記光配向膜に最も近い光学素子は、
偏光光が照射される光配向膜の近傍の雰囲気を、周囲の雰囲気と仕切る光透過部材であることを特徴とする請求項1の偏光光照射装置。
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