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JP2003096108A - 目的成分内包微粒子の製造方法並びに中空高分子微粒子及びその製造方法 - Google Patents

目的成分内包微粒子の製造方法並びに中空高分子微粒子及びその製造方法

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JP2003096108A
JP2003096108A JP2002056571A JP2002056571A JP2003096108A JP 2003096108 A JP2003096108 A JP 2003096108A JP 2002056571 A JP2002056571 A JP 2002056571A JP 2002056571 A JP2002056571 A JP 2002056571A JP 2003096108 A JP2003096108 A JP 2003096108A
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monomer
target component
polymer
fine particles
epoxy resin
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JP2002056571A
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Masayoshi Okubo
政芳 大久保
Hideto Minami
秀人 南
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New Industry Research Organization NIRO
Original Assignee
New Industry Research Organization NIRO
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Abstract

(57)【要約】 【課題】目的成分を長期にわたり徐放することができる
微粒子または所定時期に目的成分を放出させることがで
きる微粒子を、簡単に選択して製造できる方法などを提
供する。 【解決手段】分散安定剤の水溶液中に、目的成分、下記
のモノマー成分、下記の補助ポリマー及び開始剤を含む
混合物を分散させ、懸濁重合を行う目的成分内包微粒子
の製造方法など。 モノマー成分:架橋性モノマー、架橋性モノマーおよび
単官能性モノマー、または単官能性モノマー 補助ポリマー:モノマー成分の重合体又は共重合体であ
るポリマーに対して相溶性が低く、かつ、水との間の界
面張力がポリマーのそれより大きいポリマー

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シェルおよび中空
部分を有し、該中空部分に目的成分を内包する高分子微
粒子の製造方法に関する。また、本発明は、中空高分子
微粒子、より詳しくは、シェルが架橋され、空隙率が大
きい中空高分子微粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微粒子内に薬効成分などの目的成
分を内包させる方法として、一旦微粒子を製造した後に
目的成分を含浸させる方法などが採用されている。
【0003】しかし、この製造方法は、微粒子の製造と
目的成分の内包という2段階を要するため複雑で、その
結果コスト高になる。
【0004】ここで、微粒子に目的成分を内包させる一
つの目的として、該微粒子から目的成分を徐放させるこ
とにより、目的成分の効力を持続させることがある。
【0005】従来、目的成分の徐放持続性を確保するた
めに、無定型シリカ、ゼラチン、線状ポリウレタン、メ
ラミン樹脂、尿素樹脂などからなるマイクロカプセル内
に該成分を充填することが行われている。
【0006】しかし、これらのカプセルは一般に強度が
低い。このため、このマイクロカプセルを含む塗布剤な
どの製造時、使用時などに、加圧されることにより破壊
されてしまい、長期にわたる成分の徐放性を確保し難い
という難点がある。
【0007】また、特許第1823630号公報による
と、薬効成分を含む多層構造の重合体粒子が水中に分散
した薬効成分徐放性のエマルジョンが開示されている。
この重合体粒子は、揮発性の薬効成分を含有する重合体
粒子を内部層とし、内部層の外側に薬効成分を含有しな
い重合体層が形成された二重構造の粒子である。
【0008】この薬効成分を担持した粒子は、第一の不
飽和単量体を水中で乳化重合して得た重合体粒子に薬効
成分を含浸させた後、この粒子表面で第二の不飽和単量
体を重合させることにより得られる。あるいは、第一の
不飽和単量体に薬効成分を添加し、水中で乳化重合して
重合体粒子を得た後、この重合体粒子の表面で第二の不
飽和単量体を重合させることによっても得られる。
【0009】この重合体粒子は、製造時、使用時の圧力
で破壊されるという問題点を解消したものであるが、そ
の反面、内部重合体に薬効成分を含浸させるために、1
微粒子当たりの薬効成分の担持量が少なく、その結果、
薬効成分の徐放期間が短い。また、多段階の複雑な製造
工程を要するという難点がある。
【0010】また、微粒子に目的成分を内包させる他の
一つの目的として、目的成分を該微粒子から所定時期に
放出させて、その効力を発揮させることがある。
【0011】このような目的のためには、目的成分を内
包するとともに、破壊し易い微粒子であることが求めら
れる。
【0012】さらに、目的成分の徐放持続性を有する微
粒子、または、所定時期に目的成分を放出させることが
できる微粒子を、簡単に選択して製造できれば便利であ
る。
【0013】次に、従来の中空高分子微粒子について述
べる。従来から、塗料、紙塗工用組成物等のコーティン
グ剤には、隠蔽性を付与する目的で、炭酸カルシウムや
クレー等の無機質粒子が添加されている。
【0014】しかし、これら無機質粒子はその重量が重
いため、最近では、この無機質粒子に代えて、中空重合
体粒子が使用されるようになってきた。この中空重合体
粒子は、中空であるため軽量であり、またこの中空内で
光が乱反射するため隠蔽性、白色度、光沢などの光学的
性質に優れ、更に、中空部が存在するために断熱効果を
も有している。
【0015】従来、中空高分子微粒子の製造法として、
以下に示す2種類の製法が知られている。一つの方法
は、特開平6−248012号に記載の方法である。こ
の方法は、カルボキシル基含有単量体20〜60重量%
及びこれと共重合可能なコモノマー80〜40重量%と
の共重合体からなる中心層重合体、カルボキシル基含有
単量体1〜12重量%及びこれと共重合可能なコモノマ
ー99〜88重量%との共重合体からなる中間層重合
体、及びカルボキシル基を含まない単量体の重合体から
なる表面層重合体からなる少なくとも3層構造を有する
重合体粒子を含有するラテックスに、塩基を添加して該
ラテックスのpHを8以上とし、次いで、酸を添加して該
ラテックスのpHを7以下とする方法である。
【0016】また、他の方法は、特開平8−20604
号に記載の方法である。この方法は、下記の親水性有機
溶媒(f)に下記の(a)〜(e)を分散させて分散系
を調製する工程と、この分散系を構成する(a)〜
(e)のうち水不溶性単量体(a)、水不溶性有機溶媒
(c)、油溶性重合開始剤(e)の溶解度を低下させる
ことにより種重合体粒子(b)に上記の水不溶性単量体
(a)、水不溶性有機溶媒(c)、油溶性重合開始剤
(e)を吸収させる工程と、種重合体粒子(b)中で水
不溶性単量体(a)を選択的に重合させる工程とを備え
たことを特徴とする中空重合体粒子の製法である: (a)重合性反応基を2個以上有する単量体を含有する
水不溶性単量体、(b)水不溶性単量体(a)に溶解な
いしこれを吸収して膨潤する種重合体粒子、(c)水不
溶性単量体(a)から形成される重合体および上記種重
合体粒子(b)を溶解ないしこれを膨潤させる水不溶性
有機溶媒、(d)分散安定剤、(e)油溶性重合開始
剤、(f)水不溶性単量体(a)を溶解し、かつ、この
単量体から形成される重合体および種重合体粒子(b)
を溶解しない親水性有機溶媒。
【0017】この従来法においては、まず、いわゆる動
的膨潤法を利用して、例えばポリスチレン粒子等の種重
合体粒子(b)中に、ジビニルベンゼン等の単量体
(a)、トルエン等の水不溶性有機溶媒(c)、及びア
ゾビスイソブチロニトリル等の油溶性重合開始剤(e)
を吸収させることにより、該種重合体粒子(b)を膨潤
ないし溶解させる。
【0018】これにより、水不溶性有機溶媒(c)が種
重合体粒子(b)を溶解するため、この種重合体粒子
(b)の溶解物、単量体(a)、水不溶性有機溶媒
(c)及び油溶性重合開始剤(e)が混在した液滴が得
られる。この状態で昇温すると、油溶性重合開始剤
(e)が存在するので、上記液滴内の単量体(a)が重
合(シード重合)し、単量体(a)の重合皮膜からなる
シェルを形成し、その内部には水不溶性有機溶媒(c)
に溶解した種重合体(b)が存在する。こうして得られ
た粒子を乾燥すると、コア部の水不溶性有機溶媒(c)
が揮発し、種重合体(b)は、単量体(a)の重合皮膜
からなるシェルの内側に付着して、第2のシェルを構成
する。その結果、2層構造のシェルを有する中空高分子
微粒子が得られる。
【0019】しかし、特開平6−248012号に記載
の方法では、上記のように、中心層重合体を形成する工
程、中間層重合体を形成する工程、表面層重合体を形成
する工程の少なくとも3工程を要して少なくとも3層構
造の重合体粒子を含有するラテックスを調製し、更に該
ラテックスを、塩基処理する工程及び酸処理する工程を
行うという煩雑で多数の工程を必要とする点において、
尚改良の余地が大きい。また、この方法により製造され
る微粒子は、該公報の実施例では殻厚30〜45nmの3
層構造の殻を有する中空粒子を得ているが、元来、少な
くとも3層以上の積層構造を有する重合体粒子をまず調
製しなければならないという問題点がある。
【0020】一方、特開平8−20604号に記載の方
法においても、親水性有機溶媒(f)に前記(a)〜
(e)を分散させて分散系を調製する工程、動的膨潤法
による種重合体粒子(b)を膨潤させる工程、及び引き
続くシード重合工程の3工程を必要とし、しかも、前記
種重合体粒子(b)をはじめとする各種の原料や溶媒を
必要とする点で尚改良の余地がある。
【0021】特に、種重合体粒子(b)の使用は必須で
あり、例えば、コロイド・アンド・ポリマー・サイエン
ス(Colloid & Polymer Science)第276巻第7号(1
998)第638〜642頁の例えば第638頁のアブ
ストラクト欄には、上記動的膨潤法を用いる場合、種重
合体(b)(ポリスチレン)が存在しないと、中空高分
子微粒子が製造できない旨記載されている。
【0022】また、特開平8−20604号の方法によ
り得られる中空高分子微粒子は、そのシェルが、単量体
(a)の重合皮膜と該皮膜の内側に形成された種重合体
(b)由来の皮膜との2層構造となっているので、合成
行程も煩雑である。特に、合成は、種重合体の合成を予
め行った後、モノマーと混合した後分散させ、重合を行
うという段階を経なければならない。
【0023】また、中空高分子微粒子は、空隙率が高い
ことが望まれる場合がある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、目的成分を長期にわたり徐放することができる微粒
子または所定時期に目的成分を放出させることができる
微粒子を、簡単に選択して製造できる方法を提供するこ
とである。
【0025】本発明の第2の目的は、目的成分を内包す
る微粒子であって、目的成分の徐放期間が長い微粒子の
簡単な製造方法を提供することである。
【0026】本発明の第3の目的は、目的成分を内包す
る微粒子であって、所定時期に目的成分を放出させるこ
とができる微粒子の簡単な製造方法を提供することであ
る。
【0027】本発明の第4の目的は、シェルが単層構造
であって、空隙率の大きい中空高分子微粒子、及び、こ
のような中空高分子微粒子を短い工程で且つ簡便な方法
により製造し得る方法を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく研究を重ねた結果、以下の知見を見出し
た。 (1) モノマー成分に目的成分および重合開始剤を溶解
させて均一な溶液としたものを、分散安定剤を含む水に
加え、加熱しつつ撹拌することにより、シェル及び中空
部分からなる中空微粒子の中空部分に目的成分が内包さ
れた複合粒子を簡単に得ることができる。 (2) (1)の複合粒子を得るためには、目的成分が、モノ
マー成分に対して高い相溶性を有するが、該モノマー成
分を重合又は共重合して得られるポリマーに対しては低
い相溶性を有し、さらに目的成分と水との間の界面張力
が、モノマー成分を重合又は共重合して得られるポリマ
ーと水との間の界面張力より高いものであればよい。 (3) 目的成分が前記(2)の条件を満たさない場合であっ
ても、補助ポリマーを用いることにより前記複合粒子を
得ることができる。補助ポリマーは、モノマー成分に対
して高い相溶性を有するが、該モノマー成分を重合又は
共重合して得られるポリマーに対しては低い相溶性を有
し、さらに補助ポリマーと水との間の界面張力が、モノ
マー成分を重合又は共重合して得られるポリマーと水と
の間の界面張力より高いものであればよい。 (4) モノマー成分として、少なくとも1種の架橋性モ
ノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとを含むモ
ノマー成分を用い、架橋性モノマーと単官能性モノマー
との比率を調整することにより、微粒子のシェルの強度
を調整することができる。 (5) モノマー成分として、架橋性モノマー、または、
架橋性モノマーおよび単官能性モノマーを用いることに
より、微粒子シェルは高強度のものとなり、内包する目
的成分を長期にわたり徐放できる微粒子が得られる。 (6) モノマー成分として単官能性モノマーを多く用い
ることにより、微粒子シェルの強度が低くなり、加圧に
より容易にシェルを破壊して内包した目的成分を放出さ
せることができる微粒子が得られる。 (7) 得られた微粒子は、中空部分に目的成分を内包し
ているとともに、比較的粒径が大きいために、目的成分
の保持量が多い。 (8) モノマー成分に代えてエポキシ樹脂を用い、開始
剤に代えて硬化剤を用いて、エポキシ樹脂を架橋させる
ことによっても(1)〜(3)と同様の効果が得られる。これ
により得られる微粒子は、架橋されたエポキシ樹脂から
なるシェルを有する高強度の微粒子となる。また、得ら
れた微粒子は、空隙率が大きい。 (9) モノマー成分及び開始剤に代えて多価イソシアネ
ート及び多価アルコールを用いることによっても(1)〜
(3)と同様の効果が得られる。これにより得られる微粒
子は、架橋構造を有するポリウレタンからなるシェルを
有する高強度の微粒子となる。また、得られた微粒子
は、空隙率が大きい。 (10) (1)、(8)及び(9)において、目的成分として特定
の溶媒を用いれば、溶媒内包微粒子を得ることができ、
この溶媒を除去すれば空隙率が高く、かつ、高強度のシ
ェルを有する中空高分子微粒子が得られる。 (11) 中空高分子微粒子の製造方法については、特開平
8−20604号の方法を改良する観点からは、種重合
体粒子を使用しなくても、分散安定剤の水溶液中で、エ
ポキシ樹脂、硬化剤及び特定の溶媒からなる混合液を分
散させ、懸濁架橋反応に供するという、簡単な工程で中
空高分子微粒子を製造できる。また、分散安定剤の水溶
液中で、多価イソシアネート、多価アルコール及び特定
の溶媒からなる混合液を分散させ、懸濁重付加反応に供
することによっても、簡単な工程で中空高分子微粒子が
得られる。 (12) (11)の方法により得られる中空高分子微粒子の
シェルは単層構造であり、空隙率も大きい。
【0029】本発明は、これらの知見に基づき、更に検
討を加えて完成されたものであり、次の各項の目的成分
内包微粒子の製造方法などを提供するものである。
【0030】項1.分散安定剤の水溶液中に、目的成
分、下記のモノマー成分、下記の補助ポリマー(SP
A)及び開始剤を含む混合物を分散させ、懸濁重合を行
う目的成分内包微粒子の製造方法。
【0031】モノマー成分:少なくとも1種の架橋性モ
ノマーを100〜0重量%、少なくとも1種の単官能性モノ
マーを0〜100重量%含むモノマー成分 補助ポリマー(SPA):モノマー成分を重合又は共重
合することにより得られるポリマー(PA)に対して相
溶性が低く、かつ、補助ポリマー(SPA)と水との間
の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー(PA)と水と
の間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx
≧γyの条件を満たすポリマー 項2. モノマー成分が、少なくとも1種の架橋性モノ
マー、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なく
とも1種の単官能性モノマーとの混合物である項1に記
載の方法。
【0032】項3. モノマー成分が、少なくとも1種
の架橋性モノマーを100〜10重量%、少なくとも1種の
単官能性モノマーを0〜90重量%含む項2に記載の方
法。
【0033】項4. 架橋性モノマーが重合性C=C二
重結合を2個以上有する多官能性モノマーである項1、
2又は3に記載の方法。
【0034】項5. モノマー成分が、少なくとも1種
の単官能性モノマーである項1に記載の方法。
【0035】項6. 分散安定剤の水溶液中に、下記の
目的成分、下記のモノマー成分及び開始剤を含む混合物
を分散させ、懸濁重合を行う目的成分内包微粒子の製造
方法。
【0036】目的成分:モノマー成分を重合又は共重合
することにより得られるポリマー(PA)に対して相溶
性が低く、かつ、目的成分と水との間の界面張力
(γz)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面
張力(γy)(mN/m)との関係において、γz≧γyの条
件を満たす目的成分 モノマー成分:少なくとも1種の架橋性モノマーを100
〜0重量%、少なくとも1種の単官能性モノマーを0〜10
0重量%含むモノマー成分 項7. モノマー成分が、少なくとも1種の架橋性モノ
マー、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと少なく
とも1種の単官能性モノマーとの混合物である項6に記
載の方法。
【0037】項8. モノマー成分が、少なくとも1種
の架橋性モノマーを100〜10重量%、少なくとも1種の
単官能性モノマーを0〜90重量%含む項7に記載の方
法。
【0038】項9. 架橋性モノマーが重合性C=C二
重結合を2個以上有する多官能性モノマーである項6、
7又は8に記載の方法。
【0039】項10. モノマー成分が、少なくとも1
種の単官能性モノマーである項6に記載の方法。
【0040】項11. 目的成分が、水難溶性の溶媒で
ある項6から10のいずれかに記載の方法。
【0041】項12. 分散安定剤の水溶液中に、目的
成分、エポキシ樹脂、下記の補助ポリマー(SPB)及
び硬化剤を含む混合物を分散させ、懸濁架橋反応を行う
目的成分内包微粒子の製造方法。
【0042】補助ポリマー(SPB):エポキシ樹脂を
硬化剤を用いて架橋させることにより得られる架橋エポ
キシ樹脂に対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマー
(SPB)と水との間の界面張力(γp)(mN/m)と架
橋エポキシ樹脂と水との間の界面張力(γq)(mN/m)
との関係において、γp≧γqの条件を満たすポリマー 項13. 分散安定剤の水溶液中に、下記の目的成分、
エポキシ樹脂及び硬化剤を含む混合物を分散させ、懸濁
架橋反応を行う目的成分内包微粒子の製造方法。
【0043】目的成分:エポキシ樹脂を硬化剤を用いて
架橋させることにより得られる架橋エポキシ樹脂に対し
て相溶性が低く、かつ、目的成分と水との間の界面張力
(γ r)(mN/m)と架橋エポキシ樹脂と水との間の界面
張力(γq)(mN/m)との関係において、γr≧γqの条
件を満たす目的成分 項14. 目的成分が水難溶性の溶媒である項13に記
載の方法。
【0044】項15. 分散安定剤の水溶液中に、目的
成分、多価イソシアネート、多価アルコール及び下記の
補助ポリマー(SPC)を含む混合物を分散させ、懸濁
重付加反応を行う目的成分内包微粒子の製造方法。
【0045】補助ポリマー(SPC):多価イソシアネ
ートと多価アルコールとの重付加反応により得られるポ
リウレタンに対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマー
(SPC)と水との間の界面張力(γt)(mN/m)とポ
リウレタンと水との間の界面張力(γu)(mN/m)との
関係において、γt≧γuの条件を満たすポリマー 項16. 分散安定剤の水溶液中に、下記の目的成分、
多価イソシアネート及び多価アルコールを含む混合物を
分散させ、懸濁重付加反応を行う目的成分内包微粒子の
製造方法。
【0046】目的成分:多価イソシアネートと多価アル
コールとの重付加反応により得られるポリウレタンに対
して相溶性が低く、かつ、目的成分と水との間の界面張
力(γv)(mN/m)とポリウレタンと水との間の界面張
力(γu)(mN/m)との関係において、γv≧γuの条件
を満たす目的成分 項17. 目的成分が水難溶性の溶媒である項16に記
載の方法。
【0047】項18. シェル及び中空部からなる中空
高分子微粒子であって、シェルがエポキシ樹脂を硬化剤
を用いて架橋させることにより得られる架橋エポキシ樹
脂からなる単層構造を有する中空高分子微粒子。
【0048】項19. シェルの厚さが0.01〜4μmで
あり、空隙率が50〜80%であり、平均粒径が0.1〜30μ
mである項18に記載の中空高分子微粒子。
【0049】項20. 分散安定剤の水溶液中で、 i)エポキシ樹脂と、 ii)硬化剤と、 iii)エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋することにより
得られる架橋エポキシ樹脂に対して相溶性の低い水難溶
性の溶媒(B)とからなる混合物を分散させ、エポキシ
樹脂の懸濁架橋反応を行う項18に記載の中空高分子微
粒子の製造方法。
【0050】項21. 溶媒(B)が、エポキシ樹脂を
硬化剤を用いて架橋させることにより得られる架橋エポ
キシ樹脂に対して相溶性が低い性質を有し、かつ、溶媒
(B)と水との間の界面張力(γa)(mN/m)とエポキ
シ樹脂及び硬化剤を溶媒(B)に溶解してなる溶液を懸
濁架橋反応に供して得られる架橋エポキシ樹脂吸着表面
と水との間の界面張力(γb)(mN/m)との関係におい
て、γa≧γbの条件を満たす溶媒である項20に記載の
方法。
【0051】項22. シェル及び中空部からなる中空
高分子微粒子であって、シェルが多価イソシアネートと
多価アルコールとの重付加反応により得られるポリウレ
タンからなる単層構造を有する中空高分子微粒子。
【0052】項23. シェルの厚さが0.01〜4μmで
あり、空隙率が50〜80%であり、平均粒径が0.1〜30μ
mである項22に記載の中空高分子微粒子。
【0053】項24. 分散安定剤の水溶液中で、 i)多価イソシアネートと、 ii)多価アルコールと、 iii)多価イソシアネートと多価アルコールとの重付加反
応により得られるポリウレタンに対して相溶性の低い水
難溶性の溶媒(C)とからなる混合物を分散させ、多価
イソシアネートと多価アルコールとの懸濁重付加反応を
行う項22に記載の中空高分子微粒子の製造方法。
【0054】項25. 溶媒(C)が多価イソシアネー
トと多価アルコールとの重付加反応により得られるポリ
ウレタンに対して相溶性が低い性質を有し、かつ、溶媒
(C)と水との間の界面張力(γc)(mN/m)と、多価
イソシアネート及び多価アルコールを溶媒(C)に溶解
してなる溶液を懸濁重付加反応に供して得られるポリウ
レタン吸着表面と水との間の界面張力(γd)(mN/m)
との関係において、γc≧γdの条件を満たす溶媒である
項24に記載の方法。
【0055】項26. シェル及び中空部分からなる中
空微粒子の中空部分に水難溶性の溶媒が内包されてお
り、シェルが、エポキシ樹脂を硬化剤を用いて硬化させ
ることにより得られる架橋エポキシ樹脂で構成されてい
る溶媒内包微粒子。
【0056】項27. 下記の式に従い算出される、中
空部分の容積比率Rが10〜80%である項26に記載の溶
媒内包微粒子。
【0057】R(%)=(rh/rp)3×100 (式中、rhは溶媒内包微粒子の中空部分の半径であ
り、rpは溶媒内包微粒子の半径である。) 項28. 溶媒の内包量が、シェルに対して10〜80重量
%である項26又は27に記載の溶媒内包微粒子。
【0058】項29. シェル及び中空部分からなる中
空微粒子の中空部分に水難溶性の溶媒が内包されてお
り、シェルが、多価イソシアネートと多価アルコールと
の重付加反応により得られるポリウレタンで構成されて
いる溶媒内包微粒子。
【0059】項30. 下記の式に従い算出される、中
空部分の容積比率Rが10〜80%である項29に記載の溶
媒内包微粒子。
【0060】R(%)=(rh/rp)3×100 (式中、rhは溶媒内包微粒子の中空部分の半径であ
り、rpは溶媒内包微粒子の半径である。) 項31.溶媒の内包量が、シェルに対して10〜80重量%
である項29又は30に記載の溶媒内包微粒子。
【0061】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法 本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法は、分散
安定剤の水溶液中に、 (i) 目的成分、 (ii) 少なくとも1種の架橋性モノマーを100〜0重量
%、少なくとも1種の単官能性モノマーを0〜100重量%
含むモノマー成分、 (iii) モノマー成分を重合又は共重合することにより
得られるポリマー(PA)に対して相溶性が低く、か
つ、補助ポリマー(SPA)と水との間の界面張力(γ
x)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面張力
(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条件を
満たす補助ポリマー(SPA) (iv)開始剤からなる均一溶液を分散させ、懸濁重合反
応を行う方法である。分散安定剤 分散安定剤としては、目的成分、モノマー成分、補助ポ
リマー(SPA)および開始剤からなる均一溶液を、水
中に分散して形成した液滴が、合一しないようにする作
用を有するものを広い範囲から使用できる。
【0062】例えば、ポリビニルアルコール、メチルセ
ルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリア
クリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリ(ハイドロ
オキシステアリン酸−g−メタクリル酸メチル−co−
メタクリル酸)共重合体等の高分子分散安定剤、ノニオ
ン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性
剤等が挙げられる。このなかでも、ポリビニルアルコー
ル等の高分子分散安定剤が好ましい。
【0063】これら分散安定剤の使用量は、広い範囲か
ら選択できるが、一般には、目的成分、モノマー成分、
補助ポリマー(SPA)および開始剤からなる均一溶液
の1重量部に対して、0.005〜1重量部程度、特に0.01
〜0.1重量部程度とするのが好ましい。
【0064】また、分散安定剤の水溶液において、分散
安定剤の濃度は上記液滴が合一しないような濃度となる
ように適宜選択すればよい。一般には、分散安定剤水溶
液の濃度は、0.05〜5重量%程度、特に0.1〜1重量%
程度の範囲に調整するのが好ましい。目的成分 目的成分としては、モノマー成分に対して高い相溶性を
有し、すなわち水に溶解しない疎水性物質、特に水に溶
解しない疎水性有機化合物であればよく、特に制限され
ない。また、目的成分は、常温で固体又は液体のいずれ
であっても用いることができる。
【0065】目的成分としては、例えば、芳香性物質で
あるヒノキチオール(β−ツヤプリシン)、ヒノキ精
油、シトロネラール、リモネン、L−メントール、ヘキ
サノール、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ゲラ
ニオール、シトロネロール、α−ターピネオール、ボル
ネオール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルア
ルコール、ユーカリ油、シトラール、アレスリン、リナ
ロール、リガストラール、ベンジルアセテート、エチル
イソブチレート、β−ヨノンなどを例示できる。
【0066】なお、前記例示した化合物のうち、ヒノキ
チオール(β−ツヤプリシン)、ヒノキ精油、シトロネ
ラール、リモネン、L−メントールなどは、芳香剤、抗
菌剤、防虫剤、防カビ剤等としても有用な化合物である
ため、芳香用途に加えて抗菌、防虫、防カビなどの用途
にも用いることができる。
【0067】これらの成分は、高強度の微粒子シェルに
内包させ、微粒子から徐放させることにより、該成分の
芳香、抗菌などの効力を持続させることができる。
【0068】また、これらの成分は、低強度の微粒子シ
ェルに内包させ、所定時期に微粒子を破壊することによ
り該成分を微粒子外に放出させて、芳香などの効力を発
揮させることができる。
【0069】また、目的成分としては、ヘキサデカン、
ドデカン、オクタン、キシレン、トルエン、ベンゼン、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジメチル等の水難溶性の溶
媒も使用できる。これらの溶媒を目的物質として用いる
場合には、この溶媒を内包する高分子微粒子を製造する
こともできるが、溶媒内包微粒子を一旦得た後に、この
溶媒を乾燥などにより除去して中空高分子微粒子を製造
することもできる。
【0070】目的成分の使用量は、モノマー成分の1重
量部に対して、0.01〜2重量部程度、特に0.1〜1重量
部程度とするのが好ましい。
【0071】また、目的成分として、次の1)〜3)の
要件を満たす成分を用いることが好ましい。すなわち、 1)モノマー成分に対して高い相溶性を有する。
【0072】2)モノマー成分を重合又は共重合するこ
とにより得られるポリマー(PA)に対して低い相溶性
を有する。
【0073】3)目的成分と水との間の界面張力
(γz)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面
張力(γy)(mN/m)との関係において、γz≧γyの条
件を満たす。
【0074】1)〜3)の要件を満たす目的成分を用い
る場合には、補助ポリマーを用いてもよいが、用いなく
てもよい。
【0075】1)〜3)の要件を満たすポリマー(P
A)と目的成分との組み合わせは、後述する方法により
容易に選択することができるが、例えばポリジビニルベ
ンゼンとヘキサデカンとの組み合わせ、ポリジビニルベ
ンゼンとドデカンとの組み合わせ,ポリスチレンとヘキ
サデカンとの組み合わせ、ポリスチレンとオクタンとの
組み合わせ、および、ポリスチレンとドデカンとの組み
合わせ等の組み合わせが挙げられる。
【0076】本明細書において、目的成分とポリマーと
の相溶性は、次の方法で測定したものである。すなわ
ち、ポリマーの原料であるモノマー成分と目的成分と必
要であればトルエンとを適当な重量比率で含むモノマー
成分溶液に、開始剤(モノマー成分に対して2重量%)
を添加し、30℃、窒素ガス雰囲気中で、モノマー成分の
重合反応を起こさせる。この反応を光路長1cmの石英ガ
ラスセル内で行い、波長550nmの光を照射した場合の光
透過率を経時的に測定する。目的成分の濃度を増加させ
ていくと、当初約100%であった透過率が、ポリマーが
相分離することによって重合時間経過時に急激に0%近
くまで低下する。この場合に、目的成分とポリマーとの
相溶性が低いと0%近くまで低下するが、目的成分とポ
リマーとの相溶性が高いと透過率はほとんど低下しな
い。また、目的成分とポリマーとの相溶性が低いほど、
重合開始から透過率の低下が起こるまでの時間が短くな
る。
【0077】ポリマーに対して低い相溶性を有する目的
成分としては、前記方法で透過率を測定した場合に、モ
ノマー成分の重合率が1〜10%程度、好ましくは1〜5%
程度で透過率の低下が起こる目的成分が挙げられる。
【0078】また、本明細書において、界面張力は、AS
TM−971−50において規定されるデュヌイの白金リング
法で測定した値である。
【0079】1)〜3)の要件を満たす目的成分を用い
る場合には、補助ポリマー(SPA)を使用しなくて
も、目的成分がモノマー成分とそれが重合または共重合
することにより得られるポリマー(PA)との相分離を
促進する。
【0080】また、補助ポリマーを使用しなくても、目
的成分、モノマー成分および開始剤の均一溶液中で、モ
ノマー成分が重合または共重合してポリマー(PA)と
なり、ポリマー(PA)が水との界面に吸着される際
に、目的成分よりもポリマー(PA)の方が水との界面
に吸着され易くなり、その結果、ポリマー(PA)から
なるシェル内部に目的成分が内包された微粒子が得られ
る。モノマー成分 本発明の目的成分内包微粒子のシェルを構成する架橋性
モノマー及び単官能性モノマーは、疎水性であることが
好ましいが、通常はこの要件は満たされる。
【0081】モノマー成分は、少なくとも1種の架橋性
モノマーを100〜0%、少なくとも1種の単官能性モノマ
ーを0〜100%含む。すなわち、モノマー成分は、少なく
とも1種の架橋性モノマー、少なくとも1種の架橋性モ
ノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの混合
物、または、少なくとも1種の単官能性モノマーであ
る。
【0082】モノマー成分が少なくとも1種の架橋性モ
ノマーである場合には、得られる目的成分内包微粒子は
極めて高強度のものとなる。
【0083】また、モノマー成分が少なくとも1種の架
橋性モノマーと少なくとも1種の単官能性モノマーとの
混合物である場合には、両者の混合比率を調整すること
により、得られる成分内包微粒子の強度を任意に設定で
きる。架橋性モノマーの含有比率を高くするほど微粒子
は高強度のものとなる。
【0084】高強度の微粒子を製造するために架橋性モ
ノマーと単官能性モノマーとを併用する場合、架橋性モ
ノマーの混合比率は、単官能性モノマーと架橋性モノマ
ーとの合計量に対して、架橋性モノマーが10重量%以
上、特に30重量%以上であるのが好ましい。
【0085】これらモノマーを重合させて得られるシェ
ルは、少なくとも1種の架橋性モノマー100〜10重量%
程度、特に100〜30重量%程度及び少なくとも1種の単
官能性モノマー0〜90重量%程度、特に0〜70重量%程度
含むモノマー成分を重合または共重合させることにより
得られる重合体又は共重合体から構成される。
【0086】一方、モノマー成分が、少なくとも1種の
単官能性モノマーである場合には、得られる成分内包微
粒子は低強度のものとなる。
【0087】このように、本発明方法においては、モノ
マー成分中の架橋性モノマーと単官能性モノマーとの比
率を調整することにより、微粒子シェルの強度を容易に
調整することができる。<架橋性モノマー> 架橋性モノマーとしては、重合性反応基、特に重合性2
重結合を2個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モ
ノマーを例示できる。特に、重合性C=C2重結合を2
個以上(特に、2〜4個)有する多官能性モノマーが好
ましい。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニ
ル、ジビニルナフタレン、ジアリルフタレート、トリア
リルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどが
挙げられる。特に、ジビニルベンゼンおよびエチレング
リコールジメタクリレートなどが好ましく、最も好まし
いのはエチレングリコールジメタクリレートである。こ
れらは単独であるいは2種以上を混合して使用できる。
【0088】但し、目的成分としてヒノキチオールを用
いる場合には、ヒノキチオールがラジカル補足剤に類似
した構造を有するため、ラジカル重合するモノマーであ
って連鎖移動係数が大きいもの(例えばジビニルベンゼ
ン)を用いると重合が進行し難い傾向がある。従って、
目的成分としてヒノキチオールを用いる場合には、ラジ
カル重合するモノマーであれば、エチレングリコールジ
メタクリレート等の、ヒノキチオールに対して連鎖移動
係数が小さい架橋性モノマーを用いることが好ましい。<単官能性モノマー> また、単官能性モノマーとしては、例えば、モノビニル
芳香族単量体、アクリル系単量体、ビニルエステル系単
量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量
体、ハロゲン化オレフィン系単量体、ジオレフィン等が
挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を混合し
て使用できる。
【0089】上記モノビニル芳香族単量体としては、下
記一般式(1)で表されるモノビニル芳香族炭化水素、
低級(炭素数1〜4)アルキル基で置換されていてもよ
いビニルビフェニル、低級(炭素数1〜4)アルキル基
で置換されていてもよいビニルナフタレン等が挙げられ
る。
【0090】
【化1】
【0091】[式中、R1は、水素原子、低級(炭素数
1〜4)アルキル基又はハロゲン原子であり、R2は、
水素原子、低級(炭素数1〜4)アルキル基、ハロゲン
原子、−SO3Na基、低級(炭素数1〜4)アルコキ
シ基、アミノ基又はカルボキシル基を示す。] 上記一般式(1)において、R1は、水素原子、メチル
基又は塩素原子が好ましく、R2は、水素原子、塩素原
子、メチル基又は−SO3Na基であるのが好ましい。
【0092】上記一般式(1)で示されるモノビニル芳
香族炭化水素の具体例としては、スチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−
クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチ
レン、スチレンスルホン酸ナトリウム等があげられる。
【0093】更に、低級アルキル基で置換されていても
よいビニルビフェニル、低級アルキル基で置換されてい
てもよいビニルナフタレンとしては、ビニルビフェニ
ル、メチル基、エチル基等の低級アルキル基で置換され
ているビニルビフェニル、ビニルナフタレン、メチル
基、エチル基等の低級アルキル基で置換されているビニ
ルナフタレン等を例示できる。これらモノビニル芳香族
単量体は、単独であるいは2種類以上併用することがで
きる。
【0094】また、上記アクリル系単量体としては、下
記の一般式(2)で表されるアクリル系単量体が挙げら
れる。
【0095】
【化2】
【0096】[式中、R3は、水素原子又は低級(炭素
数1〜4)アルキル基を示し、R4は、水素原子、炭素
数1〜12のアルキル基、フェニル基、炭素数1〜6の
ヒドロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノア
ルキル基又はジ(C1-C4アルキル)アミノ−(C1-C4)ア
ルキル基を示す。] 一般式(2)において、R3は、水素原子又はメチル基
であるのが好ましく、R4は、水素原子、炭素数1〜8
のアルキル基、フェニル基、低級(炭素数1〜4)ヒド
ロキシアルキル基、低級(炭素数1〜4)アミノアルキ
ル基が好ましい。
【0097】上記アクリル系単量体の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチル
エキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェ
ニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メ
タクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸β−ヒドロ
キシエチル、アクリル酸γ−ヒドロキシブチル、アクリ
ル酸δ−ヒドロキシブチル、メタクリル酸β−ヒドロキ
シエチル、アクリル酸γ−アミノプロピル、アクリル酸
γ−N,N−ジエチルアミノプロピル等が挙げられる。
【0098】上記ビニルエステル系単量体としては、下
記の一般式(3)で表されるものが挙げられる。
【0099】
【化3】
【0100】[式中、R5は水素原子又は低級(炭素数
1〜4)アルキル基を示す。] 上記ビニルエステル系単量体の具体例としては、ギ酸ビ
ニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられ
る。
【0101】上記ビニルエーテル系単量体としては、下
記の一般式(4)で表されるビニルエーテル系単量体が
挙げられる。
【0102】
【化4】
【0103】[R6は、炭素数1〜12のアルキル基、
フェニル基又はシクロヘキシル基を示す。] 上記ビニルエーテル系単量体の具体例としては、ビニル
メチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルn−ブ
チルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルシクロ
ヘキシルエーテル等が挙げられる。
【0104】上記モノオレフィン系単量体としては、下
記の一般式(5)で表されるものが挙げられる。
【0105】
【化5】
【0106】[式中、R7及びR8は、水素原子又は低級
(炭素数1〜4)アルキル基であり、それぞれ異なって
いても同一でもよい。] 上記モノオレフィン系単量体の具体例としては、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチ
ルペンテン−1等が挙げられる。
【0107】上記ハロゲン化オレフィン系単量体として
は、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンをあげること
ができる。
【0108】さらに、ジオレフィン類である、ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン等も単官能性単量体に含
めることができる。これらは単独でまたは2種以上を混
合して用いることができる。
【0109】架橋性モノマーと共重合させる単官能性モ
ノマーとしては、モノビニル芳香族単量体、アクリル系
単量体、ビニルエステル系単量体およびビニルエーテル
系単量体などが好ましい。特に好ましいのは、スチレ
ン、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸ブチルなど
である。
【0110】架橋性モノマーと単官能性モノマーとを併
用する場合の両者の好適な組み合わせとしては、架橋性
モノマーであるエチレングリコールジメタクリレート
と、単官能性モノマーであるスチレン単独、アクリル酸
エステル単独、メタクリル酸エステル単独、スチレンお
よびアクリル酸エステル、スチレンおよびメタクリル酸
エステル、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エス
テル、スチレンおよびアクリル酸エステルおよびメタク
リル酸エステルとの組合わせなどが挙げられる。
【0111】モノマー成分の使用量は、目的成分内包微
粒子の粒子径、シェルの厚さ、内径等に応じて適宜選択
できるが、一般には、目的成分1重量部に対して0.5〜1
00重量部程度、特に1〜10重量部程度とするのが好まし
い。補助ポリマー(SPA) 補助ポリマー(SPA)としては、次の4)〜5)の要件
を満たすポリマーを広く用いることができる。すなわ
ち、 4) モノマー成分を重合又は共重合することにより得
られるポリマー(PA)に対して低い相溶性を有する。 5) 補助ポリマー(SPA)と水との間の界面張力
(γx)(mN/m)とポリマー(PA)と水との間の界面
張力(γy)(mN/m)との関係において、γx≧γyの条
件を満たす。
【0112】具体的には、補助ポリマーとしては、架橋
性モノマー成分が重合又は共重合することにより得られ
るポリマー(PA)より、極性が低いものを用いること
ができる。
【0113】本明細書において、補助ポリマー(SP
A)とポリマー(PA)との相溶性は、目的成分とポリ
マー(PA)との相溶性について説明した方法におい
て、目的成分に代えて補助ポリマー(SPA)を用いて
測定したものである。
【0114】ポリマー(PA)に対して低い相溶性を有
する補助ポリマー(SPA)としては、モノマー成分の
重合率が0.01〜4%程度で透過率の低下が起こる補助ポ
リマーを例示できる。
【0115】また、界面張力については、前述したとお
り、ASTM-971-50において規定されるデュヌイの白金リ
ング法で測定した値である。
【0116】なお、補助ポリマー(SPA)は、モノマ
ー成分に溶解するものであることが望ましいが、通常こ
の要件は満たされる。
【0117】4)〜5)の要件を満たす補助ポリマー
(B)は、モノマー成分(C)とそれが重合または共重
合することにより得られるポリマー(PC)との相分離
を促進する。
【0118】さらに、目的成分、モノマー成分、補助ポ
リマー(SPA)および開始剤の均一溶液中で、モノマ
ー成分が重合または共重合してポリマー(PA)とな
り、ポリマー(PA)が水との界面に吸着される際に、
ポリマー(PA)の方が補助ポリマー(SPA)よりも
水との界面に吸着され易くなり、その結果、ポリマー
(PA)からなるシェル内部に目的成分が内包された微
粒子が得られる。このような補助ポリマーとしては、例
えばポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタ
クリル酸ブチルなどを用いることができる。
【0119】4)〜5)の要件を満たすような、モノマー
成分と補助ポリマー(SPA)との組み合わせは、前述
した方法により容易に選択することができるが、例え
ば、次表の組み合わせを例示できる。
【0120】 モノマー成分 補助ポリマー(SPA) エチレングリコールジメタクリレート ポリスチレン エチレングリコールジメタクリレート ポリメタクリル酸メチル または ポリメタクリル酸ブチル ジビニルベンゼン ポリスチレン ジビニルベンゼン ポリメタクリル酸ブチル 上記補助ポリマー(SPA)の使用量は、広い範囲から
適宜選択できるが、一般には、モノマー成分1重量部に
対して、0.05〜0.4重量部程度、特に0.1〜0.2重量部程
度とするのが好ましい。
【0121】補助ポリマー(SPA)の分子量は、通常
数十万程度のものを用いることができる。補助ポリマー
は、溶液重合、塊状重合などの公知の方法で製造するこ
とができる。例えば、単量体としてスチレン18g、溶媒
としてトルエン12g、開始剤としてAIBN54mgを用
いて、60℃で、24時間反応させる溶液重合により、分子
量数十万程度のポリスチレンを得ることができる。
【0122】開始剤 本発明で使用する開始剤は、上記液滴中で、モノマー成
分の重合を開始させるものであり、油溶性の重合開始剤
が広く使用できる。例えば、ラジカル重合開始剤である
アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物や、クメン
ヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、
ジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、
過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物等の
単量体に可溶なものが挙げられる。また、紫外線等の光
により重合開始する光重合開始剤を用いてもよい。この
ような光重合開始剤としては、油溶性であれば、特に制
限されるものではなく、従来から使用されているものが
挙げられる。
【0123】上記開始剤の使用量は、モノマー成分の1
重量部に対して、0.005〜0.1重量部程度、特に0.01〜0.
06重量部程度とするのが好ましい。分散工程 本発明では、上記分散安定剤の水溶液中に、目的成分、
モノマー成分、開始剤、および必要に応じて補助ポリマ
ー(SPA)を前記使用割合で含有する混合物を分散さ
せ、懸濁重合を行う。
【0124】目的成分、必要に応じて添加される補助ポ
リマー(SPA)および開始剤は、モノマー成分に溶解
して、均一溶液となっているのが好ましい。混合時の温
度としては特に限定はなく、例えば、0〜30℃程度で混
合すればよい。
【0125】こうして得られた目的成分、モノマー成
分、開始剤および必要に応じて添加される補助ポリマー
(SPA)の均一溶液を、次いで、上記分散安定剤の水
溶液中で分散させる。
【0126】この均一溶液は、分散安定剤の水溶液100
重量部当たり、1〜200重量部程度、特に10〜100重量部
程度となるような量で使用するのが好ましいが、特にこ
の範囲に限定されるものではない。
【0127】分散方法としては、ホモジナイザーや膜乳
化法など機械的せん断力による分散方法等の公知の方法
を種々採用できる。分散の際の温度条件は、使用する目
的成分および開始剤の分解に影響する温度以下であれば
限定されるものではないが、0〜30℃程度であるのが好
ましい。
【0128】上記分散方法では、目的成分、モノマー成
分、開始剤および場合により補助ポリマー(SPA)の
均一混合物が分散されて形成される液滴の大きさは単分
散ではなく、一般に種々の異なる粒子径の液滴が混在し
たものとなる。従って、最終的に得られる目的成分内包
微粒子も異なる粒子径を有する。
【0129】一方、分散方法を選択することにより、液
滴の大きさを均一にして、単分散の液滴を得ることもで
きる。そのような単分散液滴を得る方法としては、例え
ば、多孔質ガラス(SPG)を利用した膜乳化法による
単分散液滴を作製する方法やシード膨潤法(特開平8-20
604号公報に記載の方法)などを挙げることができる。
【0130】このような粒子径が均一に揃った単分散の
液滴を調製した場合は、最終的に得られる目的成分内包
微粒子も粒子径が均一に揃った単分散となる。
【0131】いずれの場合も、上記液滴の平均粒子径
は、所望する目的成分内包微粒子の平均粒子径に応じて
適宜決定すればよいが、一般には0.05〜50μm程度、特
に0.1〜20μm程度とするのが好ましい。目的成分、架
橋性モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加され
る補助ポリマー(SPA)からなる均一溶液の粘度、分
散安定剤の使用量、分散安定剤水溶液の粘度、分散方法
・分散条件を前記範囲で適宜設定することにより、前記
範囲の液滴平均粒子径が得られる。懸濁重合 こうして得られた目的成分、モノマー成分、開始剤およ
び必要に応じて添加される補助ポリマー(SPA)の均
一混合物が分散された分散安定剤の水溶液を、懸濁重合
に供するには、この水溶液を撹拌しながら加熱すればよ
い。
【0132】加熱温度としては、目的成分、モノマー成
分(SPA)、開始剤および必要に応じて添加される補
助ポリマー(SPA)の均一混合物の液滴中で、モノマ
ー成分が開始剤により重合開始されるに足りる温度であ
れば特に限定されないが、一般には、30〜90℃程度、特
に40〜70℃程度が好ましい。
【0133】懸濁重合は、所望の目的成分内包微粒子が
得られるまで行う。懸濁重合に要する時間は、使用する
目的成分、モノマー成分および開始剤の種類等により変
動するが、一般には3〜48時間程度である。
【0134】また、懸濁重合に際しては、窒素ガス、ア
ルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好まし
い。
【0135】こうして懸濁重合を行うことにより、目的
成分、モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加さ
れる補助ポリマー(SPA)の均一溶液の液滴中で、モ
ノマー成分が重合する。
【0136】得られたモノマー成分の重合体又は共重合
体(PA)は、目的成分または/および補助ポリマー
(SPA)の存在により、相分離が促進され、その結
果、単層構造のシェル、即ち、ポリマー(PA)からな
るシェルが形成される。一方、コア部には、目的成分お
よび場合により補助ポリマー(SPA)が内包された状
態となる。
【0137】室温で固体の目的成分は、反応初期の液滴
中ではモノマー成分に溶解しているが、モノマー成分の
重合又は共重合が進行するにつれて析出する傾向があ
る。
【0138】このようにして得られた目的成分内包微粒
子は、分散液(サスペンジョン)のままで使用してもよ
く、また、濾過し必要に応じて水洗した後、粉体の形態
で、各種用途に供することができる。サスペンジョンを
乾燥して粉体の形態の目的成分内包微粒子を得る場合に
は、目的成分が昇華または蒸発しない温度・圧力条件下
で、例えば温度0〜50℃程度、圧力103〜105Pa
程度の条件下で乾燥することができる。また、自然蒸
発、減圧処理、シリカゲルなどの乾燥剤の使用によって
も微粒子を乾燥することができる。本発明の第2の目的成分内包微粒子の製造方法 本発明の第2の目的成分内包微粒子の製造方法は、分散
安定剤の水溶液中に、 (i) 目的成分、 (ii) エポキシ樹脂、 (iii) 硬化剤 (iv) エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋させることに
より得られる架橋エポキシ樹脂に対して相溶性が低く、
かつ、補助ポリマー(SPB)と水との間の界面張力
(γp)(mN/m)と架橋エポキシ樹脂と水との間の界面
張力(γq)(mN/m)との関係において、γp≧γqの条
件を満たす補助ポリマー(SPB)からなる均一溶液を
分散させ、懸濁架橋反応を行う方法である。分散安定剤 使用可能な分散安定剤は、本発明の第1の目的成分内包
微粒子の製造方法において使用できる分散安定剤と同様
である。
【0139】分散安定剤の使用量は、広い範囲から選択
できるが、一般には、目的成分、エポキシ樹脂、硬化剤
及び補助ポリマー(SPB)からなる均一溶液の1重量
部に対して、0.005〜1重量部程度、特に0.01〜0.1重量
部程度とするのが好ましい。
【0140】また、分散安定剤の水溶液中の分散安定剤
の濃度は本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法
の場合と同等である。目的成分 目的成分としては、エポキシ樹脂及び硬化剤に対して高
い相溶性を有し、すなわち水に溶解しない疎水性物質、
特に水に溶解しない疎水性有機化合物であればよく、特
に制限されない。また、目的成分は、常温で固体又は液
体のいずれであっても用いることができる。
【0141】目的成分としては、例えば、本発明の第1
の目的成分内包微粒子の製造方法において例示した芳香
性物質、抗菌剤、防虫剤、防カビ剤及び溶媒を挙げるこ
とができる。
【0142】目的成分の使用量は、エポキシ樹脂及び硬
化剤の1重量部に対して、0.01〜2重量部程度、特に0.
1〜1重量部程度とするのが好ましい。
【0143】また、目的成分として、次の6)〜8)の
要件を満たす成分を用いることが好ましい。すなわち、 6)エポキシ樹脂及び硬化剤に対して高い相溶性を有す
る。 7)エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋することにより
得られる架橋エポキシ樹脂に対して低い相溶性を有す
る。 8)目的成分と水との間の界面張力(γr)(mN/m)と
架橋エポキシ樹脂と水との間の界面張力(γq)(mN/
m)との関係において、γr≧γqの条件を満たす。
【0144】本明細書において、目的成分と架橋エポキ
シ樹脂との相溶性は、次の方法で測定したものである。
すなわち、架橋エポキシ樹脂の原料であるエポキシ樹脂
と目的成分と必要であればトルエンとを適当な重量比率
で含むモノマー成分溶液に、硬化剤(エポキシ樹脂に対
して等モル当量)を添加し、70℃、窒素ガス雰囲気中
で、エポキシ樹脂の架橋反応を起こさせる。この反応を
光路長1cmの石英ガラスセル内で行い、波長550nmの光を
照射した場合の光透過率を経時的に測定する。目的成分
の濃度を増加させていくと、当初約100%であった透過
率が、架橋エポキシ樹脂が相分離することによって重合
時間経過時に急激に0%近くまで低下する。この場合
に、目的成分と架橋エポキシ樹脂との相溶性が低いと0
%近くまで低下するが、目的成分と架橋エポキシ樹脂と
の相溶性が高いと透過率はほとんど低下しない。また、
目的成分と架橋エポキシ樹脂との相溶性が低いほど、架
橋開始から透過率の低下が起こるまでの時間が短くな
る。
【0145】架橋エポキシ樹脂に対して低い相溶性を有
する目的成分としては、前記方法で透過率を測定した場
合に、エポキシ樹脂の架橋率が1〜20%程度、好ましく
は1〜10%程度で透過率の低下が起こる目的成分が挙げ
られる。
【0146】6)〜8)の要件を満たす目的成分を用い
る場合には、補助ポリマー(SPB)を用いてもよい
が、用いなくてもよい。
【0147】6)〜8)の要件を満たす架橋エポキシ樹
脂と目的成分との組み合わせは、後述する方法により容
易に選択することができるが、例えば、ビスフェノール
A型ジグリシジルエーテル(ストルアス社製、エポフィ
クス(商品名))を硬化剤の4,4'−ジアミノジフェ
ニルメタンを用いて架橋させた架橋エポキシ樹脂とキシ
レンとの組み合わせ、ビスフェノールA型ジグリシジル
エーテル(油化シェルエポキシ社製、エピコート828
(商品名))を硬化剤のドデカメチレンジアミンを用い
て架橋させた架橋エポキシ樹脂とヘキサデカンとの組み
合わせ等の組み合わせが挙げられる。
【0148】6)〜8)の要件を満たす目的成分を用い
る場合には、補助ポリマー(SPB)を使用しなくて
も、目的成分がエポキシ樹脂及び硬化剤と架橋エポキシ
樹脂との相分離を促進する。
【0149】また、補助ポリマーを使用しなくても、目
的成分、エポキシ樹脂および硬化剤の均一溶液中で、エ
ポキシ樹脂が架橋して架橋エポキシ樹脂となり、架橋エ
ポキシ樹脂が水との界面に吸着される際に、目的成分よ
りも架橋エポキシ樹脂の方が水との界面に吸着され易く
なり、その結果、架橋エポキシ樹脂からなるシェル内部
に目的成分が内包された微粒子が得られる。エポキシ樹脂 エポキシ樹脂は、水難溶性であることが好ましいが、通
常はこの要件は満たされる。
【0150】エポキシ樹脂は、特に制限されず、1分子
中に2個以上のエポキシ基を有する公知の化合物を使用
できる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、臭素化ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、
ビスフェノールS、ビスフェノールAF、レゾシノー
ル、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど
のフェノール類をエピクロロヒドリンを用いてエポキシ
化したフェノール系グリシジルエーテル、ブタンジオー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のアルコール類をエピクロロヒドリンを用いてエポ
キシ化したアルコール系グリシジルエーテル;フタル
酸、合成脂肪酸(ダイマー酸など)等をエピクロロヒド
リンを用いてエポキシ化したグリシジルエステル;アミ
ノフェノール、アミノクレゾールなどをエピクロロヒド
リンを用いてエポキシ化したグリシジルアミン等が挙げ
られる。これらのエポキシ樹脂は単独で又は2種以上組
み合わせて使用できる。
【0151】特に、室温で液体状のものが好ましく、こ
のようなエポキシ樹脂としてビスフェノールA型ジグリ
シジルエーテル、ビスフェノールF型ジグリシジルエー
テル等が挙げられる。ビスフェノールA型ジグリシジル
エーテルがより好ましい。
【0152】エポキシ樹脂の使用量は、目的成分1重量
部に対して0.01〜2重量部程度、特に0.1〜1重量部程
度とするのが好ましい。補助ポリマー(SPB) 補助ポリマー(SPB)としては、次の9)〜10)の要件
を満たすポリマーを広く用いることができる。すなわ
ち、 9) エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋させることに
より得られる架橋エポキシ樹脂に対して低い相溶性を有
する。 10) 補助ポリマー(SPB)と水との間の界面張力
(γp)(mN/m)と架橋エポキシ樹脂と水との間の界面
張力(γq)(mN/m)との関係において、γp≧γqの条
件を満たす。
【0153】具体的には、補助ポリマーとしては、エポ
キシ樹脂を硬化剤を用いて架橋させることにより得られ
る架橋エポキシ樹脂より、極性が低いものを用いること
ができる。
【0154】本明細書において、補助ポリマー(SP
B)と架橋エポキシ樹脂との相溶性は、目的成分と架橋
エポキシ樹脂との相溶性について説明した方法におい
て、目的成分に代えて補助ポリマー(SPB)を用いて
測定したものである。
【0155】架橋エポキシ樹脂に対して低い相溶性を有
する補助ポリマー(SPB)としては、エポキシ樹脂の
架橋率が0.01〜10%程度で透過率の低下が起こる補助ポ
リマーを例示できる。なお、補助ポリマー(SPB)
は、エポキシ樹脂に溶解するものであることが望ましい
が、通常この要件は満たされる。
【0156】9)〜10)の要件を満たす補助ポリマー(S
PB)は、エポキシ樹脂及び硬化剤とそれが架橋するこ
とにより得られる架橋エポキシ樹脂との相分離を促進す
る。さらに、目的成分、エポキシ樹脂、補助ポリマー
(SPB)および硬化剤の均一溶液中で、エポキシ樹脂
が架橋して架橋エポキシ樹脂となり、架橋エポキシ樹脂
が水との界面に吸着される際に、架橋エポキシ樹脂の方
が補助ポリマー(SPB)よりも水との界面に吸着され
易くなり、その結果、架橋エポキシ樹脂からなるシェル
内部に目的成分が内包された微粒子が得られる。このよ
うな補助ポリマーとしては、例えばポリスチレン、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチルなどを用
いることができる。
【0157】9)〜10)の要件を満たすような、エポキシ
樹脂と硬化剤と補助ポリマー(SPB)との組み合わせ
は、前述した方法により容易に選択することができる
が、例えば、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル
と4,4'−ジアミノジフェニルメタンとポリスチレン
との組み合わせ等を例示できる。
【0158】補助ポリマー(SPB)の使用量は、広い
範囲から適宜選択できるが、一般には、エポキシ樹脂及
び硬化剤の合計量1重量部に対して、0.05〜0.4重量部程
度、特に0.1〜0.2重量部程度とするのが好ましい。
【0159】補助ポリマーの分子量(SPB)は、通常
数十万程度のものを用いることができる。硬化剤 本発明で使用する硬化剤は、上記液滴中で、エポキシ樹
脂を架橋させることにより硬化させるものであり、エポ
キシ樹脂の硬化剤として公知の、油溶性の多官能硬化剤
を広く使用できる。
【0160】具体的には、ポリメチレンジアミン、ポリ
エーテルジアミン、分岐ポリメチレンジアミン、メタン
ジアミン、アミノエチルピペラジン、ジアミノシクロヘ
キサン、イソホロンジアミンなどの脂肪族アミン;キシ
リレンジアミン、テトラクロル-p-キシリレンジアミ
ン、ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノ
ジフェニルメタン、ジアミノフェニルスルホン、ベンジ
ジン、4,4'−ビス(トルイジン)、4,4'−ジチオ
アニリン、ジアニジン、メチレンビス(クロロアニリ
ン)、トルエンジアミンなどの芳香族アミン;無水フタ
ル酸誘導体、無水アルケニル酸、無水ドデセニルコハク
酸、無水マレイン酸-ビニルエーテル共重合物、無水マ
レイン酸-スチレン共重合物、無水クロレンディック
酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸、エチレングリコールビストリメリテイト、グ
リセリントリストリメリテイトなどの酸無水物;ポリフ
ェノール;ポリメルカプタン;ベンジルジメチルアミ
ン、2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノールな
どの3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−エチル−
4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール;芳香族ス
ルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩などの酸;フェノ
ール樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂等が挙げられる。こ
れらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0161】特に、ポリアミン、酸無水物、ポリフェノ
ール、ポリメルカプタンのような重付加型の硬化剤が好
ましく、中でもポリアミン、ポリフェノール等が好まし
く、ポリアミン(特に芳香族ジアミン)がより好まし
い。
【0162】硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキ
シ基数と硬化剤の反応性官能基数とが同程度になるよう
な量とすることが好ましいが、エポキシ基の1に対し
て、硬化剤の反応性官能基数が0.7〜1.5程度、特に
0.9〜1.2程度となる範囲にすることもできる。
【0163】エポキシ樹脂と硬化剤との好ましい組み合
わせとしては、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテ
ル(例えばストルアス社製、エポフィクス)と4,4'
−ジアミノジフェニルメタンとの組み合わせ、ビスフェ
ノールA型ジグリシジルエーテル(例えば油化シェルエ
ポキシ社製、エピコート828)とドデカメチレンジア
ミンとの組み合わせ等が挙げられる。分散工程 本発明では、分散安定剤の水溶液中に、目的成分、エポ
キシ樹脂、硬化剤、および必要に応じて補助ポリマー
(SPB)を前記使用割合で含有する混合物を分散させ、
懸濁架橋反応を行う。
【0164】目的成分、必要に応じて添加される補助ポ
リマー(SPB)および硬化剤は、エポキシ樹脂に溶解
して、均一溶液となっているのが好ましい。混合時の温
度としては特に限定はなく、例えば、0〜30℃程度で混
合すればよい。
【0165】こうして得られた目的成分、エポキシ樹
脂、硬化剤および必要に応じて添加される補助ポリマー
(SPB)の均一溶液を、次いで、分散安定剤の水溶液
中で分散させる。
【0166】この均一溶液は、分散安定剤の水溶液100
重量部当たり、1〜200重量部程度、特に10〜100重量部
程度となるような量で使用するのが好ましいが、特にこ
の範囲に限定されるものではない。
【0167】分散方法及び温度は、本発明の第1の目的
成分内包微粒子の製造方法の場合と同様である。目的成
分、エポキシ樹脂、硬化剤及び場合により補助ポリマー
(SPB)の均一混合物が分散されて形成される液滴の
平均粒子径は、所望する目的成分内包微粒子の平均粒子
径に応じて適宜決定すればよいが、一般には0.05〜50μ
m程度、特に0.1〜20μm程度とするのが好ましい。単
分散の液滴は、多孔質ガラス(SPG)を利用した膜乳
化法やシード膨潤法(特開平8-20604号公報に記載の方
法)に準じて作製することができる。懸濁架橋反応 こうして得られた目的成分、エポキシ樹脂、硬化剤およ
び必要に応じて添加される補助ポリマー(SPB)の均
一混合物が分散された分散安定剤の水溶液を、懸濁重合
に供するには、この水溶液を撹拌しながら加熱すればよ
い。
【0168】加熱温度としては、目的成分、エポキシ樹
脂(SPB)、硬化剤および必要に応じて添加される補
助ポリマー(SPB)の均一混合物の液滴中で、エポキ
シ樹脂が硬化剤により架橋されるに足りる温度であれば
特に限定されないが、一般には、30〜150℃程度、特に4
0〜120℃程度が好ましい。
【0169】架橋反応は、所望の目的成分内包微粒子が
得られるまで行う。懸濁架橋反応に要する時間は、使用
する目的成分、エポキシ樹脂および硬化剤の種類等によ
り変動するが、一般には3〜48時間程度である。
【0170】また、懸濁架橋反応に際しては、窒素ガ
ス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好
ましい。
【0171】こうして懸濁架橋反応を行うことにより、
目的成分、エポキシ樹脂、硬化剤および必要に応じて添
加される補助ポリマー(SPB)の均一溶液の液滴中
で、エポキシ樹脂が架橋により硬化する。
【0172】得られた架橋エポキシ樹脂は、目的成分ま
たは/および補助ポリマー(SPB)の存在により、相
分離が促進され、その結果、単層構造のシェル、即ち、
架橋エポキシ樹脂からなるシェルが形成される。一方、
コア部には、目的成分および場合により補助ポリマー
(SPB)が内包された状態となる。
【0173】室温で固体の目的成分は、反応初期の液滴
中ではエポキシ樹脂に溶解しているが、エポキシ樹脂の
架橋が進行するにつれて析出する傾向がある。
【0174】このようにして得られた目的成分内包微粒
子は、分散液(サスペンジョン)のままで使用してもよ
く、また、濾過し必要に応じて水洗した後、粉体の形態
で、各種用途に供することができる。微粒子の乾燥方法
は、本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法の場
合と同様である。本発明の第3の目的成分内包微粒子の製造方法 本発明の第3の目的成分内包微粒子の製造方法は、分散
安定剤の水溶液中に、 (i) 目的成分、 (ii) 多価イソシアネート、 (iii) 多価アルコール (iv) 多価イソシアネートと多価アルコールとの重付加
反応により得られるポリウレタンに対して相溶性が低
く、かつ、補助ポリマー(SPC)と水との間の界面張
力(γt)(mN/m)とポリウレタンと水との間の界面張
力(γu)(mN/m)との関係において、γt≧γuの条件
を満たす補助ポリマー(SPC)からなる均一溶液を分
散させ、懸濁重付加反応を行う方法である。分散安定剤 使用可能な分散安定剤は、本発明の第1の目的成分内包
微粒子の製造方法において使用できる分散安定剤と同様
である。
【0175】分散安定剤の使用量は、広い範囲から選択
できるが、一般には、目的成分、多価イソシアネート、
多価アルコール及び補助ポリマー(SPC)からなる均
一溶液の1重量部に対して、0.005〜1重量部程度、特
に0.01〜0.1重量部程度とするのが好ましい。
【0176】また、分散安定剤の水溶液中の分散安定剤
の濃度は本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法
の場合と同様である。目的成分 目的成分としては、多価イソシアネート及び多価アルコ
ールに対して高い相溶性を有し、すなわち水に溶解しな
い疎水性物質、特に水に溶解しない疎水性有機化合物で
あればよく、特に制限されない。また、目的成分は、常
温で固体又は液体のいずれであっても用いることができ
る。
【0177】目的成分としては、例えば、本発明の第1
の目的成分内包微粒子の製造方法において例示した芳香
性物質、抗菌剤、防虫剤、防カビ剤及び溶媒を挙げるこ
とができる。
【0178】目的成分の使用量は、多価イソシアネート
及び多価アルコールの1重量部に対して、0.01〜2重量
部程度、特に0.1〜1重量部程度とするのが好ましい。
【0179】また、目的成分として、次の11)〜13)の
要件を満たす成分を用いることが好ましい。すなわち、 11)多価イソシアネート及び多価アルコールに対して高
い相溶性を有する。 12)多価イソシアネートと多価アルコールとの重付加反
応により得られるポリウレタンに対して低い相溶性を有
する。 13)目的成分と水との間の界面張力(γv)(mN/m)とポ
リウレタンと水との間の界面張力(γu)(mN/m)との
関係において、γv≧γuの条件を満たす。
【0180】本明細書において、目的成分とポリウレタ
ンとの相溶性は、次の方法で測定したものである。すな
わち、ポリウレタンの原料である多価イソシアネートと
目的成分と必要であればトルエンとを適当な重量比率で
含むモノマー成分溶液に、多価アルコール(多価イソシ
アネートに対して等モル当量)を添加し、70℃、窒素
ガス雰囲気中で、多価イソシアネートと多価アルコール
との重付加反応を起こさせる。この反応を光路長1cmの
石英ガラスセル内で行い、波長550nmの光を照射した場
合の光透過率を経時的に測定する。目的成分の濃度を増
加させていくと、当初約100%であった透過率が、ポリ
ウレタンが相分離することによって重合時間経過時に急
激に0%近くまで低下する。この場合に、目的成分とポ
リウレタンとの相溶性が低いと0%近くまで低下する
が、目的成分とポリウレタンとの相溶性が高いと透過率
はほとんど低下しない。また、目的成分とポリウレタン
との相溶性が低いほど、架橋開始から透過率の低下が起
こるまでの時間が短くなる。
【0181】ポリウレタンに対して低い相溶性を有する
目的成分としては、前記方法で透過率を測定した場合
に、多価イソシアネートの架橋率が1〜20%程度、好ま
しくは1〜10%程度で透過率の低下が起こる目的成分が
挙げられる。
【0182】11)〜13)の要件を満たす目的成分を用い
る場合には、補助ポリマー(SPC)を用いてもよい
が、用いなくてもよい。
【0183】11)〜13)の要件を満たすポリウレタンと
目的成分との組み合わせは、後述する方法により容易に
選択することができるが、例えば、イソフォロンジイソ
シアネートとノナンジオール及び5,5',6,6'−テ
トラヒドロキシ−3,3,3',3'−テトラメチル−
1,1'−スピロビインダンとの重付加反応により得ら
れるポリウレタンとオクタンとの組み合わせ、イソフォ
ロンジイソシアネートとドデカンジオールとの重付加反
応により得られるポリウレタンとヘキサデカンとの組み
合わせ等が挙げられる。
【0184】11)〜13)の要件を満たす目的成分を用い
る場合には、補助ポリマー(SPC)を使用しなくて
も、目的成分が多価イソシアネート及び多価アルコール
とポリウレタンとの相分離を促進する。また、補助ポリ
マーを使用しなくても、目的成分、多価イソシアネート
および多価アルコールの均一溶液中で、多価イソシアネ
ートと多価アルコールとが重付加反応によりポリウレタ
ンとなり、ポリウレタンが水との界面に吸着される際
に、目的成分よりもポリウレタンの方が水との界面に吸
着され易くなり、その結果、ポリウレタンからなるシェ
ル内部に目的成分が内包された微粒子が得られる。多価イソシアネート 多価イソシアネートは、水難溶性であることが好ましい
が、通常はこの要件は満たされる。
【0185】多価イソシアネートは、特に制限されず、
1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する公知の
化合物を使用できる。例えば、4,4’−ジフェニルメ
タンジイソシアネート(MDI)、水添加MDI、4,
4’−ビフェニルジイソシアネートトリデンジイソシア
ネート、イソフォロンジイソシアネート、1,3−キシ
リレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシア
ネート、p−テトラメチルキシレンジイソシアネート、
m−テトラメチルキシレンジイソシアネート、2,4−
トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシ
アネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−
フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシ
アネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、
4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、
1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘ
キサメチレンジイソシアネート、1,8−オクタメチレ
ンジイソシアネート、L−リジンジイソシアネート、
1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、4,
4',4''−トリフェニルメタントリイソシアネート、
2,4,4'−ビフェニルトリイソシアネート、2,
4,4'−ジフェニルメタントリイソシアネート、ポリ
メチレンフェニルイソシアネートなどが挙げられる。こ
れらの多価イソシアネートは単独で又は2種以上組み合
わせて使用できる。
【0186】特に、室温で液体状のものが好ましく、こ
のような多価イソシアネートとしてイソフォロンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙
げられる。イソフォロンジイソシアネートがより好まし
い。また、2官能イソシアネート及び3官能イソシアネ
ートの双方を使用できるが、3官能イソシアネートがよ
り好ましい。
【0187】多価イソシアネートの使用量は、目的成分
1重量部に対して0.01〜2重量部程度、特に0.1〜1重
量部程度とするのが好ましい。補助ポリマー(SPC) 補助ポリマー(SPC)としては、次の14)〜15)の要件
を満たすポリマーを広く用いることができる。すなわ
ち、 14) 多価イソシアネートと多価アルコールとの重付加
反応により得られるポリウレタンに対して低い相溶性を
有する。 15) 補助ポリマー(SPC)と水との間の界面張力
(γt)(mN/m)とポリウレタンと水との間の界面張力
(γu)(mN/m)との関係において、γt≧γuの条件を
満たす。
【0188】具体的には、補助ポリマーとしては、多価
イソシアネートと多価アルコールとの重付加反応により
得られるポリウレタンより、極性が低いものを用いるこ
とができる。
【0189】本明細書において、補助ポリマー(SP
C)とポリウレタンとの相溶性は、目的成分とポリウレ
タンとの相溶性について説明した方法において、目的成
分に代えて補助ポリマー(SPC)を用いて測定したも
のである。
【0190】ポリウレタンに対して低い相溶性を有する
補助ポリマー(SPC)としては、多価イソシアネート
の架橋率が0.01〜10%程度で透過率の低下が起こる補助
ポリマーを例示できる。なお、補助ポリマー(SPC)
は、多価イソシアネートに溶解するものであることが望
ましいが、通常この要件は満たされる。
【0191】14)〜15)の要件を満たす補助ポリマー(S
PC)は、多価イソシアネート及び多価アルコールとそ
れらが重付加することにより得られるポリウレタンとの
相分離を促進する。さらに、目的成分、多価イソシアネ
ート、補助ポリマー(SPC)および多価アルコールの
均一溶液中で、多価イソシアネートと多価アルコールと
が重付加してポリウレタンとなり、ポリウレタンが水と
の界面に吸着される際に、ポリウレタンの方が補助ポリ
マー(SPC)よりも水との界面に吸着され易くなり、
その結果、ポリウレタンからなるシェル内部に目的成分
が内包された微粒子が得られる。
【0192】補助ポリマー(SPC)の使用量は、広い
範囲から適宜選択できるが、一般には、多価イソシアネ
ート及び多価アルコールの合計量1重量部に対して0.05
〜0.4重量部程度、特に0.1〜0.2重量部程度とするのが
好ましい。補助ポリマー(SPC)の分子量は、通常数
十万程度のものを用いることができる。多価アルコール 本発明で使用する多価アルコールは、上記液滴中で、多
価イソシアネートとの重付加反応を起こすものであり、
ポリウレタンの製造原料として公知の、油溶性の多価ア
ルコールを広く使用できる。
【0193】具体的には、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレン
グリコール(1,3−または1,4−ブチレングリコー
ル)、テトラメチレンエーテルグリコール、ネオペンチ
ルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、デ
カメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、p−キシリレングリコール、1,4−シクロヘ
キサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール
等が挙げられる。
【0194】また、これらの低分子多価アルコールの重
合体または共重合体、またはこれらの低分子アルコール
の1種又は2種以上にエチレンオキシド、プロピレンオ
キシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチ
レンオキシドなどの1種又は2種以上を付加することに
より得られるポリエーテル多価アルコールも挙げられ
る。さらに、これらの低分子多価アルコール又はこれら
のアルキレンオキシド付加物等の1種又は2種以上と、
マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタ
ル酸、ピメリン酸、セバシン酸、シュウ酸、フタル酸、
イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸な
どの1種又は2種以上を反応させることにより得られる
ポリエステル多価アルコール;プロピオラクトン、ブチ
ロラクトン、カプロラクトンなどの環状エステルを開環
重合させることにより得られるポリエステル多価アルコ
ール;多価アルコールと環状エステルとから得られるポ
リエステル多価アルコールなども例示できる。ポリエー
テル多価アルコール又はポリエステル多価アルコール
は、分子量80〜200程度、特に100〜150程度のものを使
用できる。
【0195】これらは単独で又は2種以上組み合わせて
使用できる。特にトリアルコールが好ましい。
【0196】多価アルコールの使用量は、多価イソシア
ネートとの間で、OH/NCOの値が1程度になる量を
使用するのが一般的であるが、OH/NCO=0.7〜1.
5程度、特に0.9〜1.2程度の範囲で使用できる。
【0197】多価イソシアネートと多価アルコールとの
好ましい組み合わせとしては、イソフォロンジイソシア
ネートとノナンジオールとの組み合わせ、イソフォロン
ジイソシアネートとノナンジオール及び5,5',6,
6'−テトラヒドロキシ−3,3,3',3'−テトラメ
チル−1,1'−スピロビインダン混合物との組み合わ
せ等が挙げられる。分散工程 本発明では、分散安定剤の水溶液中に、目的成分、多価
イソシアネート、多価アルコール、および必要に応じて
補助ポリマー(SPC)を前記使用割合で含有する混合物
を分散させ、懸濁架橋反応を行う。
【0198】目的成分、必要に応じて添加される補助ポ
リマー(SPC)および多価アルコールは、多価イソシ
アネートに溶解して、均一溶液となっているのが好まし
い。混合時の温度としては特に限定はなく、例えば、0
〜10℃程度で混合すればよい。
【0199】こうして得られた目的成分、多価イソシア
ネート、多価アルコールおよび必要に応じて添加される
補助ポリマー(SPC)の均一溶液を、次いで、分散安
定剤の水溶液中で分散させる。
【0200】この均一溶液は、分散安定剤の水溶液100
重量部当たり、1〜200重量部程度、特に10〜100重量部
程度となるような量で使用するのが好ましいが、特にこ
の範囲に限定されるものではない。
【0201】分散方法及び温度は、本発明の第1の目的
成分内包微粒子の製造方法の場合と同様である。目的成
分、多価イソシアネート、多価アルコール及び場合によ
り補助ポリマー(SPC)の均一混合物が分散されて形
成される液滴の平均粒子径は、所望する目的成分内包微
粒子の平均粒子径に応じて適宜決定すればよいが、一般
には0.05〜50μm程度、特に0.1〜20μm程度とするの
が好ましい。単分散の液滴は、多孔質ガラス(SPG)
を利用した膜乳化法やシード膨潤法(特開平8-20604号
公報に記載の方法)に準じて作製することができる。目
的成分、多価イソシアネート、多価アルコールおよび必
要に応じて添加される補助ポリマー(SPC)からなる
均一溶液の粘度、分散安定剤の使用量、分散安定剤水溶
液の粘度、分散方法・分散条件を前記範囲で適宜設定す
ることにより、前記範囲の液滴平均粒子径が得られる。懸濁重付加反応 こうして得られた目的成分、多価イソシアネート、多価
アルコールおよび必要に応じて添加される補助ポリマー
(SPC)の均一混合物が分散された分散安定剤の水溶
液を、懸濁重付加反応に供するには、この水溶液を撹拌
しながら加熱すればよい。
【0202】加熱温度としては、目的成分、多価イソシ
アネート、多価アルコールおよび必要に応じて添加され
る補助ポリマー(SPC)の均一混合物の液滴中で、多
価イソシアネートと多価アルコールとの重付加反応が進
行するに足りる温度であれば特に限定されないが、一般
には、30〜90℃程度、特に40〜70℃程度が好ましい。
【0203】重付加反応は、所望の目的成分内包微粒子
が得られるまで行う。懸濁重付加反応に要する時間は、
使用する目的成分、多価イソシアネートおよび多価アル
コールの種類等により変動するが、一般には3〜48時間
程度である。
【0204】また、懸濁重付加反応に際しては、窒素ガ
ス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好
ましい。
【0205】こうして懸濁架橋反応を行うことにより、
目的成分、多価イソシアネート、多価アルコールおよび
必要に応じて添加される補助ポリマー(SPC)の均一
溶液の液滴中で、多価イソシアネートと多価アルコール
との重付加反応が生じる。
【0206】得られたポリウレタンは、目的成分または
/および補助ポリマー(SPC)の存在により、相分離
が促進され、その結果、単層構造のシェル、即ち、ポリ
ウレタンからなるシェルが形成される。一方、コア部に
は、目的成分および場合により補助ポリマー(SPC)
が内包された状態となる。
【0207】室温で固体の目的成分は、反応初期の液滴
中では多価イソシアネートに溶解しているが、重付加反
応が進行するにつれて析出する傾向がある。
【0208】このようにして得られた目的成分内包微粒
子は、分散液(サスペンジョン)のままで使用してもよ
く、また、濾過し必要に応じて水洗した後、粉体の形態
で、各種用途に供することができる。微粒子の乾燥方法
は、本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法の場
合と同様である。本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法により得
られる目的成分内包微粒子 本発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法により得
られる目的成分内包微粒子は、前述したように、そのシ
ェルが、実質上、少なくとも1種の架橋性モノマーの重
合体若しくは共重合体、架橋性モノマーと単官能性モノ
マーとの共重合体、または、少なくとも1種の単官能性
モノマーの重合体若しくは共重合体からなる単層構造で
ある。
【0209】本発明方法において、モノマー成分とし
て、少なくとも1種の架橋性モノマーおよび少なくとも
1種の単官能性モノマーを用いる場合には、モノマー成
分中に含まれる架橋性モノマーの比率を調整することに
より、得られる目的成分内包微粒子の強度を調整するこ
とができる。
【0210】本発明方法により得られる微粒子シェルの
強度は、モノマー成分の種類、微粒子の粒径などによっ
ても異なるが、モノマー成分が架橋性モノマーからなる
場合または架橋性モノマーおよび単官能性モノマーから
なる場合には、通常1〜200mN程度、特に4〜150mN程度
となる。一方、モノマー成分が単官能性モノマーからな
る場合には、通常0.01〜0.5mN程度、特に0.1〜0.4mN
程度となる。
【0211】また、典型的には、本発明方法により得ら
れる目的成分内包微粒子のシェルの厚さは、0.01〜5μ
m程度、特に0.1〜3μm程度である。
【0212】また、本発明方法により得られる目的成分
内包微粒子の中空部分の容積比率は、10〜80%程度、特
に10〜50%程度である。
【0213】ここで、本明細書において、「中空部分の
容積比率」Aは、下記の式により算出されるものであ
る。
【0214】A(%)=(rh/rp)3×100 (式中、rhは、目的成分内包微粒子の中空部分の半径
(シェルの内径の1/2)であり、rpは、目的成分内包微
粒子の半径(シェルの外径の1/2)である。) また、本発明方法により得られる目的成分内包微粒子の
粒子径は、通常、平均粒子径が0.05〜50μm程度とな
る。特に、目的成分内包微粒子の粒子径が0.1〜20μm程
度の範囲となるようにして本発明を実施するのが好まし
い。この粒子径は、電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡によ
り測定した場合の粒子径である。
【0215】中空微粒子の粒子径は、一般には、目的成
分、モノマー成分、開始剤および必要に応じて添加され
る補助ポリマー(SPA)の均一混合物が分散されて形
成される液滴の大きさを変化させることにより調節する
ことができる。また、前述したように、懸濁重合の前に
粒子径の揃った単分散の液滴を調整すると、得られる目
的成分内包微粒子も粒子径の揃った単分散となる。
【0216】本発明方法により得られる目的成分内包微
粒子における、1微粒子あたりの目的成分の内包量は、
通常、シェルに対して10〜80重量%程度となる。特に、
30〜70重量%程度となるようにして本発明方法を実施す
るのが好ましい。本発明の第2の目的成分内包微粒子の製造方法により得
られる目的成分内包微粒子 本発明の第2の目的成分内包微粒子の製造方法により得
られる目的成分内包微粒子は、前述したように、そのシ
ェルが、実質上、架橋エポキシ樹脂からなる単層構造で
ある。
【0217】本発明方法においては、シェルを構成する
高分子材料が架橋エポキシ樹脂であるために、高強度の
シェルを有する微粒子が得られる。
【0218】また、典型的には、本発明方法により得ら
れる目的成分内包微粒子のシェルの厚さは、0.01〜5μ
m程度、特に0.1〜3μm程度である。
【0219】また、本発明方法により得られる目的成分
内包微粒子の中空部分の容積比率は、10〜80%程度、特
に10〜50%程度である。
【0220】また、本発明方法により得られる目的成分
内包微粒子の粒子径は、通常、平均粒子径が0.05〜50μ
m程度となる。特に、目的成分内包微粒子の粒子径が0.1
〜20μm程度の範囲となるようにして本発明を実施する
のが好ましい。この粒子径は、電子顕微鏡あるいは光学
顕微鏡により測定した場合の粒子径である。
【0221】微粒子の粒子径の調整方法、単分散の目的
成分内包微粒子の調製方法は、本発明の第1の目的成分
内包微粒子の製造方法の場合と同様である。
【0222】本発明の第2の目的成分内包微粒子の製造
方法により得られる目的成分内包微粒子における、1微
粒子あたりの目的成分の内包量は、通常、シェルに対し
て10〜80重量%程度となる。特に、30〜70重量%程度と
なるようにして本発明方法を実施するのが好ましい。本発明の第3の目的成分内包微粒子の製造方法により得
られる目的成分内包微粒子 本発明の第3の目的成分内包微粒子の製造方法により得
られる目的成分内包微粒子は、前述したように、そのシ
ェルが、実質上、ポリウレタンからなる単層構造であ
る。
【0223】本発明方法においては、シェルを構成する
高分子材料が架橋構造を採るポリウレタンであるため
に、高強度のシェルを有する微粒子が得られる。
【0224】また、典型的には、本発明方法により得ら
れる目的成分内包微粒子のシェルの厚さは、0.01〜5μ
m程度、特に0.1〜3μm程度である。
【0225】また、本発明方法により得られる目的成分
内包微粒子の中空部分の容積比率は、10〜80%程度、特
に10〜50%程度である。
【0226】また、本発明方法により得られる目的成分
内包微粒子の粒子径は、通常、平均粒子径が0.05〜50μ
m程度となる。特に、目的成分内包微粒子の粒子径が0.1
〜20μm程度の範囲となるようにして本発明を実施する
のが好ましい。この粒子径は、電子顕微鏡あるいは光学
顕微鏡により測定した場合の粒子径である。
【0227】微粒子の粒子径の調整方法、単分散の目的
成分内包微粒子の調製方法は、本発明の第1の目的成分
内包微粒子の製造方法の場合と同様である。
【0228】本発明の第3の目的成分内包微粒子の製造
方法により得られる目的成分内包微粒子における、1微
粒子あたりの目的成分の内包量は、通常、シェルに対し
て10〜80重量%程度となる。特に、30〜70重量%程度と
なるようにして本発明方法を実施するのが好ましい。本発明の第1の中空高分子微粒子の製造方法 本発明の中空高分子微粒子の製造方法は、分散安定剤の
水溶液中で、(i)エポキシ樹脂、(ii)硬化剤及び(iii)エ
ポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋させることにより得ら
れる架橋エポキシ樹脂に対して相溶性の低い水難溶性の
溶媒からなる混合物を分散させ、懸濁架橋反応を行う方
法である。分散安定剤 分散安定剤については、本発明の第2の目的成分内包微
粒子の製造方法の場合と同様である。また、分散安定剤
の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般には、エ
ポキシ樹脂と硬化剤と溶媒との合計1重量部に対して、
0.001〜1重量部程度、特に0.01〜0.1重量部程度とする
のが好ましい。
【0229】また、分散安定剤の水溶液において、分散
安定剤の濃度は上記液滴が合一しないような濃度となる
ように適宜選択すればよい。一般には、分散安定剤水溶
液の濃度は、0.001〜10重量%程度、特に0.1〜0.5重量
%程度の範囲に調整するのが好ましい。エポキシ樹脂 エポキシ樹脂については、本発明の第2の目的成分内包
微粒子の製造方法の場合と同様である。エポキシ樹脂の
使用量は、目的とする中空高分子微粒子の粒子径、シェ
ルの厚さ等に応じて適宜選択できるが、一般には、前記
溶媒1重量部に対して0.1〜2重量部程度、特に0.5〜1重
量部程度とするのが好ましい。硬化剤 硬化剤については、本発明の第2の目的成分内包微粒子
の製造方法の場合と同様である。硬化剤の使用量は、エ
ポキシ樹脂のエポキシ基数と硬化剤の反応性官能基数が
同程度になる量とするのが一般的であるが、エポキシ基
の1に対して硬化剤の反応性官能基数が0.7〜1.5程
度、特に0.9〜1.2程度となる量とすることもでき
る。
【0230】溶媒(B) 溶媒(B)は、エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋する
ことにより得られる架橋エポキシ樹脂に対する相溶性が
低く、架橋エポキシ樹脂の相分離を促進し、かつ、架橋
エポキシ樹脂皮膜の形成を妨げないものであれば、各種
の有機溶媒が使用できる。
【0231】このような溶媒としては、例えば、炭素数
8〜18程度の飽和炭化水素、炭素数6〜12程度、特に炭素
数6〜10程度の芳香族炭化水素等が例示できる。特に好
ましい溶媒としては、ヘキサデカン、オクタン、キシレ
ン等が挙げられる。
【0232】本発明では、溶媒(B)としては、例示し
た炭化水素及び芳香族炭化水素に限定されず、架橋エポ
キシ樹脂に対して相溶性が低い性質を有し、かつ、溶媒
(B)と水間の界面張力(γa)と、本発明の第1の中空
高分子微粒子の製造方法の条件下でエポキシ樹脂及び硬
化剤を溶媒(B)に溶解してなる溶液を懸濁架橋反応に
供して得られる架橋エポキシ樹脂吸着表面と水間の界面
張力(γb)(mN/m)との関係において、γa≧γbのよ
うな条件が成立する溶媒を広く使用できる。
【0233】上記溶媒(B)の使用量は、広い範囲から
適宜選択できるが、一般には、エポキシ樹脂と硬化剤と
の合計量1重量部に対して、1〜5重量部程度、特に1〜2
重量部程度とするのが好ましい。分散工程 本発明では、分散安定剤の水溶液中に、エポキシ樹脂、
硬化剤及び溶媒(B)を前述した使用割合で含有する混合
物を分散させ、懸濁重合を行なう。
【0234】エポキシ樹脂、硬化剤及び溶媒(B)の混合
物は、均一溶液となっているのが好ましく、これら3成
分を混合することにより形成される。混合時の温度とし
ては特に限定はなく、例えば、0〜30℃程度で混合すれ
ばよい。
【0235】こうして得られたエポキシ樹脂、硬化剤及
び溶媒(B)の均一溶液を、次いで、分散安定剤の水溶液
中で分散させる。
【0236】均一溶液は、分散安定剤の水溶液100重
量部当たり、1〜50重量部程度、特に3〜20重量部程度と
なるような量で使用するのが好ましいが、特にこの範囲
に限定されるものではない。
【0237】分散方法、単分散の液滴の調製方法は、本
発明の第1の目的成分内包微粒子の製造方法で説明した
通りである。液滴の平均粒子径は、所望とする中空高分
子微粒子の平均粒子径に応じて適宜決定すればよいが、
一般には0.1〜30μm程度、特に0.5〜10μm程度とする
のが好ましい。懸濁重合 こうして得られたエポキシ樹脂、硬化剤及び溶媒(B)の
均一混合物が分散された分散安定剤の水溶液を、懸濁重
合に供するには、この水溶液を撹拌しながら加熱すれば
よい。加熱温度はエポキシ樹脂、硬化剤及び溶媒(B)の
均一混合物の液滴中で、エポキシ樹脂が硬化剤により架
橋開始するに足りる温度であれば特に限定されないが、
一般には、30〜150℃程度、特に50〜120℃程度が好まし
い。
【0238】懸濁架橋反応は、所望の中空高分子微粒子
が得られるまで行う。懸濁架橋反応に要する時間は、一
般には3〜24時間程度である。
【0239】また、懸濁重合に際しては、窒素ガス、ア
ルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0240】こうして懸濁架橋反応を行うことにより、
エポキシ樹脂、硬化剤及び溶媒(B)の均一混合物の液滴
中で、エポキシ樹脂が硬化剤により架橋する。得られた
架橋エポキシ樹脂は、溶媒(B)の存在により、相分離
が促進され、その結果、単層構造のシェル、即ち、架橋
エポキシ樹脂からなるシェルが形成される。一方、コア
部には、溶媒(B)が内包された状態となる。
【0241】このようにして得られた中空高分子微粒子
は、分散液(サスペンジョン)のままで使用してもよ
く、また、濾過し必要に応じて水洗した後、粉体の形態
で、各種用途に供することができる。さらに、サスペン
ジョンや粉体の形態の中空重合体粒子を、温度20〜3
00℃程度、圧力1〜100000Pa程度の条件下で
乾燥する方法、自然蒸発、減圧処理等により、中空部に
存在する溶媒(B)を除去した形態で各種用途に供する
こともできる。
【0242】本発明の第1の中空高分子微粒子の中空と
は、中空部に空気が存在する場合だけでなく、溶媒
(B)等が中空部に存在している場合も含む趣旨であ
る。これは、中空部に溶媒等が存在しても、ポリマーピ
グメントとしての隠蔽性付与効果や光沢性付与効果を有
するからである。本発明の第1の中空高分子微粒子 本発明の第1の中空高分子微粒子の製造方法により得ら
れる中空高分子微粒子は、そのシェルが、実質上、架橋
エポキシ樹脂からなる単層構造であり、この点におい
て、前記従来法により得られる3層構造又は2層構造の
中空高分子微粒子とは大きく異なっている。
【0243】この中空高分子微粒子は、エポキシ樹脂及
び硬化剤の反応性官能基の数によっても異なるが、一般
にシェルが強固で、空隙率が大きいという特徴を有す
る。典型的には、本発明の中空高分子微粒子のシェルの
厚さは、0.01〜4μm程度、特に0.05〜1μm程度であ
る。また、空隙率は、50〜80%程度、特に60〜70%程度
である。
【0244】また、本発明の第1の中空高分子微粒子の
粒子径は、分散した液滴の大きさを変化させることによ
り調節することが出来るが、一般には、平均粒子径は、
0.1〜30μm程度、特に0.5〜10μm程度の範囲にあるの
が好ましい。この場合の中空高分子微粒子の粒子径は、
電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡により測定した場合の粒
子径である。
【0245】また、懸濁架橋反応の前に粒子径の揃った
単分散の液滴を調整すると、得られる中空高分子微粒子
も粒子径の揃った単分散となる。本発明の第2の中空高分子微粒子の製造方法 本発明の中空高分子微粒子の製造方法は、分散安定剤の
水溶液中で、(i)多価イソシアネート、(ii)多価アルコ
ール及び(iii)多価イソシアネートと多価アルコールと
の重付加反応により得られるポリウレタンに対して相溶
性の低い水難溶性の溶媒(C)からなる混合物を分散さ
せ、懸濁重付加反応を行う方法である。分散安定剤 分散安定剤については、本発明の第3の目的成分内包微
粒子の製造方法の場合と同様である。また、分散安定剤
の使用量は、広い範囲から選択できるが、一般には、多
価イソシアネートと多価アルコールとの合計1重量部に
対して、0.001〜1重量部程度、特に0.01〜0.1重量部程
度とするのが好ましい。
【0246】また、分散安定剤の水溶液において、分散
安定剤の濃度は上記液滴が合一しないような濃度となる
ように適宜選択すればよい。一般には、分散安定剤水溶
液の濃度は、0.001〜10重量%程度、特に0.1〜0.5重量
%程度の範囲に調整するのが好ましい。多価イソシアネート 多価イソシアネートについては、本発明の第3の目的成
分内包微粒子の製造方法の場合と同様である。多価イソ
シアネートの使用量は、目的とする中空高分子微粒子の
粒子径、シェルの厚さ等に応じて適宜選択できるが、一
般には、前記溶媒1重量部に対して0.1〜2重量部程度、
特に0.5〜1重量部程度とするのが好ましい。多価アルコール 多価アルコールについては、本発明の第3の目的成分内
包微粒子の製造方法の場合と同様である。多価アルコー
ルの使用量は、多価イソシアネートに対して、OH/N
CO=1程度となる量を使用するのが一般的であるが、
OH/NCO=0.7〜1.5程度、特に0.9〜1.2程
度となる量とすることができる。
【0247】溶媒(C) 溶媒(C)は、エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋する
ことにより得られる架橋エポキシ樹脂に対する相溶性が
低く、架橋エポキシ樹脂の相分離を促進し、かつ、架橋
エポキシ樹脂皮膜の形成を妨げないものであれば、各種
の有機溶媒が使用できる。
【0248】このような溶媒(C)としては、例えば、
炭素数8〜18程度の飽和炭化水素、炭素数6〜15程度、特
に炭素数6〜10程度の芳香族炭化水素等が例示できる。
特に好ましい溶媒としては、ヘキサデカン、オクタン、
キシレン等が挙げられる。
【0249】本発明では、溶媒(C)としては、例示し
た炭化水素及び芳香族炭化水素に限定されず、ポリウレ
タンに対して相溶性が低い性質を有し、かつ、溶媒
(C)と水間の界面張力(γc)と、本発明の第2の中
空高分子微粒子の製造方法の条件下で多価イソシアネー
ト及び多価アルコールを溶媒(C)に溶解してなる溶液
を懸濁重付加反応に供して得られるポリマー吸着表面と
水間の界面張力(γd)(mN/m)との関係において、γ
c≧γdのような条件が成立する溶媒を広く使用できる。
【0250】上記溶媒(C)の使用量は、広い範囲から
適宜選択できるが、一般には、多価イソシアネートと多
価アルコールとの合計量1重量部に対して、1〜5重量部
程度、特に1〜2重量部程度とするのが好ましい。分散工程 本発明では、分散安定剤の水溶液中に、多価イソシアネ
ート、多価アルコール及び溶媒(C)を前述した使用割合
で含有する混合物を分散させ、懸濁重合を行なう。
【0251】多価イソシアネート、多価アルコール及び
溶媒(C)の混合物は、均一溶液となっているのが好まし
く、これら3成分を混合することにより形成される。混
合時の温度としては特に限定はなく、例えば、0〜10℃
程℃で混合すればよい。
【0252】こうして得られた多価イソシアネート、多
価アルコール及び溶媒(C)の均一溶液を、次いで、分散
安定剤の水溶液中で分散させる。
【0253】均一溶液は、分散安定剤の水溶液100重
量部当たり、1〜50重量部程度、特に3〜20重量部程度と
なるような量で使用するのが好ましいが、特にこの範囲
に限定されるものではない。
【0254】分散方法、単分散の液滴の調製方法は、本
発明の第2の目的成分内包微粒子の製造方法で説明した
通りである。液滴の平均粒子径は、所望とする中空高分
子微粒子の平均粒子径に応じて適宜決定すればよいが、
一般には0.1〜30μm程度、特に0.5〜10μm程度とする
のが好ましい。懸濁重合 こうして得られた多価イソシアネート、多価アルコール
及び溶媒(C)の均一混合物が分散された分散安定剤の水
溶液を、懸濁重合に供するには、この水溶液を撹拌しな
がら加熱すればよい。加熱温度は多価イソシアネート、
多価アルコール及び溶媒(C)の均一混合物の液滴中で、
多価イソシアネートが多価アルコールにより重付加を開
始するに足りる温度であれば特に限定されないが、一般
には、30〜90℃程度、特に50〜70℃程度が好ましい。
【0255】懸濁重付加反応は、所望の中空高分子微粒
子が得られるまで行う。懸濁重付加反応に要する時間
は、一般には3〜48時間程度である。
【0256】また、懸濁重付加に際しては、窒素ガス、
アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0257】こうして懸濁重付加反応を行うことによ
り、多価イソシアネート、多価アルコール及び溶媒(C)
の均一混合物の液滴中で、多価イソシアネートと多価ア
ルコールとが重付加する。得られたポリウレタンは、溶
媒(C)の存在により、相分離が促進され、その結果、
単層構造のシェル、即ち、ポリウレタンからなるシェル
が形成される。一方、コア部には、溶媒(C)が内包さ
れた状態となる。
【0258】このようにして得られた中空高分子微粒子
は、分散液、粉体、又は、中空部に存在する溶媒(C)
を除去した形態で各種用途に供することができる。本発
明の第2の中空高分子微粒子の中空とは、中空部に空気
が存在する場合だけでなく、溶媒(C)等が中空部に存
在している場合も含む趣旨である。本発明の第2の中空高分子微粒子 本発明の第2の中空高分子微粒子の製造方法により得ら
れる中空高分子微粒子は、そのシェルが、実質上、ポリ
ウレタンからなる単層構造であり、この点において、前
記従来法により得られる3層構造又は2層構造の中空高
分子微粒子とは大きく異なっている。
【0259】この中空高分子微粒子は、多価イソシアネ
ート及び多価アルコールの反応性官能基の数によっても
異なるが、一般にシェルが強固で、空隙率が大きいとい
う特徴を有する。典型的には、本発明の中空高分子微粒
子のシェルの厚さは、0.01〜4μm程度、特に0.05〜1μ
m程度である。また、空隙率は、50〜80%程度、特に60
〜70%程度である。
【0260】また、本発明の第2の中空高分子微粒子の
粒子径は、分散した液滴の大きさを変化させることによ
り調節することが出来るが、一般には、平均粒子径は、
0.1〜30μm程度、特に0.5〜10μm程度の範囲にあるの
が好ましい。この場合の中空高分子微粒子の粒子径は、
電子顕微鏡あるいは光学顕微鏡により測定した場合の粒
子径である。
【0261】また、懸濁架橋反応の前に粒子径の揃った
単分散の液滴を調整すると、得られる中空高分子微粒子
も粒子径の揃った単分散となる。
【0262】
【発明の効果】本発明の第1の目的成分内包微粒子の製
造方法によると、シェルおよび中空部分からなる中空高
分子微粒子の中空部分に目的成分が内包された微粒子を
製造する際に、シェルを構成するモノマー成分中に含ま
れる架橋性モノマーの比率を調整することにより、得ら
れる目的成分内包微粒子のシェルの強度を容易に調整す
ることができる。
【0263】モノマー成分中に含まれる架橋性モノマー
の比率を多くすることにより、特に架橋性モノマーを10
0重量%程度含むモノマー成分を用いることにより、高
強度の微粒子を製造することができる。高強度の微粒子
は、この微粒子を含有する製品の製造時、使用時等に微
粒子にかけられる力によっても破壊されないため、内包
された成分の徐放持続性に優れる。また、この目的成分
内包微粒子は、中空部分に目的成分を内包すると共に粒
径が比較的大きいため、1微粒子当たりの目的成分の保
持量が多い。このことからも、目的成分の徐放期間が長
くなる。また、モノマー成分を単官能性モノマーからな
るものとすることにより、低強度の微粒子を製造するこ
とができる。低強度の微粒子は、微粒子に圧力をかける
ことにより容易に破壊されて、内包された成分を放出す
る。なお、この微粒子は、内部に目的成分が存在するた
め、特に圧力を加えない状態では、破壊されない。ま
た、前述したように、この目的成分内包微粒子は、中空
部分に目的成分を内包すると共に粒径が比較的大きいた
め、1微粒子当たりの目的成分の保持量が多い。従っ
て、多量の目的成分を所定時期に放出できる。
【0264】本発明の第2の目的成分内包微粒子の製造
方法によると、架橋されたエポキシ樹脂からなるシェル
を有する高強度の微粒子が得られる。また、本発明の第
3の目的成分内包微粒子の製造方法によると、架橋構造
を有するポリウレタンからなるシェルを有する高強度の
微粒子が得られる。これらの高強度の微粒子は、この微
粒子を含有する製品の製造時、使用時等に微粒子にかけ
られる力によっても破壊されないため、内包された成分
の徐放持続性に優れる。また、これらの目的成分内包微
粒子は、中空部分に目的成分を内包すると共に粒径が比
較的大きいため、1微粒子当たりの目的成分の保持量が
多い。このことからも、目的成分の徐放期間が長くな
る。
【0265】また、本発明の第1、第2及び第3の目的成
分内包微粒子の製造方法は、目的成分、モノマー成分及
び開始剤(又は、エポキシ樹脂及び硬化剤、又は、多価
イソシアネート及び多価アルコール)並びに必要に応じ
て添加される補助ポリマーを混合して懸濁重合すること
により、1段階で、目的成分が中空部に内包された微粒
子を形成できる。すなわち、操作が簡単であるととも
に、特殊な設備や装置を必要とせず、低コストで簡単に
行うことができる。
【0266】本発明の第1及び第2の中空高分子微粒子
は、有機白色顔料として、或いは紙の塗工剤中に添加す
るポリマーピグメントとして、或いはマイクロカプセル
担体として使用できる。
【0267】特に、本発明の中空高分子微粒子は、粒径
が大きくかつ空隙率が大きいため、その中空部に多くの
空気を含有することができ、この結果、断熱性や遮音性
等の特性を付与することも可能となる。
【0268】さらに、本発明により得られる中空重合体
粒子は、空隙率が大きくその皮膜が薄いため、低分子量
物質を粒子内部から外部へ拡散させる機能も有する。し
たがって、この発明により得られる中空重合体粒子は、
ドラッグデリバリーシステムや、香料等を封入したマイ
クロカプセルとして使用することも可能である。
【0269】また、本発明の第1及び第2の中空高分子微
粒子の製造製法は、アルカリ処理等を必要としないた
め、得られる中空重合体粒子は、耐アルカリ性等の特性
も優れている。
【0270】さらに、本発明の中空重合体粒子の製法
は、特殊な設備や装置を必要とせず、低コストで簡単に
行うことができ、高性能の中空高分子粒子を簡便に提供
することが可能となる。
【0271】
【実施例】つぎに、実施例及び比較例を掲げて本発明を
より詳しく説明する。これら実施例は本発明の理解を容
易にするためのものであって、本発明を限定するもので
はなく、種々の変更が可能である。
【0272】実施例1-1 (a)分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度1
700,ケン化度88%)24mgを水7.48gに溶
解させて得た水溶液に、薬効としてヒノキチオール(純
度99.9%、大阪有機化学工業社製HT-SF)25mg、モノ
マー成分として架橋性モノマーのエチレングリコールジ
メタクリレート250mg、補助ポリマーとしてポリス
チレン(重量平均分子量16万)50mg、開始剤として
2,2'−アゾビス(4−メトキシ−ジメチルバレロニ
トリル)(和光純薬社製、V−70)の15mgを均一
混合してなる溶液を懸濁させた。
【0273】懸濁の方法は、装置としてホモジナイザー
を用い、攪拌速度1500rpmで2分間、室温の条件下で行
った。得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm
程度のものであった。
【0274】(b)次いで、懸濁液を窒素ガス雰囲気下
で、撹拌しながら40℃で加熱し、48時間懸濁重合さ
せた。
【0275】得られた分散液を顕微鏡観察したところ、
平均粒子径約10μmの略真球状の中空微粒子のコア部
分に、固体状態のヒノキチオールが内包されていた。シ
ェルの厚さは約3μmであり、中空部分の容積比率は約
10%であった。
【0276】また、重量測定による反応率は100%で
あった。
【0277】なお、重量測定による反応率(%)は、下
記の式に従い算出されるものである。
【0278】反応率=(Wpc/Wmo)×100 Wpc:生成ポリマー重量 Wmo:仕込みモノマー成分重量実施例1-2 実施例1-1において、ヒノキチオールの使用量を10
0mgにした他は、実施例1-1と同様にして、ヒノキチ
オールを内包する微粒子を得た。
【0279】得られた分散液を顕微鏡観察したところ、
平均粒子径約10μmの略真球状の中空微粒子のコア部
に、固体状態のヒノキチオールが内包されていた。シェ
ルの厚さは約1.5μmであり、中空部分の容積比率は
約30%であった。微小圧縮試験器を用いて測定した微
粒子の強度(圧裂限界荷重)は7〜9mNであった。
【0280】また、重量測定による反応率は100%で
あった。
【0281】実施例1-3 実施例1-1において、ヒノキチオールの使用量を25
0mgにした他は、実施例1-1と同様にして、ヒノキチ
オールを内包する微粒子を得た。
【0282】得られた分散液を顕微鏡観察したところ、
平均粒子径約10μmの略真球状の中空微粒子のコア部
に、固体状態のヒノキチオールが内包されていた。シェ
ルの厚さは約1μmであり、中空部分の容積比率は約5
0%であった。微小圧縮試験器を用いて測定した微粒子
の強度(圧裂限界荷重)は約4mNであった。
【0283】また、重量測定による反応率は94%であ
った。
【0284】比較例1-1 実施例1-3において、補助ポリマーとしてのポリスチ
レンを使用しなかった他は、実施例1-3と同様にし
て、微粒子を得た。
【0285】得られた分散液を顕微鏡観察したところ、
平均粒子径約10μmの略真球状の中空微粒子が得られ
ていた。また、後述するように、微粒子シェルは、モノ
マー成分が重合したポリエチレングリコールジメタクリ
レートとヒノキチオールとが均一に混合されたものであ
った。
【0286】微小圧縮試験器を用いて測定した微粒子の
強度(圧裂限界荷重)は1mN未満であった。
【0287】また、重量測定による反応率は93%であ
った。
【0288】結果を次表1にまとめて示す。
【0289】
【表1】
【0290】表1の結果から明らかなように、上記の実
施例1-1〜1-3により、高い反応率で、簡単に、ヒノ
キチオールを内包する微粒子が得られ、しかも各微粒子
の強度は極めて高いことが分かる。
【0291】試験例1 実施例1-2及び比較例1-1により得られた各微粒子を
光学顕微鏡写真で観察した。その写真を、それぞれ図1
の(a)及び(b)に示す。図1の(a)に示すように、実施例
2による微粒子は、比較的厚いシェルが形成され、中空
部に固体のヒノキチオールが内包されていることが分か
る。一方、図1の(b)に示すように、比較例1の微粒子
では、ポリエチレングリコールジメタクリレートとヒノ
キチオールとが混合した状態のシェルが形成されている
ことが分かる。
【0292】次に、実施例1-2で得られた分散液を濾
紙を用いて濾過することによりヒノキチオール内包微粒
子を単離し、温度約100℃、圧力約100000Pa(大気
圧下)の条件下で、6日間乾燥した。結果を図2に示
す。図2の(a)は、実施例1-2により得られた分散液中
に含まれるヒノキチオール内包微粒子の顕微鏡写真であ
り、図2の(b)は、乾燥後の微粒子の顕微鏡写真であ
る。図2の(b)に示すように、本発明の微粒子を乾燥す
ることにより、中空部のヒノキチオールが蒸発ないしは
昇華した微粒子が得られたことが分かる。
【0293】試験例2 次に、ヒノキチオール自体と実施例3により得られたヒ
ノキチオールを内包する微粒子との双方について、1H N
MR分析(250MHz)を行った。得られた1H NMRスペクトラ
ムを図3に示す。図3の (a)はヒノキチオール自体の結
果であり、図3の(b)は実施例3により得られたヒノキ
チオール内包微粒子の結果である。
【0294】図3に示すように、(a)と(b)とでは、検出
されるピークに殆ど差はなかった。このことから、ヒノ
キチオールは、懸濁重合工程で変性していないことが分
かる。
【0295】なお、図3の(b)における5ppm付近のブロ
ードなピークおよび1〜2ppmの微小なピークは、分散
安定剤であるポリビニルアルコールおよび補助ポリマー
であるポリスチレンに由来するものと考えられる。
【0296】試験例3 次に、実施例1-2及び比較例1-1により得られた各微
粒子、並びにヒノキチオール自体について、窒素ガスを
流しながら150℃で加熱処理した場合の重量の減少率
を測定することにより、ヒノキチオールの徐放持続性を
調べた。結果を図4に示す。図4のグラフにおいて、実
線は実施例2の微粒子、破線は比較例1-1の微粒子、
1点鎖線はヒノキチオール自体の結果である。
【0297】図4に示すように、実施例2の微粒子は、
ヒノキチオール自体および比較例1-1の微粒子に比べ
て重量減少が緩やかであった。このことから、実施例1
-2の微粒子では、ヒノキチオールの放出が非常に遅
く、その徐放期間が非常に長いことが分かる。
【0298】実施例2-1 (a)分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度170
0、ケン化度88 %)45mgを水に溶解させて得た
水溶液13gに、エポキシ樹脂としてエポフィクス(ス
トルアス社製)1.31g、硬化剤として4,4'-ジアミノ
ジフェニルメタン0.19g、溶媒としてキシレン1.
31gを均一混合してなる溶液を懸濁させた。
【0299】懸濁の方法は、装置としてホモジナイザー
を用い、攪拌速度1000rpm、室温下の条件で行った。
得られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm程度のも
のであった。
【0300】(b)次いで、懸濁液を、窒素ガス雰囲気下
で、攪拌しながら、70℃で加熱しつつ、24時間重付
加反応させた。得られた分散液を顕微鏡観察したとこ
ろ、一部にシェル層がへこんでいる微粒子が観察された
ものの、殆どは平均粒子径約10μmの略真球状の中空高
分子微粒子が得られていた。コア部には、キシレンが内
包されていた。シェルの厚さは、約1μmであり、空隙
率は約50%であった。
【0301】実施例3-1 (a)分散安定剤としてポリビニルアルコール(重合度170
0、ケン化度88 %)45mgを水に溶解させて得た水
溶液13gに、多価イソシアネートとしてイソフォロン
ジイソシアネート0.74g、多価アルコールとしてノ
ナンジオール0.48gと5,5',6,6'−テトラヒ
ドロキシ-3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−
スピロビインダン0.028gとの混合物、溶媒として
オクタン0.74gを均一混合してなる溶液を懸濁させ
た。
【0302】懸濁の方法は、装置としてホモジナイザー
を用い、攪拌速度1000rpm、50℃の条件で行った。得
られた懸濁液の液滴は、平均粒子径が10μm程度のもの
であった。
【0303】(b)次いで、懸濁液を、70℃で加熱しつ
つ、24時間重付加反応させた。得られた分散液を顕微
鏡観察したところ、平均粒子径約10μmの略真球状の中
空高分子微粒子が得られていた。コア部には、オクタン
が内包されていた。シェルの厚さは、約1μmであり、
空隙率は約50%であった。得られた微粒子の顕微鏡写真
を図5に示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、実施例1-2により得られた目的成分内
包微粒子の粒子構造を示す図面代用写真(顕微鏡写真)
であり、(b)は、比較例1-1により得られた微粒子の粒
子構造を示す図面代用写真(顕微鏡写真)である。
【図2】(a)は、実施例1-2により得られた目的成分内
包微粒子の粒子構造を示す図面代用写真(顕微鏡写真)
であり、(b)は、これを加熱により乾燥した後の目的成
分内包微粒子の粒子構造を示す図面代用写真(顕微鏡写
真)である。
【図3】(a)は、ヒノキチオール自体の1H NMRスペクト
ラムであり、(b)は、実施例1-3により得られたヒノキ
チオール内包微粒子の1H NMRスペクトラムである。
【図4】実施例1-2および比較例1-1により得られた各
微粒子について、ヒノキチオールの徐放持続性を調べた
グラフである。
【図5】実施例3-1で得られたポリウレタンからなる
シェルを有する溶媒内包微粒子の図面代用写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 291/00 B01J 13/02 B Fターム(参考) 4G005 AA01 AB14 AB25 BA02 BA03 DB22X DB30X DC03Y DC18Y DC29Y DC34Y DC35Y DC36Y DC42Y DC46Y DD04Z DD05Z DD24Y DD25Y DD25Z DD38Z DD39Z EA03 EA05 4J011 JA06 JA07 JA08 JA14 PA25 PA27 PB08 PB20 PB40 PC02 PC07 4J026 AA17 AA45 AC09 AC36 BA07 BA28 BB09 BB10 DB03 DB12 DB15 FA02 FA09 GA06 GA08

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】分散安定剤の水溶液中に、目的成分、下記
    のモノマー成分、下記の補助ポリマー(SPA)及び開
    始剤を含む混合物を分散させ、懸濁重合を行うことを特
    徴とする目的成分内包微粒子の製造方法。 モノマー成分:少なくとも1種の架橋性モノマーを100
    〜0重量%、少なくとも1種の単官能性モノマーを0〜10
    0重量%含むモノマー成分 補助ポリマー(SPA):モノマー成分を重合又は共重
    合することにより得られるポリマー(PA)に対して相
    溶性が低く、かつ、補助ポリマー(SPA)と水との間
    の界面張力(γx)(mN/m)とポリマー(PA)と水と
    の間の界面張力(γy)(mN/m)との関係において、γx
    ≧γyの条件を満たすポリマー
  2. 【請求項2】 モノマー成分が、少なくとも1種の架橋
    性モノマー、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと
    少なくとも1種の単官能性モノマーとの混合物である請
    求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 モノマー成分が、少なくとも1種の架橋
    性モノマーを100〜10重量%、少なくとも1種の単官能
    性モノマーを0〜90重量%含む請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 架橋性モノマーが重合性C=C二重結合
    を2個以上有する多官能性モノマーである請求項1、2
    又は3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 モノマー成分が、少なくとも1種の単官
    能性モノマーである請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 分散安定剤の水溶液中に、下記の目的成
    分、下記のモノマー成分及び開始剤を含む混合物を分散
    させ、懸濁重合を行うことを特徴とする目的成分内包微
    粒子の製造方法。 目的成分:モノマー成分を重合又は共重合することによ
    り得られるポリマー(PA)に対して相溶性が低く、か
    つ、目的成分と水との間の界面張力(γz)(mN/m)と
    ポリマー(PA)と水との間の界面張力(γy)(mN/
    m)との関係において、γz≧γyの条件を満たす目的成
    分 モノマー成分:少なくとも1種の架橋性モノマーを100
    〜0重量%、少なくとも1種の単官能性モノマーを0〜10
    0重量%含むモノマー成分
  7. 【請求項7】 モノマー成分が、少なくとも1種の架橋
    性モノマー、又は、少なくとも1種の架橋性モノマーと
    少なくとも1種の単官能性モノマーとの混合物である請
    求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 モノマー成分が、少なくとも1種の架橋
    性モノマーを100〜10重量%、少なくとも1種の単官能
    性モノマーを0〜90重量%含む請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 架橋性モノマーが重合性C=C二重結合
    を2個以上有する多官能性モノマーである請求項6、7
    又は8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 モノマー成分が、少なくとも1種の単
    官能性モノマーである請求項6に記載の方法。
  11. 【請求項11】 目的成分が、水難溶性の溶媒である請
    求項6から10のいずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 分散安定剤の水溶液中に、目的成分、
    エポキシ樹脂、下記の補助ポリマー(SPB)及び硬化
    剤を含む混合物を分散させ、懸濁架橋反応を行うことを
    特徴とする目的成分内包微粒子の製造方法。 補助ポリマー(SPB):エポキシ樹脂を硬化剤を用い
    て架橋させることにより得られる架橋エポキシ樹脂に対
    して相溶性が低く、かつ、補助ポリマー(SPB)と水
    との間の界面張力(γp)(mN/m)と架橋エポキシ樹脂
    と水との間の界面張力(γq)(mN/m)との関係におい
    て、γp≧γqの条件を満たすポリマー
  13. 【請求項13】 分散安定剤の水溶液中に、下記の目的
    成分、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む混合物を分散さ
    せ、懸濁架橋反応を行うことを特徴とする目的成分内包
    微粒子の製造方法。 目的成分:エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋させるこ
    とにより得られる架橋エポキシ樹脂に対して相溶性が低
    く、かつ、目的成分と水との間の界面張力(γ r)(mN/
    m)と架橋エポキシ樹脂と水との間の界面張力(γq
    (mN/m)との関係において、γr≧γqの条件を満たす目
    的成分
  14. 【請求項14】 目的成分が水難溶性の溶媒である請求
    項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 分散安定剤の水溶液中に、目的成分、
    多価イソシアネート、多価アルコール及び下記の補助ポ
    リマー(SPC)を含む混合物を分散させ、懸濁重付加
    反応を行うことを特徴とする目的成分内包微粒子の製造
    方法。補助ポリマー(SPC):多価イソシアネートと
    多価アルコールとの重付加反応により得られるポリウレ
    タンに対して相溶性が低く、かつ、補助ポリマー(SP
    C)と水との間の界面張力(γt)(mN/m)とポリウレ
    タンと水との間の界面張力(γu)(mN/m)との関係に
    おいて、γt≧γuの条件を満たすポリマー
  16. 【請求項16】 分散安定剤の水溶液中に、下記の目的
    成分、多価イソシアネート及び多価アルコールを含む混
    合物を分散させ、懸濁重付加反応を行うことを特徴とす
    る目的成分内包微粒子の製造方法。 目的成分:多価イソシアネートと多価アルコールとの重
    付加反応により得られるポリウレタンに対して相溶性が
    低く、かつ、目的成分と水との間の界面張力(γv)(m
    N/m)とポリウレタンと水との間の界面張力(γu)(mN
    /m)との関係において、γv≧γuの条件を満たす目的成
  17. 【請求項17】 目的成分が水難溶性の溶媒である請求
    項16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 シェル及び中空部からなる中空高分子
    微粒子であって、シェルがエポキシ樹脂を硬化剤を用い
    て架橋させることにより得られる架橋エポキシ樹脂から
    なる単層構造を有することを特徴とする中空高分子微粒
    子。
  19. 【請求項19】 シェルの厚さが0.01〜4μmであり、
    空隙率が50〜80%であり、平均粒径が0.1〜30μmであ
    る請求項18に記載の中空高分子微粒子。
  20. 【請求項20】 分散安定剤の水溶液中で、 i)エポキシ樹脂と、 ii)硬化剤と、 iii)エポキシ樹脂を硬化剤を用いて架橋することにより
    得られる架橋エポキシ樹脂に対して相溶性の低い水難溶
    性の溶媒(B)とからなる混合物を分散させ、エポキシ
    樹脂の懸濁架橋反応を行うことを特徴とする請求項18
    に記載の中空高分子微粒子の製造方法。
  21. 【請求項21】 溶媒(B)が、エポキシ樹脂を硬化剤
    を用いて架橋させることにより得られる架橋エポキシ樹
    脂に対して相溶性が低い性質を有し、かつ、溶媒(B)
    と水との間の界面張力(γa)(mN/m)とエポキシ樹脂
    及び硬化剤を溶媒(B)に溶解してなる溶液を懸濁架橋
    反応に供して得られる架橋エポキシ樹脂吸着表面と水と
    の間の界面張力(γb)(mN/m)との関係において、γa
    ≧γbの条件を満たす溶媒である請求項20に記載の方
    法。
  22. 【請求項22】 シェル及び中空部からなる中空高分子
    微粒子であって、シェルが多価イソシアネートと多価ア
    ルコールとの重付加反応により得られるポリウレタンか
    らなる単層構造を有することを特徴とする中空高分子微
    粒子。
  23. 【請求項23】 シェルの厚さが0.01〜4μmであり、
    空隙率が50〜80%であり、平均粒径が0.1〜30μmであ
    る請求項22に記載の中空高分子微粒子。
  24. 【請求項24】 分散安定剤の水溶液中で、 i)多価イソシアネートと、 ii)多価アルコールと、 iii)多価イソシアネートと多価アルコールとの重付加反
    応により得られるポリウレタンに対して相溶性の低い水
    難溶性の溶媒(C)とからなる混合物を分散させ、多価
    イソシアネートと多価アルコールとの懸濁重付加反応を
    行うことを特徴とする請求項22に記載の中空高分子微
    粒子の製造方法。
  25. 【請求項25】 溶媒(C)が多価イソシアネートと多
    価アルコールとの重付加反応により得られるポリウレタ
    ンに対して相溶性が低い性質を有し、かつ、溶媒(C)
    と水との間の界面張力(γc)(mN/m)と、多価イソシ
    アネート及び多価アルコールを溶媒(C)に溶解してな
    る溶液を懸濁重付加反応に供して得られるポリウレタン
    吸着表面と水との間の界面張力(γd)(mN/m)との関
    係において、γc≧γdの条件を満たす溶媒である請求項
    24に記載の方法。
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