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JP2006263261A - 複室容器及び内容物排出方法 - Google Patents

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JP2006263261A JP2005087645A JP2005087645A JP2006263261A JP 2006263261 A JP2006263261 A JP 2006263261A JP 2005087645 A JP2005087645 A JP 2005087645A JP 2005087645 A JP2005087645 A JP 2005087645A JP 2006263261 A JP2006263261 A JP 2006263261A
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Abstract

【課題】 内容物を容器内にほとんど残存させることなく容器外へ排出させることが可能な複室容器、乃至、内容物排出方法を提供する。
【解決手段】 複数の室との連通を遮断して隔離する弱シール部41〜43と、少なくとも一つが液体である一つまたは二つ以上の内容物を収納した内容物収納室21〜23と、前記内容物が混合されて、又は混合されることなく排出予定部より容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアーを収納した補助エアー収納室3と、を具備した柔軟性容器からなり、前記弱シール部が容器を破壊することのない小さな物理力で破壊可能なものであることを特徴とする複室容器1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内容物を容器内にほとんど残存させることなく容器外へ排出させ得る複室容器、及び当該複室容器を用いた内容物排出方法に関する。
医療分野において、患者に高カロリー輸液を投与する場合、通常、患者の状態に合わせてビタミン、アミノ酸、抗生物質等の薬剤を混注したものが投与される。また、患者に合わせたオーダーメイド医療の要望から様々な種類の複数の薬剤を混注するケースも多くなっている。ここで、医師や看護士の負担、廃棄物及び操作中の汚染可能性等の観点から、これらの薬剤は予め1つの混注溶液とすることが望ましいが、特に医療用薬剤においては混合により経時劣化する組合せが多い。
このような事情に鑑み、例えば特許文献1:特開平11−169459号公報、特許文献2:特開2002−248158号、特許文献3:特開2003−159310号公報、特許文献4:特開2004−81276号公報には、形状に特徴を有する移動隔壁あるいは柔軟性容器の一部に設けた剥離可能な弱シール部といった遮断手段により複数の薬剤が隔離して収納され、用時には前記遮断手段の機能を滅失させることにより、複数の薬剤を密閉環境下で混合し、そのまま患者に投与し得る医療用複室容器が提案されている。
ここで、柔軟性容器に充填された薬剤を(1)混合して、(2)容器から排出するに際し、(1)収納室の満杯時の容積に比して内容液の相対量が大幅に小さい場合、混合させるために収納室を押圧しても、内容液が逃げてしまい、弱シール部を破壊するのに手間取ったり、破壊できなかったりするという問題がある。特に当初収容された内容液の絶対量が少量の場合には上記現象は起きやすい。また、(2)内容液の排出操作後にもなお、内容液が柔軟性容器内、特にシール部近傍に残存してしまうという問題が生ずる場合がある。これは、表面張力や毛細管現象(以下、単に「表面張力」という)によって柔軟性容器の壁面間に内容液が保持されてしまい、薬剤の容器外への排出が阻害されてしまうことによるものであるが、特に当初収容された内容液の容量が少量の場合には上記残存量が無視できない。更に、柔軟性容器が注出口部材を具備するものであると、注出口部材近傍の壁面間の隙間にも内容液が保持され易くなり、上記残存量が大きくなる。そして、例えば複数薬剤を投与するに際して所定量の薬剤が容器から排出されないと、複数薬剤を所定の混合比で患者に投与することができないという重大な不都合が生じるおそれがある。
従って、収納室の満杯時の容積に比して内容液の容量が大幅に少ない場合であっても、容易に連通が可能な複室容器、容器内に内容液が残存するおそれを可及的に低減した複室容器の開発、ひいては、複数の薬剤を少量収納する場合であっても正確な所定の混合比でこれら複数の薬剤を患者に投与することが可能な容器の開発が望まれていた。
特開平11−169459号公報 特開2002−248158号公報 特開2003−159310号公報 特開2004−81276号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、連通が容易で、内容物を容器内にほとんど残存させることなく容器外へ排出させることが可能な複室容器、乃至、内容物排出方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、第一の発明として、
複数の室との連通を遮断して隔離する弱シール部と、少なくとも一つが液体である一つまたは二つ以上の内容物を収納した内容物収納室と、前記内容物が混合されて、又は混合されることなく排出予定部より容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアーを収納した補助エアー収納室と、を具備した柔軟性容器からなり、前記弱シール部が容器を破壊することのない小さな物理力で破壊可能なものであることを特徴とする複室容器を提供する。
更に、第二の発明として、
上記第一の発明の複室容器を用いた内容物排出方法であって、複数の室との連通を遮断して隔離する弱シール部と、少なくとも一つが液体である一つまたは二つ以上の内容物を収納した内容物収納室と、前記内容物が混合されて、又は混合されることなく容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアーを収納した補助エアー収納室と、を具備した柔軟性容器からなり、前記弱シール部が容器を破壊することのない小さな物理力で破壊可能な複室容器を用いるものであると共に、
容器外部から前記補助エアー収納室に物理力を加えることにより、内容物収納室と連通させ、前記補助エアー収納室を順次収縮変形させて前記弱シール部を破壊して、前記補助エアー収納室から前記内容物収納室に順次補助エアーを導入することにより、各室を連通させ、複数の内容物を混合して、または混合することなく排出予定部から内容物を容器外部へ押し出すことを特徴とする内容物排出方法を提供する。
即ち、本発明の複室容器は、内容物を収納した内容物収納室と、これと連通し、前記内容物が容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアーを収納した補助エアー収納室と、前記内容物収納室と前記補助エアー収納室との連通を遮断して隔離する弱シール部と、好ましくは注出口部材とを具備する複室容器である。前記弱シール部を破壊することで前記内容物収納室と前記補助エアー収納室とを連通することができることから、この補助エアーにより内容物同士を隔離する弱シール部を破壊することができる。そして、例えば注出口部材を通じて使用時に内容物としての内容液を複室容器外へ排出する際、その排出に伴って補助エアー収納室から内容物収納室へ補助エアーを導入することが可能である。
そして、このような構成を採用することにより、内容物排出による内容物収納室の収縮を補助エアーの導入により緩和することが可能となるので、内容物が内容物収納室から容器外部へほぼ排出された状態となった場合にも、内容物収納室の壁面間距離を一定幅以上に維持することができ、従って、当該壁面が表面張力により内容物を保持して内容物の容器外部への排出が阻害されてしまうことを防止し得る。
また、前記補助エアー収納室に収納される補助エアーの容量を、最も容積の大きい前記内容物収納室の容積と同じであるか、又はそれより大きい容積に設定すれば、容器外部へ排出された内容物の容量と実質的に同量以上の補助エアーを内容物収納室に導入することが可能となり、内容物収納室をほとんど収縮させることなく内容物を容器外へ排出することを可能となし得、表面張力により内容物の容器外部への排出が阻害される問題をより確実に防止し得る。この場合、前記補助エアー収納室に収納される補助エアーの容量が、全ての前記内容物収納室の容積の合計と同じであるか、又はそれより大きい容量に設定すると、より好適である。
本発明において複室容器の大きさや内容物の容量については特に限定されるものではないが、本発明の複室容器を上述のように構成することにより、例えば内容物収納室に当初収納された液体の容量が50ml以下といった比較的少量の場合であっても混合されて液体となった内容物を確実に容器外へ排出可能である。より具体的には、内容物の容器外部への排出に伴う内容物収納室への補助エアー導入が終了した際に、容器内に残存する内容物の容量を、内容物収納室に当初収納された液体容量に対して、10%以下、好ましくは8%以下、より好ましくは6%以下に抑制することが可能である。
なお、本発明の複室容器は、内容物が空気(酸素等)に触れると劣化や変性する可能性のある成分、例えばビタミン、アミノ酸、抗生物質といった成分を含む場合に、特に好適に好適に用いられる。
即ち、本発明において別途補助エアー収納室を設けるのは、連通を容易とすること、および、内容物の排出の際に内容物収納室を必要以上に収縮させないこと(収縮により壁面間が表面張力による内容物の保持に適当な幅となり、内容物の排出が阻害される現象を防止すること)を意図したものであるが、内容物収納室に一定量の気体を内容物と共存させて収納しておくことが可能であるならば、結果として上記のような表面張力の発現を抑制し得ることとなり、本発明と同様の効果が期待できる。しかし、内容物が酸素等に触れると酸化劣化や変質等が発生するおそれのある場合には、内容物と酸素等とを共存させて保存することは好ましくない。この場合、内容物を変質等させるおそれの少ない不活性ガス(例えば、窒素ガスやアルゴンガスなど)を内容物と共存させて収納することも考えられるが、そのような薬剤収納容器の製造は煩雑であり、製造装置も大掛かりになり、製造コストに劣る場合がある。
ここで、本発明においては内容物が空気(酸素等)に触れると劣化や変性する可能性のある成分を含む場合であっても、上記表面張力の発現防止を意図して内容物との共存に供される気体成分(補助エアー)として、空気を用いても差し支えない。
即ち、本発明の複室容器を用いれば、内容物に補助エアーが接するのは上記弱シール部が破壊されて内容物収納室と補助エアー収納室とが連通した時点から、内容物の容器外への排出が終了する時点までであり、通常は比較的短い時間間隔である。内容物の容器外への排出が速やかに行なわれる場合には、補助エアーによる内容物の酸化や変質は実質的に問題とならない。
本発明において複室容器の材質としては、柔軟性容器を形成する公知の材質を用いることができるが、収容される内容物の安定性をなるべく損なわない材質であること、並びに、内容物をなるべく吸着することのない材質であることが好ましい。このような材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド類、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、アルミホイル等の金属フィルム、アルミ蒸着フィルムやシリカ蒸着フィルム等の複合フィルム等が挙げられる。本発明の複室容器は、例えばこれら各材質から適宜選定して形成した単層シート、又は、これらの材質から形成された層を含む積層シートを用いて形成することができる。特に、これらのシートが充分なシール強度を得られない場合、ポリエチレンやポリプロピレンなどのシール性の良い樹脂層を積層しても良い。
本発明における上記補助エアー収納室としては、例えば注出口部材を通じ、内容物が容器外部へ排出されるのに伴って補助エアー収納室から内容物収納室へ補助エアーを速やかに無理なく導入することを可能にする観点から、容器外部から印加される応力(例えば、手による押圧)、又は容器内部から印加される応力(例えば、内容物排出に伴い容器内に生ずる負圧)等により、容易に変形可能な柔軟性を有するものであることが好ましい。このような柔軟性は、例えば補助エアー収納室を形成する壁面の材質を適宜選定すること、或いは、補助エアー収納室を形成する壁面の厚みを適宜設定すること(壁面厚みを薄く設定すること)等により実現することができる。
また、本発明における内容物収納室の柔軟性については、補助エアー収納室と同様の柔軟性を有するものであっても良いし、柔軟性を全く有さず変形しないものであってもよい。本発明における補助エアーは混合された内容物の排出を補助することを主目的とするが、排出の前段階で内容物を混合させるために弱シール部を破壊することをも補助する。すなわち、比較的厚手のシートを用い、容積を確保するために、補助エアー収納室を深く絞り成形すると柔軟性が大きくなり、小さな容量の内容物を収納する内容物収納室はそのまま乃至浅く絞り成型すると柔軟性は大きくならないが、補助エアーを押し出せる限り各室の連通作業を円滑に行なうことができる。また、弱シール部をより容易に破壊する観点からは、液体を収納する内容物収納室にも柔軟性を付与すると、補助エアーの量が少ない場合であっても、この内容物収納室も弱シール部の破壊に寄与させることができるので好ましい。
ここで、内容物の変質(容器外部から水蒸気や酸素等が侵入することによる、内容物の吸湿や酸化といった変質)を防止する観点からは、内容物収納室を形成する壁面として高いバリア性を有する壁面を採用することが好適である。高いバリア性を有する壁面を実現する方法としては、アルミ箔等の金属箔、シリカやアルミ等の無機質蒸着層、エチレン−ビニルアルコール共重合体層等の樹脂層などバリア性の高い材質を採用して壁面を形成する方法が挙げられる。
なお、本発明の複室容器を2枚のシートを重畳して周縁部をシールし、適宜弱シール部を設けて形成するような場合において、補助エアー収納室の壁面を形成するシートについて真空成形法や圧空成形法などによる深絞り成形を施すこととすれば、補助エアー収納室の大容積の確保、補助エアー収納室へのエアーの収納と物理力の加え易さとを同時になし得るため、非常に好適である。
本発明の内容物排出方法は、上述した本発明の複室容器を用いるものであり、前記弱シール部を破壊して前記内容物収納室と前記補助エアー収納室とを連通させ、前記補助エアー収納室を順次収縮変形させて前記弱シール部を破壊して、前記補助エアー収納室から前記内容物収納室に順次補助エアーを導入することにより、各室を連通させ、複数の内容物を混合して、または混合することなく排出予定部から内容物を容器外部へ押し出すことを特徴とする内容物排出方法である。本発明の内容物排出方法は内容物収納室に補助エアーを順次導入して内容物を容器外部へ排出するものであるため、内容物収納室が一定以上に収縮して表面張力により内容物が壁面間に保持される(容器外部への内容物の排出が阻害される)おそれが少ない。
なお、補助エアー収納室を収縮変形させる方法としては、容器外部から前記補助エアー収納室に応力を加える(例えば、手で押圧する)方法が簡易で好適である。特に、片手で握ることにより補助エアー収納室を収縮変形させることができると、他の容器、例えば輸液バッグなどに本発明の複室容器から直接に混合物を注入する場合、空いた片手で、注入される輸液バッグ本体や混合物注入部などを把持、固定することができるので、都合がよい。
以上述べたように、本発明によれば、混合により経時劣化する複数の内容物が柔軟性容器に隔離されて収納されている場合であっても、各内容物を個別に収納可能であり、外気に触れることなく容易に一体化が行なえると共に、内容物を容器内にほとんど残存させることなく容器外へ排出させ得る複室容器、及び内容物排出方法が提供される。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
図1は本発明の一例を示す複室容器1の平面図であり、図2は図1に示す複室容器1のX−X断面図である。複室容器1は、図1,2に示されるように、内容物としてそれぞれが液体である内容液21C,22C,23Cをそれぞれ収納した内容物収納室21,22,23と、これと連通し、前記内容液が容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアー3Cを収納した補助エアー収納室3と、前記内容物収納室23と前記補助エアー収納室3との連通を遮断して隔離する弱シール部43と、排出口蓋51が嵌合して排出流路が閉塞され、使用時には嵌合を外すことにより前記閉塞が解除されて前記内容液を容器外部へ排出し得る排出口部5とを具備するものである。この様に排出口部5を具備する複室容器は排出口部5の厚みにより、排出口5近傍に壁面同士の隙間ができるので、排出時、この隙間に表面張力が作用して内容液が大量に残りやすい。なお、本発明において排出口蓋51と排出口部5とを総称して注出口部材と呼ぶことがある。
ここで、複室容器1において内容物収納室21,22,23並びに補助エアー収納室3は、排出口部5から離れる方向に順に、1列をなして形成されている。内容物収納室21と内容物収納室22とは弱シール部41により遮断して隔離され、内容物収納室22と内容物収納室23とは弱シール部42により遮断して隔離されている。また、内容物収納室21の形状としては、排出口部5位置から内容物収納室21,22の境界部である弱シール部41へ向けて拡開する形状に形成されている。
そして、複室容器1は、弱シール部41,42,43を破壊することにより内容物収納室21,22,23並びに補助エアー収納室3が密閉環境下に一体に連通し得るように構成されている。
なお、内容物収納室22,23はそれぞれ内容物注入部221,231を有し、これら注入部は内容液22C,23Cが内容物収納室22,23に収容された後に密封される。内容物収納室21に収容される内容液21Cについては排出口部5を通じて内容物収納室21に収容された後、排出口部5が閉塞されて密封される。
このような複室容器1の製造方法としては、まず第1に、2枚のシート11,12を公知の方法を用いて準備する。
第2に、2枚のシート11,12を真空成形又は圧空成形することにより、それぞれのシートに3箇所ずつ、所定位置に凹部を形成する。これら凹部は、内容物収納室22,23、並びに補助エアー収納室3を形成するものである。
第3に、それぞれに凹部を有するシート11と12とを凹部同士が対向するように重ね合わせて容器本体を形成すると共に、排出口部5を含む注出口部材の容器内面側先端部分(基部)を両シート間の所定位置(排出口部5の排出流路が内容物収納室21に連通し得る位置)に挟持し、内容物注入部221,231位置に相当する部分を除くシート周縁部を全周にわたり熱圧着して強シール部13を形成する。
第4に、上記排出口部5から離れる方向に向けて所定の間隔をおいてシート11,12を3箇所熱圧着し、弱シール部41,42,43を設け、内容物収納室21,22,23並びに補助エアー収納室3を形成する。弱シール部の剥離強度は0.5〜6N/15mm、好ましくは1〜4N/15mm程度である。
最後に、排出口部5、並びに内容物注入部221,231を通じてそれぞれ内容液21C,22C,23Cを容器内に注入すると共に、排出口部5を排出口蓋51で閉塞し、内容物注入部221,231の強シール密封を行なうことにより、内容液を収納した複室容器1が形成される。
複室容器1の使用に際しては、排出口部5を閉塞した状態で、補助エアー3Cを収納する補助エアー収納室3を片手で握るなど外部から押圧し、弱シール部43,42,41を順に破壊し、補助エアー収納室3及び内容物収納室23,22,21を一体に連通させて補助エアー3C共存下、内容液23C,22C,21Cの混合液を得る。
その後、排出口部5の閉塞を解除し、混合液を容器外へ排出する。あるいは、排出口部5を針状に成形したり、排出口部5の蓋に両端が鋭利な針などを刺して輸液バッグなどにそのまま混注しても良い。また、場合によっては、排出口部5の排出口が鉛直下向きとなるように複室容器1を設置すると、外部から容器を押圧せずとも内容液が自重で排出されて好適であるのみならず、常に排出流路を内容液が充満することとなるため、容器内の密閉環境が保持されると共に、補助エアーのみが排出されて補助エアーが浪費されることもないため好適である。なお、自重で自然流出してほぼ排出が終了した時点で更に補助エアー収納室を押圧することで、注出口部材内に残っていた内容液を吐出させることも可能である。補助エアーの注入により、壁面間同士、特に、注出口部材近傍の壁面同士の隙間が開いて、付着していた内容液の吐出が可能である。
更に、本実施形態の複室容器1においては平面視、内容物収納室21が、排出口部5の根本近傍から内容物収納室21,22の境界部である弱シール部41へ向けて拡開した形状に形成されているため、内容液を確実に排出流路へと導くことができ、残留する内容液が更に低減されている。
図3は本発明の他の例を示す複室容器1’の平面図であり、図4は図3に示す複室容器1’のY−Y断面図である。複室容器1’は、図3,4に示されるように、内容液21C’,22C’,23C’をそれぞれ収納した内容物収納室21’,22’,23’と、これと連通し、前記内容液が容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアー31C’,32C’をそれぞれ収納した補助エアー収納室31’,32’と、前記内容物収納室22’と前記補助エアー収納室31’との連通を遮断して隔離する弱シール部431’と、前記内容物収納室23’と前記補助エアー収納室32’との連通を遮断して隔離する弱シール部432’と、排出口蓋51’が嵌合して排出流路が閉塞され、使用時には嵌合を外すことにより前記閉塞が解除されて前記内容液を容器外部へ排出し得る排出口部5’とを具備するものである。
複室容器1’において排出口部5’を具備する内容物収納室21’と、内容物収納室22’と、内容物収納室23’とは、それぞれ互いに隣接して形成されている。ここで、内容物収納室21’と内容物収納室22’とは弱シール部411’により遮断して隔離され、内容物収納室21’と内容物収納室23’とは弱シール部412’により遮断して隔離されている。また、内容物収納室22’,23’にはそれぞれに1対1で対応する補助エアー収納室31’,32’が隣接して形成されている。なお、内容物収納室21’の形状としては、排出口部5’位置から並列する内容物収納室21’,22’へ向けて拡開する形状に形成されている。複室容器1’は、弱シール部411’,412’,431’,432’を破壊することにより内容物収納室21’,22’,23’並びに補助エアー収納室31’,32’が密閉環境下に一体に連通し得るように構成されている。
内容物収納室22’,23’はそれぞれ内容物注入部221’,231’を有し、これら注入部は内容液22C’,23C’が内容物収納室22’,23’に収容された後に密封される。内容物収納室21’に収容される内容液21C’については排出口部5’を通じて内容物収納室21’に収容された後、排出口部5’が閉塞されて密封される。
このような複室容器1’の製造方法としては、まず第1に、2枚のシート11’,12’を公知の方法を用いて準備する。
第2に、2枚のシート11’,12’を真空成形又は圧空成形することにより、それぞれのシートに4箇所ずつ、所定位置に凹部を形成する。これら凹部は、内容物収納室22’,23’、並びに補助エアー収納室31’,32’の内壁面を形成するものである。
第3に、それぞれに凹部を有するシート11’と12’とを凹部同士が対向するように重ね合わせ、排出口部5’を形成する部材の容器内面側先端部分を両シート間の所定位置(排出口部5’の排出流路が内容物収納室21’に連通し得る位置)に挟持し、内容物注入部221’,231’位置に相当する部分を除くシート周縁部を全周にわたり熱圧着して強シール部13’を形成する。
第4に、一対の内容物収納室22’と補助エアー収納室31’、及び一対の内容物収納室23’と補助エアー収納室32’とを、互いに遮断して隔離する強シール部14’を、シート同士を熱圧着して形成する。
第5に、上記排出口部5’から離れる方向に向けて所定の間隔をおいてシート11,12を4箇所熱圧着し、弱シール部411’,412’,431’,432’を設け、内容物収納室21’,22’,23’並びに補助エアー収納室31’,32’を形成する。
最後に、排出口部5’、並びに内容物注入部221’,231’を通じてそれぞれ内容液21C’,22C’,23C’を容器内に注入すると共に、内容物注入部221’,231’の強シール密封を行なうことにより、複室容器1’が形成される。
なお、上述した実施形態をもとに、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更することは差し支えない。内容物の種類、複室容器を構成するシートの厚み、内容物収納室の数、補助エアー収納室の数、排出口部材の有無、形態や数、排出口部の閉塞や開口の方法等についても特に制限はなく、注出口部材を用いることなく柔軟性容器の角部等を鋏などで切断して開口してもよく、フィルムの蓋材をシールしてピールオープンとしてもよく、予め一端が閉塞している注出口部材を用いて、折りきって(ブレークオープン)開口してもよい。壁面のシール方法としては接着剤を用いる方法、熱溶着する方法のいずれも採用でき、強シール部並びに弱シール部を形成するためイージーピールテープを用いても良いし、シール条件(接着剤の種類、或いは熱溶着時の圧着温度条件、圧着時間条件、圧着圧力条件等)や容器内面側に備えるシーラント層の材質についても、適宜選定可能である。
また、本発明の複室容器に収容される内容物としては、液状の内容物(即ち、内容液)に加え、固体状(粉状や粒状等を含む)の内容物が収容されても良い。
更に、本発明の複室容器への内容物の収容方法としても上記実施形態に限定されるものではない。例えば、補助エアー収納室に内容物の注入部を設けておき、該注入部を介して順次内容物を収容するごとに弱シール部を設けて内容物の収納室を形成することにより、内容物の収容と収納室の形成とを並行しておこなうことも可能である。そして、排出口部が存在する内容物収納部も空にして、弱シール部を剥離して排出可能な構成とすることで、注出口部の蓋を省略したり、蓋に輸液バッグに混注するための針を設けておいたりすることもできる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ポリプロピレン(220μm)/環状ポリオレフィン(30μm)の多層フィルムを2枚用意し、環状ポリオレフィン面をシーラント層として真空成形法を用いた深絞り成形をそれぞれのシートに施し、内容物収納室22,23用として深さ4mm、縦20mm、横30mmのテーパ部を有する凹部を2個、及び、補助エアー収納室3用として深さ20mmのテーパ部を有する凹部を1個形成した。その2枚のシートに排出口部を挟持して重畳させ、周縁部及び所定位置をシールして図1,2に示すような複室容器を作製した。内容物収納室22,23はそれぞれ容積3.8ccの収納室であった。また、補助エアー収納室3の容積は16.2ccであった。
なお、強シール部は温度210℃、圧力0.2MPa、時間5秒で熱シールを行い、シール強度はいずれも15N/15mm以上であった。また、弱シール部は温度160℃、圧力0.2MPa、時間2秒で熱シールを行い、シール強度はいずれも1〜3N/15mmであった。
内容物収納室21に内容液(I)として水を、排出口部5を通じて3cc導入した。排出口部5を蓋材で閉塞した際、内容物収納室21は内容液(I)によりほぼ充満されていた。
また、内容物収納室22,23に内容液(II),(III)として水を、内容物注入部221,231を通じてそれぞれ3.5cc導入し、内容物注入部221,231を密封して複室容器1を作製した。
[比較例1]
補助エアー収納室3を設けないこと以外は上記実施例1と同様にして複室容器を作製した。
[実施例2]
無延伸Ny(30μm)/EvOH(30μm)/ポリプロピレン(250μm)の多層フィルムを2枚用意し、ポリプロピレン層をシーラント層として真空成形法を用いた深絞り成形をそれぞれのシートに施し、内容物収納室22’,23’用として深さ5mm、縦45mm、横30mmのテーパ部を有する凹部を2個、及び、補助エアー収納室31’,32’用として深さ20mmのテーパ部を有する凹部を2個形成した。その2枚のシートを排出口部を挟持して重畳させ、周縁部及び所定位置をシールして図3,4に示すような複室容器を作製した。内容物収納室22’,23’はそれぞれ容積12.0ccの収納室であった。また、補助エアー収納室31’,32’の容積はそれぞれ32.6ccであった。
なお、強シール部は温度180℃、圧力0.2MPa、時間2秒で熱シールを行い、シール強度はいずれも20N/15mm以上であった。また、弱シール部は温度130℃、圧力0.2MPa、時間2秒で熱シールを行い、シール強度はいずれも1〜3N/15mmであった。
内容物収納室21’に内容液(I)として水を、排出口部5’を通じて8cc導入した。排出口部5’を蓋材で閉塞した際、内容物収納室21’は内容液(I)によりほぼ充満されていた。
また、内容物収納室22’,23’に内容液(II),(III)として水を、内容物注入部221’,231’を通じてそれぞれ11cc導入し、内容物注入部221’,231’を密封して複室容器1’を作製した。
[比較例2]
補助エアー収納室31’,32’を設けないこと以外は上記実施例2と同様にして複室容器を作製した。
このようにして作成した複室容器について、片手で握って弱シール部の剥離のし易さ、及び、そのまま握り続けて内容液を排出させ、排出量を計量して、容器内に残存する内容液の容量が、当初の内容液の容量に対する割合を評価した。結果を下表1に示した。
Figure 2006263261
弱シール部剥離
○:片手で握るだけで全ての弱シール部が剥離した。
△:弱シール部411’及び412’は両手で強く握ると剥離した。
×:弱シール部42は両手で強く握ると剥離したが、弱シール部41は両手で強く握っても剥離しなかった。
本発明の一の実施形態を示す平面図である。 図1に示す複室容器1のX−X断面図である。 本発明の他の実施形態を示す平面図である。 図3に示す複室容器1’のY−Y断面図である。
符号の説明
1, 1’ 複室容器
11,12 シート
13 強シール部
21,22,23 内容物収納室
21C,22C,23C 内容液
3 補助エアー収納室
3C 補助エアー
41,42,43 弱シール部
5 排出口部
51 排出口蓋

Claims (10)

  1. 複数の室との連通を遮断して隔離する弱シール部と、少なくとも一つが液体である一つまたは二つ以上の内容物を収納した内容物収納室と、前記内容物が混合されて、又は混合されることなく排出予定部より容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアーを収納した補助エアー収納室と、を具備した柔軟性容器からなり、前記弱シール部が容器を破壊することのない小さな物理力で破壊可能なものであることを特徴とする複室容器。
  2. 前記補助エアー収納室と液体を収納した前記内容物収納室とが隣接している請求項1記載の複室容器。
  3. 前記補助エアー収納室が前記排出予定部より最も離れた位置に設けられた請求項1又は2記載の複室容器。
  4. 前記補助エアー収納室に収納される補助エアーの容量が、最も容積の大きい前記内容物収納室の容積と同じであるか、又はそれより大きい請求項1,2又は3記載の複室容器。
  5. 前記補助エアー収納室に収納される補助エアーの容量が、全ての前記内容物収納室の容積の合計と同じであるか、又はそれより大きい請求項1乃至4のいずれか1項に記載の複室容器。
  6. 前記複室容器が、更に、注出口部材を具備する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の複室容器。
  7. 前記内容物収納室に当初収納された液体の容量が50ml以下であると共に、前記内容液の容器外部への排出後に残存する混合された内容物の容量が、前記内容物収納室に当初収納された液体の容量の10%以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の複室容器。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の複室容器を用いた内容物排出方法であって、複数の室との連通を遮断して隔離する弱シール部と、少なくとも一つが液体である一つまたは二つ以上の内容物を収納した内容物収納室と、前記内容物が混合されて、又は混合されることなく容器外部へ排出される際に排出を補助する補助エアーを収納した補助エアー収納室と、を具備した柔軟性容器からなり、前記弱シール部が容器を破壊することのない小さな物理力で破壊可能な複室容器を用いるものであると共に、
    容器外部から前記補助エアー収納室に物理力を加えることにより、内容物収納室と連通させ、前記補助エアー収納室を順次収縮変形させて前記弱シール部を破壊して、前記補助エアー収納室から前記内容物収納室に順次補助エアーを導入することにより、各室を連通させ、複数の内容物を混合して、または混合することなく排出予定部から内容物を容器外部へ押し出すことを特徴とする内容物排出方法。
  9. 前記補助エアー収納室と液体を収納した前記内容物収納室とを最初に連通させる請求項8記載の内容物排出方法。
  10. 物理力を加える手段が片手で握ることである請求項8又は9記載の内容物排出方法。



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