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JP2006108618A - 光学系の光学特性の計測方法、光学特性計測装置、露光装置並びにデバイスの製造方法 - Google Patents

光学系の光学特性の計測方法、光学特性計測装置、露光装置並びにデバイスの製造方法 Download PDF

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JP2006108618A
JP2006108618A JP2005084582A JP2005084582A JP2006108618A JP 2006108618 A JP2006108618 A JP 2006108618A JP 2005084582 A JP2005084582 A JP 2005084582A JP 2005084582 A JP2005084582 A JP 2005084582A JP 2006108618 A JP2006108618 A JP 2006108618A
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JP2005084582A
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Koji Kaise
浩二 貝瀬
Toru Fujii
藤井  透
Takamitsu Sugawara
貴光 菅原
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Nikon Corp
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Nikon Corp
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  • Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

【課題】光学系を使用状態で光学特性をより厳密に管理可能な光学系の光学特性の計測方法、光学特性計測装置、露光精度を向上可能な露光装置、高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することのできるデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】予め波面収差が確認されている基準光学系BLの波面収差を、検査用波面収差測定装置110と、露光装置に装着される波面収差測定ユニットとで計測し、両波面収差の第1の差分を求める。投影光学系PLの波面収差を、検査用波面収差測定装置110で計測するとともに、露光装置に搭載した後に波面収差測定ユニットで計測し、両波面収差の第2の差分を求める。露光装置に搭載された状態での投影光学系PLの波面収差を2つの差分に基づいて補正する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、光学装置に搭載される光学系の光学特性の計測方法、光学特性計測装置に関するものである。また、本発明は、所定のパターンの像を基板上に露光する露光装置に関するものである。さらに、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法に関するものである。
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、フォトマスク、レチクル等のマスクに形成されたパターンを、投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ、ガラスプレート等の基板上に転写する露光装置が用いられている。この種の露光装置としては、いわゆるステッパ等の静止露光型の露光装置や、いわゆるスキャニング・ステッパ等の走査露光型の露光装置が、主として用いられている。
このような露光装置においては、マスクに形成されたパターンを、基板上に高い解像力で忠実に投影する必要がある。このため、投影光学系は、光学特性として、例えば、波面収差が許容範囲内に収まるように設計されている。
しかし、投影光学系を完全に設計通りに製造することは困難であり、実際に製造された投影光学系には、様々な要因で許容範囲を超える収差成分が残存してしまう。
そこで、実際に製造された投影光学系の波面収差を測定するために、例えば次のような技術が提案されている。すなわち、ピンホールパターンを用いて、発生させた球面波を被検光学系に入射させ、被検光学系を通過した後の球面波の波面またはその球面波を一旦平行光に変換した後の波面を複数に分割する。次いで、その分割された波面ごとにスポット像を形成し、分割波面ごとのスポット像の形成位置に基づいて被検光学系の波面収差を計測するというものである。(特許文献1参照)
国際公開番号 WO99/60361
ところで、従来、投影光学系の露光装置への搭載に際しては、まず製造された投影光学系を製品検査用の波面収差測定装置(以下、「検査用測定機」という)に搭載して波面収差を計測する。その検査用測定機で計測した波面収差が許容範囲内であれば、投影光学系を露光装置に搭載する。そして、投影光学系を露光装置に搭載した状態で、露光装置に装着された波面収差測定装置(以下、「本体測定機」という)により波面収差を計測して、その本体測定機で計測した波面収差が、前記検査用測定機で計測した波面収差と一致していることを確認していた。
ここで、検査用測定機と本体測定機との間に機差が存在すると、検査用測定機で計測した波面収差と本体測定機で測定した波面収差とが見かけ上一致していたとしても、実際には両者の波面収差の間に微妙なずれが生じているおそれがある。このようなずれが生じていると、投影光学系に、露光装置への搭載の前後で波面収差の変化が生じていることになる。
従来、検査用測定機と本体測定機との間の機差について、特に問題とされることはなかった。しかしながら、近年、半導体素子の集積度の向上要求が著しく高まってきており、これに伴って回路パターンも著しく微細化してきている。このため、投影光学系には、ますます厳密な波面収差の管理が求められるようになってきている。
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的としては、光学系の光学特性をより厳密に管理することができる光学系の光学特性の計測方法、光学特性計測装置を提供することにある。
また、本発明のその他の目的は、露光精度を向上可能な露光装置を提供することにある。
さらに、本発明のその上の目的は、高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することのできるデバイスの製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光学装置に搭載される光学系の光学特性の計測方法において、前記光学装置に搭載される前に第1の光学特性計測装置で、前記光学系の光学特性を計測し、前記第1の光学特性計測装置で、予め光学特性が確認されている基準光学系の光学特性を計測し、前記基準光学系の光学特性を、前記光学装置に設けられる第2の光学特性計測装置を用いて計測し、前記光学系を前記光学装置に搭載した後、前記第2の光学特性計測装置で前記光学系の光学特性を計測することを特徴とするものである。
この請求項1に記載の発明では、予め光学特性が確認されている基準光学系について、第1の光学特性計測装置と第2の光学特性計測装置とで基準光学系の光学特性を計測するため、第1の光学特性計測装置と第2の光学特性計測装置との機差を把握することができる。このため、光学系を光学装置に搭載した状態でその光学装置に設けられる第2の光学特性計測装置で計測した光学特性に、第1の光学特性計測装置と第2の光学特性計測装置との機差を反映させることが可能となる。従って、光学系の光学特性の管理をより厳密に行うことができる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果と前記第2の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果との差分を考慮して、前記光学装置に搭載した前記光学系の光学特性を算出することを特徴とするものである。
この請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明の作用に加えて、光学系の光学特性に、より確実に第1の光学特性計測装置と第2の光学特性計測装置との機差を反映させることができる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記差分に基づいて、前記光学系を前記光学装置に搭載した後に、前記第2の光学特性計測装置で計測した前記光学系の光学特性の計測結果を補正することを特徴とするものである。
この請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明の作用に加えて、光学系の光学特性を補正することによって、第2の光学特性計測装置で計測された光学特性から、第1の光学特性計測装置と第2の光学特性計測装置との機差に基づく誤差の要因を排除することができる。従って、光学系の光学特性をより正確に把握することができる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記第2の光学特性計測装置が、前記光学装置に対して着脱可能に装着されるものであることを特徴とするものである。
この請求項4に記載の発明では、複数の光学装置間で共用されるような第2の光学特性計測装置において、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用を発揮させることができる。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記第2の光学特性計測装置は、前記光学装置に常設されていることを特徴とするものである。
この請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、光学装置に常設される第2の光学特性計測装置の計測性能を長期間にわたって安定した状態に保つことができる。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記基準光学系を構成する光学素子は、前記光学系を構成する光学素子よりも径が小さいことを特徴とするものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記基準光学系を構成する光学素子の枚数は、前記光学系を構成する光学素子の枚数より少ないことを特徴とするものである。
これらの請求項6及び請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、基準光学系の取り扱いが容易になるとともに、構造の簡素化を図ることができ光学特性の安定性を高めることができる。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記第1の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果と、前記第2の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果とに基づいて、前記第2の光学特性計測装置を較正することを特徴とするものである。
この請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、第2の光学特性計測装置の性能を長期にわたって高く安定した状態に保つことができる。
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明において、前記光学特性は、波面収差、開口の大きさ、偏光特性の少なくとも1つを含むことを特徴とするものである。
この請求項9に記載の発明では、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、波面収差、開口の大きさ、偏光特性の少なくとも1つの光学特性の管理を厳密に行うことができる。
また、請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記光学装置が、所定のパターンの像を基板上に転写する露光装置であることを特徴とするものである。
この請求項10に記載の発明では、請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加えて、搭載される光学系の光学特性をより厳密に管理することができ、露光精度を向上させることができる。
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記光学系が、前記所定のパターンの像を基板上に投影する投影光学系であることを特徴とするものである。
露光装置においては、露光精度に関して、投影光学系の光学特性の及ぼす影響が特に大きいため、この請求項11に記載の発明によれは、請求項10に記載の発明の作用が特に顕著に奏される。
また、請求項12に記載の発明は、光学装置に搭載される光学系の光学特性の計測方法において、前記光学装置に搭載される前に前記光学系の光学特性を計測する第1の光学特性計測装置と、前記光学装置に設けられ、前記光学装置に搭載された後に前記光学系の光学系の光学特性を計測する第2の光学特性計測装置との間の計測誤差に基づいて、前記光学装置に前記光学系を搭載した後に、前記第2の光学特性計測装置で計測した前記光学系の光学特性の計測結果を補正することを特徴とするものである。
この請求項12に記載の発明では、光学装置に光学系を搭載した後に、第2の光学特性計測装置で計測した光学系の光学特性の計測結果を、第1の光学特性計測装置と第2の光学特性計測装置との間の計測誤差に基づいて補正するため、光学系の光学特性を正確に求めることができる。
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記計測誤差は、前記第1の光学特性計測装置で基準光学系を計測した計測結果と、前記第2の光学特性計測装置で前記基準光学系を計測した計測結果とに基づいて算出されることを特徴とするものである。
この請求項13に記載の発明では、第1の光学特性計測装置と第2の光学特性計測装置との間の計測誤差を、基準光学系を計測した計測結果に基づいてより正確に算出することができる。
また、請求項14に記載の発明は、請求項12又は13に記載の発明において、前記計測誤差は、前記第2の光学特性計測装置に記憶されていることを特徴とするものである。
この請求項14に記載の発明では、第2の光学特性計測装置に記憶された計測誤差に基づいて、第2の光学特性計測装置で計測した光学系の光学特性の計測結果を補正することができる。
また、請求項15に記載の発明は、請求項13又は14に記載の発明において、前記光学装置が、所定のパターンの像を基板に転写する露光装置であり、前記基準光学系は、前記所定のパターンの像を前記基板に転写する投影光学系であることを特徴とするものである。
この請求項15に記載の発明では、搭載される投影光学系の光学特性がより正確に求められることで、露光装置における露光精度を向上させることができる。
また、請求項16に記載の発明は、光学装置に搭載される光学系の光学特性を計測する光学特性計測装置において、前記光学装置に搭載される前に前記光学系の光学特性を計測する第1の光学特性計測装置との間の計測誤差を記憶する記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記計測誤差に基づいて、前記光学装置に前記光学系を搭載した後に計測した前記光学系の光学特性の計測結果を補正する補正装置とを有することを特徴とするものである。
この請求項16に記載の発明では、光学装置に搭載される前に光学系の光学特性を計測する第1の光学特性計測装置との間の計測誤差を排除し、光学系の光学特性を正確に求めることができる。
また、請求項17に記載の発明は、所定のパターンの像を基板上に露光する露光装置において、前記所定のパターンの像を基板上に投影する投影光学系の光学特性を、請求項1〜請求項15のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の測定方法により計測することを特徴とするものである。
この請求項17に記載の発明では、投影光学系の光学特性をより厳密に管理することが可能となり、露光精度を向上させることができる。
また、請求項18に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、前記リソグラフィ工程で、請求項17に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするものである。
この請求項18に記載の発明では、高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することができる。
本発明によれば、光学系の光学特性をより厳密に管理することができる光学系の光学特性の計測方法、光学特性計測装置を提供することができる。また、露光精度を向上可能な露光装置を提供することができる。さらに、高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することのできるデバイスの製造方法を提供することができる。
(第1実施形態)
以下に、本発明の露光装置及び光学系の光学特性の計測方法を、半導体素子を製造する際のリソグラフィ工程で使用される露光装置及びその露光装置の投影光学系の波面収差の計測方法に具体化した第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示すように、この露光装置10は、マスクとしてのレチクルRと基板としてのウエハWとを一次元方向(ここでは、図1における紙面内左右方向であるY軸方向とする)に同期移動しつつ、レチクルRに形成された回路パターンを投影光学系PLを介してウエハW上の各ショット領域に転写するようになっている。つまり、この露光装置10は、ステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置、すなわちいわゆるスキャニング・ステッパである。
露光装置10は、光源12、照明光学系IOP、マスクステージとしてのレチクルステージRST、投影光学系PL、基板ステージとしてのウエハステージWSTを備えている。照明光学系IOPは、光源12からの照明光によりレチクルRを照明する。レチクルステージRSTは、レチクルRを保持する。投影光学系PLは、レチクルRから射出される露光光をウエハW上に投射する。ウエハステージWSTは、ウエハWを保持する。さらに、露光装置10は、照明光学系IOPの一部、レチクルステージRST、投影光学系PL、及びウエハステージWST等を保持する本体コラム14、本体コラム14の振動を抑制あるいは除去する防振ユニット、及びこれらの制御系等を備えている。
光源12としては、パルス紫外光からなる露光光を出力するArFエキシマレーザ光源が用いられている。この光源12は、半導体製造工場のクリーンルーム内の床面FD上に設置されている。光源12には、図示しない光源制御装置が併設されており、射出される露光光の発振中心波長及びスペクトル半値幅の制御、パルス発振のトリガ制御、レーザチャンバ内のガスの制御等を行うようになっている。
光源12は、図1では作図の都合上その図示が省略されているが、遮光性のベローズ及びパイプを介してビームマッチングユニットBMUの一端(入射端)に接続されている。このビームマッチングユニットBMUの他端(出射端)は、内部にリレー光学系を内蔵したパイプ16を介して照明光学系IOPに接続されている。
照明光学系IOPは、不図示の支持台上に設置される。また、照明光学系IOPの上部は、本体コラム14を構成する第2の支持コラム52によって下方から支持されている。
照明光学系IOPは、偏光制御ユニット59をはじめ、不図示のNDフィルタ、ビーム整形光学系、振動ミラー、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ、リレーレンズ系、絞り機構、レチクルブラインド、コンデンサレンズ等を備える。そして、光源12から出射された露光光は、この照明光学系IOPを通過することにより、レチクルRのパターン面を均一な照度で照明する平行光に変換される。
本体コラム14は、ベースプレートBP上に設けられた複数本(ここでは4本)の支持部材40A〜40D(但し、紙面奥側の支柱40C、40Dは図示省略)及びこれらの支持部材40A〜40Dの上部にそれぞれ固定された防振ユニット42A〜42D(但し、図1においては紙面奥側の防振ユニット42C、42Dは図示省略)を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤44と、鏡筒定盤44上に設けられた第1及び第2の支持コラム48,52とを備えている。
防振ユニット42A〜42Dは、支持部材40A〜40Dの上部にそれぞれ直列(又は並列)に配置された内圧が調整可能なエアマウントとボイスコイルモータとを含んで構成されている。これらの防振ユニット42A〜42Dによって、ベースプレートBP及び支持部材40A〜40Dを介して、鏡筒定盤44に伝わる床面FDからの微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている。
鏡筒定盤44の中央部に平面視円形の開口が形成され、その内部に投影光学系PLがその光軸方向をZ軸方向として上方から挿入されている。投影光学系PLの鏡筒部の外周部には、その鏡筒部に一体化されたフランジFLGが設けられており、このフランジFLGを介して投影光学系PLが鏡筒定盤44に支持されている。
ウエハベース定盤54は、ベースプレートBP上に載置される。また、第1の支持コラム48は、鏡筒定盤44の上面に投影光学系PLを取り囲んで植設された4本の脚58(紙面奥側の脚は図示省略)と、これら4本の脚58によってほぼ水平に支持されたレチクルベース定盤60とを備えている。同様に、第2の支持コラム52は、鏡筒定盤44の上面に、第1の支持コラム48を取り囲む状態で植設された4本の支柱62(紙面奥側の支柱は図示省略)と、これら4本の支柱62によってほぼ水平に支持された天板64とによって構成されている。この第2の支持コラム52の天板64によって、照明光学系IOPの上部が支持されている。
レチクルステージRSTは、本体コラム14を構成する第1の支持コラム48を構成するレチクルベース定盤60上に不図示の防振ユニットを介して配置されている。レチクルステージRSTは、例えば磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータ等から成るレチクルステージ駆動系によって駆動され、レチクルRをレチクルベース定盤60上でY軸方向に大きなストロークで直線駆動するとともに、X軸方向とθz軸方向(Z軸回りの回転方向)に関しても微小駆動が可能な構成となっている。
レチクルステージRSTの一部には、その位置や移動量を計測するための位置検出装置であるレチクルレーザ干渉計70からの測長ビームを反射する移動鏡72が取り付けられている。レチクルレーザ干渉計70は、レチクルベース定盤60に固定され、投影光学系PLの上端部側面に固定された固定鏡Mrを基準として、レチクルステージRSTのXY面内の位置(θz回転を含む)を、例えば0.5〜1nm程度の分解能で検出するようになっている。
投影光学系PLとしては、ここでは、石英や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る1/4、1/5、又は1/6縮小倍率の屈折光学系、あるいは屈折光学素子(レンズ素子)と反射光学素子(ミラー)とを組み合わせた反射屈折光学系(カタディオプトリック光学系)、あるいは、反射光学素子のみからなる反射光学系が使用されている。この投影光学系PLの鏡筒内には、低吸収性ガス(例えば空気(酸素)の含有濃度が1ppm未満のクリーンな乾燥窒素ガスあるいはヘリウムガス)等の気体が供給されている。
一方、ウエハステージWSTは、ウエハベース定盤54上に配置され、例えば磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータ等から成るウエハステージ駆動系によってXY面内で自在に駆動されるようになっている。そして、このウエハステージWSTの上面に、ウエハWがウエハホルダ76を介して真空吸着等により固定されている。
ウエハステージWSTのXY位置及び回転量(ヨーイング量、ローリング量、ピッチング量)は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡Mwを基準として、ウエハステージWSTの一部に固定された移動鏡78の位置変化を計測するウエハレーザ干渉計80によって、所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。
次に、露光装置に搭載された投影光学系PLの波面収差を測定する波面収差測定ユニット85の構成について説明する。
第2の光学特性計測装置としての波面収差測定ユニット85は、ウエハステージWST上に着脱可能に装着されている。図2に示すように、この波面収差測定ユニット85は、投影光学系PLに対向する検出面(投影光学系PLを通過した光が入射する入射面86a)を有し、その入射面86aの高さがウエハWの表面の高さとほぼ一致するように配置されている。なお、入射面86aの表面には、クロム(Cr)が蒸着され、その中央部にクロムが除去された不図示の開口が形成されている。
波面収差測定ユニット85は、コリメータレンズ系87と、リレーレンズ系88と、マイクロレンズアレイ89と、撮像素子(以下、「CCD90」という)とが設けられている。コリメータレンズ系87は、入射面86aの開口を介して波面収差測定ユニット85内に入射する光束を平行光に変換するものである。この対物レンズ86及びコリメータレンズ系87は投影光学系PLに対向する対物光学系を構成し、その第一面が入射面86aをなし、投影光学系PLの結像面とほぼ一致するように配置されている。また、コリメータレンズ系87の投影光学系PL側の焦点位置Fpは、入射面86a上の開口に位置するように設定されている。
マイクロレンズアレイ89は、マイクロレンズが平行光の光軸に対して直交する面内に2次元的に配列され、平行光を複数の光束に分割し、その分割された光束を各レンズ毎にCCD90上に集光させるものである。CCD90は、各レンズ毎の集光ポイントの位置(結像位置)を検出するものである。そして、このCCD90は、受光した各集光ポイントの位置に関する信号を検出部91(本実施形態では波面収差検出部として機能する。)に対して出力する。
この検出部91は、入力された各集光ポイントの位置の情報に基づいて投影光学系PLの波面収差を算出し、算出された波面収差に関する情報を露光装置全体の動作を制御する主制御系92に出力する。
また、この実施形態における露光装置10は、投影光学系PLの光軸を挟むようにして、ウエハWの焦点位置を検出する斜入射方式のAFセンサ93が設けられている。そして、前記波面収差測定ユニット85にて投影光学系PLの波面収差を測定するのに先立って、このAFセンサ93により、投影光学系PLの結像面に対する波面収差測定ユニット85の入射面86aの位置を検出する。これにより、その波面収差測定ユニット85の入射面86aに対するパターンの像(このパターンの像の詳細は後述するが、ここでいうパターンの像は、投影光学系PLの物体面内に配置されたピンホールパターンを示す。)の結像位置を検出するようになっている。また、AFセンサ93の検出結果に基づいて、ウエハステージWSTをZ方向に移動させて、投影光学系PLの結像面に対する波面収差測定ユニット85の入射面86aを調整するようになっている。
ここで、主制御系92は、検出部91から入力され、後述するように計測された前記投影光学系PLの波面収差の情報に基づいて、投影光学系PLの結像特性を補正する結像特性制御部102に指令を出す。結像特性制御部102は、この指令に基づいて投影光学系PLを構成する複数のレンズエレメントのうち特定のレンズエレメントを光軸方向に移動させたり、傾斜させたりする、あるいは2つのレンズエレメント間の圧力を調整する。
次に、波面収差測定ユニット85を用いて行う波面収差の計測方法について説明する。
まず、前述した波面収差測定ユニット85をウエハステージWST上に取付ける。そして、ウエハステージWSTをXY面内で移動させて、波面収差測定ユニット85の入射面86aを、投影光学系PLを構成する最も像面側に位置する光学素子に対向させる。この状態で、AFセンサ93の投光系93aから入射面86aにスリット光を投光して、その入射面86aからの反射光を受光系93bにて受光することにより、波面収差測定ユニット85の入射面86aと、投影光学系PLの結像面との間隔、すなわち、投影光学系PLの結像面に対する入射面86aの位置ずれ(入射面86aに対するパターンの像の結像位置)を検出する。このAFセンサ93からの検出情報は主制御系92に送られ、主制御系92は、ウエハステージWSTをZ方向に移動させて、投影光学系PLの結像面に対する波面収差測定ユニット85の入射面86aの位置を調整する。
次に、レチクルステージRST上に所定の径のピンホールが形成されたテストレチクルRtを載置する。続いて、光源12から照明光を出射させ、その照明光を、照明光学系IOPを介してテストレチクルRt上のピンホールに照射する。このピンホールを通過することにより、照明光は球面波SWに変換される。
この球面波SWは投影光学系PLに入射し、その投影光学系PLに収差が残存する場合には球面波SWの波面WFに歪みが生じる。投影光学系PLから出射された球面波SWは、ウエハステージWST上に保持された波面収差測定ユニット85の入射面86aで結像し、その後、波面収差測定ユニット85の内部に入射する。波面収差測定ユニット85の内部に入射した球面波SWは、コリメータレンズ系87により平行光PBに変換される。
ここで、図3(a)に示すように前記投影光学系PLに収差が存在しない場合には、平行光PBの波面WFpnは平面となる。一方、図3(b)に示すように前記投影光学系PLに収差が存在する場合には、平行光PBの波面WFpaは歪んだ面となる。
平行光PBは、マイクロレンズアレイ89により、複数の光束に分割されCCD90上に集光される。ここで、図3(a)に示すように、投影光学系PLに収差が存在しない場合には、平行光PBの波面WFpnは平面であるため、平行光PBが前記各レンズの光軸AXmlに沿って入射する。このため、前記各レンズ毎の集光スポットFnは、各レンズの光軸AXml上に存在することになる。
これに対して、図3(b)に示すように、投影光学系PLに収差が存在する場合には、前記のように、平行光PBの波面WFpaは歪んだ面となる。このため、各レンズに入射する平行光PBは、各レンズ毎にそれぞれ異なる波面の傾きを有することになる。これに伴って、各レンズ毎の集光スポットFaは、波面の傾きに対する垂線AXp上に存在し、収差の存在しない場合の集光スポットFnに対して位置ずれすることになる。この位置ずれした各集光スポットFaの位置をCCD90にて検出する。
検出部91には、投影光学系PLに収差がない場合の各集光スポットFnの位置が設計値として予め与えられている。この設計値は、検出部91が備えるメモリに記憶されている。そして、この各集光スポットFnの位置と、測定対象となる投影光学系PLを通過した光束をコリメータレンズ系87、リレーレンズ系88、マイクロレンズアレイ89を介して集光された光束のCCD90での各集光スポットFaの位置検出結果とが比較される。この比較結果に基づいて、集光スポットFnに対する各レンズ毎の集光スポットFaの位置ずれ量を求めることにより、投影光学系PLにおける波面収差情報が算出される。そして、このように得られた波面収差情報に基づいて、精度よく投影光学系PLの結像特性を補正することができる。
ところで、図4(a)に示すように、この露光装置10に搭載される投影光学系PLは、この露光装置10への搭載に先立って、まず第1の光学特性計測装置としての検査用光学特性測定機(以下、「検査用測定機110」という)により、波面収差が計測されると共に、その計測結果に基づいて、投影光学系PLの波面収差が所定範囲内に収まるように調整されている。投影光学系PLの波面収差が所定範囲内に収まると、露光装置10に搭載される。
ここで、検査用測定機110は、ベースプレートBPと、本体コラム114と、光源装置111と、波面収差測定装置112とで構成されている。ベースプレートBPは、クリーンルーム等の床面FDに載置され、その上面に本体コラム114の4本の支持部材140A〜140Dが植設されている。なお、図においては、4本の支持部材140A〜140Dのうち、2本の支持部材140A,140Bのみが描かれている。そして、4本の支持部材140A〜140D上には、露光装置10と同様構成の鏡筒定盤144が配設されている。そして、組立て後の投影光学系PLの波面収差を測定する際には、投影光学系PLがこの鏡筒定盤144の中央部の開口にZ方向の上方から挿通され、フランジFLGが鏡筒定盤144上に載置されるようになっている。
本体コラム114の鏡筒定盤144上には、上部コラム113が設けられており、その上部コラム113上に、露光装置10の光源12と同じ波長の光を射出する光源装置111が載置されている。
例えば、光源装置111は、露光光に比べてピークパワーの小さい連続光を出力する。連続光としては、例えばDFB半導体レーザまたはファイバーレーザから発振される赤外域または可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(またはエルビウムとイットリビウムとの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波等を用いる。
例えば、露光光がArFエキシマレーザ光(λ=193nm)であるとすれば、単一波長レーザの発振波長を1.51〜1.59μm範囲内とした場合に出力される189〜199nmの範囲内の8倍高調波を前記連続光とすることが好ましい。また、発振波長を1.544〜1.553μm範囲内に狭帯化することにより出力される193〜194nmの範囲内の8倍高調波は、その波長が露光光とほぼ一致する。
波面収差測定装置112は、ベースプレートBP上に、被検光学系に対向するように配置され、その内部は波面収差測定ユニット85と同様構成となっている。
検査用測定機110で計測された波面収差は、露光装置10の主制御系92に記憶される。
本実施形態の波面収差の計測方法では、予め波面収差の確認されている基準光学系BLを検査用測定機110に搭載し、図4(b)に示すように、その基準光学系BLの波面収差を波面収差測定装置112で計測する。この基準光学系BLは、露光装置10に実際に搭載される投影光学系PLに比べて、より径の小さなレンズで、しかも内部に収容されるレンズの枚数も少ない構成である。予め波面収差の確認されている基準光学系BLとは、検査用測定機110、波面収差測定ユニット85よりも高精度な計測原理を備える測定機で波面収差が確認された原器に相当する。
基準光学系BLの波面収差を検査用測定機110で計測した後、基準光学系BLを検査用測定機110から取り外す。次に、図5に示すように、露光装置10に装着される前の波面収差測定ユニット85が取り付けられた機差検査装置115に、基準光学系BLを載置する。そして、機差検査装置115に取り付けられた波面収差測定ユニット85で、基準光学系BLの波面収差を計測する。ここで、機差検査装置115は、前記波面収差測定装置112に代えて、波面収差測定ユニット85を保持するホルダ116が設けられている他は、検査用測定機110とほとんど同様に構成となっている。なお、機差検査装置115は、検査用測定機110の他に用意してもよいし、検査用測定機110が兼用してもよい。また、検査用測定機110で基準光学系BLの波面収差を計測する測定条件(例えば、測定環境等)が、機差検査装置115で基準光学系BLの波面収差を計測する測定条件(例えば、測定環境等)が略同じになっていることが望ましい。
次に、機差検査装置115に取り付けられた波面収差測定ユニット85で基準光学系BLの波面収差が計測された後、波面収差測定ユニット85が機差検査装置115から取り外され、露光装置10に装着される。
検査用測定機110の波面収差測定装置112で計測した基準光学系BLの波面収差と、機差検査装置115に装着した波面収差測定ユニット85で計測した基準光学系BLの波面収差とに基づいて、第1の差分(計測誤差)が求められ、この第1の差分が露光装置10の主制御系92に記憶されている。そして、投影光学系PLが露光装置10に搭載され、波面収差測定ユニット85により、投影光学系PLの波面収差が計測されると、主制御系92では、検査用測定機110の波面収差測定装置112で計測された投影光学系PLの波面収差と、波面収差測定ユニット85で計測された投影光学系PLの波面収差との第2の差分が算出される。第2の差分に基づいて、露光装置搭載時に波面の状態変化を確認することができる。主制御系92では、基準光学系BLに関する第1の差分に基づいて、露光装置10に装着された波面収差測定ユニット85と、検査用測定機110の波面収差測定装置112との機差が求められる。そして、主制御系92は、この機差に基づいて、前記投影光学系PLが露光装置10に搭載された状態において、波面収差測定ユニット85で計測された波面収差を補正するようになっている。
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(ア) この投影光学系PLの波面収差の計測方法では、露光装置10に搭載される前に検査用測定機110の波面収差測定装置112で、投影光学系PLの波面収差を計測する。また、検査用測定機110の波面収差測定装置112で予め波面収差が確認されている基準光学系BLの波面収差を計測する。次いで、基準光学系BLの波面収差を、露光装置10に設けられる波面収差測定ユニット85を用いて計測する。そして、波面収差測定ユニット85で露光装置10に搭載した投影光学系PLの波面収差を計測するようになっている。
このため、予め波面収差が確認されている基準光学系BLについて、検査用測定機110の波面収差測定装置112と波面収差測定ユニット85とで波面収差を計測するため、検査用測定機110と波面収差測定ユニット85との機差を把握することができる。これにより、投影光学系PLを露光装置10に搭載した状態でその露光装置10に設けられる波面収差測定ユニット85で計測した投影光学系PLの波面収差に、検査用測定機110の波面収差測定装置112と波面収差測定ユニット85との機差を反映させることができる。従って、投影光学系PLにおける使用状態での光学特性の管理をより厳密に行うことができる。
(イ) この投影光学系PLの波面収差の計測方法では、検査用測定機110で計測した基準光学系BLの波面収差の計測結果と波面収差測定ユニット85で計測した基準光学系BLの波面収差の計測結果との第1の差分を求める。そして、第1の差分と、投影光学系PLを露光装置10に搭載した後、波面収差測定ユニット85で計測した投影光学系PLの波面収差の計測結果とに基づいて、露光装置10に搭載した状態での投影光学系PLの波面収差を算出する。このため、露光装置に搭載した投影光学系PLの使用状態での波面収差に、より確実に検査用測定機110と波面収差測定ユニット85との機差を反映させることができる。
(ウ) この投影光学系PLの波面収差の計測方法では、基準光学系BLに関する第1の差分に基づいて、波面収差測定ユニット85で計測した投影光学系PLを露光装置10に搭載した後の投影光学系PLの波面収差の計測結果を補正する。
このため、投影光学系PLに搭載した状態における投影光学系PLの波面収差の計測結果を補正することによって、検査用測定機110と波面収差測定ユニット85との機差に基づく誤差の要因を排除することができる。従って、投影光学系PLの波面収差をより正確に把握することができる。
(エ) この露光装置10では、波面収差測定ユニット85が、露光装置10に対して着脱可能に装着されている。このため、複数の露光装置10間で共用されるような波面収差測定ユニット85において、前記(ア)〜(ウ)に記載の発明の効果を発揮させることができる。
(オ) この投影光学系PLの波面収差の計測方法に使用する基準光学系BLを構成するレンズは、投影光学系PLに含まれるレンズよりも径が小さく、またその枚数も少ない構成である。このため、基準光学系BLの取り扱いが容易になるとともに、基準光学系BL構造の簡素化を図ることができ、光学特性の安定性を高めることができる。
(カ) レチクルR上に形成されたパターンの像をウエハW上に転写する露光装置10において、この投影光学系PLの波面収差の計測方法により、投影光学系PLの波面収差を計測することにより、搭載されている投影光学系PLの光学特性をより厳密に管理することができ、露光精度を向上させることができる。また、この投影光学系PLの波面収差の計測方法の計測対象が、レチクルR上に形成されたパターンの像をウエハW上に投影する投影光学系PLである。ここで、露光装置10においては、露光精度に関して、投影光学系PLの光学特性の及ぼす影響が特に大きいため、特に顕著に効果が発揮される。
(第2実施形態)
つぎに、本発明の第2実施形態について、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
この第2実施形態においては、波面収差測定ユニット85が露光装置10のウエハステージWSTに常設されている点が前記第1実施形態とは異なっている。そして、この実施形態では、図6に示すように、波面収差測定ユニット85による基準光学系BLの波面収差の測定を、波面収差測定ユニット85を露光装置10に装着するとともに、基準光学系BLを露光装置10に装着した状態で行うようになっている。
さらに、基準光学系BLに関して、検査用測定機110で測定した波面収差と、波面収差測定ユニット85で測定した波面収差との間にずれがある時には、波面収差測定ユニット85の較正を行うようになっている。この較正方法としては、対物レンズ86,コリメータレンズ系87の少なくとも1つのレンズを、回転調整したり、光軸方向または光軸と直交する方向の位置を調整したりして行う。この較正を行うことによって、基準光学系BLに関する検査用測定機110で測定した波面収差と波面収差測定ユニット85で測定した波面収差第1の差分は、ほとんどゼロとなる。
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態における(ア)〜(ウ)、(オ)及び(カ)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(キ) この投影光学系PLの波面収差の計測方法では、波面収差測定ユニット85が、露光装置10に常設されているため、波面収差測定ユニット85の計測性能を長期間にわたって安定した状態に保つことができる。特に、波面収差測定ユニット85の較正を行うような場合には、波面収差測定ユニット85を較正された状態で長期間維持することができ、露光装置の露光性能を長期にわたって高く安定した状態に保つことができる。
(ク) この投影光学系PLの波面収差の計測方法では、検査用測定機110で計測した基準光学系BLの波面収差の計測結果と、波面収差測定ユニット85で計測した基準光学系BLの波面収差の計測結果とに基づいて、波面収差測定ユニット85を較正するようになっている。このため、波面収差測定ユニット85の性能を長期にわたって高く安定した状態に保つことができる。
(第3実施形態)
つぎに、本発明の第3実施形態について、前記第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を中心に図7〜図9を参照して説明する。
第1及び第2実施形態は、本発明を投影光学系の波面収差の測定方法に具体化したものであったのに対し、この第3実施形態は、本発明を投影光学系PLの開口数(以下、「NA」という。)を算出するための開口の大きさの計測方法に具体化したものであり、計測する対象である光学特性が異なるものである。
露光装置10の構成は、第1実施形態の構成とほぼ同様であるが、露光装置10に着脱自在に装着される波面収差測定ユニット85に換えて、投影光学系PLのNAを測定するNA測定ユニット150が装着されている点が異なる。
また、このNA測定ユニット150の構成は、図7に示すように、波面収差測定ユニット85に設けられるマイクロレンズアレイ89を有していない点が第1実施形態とは異なっている。CCD90は、図8に示すような投影光学系PLの開口形状(NAを算出するためのデータであるNA計測データ152)を撮像する。そして、このCCD90は、撮像したNA計測データ152に関する信号を検出部91(本実施形態ではNA検出部として機能する。図1参照)に対して出力する。
この検出部91は、入力されたNA計測データに基づいて投影光学系PLのNAを算出(NA計測データ152の外径を検出)し、算出されたNAに関する情報を露光装置全体の動作を制御する主制御系92に出力する。その後、必要に応じて前記第1実施形態と同様に結像特性制御部102に所定の指令を出し、適宜投影光学系PLの結像特性を補正する処理を行う。
以上のように構成されるNA測定ユニット150を用いて行われるNA計測方法は、検査用測定機110、機差検査装置115に搭載される波面収差測定ユニットに換えて、NA測定装置が搭載される点以外は前述した第1実施形態とほぼ同様である。そのため、詳細な図面及び説明は省略して、異なる部分を中心に要部のみ説明することとする。
本実施形態では、まず、予めNAが確認されている基準光学系BLを検査用測定機110に搭載し、その基準光学系BLのNAを検査用測定機110のNA計測装置で計測する。基準光学系BLのNAを検査用測定機110のNA計測装置で計測した後、基準光学系BLを検査用測定機110から取り外す。次に、露光装置10に装着される前のNA測定ユニット150が取り付けられた機差検査装置115に、基準光学系BLを載置する。そして、機差検査装置115に取り付けられたNA測定ユニット150で、基準光学系BLのNAを計測する。
次に、機差検査装置115に取り付けられたNA測定ユニット150で基準光学系BLのNAが計測された後、NA測定ユニット150は、機差検査装置115から取り外され、露光装置10に装着される。
そして、検査用測定機110で計測した基準光学系BLのNAと、機差検査装置115に装着したNA測定ユニット150で計測した基準光学系BLのNAとに基づいて、第1の差分が求められ、この第1の差分が露光装置10の主制御系92に記憶されている。そして、投影光学系PLが露光装置10に搭載され、NA測定ユニット150により、投影光学系PLのNAが計測されると、主制御系92では、検査用測定機110で計測されたNAとNA測定ユニット150で計測されたNAとの第2の差分が算出される。第2の差分に基づいて、露光装置搭載時のNA変化を確認することができる。主制御系92では、基準光学系BLに関する第1の差分に基づいて、露光装置10に装着されたNA測定ユニット150と、検査用測定機110のNA測定装置との機差が求められる。そして、主制御系92は、この機差に基づいて、投影光学系PLが露光装置10に搭載された状態において、NA測定ユニット150で計測されたNAを補正するようになっている。
なお、上記NA計測では、各測定機(検査用測定機110、機差検査装置115、露光装置10)の光源(光源12、光源装置111)のσ値(即ち、投影光学系PLの光源に対するσ値)は1以上に設定されている。
さらに、より正確なNA算出を行う場合には、投影光学系PLの瞳をNA測定ユニット150のCCD90で撮像させた場合の投影光学系PLに対する照明σ値を十分に充足させることで、完全インコヒーレント照明条件と等価な状態でNA計測とすることもできる。
図9は、投影光学系PLの瞳をNA測定ユニット150のCCD90に結像させる光路を模式的に示す図(光路図)である。なお、図9において、投影光学系PLを瞳の上、瞳の下のそれぞれのレンズ群、及びNA測定ユニット150の対物レンズ系155を構成する複数のレンズをそれぞれ1枚で略記している。また、図9において網かけ状に図示された光路は、入射面86aの開口に対して最大に照明されている状態、すなわちσ=1の状態を示し、破線で図示された光路は、σ>1の状態を例示している。図9に示すように、投影光学系PLの基板側のレンズ群153と、NA測定ユニット150の対物レンズ系155とを1つの結像系と見ると、NA測定ユニット150の入射面86aが瞳となる。
このように、NA測定ユニット150の入射面86aを投影光学系PLの基板側のレンズ群153とNA測定ユニット150の対物レンズ系155との瞳面とした場合、NA測定ユニット150の入射面86aの開口が絞りに相当することになる。したがって、テストレチクルRtに形成されたピンホールパターンによって、入射面86aの開口に対する照明σ値を十分に大きくすることができる。また、数値計算によれば、本実施形態の場合、照明σ値を3以上で瞳(入射面86a)を照射することによって、すなわち、テストレチクルRtのピンホールパターンの直径を120μm以上にすることによって、完全インコヒーレント照明条件下でのNA計測値からの誤差を1/1000以下に小さくできる。これにより、照明σ値を3以上に設定すれば、完全インコヒーレント照明条件とみなせる高精度なNA計測が可能となる。
従って、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(ケ) この投影光学系PLのNA計測方法では、上記波面収差の計測方法と同様に、予めNAが確認されている基準光学系BLについて、検査用測定機110のNA計測装置とNA測定ユニット150とでNAを計測するため、検査用測定機110とNA測定ユニット150との機差を把握することができる。これにより、投影光学系PLを露光装置10に搭載した状態でその露光装置10に設けられるNA測定ユニット150で計測したNAに、検査用測定機110とNA測定ユニット150との機差を反映させることができる。従って、投影光学系PLにおける使用状態でのNAを正確に計測することが可能となる。
(コ) この投影光学系PLのNA計測方法では、検査用測定機110で計測した基準光学系BLのNAの計測結果とNA測定ユニット150で計測した基準光学系BLのNAの計測結果との第1の差分を求める。そして、第1の差分と、投影光学系PLを露光装置10に搭載した後、NA測定ユニット150で計測した投影光学系PLのNAの計測結果とに基づいて、露光装置10に搭載した状態での投影光学系PLのNAを算出する。このため、露光装置10に搭載した投影光学系PLの使用状態でのNAに、より確実に検査用測定機110とNA測定ユニット150との機差を反映させることができる。
(サ) この投影光学系PLのNA計測方法では、基準光学系BLに関する第1の差分に基づいて、NA測定ユニット150で計測した投影光学系PLを露光装置10に搭載した後の投影光学系PLのNAの計測結果を補正する。
投影光学系PLのNAは、投影光学系PLの解像力を決める重要なパラメータであって、特に、小σ変形照明を用いる場合には、検査用測定機で計測したNAと露光装置に搭載後に計測したNAとに誤差が生じやすい。しかし、本実施形態では、上記のように基準光学系BLに関する第1の差分に基づいて投影光学系PLのNAの計測結果を補正するため、検査用測定機110とNA測定ユニット150との機差に基づく誤差の要因を排除することができ、露光装置10における投影光学系PLのNAをより正確に把握することができる。
(シ) この投影光学系PLのNA計測方法では、投影光学系PLに対する照明σ値を3以上に設定することで、完全インコヒーレント照明条件下でのNA計測とすることができ、さらに高精度なNA計測が可能となる。
(第4実施形態)
つぎに、本発明の第4の実施形態について、第3実施形態と異なる部分を中心に図10及び図11を参照して説明する。
第1及び第2実施形態では、投影光学系PLの光学特性として波面収差を計測し、第3実施形態では投影光学系PLのNAを計測するものとした。これに対し、この第4実施形態は、本発明を偏光照明法において投影光学系PLを通過した照明光の偏光状態の計測方法に具体化したものであり、計測する対象である光学特性が異なるものである。
露光装置10の構成は、図1に示す第1実施形態の構成とほぼ同様であるが、露光装置10に着脱自在に装着される波面収差測定ユニット85に換えて、図10に示す偏光状態を計測する偏光計測ユニット160が装着されている点が異なる。また、上記各実施形態では詳しい説明を省略したが、図1に示す照明光学系IOPが備える偏光制御ユニット59について、まず簡単に述べる。
偏光制御ユニット59は、例えば照明光学系IOPの光軸に一致する回転軸を中心に回転可能な1/2波長板を備えている。光源12から出射された照明光は、この1/2波長板に入射すると、進相軸方向成分の位相が、進相軸方向に直交する方向の成分に対して1/2波長進むようになるため、その偏光方向が変化する。偏光制御ユニットでは、この1/2波長板の回転位置を調整することにより、射出される照明光の偏光方向を制御することができるようになっている。なお、この1/2波長板の回転位置は、主制御系92からの指示に基づいて、不図示の駆動装置の駆動により行われる。
一方、偏光計測ユニット160の構成は、図10に示すように、第1実施形態における波面収差測定ユニット85の構成とほぼ同様であるが、波面収差測定ユニット85に設けられるマイクロレンズアレイ89を有しておらず、その位置に偏光検出部161が配置されている点が第1実施形態とは異なっている。
図11は、偏光検出部161の光学的な構成を模式的に示す図である。図11に示すように、偏光検出部161は、1/4波長板162と、偏光ビームスプリッタ163とを備えている。なお、この偏光ビームスプリッタ163は、本来、光束を偏光方向に応じて2光束に分岐させるためのものであるが、ここでは、特定の偏光成分のみを通過させる偏光スリット板として作用するため、図11ではそのように図示している。図11では、この1/4波長板162と、偏光ビームスプリッタ163とは、同一直線上にある回転軸を中心に回転可能に設置されている。それらの回転位置は、主制御系92の指示に基づいて、不図示の駆動装置の駆動により、制御可能となっている。したがって、1/4波長板162と、偏光ビームスプリッタ163とは、主制御系92により、その相対的な回転位置を調整することができるようになっている。
このように構成される偏光検出部161を通過した照明光は、CCD90によって受光される。そして、CCD90は、受光した偏光特性データに関する信号を検出部91(本実施形態では偏光特性検出部として機能する。図1参照)に対して出力する。
この検出部91は、入力された偏光特性データに基づいて投影光学系PLを通過した照明光の偏光状態を算出し、算出された偏光状態に関する情報を露光装置全体の動作を制御する主制御系92に出力する。その後、必要に応じて偏光制御ユニット59に所定の指令を出し、適宜照明光の偏光状態を補正する処理を行う。
次に、上記のように構成される偏光計測ユニット160を用いて行う偏光計測方法について説明する。この偏光計測方法は、第1実施形態において検査用測定機110、機差検査装置115に搭載される波面収差測定装置112に換えて、偏光測定装置が搭載される点が異なる。以下、相違点に着目して説明する。
この偏光計測方法は、第1及び第3の実施形態とほぼ同様である。すなわち、まず、予め偏光特性が確認されている基準光学系BLを検査用測定機110に搭載し、その基準光学系BLの偏光特性を検査用測定機110の偏光計測装置で計測する。基準光学系BLの偏光特性を検査用測定機110の偏光計測装置で計測した後、基準光学系BLを検査用測定機110から取り外す。次に、露光装置10に装着される前の偏光計測ユニット160が取り付けられた機差検査装置115に、基準光学系BLを載置する。そして、機差検査装置115に取り付けられた偏光計測ユニット160で、基準光学系BLの偏光特性を計測する。
次に、機差検査装置115に取り付けられた偏光計測ユニット160で基準光学系BLの偏光特性が計測された後、偏光計測ユニット160は、機差検査装置115から取り外され、露光装置10に装着される。
そして、検査用測定機110で計測した基準光学系BLの偏光特性と、前記機差検査装置115に装着した偏光計測ユニット160で計測した基準光学系BLの偏光特性とに基づいて、第1の差分が求められ、この第1の差分が露光装置10の主制御系92に記憶されている。そして、投影光学系PLが露光装置10に搭載され、偏光計測ユニット160により、投影光学系PLの偏光特性が計測されると、主制御系92では、検査用測定機110で計測された偏光特性と偏光計測ユニット160で計測された偏光特性との第2の差分が算出される。第2の差分に基づいて、露光装置搭載時の偏光特性変化を確認することができる。主制御系92では、基準光学系BLに関する第1の差分に基づいて、露光装置10に装着された偏光計測ユニット160と、検査用測定機110の偏光測定装置との機差が求められる。そして、主制御系92は、この機差に基づいて、前記投影光学系PLが露光装置10に搭載された状態において、偏光計測ユニット160で計測された偏光特性を補正するようになっている。
従って、本実施形態によれば、例えば上記(ケ)及び(コ)で述べた他の光学特性における計測における効果と同様に、投影光学系PLにおける使用状態での偏光特性を正確に計測することが可能となる。さらに、以下のような効果を得ることができる。
(ス) 基準光学系BLは、像高が狭く、内部に収容されるレンズの中心に対して対称良く光線が透過するため、各レンズの入射角がNAによって一定している。これにより、レンズ入射角から生じる偏光特性計算が容易であり、透過後の偏光特性が精度良く算出できる。
また、上記したように基準光学系BLの内部に収容されるレンズは、投影光学系PLに比べて小さいため、偏光特性の良好な部材として構成できる。また、構造が単純かつ軽量であるため、レンズホールドによる偏光特性への悪影響が少なく、安定した偏光特性となっている。
さらに、基準光学系BLはその本体が小さいため、非回転対称収差較正用に基準光学系BL本体の回転が可能である。基準光学系BLを回転させて得られるデータは回転した基準光学系BLに付随する特性であり、この特性データを得ることで、非回転対称収差の較正を行うことができる。
以上詳述したように、偏光計測に適した基準光学系BLから精度良く算出された機差(第1の差分)に基づいて、照明光の偏光特性が補正されるため、偏光特性をより正確に把握することができる。そして、露光装置10の解像度を向上させるべく偏光照明を行う場合には、照明光の偏光状態が所望の状態であるか否かを正確に確認することができ、高精度な露光を確実に行うことができる。
(変形例)
なお、本発明の各実施形態は、以下のように変形してもよい。
・ 前記各実施形態では、投影光学系PLに入射する照明光に球面波SWを発生させるため、ピンホールが形成されたテストレチクルRtを用いる構成について説明した。しかしながら、照明光に球面波SWを発生できるものであれば、この構成に限定されるものではない。例えば、投影光学系PLの波面収差を測定するに際しては、テストレチクルRtに代えて、レチクルステージRST上に開口部を形成し、この開口部を塞ぐように取り付けられた透明板上に、ピンホールパターンを形成してもよい。その他に、通常のデバイス用レチクルに、同様のピンホールパターンを形成してもよい。また、レチクルステージRST自体に、同様のピンホールパターンを形成してもよい。
・ 前記各実施形態では、露光光としてエキシマレーザ光のパルス光を露光光としたが、露光光として、また、例えば金属蒸気レーザやYAGレーザの高調波、あるいはg線(436nm)、i線(365nm)等の超高圧水銀ランプの輝線等の連続光を採用してもよい。
・ また、露光装置10の光源12としては、前記実施形態に記載のArFエキシマレーザ(193nm)、Fレーザ(157nm)の他、例えばKrFエキシマレーザ(248nm)、Krレーザ(146nm)、Arレーザ(126nm)等を用いてもよい。また、DFB半導体レーザまたはファイバーレーザから発振される赤外域、または可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(またはエルビウムとイッテルビウムの双方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いてもよい。
・ 前記各実施形態では、連続光をDFB半導体レーザまたはファイバーレーザの高調波としたが、連続光として、例えばアルゴンランプ、クリプトンランプ、キセノンランプ等の希ガス放電ランプ、キセノン−水銀ランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯、白熱灯、水銀灯、ナトリウムランプ、メタルハライドランプ等から出射される紫外光、可視光または赤外光、またはそれらの光を単波長化した光の高調波、YAGレーザ光、金属蒸気レーザ光等の高調波を採用してもよい。
・ 前記第1実施形態では、シャック−ハルトマン方式により投影光学系PLの収差を波面収差として測定する方法を採用したが、位相回復法によって光学像複素振幅分布から投影光学系PLの波面収差を求める、いわゆるPSF(ポイント・スプレッド・ファンクション)方式を採用してもよい。
・ 前記第1実施形態では、検査用測定機110の波面収差測定装置112で計測した基準光学系BLの波面収差と、機差検査装置115に装着した波面収差測定ユニット85で計測した基準光学系BLの波面収差とに基づいて求められた第1の差分は、露光装置10の主制御系92に記憶される構成について説明したが、この構成に限られるものではない。例えば、波面収差検出部として機能する検出部91が備えるメモリに記憶してもよい。
・ また、図12に示すように、光学特性計測装置としての波面収差測定ユニット85を、第1の差分(計測誤差)を記憶する記憶部94及び計測した投影光学系PLの波面収差を第1の差分に基づいて補正する補正部95を備える構成としてもよい。この場合、記憶部94に第1の差分が記憶されるとともに、補正部95において、露光装置10に装着された波面収差測定ユニット85と検査用測定機110の波面収差測定装置112との機差に基づく誤差を排除するように波面収差が補正される。従って、波面収差測定ユニット85によって波面収差を正確に求めることができる。なお、こうした実施形態は、第3実施形態で説明したNA測定ユニット150及び第4実施形態で説明した偏光計測ユニット160についても同様に適用できる。
・ 前記各実施形態では、露光装置の投影光学系PLを光学特性の測定対象の被検光学系として具体化したが、露光装置における照明光学系等その他の光学系、あるいは露光装置とは異なった光学装置における光学系の波面収差測定装置に具体化してもよい。
・ 前記各実施形態では、本発明を半導体素子製造用の走査露光型の露光装置に具体化したが、例えばステップ・アンド・リピート方式により一括露光を行う露光装置に具体化してもよい。
・ また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクルまたはマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハなどへ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては、石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、または水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置などでは、透過型マスク(ステンシルマスク、メンバレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
・ もちろん、半導体素子の製造に用いられる露光装置だけでなく、液晶表示素子(LCD)などを含むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンをガラスプレート上へ転写する露光装置にも、本発明を適用することができる。また、薄膜磁気ヘッド等の製造に用いられて、デバイスパターンをセラミックウエハ等へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子の製造に用いられる露光装置などにも本発明を適用することができる。
・ 前記第3実施形態において、CCD90を最も理想的な結像位置に配置したが、デフォーカスした位置に配置されていても構わない。すなわち、第1実施形態の波面収差測定ユニット85において、マイクロレンズアレイ89を単に省略した形態で、NA測定ユニットを構成することができる。これは、図3(a)においてコリメータレンズ系87を通過した平行光PBがほぼ平行であることから結像NAは十分小さく、デフォーカスした位置であっても、ボケを考慮した正確なNA計測が可能なためである。
・ さらに、前記第3実施形態と第2実施形態との組み合わせ及び前記第4実施形態と第2実施形態との組み合わせにより、NA測定ユニット150又は偏光計測ユニット160が露光装置10のウエハステージWSTに常設されている形態として構成してもよい。
・ 第2実施形態では、ウエハステージWSTに波面収差測定ユニット85が常設される構成について説明したが、ウエハステージWSTとは異なる別の計測ステージを用意し、この計測ステージに波面収差測定ユニット85を常設してもよい。また、計測ステージには、波面収差測定ユニット85だけでなく、NA測定ユニット150及び偏光計測ユニット160を設けてもよい。さらに、波面収差測定ユニット85、NA測定ユニット150、偏光計測ユニット160を一つの筐体でユニット化し、波面測定機能、NA測定機能、偏光計測機能を切換えて行うようにしてもよい。
・ また、本発明では、基準光学系BLとして、露光装置10に搭載される投影光学系PLに比べて、径の大きさ及び光学素子の枚数が異なる構成の光学系を例に説明したが、この構成に限られるものではない。
例えば、基準光学系BLとして、露光装置10に搭載される投影光学系PLを使用してもよい。この場合、投影光学系PLの光学特性は、検査用測定機110により計測され、投影光学系PLの光学特性が予め求められる。そして、光学特性が求められた投影光学系PLを基準光学系BLとして使用し、第1の実施形態と同様に波面収差測定ユニット85で波面収差を測定するようにすればよい。この場合、検査用測定機110が機差検査装置115を兼用し、検査用測定機110に対して、波面収差測定装置112及び波面収差測定ユニット85を着脱可能に構成することにより、投影光学系PLを検査用測定機110から取り外すことなく、波面収差測定装置112と波面収差測定ユニット85との両方で投影光学系PLの波面収差を測定することができる。
すなわち、各実施形態で説明した基準光学系BLを使用することなく、露光装置10に搭載される投影光学系PLに基づいて、波面収差測定装置112と波面収差測定ユニット85との機差を把握することができる。なお、こうした実施形態は、波面収差の測定に限らず、第3実施形態で説明したNA計測及び第4実施形態で説明した偏光計測についても同様に適用できる。
なお、本発明の露光装置10は、例えば以下の方法で製造することができる。すなわち、複数のレンズ、ミラー等の光学素子から構成される照明光学系IOP、投影光学系PLを露光装置本体に組み込み光学調整する。また、多数の機械部品からなるレチクルステージRSTやウエハステージWSTを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、さらに総合調整(電気調整、動作確認等)を行う。また、露光装置10の製造は、温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
次に、上述した露光装置10をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイス(以下、単に「デバイス」という)の製造方法の実施形態について説明する。
図13は、デバイス(ICやLSI等の半導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。図13に示すように、まず、ステップS201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レクチルR等)を製作する。一方、ステップS203(基板製造ステップ)において、シリコン、ガラスプレート等の材料を用いて基板(シリコン材料を用いた場合にはウエハWとなる。)を製造する。
次に、ステップS204(基板処理ステップ)において、ステップS201〜S203で用意したマスクと基板を使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によって基板上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS205(デバイス組立ステップ)において、ステップS204で処理された基板を用いてデバイス組立を行う。このステップS205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入等)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップS206(検査ステップ)において、ステップS205で作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図14は、半導体デバイスの場合における、図13のステップS204の詳細なフローの一例を示す図である。図14において、ステップS211(酸化ステップ)では、ウエハWの表面を酸化させる。ステップS212(CVDステップ)では、ウエハW表面に絶縁膜を形成する。ステップS213(電極形成ステップ)では、ウエハW上に電極を蒸着によって形成する。ステップS214(イオン打込みステップ)では、ウエハWにイオンを打ち込む。以上のステップS211〜S214のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS215(レジスト形成ステップ)において、ウエハWに感光剤を塗布する。引き続き、ステップS216(露光ステップ)において、先に説明したリソグラフィシステム(露光装置)によってマスク(レチクルR)の回路パターンをウエハW上に転写する。次に、ステップS217(現像ステップ)では露光されたウエハWを現像し、ステップS218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップS219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハW上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップS216)において上記の露光装置が用いられ、真空紫外域の露光光により解像力の向上が可能となり、しかも露光量制御を高精度に行うことができる。従って、結果的に最小線幅が0.1μmの高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することができる。
第1実施形態の露光装置を示す概略構成図。 波面収差測定ユニットの内部構成を示す断面図。 (a)は投影光学系に収差が存在しない場合の、(b)は投影光学系に収差が存在する場合の波面収差測定ユニットにおける波面収差の測定状態に関する説明図。 検査用測定機を用いて(a)は投影光学系の、(b)は基準光学系の波面収差を計測している状態を示す側面図。 機差検査装置を用いて基準光学系の波面収差を計測している状態を示す側面図。 第2実施形態において基準光学系を露光装置に搭載した状態を示す側面図。 NA測定ユニットの内部構成を示す断面図。 投影光学系の開口形状(NA計測データ)を示す図。 投影光学系の瞳をNA測定ユニットのCCDに結像させる光路を模式的に示す光路図。 偏光計測ユニットの内部構成を示す断面図。 偏光検出部の光学的な構成を模式的に示す図。 別の実施形態における波面収差測定ユニットを示す概略ブロック図。 マイクロデバイスの製造例のフローチャート。 半導体素子の場合における図13の基板処理に関する詳細なフローチャート。
符号の説明
10…光学装置としての露光装置、12…光源、59…偏光制御ユニット、85…波面収差測定ユニット(第2の光学特性計測装置)、91…検出部、92…制御系、94…記憶部(記憶装置)、95…補正部(補正装置)、102…結像特性制御部、110…検査用光学特性測定機(第1の光学特性計測装置)、112…光学特性測定装置、115…機差検査装置、150…NA測定ユニット(第2の光学特性計測装置)、160…偏光計測ユニット(第2の光学特性計測装置)、161…偏光検出部、BL…基準光学系、PL…光学系としての投影光学系、R…マスクとしてのレチクル、Rt…テストレチクル、W…基板としてのウエハ。

Claims (18)

  1. 光学装置に搭載される光学系の光学特性の計測方法において、
    前記光学装置に搭載される前に第1の光学特性計測装置で、前記光学系の光学特性を計測し、
    前記第1の光学特性計測装置で、予め光学特性が確認されている基準光学系の光学特性を計測し、
    前記基準光学系の光学特性を、前記光学装置に設けられる第2の光学特性計測装置を用いて計測し、
    前記光学系を前記光学装置に搭載した後、前記第2の光学特性計測装置で前記光学系の光学特性を計測することを特徴とする光学系の光学特性の計測方法。
  2. 前記第1の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果と前記第2の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果との差分を考慮して、前記光学装置に搭載した前記光学系の光学特性を算出することを特徴とする請求項1に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  3. 前記差分に基づいて、前記光学系を前記光学装置に搭載した後に、前記第2の光学特性計測装置で計測した前記光学系の光学特性の計測結果を補正することを特徴とする請求項2に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  4. 前記第2の光学特性計測装置が、前記光学装置に対して着脱可能に装着されるものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  5. 前記第2の光学特性計測装置は、前記光学装置に常設されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  6. 前記基準光学系を構成する光学素子は、前記光学系を構成する光学素子よりも径が小さいことを特徴とする請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  7. 前記基準光学系を構成する光学素子の枚数は、前記光学系を構成する光学素子の枚数より少ないことを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  8. 前記第1の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果と、前記第2の光学特性計測装置で計測した前記基準光学系の光学特性の計測結果とに基づいて、前記第2の光学特性計測装置を較正することを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  9. 前記光学特性は、波面収差、開口の大きさ、偏光特性の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  10. 前記光学装置が、所定のパターンの像を基板上に転写する露光装置であることを特徴とする請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  11. 前記光学系が、前記所定のパターンの像を基板上に投影する投影光学系であることを特徴とする請求項10に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  12. 光学装置に搭載される光学系の光学特性の計測方法において、
    前記光学装置に搭載される前に前記光学系の光学特性を計測する第1の光学特性計測装置と、前記光学装置に設けられ、前記光学装置に搭載された後に前記光学系の光学系の光学特性を計測する第2の光学特性計測装置との間の計測誤差に基づいて、前記光学装置に前記光学系を搭載した後に、前記第2の光学特性計測装置で計測した前記光学系の光学特性の計測結果を補正することを特徴とする光学系の光学特性の計測方法。
  13. 前記計測誤差は、前記第1の光学特性計測装置で基準光学系を計測した計測結果と、前記第2の光学特性計測装置で前記基準光学系を計測した計測結果とに基づいて算出されることを特徴とする請求項12に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  14. 前記計測誤差は、前記第2の光学特性計測装置に記憶されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  15. 前記光学装置が、所定のパターンの像を基板に転写する露光装置であり、前記基準光学系は、前記所定のパターンの像を前記基板に転写する投影光学系であることを特徴とする請求項13又は14に記載の光学系の光学特性の計測方法。
  16. 光学装置に搭載される光学系の光学特性を計測する光学特性計測装置において、
    前記光学装置に搭載される前に前記光学系の光学特性を計測する第1の光学特性計測装置との間の計測誤差を記憶する記憶装置と、
    前記記憶装置に記憶された前記計測誤差に基づいて、前記光学装置に前記光学系を搭載した後に計測した前記光学系の光学特性の計測結果を補正する補正装置とを有することを特徴とする光学特性計測装置。
  17. 所定のパターンの像を基板上に露光する露光装置において、
    前記所定のパターンの像を基板上に投影する投影光学系の光学特性を、請求項1〜請求項15のうちいずれか一項に記載の光学系の光学特性の測定方法により計測することを特徴とする露光装置。
  18. リソグラフィ工程を含むデバイスの製造方法において、
    前記リソグラフィ工程で、請求項17に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイスの製造方法。
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