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JP2006118287A - トンネル掘削機及び該トンネル掘削機を用いた支障物撤去方法 - Google Patents

トンネル掘削機及び該トンネル掘削機を用いた支障物撤去方法 Download PDF

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JP2006118287A JP2004309073A JP2004309073A JP2006118287A JP 2006118287 A JP2006118287 A JP 2006118287A JP 2004309073 A JP2004309073 A JP 2004309073A JP 2004309073 A JP2004309073 A JP 2004309073A JP 2006118287 A JP2006118287 A JP 2006118287A
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久 上原
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Abstract

【課題】 耐久性の高い支障物切削用ビットを装備すると共に安全かつ確実に支障物を撤去してトンネルを掘削可能なトンネル掘削機及び該トンネル掘削機を用いた支障物撤去方法を提供する。
【解決手段】 筒状をなす掘削機本体11の前部にカッタヘッド15を回転自在に支持し、該カッタヘッド15の先細りの円錐状に傾斜した前面部に複数の土砂用切削ビット30と複数の支障物切削ビット31,32,33を設け、該支障物切削ビット31,32,33のチップ先端角度を鈍角とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、掘進先にH型鋼や鋼矢板(シートパイル)等の支障物があった場合でも安全かつ確実に支障物を撤去してトンネルを掘削可能なトンネル掘削機及び該トンネル掘削機を用いた支障物撤去方法に関する。
近年、都市土木,下水道工事における排水管等の布設に伴い、地中支障物(H型鋼や鋼矢板(シートパイル)等の障害物)に遭遇することが多くなってきている。この場合、一般的なシールド掘削機(トンネル掘削機)では、次のような理由で支障物を撤去することが困難なため、人間が切羽に出て直接ガス溶断などの方法で撤去するしかなく、危険性の高い作業を行なう必要があった。
(1)切削中の支障物が動いてしまうと、カッタヘッドにからみつき、シールド掘削機が掘進不能に陥ると共にビットが欠損する虞がある。
(2)カッタヘッド中央部のフィッシュテールカッタがひどく損傷する。
(3)通常の土砂切削用カッタビットで支障物を切削すると欠けてしまう。
(4)切削した支障物片が大きい場合、カッタヘッドやスクリュコンベアに絡みつき、シールド掘削機が掘進不能に陥る虞がある。
そこで、最近では、特許文献1で、切羽に対峙して回転するカッタヘッドに半径方向に間隔を隔てて複数配置された掘削ビット、切削ビット、及び保護ビットからなり、掘削ビットは、カッタヘッドの回転により切羽全面を切削するように配置されており、切削ビットは、カッタヘッドと同心に円弧状に形成され、かつ半径方向に隣接する切削ビットの間を前記掘削ビットが通るように配置されており、保護ビットは、切削ビットの回転軌跡上に位置し、かつ先端が切削ビットより前方に位置する保護位置と後方に位置する待機位置との間を前後に移動可能に設けられているシールド掘進機の障害物切削装置(及び方法)が開示されている。
これによれば、障害物に切削ビットにより半径方向に間隔を隔てた溝(切り込み)を切削加工することができ、更に、溝が加工されて破断し易くなった障害物を掘削ビットにより容易に破断し、切削ビットの半径方向間隔よりも小さい破片に破断することができる。また、保護ビットを切削ビットより前方に移動することにより、切削ビット不使用時における切削ビットの摩耗を低減することができる、等の利点が得られる。
また、特許文献2で、複数本の地盤掘削ビットとこの地盤掘削ビットに対して出没可能な複数本の障害物切削ビットとを配設してなるカッタヘッドをスキンプレートの開口前端部の隔壁に回転自在に支持させ、この隔壁の外周にリング体を一体に設けてこのリング体を上記スキンプレートの開口前端部に前後摺動自在に内嵌させると共にスキンプレートとリング体とを切り離し可能に固定するロック手段を配設し、さらに、ロック手段の後方側におけるスキンプレートの内周面に隔壁の推進機構を配設しているシールド掘削機が開示されている。
これによれば、障害物切削時には、障害物切削ビットを地盤掘削ビットに対して前方に突出させた状態にして推進機構によりカッタヘッドを前進させながら障害物切削ビットにより確実に障害物を切除することができる。また、この際、カッタヘッドのみを隔壁と共に前進させながら障害物の切削、除去を行なうことができるので、カッタヘッドが振れることなく円滑に回転して障害物切削ビットの欠損や損傷をなくして長期間の使用に供することができると共に比較的小さな推進力で能率よく障害物を切除していくことができる、等の利点が得られる。
また、特許文献3で、筒状をなす掘削機本体の前部にカッタヘッドを回転自在に支持し、該カッタヘッドの前面部に複数の土砂掘削用カッタビットと複数の支障物掘削用カッタビットを設け、前記土砂掘削用カッタビットに対して前記支障物掘削用カッタビットを掘進方向後方にずらして配設したトンネル掘削機が開示されている。
これによれば、土砂掘削中は支障物掘削用カッタビットが後方に位置して摩耗することが抑制され、地盤が土砂から高度な支障物に変わったら、掘進方向前側の土砂掘削用カッタビットが摩耗あるいは欠損して支障物掘削用カッタビットが最前方に位置して支障物を掘削することができ、簡単な構造で確実に支障物を掘削することで、掘削作業を中断せずにトンネルを継続して掘削可能として作業性を向上することができる、等の利点が得られる。
特開平8−319798号公報 特開2000−104486号公報 特開2002−47890号公報
ところが、特許文献1から特許文献3にあっては、切削ビット、障害物切削ビット及び支障物掘削用カッタビットとそれぞれ支障物切削用の専用ビットを装備しているが、切削ビットはのこぎり状の刃で形成され(特許文献1)、障害物切削ビットはその全ての先端角度が鋭角であり(特許文献2)、支障物掘削用カッタビットはその一部の先端角度が鋭角である(特許文献3)ので、耐久性の面で難点があった。例えば軟弱地盤中に残置、設置された支障物(鋼矢板等の撓み性構造物)を地中で切削撤去する際には、横方向からのシールド外力(カッタトルク:推力)に対し支障物が地盤とともに変状を起こすことから、切削中にビットと支障物とが互いに移動(振動)しながら当たることになるのでビットが欠損し易いのである。
また、特許文献1では、切削ビットは、カッタヘッドと同心に円弧状に形成され、かつ半径方向に隣接する切削ビットの間を掘削ビットが通るように配置されて、支障部を切削ビットの半径方向間隔よりも小さい破片に破断することが可能になっているが、このようなビットの半径方向間隔では未だ不十分で、切削した支障物片がカッタヘッドやスクリュコンベアに絡みつき、シールド掘削機が掘進不能に陥る虞が依然として残っている。
本発明はこのような問題を解決するものであって、耐久性の高い支障物切削用ビットを装備すると共に安全かつ確実に支障物を撤去してトンネルを掘削可能なトンネル掘削機及び該トンネル掘削機を用いた支障物撤去方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するための本発明のトンネル掘削機は、筒状をなす掘削機本体の前部にカッタヘッドを回転自在に支持し、該カッタヘッドの先細りの円錐状に傾斜した前面部に複数の土砂用切削ビットと複数の支障物切削ビットを設け、該支障物切削ビットのチップ先端角度を鈍角としたことを特徴とするものである。
また、前記支障物切削ビットは、カッタヘッドの半径方向に隣り合うパスのものをラップさせて配置したことを特徴とするものである。
また、前記支障物切削ビットは、切削方向に対称な山型状や円弧状に形成されて一つのビットでカッタヘッドの左,右両回転に対応可能となっていることを特徴とするものである。
上述の目的を達成するための本発明の支障物撤去方法は、前記トンネル掘削機を用いて掘進先の支障物を撤去する際に、支障物及び地盤におけるカッタヘッド中央のフィッシュテールカッタ通過部を先行して削孔しておくことを特徴とするものである。
また、前記削孔の後、支障物を動かないように固定するための補助工法を施工することを特徴とするものである。
本発明のトンネル掘削機によれば、耐久性の高い支障物切削用ビットを装備して安全かつ確実に支障物を撤去してトンネルを掘削可能となる。また、支障物切削ビットを隣り合うパスのものをラップさせて配置することで、切削片の小片化が図れる。また、一つのビットでカッタヘッドの左,右両回転に対応可能とすることで、切削効率と支障物切削用ビットの耐久性をより一層上げられる。
本発明の支障物撤去方法によれば、フィッシュテールカッタの耐久性を上げられる。また、地盤改良等の補助工法を施工することで、より一層支障物切削用ビットの耐久性を上げられると共に安全かつ確実に支障物を撤去できる。
以下、本発明に係るトンネル掘削機及び該トンネル掘削機を用いた支障物撤去方法を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例を示すトンネル掘削機としてのシールド掘削機の側面図、図2はカッタヘッドの斜視図、図3は支障物切削ビットと土砂用切削ビットの説明図、図4は各支障物切削ビットの軌跡図、図5は支障物切削ビットの配置図、図6はカッタヘッドの形状比較図、図7は削孔説明図、図8は地盤改良の施工図、図9は地盤改良の施工範囲の設定フロー、図10は改良強度の説明図で同図(a)は支障物撤去概略図、同図(b)は地盤改良計算モデル図、図11は地盤改良範囲(奥行き方向)の断面図である。
図1に示すように、トンネル掘削作業に用いられる本実施例のシールド掘削機10において、筒状をなす掘削機本体11の前部にはバルクヘッド12が形成され、このバルクヘッド12にはリングギア付き軸受18により回転体14が回転自在に支持され、この回転体14に後述するカッタ面板16及びカッタスポーク17(カッタヘッドの前面部)が先細りの円錐状に傾斜する傾斜型のカッタヘッド15が装着されている。回転体14と掘削機本体11との間にはシール13があり、ギアの噛み合わせ部分へ土砂などの異物が侵入するのを防いでいる。
カッタヘッド15及び回転体14の後部には前述したリングギア付き軸受18が固定される一方、掘削機本体11には駆動モータ19が装着され、この駆動モータ19の駆動ギア20がリングギア付き軸受18のリングギア部に噛み合っている。従って、駆動モータ19を駆動して駆動ギア20を回転駆動すると、リングギア付き軸受18及び回転体14を介してカッタヘッド15を回転することができる。
一方、掘削機本体11内にはスクリュコンベア21が配設されており、前端部がバルクヘッド12を貫通してチャンバ22に連通されている。また、掘削機本体11の内周面には周方向に沿って図示しないシールドジャッキが複数並設されると共に、その後部にセグメントを組立てる図示しないエレクタ装置が配設されている。従って、このシールドジャッキが掘進方向後方に伸長して既設のセグメントに押し付けることで、その反力により掘削機本体11を前進することができると共に、エレクタ装置が前進した掘削機本体11と既設のセグメントとの空所にセグメントを組み付けることができる。
尚、図1中23はセンターシャフト24の先端に取り付けられたフィッシュテールカッタ(多数の先行カッタビットからなる)で、25はカッタヘッド15に内蔵されて、押出ジャッキ26によって外周側に突出可能なコピーカッタである。
図2に示すように、カッタヘッド15は、点対称位置にて2つのカッタスポーク17及びカッタ面板16がセンターシャフト24と外周リング27に支持されてなり、各カッタスポーク17の両側に土砂用切削ビット30がまた中央にスポーク取付用の支障物切削ビット31が多数装着され、各カッタ面板17に面板取付用の支障物切削ビット32が多数装着されている。また、外周リング27と各カッタ面板17には外周部取付用の支障物切削ビット33が複数装着されている。
図3に示すように、土砂用切削ビット30は、そのかんな刃状の超硬チップ30aが所定のすくい角α1と逃げ角βを有してチップ先端角度が鋭角になっている(図4の(a)参照)。一方、スポーク取付用の支障物切削ビット31は、一つ(複数でも良い)の超硬チップ31aを中心にして切削方向(カッタヘッド15の周方向)に対称な山型状に形成されて土砂用切削ビット30の超硬チップ30aと比較するとすくい角α2がマイナスとなっており、チップ先端角度が鈍角であると言える(図4の(b)参照)。また、面板取付用の支障物切削ビット32と外周部取付用の支障物切削ビット33は複数(図示例では5つ)の超硬チップ32a(33a)を切削方向に所定の間隔をおいて埋設するも切削方向に対称な円弧状に形成されて、スポーク取付用の支障物切削ビット31と同様に、すくい角がマイナスとなっており、チップ先端角度が鈍角であると言える(図4の(c)参照)。尚、外周部取付用の支障物切削ビット33は面板取付用の支障物切削ビット32をカッタヘッドの半径方向に二分割したものである。
図4及び図5に示すように、スポーク取付用の支障物切削ビット31、面板取付用の支障物切削ビット32及び外周部取付用の支障物切削ビット33は、カッタヘッド15の半径方向に隣り合うパスのものとラップさせて配置し、ビット間に隙間をあけないようになっている。図示例では外周部及びカッタ面板16上には隙間が無いように配置し、カッタ面板16上とカッタスポーク17上の位置関係は例えば図5に示すように半ピッチずらした形で配置している。尚、図5中Cはカッタヘッド中心からのビット取付位置、Wbはビット配置間隔で、Waはビット幅をそれぞれ示す。
従って、このように構成されたシールド掘削機10にてトンネルを掘削するには、図1に示すように、駆動モータ19によりカッタヘッド15を回転させながら複数のシールドジャッキを伸長すると、既設のセグメントへの押し付け反力によって掘削機本体11が前進し、最前方に位置しているフィッシュテールカッタ23と土砂用切削ビット30及び各支障物切削ビット31,32,33が前方の地盤を掘削する。そして、掘削された土砂はチャンバ22に取り込まれ、スクリューコンベヤ21によって外部に排出される。その後、シールドジャッキの何れか一つを縮み方向に作動して既設のセグメントとの間に空所を形成し、エレクタ装置によってこの空所に新しいセグメントを装着する。この作業の繰り返しによってトンネルを連続的に掘削形成していくことになる。
この掘削途中で、図6に示すように、H型鋼や鋼矢板(シートパイル)等の支障物Sに遭遇した際には、上述したようなカッタヘッド15の形状と各支障物切削ビット31,32,33の形状及び配置で効果的に支障物Sを切削することができる。
即ち、カッタ面板16及びカッタスポーク17が円錐状に傾斜する(例えば5°〜10°)傾斜型のカッタヘッド15(図6の(a)参照)により、カッタヘッドに傾斜が無いもの(図6の(b)参照)に比べて、支障物切削範囲Aが小さくなり、切削抵抗の低減が図れるのである。
また、各支障物切削ビット31,32,33におけるチップ先端角度が鈍角であると共に、切削方向(カッタヘッド15の周方向)に対称な山型状や円弧状に形成されて一つのビットでカッタヘッド15の左,右両回転に対応可能となっているので、一般的な土砂用切削ビットに比べて、切削効率や耐久性が高い。
また、各支障物切削ビット31,32,33は、カッタヘッド15の半径方向に隣り合うパスのものとラップさせて配置し、ビット間に隙間をあけないようになっているので、
支障物Sを可及的に小片で切削でき、切削片を迅速かつ円滑にスクリュコンベア21で排出することができる。
そして、本実施例では、掘進先に予め支障物Sが有ることが解っている場合は、図7に示すように、地盤及び支障物Sにおけるカッタヘッド15のフィッシュテールカッタ23通過部は発進立坑40に設置した水平ボーリング41により先行して削孔しておくようになっている。図示例では、管径の異なる3本の削孔管P1、P2、P3からなる釣竿方式を採用し、管径の大きなものから徐々に小さなものに変化させて施工する方式としている。
更に、図8に示すように、補助工法として全方位型高圧噴射方式の地盤改良を適用し、支障物S周辺の地盤を改良し、支障物Sを固定するようになっている。それには、支障物Sを事前に水平ボーリング41(図7参照)により穿孔し、高圧噴射工法の改良最終位置まで多数本の多孔管P4を挿入しておく必要がある。尚、図8中イは地盤改良範囲で、ロはトンネル、ハは多孔管P4による高圧噴射域をそれぞれ示す。
この際、図9に示すように、先ず対象となる地盤の物理特性及び力学特性を把握してからシールド計画と支障物の位置確認をし、その後形状寸法や材料の物理力学を確認し、最後に対象となる支障物を切削可能なカッタトルク値、切削掘進速度の設定を行なうという設計条件が満たされてから、改良強度・改良範囲の設定として、カッタトルクから要求される改良強度・・・(1)と切削を確実にする支障物の許容変位から決まる改良強度・・・(2)と奥行き方向の改良範囲・・・(3)を計算する。
次に、上記(1)〜(3)の計算方法の一例を以下に示す。
(1)カッタトルク値より決まる改良強度
鋼材等を切削するに必要な最大トルク Tc(kN・m)
回転半径 r(m)
障害物切削ビット 本数n 断面積a(m2
地盤改良に求められる強度 qc=Tc/r/(n・a) (kN/m2
安全率 n(現場状況に応じて協議)
設計改良強度 qa=n・qc (kN/m2
(2)障害物に許される許容変位から決まる改良強度
以下に支障物にシールド外力による発生変位量の算定理論を示す。
発生変位量の許容値は、掘進速度等の諸条件から定める。
基本的には、発生変位量は1cm以下とする。
支障物に発生する変位モデルは、図10に示す諸条件を基に「弾性床上の梁モデル」により算出する。
ここに、 EI:(例えば、鋼矢板の曲げ剛性)
L :支障物埋設長さ(m)
Lu:支障物天端から地盤改良体(上端)までの深さ(m)
B1:シールド掘削機天端からの上部改良厚さ(m):通常1.0m
D :シールド掘削機外径(m)
B2:シールド掘削機天端からの下部改良厚さ(m):通常1.0m
Ls:支障物下端から地盤改良体(下端)までの深さ(m)
kHs:改良地盤の地盤反力係数(kN/m3)(B1+D+B2)区間
kH0:未改良地盤の地盤反力係数(kN/m3)シールド外径より上部地盤
kH1:未改良地盤の地盤反力係数(kN/m3)シールド外径より下部地盤
Ns:障害物に作用するシールド水平外力(kN/m2
Qs:障害物に作用するシールド垂直外力(kN/m2
Ms:障害物に作用するシールドモーメント(トルク)外力(kN・m)
なお、「弾性床上の梁モデル」の梁の境界条件は、現場状況に即したものを入力する。
(3)奥行き方向の改良範囲の設定
奥行き方向の改良範囲は、図11に示すように、シールド掘削機外径下端:B2下端より、地盤に受働崩壊角度(45―φ/2)°とシールド掘削機外径上端:B1上端より水平線を引いた交差位置までを奥行き方向の改良範囲とする。
(粘性土、内部摩擦角度φ=0の場合、奥行き改良幅は、B1+D+B2の正方形)
(内部摩擦角度を考慮できる場合は、(45−φ/2)°と長くなる。)
このようにして、本実施例では、掘進先に予め支障物Sが有ることが解っている場合は、地盤及び支障物Sにおけるカッタヘッド15のフィッシュテールカッタ23通過部を先行して削孔しておくので、フィッシュテールカッタ23の損傷が低減される。また、地盤改良で支障物Sを動かないように固定するので、支障物Sが動いてカッタヘッド15にからみつきシールド掘削機10が掘進不能に陥ると共にビットが欠損することが未然に回避される。
従って、前述したようなカッタヘッド15の形状と各支障物切削ビット31,32,33の形状及び配置との相乗効果で安全かつ確実に支障物Sを撤去することができる。そして、本実施例は、掘削機本体11内に支障物Sを撤去する設備や作業スペースを持ち得ない掘削機外径が約270cm程度の比較的小径のトンネル掘削機にも用いることが可能である。
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、各支障物切削ビット31,32,33の形状及び配置の変更や支障物Sを固定する補助工法として地盤改良以外のものを採用しても良い。また、地盤改良による固化方法として水平ボーリング41による水平施工を用いたが鉛直(垂直)ボーリングによる鉛直(垂直)施工を用いても良い。
本発明の一実施例を示すトンネル掘削機としてのシールド掘削機の側面図である。 カッタヘッドの斜視図である。 支障物切削ビットと土砂用切削ビットの説明図である。 各支障物切削ビットの軌跡図である。 支障物切削ビットの配置図である。 カッタヘッドの形状比較図である。 削孔説明図である。 地盤改良の施工図である。 地盤改良の施工範囲の設定フローである。 改良強度の説明図で同図(a)は支障物撤去概略図、同図(b)は地盤改良計算モデル図である。 地盤改良範囲(奥行き方向)の断面図である。
符号の説明
10 シールド掘削機、11 掘削機本体、12 バルクヘッド、13 シール、14 回転体、15 カッタヘッド、16 カッタ面板、17 カッタスポーク、18 リングギア付き軸受、19 駆動モータ、20 駆動ギア、21 スクリュコンベア、22 チャンバ、23 フィッシュテールカッタ、24 センターシャフト、25 コピーカッタ、26 押出ジャッキ、27 外周リング、30 土砂用切削ビット、31 スポーク取付用支障物切削ビット、32 面板取付用支障物切削ビット、33 外周部取付用支障物切削ビット、30a,32a,33a 超硬チップ、40 発進立坑、41 水平ボーリング、P1,P2,P3 削孔管、P4 多孔管、イ 地盤改良範囲、ロ トンネル、ハ 高圧噴射域、S 支障物。

Claims (5)

  1. 筒状をなす掘削機本体の前部にカッタヘッドを回転自在に支持し、該カッタヘッドの先細りの円錐状に傾斜した前面部に複数の土砂用切削ビットと複数の支障物切削ビットを設け、該支障物切削ビットのチップ先端角度を鈍角としたことを特徴とするトンネル掘削機。
  2. 前記支障物切削ビットは、カッタヘッドの半径方向に隣り合うパスのものをラップさせて配置したことを特徴とする請求項1記載のトンネル掘削機。
  3. 前記支障物切削ビットは、切削方向に対称な山型状や円弧状に形成されて一つのビットでカッタヘッドの左,右両回転に対応可能となっていることを特徴とする請求項1又は2記載のトンネル掘削機。
  4. 前記請求項1,2又は3記載のトンネル掘削機を用いて掘進先の支障物を撤去する際に、支障物及び地盤におけるカッタヘッド中央のフィッシュテールカッタ通過部を先行して削孔しておくことを特徴とする支障物撤去方法。
  5. 前記削孔の後、支障物を動かないように固定するための補助工法を施工することを特徴とする請求項4記載の支障物撤去方法。
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