JP2006118010A - Agナノ粒子及びその製造方法、Agナノ粒子の分散溶液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 硝酸銀のアンミン錯体を分散剤として含有する1〜20nmの粒子径を有するAgナノ粒子は、有機溶媒中で、硝酸銀と有機溶媒中で還元能を示さない還元剤及びアルキルアミンを混合して得ることができる。
【選択図】 なし
Description
また、単分散であり均一な形状を有したAgナノ粒子は、高性能顔料、2次元あるいは3次元構造を有するナノクリスタル材料に用いることも期待できる。
これまで数ナノメートルの粒子径を有するAgナノ粒子を合成する方法は数多く報告されてはいるが、大量、且つ、安価で工業的生産性に優れる製造方法とは言い難いものであった。
この原因はAgナノ粒子を調製する時の反応濃度とその後の精製工程での効率性にあると筆者は考えた。
そのため、貧溶媒を除くために常圧下あるいは減圧下において貧溶媒を可能な限り留去する手法がとられる。このときに乾固や乾固に近い状態にすることで再分散性が悪くなる場合がある。これは乾燥時に粒子同士が強く凝集してしまうためであり、貧溶媒を除去するには良溶媒を加えた上で注意深く行い、つねに溶媒で濡れた状態にする必要があった。
また、有機溶媒としては、Agナノ粒子が安定して分散するものであれば限定されるものではなく、例えば、トルエン、テルピネオール、ヘキサン、テトラデカン等である。
(ii)上記湿式合成法により調製したAgナノ粒子をメタノールで凝集沈殿させた後、凝集物を水で洗浄し、続いてメタノールで洗浄後、よく乾燥し、乾固後にトルエンに再分散させたところ、容易に再分散した。
(iii)上記湿式合成法により調製したAgナノ粒子をメタノールで凝集沈殿させた後、凝集物を塩化ナトリウムの水溶液中で洗浄した。続いて、水洗した(水を用いて塩分を取り除いた)後、よく乾燥し、濃縮・乾固後にトルエンへの再分散を試みたところ、再分散性が悪くなり沈殿物が生じた。さらに、洗浄後の沈殿物をメタノールとギ酸を用いて洗浄した後、熱分析により有機分の重量を評価したところ、洗浄前(前記(i)、(ii)の状態)に比べて大幅に有機成分が減量していた(図1)。
(iv)上記湿式合成法により調製したAgナノ粒子をメタノールで凝集沈殿させた後、凝集物を塩化ナトリウムの水溶液中で洗浄した。続いて、水洗した(多量の水を用い塩分を取り除いた)後、乾固しないようにトルエンを加えながら系中から水分を除去し、トルエンへの再分散を試みたところ、容易に再分散した。
アルキルアミンのみが分散剤であると、分散溶液を乾固またはそれに近い状態にすると再分散性が悪くなり、結果、沈殿物が生じる((iii)の状態)。
アルキルアミンが遊離していることは塩化ナトリウム水溶液で洗浄した凝集物を、アルキルアミンを塩として取り除くために加えるギ酸と洗浄するための溶媒として加えるメタノールの混合物溶液で洗浄することでアルキルアミンが取り除かれ、熱分析により有機成分が減っていることから分かる((i)、(iii)の状態)。
ビーカーに硝酸銀(4.0g)、アスコルビン酸(8.3g)を計り取った。別のビーカーにオレイルアミン(12.6g)を取り、ヘキサン(50mL)に溶解した。ヘキサン溶液を先のビーカーに加え室温下2時間撹拌した。溶液の色は黒みがかった黄色を呈していた。次いで、アセトン、メタノール―水混合溶液を用いてAgナノ粒子を凝集沈殿させ、上澄液をデカンテーションにより取り除き、余分な塩やアルキルアミンなどを洗浄した。
ロータリーエバポレーターにより乾燥後、重量を測定し固形分2.5gを得た。固形分のうち有機成分が20wt%であった。ヘキサン(4.2g)を加えて約30wt%のAgナノ粒子分散溶液を得た。
ビーカーに硝酸銀(2.0g)、アスコルビン酸(3.1g)を計り取った。別のビーカーにドデシルアミン(4.3g)を取り、トルエン(50mL)に溶解した。トルエン溶液を先のビーカーに加え室温下2時間撹拌した。溶液の色は黒みがかった黄色を呈していた。
アセトン、メタノール−水混合溶液を用いてAgナノ粒子を凝集沈殿させ、上澄液をデカンテーションにより取り除き、余分な塩やアルキルアミンなどを洗浄除去した。
ロータリーエバポレーターにより乾燥後、重量を測定し固形分1.2gを得た。固形分のうち有機成分は16wt%であった。トルエン(0.8g)を加えて約50wt%のAgナノ粒子分散溶液を得た。
ビーカーに硝酸銀(10g)とオレイルアミン(31.5g)を取り、トルエン(100mL)を加え攪拌した。この溶液中にトルエン(50mL)と蟻酸(4.1g)の混合溶液(溶解せず分散した状態)を加えていくと濃黄色の溶液が得られた。3時間攪拌した後、反応溶液をメタノール中に注ぎAgナノ粒子を凝集沈殿させ、上澄液をデカンテーションにより取り除き、余分な塩やアルキルアミンなどを洗浄除去した。凝集体中のAg固形分は約5gであった。凝集体はトルエンに容易に再分散した。再分散した溶液の一部を希釈し透過型電子顕微鏡により微粒子を観察した。
ビーカーに硝酸銀(140g)、イソアスコルビン酸(218g)を計り取った。別のビーカーにオレイルアミン(441g)を取り、トルエン(1000mL)に溶解した。トルエン溶液を先のビーカーに加え室温下2時間撹拌した。溶液の色は黒みがかった黄色を呈していた。
アセトン、メタノール―水混合溶液を用いてAgナノ粒子を凝集沈殿させ、上澄液をデカンテーションにより取り除き、余分な塩やアルキルアミンなどを洗浄除去した。ロータリーエバポレーターにより乾燥後、重量を測定し固形分77gを得た。固形分のうち有機成分は21wt%であった。トルエン(44.7g)を加えて約50wt%のAgナノ粒子分散溶液を得た。
得られたAgナノ粒子分散溶液の熱分析を行った。図1にTGの結果を示す(図1の上段)。
トルエン溶媒が気化した後の固形分が65.7wt%、500℃以上まで加熱後の残渣が55wt%であり、この差の10.7wt%が硝酸銀のアンミン錯体から遊離したと考えられるアルキルアミンと硝酸銀からの硝酸イオン部分に相当すると考えられる。加熱により硝酸銀アンミン錯体の有機分は燃焼し銀イオンはAgへ還元されると考えられるので、Agアミン錯体中の有機成分の分子量比率を換算して、Agナノ粒子に対して約23wt%のAgアミン錯体含まれていることになる。
Agナノ粒子の合成は実施例と同様に行った。
オレイルアミンを用いて調製したAgナノ粒子分散溶液中に多量のメタノールを加えて凝集沈殿させた。続いて、デカンテーションによりメタノールを取り除き、塩化ナトリウム水溶液を加え、激しく1時間攪拌した。塩化ナトリウム水溶液を取り除き、純水で5回洗浄した後、ロータリーエバポレーターにより減圧下、乾固させた。
トルエンを加えて再分散を試みたが、一部は再分散したが、一部は再分散せず凝集したままであった。
Claims (3)
- 硝酸銀のアンミン錯体を含有する平均粒子径が1〜20nmのAgナノ粒子。
- 有機溶媒中で、硝酸銀、有機溶媒中で還元能を示さない還元剤及びアルキルアミンを混合することを特徴とする請求項1記載のAgナノ粒子の製造方法。
- 有機溶媒中にAgナノ粒子とともに、硝酸銀のアンミン錯体を含有することを特徴とする分散溶液。
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