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JP2006116707A - インクジェットプリンタのヘッド回復処理方法、インクジェットプリンタおよび印刷システム - Google Patents

インクジェットプリンタのヘッド回復処理方法、インクジェットプリンタおよび印刷システム Download PDF

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昇 大月
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Abstract

【課題】 非純正品のインクカートリッジが装着された場合においてもノズル目詰まりを発生させることなく良好な印字品位を維持可能なインクジェットプリンタを提案すること。
【解決手段】 インクジェットプリンタ1では、各インクカートリッジ10に取り付けたICメモリ42に書き込まれている識別情報10aから、インクカートリッジ10が非純正品であることを判別すると、ヘッドクリーニングの動作モードを切り替えて、純正品の場合に比べてインク吸引時間を長くし、インク吸引力を高め、あるいは、ヘッドクリーニングの周期を短くする。粘度が高く、表面張力の大きい非純正品が装着された場合においても、ノズルに目詰まりが発生せず、ドット抜けなどの印字品位の低下を防止できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、インクカートリッジをインク供給源とするインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法に関するものである。さらに詳しくは、装着されたインクカートリッジの種類に応じて、適切なヘッド回復処理動作を行うことのできるインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法、インクジェットプリンタおよび印刷システムに関するものである。
インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドの各ノズルに残っているインクが増粘し、あるいは内部に気泡が残留すると、目詰まりによるインク液滴の吐出不良あるいは吐出不能が発生し、また、残留気泡による空吐出が発生し、印字品位が低下してしまう。そこで、手動により、あるいは定期的にヘッド回復処理が行われる。
例えば、定期的に、インクジェットヘッドを印字領域から外れた位置まで移動して、各ノズルから印字に関与しないインク液滴を吐出して、ノズル内に増粘したインクが残らないようにしている。また、各ノズルからインクを吸引することにより、各ノズル内、あるいはインクジェットヘッド内に侵入している気泡などを排出して、いわゆる空打ちが発生しないようにしている。さらには、インクカートリッジからインクジェットヘッドに到るインク供給チューブ内において増粘したインクも排出するようにしている。
ここで、近年では、インクジェットプリンタの製造者や販売者以外の第三者が、当該インクジェトプリンタに装着可能な、いわゆる非純正品のインクカートリッジを製造および販売する場合がある。非純正品のインクカートリッジに貯留されているインクの特性は、純正品のインクカートリッジのインクとは異なり、劣悪な場合もある。例えば、発色特性が異なる場合には、色の再現性が低下するなどの弊害が発生する。そこで、下記特許文献1においては、インクカートリッジに、当該インクカートリッジの識別情報を担持したICメモリを取り付け、装着されたインクカートリッジが純正品であるか否かを判別し、純正品でない場合には、警告表示を行うようにしている。
特開2001−105625号公報
しかしながら、基本的に非純正品の使用を不可能にすることは出来ず、使用者の裁量に任されている。
ここで、非純正品は、純正品に比べて、そのインク粘度および表面張力が高い場合が多い。このため、純正品のインクに対応したヘッド回復処理を行っても、インク粘度などが高いので、各ノズルからインクを十分に吸引できず、また、内部の気泡を確実に排出できないおそれがある。かかる状態が継続すると、ノズル内、インクジェットヘッド内部などに残留しているインクの粘度が大幅に増加し、また、大量の残留気泡が発生し、ヘッド回復処理を実行しても、目詰まりなどが解消できない事態に陥る可能性が高い。
本発明の課題は、この点に鑑みて、非純正品のインクカートリッジが装着されて使用される場合においてもインクジェットヘッドの目詰まり等を確実に防止可能なインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法、インクジェットプリンタおよび印刷システムを提案することにある。
上記の課題を解決するために、本発明のインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法は:インクカートリッジに、当該インクカートリッジを識別するための識別情報を担持させ;前記インクカートリッジがインクジェットプリンタのインクカートリッジ装着部に装着されると、当該インクカートリッジに担持されている前記識別情報を読み取り;読み取られた前記識別情報に基づき、前記インクジェットプリンタのインクジェットヘッドの目詰まりなどを回避するために実行されるヘッド回復処理動作の動作モードを決定し;決定された動作モードによる前記ヘッド回復処理動作を実行することを特徴としている。
前記識別情報には製造元、販売元などの情報が担持されているので、このような情報を、前記インクカートリッジが純正品であるか否かを識別するためのものとして用いることができる。ここで、純正品が装着された場合には第1動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行し、純正品でない場合は、第2動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行すればよい。
この代わりに、前記識別情報に、前記インクカートリッジに貯留されているインクの粘度および/または表面張力を表すための情報を直接担持させ、これらに基づき、前記ヘッド回復処理の動作モードを決定してもよい。この場合には、前記粘度および/または表面張力が予め定めた標準値以下の場合には第1動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行し、前記粘度および/または表面張力が前記標準値を越える場合には第2動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行すればよい。
ここで、前記ヘッド回復処理としては、手動操作により起動して前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するマニュアルヘッド回復処理動作と、タイマ起動により、前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するタイマヘッド回復処理動作がある。
非純正品は純正品に比べてインク粘度、表面張力が大きい場合が殆どであるので、前記マニュアルヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べて前記第2動作モードにおける各ノズルからのインク吸引時間が長く、および/または、インク吸引速度が速くなるように設定すればよい。同様に、前記タイマヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べて前記第2動作モードにおけるタイマ周期が短くなるように設定すればよい。
次に、本発明のインクジェットプリンタは:インクジェットヘッドと;前記インクカートリッジを着脱可能な状態で装着するためのインクカートリッジ装着部と;前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクを吸引して回収する廃インク回収手段と;前記インクカートリッジ装着部に装着された前記インクカートリッジのメモリに書き込まれている識別情報を読み込むための情報読み取り手段と;読み取られた前記識別情報に基づき、前記廃インク回収手段を駆動してヘッド回復処理動作を実行させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
この場合においても、前記識別情報は前記インクカートリッジが純正品であるか否かを識別するためのものとし、前記制御手段は、純正品の場合には、第1動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行し、純正品でない場合は、第2動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行するようにすることができる。
また、前記インクジェットプリンタは前記ヘッド回復処理を起動するための手動入力手段、および/または、印刷データを提供するホストコンピュータからの指令を受け付ける指令受付手段を備えたものとし、前記制御手段は、手動入力操作あるいは指令受付手段により起動して前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するマニュアルヘッド回復処理動作と、タイマ起動され、前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するタイマヘッド回復処理動作を実行するように構成すればよい。さらに、前記マニュアルヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べて前記第2動作モードにおける各ノズルからのインク吸引時間が長く、および/または、インク吸引速度が速くなるように設定し、前記タイマヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べてタイマ周期が短くなるように設定することができる。
一方、本発明は印刷システムに関するものであり、上記構成のインクジェットプリンタと、当該インクジェットプリンタのインク供給源として用いるインクカートリッジとを有し、当該インクカートリッジは、当該インクカートリッジを識別するための識別情報が書き込まれているメモリを備えていることを特徴としている。
本発明では、インクジェットプリンタのインクカートリッジ装着部に装着されたインクカートリッジを識別し、装着されたインクカートリッジのインクの特性に対応したヘッド回復処理動作を行っている。したがって、粘度および表面張力の高い非純正品が装着された場合においても、インクジェットヘッドの目詰まりの発生を確実に防止できる。
以下に、図面を参照して、本発明を適用した印刷システムの一例を説明する。本例の印刷システムは、インクジェットプリンタと、そのインク供給源として用いるインクカートリッジと、印刷データをインクジェットプリンタに供給するホストコンピュータから構成される。
(構成の説明)
図1は、印刷システムにおけるインクカートリッジが装着されたインクジェットプリンタの基本構成を示す概略構成図であり、図2は印刷システムにおける廃インク回収系および制御系の概略ブロック図である。
まず、図1を主に参照して説明すると、インクジェットプリンタ1はシリアルプリンティング方式のものであり、インクジェットヘッド2がキャリッジ3に搭載されている。キャリッジ3はキャリッジモータ4によって駆動されるタイミングベルト5によって、ガイド軸6に沿って主走査方向に往復移動する。キャリッジ3の下面に搭載されているインクジェットヘッド2のノズル面2aに対峙する状態で、紙送りローラ7が主走査方向に配置されている。紙送りローラ7によって副走査方向に搬送される記録紙8に、インクジェットヘッド2によって印字が行われる。
キャリッジ3の上面にはカートリッジ装着部9が形成されており、ここには、インクジェットヘッド2に対してそれぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアンおよびライドマゼンタを供給するインクカートリッジ10BK、10C、10M、10Y、10LCおよび10LMが着脱可能に装着されている。なお、以下の説明においてはこれらのインクカートリッジの一つあるいはこれらを総称してインクカートリッジ10と呼ぶ場合がある。
インクジェットヘッド2の移動範囲における非印字領域(図1における右端部分)には、キャリッジ3が当該箇所に移動した時に上昇して、キャリッジ3に搭載されているインクジェットヘッド2のノズル面2aを封止することができるキャッピング機構11が配置されている。このキャッピング機構11は、インクジェットヘッド2から印字に関与しないインク液滴を吐出するフラッシング動作時には、一定の間隙をもってインクジェットヘッド2に対峙し、吐出されたインク液滴を受ける機能を果たす。また、プリンタ休止期間中にはインクジェットヘッド2のノズル面2aを封止する機能を果たす。さらに、キャッピング機構11は、ヘッドクリーニング時(ヘッド回復処理時)においては、ノズル面2aをキャッピングした状態において吸引ポンプ12からの負圧を受けてインクジェットヘッド2からインクを強制的に吸引して排出させることができるように構成されている。
キャッピング機構11に隣接する印刷領域側には、ゴムなどの弾性素材を短冊状に形成したワイピング部材13が配置されている。キャリッジ3がキャッピング機構11に移動する際に、インクジェットヘッド2のノズル面2aの移動軌跡に進入して、必要に応じてインクジェットヘッド2のノズル面2aを払拭するワイピング動作を行うように構成されている。
次に、図2を主に参照して廃インク回収系を説明する。キャッピング機構11には、その内部空間を負圧に吸引する吸引ポンプ(例えば、チューブポンプ)12におけるチューブの一端が接続されており、この吸引ポンプ12の排出側は廃液タンク14に接続されている。クリーニング動作等によってキャッピング機構11内に排出されたインク廃液は、廃液タンク14に収納された廃液吸収材15によって、吸収保持されるように構成されている。
次に、図2を参照して印刷システムAの制御系を説明する。この図において、符号30はホストコンピュータであり、このホストコンピュータ30にはプリンタドライバ31が搭載されており、入力装置32からの指令によって、このプリンタドライバ31のユーティリティ上で、周知の用紙サイズ、モノクロ/カラー印刷の選択、記録モードの選択、フォント等のデータおよび印刷指令等が入力できるようになされている。
また、ホストコンピュータ30にはディスプレイ33が接続されており、周知のとおり、入力装置32による入力状況が確認できると共に、インクジェットプリンタ1の状態、例えば装着されている各インクカートリッジのインク残量、純正品であるか否か等の情報も可視的に表示できるように構成されている。
符号34は印刷制御部であり、ホストコンピュータ30の側から送られる印刷データに基づいてビットマップデータを生成し、このデータに基づいてヘッド駆動部35により駆動信号を発生させて、インクジェットヘッド2からインク液滴を吐出させることができるように構成されている。ヘッド駆動部35は印刷データに基づくインク液滴の吐出作用の他に、フラッシング制御部36からの指令を受けて、インク液滴を空吐出させるようにも作用する。
フラッシング制御部36は、印刷タイマ37の計時により印刷動作が一定時間継続した時点で、フラッシング動作(定期フラッシング)が実行されるように構成されており、この場合、キャリッジ3はフラッシング位置、例えばキャッピング機構11の位置に移送される。そして、ノズル開口の目詰まりの防止や目詰まり解消のために、インクジェットヘッド2の全てのノズル開口から所定数のインク滴が空吐出されるように制御される。
クリーニング制御部38は、例えばホストコンピュータ30からの指令を受けて印刷制御部34を介して制御信号を受けた場合、或いはインクジェットプリンタ1の操作パネルに配置されたクリーニングスイッチ41が操作された場合に起動されるように構成されている。ヘッドクリーニング処理が起動すると、インクジェットヘッド2のノズル面2aをキャッピング機構11によって封鎖した状態で、ポンプ駆動部39に制御信号を出力し、吸引タイマ40にセットされた時間だけ吸引ポンプ12を駆動し、これによりインクジェットヘッド2のノズル開口からインクを吸引排出させるマニュアルクリーニング動作がなされるように作用する。また、クリーニング制御部38は、インクジェットプリンタ1の動作電源のオン時においてなされる電源オンクリーニング動作、クリーニングタイマ45により設定される所定時間毎に実行されるタイマークリーニング動作、およびインクカートリッジが交換された時においてなされる交換クリーニング動作等も実行されるように機能する。
ここで、本例の各インクカートリッジ10の側面には、当該インクカートリッジの識別情報10aが書き込まれたICメモリ42が取り付けられている。識別情報10aには、当該インクカートリッジの製造元あるいは販売元を示す純正品識別情報、インクの種類、型番、製造年月日などの情報が書き込まれている。この構成の各インクカートリッジ10が装着されるカートリッジ装着部9には、各インクカートリッジ10のICメモリ42の記憶情報を読み出すための端子43が配置されている。インクカートリッジ10をカートリッジ装着部9に装着すると、各ICメモリ42の出力端子(図示せず)がカートリッジ装着部9側の各端子43に接続された状態が形成され、各ICメモリ42の記憶情報を、各端子43を介して、識別情報読み取り・判別部44において読み取り可能となる。
識別情報読み取り・判別部44では、読み取ったICメモリ42の識別情報10aに含まれる純正品識別情報に基き、装着されたインクカートリッジ10が純正品であるか否かを判別する。純正品である場合には、第1動作モードを表す識別信号がクリーニング制御部38に出力され、非純正品である場合には、第2動作モードを表す識別信号がクリーニング制御部38に出力される。クリーニング制御部38では、第1動作モードを表す識別信号を受け取ると、通常のヘッドクリーニング処理を実行する。しかるに、第2動作モードを表す識別信号を受け取ると、これとは異なるヘッドクリーニング処理を実行する。処理内容について図3を参照して後述する。
なお、本例では、各インクカートリッジ10から供給される各色のインクを吐出するインクジェットヘッド2のノズル面2aが共通のキャッピング機構11によってキャッピングされ、同時にインク吸引動作が行われる。したがって、カートリッジ装着部9に装着された6個のインクカートリッジ10のうちの一つでも非純正品がある場合には、通常とは異なるヘッドクリーニング処理が実行される。勿論、各色のインクを吐出するインクジェットヘッド毎に異なるキャッピング機構によって個別にキャッピングして個別にインクを吸引可能な廃インク回収系を備えている場合には、各インクジェットヘッドに対するヘッドクリーニング処理のモードを異なったものとすることも可能である。
次に、インク消費量演算部51は、各インクカートリッジ10に貯留されたインクの消費量をそれぞれ演算する機能を有しており、このインク消費量演算部51は印刷動作やフラッシング動作により吐出されたインク滴の数をカウントし、これに係数設定部52に格納されている1液滴当たりのインク量を乗算して消費インク量を算出するように作用する。また、ヘッドクリーニング動作時においては、ポンプ駆動部39に吸引指令が出力された段階で、インクジェットヘッド2から排出されるインク量も演算するように構成されている。
このインク消費量演算部51によって演算したインク消費量に関する計数値は、インク残量監視を行うインク消費カウンタ53に送られ、このインク消費カウンタ53において、装着されている各インクカートリッジのインク残量が監視される。このインク消費カウンタ53は演算制御部54との間で、双方向にデータの交信ができるように構成されている。演算制御部54には、インクカートリッジ着脱検出部55からの制御信号が供給されるように構成されている。
インクカートリッジ着脱検出部55は、キャリッジ3上のカートリッジ装着部9にインクカートリッジ10が装着されているか否かを検出するものであり、例えばインクカートリッジ10の交換に伴い、インクカートリッジ10が取り外されたことを感知した場合においては、インクカートリッジ交換フラグをセットする動作がなされる。なお、このインクカートリッジ着脱検出部55の機能を上記の識別情報読み取り・判別部44に含め、当該識別情報読み取り・判別部44において着脱を検出するようにしてもよい。
演算制御部54にはインク消費カウンタ53からのインク消費計数値にかかるデータ、およびインクカートリッジ着脱検出部55からのデータ(フラグ)が供給され、インクカートリッジ10の交換に伴い、当該カートリッジ10に対応するインク消費計数値をゼロリセットさせる。
また、演算制御部54を介してインク消費カウンタ53からのデータが、検証部56に供給されるように構成されている。検証部56には閾値設定部57からの閾値情報が供給されるように構成されており、検証部56は閾値設定部57からの閾値情報と、インク消費カウンタ53からのデータとを比較して、各インクカートリッジ10の状態を表示部58に表示させるようにも機能する。
(ヘッドクリーニング動作)
図3は、上記構成の印刷システムにおけるインクジェットプリンタ1によって行われるヘッドクリーニング処理動作を示す概略フローチャートである。
まず、ステップST1においてヘッドクリーニング要求を待つ。ヘッドクリーニング要求には、クリーニング制御部38が、例えばホストコンピュータ30からの指令を受けて印刷制御部34を介して制御信号を受けた場合、および、インクジェットプリンタ1の操作パネルに配置されたクリーニングスイッチ41が操作された場合のマニュアルクリーニング要求と、インクジェットプリンタ1の動作電源のオン時においてなされる電源オンクリーニング要求、クリーニングタイマ45により設定される所定時間毎に実行されるタイマークリーニング要求、およびインクカートリッジ10が交換された時においてなされる交換クリーニング要求がある。
かかるヘッドクリーニング要求があると、識別情報読み取り・判別部44は、カートリッジ装着部9に装着されている各インクカートリッジ10のICメモリ42に書き込まれている識別情報10aを読み込む(ステップST2)。次に、読み込んだ識別情報10aから、装着されているインクカートリッジ10が純正品であるか否かを判別する(ステップST3)。全て純正品のインクカートリッジ10が装着されている場合には、第1動作モードを表す識別信号がクリーニング制御部38およびクリーニングタイマ45に出力される。この結果、第1動作モードによるヘッドクリーニングシーケンスが選択され(ステップST4)、当該クリーニングシーケンスが起動する(ステップST6)。
これに対して、非純正品のインクカートリッジが含まれている場合には、第2動作モードを表す識別信号がクリーニング制御部38およびクリーニングタイマ45に出力される。この結果、第2動作モードによるヘッドクリーニングシーケンスが選択され(ステップST5)、当該クリーニングシーケンスが起動する(ステップST6)。
一般に、非純正品の場合には、純正品に比べてインク粘度および表面張力が高い。したがって、同一の吸引力でノズルを吸引しても、インク吸引量が少なく、また、インク吸引速度も低下するので、増粘した残留インクや、残留気泡を確実に排出できない場合がある。そこで、非純正品が装着された場合の第2動作モードでは、吸引タイマ40による吸引ポンプ12の駆動時間を長くして、ヘッドクリーニングにおけるインク吸引量が純正品の場合と同様な量となるようにすればよい。また、吸引ポンプ12による吸引力を高めることによりインク吸引速度を高め、純正品の場合と同様な吸引速度でインクを吸引して残留気泡を確実に排出すればよい。さらには、クリーニングタイマ45により設定されるタイマ間隔を短くし、より頻繁にタイマークリーニング動作を行うようにすればよい。
以上説明したように、本例の印刷システムでは、カートリッジ装着部9に装着されるインクカートリッジ10に非純正品が含まれている場合には、通常のヘッドクリーニング動作とは異なる第1動作モード、例えば、インク吸引時間を長くし、インク吸引速度を高め、タイマ間隔を短くするなどのモードで、ヘッドクリーニングを行うようにしている。したがって、インク粘度および表面張力が大きな非純正品が装着された場合においても、ノズルの目詰まりを確実に防止でき、印字品位を良好に保持できる。
なお、本例では、非純正品のインクカートリッジが装着された場合にはヘッドクリーニング動作モードを切り替えるようにしている。これと共に、定期的に行われるフラッシング動作のモードも変更するようにしてもよい。例えば、非純正品が装着されている場合には、フラッシング動作時のインクの無駄打ち回数を増やすなどして、ノズルの目詰まりを防止してもよい。
また、本例では、製造元などの情報から純正品および非純正品を識別している。この代わりに、インクカートリッジのICメモリ42に書き込まれる識別情報に、インクの粘度あるいは表面張力に関する情報を直接に担持させ、これに基づき、ヘッド回復処理の動作モードを変更するようにしてもよい。
本発明を適用した印刷システムを構成するインクジェットプリンタの概略構成図である。 図1の印刷システムの制御系とインク回収系の概略ブロック図である。 図1の印刷システムの動作を示す概略フローチャートである。
符号の説明
A 印刷システム、1 インクジェットプリンタ、2 インクジェットヘッド、3 キャリッジ、9 カートリッジ装着部、10、10BK、10Y、10M、10C、10LC、10LM インクカートリッジ、10a 識別情報、11 キャッピング機構、12 吸引ポンプ、30 ホストコンピュータ、31 プリンタドライバ、33 表示部、38 クリーニング制御部、39 ポンプ駆動部、40 吸引タイマ、41 クリーニングスイッチ、42 ICメモリ、43 端子、44 識別情報読み取り・判別部、45 クリーニングタイマ

Claims (9)

  1. インクカートリッジに、当該インクカートリッジを識別するための識別情報を担持させ、
    前記インクカートリッジがインクジェットプリンタのインクカートリッジ装着部に装着されると、当該インクカートリッジに担持されている前記識別情報を読み取り、
    読み取られた前記識別情報に基づき、前記インクジェットプリンタのインクジェットヘッドの目詰まりなどを回避するために実行されるヘッド回復処理動作の動作モードを決定し、
    決定された動作モードによる前記ヘッド回復処理動作を実行するインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法。
  2. 請求項1において、
    前記識別情報は前記インクカートリッジが純正品であるか否かを識別するためのものであり、
    純正品の場合には、第1動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行し、
    純正品でない場合は、第2動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行するインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法。
  3. 請求項1において、
    前記識別情報は、前記インクカートリッジに貯留されているインクの粘度および/または表面張力を表すためのものであり、
    前記粘度および/または表面張力に基づき、前記ヘッド回復処理の動作モードを決定するインクジェットヘッドのヘッド回復処理方法。
  4. 請求項3において、
    前記粘度および/または表面張力が予め定めた標準値以下の場合には第1動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行し、
    前記粘度および/または表面張力が前記標準値を越える場合には第2動作モードにより前記ヘッド回復処理を実装するインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法。
  5. 請求項2または4において、
    前記ヘッド回復処理には、手動操作により起動して前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するマニュアルヘッド回復処理動作、および、タイマ起動して前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するタイマヘッド回復処理動作が含まれており、
    前記マニュアルヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べて前記第2動作モードにおける各ノズルからのインク吸引時間が長く、および/または、インク吸引速度が速くなるように設定されており、
    前記タイマヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べて前記第2動作モードにおけるタイマ周期が短くなるように設定されているインクジェットプリンタのヘッド回復処理方法。
  6. インクジェットヘッドと、
    インクカートリッジを着脱可能な状態で装着するためのインクカートリッジ装着部と、
    前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクを吸引して回収する廃インク回収手段と、
    前記インクカートリッジ装着部に装着された前記インクカートリッジのメモリに書き込まれている識別情報を読み取るための識別情報読み取り手段と、
    読み取られた前記識別情報に基づき、前記廃インク回収手段を駆動してヘッド回復処理動作を実行させる制御手段とを有しているインクジェットプリンタ。
  7. 請求項6において、
    前記識別情報は前記インクカートリッジが純正品であるか否かを識別するためのものであり、
    前記制御手段は、純正品の場合には、第1動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行し、純正品でない場合は、第2動作モードにより前記ヘッド回復処理を実行するインクジェットプリンタ。
  8. 請求項7において、
    前記インクジェットプリンタは、前記ヘッド回復処理を起動するための手動入力手段、および/または、印刷データが供給されるホストコンピュータの側からの指令受付手段を備え、
    前記制御手段は、
    手動入力操作あるいは前記指令受付手段により起動し、前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するマニュアルヘッド回復処理動作と、タイマ起動して、前記インクカートリッジ装着部から前記インクジェットヘッドの各ノズルからインクおよび気泡を吸引して排出するタイマヘッド回復処理動作を実行するようになっており、
    前記マニュアルヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べて前記第2動作モードにおける各ノズルからのインク吸引時間が長く、および/またはインク吸引速度が速くなるように設定されており、
    前記タイマヘッド回復処理では、前記第1動作モードに比べて前記第2動作モードにおけるタイマ周期が短くなるように設定されているインクジェットプリンタ。
  9. 請求項6、7または8に記載のインクジェットプリンタと、
    前記インクジェットプリンタのインク供給源として用いるインクカートリッジとを有し、
    前記インクカートリッジは、当該インクカートリッジを識別するための識別情報が書き込まれているメモリを備えている印刷システム。
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