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JP2006066264A - 有機電界発光素子、プリズム構造体付き基板の作成方法、及びプリズム構造体付き基板を用いた有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子、プリズム構造体付き基板の作成方法、及びプリズム構造体付き基板を用いた有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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JP2006066264A JP2004248537A JP2004248537A JP2006066264A JP 2006066264 A JP2006066264 A JP 2006066264A JP 2004248537 A JP2004248537 A JP 2004248537A JP 2004248537 A JP2004248537 A JP 2004248537A JP 2006066264 A JP2006066264 A JP 2006066264A
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organic
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prism
substrate
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Shunichi Ishikawa
俊一 石川
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】 燐光発光素子のような高屈折率の発光層を有する有機電界発光素子においても、光の全反射が抑制された光輝度の素子を提供することにある。
【解決手段】 透明基板と一対の電極間に発光層を含む一層以上の有機層とを有する有機電界発光素子において、該透明基板が光の取り出し面側に設けられ、かつ、該透明基板と光の取り出し面側の電極との間に金属酸化物を含むプリズム構造体を有し、該プリズム頂点が透明基板側に向けて存在させたことを特徴とする有機電界発光素子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気エネルギーを光に変換して発光できる有機電界発光素子(発光素子、またはEL素子)に関する。
今日、種々の表示素子に関する研究開発が活発であり、中でも有機電界発光(EL)素子は、低電圧で高輝度の発光を得ることができるため、有望な表示素子として注目されている。
しかしながら、この有機電界発光素子は無機LED素子や、蛍光管に比べ非常に発光効率が低い。
一方、Thompsonらによれば有機EL素子の発光効率を示す外部エネルギー効率は、素子の内部エネルギー効率と光取り出し効率との積であらわせる(非特許文献1)。すなわち有機EL素子の発光効率を向上するためには、内部エネルギー効率を向上させるほかに、光取り出し効率も向上させる必要がある。
光取り出し効率とは、素子の発光に対して素子の透明性基板正面から大気中に放出される発光の割合である。すなわち発光層での発光が大気中に放出されるには、幾つかの屈折率の異なる媒質の界面を通過する必要があるが、スネルの屈折の法則に従えば、各界面にその臨界角以上の角度で入射した光は、界面で全反射されて層中を導波し消失するか層側面より放出され、その分だけ素子正面からの光放出が減少する。その結果、例えば素子をディスプレイに応用した場合、正面輝度が低いものになってしまう。
これを改善するために、光の全反射を抑制する方法として、集光効果のある、プリズム構造体を用いる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
この方法は、厚み0.3mmのガラスに3M社製のプリズムシートを固着させた後、プリズムシートが内側にくるようにもう一枚の0.3mmのガラスを貼りあわせて貼りあわせ構造の基板を作成後、最初にプリズムシートを固着させた方のガラス上に有機EL素子を形成する方法が述べられている。このプリズムシートは集光効果を持つので、上記の全反射による光取り出し効率の減少を緩和する。
また、ガラス基板上に熱硬化性樹脂を厚さ3μmに塗布後、底辺2μm、高さ2μmのプリズム型の鋳型を押し当てながら加熱硬化させ、鋳型を取り除いてからポリイミド樹脂を塗布、硬化させて平坦化させ、その上に有機EL素子を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第2931211号公報 特開2003−86353号公報 「Optics Letters」,1997年,第22巻,第6号,p.396
上記方法におけるプリズム構造体は、主に有機ポリマー材料で形成されている。一般に有機ポリマーは屈折率が低く、通常1.35〜1.5程度である。これに対し、有機EL素子の発光層として低分子系の材料を用いた場合は、発光波長付近の屈折率が通常1.7以上であり、特に燐光発光素子では更に屈折率が高い(1.8以上)傾向にある。
高屈折率の発光層から発せられた光を、低屈折率層の界面で全反射させないためには、発光層からプリズム構造体までの間に存在する層の屈折率を発光層の屈折率以上にすること、およびプリズム構造体の屈折率を発光層の屈折率以上にすることが必要である。
通常有機材料の代わりに、透明な無機材料で形成できれば、プリズム構造体の屈折率をより高く出き、耐熱性に優れる。また、素子作成時の制約が小さく、素子保存時の安定性もより優れる。
しかしながら、一般にガラスのような透明な無機材料を微細加工することは難しく、従来透明な無機材料を用いてプリズム構造体を作った例は知られていなかった。
また、このような高屈折率の材料で形成されたプリズム構造体を有機EL素子に用いる例は、従来知られていなかった。
従って、本発明は、光の全反射が抑制された高輝度の有機電界発光素子、及び該有機電界発光素子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、高屈折率を有するプリズム構造体を作成することができ、かつ、該プリズム構造体を有機EL素子に用いたときに著しい輝度向上を見出した。
本発明は、下記手段によって達成された。
<1> 透明基板と一対の電極間に発光層を含む一層以上の有機層とを有する有機電界発光素子において、該透明基板が光の取り出し面側に設けられ、かつ、該透明基板と光の取り出し面側の電極との間に金属酸化物を含むプリズム構造体を有し、該プリズム頂点が該透明基板側に向けて存在させたことを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 透明基板上に有機材料からなる有機プリズム構造体を形成後、金属酸化物ゾルまたはそのプレカーサーを含有する水性材料を該有機プリズム構造体上に塗布、乾燥して平滑面を作成後、400℃以上に加熱し、該有機材料をガスとして焼き飛ばし、該透明基板上に金属酸化物を含むプリズム構造体を該プリズム頂点が該透明基板に向く形で形成することを特徴とするプリズム構造体付き基板の作成方法。
<3> 透明基板と一対の電極間に発光層を含む一層以上の有機層とを有する有機電界発光素子の製造方法において、該透明基板が光の取り出し面側に設けられ、かつ、該透明基板が請求項2で作成されたプリズム構造体付き基板であって、該プリズム構造体が発光層側になるように設けることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
本発明によれば、光の全反射が抑制された高輝度な有機電界発光素子を提供することができる。
また、本発明によれば、光の全反射が抑制された高屈折率を有するプリズム構造体付き基板の製造方法、及びその方法により得られたプリズム構造体付き基板を有する光の全反射が抑制された高輝度の有機電界発光素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、透明基板と一対の電極間に発光層を含む一層以上の有機層とを有する有機電界発光素子において、該透明基板が光の取り出し面側に設けられ、かつ、該透明基板と光の取り出し面側の電極との間に金属酸化物を含むプリズム構造体を有し、該プリズム頂点が該透明基板側に向けて存在させたことを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子を前記構成とすることにより、発光素子内で発生した光の全反射を抑制することができ、高輝度な発光素子を得ることができる。
<金属酸化物を含むプリズム構造体>
本発明の有機電界発光素子は、透明基板と光の取り出し面側の電極との間に、金属酸化物を含むプリズム構造体(以下、単に「プリズム構造体」ともいう。)を有する。
本発明のプリズム構造体とは、上記プリズムを2以上の複数個有する構造体を言い、例えば、金属酸化物層の表面にV型の溝があるピッチで形成されているものである。前記溝が一方向、二方向、三方向、及び多方向に形成できるが、溝の方向を90度変えて二方向に形成されるピラミッド状、60度ずつ変えて三方向に形成される三角錐状の態様がある。本発明においては一方向、または90度変えた二方向(ピラミッド)が集光性及び製造の容易さの観点から好ましい。
プリズムとは、一般的には光学的平面を2つ以上持ち、少なくとも一組の面は近似的にも平行でない透明体を意味する。
プリズムは集光効果を持つので、光学部材に応用されている。その例としては、プラスチックフィルムの片面全面に、平行なV型溝を数十〜数百ミクロンピッチで多数形成したプリズムシートと呼ばれるものがあり、液晶表示装置においてバックライトを集光させるために用いられている。この場合、面がウェーブ状になったものや、プリズムラインの頂点が丸みを帯びたものも同じ目的で用いられている。本発明におけるプリズム構造体も、このような、面が曲面であるもの、頂点または谷部が丸みを帯びているものも含むものとする。
前記プリズム間のピッチは、輝度への影響は比較的小さいが、ピッチが小さいほど、コントラストが良化する傾向がある。実際にはプリズム構造体の、作成上の容易さの点から、0.1μmから50μmが好ましく、0.5μmから30μmがより好ましく、1μmから20μmが最も好ましい。
また、プリズムの頂角は、鋭角の方が輝度向上大きいが、コントラスト低下も大きくなる。逆に鈍角であるとコントラスト低下が小さくなるが、輝度向上度も小さくなる。従って、頂角としては、60度〜120度が好ましく、70度〜110度が更に好ましく、80度〜100度が特に好ましい。
該プリズム構造体は、金属酸化物を含有することが必要であるが、必要に応じて、その他の添加物を添加することができる。
本発明における金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられ、中でも、高屈折率の観点から、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムが好ましく、酸化チタンが特に好ましい。
該プリズム構造体中の該金属酸化物の含有量としては、全固形分量に対して80質量%以上であることが好ましく90質量%以上であることが更に好ましい。
金属酸化物は、単独で用いても2以上を併用してもよい。
本発明の有機電界発光素子は、TFT等の回路基板側から光を取り出すボトムエミッションにおいては、前記プリズム構造体の上に、通常の方法で発光素子を組み上げることにより有機電界発光素子を得ることができる。
また、TFT等の回路基板側と反対側から光を取り出すトップエミッションにおいては、別の基板上に発光素子を陰極までくみ上げた後に、前記透明基板のプリズム構造体が発光層側に向く形で貼りあわせることにより有機電界発光素子を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子における透明基板としては、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、又はプラスチックフイルムなどが挙げられる。また、有機電界発光素子としては蛍光発光する素子、燐光発光する素子のいずれでも良い。電界発光素子における、電極、有機層等の他の構成要素については、例えば、特開2004−221068号、特開2004−214178号、特開2004−146067号、特開2004−103577号、特開2003−323987号、特開2002−305083号、特開2001−172284号、特開2000−186094号等の各公報に記載のものが本発明においても同様に適用することができる。
本発明の有機電界発光素子は、透明基板上に金属酸化物を含むプリズム構造体を、該プリズム構造体のプリズム頂点が透明基板に向く形で設けるが、該プリズム構造体のプリズム頂点と反対側の面は、その上に素子を積み上げることから十分に平坦であることが好ましい。
該プリズムの頂点は、基板に接していても、離れていてもよいが、機械的強度の点で、前記透明基板に接することが好ましい。
該平坦化はプリズム構造体を形成する過程で平坦化しても良いし、また、形成後に研磨や加圧などの処理によって平坦化しても良い。更に、透明な平坦化層を追加して設けても良い。
該平坦化層としては、高屈折率材料をスパッタリング等で設けることができる。用いられる材料としては、酸化チタンが挙げられる。
本発明におけるプリズム構造体においては、プリズムと透明基板(例えば、ガラス基板)の間に空隙を形成するが、空隙には窒素やアルゴンなどの有機EL素子に悪影響を及ぼさないガスを含んでいても良い。
[プリズム構造体付き基板の製造方法]
本発明の前記プリズム構造体付き基板の製造方法は、透明基板(例えば、ガラス)上に有機材料からなるプリズム構造体(以下、「有機プリズム構造体」ともいう。)を形成後、金属酸化物ゾルまたはそのプレカーサーを含有する水性材料を該有機プリズム構造体上に塗布、乾燥して平滑面を作成後、400℃以上に加熱し、該有機材料をガスとして焼き飛ばし、透明基板上に金属酸化物を含むプリズム構造体を該プリズム頂点が透明基板に向く形で形成することを特徴とする。
上記のように透明基板上の鋳型となる有機プリズム構造体上に金属酸化物を含む水性材料を塗布、乾燥した後、該有機プリズム構造体を構成する有機材料を焼き飛ばすことにより、プリズム頂点が透明基板に向く形状の高屈折率のプリズム構造体を得ることができる。
ここで、プリズム構造体付き基板とは、透明基板上にプリズム頂点が透明基板側に向く形で形成されたプリズム構造体を有するものをいい、該プリズム構造体は前記金属酸化物を含有するプリズム構造体と同義であり、好ましい態様も同様である。
以下、プリズム構造体付き基板の製造方法について詳細に説明する。
(1)有機材料からなるプリズムパターンを有する有機プリズム構造体は、透明基板(例えば、ガラス)上に溶液状の有機材料を塗布後、プリズムパターンが形成された鋳型を押し当て、光または熱の作用によって硬化させた後、鋳型を取り除いて形成する。
該透明基板の材料としては前述の通りであるが、中でも、後述する耐熱温度の観点で、無アルカリガラス、石英ガラスが好ましい。
前記有機材料としては、光又は熱の作用により硬化するものであれば、特に限定されないが、中でも、UV光で硬化可能なエポキシ樹脂、アクリル樹脂、等の光硬化性樹脂が好ましい。
前記プリズムパターンが形成された鋳型とは、例えば、金属Niの表面をプリズム頂角、プリズム頂点間のピッチを目的とする値に適宜設定してダイヤモンドバイトで切り込むことにより、目的の頂角、ピッチを有する鋳型を得ることができる。また、この金属鋳型にシリコーンエラストマー等を流し込み、硬化後剥離して、パターンが転写されたシリコーン鋳型などでも良い。
前記樹脂によって形成された有機プリズム構造体は、表面が疎水的であるために、その表面を親水化処理しても良い。その親水化処理の例としては、低圧水銀灯やエキシマランプなどの紫外光を大気下で照射する方法(オゾン処理)などがある。
(2)次いで、得られた有機プリズム構造体上に、金属酸化物ゾルまたはそのプレカーサーを主成分とする水性材料を塗布し、乾燥して平滑面を作成する。続いて、400℃以上に加熱して、金属酸化物を含む透明なプリズム構造体が、プリズム頂点が透明基板(例えば、ガラス)に向く形で形成される。
前記水性材料は、前記金属酸化物を含む金属酸化物ゾルまたはそのプレカーサーを含有する。
該金属酸化物はゾル液を用いることができ、金属酸化物ゾル液の例としては、酸化ケイ素ゾル、酸化チタンゾル、酸化ニオブゾル、酸化セリウムゾル、酸化スズゾル、酸化スズ・アンチモンゾル、酸化イットリウムゾル、酸化ジルコニウムゾルなどのゾル液が挙げられ、中でも、高屈折率の観点から、酸化チタンゾル、酸化ニオブゾル、酸化ジルコニウムゾルが好ましく、酸化チタンゾルが特に好ましい。
前記金属酸化物ゾル液は、金属アルコキシドまたはその加水分解物を用い、ゾルゲル反応によって膜中で金属酸化物ゾルを形成させても良い。
また、前記水性材料を塗布、乾燥して得られる膜の厚さを制御するためにバインダーを添加することが好ましい。
該バインダーとしては、ポリエチレングリコール、PVA、ゼラチンなどの水素結合性基を含む水溶性有機系ポリマーバインダー、又は、水ガラスや、重リン酸金属塩などの無機バインダーを挙げることができるが、中でも、乾燥時に膜を割れにくくするために、PVA等の有機系バインダーを添加することが好ましい。
該バインダーの添加量としては、金属酸化物に対して、5〜50質量%が好ましく、20〜30質量%が更に好ましい。
バインダーは単独でも用いても複数併用してもよい。
前記金属酸化物ゾル液には、塗布性を改良するため界面活性剤を添加することができる。
添加できる界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、ノニオン型、アニオン型が好ましい。
前記金属酸化物ゾル又はそのプレカーサーを含む水性材料を塗布、乾燥後、加熱処理すると、有機成分がガスとなって焼き飛ばされると同時に、金属酸化物の粒子表面に含まれるM−OH(Mは金属)基同士が脱水縮合し、粒子が融合した強固な連続構造体を得る。こうして金属酸化物を含むプリズム構造体を形成できるが、粒子表面にOH基が残っていると、これを用いた有機EL素子を保存している最中に、徐々にH2Oを放出し、有機EL素子に悪影響を及ぼす可能性がある。これを防止するため、加熱温度は400℃以上が好ましく、600℃以上であると更に好ましい。また、加熱温度の上限は、用いる透明基板の耐熱温度以下にすれば良い。
本発明の前記作成方法により得られたプリズム構造体付き基板は、特に限定されず、集光効果が意味のあるのいずれの用途にも用いることができるが、中でも、発光素子に用いることが好ましく、特に、蛍光発光素子、燐光発光素子等を含む有機電界発光素子中で用いることが好ましい。
[有機電界発光素子の製造方法]
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、透明基板と一対の電極間に発光層を含む一層以上の有機層とを有し、該透明基板が光の取り出し面側に設けられ、かつ、該透明基板が前記プリズム構造体付き基板であり、該プリズム構造体が発光層側になるように設けることを特徴とする。
上記方法により得られる有機電界発光素子は、光の全反射が抑制された高屈折率を有するプリズム構造体付き基板を用い、該プリズム構造体を発光層側に設けることにより、発光層から発生する光を全反射させることなく、効率良く集光できることにより高輝度を達成することができる。
本発明の有機電界発光素子の製造方法において用いられる、プリズム構造体付き基板、透明基板、電極、発光層、及び有機層等については前記有機電界発光素子、及びプリズム構造体付き基板の製造方法の項において用いられるものと同義であり、好ましい例も同様である。
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
<有機EL素子の作成>
(シリコーン製プリズムパターン構造体の作成)
Niの表面をダイヤモンドバイトで切り込むことにより、頂角90度、ピッチ10μmのプリズムパターンを有する鋳型を形成した。この上に、シリコーンエラストマーを流し込み、硬化させた後、鋳型よりはずして、シリコーン製プリズムパターン構造体を作成した。
(有機プリズム構造体の作成)
厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板に、UV硬化型エポキシ樹脂OG125(エポキシテクノロジー社製)を16g/m2(12ml/m2)の量で塗布した。この上に上記のシリコーン製プリズムパターン構造体を押し当て、ガラス基板側からUV光(365nm)を1分間照射して樹脂を硬化させた。次いで、シリコーン製パターン構造体を取り除き、ガラス上に微小プリズムのパターンを形成した。これに大気下でエキシマランプ(172nm)を10分間照射し、表面を親水化させて、有機プリズム構造体を得た。
(金属酸化物を含むプリズム構造体の作成)
タイノックA−6(多木化学社製、酸化チタンゾル)に、PVA102(クラレ社製、酸化チタンの30質量%の量)水溶液、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ(塗布液の0.05%量)を混合し、水性材料を得た。
この水性材料を上記の微小プリズム(有機プリズム構造体)上にアプリケーターを用いて塗布(酸化チタンとして、20g/m2の量)し、室温で乾燥させた。この塗布物を電気炉を用い、600℃で1時間加熱処理した。
この加熱処理によって前記有機材料中のエポキシ樹脂、およびPVAは消失し、プリズム構造体のプリズム頂点がガラス基板側に向き、反対側が平滑な面である酸化チタン製のプリズム構造体がガラス基板上に形成された。
このプリズム構造体の屈折率は可視部全域に渡って、1.8以上であった。
(有機ELの作成)
上記プリズム構造体の平滑面上に直流電源を用い、スパッタ法にてインジウム錫酸化物(ITO、インジウム/錫=95/5モル比)の陽極を形成した(厚み0.15μm)。この陽極の表面抵抗は10Ω/□であった。
上記陽極上に、有機化合物層を設置した。
正孔注入層として、銅フタロシアニンを真空蒸着法にて、0.01μm厚で設けた。
次に、正孔輸送層として、α―NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル−ベンジジン)を真空蒸着法にて、0.06μm厚で設けた。
引続き、発光層の主成分(ホスト材料)としてCBPを、副成分(ドーパント)の燐光性有機金属錯体としてイリジウム錯体(Ir(ppy)3)を、2元同時蒸着法により成膜を行った。イリジウム錯体(Ir(ppy)3)はホストに対して5質量%含有されるように蒸着速度を制御し、膜厚0.03μmの発光層を正孔輸送層の上に積層した。
さらに、正孔阻止層としてBAlq2を、0.01μmの膜厚で積層した。
Figure 2006066264
次いで、正孔阻止層の上に、電子輸送層としてAlq3を前記と同様にして蒸着した。膜厚は0.035μmとした。
Figure 2006066264
この有機化合物層の上にパターニングしたマスクを設置し、蒸着装置内でマグネシウム:銀=10:1(モル比)を0.25μm厚で蒸着し、さらに銀を0.3μm蒸着して陰極を設けた。
陽極、陰極よりそれぞれアルミニウムのリ−ド線を出して有機EL素子を作成した。
尚、別途CBPとIr(ppy)3からなる発光層のみからなる薄膜の屈折率をエリプソメトリー法で測定したところ、発光波長(510nm)で1.8であった。
(比較例1)
<有機EL素子の作成>
厚さ70μmのガラス(第一の基材)に、UV硬化型エポキシ樹脂OG125(硬化後の屈折率は1.46)を16g/m2(12ml/m2)の量で塗布した。この上に、実施例1で作成したシリコーン製プリズムパターンを押し当て、ガラス基板側からUV光(365nm)を1分間照射して樹脂を硬化させた。次いで、シリコーン製パターンを取り除き、厚さ70μmのガラス上にプリズムが形成された。
これを厚さ0.7mmのガラス基板(第二の基材)に、プリズム面が第二の基材に向く形で貼りあわせた。
この貼りあわせ基板の、第一の基材側に、実施例1の方法と同様にして、陽極、有機層、陰極を形成し、有機EL素子を作成した。
(比較例2)
<有機EL素子の作成>
プリズム構造体を形成しないガラス基板を用いる以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作成した。
<評価>
実施例、比較例で得られた素子に直流電圧12Vを印加し、発光させた。比較例2の素子の輝度を1として、該素子に対する各素子の輝度を輝度向上度として算出し、下記表1に示した。
Figure 2006066264
上記表1から明らかな通り、実施例1の金属酸化物のプリズム構造体を用いた場合の輝度向上度は、有機材料のプリズム構造体を用いた場合及びプリズム構造体を用いない場合のいずれの場合の比較例より輝度向上度が良好であることが分かる。

Claims (3)

  1. 透明基板と一対の電極間に発光層を含む一層以上の有機層とを有する有機電界発光素子において、該透明基板が光の取り出し面側に設けられ、かつ、該透明基板と光の取り出し面側の電極との間に金属酸化物を含むプリズム構造体を有し、該プリズム頂点が該透明基板側に向けて存在させたことを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 透明基板上に有機材料からなる有機プリズム構造体を形成後、金属酸化物ゾルまたはそのプレカーサーを含有する水性材料を該有機プリズム構造体上に塗布、乾燥して平滑面を作成後、400℃以上に加熱し、該有機材料をガスとして焼き飛ばし、該透明基板上に金属酸化物を含むプリズム構造体を該プリズム頂点が該透明基板に向く形で形成することを特徴とするプリズム構造体付き基板の作成方法。
  3. 透明基板と一対の電極間に発光層を含む一層以上の有機層とを有する有機電界発光素子の製造方法において、該透明基板が光の取り出し面側に設けられ、かつ、該透明基板が請求項2で作成されたプリズム構造体付き基板であって、該プリズム構造体が発光層側になるように設けることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
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