以下に、本発明にかかる壁面緑化設備の植栽ブロック受け皿の好適な第一の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、壁面緑化設備1は基本的には、図1〜図6に示すように、建物の外壁面Wに設けられた支持材2を介して支持させて上下方向に5段設けられた横長形状の植栽ブロック受け皿3と、これら植栽ブロック受け皿3の上に挿抜自在に配列される複数の植栽ブロック4あるいは断熱ブロック5と、各植栽ブロック4に灌水する灌水装置6とを備えて構成される。説明の便宜上、各植栽ブロック受け皿3を3列(a列、b列、c列)に分けて説明する(図1参照)。また、以下の説明において、壁面緑化設備1およびその各部の「外側」および「前面側」とは、建物の外壁面Wから遠い側を指す。反対に壁面緑化設備1およびその各部の「奥側」とは、建物の外壁面Wに近い側を指す。
各植栽ブロック受け皿3の平面形状は、横長な矩形状である。灌水装置6は、基本的には、最上段の植栽ブロック受け皿3よりも上方に設けられる灌水貯留槽7と、灌水貯留槽7と各段の植栽ブロック受け皿3の各植栽ブロック4との間に個別に設けられて、灌水貯留槽7から各植栽ブロック4に給水する給水材としての複数の給水管8とを備えている。耐蝕性を有する金属製の中空角形パイプなどで構成される各給水管8は、各植栽ブロック4の奥側、すなわち各植栽ブロック4と建物外壁面Wとの間に配置される。各給水管8の一部は、その上端が灌水貯留槽7の上方に突出しておりその突出部分が外壁面にボルト止めなどの手段で固定され、またその下端部がブラケットなどの固定手段(図示省略)を用いて外壁面Wに固定されて、上述の支持材2としても機能する。また、全給水管8は、灌水貯留槽7の奥側側面7aおよび各植栽ブロック受け皿3の背板3aに設けられた係止部3bと、ねじ止めなどの手段を用いて互いに係止される。
また、本実施形態にあっては、壁面緑化設備1全体の寸法は、縦が100cm程度、横が120cm程度(各植栽ブロック受け皿3の幅寸法に相当)、奥行きが20cm強程度(ほぼ、各植栽ブロック受け皿3の奥行き寸法に各給水管8や支持材2の奥行き寸法を加えたものに相当)である。本実施形態にかかる壁面緑化設備1は、建物が既設であるか、新設であるかを問わず適用することができる。
各植栽ブロック4は、毛管作用を有する導水布としての不織布4aで緑化基材4bを被覆した袋様の基材部4cと、基材部4cの前面の2カ所に穿設された植設孔4dを通じて緑化基材4bに植設された2つの緑化植物4eとからなる(図1および図6参照)。緑化植物4eは、あらかじめ植栽ブロック4(の基材部4c)を植栽ブロック受け皿3上に配置する前に植設しておいてもよいし、あるいは緑化植物4eを除く植栽ブロック4を、植栽ブロック受け皿3上に配置した後に、植設してもよい。緑化植物4eを植設する前の、基材部4cのみの状態をも、後に緑化植物4eが植設されることを想定して便宜的に「植栽ブロック」と呼ぶこともある。各植栽ブロック4は、この2つの緑化植物4eが外側を向くように、植栽ブロック受け皿3の上に配置される。緑化基材4bは具体的には、緑化植物4eの生育に必要な適度の保水性と、根腐れを生じないための適度の排水性、加えて適度の保肥性などを有する材料で形成すればよく、一般の土壌の他に、ピートモスなどコケ類の堆積物や間伐材のチップを固めた人工材料などが使用可能である。
各植栽ブロック4の上下方向寸法は20cm弱程度、横方向の寸法は40cm程度、奥行き方向の寸法は20cm弱程度である。すなわち各植栽ブロック4は、各植栽ブロック受け皿3上に、上下・左右および奥行き方向にほぼ密な状態で収納されている。特に、左右方向には各植栽ブロック4同士の間に空隙がほとんどない様に配置されるため、建物に対する外断熱効果が適切に維持される。ただし、各植栽ブロック4の上方には、給水管8の下端開口部8aから各植栽ブロック4の上面に灌水するためのスペースが若干設けられている。
このような植栽ブロック4が、上から1段目、3段目、5段目の植栽ブロック受け皿3には3個ずつ配列され、2段目と4段目の植栽ブロック受け皿3には2個ずつ配列されている。植栽ブロック4が配置されていない箇所には、植栽ブロック4に代えて、断熱ブロック5が配置されている。すなわち、a列の全段、b列の1段目と3段目と5段目、およびc列の全段には、植栽ブロック4が配置され、b列の2段目と4段目には断熱ブロック5が配置されている。各断熱ブロック5は、断熱層としての、さらに本実施形態にあっては、透水性を有する断熱層としての断熱性透水層5aと、化粧層としての化粧板5bとから形成されている。断熱性透水層5aの各方向寸法はほぼ各植栽ブロック4と同じであり、各断熱性透水層5aと、上下左右に隣接する植栽ブロック4との間には空隙がほとんどないため、建物の外断熱効果が適切に維持される。
各化粧板5bは、断熱性透水層5aが配置された植栽ブロック受け皿3の前面に立設された植栽ブロック脱落防止部3cと、その直上の植栽ブロック受け皿3の植栽ブロック脱落防止部3cとの間に、ねじ止めなどの手段により架設されている。これら化粧板5bは、断熱性透水層5aを外側から覆い隠すとともに、断熱性透水層5aが壁面緑化設備1の外側へと脱落することを防止するストッパとしても機能している。本実施形態にあっては、各断熱ブロック5は、1つの断熱性透水層5aと、2枚の化粧板5bとから構成される。2枚の化粧板5bの中間部には、もう一種のストッパとしての縦長矩形板状のストッパ部材9が、灌水貯留槽7から最下段の植栽ブロック受け皿3にわたって架設されている。このストッパ部材9の表面には化粧層9aが設けられている。なお、断熱ブロック5の構成は本実施形態のものに限定されるわけではなく、例えば化粧板5bは、植栽ブロック脱落防止部3c間に架設されるのではなく、直接、断熱性透水層5aの外側表面に貼設されてもよい。
断熱性透水層5aは、壁面緑化設備1の断熱効果を発揮するとともに、その上面に降り注いだ雨水などにより水たまりが形成されてさらに跳ね返った水が壁面緑化設備1の外側あるいは外壁面Wに飛散することを防ぐ透水性を有する材質で形成される。また、断熱性透水層5aは、その上面から下面にかけて雨水や給水管8からの灌水を通過させる多数の排水経路を有するものであればよく、例えば、多孔質の材料や海綿状の材料で形成してもよい。さらに、軽量で、かつ断熱性能を有することが望ましいことから、例えば発泡スチロールなどの発泡性樹脂材などで形成されることが好ましい。
化粧板5bには、壁面緑化設備1外側の他の部分、すなわち後述する灌水貯留槽7の外側側面7hや、ストッパ部材9の表面に設けられる化粧層9aなどと同様な色の塗装を施して美観上の統一感が図られている。あるいは化粧板5bには、他の部分との統一感を図りつつ、デザイン性のある模様などを描いてもよい。
灌水装置6は、基本的には、最上段の植栽ブロック受け皿3よりも上方に設けられた横長形状の灌水貯留槽7と、この灌水貯留槽7と各段の植栽ブロック4との間に設けられ、灌水貯留槽7に貯留される灌水を各植栽ブロック4に給水する複数の給水管8とを備えて構成される。灌水貯留槽7は、前述の支持材2を介して、奥側側面7aを外壁面Wに支持させて設けられ、雨水などをここに貯留し、灌水として利用する。灌水貯留槽7の平面形状は、各植栽ブロック受け皿3とほぼ同一の横長な矩形状であり、その各縁辺は、長手方向(幅方向)、奥行き方向ともに、各植栽ブロック受け皿3と上下に互いに重なり合うように配置されている。灌水貯留槽7の材質としては、耐蝕性を有する金属製あるいは合成樹脂製などが採用される。
各給水管8は、その上端付近に開口部8bを有し、各植栽ブロック受け皿3と建物外壁との間に位置させて設けられている。また、灌水貯留槽7の奥側側面7aの下端縁に接して複数の開口7bが形成されており、これら複数の開口7bは、上記各給水管8上端付近の開口部8bとそれぞれ連通するように一致され、各給水管8と、灌水貯留槽7の奥側側面7aや各植栽ブロック受け皿3の係止部3b(図2参照)とが互いに係止される(図示省略)。
本実施形態にあっては、給水管8は、各植栽ブロック4に対し個別に設けられており、a列に5本、b列に3本、c列に5本の合計13本である(図1および図4参照)。各給水管8の下端部は前面側に曲折しており、その下端開口部8aは、それぞれ対応する植栽ブロック4の上面に臨んでいる。なお本実施形態においては、各給水管8と灌水貯留槽7は別々に構成されて、設置時に連結されることとしているが、このような構成に限定されるものではなく、あらかじめ灌水貯留槽7と各給水管8とが一体に形成される構造であってもよい。また、本実施形態では断熱ブロック5が配置された箇所(b列の上から2段目と4段目)には給水管を取り付けない構成としたが、各列・各段全ての箇所への給水管を設ける構成としてもよい。そのような場合、断熱ブロック5の断熱性透水層5a上面にも灌水されることとなるが、断熱性透水層5aは前述のように、透水性を有する材質で形成されているので何ら問題はない。また、a、b、c各列の中央の給水管8は、前述のように、支持材2としても機能する。
灌水貯留槽7の下面には、前面側に位置させて、長手方向に一様な凹状で、灌水を貯留する貯水部7cが形成されている。この貯水部7cには、その奥側に隣接させて、長手方向に一様に平坦で、かつその前面側縁辺から奥側縁辺にかけて下降するように傾斜されて、貯水部7cに貯留された灌水を上記各開口7bに向かって流下させる傾斜配水面7dが形成されている。貯水部7cには、灌水として利用するための雨水などが一旦貯留され、その貯留量が一定以上となると貯水部7cから傾斜配水面7dへと溢れ出して、傾斜配水面7d上を流下し、各開口7bを通過して各給水管8内へと給水されてゆく。
また、本実施形態にあっては、灌水貯留槽7の左右の側面上縁にそれぞれ切り欠き部7eが形成されており、この両切り欠き部7e間に架設されて、灌水チューブ10が設けられている(図3では図示省略)。灌水チューブ10は、耐蝕性を有する合成樹脂や金属などの素材で形成され、灌水貯留槽7に架設された部分には全体的に通孔が穿設されている。灌水チューブ10には、タイマーおよびポンプ部10aを介して、毎日1回あるいは複数回、所定の適宜な時間に、水道水や建物の雨水などを貯めておく貯水タンクの水などが給水されて、上記複数の通孔から灌水貯留槽7の貯水部7cに供給される。貯水タンクなどの水を利用する場合は、タイマーおよびポンプ部10aのポンプを使用すればよいが、本実施形態では、灌水チューブ10には水道水が供給されることとしているので、ポンプを使用する必要はない。また変形例として、図2に二点鎖線で示すように、灌水チューブ10から分岐させて複数の導水パイプ10aを延設し、灌水チューブ10から、貯水部7cなどを介さず直接的に、各開口7bを介して各給水管8内へと供給する構成としてもよい。
図4に模式的に示すように、灌水貯留槽7の各開口7bは、灌水貯留槽7の奥側側面7aの長手方向ほぼ全域にわたって合計13箇所に設けられている(図3においては簡単のため、開口7bの数を省略して図示している)。そして、これら各開口7bに対して均一に配水するために、傾斜配水面7dの全面にわたって、配水部材としての不織布7fが敷き詰められている。不織布7fの前面側縁辺は、貯水部7c内にまで若干突出しており(図4においては簡単のためこの突出部分は省略)、この不織布7fの毛管作用により貯水部7cから傾斜配水面7dへと灌水を吸い上げるとともに、傾斜配水面7dの長手方向に均一に灌水を行き渡らせ、各開口7bに灌水が均一に供給される。
また、各開口7bの寸法が比較的小さい場合などは、表面張力により、各開口7bのところで水が止まってしまい、各給水管8内部へと供給されない。そこで本実施形態にあっては、図5などに示すように、各開口7bの形状は、水の表面張力の影響を低減させる長孔形状に形成されている。具体的には、縦長矩形の下半部と略半円形の上半部を組み合わせた縦長のかまぼこ型に形成されている。各開口7bの下辺は、灌水貯留槽7の奥側側面7aの下面、すなわち傾斜配水面7dの奥側縁辺と一致している。
また、同様に水の表面張力対策として、各開口7bの下辺以外の周方向に沿う部分には、灌水貯留槽7の内部に向けて突出した鍔部7gが設けられている。さらに、傾斜配水面7dに敷き詰められた前述の不織布7fは、その各開口7bに接する部分が若干長く突出し、各給水管8内部に垂下されて、導水部材7iとして形成されており、この導水部材7iの毛管作用により傾斜配水面7dの水を給水管8内へと導くことによっても、表面張力の影響を低減させる。
また、灌水貯留槽7の外側側面7hの外側表面には、壁面緑化設備1外側の他の部分、すなわち断熱ブロック5の化粧板5bやストッパ部材9の化粧層などと同様な色の塗装を施して美観上の統一感が図られている。あるいは、他の部分との統一感を図りつつ、デザイン性のある模様などを描いてもよい。
耐蝕性を有する金属製あるいは合成樹脂製などからなる各植栽ブロック受け皿3は、基本的には、植栽ブロック4や断熱性透水層5aがその上に配置される皿底部3dと、皿底部3dの奥側縁辺から立設された背板3aと、皿底部3dの両横側縁辺から立設された横板3eとを備えて構成される。皿底部3dの平面形状は、灌水貯留槽7の平面形状とほぼ同型の横長な矩形状である。さらに、背板3aの下半部には、皿底部3dの奥側縁辺から略鉛直に立設させて、横長矩形状の堰部3fが形成されている。背板3aの高さ方向中間部には、長手方向に一様に建物外壁Wに向かって箱状に突出させて、係止部3bが形成されている。背板3aの上半部には、長手方向に一様に建物外壁W側に向かって傾斜した横長矩形状の受水部3gが形成されている。受水部3gは、上方からの雨水などを受け止める。また、皿底部3dと両横板3e、および堰部3fにより、雨水や給水管8からの灌水など、植栽ブロック4に対する全灌水を貯留する貯留部3hが形成されている。各段の受水部3gで受け止められた水は、受水部3gから係止部3b、そして堰部3fを伝って流下し、貯留部3hに貯留される。
本実施形態にあっては、各段の植栽ブロック受け皿3に配置された植栽ブロック4に対する灌水として、受水部3gで受け止められる雨水、灌水装置6の給水管8から供給される給水、および直上の植栽ブロック受け皿3からの溢水(詳しくは後述)の3種類がある。さらに、灌水装置6から供給される灌水には、灌水貯留槽7に降り注いだ雨水と、灌水チューブ10から灌水貯留槽7の貯水部7cに供給された水道水の2種類が含まれている。
各段の植栽ブロック受け皿3の皿底部3dは、その奥側縁辺から前面側縁辺にかけて上昇するように傾斜されており、その結果、貯留部3hに貯留される灌水は、皿底部3dの外側よりも奥側、すなわち堰部3fに近い側により多く集められる。また、各段の皿底部3dの前面側縁辺には、横方向に一様に細長な矩形状の植栽ブロック脱落防止部3cが立設されており、植栽ブロック受け皿3の上に配置される植栽ブロック4や、断熱ブロック5の断熱性透水層5aを係止する。植栽ブロック脱落防止部3cの外側表面には、壁面緑化設備1外側の他の部分、すなわち断熱ブロック5の化粧板5bやストッパ部材9の化粧層などと同様な色の塗装を施して美観上の統一感が図られている。あるいは、他の部分との統一感を図りつつ、デザイン性のある模様などを描いてもよい。
また、各植栽ブロック受け皿3の堰部3fには、植栽ブロック受け皿3上に配置された各植栽ブロック4および断熱ブロック5の横方向中央付近に対応する位置で、かつ堰部3fの高さ方向中程の位置に、小径な円形状の溢水孔3iが穿設されている。すなわち、各段の堰部3fには溢水孔3iが3箇所ずつ設けられている。この溢水孔3iは、貯留部3hに余剰に貯留された灌水を溢水するためのものであって、各段の植栽ブロック受け皿3の溢水孔3iは、互いに上下に重なり合う位置に設けられている。従って背板3aの上半部に設けられた受水部3gは、直上の溢水孔3iに臨みつつ配置されており、直上の溢水孔3iからの溢水を受け止める。受水部3gは上述の様に堰部3fの位置から外壁面W側へと傾斜しているので、溢水孔3iの設けられる堰部3fは、建物外壁面Wから一定の距離を隔てて位置していることになる。
なお、最下段の植栽ブロック受け皿3の堰部3fには溢水孔3iを設けなくともよいが、本実施形態では最下段にも他の段と同様に溢水孔3iを設けた上で、最下段の堰部3fの外壁面W側に係止させて排水溝(図示省略)を設けている。溢水孔3i直下に設けられたこの排水溝は、溢水を受け止め、雨どいなどの排水設備に導く。これにより、最下段の植栽ブロック受け皿3から溢れる水が適切に排水され、壁面緑化設備1の周囲に飛散したり、外壁面Wを汚損したりすることを防止する。
本実施形態の植栽ブロック受け皿3は、その横板3eをのぞく部分、すなわち植栽ブロック脱落防止部3c、皿底部3d、背板3a(堰部3f、係止部3b、受水部3g)が、一体的に形成されているため、製造工程が簡単に済むとともに、製造コストの面でも安価である。なお、このような一体的な構造に限定されるものではなく、適宜変更が可能であることは言うまでもない。
さらに、壁面緑化設備1の前面には、植栽ブロック4や断熱ブロック5の断熱性透水層5aを係止して各段の植栽ブロック受け皿3上に固定するための、縦長矩形状のストッパ部材9が複数設けられている。ストッパ部材9が設けられている位置は、植栽ブロック4や断熱性透水層5aが隣接し合う部分、すなわちa列とb列との境界部分、およびb列とc列との境界部分にそれぞれ一枚ずつ、さらに植栽ブロック4の他と隣接しない端部、すなわちa列の外側縁辺と、c列の外側縁辺にそれぞれ一枚ずつ、さらに各植栽ブロック4および断熱性透水層5aの中央部分、すなわちa、b、c各列の中央部分であり、合計7枚のストッパ部材9が設けられている。各ストッパ部材9は、各植栽ブロック受け皿3の植栽ブロック脱落防止部3c、および灌水貯留槽7の手前側側面に、ねじ止めなどの手段で取り付けられる。
なお、前述した断熱ブロック5の化粧板5bも、断熱性透水層5aを植栽ブロック受け皿3上に固定するためのストッパである。要するに本実施形態にあっては、植栽ブロック4や断熱性透水層5aを植栽ブロック受け皿3上に固定するためのストッパとして、化粧板5bとストッパ部材9の2種が設けられている。
各ストッパ部材9の表面には、化粧層9aが設けられており、壁面緑化設備1外側の他の部分、すなわち灌水貯留槽7の外側側面7hや断熱ブロック5の化粧板5bなどと同様な色の塗装を施して美観上の統一感が図られている。あるいはこの化粧層9aには、他の部分との統一感を図りつつ、デザイン性のある模様などを描いてもよい。また、各ストッパ部材9には複数のパンチング孔9bが穿設されており、各植栽ブロック4に植設された緑化植物4eに対する通気性や日照量が良好に保たれるとともに、緑化植物4eの茎や葉は、このパンチング孔9bを通過して伸長することが可能であるので、ストッパ部材9の存在が緑化植物4eの生育を妨げる可能性は少ない。
なお、ストッパ部材9の枚数は、本実施形態のように7枚に限定されるものではなく、例えば各列の境界部分に2枚のみ設ける構成としてもよい。また、ストッパ部材9の形状も、上記実施形態の様な縦長矩形板状のものに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
以上の構成を備える本実施形態にかかる壁面緑化設備1の植栽ブロック受け皿3の作用について説明する。まず、既設もしくは新設を問わず、建物の壁面Wの外側に本実施形態の壁面緑化設備1を設置するに際しては、最初に支持材2を壁面Wに取り付け、次いで、灌水装置6の灌水貯留槽7と、それぞれの係止部3bを介して各段の植栽ブロック受け皿3を、支持材2に対して取り付ける。次いで、各給水管8を、各給水管8の上部に設けられた開口部8bと灌水貯留槽7に形成された各開口7bとが一致するように位置させて、灌水貯留槽7の奥側側面7aと各植栽ブロック受け皿3の係止部3bに係止して取り付ける。次いで、各植栽ブロック4と断熱ブロック5の断熱性透水層5aを、植栽ブロック受け皿3上の決められた位置に載置する。その際、各植栽ブロック4および断熱性透水層5aを若干上方に持ち上げる、あるいは傾けつつ、各植栽ブロック受け皿3の植栽ブロック脱落防止部3cをかわすようにして奥まで送り込む。次いで、各ストッパ部材9と断熱ブロック5の化粧板5bを、所定の位置に取り付け、各植栽ブロック4および断熱性透水層5aを植栽ブロック受け皿3上に係止する。断熱ブロック5の化粧板5bとストッパ部材9表面の化粧層への塗装、あるいはデザイン描画は、設置後に行ってもよいし、あらかじめ工場などで行っておいてもよい。
このような本実施形態では、壁面緑化設備1は、上下左右に複数の植栽ブロック4あるいは断熱ブロック5がそれぞれ挿抜自在に配列され、しかも各植栽ブロック4および断熱ブロック5の配列は、何ら固定的なものではなく自在に変更することができる。また、各植栽ブロック4には多様な緑化植物4eを植栽することが可能であり、断熱ブロック5表面には各種の塗装やデザイン描画が可能な化粧板5bが設けられるので、壁面緑化設備1全体としてのデザインは実に豊かなバリエーションを実現することが可能であるとともに、非常に美観に優れる。また、上記の例においては、断熱ブロック5は2箇所に設けられたが、より多数の断熱ブロック5を植栽ブロック4に代えて設けてもよい。そのようにすれば、建物に対する外断熱効果を適切に維持しつつ、植栽ブロック4よりも軽量な断熱ブロック5の数が増えるため、壁面緑化設備1の全体をより軽量なものとすることが可能である。しかも各断熱ブロック5には化粧板5bが設けられているので、美観が損なわれることもない。
また、本実施形態では、植栽ブロック4は、棚状に複数段設けられた植栽ブロック受け皿3の各段上に配置されるものであり、従来の壁面緑化設備1に見られるような薄いパネル状の植栽ブロックと異なり、例えば本実施形態のように20cm弱程度の十分な奥行き寸法を有する。従って、植栽可能な緑化植物4eの種類は、根張りの浅いシダ類などに限定されず、例えばブルーパシフィックやドラゴングラスなど、常緑性および半常緑性の主として葉を鑑賞する種類のものから、アイビーゼラニウムなど花を鑑賞する種類まで、多様な植栽が可能である。また、従来のような縦長の薄いパネル状の植栽ブロックの場合は、重力の作用による撓みを防止するため、その表面全体に金網などを設ける必要があったが、本実施形態の植栽ブロック4にはそのような必要がなく、その結果、通気性や日照が悪化することもなく、茎や枝の伸長が阻害されることもないため、緑化植物4eの生育が良好となる。
また、植設した緑化植物4eが枯れてしまった場合や、季節感を出すために植栽デザインを変更したい場合などは、各ストッパ部材9と断熱ブロック5の化粧板5bを外し、植栽ブロック脱落防止部3cをかわしつつ各植栽ブロック4および断熱性透水層5aを取り外し、緑化植物4eを植え替えた上で、あるいは別の植栽ブロック4に交換した上で、再び逆の手順で取り付ければよい。このように本実施形態では、壁面緑化設備1は、植栽の交換や、植栽デザインの変更作業を非常に容易に行うことができる。
また、各植栽ブロック4は、毛管作用を有する不織布4aで緑化基材4bを被覆した基材部4cと、不織布4aに設けられた植設孔4dを通じて基材部4cに植設された緑化植物4eとから構成されているので、灌水が直接、土壌などを含む緑化基材4bに注がれることがないため、土はねや泥はねが発生するおそれがなく、美観を損なうことがない。特に本実施形態の植栽ブロック4は、奥行き方向(根の伸長方向)に約20cmの寸法を有する、比較的厚みのある枕状の形状としたので、緑化植物4eの種類が根の浅いシダなどに限定されず、花の鑑賞できるものなどを含め、多種多様の植物を選択することができ、より一層、壁面緑化設備1全体の美観とデザイン性を向上できる。
また、植栽ブロック受け皿3の前面側には、隣接する植栽ブロック4や断熱ブロック5間をはじめとする各所に、各植栽ブロック4や断熱ブロック5を係止して植栽ブロック受け皿3上に固定するストッパとして、複数のストッパ部材9と断熱ブロック5の化粧板5bが設けられている。これらのストッパはいずれも、その表面に化粧層を有するので、植栽ブロック4や断熱ブロック5の落下防止を図るとともに、壁面緑化設備1全体としての美観向上に寄与している。
また、断熱ブロック5の断熱性透水層5aは、透水性を有するものであるので、その上面に水たまりが形成され、その水たまりで跳ね返った水が、壁面緑化設備1の周囲に飛散するようなことがない。
また、本実施形態では、壁面緑化設備1の灌水装置6は、各給水管8が、各段の植栽ブロック受け皿3と建物の外壁面Wとの間に位置させて設けられている。その結果、壁面緑化設備1の外側からは、各段の植栽ブロック4や断熱ブロック5の化粧板5bなどに遮られて、各給水管8は見えない。外側から見えるのは、緑化植物4eや、塗装あるいはデザイン描画を施した化粧部分(灌水貯留槽7の外側側面7h、断熱ブロック5の化粧板5b、ストッパ部材9の化粧層、および各植栽ブロック受け皿3の植栽ブロック脱落防止部3cなど)のみであるので、美観の点で非常に優れている。
また、灌水貯留槽7に貯留された雨水や水道水などの灌水は、灌水貯留槽7の奥側側面7aに複数設けられた開口7bを通過して各給水管8に供給され、各給水管8の下端開口部8aから各段の植栽ブロック受け皿3上に配置された植栽ブロック4の上面に灌水される。その際、灌水貯留槽7の下面には、貯水部7cと貯水部7cの奥側に隣接させた傾斜配水面7dとを設けたので、灌水貯留槽7が長手方向に若干傾斜して設置されてしまった場合や、貯水部7c内に落ち葉などが堆積し、貯水部7c内長手方向の水の流動性が低下した場合に、貯水部7cから溢れ出す時点で灌水が長手方向に一様でなくとも、平坦な傾斜配水面7dを流下する間に十分に長手方向に均一化されて、各開口7bに均一に供給されてゆく。その結果、各植栽ブロック受け皿3における各植栽ブロック4に対し確実に、かつむらなく均一に灌水することが可能となる。
また、傾斜配水面7dの全面、さらにその一部を貯水部7c内へと突出させて、配水部材としての不織布7fを敷き詰めたので、この不織布7fの毛管作用により貯水部7cから傾斜配水面7dへと灌水を吸い上げることができるとともに、傾斜配水面7dの長手方向に均一に灌水を行き渡らせ、各開口7bに灌水が均一に供給される。
また、各開口7bの形状を、灌水貯留槽7の水の表面張力を低減させる長孔形状に形成したために、灌水貯留槽7内に貯留される灌水の表面張力により、各開口7bのところで水が止まってしまい、各給水管8内部へと流下しないことを防止できる。
また、各開口7bの下辺以外の周方向に沿う部分には、灌水貯留槽7の内部に向けて突出した鍔部7gが設けられており、水の表面張力の影響を低減できるため、これによっても各開口7bのところで水が止まってしまい、各給水管8内部へと流下しないことを防止できる。
さらに、傾斜配水面7dに敷き詰められた不織布7fの各開口7bに接する部分が若干長く突出し、各給水管8内部に垂下して、導水部材7iとして形成されているため、その毛管作用により傾斜配水面7dの水を給水管8内へと導くことができ、これによっても各開口7bのところで水が止まってしまい、各給水管8内部へと流下しないことを防止できる。
また、従来のような上下に長大なパネル状の植栽ブロックの上端にのみ灌水し、重力の作用で自然に下方向へと水を流す構成と異なり、灌水装置6の給水管8が、全植栽ブロック受け皿3上の全植栽ブロック4に対し個別に設けられているので、全植栽ブロック4に対してむらなく、かつ確実に灌水が供給される。
また、各給水管8は、各段の植栽ブロック受け皿3と建物の外壁面Wとの間に位置させて設けられているので、各植栽ブロック4に対し壁面緑化設備1の奥側からの給水となることにより、灌水や、植栽ブロック4の緑化基材4bに含まれる土が、壁面緑化設備1の前面側に飛散したり、垂れ落ちて壁面緑化設備1の前面を汚損したりすることが防止される。
また、各植栽ブロック4は、その基材部4cが毛管作用を有する不織布4aで緑化基材4bを被覆して構成されているので、灌水が直接、土壌などを含む緑化基材4bに注がれることがない。その結果、緑化基材4bが崩れてしまったり、水やりにより過剰に肥料分が流出し劣化してしまったりすることが防止される。
また、本実施形態では、壁面緑化設備1の植栽ブロック受け皿3は、受水部3gで受け止めた雨水と、灌水装置6の給水管8からの給水という2種類の灌水を貯留部3hに貯留することができる。その結果、植栽ブロック受け皿3の上に配置される各植栽ブロック4は、その上面に給水管8の下端開口部8aから直接供給される灌水のみならず、貯留部3hに貯留された水を、下面や側面から吸い上げて灌水として利用することができ、よりまんべんなく緑化植物4eの根に灌水が供給される。
また、各植栽ブロック受け皿3の堰部3fには溢水孔3iが設けられ、各段の植栽ブロック受け皿3に余剰に貯留された灌水を、順次その下段に流下させる。その結果、各段には必要以上に多量の水が植栽ブロック4に供給されることがなく、緑化植物4eの根腐れなどを防止することが可能となる。さらに各段の植栽ブロック受け皿3では、直上の植栽ブロック受け皿3の溢水孔3iから溢れ出た溢水が受水部3gで受け止められ、貯留部3hに貯留されるので、例えば降雨がなく、かつある給水管8に目詰まりが生じ、ある植栽ブロック4にこれら2種類の灌水が供給されないような状況における、バックアップ的な灌水を行うことができる。その結果、植栽ブロック基材部4cの乾きすぎによる緑化植物4eの生育不良や枯死を適切に防止することが可能となる。さらに、溢水孔3iの設けられる堰部3fは、建物外壁面Wから一定の間隔を隔てた位置に設けられているため、各段の植栽ブロック受け皿3からの溢水が飛散するなどして外壁面Wを汚損するおそれがない。
また、皿底部3dは、建物の外壁面W側縁辺から反対側の前面側縁辺にかけて上昇するように傾斜されているので、植栽ブロック受け皿3上に配置される各植栽ブロック4や断熱性透水層5aが、壁面緑化設備1の前面側へ落下することが防止される。さらに、貯留部3hに貯留された灌水が皿底部3dの外側よりも日照の到達しにくい奥側、すなわち堰部3fに近い側により多く集められるので、壁面緑化設備1の前面側への水の飛散防止が図られるとともに、貯留水が蒸発しにくくなるため、植栽ブロック4へのより適切な灌水が実現される。
また、皿底部3dの前面側縁辺には、植栽ブロック脱落防止部3cが立設されているため、植栽ブロック受け皿3上に配置される各植栽ブロック4や断熱性透水層5aが、壁面緑化設備1の前面側へと落下することが防止される。
また、横長形状の植栽ブロック受け皿3には、長手方向に複数の植栽ブロック4が配列されているが、皿底部3dには特に仕切りなどを設けていないため、貯留部3hに貯留される灌水が全植栽ブロック4に均一に配水され、特定の植栽ブロック4のみが灌水不良となるおそれがない。その結果、各植栽ブロック4の緑化植物4eの生育が均一かつ良好となる。
また、溢水孔3iは、各植栽ブロック受け皿3上に配置された複数の植栽ブロック4の、それぞれの設置位置に対応させて、複数設けられているので、より一層溢水効率が向上するとともに、不要に多くの灌水が貯留されて根腐れなどを引き起こすおそれがない。さらに、いずれかの溢水孔3iに目詰まりなどが生じた場合でも、他の溢水孔3iが溢水機能を保持するため、不要な灌水を溢水する機能がより確実に維持される。
また、各植栽ブロック4は、その基材部4cが毛管作用を有する不織布4aで緑化基材4bを被覆して構成されているので、給水管8からの植栽ブロック4上面への灌水に加えて、植栽ブロック受け皿3の貯留部3hに貯留された灌水が、不織布4aの毛管作用により図2に示す矢印Yのように吸い上げられ、側面からも緑化基材4bに供給されるので、よりまんべんなく緑化植物4eの根に灌水が行き渡る。
次に、本発明にかかる壁面緑化設備の植栽ブロック受け皿の第二の実施形態を、図7〜図9を参照して詳細に説明する。第一の実施形態と異なる点について説明する。まず、植栽ブロック受け皿3が上下方向に1段少ない4段設けられている。また、植栽ブロック4の形状や材料、および各植栽ブロック受け皿3上に配置する個数などは変わらないが、その横方向の寸法が50cm程度とされている。その結果、壁面緑化設備1全体の横寸法(各植栽ブロック受け皿3の幅寸法に相当)は、160cm程度となっている。
各植栽ブロック受け皿3および灌水貯留槽7の壁面に対する取り付けは、第一の実施形態のように給水管8の一部を利用するのではなく、横板面13aとアンカー面13bが直角に連結されたL字状の金属板などから形成されるサイドプレート兼アンカープレート13を用いて行われている。本実施形態の植栽ブロック受け皿3および灌水貯留槽7は、それぞれ左右の側面部に、第一の実施形態のような外側側面7hおよび横板3eを備えていない。その代わりに、各植栽ブロック受け皿3および灌水貯留槽7の左右両側端をサイドプレート兼アンカープレート13の横板面13aに溶接し、植栽ブロック受け皿3および灌水貯留槽7の左右開口部を閉止するとともに、これら各植栽ブロック受け皿3および灌水貯留槽7をサイドプレート兼アンカープレート13とともに一体化する。そして建物の外壁面Wに、壁面緑化設備1の四隅を固定するためのアンカーボルト11が打ちこまれ、次にサイドプレート兼アンカープレート13のアンカー面13bに設けられた下方が大径で上方が小径の長孔13cをアンカーボルト11に落とし込んで、サイドプレート兼アンカープレート13を外壁面Wに取り付ける。このようにして、壁面緑化設備1が外壁面Wに取り付けられる。
本実施形態の各植栽ブロック受け皿3は、第一の実施形態における各給水管8に係合される係合部3bが省略されており、背板3aは、その下半部に設けられた堰部3fと、堰部3fの上端から外壁面W側に傾斜した受水部3gとから構成されている。また、植栽ブロック4に対する全灌水を貯留する貯留部3hは、皿底部3d、堰部3f、および上述のサイドプレート兼アンカープレート13の横板面13aとで形成されている。
また、灌水貯留槽7から各植栽ブロック4に給水する給水材として、第一の実施形態における給水管8に代えて、縦長帯状の給水用不織布(以下、給水不織布という)12を用いている。この給水不織布12は、灌水貯留槽7の傾斜配水面7dに敷き詰められた配水部材としての不織布7fと一連につながっており、第一の実施形態において各開口7bから突出して導水部材7iとして形成されていた部分がそのまま延長されて、各植栽ブロック4へと垂下している。第一の実施形態においては、一部の給水管8(b列2、4段目の植栽ブロックに対する給水管)が省略されていたが、本実施形態においては全ての植栽ブロック4に対し、給水不織布12が設けられている。給水不織布12の下端部は、各植栽ブロック受け皿3の受水部3gおよび堰部3fの内側面に沿って下垂し、植栽ブロック4の背面に接した後、皿底部3dの近傍まで達している。灌水貯留槽7から給水される水は、給水不織布12を伝って下降し、一部は植栽ブロック4の背面から植栽ブロック4を包んでいる不織布4aを介して緑化基材4bへと供給され、残りは植栽ブロック受け皿3の貯留部3hにいったん貯留された後、植栽ブロック4の不織布4aから吸い上げられて緑化基材4bへと供給される。
第一の実施形態においては、各植栽ブロック受け皿3の奥側に給水管8を設けるためのスペースが必要であったが、給水不織布12はその厚さが薄いため、各植栽ブロック受け皿3と外壁面Wとの間にはごくわずかなスペースを設ければよい。その結果、各植栽ブロック4は奥行き方向により一層密な状態で収納されることとなり、建物に対する外断熱効果がより一層適切に発揮される。また、本実施形態では、第一の実施形態において設けられていた各植栽ブロック4の上方の、給水管8の下端開口部8aからの灌水のためのスペースが省略されているため、各植栽ブロック4は上下方向により一層密な状態で収納されることとなり、建物に対する外断熱効果がより一層適切に発揮される。
灌水貯留槽7の奥側側面7aの下部には、長手方向全域にわたって、植栽ブロック4と同数の12箇所に開口7bが設けられている。本実施形態の開口は、横長のオーバル状である(図9参照)。第一の実施形態と異なり、灌水貯留槽7の内部に向けて突出した鍔部7gは形成されていない。給水材としての給水不織布12と一連につながっている、配水部材としての不織布7fは、第一の実施形態では傾斜配水面7dおよび貯水部7cの一部のみに敷かれれていたが、本実施形態では、貯水部7c全域を含めた灌水貯留槽7の底面全体に敷き詰められている。
本実施形態ではストッパ部材9の表面には、パンチング孔9bが形成されていない。また、図示例にあっては植栽ブロック受け皿3上の全ての箇所に植栽ブロック4を設けているが、第一の実施形態同様、一部の植栽ブロック4に代えて、断熱性透水層5aと化粧板5bからなる断熱ブロック5を設けることとしてもよい。また、図7や図8では簡略化のため、緑化植物4eなどを省略して図示している。
以上のような構成の第二の実施形態にあっても、上記第一の実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。特に本実施形態にあっては、サイドプレート兼アンカープレート13を利用して、各植栽ブロック受け皿3および灌水貯留槽7の側面を形成すると共に、これらを外壁面Wに取り付けることとしたので、部品点数の削減を図ることができる。また、植栽ブロック受け皿3の係合部3bを省略することができ、植栽ブロック受け皿3の形状の簡素化を図ることができる。
また給水材として、給水管8を用いる代わりに灌水貯留槽7の底面に敷き詰められた配水部材から、各開口を通って一連に形成される給水不織布12を使用することとしたので、製造コストの削減を図ることができるとともに、給水管8を灌水貯留槽7や各植栽ブロック受け皿3および外壁面Wに取り付ける作業を省略することができるので、壁面緑化設備1の設置作業の簡単化を図ることができる。また、各植栽ブロック受け皿3の奥側に給水管8を設けるためのスペースを省略することができるので、奥行き方向の省スペース化を図ることができるとともに、建物の外断熱効果を向上させることができる。
なお、壁面緑化設備1全体の寸法、植栽ブロック受け皿3の段数、植栽ブロック受け皿3上に配列される植栽ブロック4、および断熱ブロック5の寸法や個数などは、上記各実施形態の例に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態では、1個の壁面緑化設備1を外壁面に設ける例について記載したが、大きな外壁面を対象とする場合などは、上下左右に複数の壁面緑化設備1を並設してもよい。