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JP4147574B2 - 波面収差計測方法、投影光学系の調整方法及び露光方法、並びに露光装置の製造方法 - Google Patents

波面収差計測方法、投影光学系の調整方法及び露光方法、並びに露光装置の製造方法 Download PDF

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JP4147574B2 JP2002134870A JP2002134870A JP4147574B2 JP 4147574 B2 JP4147574 B2 JP 4147574B2 JP 2002134870 A JP2002134870 A JP 2002134870A JP 2002134870 A JP2002134870 A JP 2002134870A JP 4147574 B2 JP4147574 B2 JP 4147574B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波面収差計測方法、投影光学系の調整方法及び露光方法、並びに露光装置の製造方法に係り、さらに詳しくは、第1面上のパターンを第2面上に投影する投影光学系の波面収差の計測に好適な波面収差計測方法、該方法によって計測された波面収差の計測結果に基づいて投影光学系を調整する投影光学系の調整方法、該調整方法によって調整された投影光学系を用いてマスクのパターンを基板上に転写する露光方法、及び前記波面収差計測方法を含む露光装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体素子(CPU、DRAM等)、撮像素子(CCD等)及び液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等を製造するリソグラフィ工程では、基板上にデバイスパターンを形成する種々の露光装置が用いられている。近年においては、半導体素子等の高集積化に伴い、高いスループットで微細パターンを精度良くウエハ又はガラスプレート等の基板上に形成可能なステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)やこのステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等の投影露光装置が主として用いられている。
【0003】
ところで、半導体素子等を製造する場合には、異なる回路パターンを基板上に幾層にも積み重ねて形成する必要があるため、回路パターンが描画されたレチクル(又はマスク)と、基板上の各ショット領域に既に形成されたパターンとを正確に重ね合わせることが重要である。かかる重ね合せを精度良く行うためには、投影光学系の光学特性を正確に計測し、これを所望の状態に調整し管理する必要がある。
【0004】
従来、投影光学系の光学特性の計測方法として、所定の計測用パターンが形成された計測用マスクを用いて露光を行い、計測用パターンの投影像が転写された基板を現像して得られるレジスト像を計測した計測結果に基づいて光学特性を算出する方法(以下、「焼き付け法」と呼ぶ)が、主として用いられている。この他、実際に露光を行うことなく、計測用マスクを照明光により照明し投影光学系によって形成された計測用パターンの空間像(投影像)を計測し、この計測結果に基づいて光学特性を算出する方法(以下、「空間像計測法」と呼ぶ)も行われている。
【0005】
従来の露光装置では、いわゆるザイデルの5収差と呼ばれる球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差(ディストーション)等の低次の収差を上記焼き付け法又は空間像計測法によって計測し、この計測結果に基づいて投影光学系の上記諸収差を調整し管理することが主として行われていた。
【0006】
しかるに、半導体素子は年々高集積化し、これに伴って露光装置には、より一層の高精度な露光性能が要求されるようになり、近年では、上記の低次収差のみを調整するのみでは不十分となっている。従って、露光装置の製造工場内での組み立て時のみならず、デバイス製造工場のクリーンルーム内に設置後においても、投影光学系の波面収差を計測してより高次の収差を含む投影光学系の光学特性を維持管理する必要が生じている。
【0007】
波面収差の計測を露光装置の製造後に、計測する波面収差計測装置として、マイクロレンズアレイを用いた、シャックハルトマン方式の波面収差計測器が、例えば国際公開WO99/60361などに開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、波面収差計測器に要求される程度に高精度でかつ小型のマイクロレンズアレイを製造することは、現状の製造技術では困難である。このため、マイクロレンズアレイを用いるタイプの波面収差計測器は、その計測精度の向上とともに小型化が、現在及び将来の大きな課題となっている。また、この種の波面収差計測器では、投影光学系の像面とマイクロレンズアレイとの間に光学系を配置しなければならず、計測器の小型化が困難であるとともに、その光学系の収差などの影響を無視し得ないことがある。
【0009】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、マイクロレンズアレイを用いることなく、投影光学系の波面収差を高精度に計測することが可能な波面収差計測方法を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、投影光学系の光学特性を精度良く調整することが可能な投影光学系の調整方法を提供することにある。
【0011】
本発明の第3の目的は、マスクのパターンを基板上に精度良く転写することが可能な露光方法を提供することにある。
【0012】
本発明の第4の目的は、マスクのパターンを基板上に精度良く転写することが可能な露光装置の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、第1面上のパターンを第2面上に投影する投影光学系(PL)の波面収差を計測する波面収差計測方法であって、前記第1面上に所定の位置関係で配置されるとともに、特定方向に対して所定角度θ(0°<θ<45°)をなす所定幅の直線状パターン部分を含む複数の計測用パターン(67i,j)を照明光により照明し、前記複数の計測用パターンのそれぞれを当該各計測用パターンに個別に対応して設けられたピンホール状の開口(70i,j)及び前記投影光学系を介して前記第2面上に投影する工程と;前記各計測用パターンの投影像を前記第2面上に配置された撮像素子で撮像する工程と;前記撮像結果に基づいて得られる前記直線状パターン部分の前記特定方向に関する基準位置からの位置ずれ量と前記特定方向に直交する方向に関する基準位置からの位置ずれ量との少なくとも一方を(1/tanθ)倍に拡大した結果に基づいて、前記投影光学系の波面収差を求める工程と;を含む波面収差計測方法である。
【0014】
これによれば、第1面上に所定の位置関係で配置されるとともに、特定方向に対して所定角度をなす所定幅の直線状パターン部分を含む複数の計測用パターンを照明光により照明し、前記複数の計測用パターンのそれぞれを当該各計測用パターンに個別に対応して設けられたピンホール状の開口及び前記投影光学系を介して前記第2面上に投影する。これにより、第2面上には、各計測用パターンの投影像が形成される。この投影像を第2面上に配置された撮像素子で撮像する。
【0015】
この場合、各計測用パターンの投影像は、第2面上で投影光学系の瞳面における波面の理想波面に対する傾きに応じてずれた位置に結像されるので、撮像素子によりそのずれた位置に結像された投影像が撮像されることとなる。
【0016】
前記各計測用パターンの前記特定方向に関する位置ずれ量は、前記直線状パターン部分の前記特定方向の位置ずれ量を(1/tanθ)倍に拡大した量の計測結果に基づいて算出することができ、前記特定方向に直交する方向の位置ずれ量は、前記直線状パターン部分の前記特定方向に直交する方向の位置ずれ量を(1/tanθ)倍に拡大した量の計測結果に基づいて算出することができる。そして、この算出結果、すなわち各計測用パターンの投影位置の基準位置からの位置ずれ量に基づいて、投影光学系の波面収差を求める。従って、本発明によれば、マイクロレンズアレイを用いることなく、投影光学系の波面収差を高精度に計測することが可能となる。
【0017】
この場合において、2次元面内に配置される投影像を撮像する場合、撮像素子として一次元撮像素子、例えばCCDラインセンサなどを用い、これを画素の配列方向に直交する方向に移動しながら撮像することとすることができる。しかし、これに限らず、例えば請求項2に記載の波面収差計測方法の如く、前記撮像素子は、画素が直交2軸方向にマトリクス状に配列された2次元撮像素子であり、前記特定方向は、前記直交2軸方向のいずれかであることとすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の波面収差計測方法を用いて投影光学系の波面収差を計測する工程と;前記波面収差の計測結果に基づいて前記投影光学系を調整する工程と;を含む投影光学系の調整方法である。
【0019】
これによれば、請求項1及び2に記載の各波面収差計測方法を用いて投影光学系の波面収差を計測するので、投影光学系の波面収差が精度良く計測される。そして、この精度良く計測された波面収差の計測結果に基づいて投影光学系が調整されるので、投影光学系の光学特性を精度良く調整することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、マスク(R)のパターンを投影光学系(PL)を介して基板(W)上に転写する露光方法であって、請求項3に記載の調整方法により前記投影光学系を調整する工程と;前記調整された投影光学系を介して前記パターンを前記基板上に転写する工程と;を含む露光方法である。
【0021】
これによれば、請求項3に記載の調整方法を用いて投影光学系を調整するので、投影光学系の光学特性が精度良く調整され、この光学特性が精度良く調整された投影光学系を用いてマスクのパターンを基板上に転写するので、マスクのパターンを基板上に精度良く転写することが可能になる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、マスク(R)のパターンを投影光学系(PL)を介して基板(W)上に転写する露光装置(10)の製造方法であって、請求項1又は2に記載の波面収差計測方法を用いて投影光学系の波面収差を計測する工程と;前記波面収差の計測結果に基づいて前記投影光学系を調整する工程と;を含む露光装置の製造方法である。
【0023】
これによれば、請求項1及び2に記載の各光学特性計測方法を用いて投影光学系の光学特性を精度良く計測し、その計測された光学特性に基づいて投影光学系を調整するので、投影光学系の光学特性(結像特性を含む)が精度良く調整される。従って、投影光学系の光学特性が精度良く調整された露光装置が製造され、該露光装置を用いて露光を行うことにより、マスクのパターンを投影光学系を介して基板上に精度良く転写することが可能になる。
【0024】
なお、前記第2面は投影光学系の像面だけでなくその共役面をも含み、投影光学系の像面との共役面を第2面とする場合は、像面と第2面とを共役関係にする光学系の光学特性を計測しておき、例えばこの計測結果を用いて前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することが好ましい。これにより、その光学系に起因した光学特性の計測誤差を低減することができる。このとき、その光学系は縮小系又は等倍系でも良いが、拡大系として計測用パターンの投影位置の検出精度の向上を図るようにしても良い。
【0025】
また、複数の計測用パターンの各投影位置に対応して、例えば複数の計測用パターンと対応する位置関係で、複数の撮像素子を第2面上に配置して各撮像素子により対応する計測用パターンの投影位置(すなわち各撮像素子を基準とする対応する計測用パターンの投影位置)を計測しても良いし、あるいは少なくとも1つの撮像素子を第2面内で移動して各計測用パターンの投影像を検出しても良い。前者の場合には、複数の撮像素子の位置関係(間隔など)を計測しておき、例えばこの計測結果を考慮して、計測用パターン毎に前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することが望ましい。これにより、撮像素子の位置誤差などに起因した光学特性の計測誤差を低減することができる。一方、後者の場合には、撮像素子の移動時に生じ得る位置決め誤差を例えば計測用パターンの投影位置毎に計測しておき、この計測結果を考慮して計測用パターン毎に前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することが望ましい。これにより、撮像素子の移動時の位置決め誤差などに起因した光学特性の計測誤差を低減することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1には、本発明に係る波面収差計測方法を実施するための一実施形態に係る露光装置10の概略構成が示されている。この露光装置10は、露光用光源(以下「光源」という)にパルスレーザ光源を用いたステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置、すなわちいわゆるステッパである。
【0027】
この露光装置10は、光源16及び照明光学系12を含む照明系、この照明系からのエネルギビームとしての露光用照明光ELにより照明されるマスクとしてのレチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、レチクルRから出射された露光用照明光ELを基板としてのウエハW上(像面上)に投射する投影光学系PL、ウエハWを保持するZチルトステージ58が搭載された基板ステージとしてのウエハステージWST、及びこれらの制御系等を備えている。
【0028】
前記光源16としては、ここでは、ArFエキシマレーザ光源(出力波長193nm)が用いられている。なお、光源16として、F2レーザ光源(出力波長157nm)等の真空紫外域のパルス光を出力する光源や、KrFエキシマレーザ光源(出力波長248nm)などの近紫外域のパルス光を出力する光源などを用いても良い。
【0029】
前記光源16は、実際には、照明光学系12の各構成要素及びレチクルステージRST、投影光学系PL、及びウエハステージWST等から成る露光装置本体が収納されたチャンバ11が設置されたクリーンルームとは別のクリーン度の低いサービスルームに設置されており、チャンバ11にビームマッチングユニットと呼ばれる光軸調整用光学系を少なくとも一部に含む不図示の送光光学系を介して接続されている。この光源16は、主制御装置50からの制御情報TSに基づいて、内部のコントローラにより、レーザ光LBの出力のオン・オフ、レーザ光LBの1パルスあたりのエネルギ、発振周波数(繰り返し周波数)、中心波長及びスペクトル半値幅などが制御されるようになっている。
【0030】
前記照明光学系12は、シリンダレンズ,ビームエキスパンダ及びズーム光学系(いずれも不図示)及びオプティカルインテグレータ(ホモジナイザ)としてのフライアイレンズ又は内面反射型インテグレータ(本実施形態ではフライアイレンズ)22等を含むビーム整形・照度均一化光学系20、照明系開口絞り板24、第1リレーレンズ28A、第2リレーレンズ28B、レチクルブラインド30、光路折り曲げ用のミラーM及びコンデンサレンズ32等を備えている。
【0031】
前記ビーム整形・照度均一化光学系20は、チャンバ11に設けられた光透過窓17を介して不図示の送光光学系に接続されている。このビーム整形・照度均一化光学系20は、光源16でパルス発光され光透過窓17を介して入射したレーザビームLBの断面形状を、例えばシリンダレンズやビームエキスパンダを用いて整形する。そして、ビーム整形・照度均一化光学系20内部の射出端側に位置するフライアイレンズ22は、レチクルRを均一な照度分布で照明するために、前記断面形状が整形されたレーザビームの入射により、照明光学系12の瞳面とほぼ一致するように配置されるその射出側焦点面に多数の点光源(光源像)から成る面光源(2次光源)を形成する。この2次光源から射出されるレーザビームを以下においては、「照明光EL」と呼ぶものとする。
【0032】
フライアイレンズ22の射出側焦点面の近傍に、円板状部材から成る照明系開口絞り板24が配置されている。この照明系開口絞り板24には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口より成る開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口より成りコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置して成る変形開口絞り(図1ではこのうちの2種類の開口絞りのみが図示されている)等が配置されている。この照明系開口絞り板24は、主制御装置50により制御されるモータ等の駆動装置40により回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りが照明光ELの光路上に選択的に設定され、後述するケーラー照明における光源面形状が、輪帯、小円形、大円形、あるいは四つ目等に制限される。なお、本実施形態では開口絞り板24を用いて照明光学系の瞳面上での照明光の光量分布(2次光源の形状や大きさ)、すなわちレチクルRの照明条件を変更するものとしたが、開口絞り板24の代わりに、あるいはそれと組み合わせて、例えば照明光学系の光路上に交換して配置される複数の回折光学素子、照明光学系の光軸に沿って移動可能な少なくとも1つのプリズム(円錐プリズムや多面体プリズムなど)、及びズーム光学系の少なくとも1つを含む光学ユニットを光源16とオプティカルインテグレータ(フライアイレンズ)22との間に配置し、オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ)22の入射面上での照明光の強度分布あるいは照明光の入射角度範囲を可変として、前述の照明条件の変更に伴う光量損失を最小限に抑えることが好ましい。
【0033】
照明系開口絞り板24から出た照明光ELの光路上に、レチクルブラインド30を介在させて第1リレーレンズ28A及び第2リレーレンズ28Bから成るリレー光学系が配置されている。レチクルブラインド30は、レチクルRのパターン面に対する共役面に配置され、レチクルR上の矩形の照明領域IARを規定する矩形開口が形成されている。ここで、レチクルブラインド30としては、開口形状が可変の可動ブラインドが用いられており、主制御装置50によってマスキング情報とも呼ばれるブラインド設定情報に基づいてその開口が設定されるようになっている。
【0034】
リレー光学系を構成する第2リレーレンズ28B後方の照明光ELの光路上には、当該第2リレーレンズ28Bを通過した照明光ELをレチクルRに向けて反射する折り曲げミラーMが配置され、このミラーM後方の照明光ELの光路上にコンデンサレンズ32が配置されている。
【0035】
以上の構成において、フライアイレンズ22の入射面、レチクルブラインド30の配置面、及びレチクルRのパターン面は、光学的に互いに共役に設定され、フライアイレンズ22の射出側焦点面に形成される光源面(照明光学系の瞳面)、投影光学系PLのフーリエ変換面(射出瞳面)は光学的に互いに共役に設定され、ケーラー照明系となっている。
【0036】
このようにして構成された照明光学系12の作用を簡単に説明すると、光源16からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形・照度均一化光学系に入射して断面形状が整形された後、フライアイレンズ22に入射する。これにより、フライアイレンズ22の射出端に前述した2次光源が形成される。
【0037】
上記の2次光源から射出された照明光ELは、照明系開口絞り板24上のいずれかの開口絞りを通過した後、第1リレーレンズ28Aを経てレチクルブラインド30の矩形開口を通過した後、第2リレーレンズ28Bを通過してミラーMによって光路が垂直下方に折り曲げられた後、コンデンサレンズ32を経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の矩形の照明領域IARを均一な照度分布で照明する。
【0038】
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが装填され、不図示の静電チャック(又はバキュームチャック)等を介して吸着保持されている。レチクルステージRSTは、不図示の駆動系により水平面(XY平面)内で微小駆動(回転を含む)が可能な構成となっている。また、レチクルステージRSTは、Y軸方向については、所定のストローク範囲(レチクルRの長さ程度)で移動可能な構成となっている。なお、レチクルステージRSTの位置は、不図示の位置検出器、例えばレチクルレーザ干渉計によって、所定の分解能(例えば0.5〜1nm程度の分解能)で計測され、この計測結果が主制御装置50に供給されるようになっている。
【0039】
前記投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックな縮小系が用いられている。この投影光学系PLの投影倍率は例えば1/4、1/5あるいは1/6等である。このため、前記の如くして、照明光ELによりレチクルR上の照明領域IARが照明されると、そのレチクルRに形成されたパターンが投影光学系PLによって前記投影倍率で縮小された像が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の矩形の露光領域IA(通常は、ショット領域に一致)に投影され転写される。
【0040】
投影光学系PLとしては、図1に示されるように、複数枚、例えば10〜20枚程度の屈折光学素子(レンズ)13のみから成る屈折系が用いられている。この投影光学系PLを構成する複数枚のレンズ13のうち、物体面側(レチクルR側)の複数枚(ここでは、説明を簡略化するために4枚とする)のレンズ131,132,133,134は、結像特性補正コントローラ48によって外部から駆動可能な可動レンズとなっている。レンズ131,132,134は、不図示のレンズホルダにそれぞれ保持され、これらのレンズホルダが不図示の駆動素子、例えばピエゾ素子などにより重力方向に3点で支持されている。そして、これらの駆動素子に対する印加電圧を独立して調整することにより、レンズ131,132,134を投影光学系PLの光軸方向であるZ軸方向にシフト駆動、及びXY面に対する傾斜方向(すなわちX軸回りの回転方向及びY軸回りの回転方向)に駆動可能(チルト可能)な構成となっている。また、レンズ133は、不図示のレンズホルダに保持され、このレンズホルダの外周部に例えばほぼ90°間隔でピエゾ素子などの駆動素子が配置されており、相互に対向する2つの駆動素子をそれぞれ一組として、各駆動素子に対する印加電圧を調整することにより、レンズ133をXY面内で2次元的にシフト駆動可能な構成となっている。
【0041】
なお、レチクルR、及び投影光学系PLの光学素子(特にレンズエレメント)はそれぞれ照明光ELの波長に応じてその硝材が適宜選択される。例えば、照明光ELの波長が190nm程度以上(照明光ELがArFエキシマレーザ光、KrFエキシマレーザ光など)では、合成石英を用いることができる。しかし、例えば、照明光ELの波長が180nm程度以下(照明光ELがF2レーザ光など)では、透過率などの点で合成石英の使用が困難なので、ホタル石などのフッ化物結晶や不純物(フッ素など)ドープした合成石英などが用いられる。
【0042】
前記ウエハステージWSTは、ウエハステージ駆動部56によりXY2次元面内で自在に駆動されるようになっている。このウエハステージWST上に搭載されたZチルトステージ58上にはウエハホルダ25を介してウエハWが静電吸着(あるいは真空吸着)等により保持されている。Zチルトステージ58は、ウエハWのZ方向の位置(フォーカス位置)を調整すると共に、XY平面に対するウエハWの傾斜角を調整する機能を有する。また、ウエハステージWSTのX、Y位置及び回転(ヨーイング、ピッチング、ローリングを含む)は、Zチルトステージ58上に固定された移動鏡52Wを介して外部のウエハレーザ干渉計54Wにより計測され、このウエハレーザ干渉計54Wの計測値が主制御装置50に供給されるようになっている。
【0043】
また、Zチルトステージ58上には、ウエハホルダ25の一側に基準マーク板FMがその表面がほぼウエハWの表面と同一高さとなるように固定されている。この基準マーク板FMの表面には、不図示のウエハアライメント系のいわゆるベースライン計測用の第1基準マーク及び露光の際のレチクルアライメントに用いられる一対の第2基準マークなどが形成されている。
【0044】
さらに、Zチルトステージ58上には、ウエハホルダ25の他側に、後述する波面収差の計測時に用いられる撮像素子としてのCCDエリアイメージセンサ45を有する撮像部42が設けられている。この撮像部42は、図2に示されるように、Zチルトステージ58上に固定され、上面及び下面が開口した筒状の筐体44と、該筐体44の上面側の開口部を閉塞するホタル石などのフッ化物結晶から成る受光ガラス46と、受光ガラス46に対向してZチルトステージ58内部に配置されたレンズ系43及びCCDエリアイメージセンサ45とを備えている。レンズ系43の上方のZチルトステージの壁面には、開口58aが形成されている。
【0045】
前記受光ガラス46の表面には、クロム層から成る遮光膜を兼ねる反射膜59が形成され、該反射膜59の中央にCCDエリアイメージセンサ45に入射する光の光路となる開口が形成されている。受光ガラス46の表面は、ウエハWの表面とほぼ同一高さとされている。CCDエリアイメージセンサ45の撮像面は、受光ガラス46の表面と光学的に共役な面とされている。また、受光ガラス46の表面には、前述した第2基準マークと同様の一対のアライメントマーク(不図示)が形成されている。CCDエリアイメージセンサ45から出力される撮像信号Pは、主制御装置50に供給されるようになっている。
【0046】
露光装置10の制御系は、図1中、前記主制御装置50によって主に構成される。主制御装置50は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等からなるいわゆるワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等から構成され、露光動作が的確に行われるように、例えば、ウエハステージWSTのショット間ステッピング、露光タイミング等を統括して制御する。
【0047】
次に、本実施形態の露光装置10の投影光学系PLの光学特性の計測の際に用いられる、計測用マスクとしての計測用レチクルRTについて説明する。
【0048】
図3には、この計測用レチクルRTの概略斜視図が示されている。また、図4には、レチクルステージRST上に装填した状態におけるレチクルRTの光軸AX近傍のXZ断面の概略図が、投影光学系PLの模式図とともに示されている。
【0049】
図3から明らかなように、この計測用レチクルRTの全体形状は、通常のペリクル付きレチクルとほぼ同様の形状を有している。この計測用レチクルRTは、パターン形成部材としてのガラス基板60、該ガラス基板60の図3における上面のX軸方向中央部に、固定された長方形板状の形状を有するレンズ取付け部材62、ガラス基板60の図2における下面に取り付けられた通常のペリクルフレームと同様の外観を有する枠状部材から成るスペーサ部材64、及びこのスペーサ部材64の下面に取り付けられた開口板66等を備えている。
【0050】
前記レンズ取付け部材62には、Y軸方向の両端部の一部の帯状の領域を除く、ほぼ全域にマトリックス状配置でn個の円形開口63i,j(i=1〜p、j=1〜q、p×q=n)が形成されている。各円形開口63i,jの内部には、Z軸方向の光軸を有する凸レンズから成る集光レンズ65i,jがそれぞれ設けられている(図3参照)。
【0051】
また、ガラス基板60とスペーサ部材64と開口板66とで囲まれる空間の内部には、図4に示されるように、補強部材69が所定の間隔で設けられている。
【0052】
更に、前記各集光レンズ65i,jに対向して、図4に示されるように、ガラス基板60の下面には、計測用パターン67i,jがそれぞれ形成されている。また、開口板66には、図4に示されるように、各計測用パターン67i,jにそれぞれ対向してピンホール状の開口70i,jが形成されている。このピンホール状の開口70i,jは、例えば直径100〜150μm程度とされる。
【0053】
また、図3に示されるように、ガラス基板60のレチクル中心を通るX軸上には、レンズ保持部材62の両外側に、レチクル中心に関して対称な配置で一対のレチクルアライメントマークRM1,RM2が形成されている。
【0054】
図5には、ガラス基板60を取り出して、図3における下面側から見た平面図(底面図)が示されている。この図5に示されるように、本実施形態では、各計測用パターン67i,jとして、X軸方向及びY軸方向に対して所定角度θ(0°<θ<45°)を成すラインパターンから成る網目状(ストリートライン状)のパターンが用いられている。各計測用パターン67i,jは、クロム層をパターニングして形成されたいわゆる抜きパターン、すなわちパターンの部分だけ光が透過するパターンである。
【0055】
なお、計測用パターン67i,jは、これに限られず、その他の形状のパターンを用いても良いが、少なくともX軸方向及びY軸方向のいずれかに対して所定角度θ(0°<θ<45°)で交差する所定幅のラインパターンを含むパターンであることが望ましい。
【0056】
次に、計測用レチクルRTを用いて、投影光学系PLの光学特性を計測する際の手順について説明する。
【0057】
まず、主制御装置50では、不図示のレチクルローダを介して計測用レチクルRTをレチクルステージRST上にロードする。次いで、主制御装置50では、レーザ干渉計54Wの出力をモニタしつつ、ウエハステージ駆動部56を介してウエハステージWSTを移動し、前述した受光ガラス46の表面に形成された一対のアライメントマーク(不図示)を、予め定められた基準位置に位置決めする。ここで、この基準位置とは、例えば一対のアライメントマークの中心が、レーザ干渉計54Wで規定されるステージ座標系上の原点に一致する位置に定められている。
【0058】
次に、主制御装置50では、計測用レチクルRT上の一対のレチクルアライメントマークRM1,RM2とこれらに対応する受光ガラス46上のアライメントマークとを、不図示の一対のレチクルアライメント顕微鏡により同時に観察し、レチクルアライメントマークRM1,RM2の受光ガラス46上への投影像と、対応するアライメントマークとの位置ずれ量が、共に最小となるように、不図示の駆動系を介してレチクルステージRSTをXY2次元面内で微少駆動する。これにより、レチクルアライメントが終了し、レチクル中心が投影光学系PLの光軸にほぼ一致するとともに、計測用レチクルRTの回転ずれも調整される。
【0059】
次に、主制御装置50では、不図示の斜入射光式の焦点位置検出系により受光ガラスのZ位置を計測し、この計測結果に基づいてZチルトステージをZ軸方向に微小駆動することにより、受光ガラス46の表面を投影光学系PLの像面にほぼ一致させる。
【0060】
次に、主制御装置50では、計測用レチクルRTの集光レンズ65i,jの全てが含まれる、レンズ保持部材62のX軸方向の最大幅以内のX軸方向の長さを有する矩形の照明領域を形成するため、不図示の駆動系を介してレチクルブラインド30の開口を設定する。また、これと同時に、主制御装置50では、駆動装置40を介して照明系開口絞り板24を回転して、所定の開口絞り、例えば小σ絞りを照明光ELの光路上に設定する。このとき、前述した照明光学系内の光学ユニット(不図示)、例えばズーム光学系などを用いてオプティカルインテグレータ(フライアイレンズ)22に入射する照明光の光束径(又は入射角度範囲)を小さくして光量損失を最小限とすることが望ましい。
【0061】
このような準備作業の後、主制御装置50では、制御情報TSを光源16に与えて、レーザビームLBを発光させて、照明光ELをレチクルRTに照射して露光を行う。これにより、図4に示されるように、各計測用パターン67i,jが、対応するピンホール状の開口70i,j及び投影光学系PLを介して同時に受光ガラス46に投影され、該受光ガラス46表面及びこれに共役なCCDエリアイメージセンサ45の撮像面に、図6に示されるような各計測用パターン67i,jの投影像(縮小像)67’i,jが、所定間隔でXY2次元方向に沿って所定間隔で形成される。
【0062】
そして、これらの投影像67’i,jがCCDエリアイメージセンサ45により撮像され、その撮像信号が主制御装置50に供給される。そして、主制御装置50では、この撮像信号に基づいて、各計測用パターン67i,jの投影像67’i,jの基準位置からのX軸方向、Y軸方向に関する位置ずれ量(Δξ,Δη)を算出する。
【0063】
ここで、この位置ずれ量(Δξ,Δη)の算出方法について、図7を参照して詳述する。図7には、計測用パターン67i,jを構成する1つの正方形枠状パターン(便宜上「パターン68」と呼ぶ)の投影像68’(図6参照)が取り出して示されている。また、この図7において、白抜きのパターン像68”は、位置ずれがない場合のパターン68の投影像を示す。すなわち、パターン像68”の位置は、投影光学系PLに収差がない場合にパターン68が投影されるべき位置、すなわち投影像68’の基準位置である。
【0064】
この図7の場合、パターン68の投影位置の基準位置からの位置ずれ量(Δξ,Δη)は、図7中に示される通りである。しかしながら、位置ずれ量(Δξ,Δη)は、図7中に示されるCCDエリアイメージセンサ45の各画素(すなわち網目の1個1個)と比べると明らかなように、非常に小さい量である。従って、これらの量Δξ,Δηを直接計測すると、CCDエリアイメージセンサとして超高密度なもの(非常に画素数の多いもの)を用いない限り、計測誤差が大きく十分な計測精度が得られないおそれがある。しかしながら、超高密度なCCDエリアイメージセンサは高価であるか、要求される計測精度によってはこれを達成するものが実存しないかのいずれかである。
【0065】
しかるに、図7に示される幾何学的関係から明らかなように、X軸方向の位置ずれ量ΔξとΔYとの間、Y軸方向の位置ずれ量ΔηとΔXとの間には、次式(1)、(2)の関係が、それぞれ成立する。
【0066】
ΔY=Δξ/tanθ ……(1)
ΔX=Δη/tanθ ……(2)
【0067】
この場合において、例えばθ=10°とすると、1/tanθ=5.67となり、また、θ=5°とすると、1/tan=11.43となる。従って、Δξ、Δηを計測する代わりに、ΔY、ΔXを計測することにより、5.67倍、あるいは11.43倍に拡大した量を計測することが可能となる。このことは、CCDエリアイメージセンサとして、同一の画素密度のCCDエリアイメージセンサを用いて計測した場合に、分解能が5.67倍、あるいは11.43倍になり、それに応じて計測精度が向上することを意味する。換言すれば、同一の分解能で計測する場合に、CCDエリアイメージセンサの画素密度は、(1/5.67)あるいは(1/11.43)程度あれば良いことを意味する。
【0068】
なお、上記の拡大倍率は、角度θが0に近いほど大きくなり、例えばθ=1.15°の場合には、約50倍の分解能を得ることが可能になる。
【0069】
なお、図7では、パターン像68”が基準位置として想定されているかのような説明をしたが、実際には、このような必要はなく、図7中のA点、B点などの設計上のパターン投影位置の代表点を、基準位置としてCCDエリアイメージセンサ45の画素中で定めておけば良い。かかる場合には、実際の撮像結果からA’点、B’点を得、A点と撮像結果とからD点を求め、A’点と撮像結果からC点を求め、B点と撮像結果からE点を求め、B’点と撮像結果とからF点を求める。そして、このようにして求めたC,D,E,F点の座標に基づきΔY、ΔXを計測することができる。
【0070】
上述のようにして、主制御装置50では、各計測用パターン67i,jについて、X、Y方向の位置ずれ量を所定倍率に拡大した量(ΔY、ΔX)をそれぞれ計測し、この量(ΔY、ΔX)をtanθ倍することにより、目的とする各計測用パターン67i,jの位置ずれ量(Δξ,Δη)を算出するのである。
【0071】
そして、この位置ずれ量(Δξ,Δη)に基づいて、投影光学系PLの波面を演算により求めるのであるが、その前提として、位置ずれ量(Δξ,Δη)と波面との物理的な関係を、図4に基づいて簡単に説明する。
【0072】
図4に、計測用パターン67k,lについて、代表的に示されるように、計測用パターン67i,j(67k,l)で発生した回折光のうち、ピンホール状の開口70i,j(70k,l)を通過した光は、計測用パターン67i,j(67k,l)のどの位置に由来する光であるかによって、投影光学系PLの瞳面を通る位置が異なる。すなわち、当該瞳面の各位置における波面は、その位置に対応する計測用パターン67i,j(67k,l)における位置を介した光の波面と対応している。そして、仮に投影光学系PLに収差が全くないものとすると、それらの波面は、投影光学系PLの瞳面では、符号F1で示されるような理想波面(ここでは平面)となるはずである。しかるに、収差の全く無い投影光学系は実際には存在しないため、瞳面においては、例えば、点線で示されるような曲面状の波面F2となる。従って、計測用パターン67i,j(67k,l)の像は、CCDエリアイメージセンサ45の撮像面上で波面F2の理想波面に対する傾きに応じてずれた位置に結像される。
【0073】
従って、位置ずれ量(Δξ,Δη)は、波面の理想波面に対する傾斜をそのまま反映した値になり、逆に位置ずれ量(Δξ,Δη)に基づいて波面を復元することができる。なお、上記の位置ずれ量(Δξ,Δη)と波面との物理的な関係から明らかなように、本実施形態における波面の算出原理は、周知のShack-Hartmanの波面算出原理そのものである。
【0074】
次に、上記の位置ずれ量に基づいて、波面を算出する方法について、簡単に説明する。
【0075】
上述の如く、位置ずれ量(Δξ,Δη)は波面の傾きに対応しており、これを積分することにより波面の形状(厳密には基準面(理想波面)からのずれ)が求められる。波面(波面の基準面からのずれ)の式をW(x,y)とし、比例係数をkとすると、次式(3)、(4)のような関係式が成立する。
【0076】
【数1】
Figure 0004147574
【0077】
位置ずれ量のみでしか与えられていない波面の傾きをそのまま積分するのは容易ではないため、面形状を級数に展開して、これにフィットするものとする。この場合、級数は直交系を選ぶものとする。ツェルニケ多項式は軸対称な面の展開に適した級数で、円周方向は三角級数に展開する。すなわち、波面Wを極座標系(ρ,θ)で表すと、ツェルニケ多項式をRn m(ρ)として、次式(5)のように展開できる。
【0078】
【数2】
Figure 0004147574
【0079】
なお、Rn m(ρ)の具体的な形は、周知である(例えば光学の一般的な教科書などに記載されている)ので、詳細な説明は省略する。直交系であるから各項の係数、An m,Bn mは独立に決定することができる。有限項で切ることはある種のフィルタリングを行うことに対応する。
【0080】
実際には、その微分が上記の位置ずれ量として検出されるので、フィッティングは微係数について行う必要がある。極座標系(x=ρcosθ,y=ρsinθ)では、次式(6)、(7)のように表される。
【0081】
【数3】
Figure 0004147574
【0082】
ツェルニケ多項式の微分形は直交系ではないので、フィッティングは最小自乗法で行う必要がある。1つの計測用パターンからの情報(ずれの量)はXとY方向につき与えられるので、計測用パターンの数をN(Nは、例えば81〜400程度とする)とすると、上式(3)〜(7)で与えられる観測方程式の数は2N(=162〜800程度)となる。これから例えば27の係数を決めるため各係数の誤差はかなり小さくなる(面の傾きを表すA1 1,B1 1を除けば係数のばらつきは数nm程度に収まっている)。
【0083】
ツェルニケ多項式のそれぞれの項は光学収差に対応する。しかも低次の項はザイデル収差にほぼ対応する。従って、ツェルニケ多項式を用いることにより、投影光学系PLの波面収差を求めることができる。
【0084】
そこで、主制御装置50では、前述のようにして位置ずれ量(Δξ,Δη)を算出した後、所定の演算プログラムを用いて、位置ずれ量(Δξ,Δη)に基づいて、前述した原理に従って、各領域Si,jに対応する、すなわち投影光学系PLの視野内の第1計測点〜第n計測点に対応する波面(波面収差)、ここでは、ツェルニケ多項式の各項の係数、例えば第2項の係数Z2〜第36項の係数Z36を演算する。
【0085】
ところで、本実施形態の露光装置10では、定期的にメンテナンスが行われる。その際に、前述した計測用レチクルRT及びCCDエリアイメージセンサ45等を用いて、前述した手順で波面収差の計測が行われ、その計測結果に基づいて、投影光学系PLが調整される。この調整は、例えば、主制御装置50が波面収差の計測結果に基づいて、非点収差、コマ収差、ディストーション、像面湾曲(又はフォーカス)、球面収差などの低次収差、すなわちザイデルの5収差等を求め、これらの収差を補正すべき旨の指令を結像特性補正コントローラ48に与える。これにより、結像特性補正コントローラ48により、可動レンズ131〜134のうちの少なくとも1つの所定の可動レンズを、少なくとも1自由度方向に駆動する所定の駆動素子に対する印加電圧が制御され、前記所定の可動レンズの位置及び姿勢の少なくとも一方が調整され、投影光学系PLの結像特性、例えばディストーション、像面湾曲、コマ収差、球面収差、及び非点収差等が補正される。
【0086】
この場合において、予め各可動レンズの各自由度方向の単位駆動量と、波面収差(ツェルニケ多項式の各項の係数)の変化量との関係を予め求め、これをデータベースとしてメモリ内に記憶しておくとともに、このデータベースとツェルニケ多項式の各項の係数とに基づいて結像特性の調整量を演算する調整量演算プログラムを準備しておくこととしても良い。このようにすると、主制御装置50では、波面収差の計測結果(ツェルニケ多項式の各項の係数の算出値)が得られた時点で、上記のデータベースとその得られた波面収差の計測結果とを用いて上記の調整量演算プログラムに従って、可動レンズ131〜134を各自由度方向に駆動すべき調整量を演算し、この調整量の指令値を、結像特性補正コントローラ48に与える。これにより、結像特性補正コントローラ48により、可動レンズ131〜134をそれぞれの自由度方向に駆動する各駆動素子に対する印加電圧が制御され、可動レンズ131〜134の位置及び姿勢の少なくとも一方がほぼ同時に調整され、投影光学系PLの結像特性、例えばディストーション、像面湾曲、コマ収差、球面収差、及び非点収差等が補正される。なお、コマ収差、球面収差、及び非点収差については、低次のみならず高次の収差をも補正可能である。
【0087】
本実施形態の露光装置10では、半導体デバイスの製造時には、レチクルとしてデバイス製造用のレチクルRがレチクルステージRST上に装填され、その後、レチクルアライメント及び不図示のウエハアライメント系のいわゆるベースライン計測、並びにEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)等のウエハアライメントなどの準備作業が行われる。その後、ウエハアライメント結果に基づいて、ウエハW上の各ショット領域をレチクルパターンの投影位置に位置決めするショット間ステッピング動作と露光動作とを繰り返す、ステップ・アンド・リピート方式の露光が行われる。なお、露光時の動作等は通常のステッパと異なるところがないので、詳細説明については省略する。
【0088】
但し、露光装置10では、露光に先立って、前述したメンテナンス時、あるいはその他必要なタイミングで、前述した投影光学系PLの結像特性の補正(調整)が行われ、この結像特性補正後の投影光学系PLを用いて、上記のステップ・アンド・リピート方式の露光が行われる。
【0089】
次に、露光装置10の製造方法について説明する。露光装置10の製造に際しては、まず、複数のレンズ、ミラー等の光学素子などを含む照明光学系12、投影光学系PL、多数の機械部品から成るレチクルステージ系やウエハステージ系などを、それぞれユニットとして組み立てるとともに、それぞれユニット単体としての所望の性能を発揮するように、光学的な調整、機械的な調整、及び電気的な調整等を行う。
【0090】
次に、照明光学系12や投影光学系PLなどを露光装置本体に組むとともに、レチクルステージ系やウエハステージ系などを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続する。
【0091】
次いで、照明光学系12や投影光学系PLについては、光学的な調整を更に行う。これは、露光装置本体への組み付け前と組み付け後とでは、それらの光学系、特に投影光学系PLの光学特性が微妙に変化するからである。本実施形態では、この露光装置本体へ組み込み後に行われる投影光学系PLの光学的な調整に際して、前述した計測用レチクルRT及びCCDエリアイメージセンサ45等を用いて、前述した手順で、投影光学系PLの波面収差の計測を行う。そして、この波面収差結果に基づいて、前述のメンテナンス時と同様にして、ザイデル収差等の補正が行われる。また、より高次の収差に基づいて必要であればレンズ等の組付けを再調整する。なお、再調整により所望の性能が得られない場合などには、一部のレンズを再加工する必要も生じる。なお、投影光学系PLの光学素子の再加工を容易に行うため、投影光学系PLを露光装置本体に組み込む前に前述の波面収差を計測し、この計測結果に基づいて再加工が必要な光学素子の有無や位置などを特定し、その光学素子の再加工と他の光学素子の再調整とを並行して行うようにしても良い。
【0092】
その後、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をする。これにより、光学特性が高精度に調整された投影光学系PLを用いて、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することができる、本実施形態の露光装置10を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によると、投影光学系PLの波面収差の計測に際し、計測用レチクルRTがレチクルステージRST上に装填され、レチクルアライメントが行われた状態で、計測用レチクルRT上の複数の計測用パターン67i,jが照明光で照明される。これにより、各計測用パターン67i,jが、個別に対応するピンホール状の開口70i,j及び投影光学系PLを介してウエハステージWST上に設けられた、投影光学系PLの像面と共役な面に配置されたCCDエリアイメージセンサ45の撮像面に投影される。このとき、各計測用パターン67i,jの像は、前述の如く、投影光学系PLによりそれぞれの計測用パターン67i,jを介した光の波面の理想波面に対する傾きに応じてずれた位置に結像される。そして、CCDエリアイメージセンサ45によりそのずれた位置に結像された各計測用パターン67i,jの投影像67’i,jが撮像される。
【0094】
そして、主制御装置50により、その撮像結果に基づいて得られる各計測用パターンの投影位置の基準位置からの位置ずれ量に基づいて、所定の演算プログラムに従って投影光学系PLの波面収差が算出される。
【0095】
また、本実施形態では、各計測用パターン67i,jとして、X軸に対して角度θを成し所定幅を有する複数本の直線状パターンが所定ピッチで配列されたラインアンドスペースパターンと、Y軸に対して角度θを成し所定幅を有する複数本の直線状パターンが所定ピッチで配列されたラインアンドスペースパターンとが、相互に直交して形成された網目状(ストリートライン状)のパターンが用いられている。そして、各計測用パターンのX軸方向に関する位置ずれ量は、X軸に対して角度θを成す直線状パターン部分のX軸方向に関する位置ずれ量を(1/tanθ)倍に拡大した量の計測結果に基づいて算出され、Y軸方向に関する位置ずれ量は、前記直線状パターン部分のY軸方向に関する位置ずれ量を(1/tanθ)倍に拡大した量の計測結果に基づいて算出される。従って、実質的に位置ずれ量を上記拡大倍率に応じた高い分解能で計測することが可能となり、位置ずれ量の計測精度、ひいては波面収差の計測精度の向上が可能となる。
【0096】
従って、本実施形態によると、マイクロレンズアレイを用いることなく、投影光学系の波面収差を高精度に計測することが可能となっている。
【0097】
また、本実施形態によると、メンテナンス時等において定期的に投影光学系PLの波面収差が精度良く計測され、この精度良く計測された波面収差の計測結果に基づいて投影光学系PLが調整されるので、投影光学系PLの光学特性を精度良く調整することができる。
【0098】
そして、本実施形態に係る露光装置によると、露光に先立って、上述の如くして光学特性が調整された投影光学系PLを用いて、レチクルRのパターンがウエハW上に転写されるので、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することが可能になる。
【0099】
さらに、本実施形態によると、露光装置10の製造時においても、投影光学系PLを露光装置本体に組み込んだ後において、前述のように投影光学系PLの波面収差が計測され、その計測された波面収差に基づいて投影光学系PLを調整するので、投影光学系の結像特性が精度良く調整される。従って、投影光学系の結像特性が精度良く調整された露光装置10が製造され、該露光装置10を用いて露光を行うことにより、レチクルパターンを投影光学系PLを介してウエハ上に精度良く転写することが可能になる。
【0100】
なお、上記実施形態では、計測用パターンの基準位置に対する位置ずれ量を1/tanθ倍に拡大した量を計測し、これをtanθ倍して求める場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、CCDエリアイメージセンサ45の分解能が十分に高ければ、位置ずれ量を直接計測しても良い。かかる場合であっても、マイクロレンズアレイを用いることなく、上記実施形態と同様に、計測した位置ずれ量に基づいて投影光学系PLの波面収差を精度良く求めることは可能である。この場合においても、露光装置の製造段階、及び製造後のいずれのときにおいても、波面収差を高精度に計測し、その計測結果に基づいて、投影光学系PLの光学特性を高精度に調整することができる。また、この光学特性が精度良く調整された投影光学系PLを用いてレチクルパターンをウエハ上に精度良く転写することができる。また、上記実施形態ではCCDエリアイメージセンサ45の画素を基準として計測用パターンの投影像の位置ずれ量を計測するものとしたが、例えばCCDエリアイメージセンサ45の撮像面に近接して基準パターンを配置し、この基準パターンに対する計測用パターンの投影像の位置ずれ量を計測するようにしても良い。また、上記実施形態において、レンズ系43を拡大系として計測用パターンの投影位置の検出精度の向上を図るようにしても良い。CCDエリアイメージセンサ45の撮像面に近接して基準パターンを配置する場合も同様である。
【0101】
なお、上記実施形態において、投影光学系PLの像面とCCDエリアイメージセンサ45とを共役関係にするレンズ系43の光学特性を計測しておき、例えばこの計測結果を用いて前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することが好ましい。これにより、そのレンズ系43に起因した光学特性の計測誤差を低減することができる。
【0102】
なお、上記実施形態において、CCDエリアイメージセンサ45に代えて、複数の計測用パターンの各投影位置に対応して、例えば複数の計測用パターンと対応する位置関係で、複数の撮像素子を投影光学系の像面(又はその共役面)に配置して各撮像素子により対応する計測用パターンの投影位置(すなわち各撮像素子を基準とする対応する計測用パターンの投影位置)を計測しても良い。この場合、複数の撮像素子の位置関係(間隔など)を計測しておき、例えばこの計測結果を考慮して、計測用パターン毎に前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することが望ましい。これにより、撮像素子の位置誤差などに起因した光学特性の計測誤差を低減することができる。同様に、CCDエリアイメージセンサ45の各画素の配列を正確に計測しておき、この計測結果を考慮して、計測用パターン毎に前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することとしても良い。
【0103】
また、上記実施形態では、撮像素子として2次元撮像素子であるCCDエリアイメージセンサを用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、撮像素子としてCCDラインセンサなどの1次元撮像素子を用い、これを画素の配列方向とは直交する方向に移動しつつ、計測用パターンの投影像の撮像を行うことにより、各投影像の投影位置の基準位置に対する位置ずれ量を計測し、この位置ずれ量に基づいて投影光学系PLの波面収差を求めることも可能である。
【0104】
あるいは、少なくとも1つの撮像素子を第2面(投影光学系の像面又はこの共役面)内で移動して各計測用パターンの投影像を検出しても良い。この場合には、撮像素子の移動時に生じ得る位置決め誤差を例えば計測用パターンの投影位置毎に計測しておき、この計測結果を考慮して計測用パターン毎に前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することが望ましい。これにより、撮像素子の移動時の位置決め誤差などに起因した光学特性の計測誤差を低減することができる。
【0105】
なお、上記実施形態において、計測用レチクル上での複数の計測用パターンの位置関係(間隔など)を計測しておき、例えばこの計測結果をも考慮して投影光学系PLの光学特性を求めることが望ましい。これにより、計測用レチクル上での計測用パターンの位置誤差(描画誤差)に起因した投影光学系PLの光学特性の計測誤差を低減することができる。この場合も、上記と同様に、前述の位置ずれ量を求める際に、計測用パターンの位置誤差を考慮しても良いし、光学特性の計測結果を計測用パターンの位置誤差を用いて補正しても良い。
【0106】
また、上記実施形態では、投影光学系PLの光学特性として波面収差を求める場合について説明したが、これに限らず、上記各計測用パターンの投影位置の所定の基準位置からの位置ずれ量に基づいて、波面収差以外の光学特性を求めることは可能である。
【0107】
なお、上記実施形態では、Zチルトステージ58にCCDエリアイメージセンサを有する撮像部42が固定的に設けられた場合について説明したが、これに限らず、ウエハホルダの交換機構を備える場合(ウエハの搬送系がウエハホルダの搬送系を兼ねる場合を含む)には、ウエハホルダ25に撮像素子(CCDエリアイメージセンサなど)を組み込み、そのウエハホルダを前記交換機構により非露光時にウエハステージ上に搭載し、そのウエハホルダを用いて投影光学系の波面収差を計測するようにしても良い。この場合、実際の露光に先立って、その計測に用いたウエハホルダを露光に用いるウエハホルダに再度交換するようにすれば良い。また、上記のウエハホルダには、撮像素子とともに基準照度計などを組み込むようにしても良い。
【0108】
また、上記実施形態では、撮像素子(CCDエリアイメージセンサ)を、投影光学系の像面の共役面に配置した状態で、投影像の撮像を行う場合について説明したが、これに限らず、投影光学系PLの像面近傍の面(上記実施形態ではZチルトステージ58上の受光ガラスの配置面)に撮像素子を直接配置することとしても良く、撮像部42の小型化を図ることができる。更に、投影光学系PLの投影視野(照明光の照射領域)に対応して複数の計測用パターンをレチクルに形成することなく、少なくとも1つの計測用パターンをレチクルに形成するだけでも良く、この場合は投影光学系の物体面(第1面)内でそのレチクルを移動することになる。このとき、レチクルステージRSTの移動時に生じ得る位置決め誤差を、例えば計測用パターンを配置すべき位置毎に計測しておき、この計測結果を用いて計測用パターン毎に前述の位置ずれ量を求める、あるいは投影光学系の光学特性の計測結果を補正することが望ましい。更に、上記実施形態では計測用レチクルを用いるものとしたが、例えばレチクルステージRST上に少なくとも1つの計測用パターンを形成するとともに、投影光学系の光学特性の計測時にピンホールが形成されたプレートをレチクルのパターン面に近接して配置する、あるいはレチクルステージの下面にその計測用パターンに近接してピンホール板を設けても良い。すなわち、光学特性の計測に用いるマスクはマスク又はレチクルに限られるものではなく、例えばレチクルステージなどに設けられるパターン板などであっても良い。
【0109】
なお、上記実施形態では、本発明がステッパに適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば米国特許第5,473,410号等に開示されるマスクと基板とを同期移動してマスクのパターンを基板上に転写する走査型の露光装置にも適用することができる。
【0110】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシーン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0111】
また、上記実施形態の露光装置の光源は、F2レーザ光源、ArFエキシマレーザ光源、KrFエキシマレーザ光源などの紫外パルス光源に限らず、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)などの輝線を発する超高圧水銀ランプを用いることも可能である。
【0112】
また、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良い。
【0113】
なお、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに転写するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の波面収差計測方法によれば、マイクロレンズアレイを用いることなく、投影光学系の波面収差を高精度に計測することができるという効果がある。
【0115】
また、本発明の投影光学系の調整方法によれば、投影光学系の光学特性を精度良く調整することができるという効果がある。
【0116】
また、本発明の露光方法によれば、マスクのパターンを基板上に精度良く転写することが可能な露光方法が提供される。
【0117】
また、本発明の露光装置の製造方法によれば、マスクのパターンを基板上に精度良く転写することが可能な露光装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1のZチルトステージを一部破断し、かつ一部省略して示す拡大図である。
【図3】計測用レチクルを示す概略斜視図である。
【図4】レチクルステージ上に装填した状態における計測用レチクルの光軸近傍のXZ断面の概略図を投影光学系の模式図とともに示す図である。
【図5】図3のガラス基板を取り出して示す底面図である。
【図6】CCDエリアイメージセンサの撮像面に形成される計測用パターンの縮小像(投影像)を示す図である。
【図7】計測用パターンの位置ずれ量を拡大して計測する方法を示す図である。
【符号の説明】
10…露光装置、45…CCDエリアイメージセンサ(撮像素子)、66…開口板、67i,j…計測用パターン、70i,j…ピンホール状の開口、EL…照明光、PL…投影光学系、R…レチクル(マスク)、RT…計測用レチクル(計測用マスク)、W…ウエハ(基板)。

Claims (5)

  1. 第1面上のパターンを第2面上に投影する投影光学系の波面収差を計測する波面収差計測方法であって、
    前記第1面上に所定の位置関係で配置されるとともに、特定方向に対して所定角度θ(0°<θ<45°)をなす所定幅の直線状パターン部分を含む複数の計測用パターンを照明光により照明し、前記複数の計測用パターンのそれぞれを当該各計測用パターンに個別に対応して設けられたピンホール状の開口及び前記投影光学系を介して前記第2面上に投影する工程と;
    前記各計測用パターンの投影像を前記第2面上に配置された撮像素子で撮像する工程と;
    前記撮像結果に基づいて得られる前記直線状パターン部分の前記特定方向に関する基準位置からの位置ずれ量と前記特定方向に直交する方向に関する基準位置からの位置ずれ量との少なくとも一方を(1/tanθ)倍に拡大した結果に基づいて、前記投影光学系の波面収差を求める工程と;を含む波面収差計測方法。
  2. 前記撮像素子は、画素が直交2軸方向にマトリクス状に配列された2次元撮像素子であり、
    前記特定方向は、前記直交2軸方向のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の波面収差計測方法。
  3. 請求項1又は2に記載の波面収差計測方法を用いて投影光学系の波面収差を計測する工程と;
    前記波面収差の計測結果に基づいて前記投影光学系を調整する工程と;を含む投影光学系の調整方法。
  4. マスクのパターンを投影光学系を介して基板上に転写する露光方法であって、
    請求項3に記載の調整方法により前記投影光学系を調整する工程と;
    前記調整された投影光学系を介して前記パターンを前記基板上に転写する工程と;を含む露光方法。
  5. マスクのパターンを投影光学系を介して基板上に転写する露光装置の製造方法であって、
    請求項1又は2に記載の波面収差計測方法を用いて投影光学系の波面収差を計測する工程と;
    前記波面収差の計測結果に基づいて前記投影光学系を調整する工程と;を含む露光装置の製造方法。
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