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JP2006257414A - 磁気感熱式電子ペーパー用の磁性微粒子 - Google Patents

磁気感熱式電子ペーパー用の磁性微粒子 Download PDF

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JP2006257414A
JP2006257414A JP2006041681A JP2006041681A JP2006257414A JP 2006257414 A JP2006257414 A JP 2006257414A JP 2006041681 A JP2006041681 A JP 2006041681A JP 2006041681 A JP2006041681 A JP 2006041681A JP 2006257414 A JP2006257414 A JP 2006257414A
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magnetic fine
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Masayoshi Okubo
政芳 大久保
Hideto Minami
秀人 南
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Kobe University NUC
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Abstract

【課題】磁気記録方式の電子ペーパーに用いる場合に、コントラストが良好で、応答速度が高い電子ペーパーを与える磁性微粒子を提供する。
【解決手段】シェル及び中空部分からなる中空微粒子の中空部分に磁性体が内包された磁性微粒子であって、シェルが、架橋性モノマーの重合体若しくは2種以上の架橋性モノマーの共重合体、又は架橋性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体で構成される層を含み、以下の(a)〜(d)の特性を有する磁性微粒子。
(a) 微粒子の比重:0.5〜1.4
(b) 磁性体含有率:2〜35重量%
(c) 平均粒径:0.1〜50μm
(d) 平均粒径の変動係数:20以下
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気感熱式電子ペーパーにおいて表示に使用される磁性微粒子、電子ペーパー、及びこの電子ペーパーを用いて情報を表示する方法に関する。
電子ペーパーは、電力を供給しなくても表示し続けることができる、自由な姿勢で読むことができる、広い視野角を有する、柔軟で捲ることができる、簡単にメモ書きできるといった紙の利点と、情報を自由に加工したり消去したりできるという電子ディスプレイの利点とを兼ね備えている。
このような電子ペーパーとして、磁気感熱方式の電子ペーパーが提案されている(特許文献1,2)。磁気感熱方式の電子ペーパーは、少なくとも一方が透明である一対の基板間に、磁性微粒子を混入させた低融点の通常白色のワックス又は樹脂を挟持したものである。これを用いて情報を表示するには、基板に実質的に垂直な方向に磁気バイアスを印加することにより磁界を形成した状態で、通常下方基板側からサーマルヘッドを用いて部分的に加熱することにより情報を表示する。即ち、磁界内で、サーマルヘッドを基板に接触させることによりワックス又は樹脂を融解すると、ワックス又は樹脂内の磁性微粒子が自由に移動できるようになって、磁界に従って上部基板側に移動する。低融点ワックス又は樹脂には通常酸化チタンのような白色顔料が添加してあるため、これらが固体状態である部分では磁性粒子は上部基板側に現れず白色に見えるが、磁性微粒子が上部基板側に移動した部分は黒色に表示される。
この磁気感熱電子ペーパーは、サーマルヘッドの太さに応じた高解像度が得られ、また使用後の材料をリサイクルできるという利点がある。
磁気感熱電子ペーパー用の磁性微粒子として、バインダーで固化した粉末状フェライト又は球状焼結フェライトからなるコアとそれを被覆する樹脂コーティング層とからなる中実の微粒子が提案されている(特許文献1、2)。
しかし、この磁性微粒子は、記録部分のコントラスト、及び応答速度が悪いという難点がある。
特開2003−302660号公報 特開2004−4412号公報
本発明は、磁気記録方式の電子ペーパーに用いる場合に、コントラストが良好で、応答速度が高い電子ペーパーを与える磁性微粒子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らは研究を重ね、以下の(i)〜(iii)の知見を得た。
(i) 磁気感熱方式の電子ペーパーに用いる磁性微粒子が以下の(a)〜(d)の特性を兼ね備えるときには、コントラストが良好で、かつ応答速度が高い電子ペーパーが得られる。
(a) 微粒子の比重:0.5〜1.4
(b) 磁性体含有率:2〜35重量%
(c) 平均粒径:0.1〜50μm
(d) 平均粒径の変動係数:20%以下
(ii) 磁性微粒子が、シェルと中空部分とを有し、中空部分に磁性体が内包されたものであることにより、比重の調整が簡単である。
(iii) シェルが架橋性モノマーを含むことにより、中空構造にすることができるとともに、ワックス又は樹脂内で粒子形状を維持できる。
本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、以下の磁性微粒子などを提供する。
項1. シェル及び中空部分からなる中空微粒子の中空部分に磁性体が内包された磁性微粒子であって、シェルが、架橋性モノマーの重合体若しくは2種以上の架橋性モノマーの共重合体、又は架橋性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体で構成される層を含み、以下の(a)〜(d)の特性を有する磁性微粒子。
(a) 微粒子の比重:0.5〜1.4
(b) 磁性体含有率:2〜35重量%
(c) 平均粒径:0.1〜50μm
(d) 平均粒径の変動係数:20%以下
項2. シェルが、架橋性モノマーの重合体若しくは2種以上の架橋性モノマーの共重合体で構成される層を含むものである項1に記載の磁性微粒子。
項3. 磁性体が、鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、及びニッケル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である項1又は2に記載の磁性微粒子。
項4. 中空微粒子の中空部分にさらに顔料が内包された項1〜3のいずれかに記載の磁性微粒子。
項5. 以下の式で表される、磁性微粒子の中空部分の容積比率Rの平均値が10〜80%である項1〜4のいずれかに記載の磁性微粒子。
R(%)=(rh/rp)×100
(式中、rhは、磁性微粒子の中空部分の半径であり、rpは磁性微粒子の半径である。)
項6. 磁気感熱式電子ペーパー用の項1〜5のいずれかに記載の磁性微粒子。
項7. 少なくとも一方が透明な1対の基板間に、項1〜5のいずれかに記載の磁性微粒子と低融点媒体とを含む組成物が挟持された電子ペーパー。
項8. 項7の電子ペーパーに対して、上記基板対に対して基板厚み方向に磁界を形成した状態で、電子ペーパーを部分的に加熱してその部分の低融点媒体を溶融し、その部分において磁界に従って磁性微粒子を透明基板側に移動させることにより情報を表示する情報表示方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)磁性微粒子
基本的構成
本発明の磁性微粒子は、シェル及び中空部分からなる中空微粒子の中空部分に磁性体が内包された磁性微粒子であって、シェルが、架橋性モノマーの重合体若しくは2種以上の架橋性モノマーの共重合体、又は架橋性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体で構成される層を含み、以下の(a)〜(d)の特性を有する。
(a) 微粒子の比重:0.5〜1.4
(b) 磁性体含有率:2〜35wt%
(c) 平均粒径:0.1〜50μm
(d) 平均粒径の変動係数:20%以下
本発明の磁性微粒子においては、比重、磁性体含有量、平均粒径、及び平均粒径の変動係数の4つが上記範囲であることが重要であり、これらが上記範囲であることにより初めて、コントラスト及び応答性の双方を達成して実用的な電子ペーパーを得ることができる。
比重
本発明でいう比重は見掛比重であり、モノマー,磁性体原料,溶剤の仕込み比により計算されるが,浮沈法により測定できる値である。比重は、より好ましくは0.6〜0.9程度である。
低融点ワックス又は樹脂(以下、「ワックス等」と略称することもある)の表示しようとする部分を熱により融解する場合、それに隣接する部分も弱いながら加熱されて柔らかくなる。従って、余りに比重が小さいと、この隣接部分の柔らかくなったワックス中で磁性微粒子が磁界に従って移動してしまい、印字ににじみが出るなど、コントラストが悪くなる。一方、余りに比重が大きいと、表示部分で磁性微粒子が磁界に従い迅速に移動(通常は上方に移動)することができず、応答性が悪くなる。上記の比重範囲であれば、コントラストがよく、かつ応答速度の高い電子ペーパーとなる。
比重は、中空部分の比率、即ち空隙率と、シェル構成材料の種類,磁性体含有率を調整することにより、上記範囲にすることができる。比重の最適値は、使用するワックス等の比重に応じて上記範囲で適宜設定すればよい。
磁性
磁性は磁性体の種類とその含有量により定まる。本発明では磁性体の含有率をカプセルの全体量に対して2〜35重量%にするが、この含有量は、熱重量分析により測定した値である。磁性体の含有率は、より好ましくは5〜20重量%程度である。
磁性体含有量が余りに少ないと、ワックス等が融解しても磁界に従い移動することができない。逆に磁性体含有量が余りに多いと、磁性体の重量が大きくなって、比重を0.5〜1.4にすることができない。上記の磁性体含有率の範囲であればこのような問題は生じない。
平均粒径
本発明において、平均粒径は、光学顕微鏡又は走査型顕微鏡を用いて、100個の微粒子の粒径を測定し、平均した値である。平均粒径は、好ましくは1〜20μm程度である。
微粒子の平均粒径が余りに小さいと、微粒子当たりの磁性体の保持量が少なくなるため、一定濃度で表示するためには磁性微粒子数を増やす必要がある。これにより、磁性微粒子を含むワックス等の粘度が高くなって微粒子が移動し難くなり、応答性が悪くなる。逆に、平均粒径が余りに大きいと、融解ワックス等の中で磁性微粒子が移動し難くなり、応答速度が遅くなる。上記範囲であればこのような問題は生じない。
平均粒径の調整方法は、後述する。
平均粒径の変動係数
平均粒径の変動係数は、上記の平均粒径の標準偏差を平均値で除した値であり、粒度分布を表す。平均粒径の変動係数は、好ましくは15% 以下である。
上記変動係数が余りに大きいと、表示部分ににじみが出てコントラストが悪くなるが、上記範囲であれば良好なコントラストが得られる。粒度をできるだけ均一にして変動係数を上記範囲にする方法は、後述する

シェル構成材料
シェルは、架橋性モノマーの重合体若しくは共重合体、又は架橋性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体で構成される層を含む。シェルを構成するのは、主にこの層であるが、微粒子の製造方法によっては、後述するようにシェル内面に補助ポリマーが付着していたり、補助ポリマーによる薄い層が形成されている場合もある。シェルが上記の層のみからなる場合もある。
架橋性モノマーを用いることにより、微粒子が中空構造を採ることができるとともに、ワックス等の中で微粒子の形状を維持できる。ポリマーの構成モノマーは全てが架橋性モノマーであってもよいが、その分コスト高になる。単官能性モノマーと架橋性モノマーとを使用する場合は、架橋性モノマーの占める比率はモル比で10%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。
<架橋性モノマー>
架橋性モノマーとしては、重合性反応基、特に重合性2重結合を2個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モノマーを例示できる。特に、重合性C=C2重結合を2個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モノマーが好ましい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。特に、ジビニルベンゼンおよびエチレングリコールジメタクリレートなどが好ましく、最も好ましいのはエチレングリコールジメタクリレートである。架橋性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
<単官能性モノマー>
単官能性モノマーとしては、例えば、モノビニル芳香族単量体、アクリル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体、ジオレフィン等が挙げられる。
上記モノビニル芳香族単量体としては、下記一般式(1)で表されるモノビニル芳香族炭化水素、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレン等が挙げられる。
Figure 2006257414
[式中、R1は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基又はハロゲン原子であり、R2は、水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、ハロゲン原子、−SO3Na基、低級(炭素数1〜4)アルコキシ基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。]
上記一般式(1)において、R1は、水素原子、メチル基又は塩素原子が好ましく、R2は、水素原子、塩素原子、メチル基又は−SO3Na基であるのが好ましい。
上記一般式(1)で示されるモノビニル芳香族炭化水素の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
更に、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されていてもよいビニルナフタレンとしては、ビニルビフェニル、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルビフェニル、ビニルナフタレン、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニルナフタレン等を例示できる。
また、上記アクリル系単量体としては、下記の一般式(2)で表されるアクリル系単量体が挙げられる。
Figure 2006257414
[式中、R3は、水素原子又は低級(炭素数1〜4)アルキル基を示し、R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基又はジ(C1-C4アルキル)アミノ−(C1-C4)アルキル基を示す。]
一般式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基であるのが好ましく、R4は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、低級(炭素数1〜4)ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキル基が好ましい。
上記アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−ヒドロキシブチル、アクリル酸δ−ヒドロキシブチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−アミノプロピル、アクリル酸γ−N,N−ジエチルアミノプロピル等が挙げられる。
上記ビニルエステル系単量体としては、下記の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006257414
[式中、R5は水素原子又は低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。]
上記ビニルエステル系単量体の具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
上記ビニルエーテル系単量体としては、下記の一般式(4)で表されるビニルエーテル系単量体が挙げられる。
Figure 2006257414
[R6は、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はシクロヘキシル基を示す。]
上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル等が挙げられる。
上記モノオレフィン系単量体としては、下記の一般式(5)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006257414
[式中、R7及びR8は、水素原子又は低級(炭素数1〜4)アルキル基であり、それぞれ異なっていても同一でもよい。]
上記モノオレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1等が挙げられる。
上記ハロゲン化オレフィン系単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。
さらに、ジオレフィン類である、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等も単官能性単量体に含めることができる。
架橋性モノマーと共重合させる単官能性モノマーとしては、モノビニル芳香族単量体、アクリル系単量体、ビニルエステル系単量体およびビニルエーテル系単量体などが好ましい。特に好ましいのは、スチレン、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルなどである。
単官能性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
<架橋性モノマーと単官能性モノマーとの組み合わせ>
架橋性モノマーと単官能性モノマーとを併用する場合の両者の好適な組み合わせとしては、架橋性モノマーであるエチレングリコールジメタクリレートと、単官能性モノマーであるスチレン単独、アクリル酸エステル単独、メタクリル酸エステル単独、スチレンおよびアクリル酸エステル、スチレンおよびメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、スチレンおよびアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルとの組合わせなどが挙げられる。
磁性体
中空部分には磁性体が含まれる。磁性体の種類は特に限定されず、公知の磁性体を用いることができる。このような公知の磁性体として、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの単体又は化合物が挙げられる。これらの元素の化合物である場合は、酸化物が好ましい。鉄酸化物としては、四三酸化鉄(Fe)、一酸化鉄(FeO)及び三酸化二鉄(Fe)などを例示できる。ニッケル酸化物としては、酸化ニッケル(NiO)などを例示できる。コバルト酸化物としては、酸化コバルト(CoO)、三酸化二コバルト(Co)、酸化二コバルト(III)コバルト(II)(Co)などを例示できる。特に、問題となるような毒性がなく、しかも低コストである点で、鉄単体又は鉄化合物が好ましく、鉄酸化物がより好ましい。
また、磁性流体も好適に使用できる。
その他
本発明の微粒子のシェルの厚さは、通常0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度である。この程度の厚さであることにより、中空微粒子形状を保持できるとともに、比重を上記範囲にすることができる。
また、磁性微粒子の中空部分の容積比率の平均値(n=100)は、10〜80%程度にすればよく、好ましくは30〜60%程度にすればよい。容積比率Rは、以下の式で表される値である。
R(%)=(rh/rp)×100
(式中、rhは、磁性微粒子の磁性体部分を除外して測定した中空部分の半径であり、rpは磁性微粒子の半径である。)
また、微粒子は、中空部分に顔料を含むことができる。例えば、カーボンブラックのような黒色顔料を含むことにより、磁性体だけでは表示濃度が不足する場合にこれを補うことができる。
顔料はカラー顔料であってもよく、これによりカラー表示することができる。カラー顔料は、トナーなどに使用される公知のカラー顔料を使用できる。このようなカラー顔料では、イエロー顔料として、カラーインデックスNo.のC.I.21090(ピグメントイエロー12,KET Yellow 406、大日本インキ化学工業)、C.I.21095(ピグメントイエロー14,KET Yellow 404、大日本インキ化学工業)、C.I.21100(ピグメントイエロー13,KET Yellow 405、大日本インキ化学工業)等が挙げられる。また、マゼンタ顔料として、カラーインデックス No.のC.I.73916(ピグメントレッド122,KET Red 309、大日本インキ化学工業)、カラーインデックス No.のC.I.45160(ピグメントレッド81, Ultra Rose R、東洋インキ製造)等が挙げられる。また、シアン顔料として、カラーインデックス No.のC.I.74160(ピグメントブルー15,KET Blue 102,KET Blue 103,KET Blue 104,KET Blue 105,KET Blue 106,KET Blue 111、大日本インキ化学工業)、C.I.74260(ピグメントグリーン7,KET Green 201、大日本インキ化学工業)等が挙げられる。
顔料を含む場合の使用量は、モノマーに対して10〜100重量%程度、特に20〜60重量%程度とすればよい。上記範囲であれば、十分なカラー又は黒色の表示を行える。また、上記範囲であれば、磁性微粒子製造時に補助ポリマーやこれに代わる溶媒の取り込み量が十分になって中空部分が形成される。
また、磁性微粒子は、上記のシェルを保護層で被覆することができる。保護層はワックス等が微粒子内部に浸入するのを防止するための層であり、例えばポリアクリロニトリルのような樹脂からなるものが挙げられる。このような保護層は、中空粒子作成時に同時にモノマーを添加して生成させるか,シード重合(特開平8−20604参照)により形成することができる。
さらに、このような保護層にカラー顔料を添加することもでき、これによっても、カラー表示をすることができる。
磁性微粒子の製造方法
上記磁性微粒子の製造方法は特に限定されず。公知を制限なく使用できる。例えば、
分散安定剤の水溶液中に、磁性体原料、モノマー、補助ポリマー、及び開始剤を含む混合物を分散させ、懸濁重合を行う第1工程と;得られる中空微粒子を磁性化処理する第2工程とを含む方法により製造することができる。第2工程は、必要に応じて行えばよい。
この方法において、補助ポリマーとしては、モノマーを重合又は共重合することにより得られるポリマー(PA)に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たすポリマーを使用する。
<分散安定剤>
分散安定剤としては、磁性体原料、モノマー、補助ポリマー、及び開始剤からなる均一溶液を、水中に分散して形成した液滴が、合一しないようにする作用を有するものを広い範囲から使用できる。
例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ハイドロオキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−co−メタクリル酸)共重合体等の高分子分散安定剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤が好ましい。
これら分散安定剤の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般には、磁性体原料、モノマー、補助ポリマー、および開始剤からなる混合物の1重量部に対して、0.005〜1重量部程度とするのが好ましい。
また、分散安定剤の水溶液において、分散安定剤の濃度は上記液滴が合一しないような濃度となるように適宜選択すればよい。一般には、分散安定剤水溶液の濃度は、0.05〜5重量%程度の範囲に調整するのが好ましい。
<磁性体原料>
磁性体原料としては、室温で液体であり、かつ加熱処理により磁性体に変化するものを使用する。加熱処理により得られる磁性体が、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性体を含む化合物となるような原料を用いることが好ましい。
具体的には、ペンタカルボニル鉄(Fe(CO))、テトラカルボニルニッケル(Ni(CO))、テトラカルボニルコバルト(Co(CO))などのカルボニル錯体;鉄アルコキシド、磁性流体などを例示できる。これらは適当な有機溶剤に希釈して用いてもよい。磁性流体は、超微粒子状のマグネタイト(Fe)のような磁性体が高密度で媒体に分散されたものである。本発明方法では、鉄、ニッケル又はコバルトを含む磁性超微粒子が油性媒体に分散したものであれば、公知の磁性流体を制限なく使用できる。このような公知の磁性流体としては、シリコーン油、イソパラフィン、ヘキサン、ケロシンなどにFeが分散したものなどが挙げられる。これらは、ジグマハイケミカル社、フェローテック社、タイホー工業社などから購入できる。
配位子に着目すれば、モノマーおよび溶媒との混和性がよい点で、カルボニル錯体が好ましい。また金属に着目すれば、毒性がなく、かつコストが低い点で、鉄錯体が好ましい。ペンタカルボニル鉄(Fe(CO))が最も好ましい。
磁性体原料の使用量は、その種類によって異なるが、加熱前の微粒子の全体量に対して5〜70重量%となるようにすればよい。この範囲で磁性体原料を使用することにより、通常、得られる微粒子の全体に対して磁性体が2〜35重量%程度含まれることになる。
<補助ポリマー>
補助ポリマーとしては、モノマー成分を重合又は共重合することにより得られるポリマー(PA)に対して低い相溶性を有し、かつ
補助ポリマーと水との間の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を満たすポリマーを使用する。
具体的には、補助ポリマーとしては、ポリマー(PA)より極性が低いものを用いることができる。
本明細書において、補助ポリマーとポリマー(PA)との相溶性は、次の方法により測定したものである。即ち、ポリマー(PA)の原料であるモノマーと補助ポリマーと必要であればトルエンとを適当な重量比率で含むモノマー溶液に、開始剤(モノマー成分に対して2重量%)を添加し、30℃、窒素ガス雰囲気中で、モノマーの重合反応を起こさせる。この反応を光路長1cmの石英ガラスセル内で行い、波長550nmの光を照射した場合の光透過率を経時的に測定する。補助ポリマーの濃度を増加させていくと、当初約100%であった透過0%近くまで低下する。この場合に、補助ポリマーとポリマー(PA)との相溶性が低い0%近くまで低下するが、補助ポリマーとポリマー(PA)との相溶性が高いと透過率はほとんど低下しない。また、補助ポリマーとポリマー(PA)との相溶性が低いほど、重合開始から透過率の低下が起こるまでの時間が短くなる。
ポリマー(PA)に対して低い相溶性を有する補助ポリマーとしては、前記方法で透過率を測定した場合に、モノマーの重合率が1〜10%程度、好ましくは1〜5%程度で透過率の低下が起こる目的成分が挙げられる。
また、本明細書において、界面張力は、ASTM−971−50に規定されるデュヌイの白金リング法で測定した値である。
なお、補助ポリマーは、モノマーに溶解するものであることが望ましいが、通常この要件は満たされる。
これらの要件を満たす補助ポリマーは、モノマーとそれが重合または共重合することにより得られるポリマー(PA)との相分離を促進する。
さらに、磁性体原料、モノマー、補助ポリマー、及び開始剤の均一溶液中で、モノマーが重合または共重合してポリマー(PA)となり、ポリマー(PA)が水との界面に吸着される際に、ポリマー(PA)の方が補助ポリマーよりも水との界面に吸着され易くなり、その結果、ポリマー(PA)からなるシェル内部に磁性体原料が内包された微粒子が得られる。
このような補助ポリマーとしては、例えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチルなどを用いることができる。
上記の要件を満たすような、モノマーと補助ポリマーとの組み合わせは、前述した方法により容易に選択することができるが、例えば、次表の組み合わせを例示できる。
モノマー 補助ポリマー
エチレングリコールジメタクリレート ポリスチレン
エチレングリコールジメタクリレート ポリメタクリル酸メチル
または
ポリメタクリル酸ブチル
ジビニルベンゼン ポリスチレン
ジビニルベンゼン ポリメタクリル酸ブチル

補助ポリマーの使用量は、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、モノマー1重量部に対して、0.05〜0.4重量部程度とするのが好ましい。
補助ポリマーの分子量は、通常数十万程度のものを用いることができる。補助ポリマーは、溶液重合、塊状重合などの公知の方法で製造することができる。例えば、単量体としてスチレン18g、溶媒としてトルエン12g、開始剤としてAIBN54mgを用いて、60℃で、24時間反応させる溶液重合により、分子量数十万程度のポリスチレンを得ることができる。
<補助ポリマーに代わる溶媒>
補助ポリマーに代えて、これを同じ働きをする溶媒を使用することもできる。このような溶媒は、モノマーに対して高い相溶性を示し、ポリマー(PA)に対して低い相溶性を有し、溶媒と水との間の界面張力(γ)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γ≧γyの条件を満たす溶媒である。
このようなポリマー(PA)と溶媒との組み合わせとしては、例えばポリジビニルベンゼンとヘキサデカンとの組み合わせ、ポリジビニルベンゼンとドデカンとの組み合わせ、ポリスチレンとヘキサデカンとの組み合わせ、ポリスチレンとオクタンとの組み合わせ、及びポリスチレンとドデカンとの組み合わせ等が挙げられる。
<開始剤>
本発明で使用する開始剤は、上記液滴中で、モノマー成分の重合を開始させるものであり、油溶性の重合開始剤が広く使用できる。例えば、ラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物等の単量体に可溶なものが挙げられる。また、紫外線等の光により重合開始する光重合開始剤を用いてもよい。このような光重合開始剤としては、油溶性であれば、特に制限されるものではなく、従来から使用されているものが挙げられる。
上記開始剤の使用量は、モノマーの1重量部に対して、0.005〜0.1重量部程度とするのが好ましい。
<分散工程>
上記分散安定剤の水溶液中に、磁性体原料、モノマー、開始剤、及び補助ポリマー又はそれに代わる溶媒を前記使用割合で含有する混合物を分散させ、懸濁重合を行う。補助的に顔料を使用する場合は、上記混合物中に含ませておけばよい。顔料の使用量は、モノマーに対して10〜100重量部程度、特に20〜60重量%程度とすればよい。
磁性体原料、開始剤、及び補助ポリマー又はそれに代わる溶媒は、モノマーに溶解して、均一溶液となっているのが好ましい。混合時の温度としては特に限定はなく、例えば、0〜30℃程度で混合すればよい。
こうして得られた混合物を、上記分散安定剤の水溶液中で分散させる。この混合物は、分散安定剤の水溶液100重量部当たり、1〜200重量部程度となるような量で使用するのが好ましいが、特にこの範囲に限定されるものではない。分散時の温度は、それには限定されないが、0〜30℃程度とすればよい。
一般に、分散方法としては、ホモジナイザーや超音波法など機械的せん断力による分散方法が採用されている。しかし、これらの分散方法では、磁性体原料、モノマー、開始剤、及び補助ポリマー又は溶媒の混合物が分散されて形成される液滴の大きさは単分散ではなく、一般に種々の異なる粒子径の液滴が混在したものとなる。従って、最終的に得られる磁性微粒子も異なる粒子径を有するものとなる。この場合,最終生成物を分級することによって粒子径が揃った粒子を得ることができる。
本発明方法では、上記,分級のほか,例えば多孔質ガラス(SPG)を利用した膜乳化法で単分散液滴を作製したり、シード膨潤法(特開平8−20604号公報に記載の方法)により上記液滴を作製することにより、液滴の大きさを均一にして、単分散の液滴を得ることができる。具体的には、例えば上記混合物を非常に大きさの揃った多孔質を有するSPG膜を通して分散安定剤含有の水溶液にガス圧により押し出すことにより単分散な液滴が作製される。このような単分散の液滴を調製した場合は、最終的に得られる磁性粒子の変動係数を5〜20%の範囲にすることができる。また、上記のシード膨潤法を用いることにより、平均粒子径0.1〜50μmで、かつ変動係数1〜10%の磁性粒子を得ることができる。
上記液滴の平均粒子径は、通常0.1〜50μm程度とすればよく、これにより、平均粒径0.1〜50程度の磁性微粒子が得られる。磁性体原料、モノマー、開始剤、及び補助ポリマー又はそれに代わる溶媒からなる混合物の粘度、分散安定剤の使用量、分散安定剤水溶液の粘度、分散方法・分散条件を適宜設定することにより、前記範囲の液滴平均粒子径が得られる。
懸濁重合
こうして得られた磁性体原料、モノマー成分、開始剤、及び補助ポリマー又はこれに変わる溶媒の混合物が分散された分散安定剤の水溶液を、懸濁重合に供するには、この水溶液を撹拌しながら加熱すればよい。
加熱温度としては、上記混合物の液滴中で、モノマーが開始剤により重合開始されるに足りる温度であれば特に限定されないが、一般には、30〜90℃程度が好ましい。
懸濁重合は、磁性体原料を内包する微粒子が得られるまで行う。懸濁重合に要する時間は、使用する磁性体原料、モノマー、及び開始剤の種類等により変動するが、一般には3〜48時間程度である。
また、懸濁重合に際しては、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
こうして懸濁重合を行うことにより、上記混合物の液滴中で、モノマーが重合する。
得られたモノマーの重合体又は共重合体(PA)は、補助ポリマー又はそれに代わる溶媒の存在により、相分離が促進され、その結果、単層構造のシェル、即ち、ポリマー(PA)からなるシェルが形成される。一方、コア部には、磁性体原料、及び補助ポリマーが内包された状態となる。
中空部分の容積比率は、重合に影響を与えない揮発性の溶媒、例えばトルエンやヘキサデカンなどを重合時に混合することにより調整することができる。
<磁性化処理>
次いで、磁性体原料を内包する微粒子に磁性化処理を施す。磁性体原料として磁性流体のように最初から磁性体であるものを使用する場合は、磁性化処理は不要である。
(i)加熱処理
磁性体原料としてカルボニル錯体を使用する場合は、磁性体原料を内包する中空微粒子を加熱処理することにより、磁性体原料を磁性化することができる。
加熱処理は、磁性体内包微粒子を通常150〜300℃程度で 1〜10時間程度、好ましくは180〜260℃程度で2〜6時間程度行えばよい。加熱処理は、大気雰囲気中、窒素雰囲気中などで行える。この加熱処理により、微粒子の中空部分でカルボニル錯体が酸化等されて磁性体が生成する。
処理温度及び/又は雰囲気を調整することにより、得られる磁性体の組成を例えばFe、FeO、又はFe等に変化させることができる。また、窒素雰囲気中で温度を比較的高くして処理することにより、磁性体として単体が得られる。
(ii)加水分解処理
磁性体原料としてアルコキシドを用いる場合は、磁性体原料を内包する中空微粒子を酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬して、酸性条件下(pH1〜4)、又はアルカリ条件下(pH9〜12)において通常5〜50℃程度で1〜10時間程度、好ましくは10〜40℃程度で2〜5時間程度撹拌することにより行える。この場合、中空内に酸あるいはアルカリが浸透するように中空内の溶媒を短時間の水蒸気処理を行って蒸発させてもよい。
処理温度を調整することにより、得られる磁性体の組成を調整することができる。
磁性化処理を行わない場合も行う場合も、得られる磁性中空微粒子において、通常、磁性体はシェル内面領域に存在する。詳しくは、磁性体は主にシェル内表面に付着して存在し、一部がシェル内に埋没していたり、シェル内表面から離れた中空部分に存在する場合もある。
<乾燥>
このようにして得られた磁性微粒子は、内部になお水又は溶媒を含む場合は、例えば温度0〜50℃程度、圧力10〜10Pa程度の条件下で乾燥すればよい。また、自然蒸発、減圧処理、シリカゲルなどの乾燥剤の使用によっても微粒子を乾燥することができる。
このようにして得られる磁性微粒子は、必要に応じてさらに保護層を形成した後、低融点ワックス又は樹脂に添加して使用すればよい。
(II)電子ペーパー
本発明の電子ペーパーは、少なくとも一方が透明な1対の基板間に、上記説明した本発明の磁性微粒子と低融点媒体とを含む組成物が挟持されたものである。
基板材料は特に限定されないが、透明樹脂からなるフィルムとすることが好ましい。これにより、可撓性のある電子ペーパーとなる。透明樹脂は、130℃程度の耐熱性を有するものが好ましく、このような樹脂として、例えばメタアクリル酸樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セルロース、ポリエステル、塩化ビニリデンなどが挙げられる。
また、使用に際してこの電子ペーパーは一方の基板側から部分的に加熱されるが、例えば、加熱される側の基板中に所定抵抗値になるようにカーボン粒子などを分散させ、さらにマトリクス状に電極を配置し、通電により電極の交点からなる所定画素が発熱するように構成することができる。
1対の基板は、スペーサーとして例えばビーズを挟持することにより、互いに通常5〜15μm程度の距離を置いて配設されていればよい。この間に、本発明の微粒子と低融点媒体とを含む組成物が充填されている。低融点媒体としては、60〜120℃程度の温度で溶融する石油系パラフィンに、例えば酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウムのような白色顔料を重量比で全体の例えば30〜50重量%程度配合した白色媒体が挙げられる。
本発明の磁性微粒子の使用量は、低融点媒体に対して、通常1〜20重量%程度とすればよい。
(III)情報表示方法
本発明の情報表示方法は、上記説明した本発明の電子ペーパーに対して、上記基板対の厚さ方向(基板対に垂直又は略垂直な方向や、基板対の面方向とはいえないような方向が含まれる)に磁界を形成した状態で、電子ペーパーを部分的に加熱してその部分の低融点媒体を溶融し、その部分において磁界に従って磁性微粒子を透明基板側に移動させることにより情報を表示する方法である。この方法により、電子ペーパー上に画像や文字などの情報を表示したり、書き換えたりすることができる。
具体的には、例えば、電子パーパーの基板対を挟んで、磁気ヘッドと通電手段のような加熱手段とを対向させ、情報を表示しようとする部分に対して、基板対にその厚さ方向に磁界を形成した状態で、その部分を通電などにより加熱することができる。これにより、加熱された部分の低融点媒体が溶融して磁性粒子が透明基板側に移動し、その部分に情報が表示される。
例えば互いに磁性体含有率や比重が異なるシアン磁性微粒子、マゼンタ磁性微粒子、イエロー磁性微粒子、及び必要に応じて黒色磁性微粒子を使用して、1枚の電子ペーパー内に各色微粒子を含む画素を形成し、各画素を磁性の強さや温度を制御することにより別個に表示させることによってもフルカラー表示することができる。
本発明の電子ペーパー及び情報表示方法は、これに限られず、本発明の磁性微粒子を、例えば特許文献1、2に記載された電子パーパー及び画像表示システムに応用したものとすることもできる。
実施例
以下、本発明を実施例を示してより詳細に説明する。
<見掛比重>
見掛比重は、浮沈法を用い,密度0.7(g/cm)のパラフィン中に乾燥粒子を分散させ粒子の浮き沈みにより評価した。
<磁性体含有率>
磁性体含有率は熱重量分析装置を用い500℃まで昇温することによりポリマー部分を分解させ,残りの磁性体重量を測定することにより求めた。
<平均粒径>
光学顕微鏡を用いて100個の微粒子を観察し、平均値を求めた。
<磁石による吸引試験>
以下の方法で、本発明の磁性微粒子を電子ペーパーに適用するときの応答性及びコントラストを評価した。
パラフィン(Parffin Block, mp 60〜62℃,ナカライテスク(株)製)に対して磁性粒子を30wt%混合したものを液高2mmになるようアルミバットに注ぎ入れ,パラフィンの融点以上の温度下で下方から1650ガウスの磁石で一旦,磁性粒子をすべて下方に吸引させた状態で融点以下に冷却し,磁性粒子を下方に固定したものを測定サンプルとした。
固化したパラフィン層の上に厚さ1mmのガラス板を載せ、その上から1200ガウスの磁石を付けた100V,20Wのはんだごて(先端径:2mmφ)を1cm/秒の速度で直線に走査し,得られた像のコントラスト,にじみを目視にて観察し下記の基準で評価した。
○:優,△:可,×:不可
実施例1
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン2.89g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)2.89g、さらにヘキサデカン2.0g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)51mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、SPG膜乳化機を用い乳化することにより、単分散懸濁させてO/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm,変動係数15%程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、10μmであり、シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。また、磁性体保持率は、35重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
実施例2
最初に、種重合体粒子を調製した。すなわち、まず、スチレン20mg,イオン交換水36mg,エタノール144mg,アゾビスイソブチロニトリル284mgおよびポリアクリル酸2gの混合溶液を、還流器を備えた三口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガス気流下100rpmで攪拌しながら70℃で12時間反応させて分散重合し種重合体粒子を得た。この種重合体粒子を光学顕微鏡で観察したところ、粒径(直径)約1.5μmの単分散粒子であった。
次いで,エタノール5g,イオン交換水15g,ジビニルベンゼン0.3g,ペンタカルボニル鉄0.3g,ポリビニルアルコール0.05gおよびV-65(開始剤)0.006gの混合溶液を超音波処理し,エマルションを調製した。
このエマルジョンを種粒子分散液に添加し,種粒子に吸収させた(動的膨潤法)。その後,40gの円錐溶液を滴下し,この状態でエマルジョンを光学顕微鏡で観察したところ、粒子は真球状で粒径約5μmに膨潤していた。
このエマルジョンを封かんにて攪拌しながら70℃で24時間反応させ、シード重合させた。
上記シード重合反応により得られた重合物を濾過した後、オートクレーブ中,250℃にて熱処理をすることにより磁性体微粒子を得た。得られた粒子の平均粒子径は5μm,変動係数6%程度のものであった。見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。磁性体保持率は12重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
実施例3
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.28gを水28gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン0.77g、アクリロニトリル0.39g,磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)0.67g、さらにドデカン0.72g、青色顔料(BASF,BlueL7080)0.39g,及び開始剤としてV−65(和光純薬)17mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、ホモジナイザーを用い乳化することにより、O/W型懸濁液を得た。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。得られた粒子は、多分散であったが,遠心分離機により粒径の大きな粒子および,小さな粒子を取り除き分級した後,平均粒子径が10μm,変動係数19%程度のものが得られた。
シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。粒子全体は青色をしており,得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。また、磁性体保持率は、19重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
実施例4
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.28gを水28gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン0.77g、アクリロニトリル0.39g,磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)0.67g、さらにドデカン0.72g、黄色顔料(Yellow 4517)0.39g,及び開始剤としてV−65(和光純薬)17mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、ホモジナイザーを用い乳化することにより、O/W型懸濁液を得た。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。得られた粒子は、多分散であったが,遠心分離機により粒径の大きな粒子および,小さな粒子を取り除き分級した後,平均粒子径が10μm,変動係数20%程度のものが得られた。
シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。粒子全体は黄色をしており,得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。また、磁性体保持率は、19重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
実施例5
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.28gを水28gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン0.77g、アクリロニトリル0.39g,磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)0.67g、さらにドデカン0.72g、黒色顔料(三菱化学,Carbon Black MA-100)0.39g,及び開始剤としてV−65(和光純薬)17mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、ホモジナイザーを用い乳化することにより、O/W型懸濁液を得た。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。得られた粒子は、多分散であったが,遠心分離機により粒径の大きな粒子および,小さな粒子を取り除き分級した後,平均粒子径が10μm,変動係数18%程度のものが得られた。
シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。粒子全体は黒色をしており,得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。また、磁性体保持率は、19重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
実施例6
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.3gを水30gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン0.35g、トルエン0.437g,磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)0.3g、さらに補助ポリマーとしてポリスチレン(分子量16万)0.072g、青色顔料(BASF,BlueL7080)0.18g,及び開始剤としてV−65(和光純薬社製)15mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、ホモジナイザーを用い乳化することにより、O/W型懸濁液を得た。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。得られた粒子は、多分散であったが,遠心分離機により粒径の大きな粒子および,小さな粒子を取り除き分級した後,平均粒子径が10μm,変動係数20%程度のものが得られた。
シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。粒子全体は青色をしており,得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。また、磁性体保持率は、21重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
実施例7
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.3gを水30gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン0.35g、トルエン0.437g,磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)0.3g、さらに補助ポリマーとしてポリスチレン(分子量16万)0.072g、黄色顔料(Yellow 4517)0.18g,及び開始剤としてV−65(和光純薬社製)15mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、ホモジナイザーを用い乳化することにより、O/W型懸濁液を得た。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。得られた粒子は、多分散であったが,遠心分離機により粒径の大きな粒子および,小さな粒子を取り除き分級した後,平均粒子径が10μm,変動係数20%程度のものが得られた。
シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。粒子全体は黄色をしており,得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。また、磁性体保持率は、21重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
実施例8
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.3gを水30gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン0.35g、トルエン0.437g,磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)0.3g、さらに補助ポリマーとしてポリスチレン(分子量16万)0.072g、黒色顔料(三菱化学,Carbon Black MA-100)0.18g,及び開始剤としてV−65(和光純薬社製)15mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、ホモジナイザーを用い乳化することにより、O/W型懸濁液を得た。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。得られた粒子は、多分散であったが,遠心分離機により粒径の大きな粒子および,小さな粒子を取り除き分級した後,平均粒子径が10μm,変動係数20%程度のものが得られた。
シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。粒子全体は黒色をしており,得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。また、磁性体保持率は、21重量%であった。コントラスト○,にじみ○であった。
比較例1(比重だけが高すぎる場合)
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン2.89g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)2.89 g、さらにヘキサデカン0.578 g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)51mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、SPG膜乳化機を用い乳化することにより、単分散に懸濁させてO/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、10μm,変動係数17%であり、シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。得られた粒子の見かけ比重は約0.85であり,パラフィンに分散させると沈降した。磁性体保持率は、35重量%であった。コントラスト○,にじみ△であった。
比較例2(比重だけが低すぎる場合)
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン2.89g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)2.89g、さらにヘキサデカン2.89g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)51mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、SPG膜乳化機を用い乳化することにより、単分散に懸濁させてO/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm,変動係数15%程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、10μmであり、シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。得られた粒子の見かけ比重は約0.55であり,パラフィンに分散させると浮上した。磁性体保持率は、35重量%であった。コントラスト○,にじみ×であった。
比較例3(変動係数だけが高すぎる場合)
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン2.89g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)2.89g、さらにヘキサデカン2.0g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)51mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、ホモジナイザーを用い乳化することにより、O/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が20μm,変動係数35%程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、20μmであり、シェルの厚さは約2μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。得られた粒子の見かけ比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかったが,多分散であるため,磁石による吸引の吸引速度にばらつきがあり,コントラスト△,にじみ×であった。磁性体保持率は35重量%であった。
比較例4(平均粒子径が小さすぎる場合)
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン2.89g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)2.89g、さらにヘキサデカン2.0 g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)51mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、SPG膜乳化機を用い乳化することにより、単分散に懸濁させてO/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が0.4μm,変動係数20%程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、0.4μmであり、シェルの厚さは約0.04μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。得られた粒子の磁性体保持率は、35重量%であった。見掛け比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると浮上も沈降もしなかった。しかしながら,粒子径が小さいため,磁石に対する応答速度が遅かった。磁性体保持率は35重量%であった。コントラスト×,にじみ△であった。
比較例5(平均粒子径が大きすぎる場合)
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン2.89g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)2.89g、さらにヘキサデカン2.0 g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)51mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、SPG膜乳化機を用い乳化することにより、単分散に懸濁させてO/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が100μm,変動係数20%程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、100μmであり、シェル層が形成されなかった。得られた粒子の磁性体保持率は、35重量%であった。そのため見掛け比重は約1.5であり,パラフィンに分散させると沈降し,磁石に対する応答速度が遅かった。コントラスト△,にじみ△であった。
比較例6(磁性保持率が大きすぎる場合)
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン1.45g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)2.89g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)25mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、SPG膜乳化機を用い乳化することにより、単分散に懸濁させてO/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm,変動係数20%程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、10μmであり、シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。得られた粒子の磁性体保持率は、50重量%であった。見掛け比重は約1.5であり,パラフィンに分散させると沈降し,磁石に対する応答速度が遅かった。コントラスト△,にじみ○であった。
比較例7(磁性保持率が小さすぎる場合)
分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1700,ケン化度88%)0.85gを水85gに溶解させて得た水溶液に、モノマーとしてジビニルベンゼン2.89g、磁性体原料としてフェリコロイド(タイホー工業)0.05g、さらにヘキサデカン1.0 g、及び開始剤としてV−65(和光純薬)25mgを均一混合した均一溶液を添加し、室温下で、SPG膜乳化機を用い乳化することにより、単分散に懸濁させてO/W型懸濁液を得た。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm,変動係数20%程度のものであった。
次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下で、撹拌しながら50℃で24時間加熱し、重合を行った。
得られた磁性中空微粒子の平均粒子径は、10μmであり、シェルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約50%であった。得られた粒子の磁性体保持率は、1.5重量%であった。見掛け比重は約0.7であり,パラフィンに分散させると沈降し,磁石に対する応答速度が遅かった。コントラスト×,にじみ×であった。
以上の結果、微粒子の比重が0.5〜1.4、磁性体含有率が2〜35重量%、平均粒径が0.1〜50μm、かつ平均粒径の変動係数が20%以下である場合に、初めて、良好なコントラストとにじみのない電子ペーパーが得られることが分かる。

Claims (8)

  1. シェル及び中空部分からなる中空微粒子の中空部分に磁性体が内包された磁性微粒子であって、シェルが、架橋性モノマーの重合体若しくは2種以上の架橋性モノマーの共重合体、又は架橋性モノマーと単官能性モノマーとの共重合体で構成される層を含み、以下の(a)〜(d)の特性を有する磁性微粒子。
    (a) 微粒子の比重:0.5〜1.4
    (b) 磁性体含有率:2〜35重量%
    (c) 平均粒径:0.1〜50μm
    (d) 平均粒径の変動係数:20%以下
  2. シェルが、架橋性モノマーの重合体若しくは2種以上の架橋性モノマーの共重合体で構成される層を含むものである請求項1に記載の磁性微粒子。
  3. 磁性体が、鉄単体、鉄化合物、コバルト単体、コバルト化合物、ニッケル単体、及びニッケル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の磁性微粒子。
  4. 中空微粒子の中空部分にさらに顔料が内包された請求項1〜3のいずれかに記載の磁性微粒子。
  5. 以下の式で表される、磁性微粒子の中空部分の容積比率Rの平均値が10〜80%である請求項1〜4のいずれかに記載の磁性微粒子。
    R(%)=(rh/rp)×100
    (式中、rhは、磁性微粒子の中空部分の半径であり、rpは磁性微粒子の半径である。)
  6. 磁気感熱式電子ペーパー用の請求項1〜5のいずれかに記載の磁性微粒子。
  7. 少なくとも一方が透明な1対の基板間に、請求項1〜5のいずれかに記載の磁性微粒子と低融点媒体とを含む組成物が挟持された電子ペーパー。
  8. 請求項7の電子ペーパーに対して、上記基板対に対して基板厚み方向に磁界を形成した状態で、電子ペーパーを部分的に加熱してその部分の低融点媒体を溶融し、その部分において磁界に従って磁性微粒子を透明基板側に移動させることにより情報を表示する情報表示方法。
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