実施の形態1.
以下、本発明の一実施形態に基づき、本発明を詳しく説明する。図1は本実施形態における加熱調理器1の斜視図である。
本実施形態における加熱調理器1は、図1に示すように、箱状に形成された調理器本体2上面に耐熱ガラスの如き非磁性材からなる平板状のトッププレート3を備えている。この調理器本体2内には、渦巻状に巻かれたヒータ及び電磁誘導加熱コイルからなる加熱体(図示せず)等が配設されている。
そして、加熱体に商用交流電源が通電されることによりヒータは発熱して、トッププレート3上に載置された鍋やフライパンなどの調理容器(図示せず)を加熱し、また電磁誘導加熱コイルは、トッププレート3上に載置された調理容器を電磁誘導加熱する。これによって、調理容器内に入れられた被加熱物が加熱され、調理が行われる。尚、加熱調理器1には100V〜200Vの商用交流電源が通電される。
トッププレート3の上面には、印刷によって調理容器の載置位置を表示するサークルライン4が複数設けられている。トッププレート3の使用者側(前側)上面には、左右方向に延在して操作パネル6が設けられている。この操作パネル6には、図示しないがヒータ及び電磁誘導加熱コイルなどの加熱量、タイマー操作などを行う操作ボタン、或いは、加熱量やタイマー時間などの表示を行う表示装置などが設けられている。また、トッププレート3の後側には、これもまた左右方向に延在して調理器本体2内の空気を外部に排出する排気口11が設けられている。
調理器本体2の前面右側には、電源スイッチ、ヒータ及び電磁誘導加熱コイルなどの加熱量、タイマー操作などを行う操作ボタン16を複数備えた操作部14が設けられている。前記操作パネル6に設けられた操作ボタンは、操作部14に設けられた操作ボタン16と連動して操作可能に構成されている。尚、操作パネル6は後述する制御装置40(図6に図示)に接続されている。
図2は図1に示した加熱調理器1の内部構成図である。調理器本体2内には、前面の開口(使用者側)から魚や肉などの被加熱物50が、出し入れ自在に挿入される加熱室20を備えたグリラー22が設けられている。図3はグリラー22を構成する焼き網や油受け皿等の斜視図である。加熱室20は、前記操作部14の左側に位置して設けられており、この加熱室20の開口は、油受け皿24(図3に図示)に設けられた扉23にて閉塞されている。尚、23Aは油受け皿24を加熱室20内に出し入れするための取っ手で、扉23に設けられている。
また、図2に示すように加熱室20後方には、加熱室20内で加熱調理する際、被加熱物50から発生した煙や蒸気或いは臭いなどを外部に排出するための煙排気口31が設けられている。煙排気口31の下流側には、脱煙や消臭機能を有する脱煙触媒32と、この脱煙触媒32を加熱するための触媒加熱ヒータ33、及び、加熱室20内の空気を外部に排出するための脱煙ファン34などを備えた脱煙装置30が設置されている。
脱煙装置30の下流側には排気風路35が配設されており、この排気風路35には前記排気口11が接続されている。即ち、加熱室20は、煙排気口31、脱煙装置30、排気風路35、排気口11を介して調理器本体2の外部に連通している。そして、加熱室20内にて発生した煙は脱煙装置30に設けられた脱煙触媒32にて脱煙や消臭が行われた後、排気口11から調理器本体2の外部に排出される。
前記グリラー22に設けた油受け皿24は、加熱調理時に被加熱物50から出た油成分等を収容するためのもので、この油受け皿24上には図3に示すように所定の間隔を存して、魚や肉などの被加熱物50が載置される金網25が配設されている。金網25にはステンレス板、或いは、鉄板などが所定の形状に形成された仕切部材26が着脱自在に立設される。また、油受け皿24と金網25とは所定の隙間(図示せず)を有している。そして、金網25がセットされた油受け皿24が加熱室20に挿入されると、第1下ヒータ27B及び第2下ヒータ28B(図5に図示)が、油受け皿24と金網25との隙間に入り込む。
仕切部材26は図4に示すように扉23に対して、直交して設けられると共に、油受け皿24の前端から略後端まで延在している。この仕切部材26は、金網25がセットされた状態で加熱室20内に挿入可能に形成されると共に、油受け皿24が加熱室20内に挿入された状態で、第1の加熱室20A(本発明の第1の領域に相当)と、第2の加熱室20B(本発明の第2の領域に相当)とに仕切る。即ち、加熱室20内は、扉23側から見て仕切部材26にて左右に仕切られる。この仕切部材26は、第1の加熱室20A、及び、第2の加熱室20Bに入れられる被加熱物50の大きさに合わせて扉23側から見て左右方向に位置を変えられるようになっている。
また、加熱室20内の上下には、図5に示すように通電されることにより加熱する加熱体として、第1のヒータ27と第2のヒータ28とが配設されている。第1のヒータ27は第1の加熱室20Aに対応して配設され、第2のヒータ28は第2の加熱室20Bに対応して配設されている。該第1のヒータ27と第2のヒータ28は、独立して発熱を制御可能な複数系のヒータにて構成されている。
即ち、第1のヒータ27は、第1の加熱室20Aの上側に配設された第1上ヒータ27Aと、第1の加熱室20Aの下側に配設された第1下ヒータ27Bとから構成されている。また、第2のヒータ28は、第2の加熱室20Bの上側に配設された第2上ヒータ28Aと、第2の加熱室20Bの下側に配設された第2下ヒータ28Bとから構成されている。
該第1上ヒータ27Aと第2上ヒータ28Aは加熱室20内に収納された被加熱物50を上方から、第1下ヒータ27Bと第2下ヒータ28Bは加熱室20内に収納された被加熱物50を下方から加熱できるようになっている。これらの第1上ヒータ27Aの発熱と第1下ヒータ27Bの発熱、及び、第2上ヒータ28Aの発熱と第2下ヒータ28Bの発熱はそれぞれ別々に制御できるようになっている。
一方、加熱調理器1は汎用マイクロコンピュータからなる制御装置40を備えている。制御装置40は、図6に示すように第1上制御回路42A、第1下制御回路42B、第2上制御回路44A、第2下制御回路44Bが接続されており、それらは商用交流電源ACに接続されている。そして制御装置40は、第1上制御回路42Aを介して第1上ヒータ27Aの通電を、第1下制御回路42Bを介して第1下ヒータ27Bの通電を、第2上制御回路44Aを介して第2上ヒータ28Aの通電を、第2下制御回路44Bを介して第2下ヒータ28Bの通電をそれぞれ独立して制御可能に構成されている。
また、制御装置40は、第1のヒータ27(第1上ヒータ27Aと第1下ヒータ27B)と、第2のヒータ28(第2上ヒータ28Aと第2下ヒータ28B)のうちの何れかのヒータを選択して発熱させることにより消費電力量を抑える制御モード(第1省電モード)と、両ヒータを交互に発熱させることにより消費電力量を抑える制御モード(第2省電モード)と、第1のヒータ27と、第2のヒータ28のどちらか一方を発熱させることにより消費電力量を抑える制御モード(少量負荷省電モード)とを有している。また、制御装置40は、加熱室20内の加熱を行う第1のヒータ27と第2のヒータ28とを優先的に加熱させる優先使用モード(通常負荷モード)も有している。該通常負荷モードは、トッププレート3下に設けられたヒータ及び電磁誘導加熱コイルが使用されていないとき、或いは、ヒータ或いは電磁誘導加熱コイルの何れかが使用されていても、調理器全体の総消費電力に余裕のあるとき実行可能とされている。
即ち、制御装置40は、第1省電モードで被加熱物50の両面焼きを行うために第1のヒータ27と第2のヒータ28のうちの何れかのヒータをONする時間の割合、第2省電モードで第1のヒータ27と第2のヒータ28を交互にONする時間の割合、或いは、少量負荷省電モードで第1のヒータ27或いは第2のヒータ28のどちらか一方をONする時間の割合を決定して加熱制御を行う。また、制御装置40は第1のヒータ27と第2のヒータ28の両方で片面焼きを行うときは、第1上ヒータ27Aと第2上ヒータ28Aとを交互にON/OFFして、片面焼きを実行する。
第1省電モードは、図7に示すように、例えば最初に第1の加熱室20Aの第1上ヒータ27Aと、第2の加熱室20Bの第2下ヒータ28Bを約30秒間ONする(1)。このとき第1の加熱室20Aの第1下ヒータ27Bと第2の加熱室20Bの第2上ヒータ28AをOFFする(1)。次に、第1の加熱室20Aの第1下ヒータ27Bと第2の加熱室20Bの第2上ヒータ28Aを約30秒間ONする。このとき第1の加熱室20Aの第1上ヒータ27Aと2の加熱室20Bの第2下ヒータ28BをOFFする(2)。このように第1省電モードでは(1)と(2)を交互にON/OFFを繰返すことにより、グリラー22の消費電力量を半分に抑えられるようにしている。このように、各ヒータの単位時間あたりの通電時間を、最大出力で単位時間の半分とすることで、実質的に消費電力量を半分に抑えることができる。尚、(1)と(2)を30秒間隔でON/OFFしたが、ON/OFF時間は好適に加熱調理が行える時間であれば、この時間に限られるものでなく、30秒以下の間隔或いは30秒以上の間隔であっても差し支えない。なおこの例では第1ヒータ27、第2ヒータ28の両者に通電させたが、通電をできるヒータを選択して第1上ヒータ27A、第1下ヒータ27B、第2ヒータ28A、第2ヒータ28Bを単独であるいは組み合わせて駆動できるように構成しても良い。
また、第2省電モードは、図8に示すように、例えば最初に第1の加熱室20Aの第1上ヒータ27Aと第1下ヒータ27Bとを約30秒間ON(この場合、第1のヒータ27をON)する(11)。このとき第2の加熱室20Bの第2上ヒータ28Aと第2下ヒータ28BはOFF(この場合、第2のヒータ28をOFF)する。次に、第2のヒータ28を約30秒間ONする(12)。このとき第1のヒータ27をOFFする。このように第2省電モードの(11)と(12)を交互に繰返すことにより、第1省電モード同様加熱室20の消費電力量を半分に抑えられるようにしている。このように、各ヒータの単位時間あたりの通電時間を、最大出力で単位時間の半分とすることで、やはり実質的に消費電力量を半分に抑えることができる。尚、(11)と(12)を30秒間隔でON/OFFしたが、ON/OFF時間は好適に加熱調理が行える時間であれば、この時間に限られるものでなく、30秒以下の間隔或いは30秒以上の間隔であっても差し支えない。
具体的には、加熱室20全体の加熱量を従来例の如き最大で2.0kWとした場合、第1のヒータ27は第1上ヒータ27Aの0.6kWと第1下ヒータ27Bの0.4kWで合計1.0kW、第2のヒータ28は第2上ヒータ28Aの0.6kWと第2下ヒータ28Bの0.4kWで合計1.0kWになる。これにより、第1省電モード及び第2省電モードの運転時に、グリラー22全体の加熱出力が2.0kWであっても略半分の1.0kWの出力にすることができる。尚、第1の加熱室20A(1.0kW)だけの消費電力量、或いは、第2の加熱室20B(1.0kW)だけの消費電力量は、加熱室20全体を加熱するときの半分であり、どちらか一方だけを連続して加熱する場合の消費電力量を少量負荷省電モードとしている。
次に、制御装置40の動作を説明する。まず、グリラー22で加熱調理する魚や肉などの被加熱物50が金網25を占有する面積が少ない場合の制御装置40の動作を説明する。図3矢印で示すように、使用者は油受け皿24に金網25をセットする。次に、被加熱物50の魚や肉などを金網25の一側に載置(この場合、扉23側から見て左)し、仕切部材26を被加熱物50に略接触する位置、或いは、被加熱物50に対して少し隙間を空けた位置に設置する。これによって、金網25上は仕切部材26にて略半分に仕切られる。
次に、取っ手23Aを持って被加熱物50が載置された油受け皿24を加熱室20内に挿入し、加熱室20の開口を扉23で閉じる。これによって、加熱室20内は仕切部材26で仕切られる。この場合、被加熱物50は金網25の一側(扉23側から見て左)に載置されているので、第2の加熱室20B内に被加熱物50が収納されたことになる。次に、使用者は操作パネル6を操作して第2の加熱室20Bだけで加熱調理を行う少量負荷省電モードをスタートさせる。尚、金網25の他側(扉23側から見て右)に被加熱物50が載置された場合は、第1の加熱室20Aだけの加熱調理を行う少量負荷省電モードをスタートさせる。
少量負荷省電モードで被加熱物50の加熱調理がスタートすると、制御装置40は操作パネル6からの信号により被加熱物50が少量であることを検知して、被加熱物50が扉23側から見て左側に載置された場合には、第1のヒータ27をONせずに第2のヒータ28だけをONし、商用交流電源を第2のヒータ28だけに通電する。第2のヒータ28だけがONすると、制御装置40は加熱室20内の温度上昇値より適正な加熱の時間を算出して、第2のヒータ28にて被加熱物50の加熱制御を行う。
即ち、制御装置40は、第2の加熱室20Bの第2上ヒータ28Aと第2下ヒータ28Bを制御して、第2の加熱室20B内に収納された被加熱物50の加熱調理を行う。そして、被加熱物50の加熱調理時に発生した煙は、図4矢印のように加熱室20の後方に設けられた煙排気口31から出て、脱煙装置30で脱煙処理が行われた後、排気風路35を通り排気口11から外部に排気される。
次に、グリラー22で加熱調理する魚や肉などの被加熱物50の量が多く、金網25全体を占有する面積が広い場合の制御装置40の動作を説明する。尚、被加熱物50の量が多い場合は、仕切部材26は使用しない。魚や肉などの被加熱物50の量が多い場合、使用者は油受け皿24に金網25を置き、金網25の全面に均一になるように被加熱物50を載置する。
次に、取っ手23Aを持って被加熱物50が載置された油受け皿24を加熱室20内に挿入し、加熱室20の開口を扉23で閉じる。使用者は、操作パネル6を操作して、第1上ヒータ27A、第1下ヒータ27B、第2上ヒータ28A、第2下ヒータ28Bのうちの何れかのヒータを選択して発熱させる第1省電モードか、第1の加熱室20Aと第2の加熱室20Bとを交互に加熱させる第2省電モードをスタートさせる。この場合、トッププレート3での加熱調理が所定電力量以下で動作しているのであれば、通常負荷モードを実行しても差し支えない。
第1省電モードまたは第2省電モードで被加熱物50の加熱調理がスタートすると、例えば第1省電モードを例に挙げて説明すると、制御装置40は操作パネル6からの信号により被加熱物50が多量であることを検知し、本実施形態では第1上ヒータ27Aと第2下ヒータ28Bを1セット、第1下ヒータ27Bと第2上ヒータ28Aを1セットにしてそれぞれ通電を制御する。制御装置40は第1省電モードで第1上ヒータ27Aと第2下ヒータ28Bのセットと第1下ヒータ27Bと第2上ヒータ28Aのセットを所定時間交互にON/OFFして、加熱室20内の温度上昇値から適正な加熱の時間を算出した後、第1上ヒータ27Aと第2下ヒータ28Bのセットと第1下ヒータ27Bと第2上ヒータ28Aのセットを交互にON/OFFして被加熱物50の加熱制御を行う。
このように、制御装置40は、第1の加熱室20Aの第1上ヒータ27Aと第2下ヒータ28Bのセットと第1下ヒータ27Bと第2上ヒータ28Aのセットを交互にON/OFFする第1省電モードを実行して、加熱室20内に多量に収納された被加熱物50の加熱調理を行う。そして、被加熱物50の加熱調理時に発生した煙は、前述同様脱煙装置30にて排気口11から外部に排気される。
また、第2省電モードを例に挙げて説明すると、制御装置40は操作パネル6からの信号により被加熱物50が多量であることを検知し、第1のヒータ27と第2のヒータ28に商用交流電源を通電する。制御装置40は第2省電モードで第1のヒータ27と第2のヒータ28を所定時間交互にON/OFFして、加熱室20内の温度上昇値から適正な加熱の時間を算出した後、第1のヒータ27と第2のヒータ28を交互にON/OFFして被加熱物50の加熱制御を行う。
即ち、制御装置40は、第1の加熱室20Aの第1上ヒータ27Aと第1下ヒータ27B、及び、第2の加熱室20Bの第2上ヒータ28Aと第2下ヒータ28Bとを交互にON/OFFする第2省電モードを実行して、加熱室20内に多量に収納された被加熱物50の加熱調理を行う。そして、被加熱物50の加熱調理時に発生した煙は、前述同様脱煙装置30にて排気口11から外部に排気される。
このように、加熱室20内を仕切る仕切部材26を設けて、この仕切部材26にて加熱室20内を左右に仕切って第1の加熱室20Aと第2の加熱室20Bとを形成すると共に、加熱室20内の上下において第1の加熱室20Aに対応して第1のヒータ27、第2の加熱室20Bに対応して第2のヒータ28をそれぞれ設けている。また、第1及び第2のヒータ27、28の発熱をそれぞれ独立して制御する制御装置40を備えている。この制御装置40は、第1のヒータ27と第2のヒータ28のうちの何れかのヒータのみを選択して発熱させる第1省電モードと、両ヒータを交互に発熱させる第2省電モード、及び第1のヒータ27と、第2のヒータ28のどちらか一方を発熱させることにより消費電力量を抑える少量負荷省電モードとを有しているので、制御装置40は加熱室20内で加熱調理する被加熱物50が少ない場合は、少量負荷省電モードをスタートさせて被加熱物50が入れられた第1の加熱室20A或いは第2の加熱室20Bに対応して設けた第1のヒータ27或いは第2のヒータ28をONして被加熱物50の加熱調理を行うことができる。これにより、加熱調理器1の消費電力を極めて効果的にに抑えることができる。
また、加熱室20内の被加熱物50が多い場合、第1省電モードや第2省電モードをスタートさせると、制御装置40は被加熱物50が入れられた第1の加熱室20Aと第2の加熱室20Bに対応して設けられた第1のヒータ27と第2のヒータ28を交互にON/OFFして被加熱物50の加熱調理を行う。この場合、いずれかのヒータがOFFしている状態では、ONしていた時のヒータの予熱で被加熱物50を加熱することができるので、加熱調理器1自体の消費電力を抑えることができる。これにより、加熱調理器1の加熱室20に設けた第1のヒータ27及び第2のヒータ28を効果的に利用することができる。従って、グリラー22で加熱調理を行っていても、トッププレート上で被加熱物の加熱を行うヒータや電磁誘導加熱コイル側で利用できる消費電力量が低く制御されることなく、充分な消費電力量を確保することができる。
特に、従来では例えば、グリラー22の加熱量が最大で2.0kWの時、トッププレート3上加熱調理を行う電磁誘導加熱コイルにて利用できる消費電力量が、3.8kWと低く抑えられてしまったが、本実施形態ではグリラー22の消費電力量を半分の1.0kWに抑えることができるので、電磁誘導加熱コイル側で利用できる充分な消費電力量となる4.8kWを確保することができる。
また、加熱調理器1は、加熱室20内で加熱調理する被加熱物50の量が多い場合、或いは、少ない場合などでも消費電力を抑えるように構成しているので、グリラー22を使用中でも、トッププレート3上にて加熱調理を行うヒータや誘導加熱コイル側で、調理を行うことができ、加熱調理器1の利便性を大幅に向上させることができる。
なお、本実施形態において、グリラー22に脱煙機能を有する場合、少量負荷省電モードでは、仕切部材26で仕切ったときに、煙排気口31が存在する側のヒータ、本実施形態では第2のヒータ28側が動作するように構成すると、脱煙機能を十分に使用しながら消費電力を抑えることが出来、加熱調理器としての機能がより向上される。
実施の形態2.
本実施形態における加熱調理器1は、前述の実施形態と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。図9は、本発明の他の一実施形態の加熱調理器1の斜視図を示している。実施の形態2の加熱調理器1は、実施の形態1の加熱室20内における仕切部材26の位置を変えている。
詳しくは、図9に示すように仕切部材26は扉23に対して、平行に設けられると共に、金網25の左右両端に渡って延在している。この仕切部材26は、金網25がセットされた油受け皿24が加熱室20内に挿入された状態で、第1の加熱室20A(本発明の第1の領域に相当)と、第2の加熱室20B(本発明の第2の領域に相当)に仕切る。即ち、仕切部材26は、扉23側から見て加熱室20内を前後に仕切っている。
そして、仕切部材26で仕切った加熱室20の一方に第1の加熱室20A、他方に第2の加熱室20Bが形成される。この場合、加熱室20を仕切部材26にて仕切ることにより、扉23側に第1の加熱室20A、扉23の離間側に第2の加熱室20Bを形成している。この仕切部材26は、第1の加熱室20A及び第2の加熱室20Bに入れられる被加熱物50の大きさに合わせて前後方向に位置を変えられるようになっている。尚、扉23の離間側を第1の加熱室20A、扉23側を第2の加熱室20Bを形成しても差し支えない。
また、加熱室20内の上下には、図11、図12に示すように前述同様商用交流電源が通電されることにより加熱する加熱体として、第1のヒータ27と第2のヒータ28とが配設されている。第1のヒータ27は、第1の加熱室20Aに対応して配設され、第2のヒータ28は、第2の加熱室20Bに対応して配設されている。該第1のヒータ27と第2のヒータ28は、前述同様独立して発熱を制御可能な複数系のヒータにて構成されている。
即ち、第1のヒータ27は、第1の加熱室20Aの上側に配設される第1上ヒータ27Aと、第1の加熱室20Aの下側に配設される第1下ヒータ27Bとから構成されている。また、第2のヒータ28は、第2の加熱室20Bの上側に配設される第2上ヒータ28Aと、第2の加熱室20Bの下側に配設される第2下ヒータ28Bとから構成されている。
該第1上ヒータ27Aと第2上ヒータ28Aは、加熱室20内に収納された被加熱物50を上方から、第1下ヒータ27Bと第2下ヒータ28Bは、加熱室20内に収納された被加熱物50を下方から加熱できるようになっている。これらの第1上ヒータ27Aと第1下ヒータ27B、及び、第2上ヒータ28Aと第2下ヒータ28Bは、それぞれ別々に加熱制御できるようになっている。このように、加熱室20内を仕切部材26で扉23側と扉23の離間側とに仕切った場合でも、前述の実施の形態1同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
本実施形態における加熱調理器1は、前述の各実施形態と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施の形態と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。図13は、本発明の他の一実施形態の加熱調理器1の斜視図を示している。実施の形態3の加熱調理器1は、実施の形態1、2の加熱室20内における仕切部材26の位置を更に変えている。
詳しくは、図13に示すように仕切部材26は扉23に対して、中央を囲むように屈曲して設けられている。この仕切部材26は、金網25がセットされた油受け皿24が加熱室20内に挿入された状態で、金網25の略中央部に第1の加熱室20A(本発明の第1の領域に相当)と、第2の加熱室20B(本発明の第2の領域に相当)に仕切る。
また、第1の加熱室20Aは、図14に示すように一端が煙排気口31に接した状態で扉23側に所定寸法延在し、扉23と所定寸法離間した箇所で右側に折曲している。折曲した第1の加熱室20Aの端部は、第1の加熱室20Aの右端より所定寸法離間した位置まで延在している。即ち、第1の加熱室20Aは、L字状に屈曲して形成され、その周囲に第2の加熱室20Bを形成している。
また、加熱室20内の上下には、図15に示すように前述同様商用交流電源が通電されることにより加熱する加熱体として、第1のヒータ27と第2のヒータ28とが配設されている。第1のヒータ27は、第1の加熱室20Aに対応して配設され、第2のヒータ28は、第2の加熱室20Bに対応して配設されている。該第1のヒータ27と第2のヒータ28は、前述同様独立して発熱を制御可能な複数系のヒータにて構成されている。
即ち、第1のヒータ27は、L字状に形成された第1の加熱室20Aの形状に合うように配設された第1上ヒータ27Aと、第1の加熱室20Aの下側に配設され、第1上ヒータ27A同様に形成された第1下ヒータ27Bとから構成されている。また、第2のヒータ28は、第2の加熱室20Bの上側に配設され、当該第2の加熱室20Bの形状に合うように配設された第2上ヒータ28Aと、第2の加熱室20Bの下側に配設され、第2上ヒータ28A同様に形成された第2下ヒータ28Bとから構成されている。
該第1上ヒータ27Aと第2上ヒータ28Aは、加熱室20内に収納された被加熱物50を上方から、第1下ヒータ27Bと第2下ヒータ28Bは、加熱室20内に収納された被加熱物50を下方から加熱できるようになっている。これらの第1上ヒータ27Aと第1下ヒータ27B、及び、第2上ヒータ28Aと第2下ヒータ28Bはそれぞれ別々に加熱制御できるようになっている。このように、加熱室20内の中央を囲むようにL字状の第1の加熱室20Aと、その周囲に第2の加熱室20Bを形成した場合でも、前述の実施の形態1、2同様の効果を得ることができる。
尚、実施形態では加熱室20内にて発生した煙を外部に排出するための脱煙装置30を備えた加熱調理器1にて説明したが、脱煙装置30を有していない加熱調理器(図示せず)、特に、誘導加熱コイルを有していない加熱調理器に本考案を適用しても、本発明は有効である。
また、各実施の形態では、第1のヒータ27を第1上ヒータ27Aと第1下ヒータ27B、第2のヒータ28を第2上ヒータ28Aと第2下ヒータ28Bとに分割した場合の例を説明したが、第1、第2のヒータ27、28を更に細かく分割して制御装置40にて加熱を制御できるようにしても前述の実施の形態同様な効果を得ることができるのは言うまでもない。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で加熱調理器1の形状や寸法などを変更しても本発明は有効である。
1 加熱調理器、2 調理器本体、3 トッププレート、4 サークルライン、6 操作パネル、11 排気口、14 操作部、16 操作ボタン、20 加熱室、20A 第1の加熱室、20B 第2の加熱室、22 グリラー、23 扉、23A 取手、24 油受け皿、25 金網、26 仕切部材、27 第1のヒータ、27A 第1上ヒータ、27B 第1下ヒータ、28 第2のヒータ、28A 第2上ヒータ、28B 第2下ヒータ、30 脱煙装置、31 煙排気口、32 脱煙触媒、33 触媒加熱ヒータ、34 脱煙ファン、35 排気風路、40 制御装置、42A 第1上制御回路、42B 第1下制御回路、44A 第2上制御回路、44B 第2下制御回路、50 被加熱物。