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JP2005339597A - 情報信号の再生クロック生成回路およびそれを用いた情報記録再生装置 - Google Patents

情報信号の再生クロック生成回路およびそれを用いた情報記録再生装置 Download PDF

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JP2005339597A
JP2005339597A JP2004153069A JP2004153069A JP2005339597A JP 2005339597 A JP2005339597 A JP 2005339597A JP 2004153069 A JP2004153069 A JP 2004153069A JP 2004153069 A JP2004153069 A JP 2004153069A JP 2005339597 A JP2005339597 A JP 2005339597A
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transversal filter
coefficient
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Hisatoshi Baba
久年 馬場
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Canon Inc
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Abstract

【課題】 安定、且つ高速にPLLを引き込むことが可能な再生クロック生成回路の提供。
【解決手段】 トランスバーサルフィルタの出力と再生クロックとの初期位相誤差を検出し、その初期位相誤差に応じてFIRの係数を変更し、初期位相誤差を打ち消す位相シフトを与え、瞬時に位相誤差をゼロ近傍にもっていくように構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、情報媒体に記録されたデジタルデータを再生する方法に関し、特にデータを再生するに際し、再生信号の同期をとるための再生信号処理に関するものである。
従来、光ディスク装置等のデータ記録再生装置では、図10の構成で情報信号を再生している。図10において、1は情報担体であるところの光ディスク。2は光ディスクを一定速度で回転させるスピンドルモータ。3は光ディスク1にビームを照射し、反射光を受光し、光電変換を行い、光ディスク1上の情報トラックから情報を再生信号として出力するピックアップ。4はピックアップ3の出力を増幅するアンプ。5はアンプ4の出力をデジタル値に変換するA/Dコンバータ。6はA/Dコンバータ5で変換されたデジタル再生信号が入力され、VCO9の出力であるところの再生クロックが供給され、デジタル再生信号と再生クロックとの位相差を検出する位相誤差検出器。7Aおよび7Bは位相誤差検出器の出力であるところの位相誤差が入力されるループフィルタであり、A/Dコンバータ5、位相誤差検出器6、ループフィルタ7Aおよび7B、D/Aコンバータ8、VCO9で構成されるPLLループのループ特性の安定化、不要な高域成分のカット等を行う。13はループフィルタ7Aと7Bを選択するスイッチ、8はスイッチの出力をアナログ電圧に変換するD/Aコンバータ。9はD/Aコンバータの出力により発振周波数が変化する電圧制御発振器いわゆるVCOである。10はA/Dコンバータ5においてデジタル化されたデジタル再生信号を処理し2値化信号として出力するデータセパレータ。通常光ディスク1に記録されているデータはディスクの特性に適した変調がなされており、たとえば1−7変調といった変調データが記録されている。11はこの17変調を復調する復調器。12は復調されたデータの誤りを訂正するリードソロモン符号をデコードするECC(エラーコレクションコード)ブロックである。
この図10に示すPLLの例は特開平6−76486公報の概念を示している。この公報では、PLL開始時と定常状態時とで、PLLの時定数を変更する構成が説明されている。図10において、スイッチ13によりループフィルタ7A側が選択されたときにPLL総合のループ特性の時定数が小さく高速応答特性をもつPLLとなる。また、スイッチ13によりループフィルタ7Bが選択されたときにはPLL総合のループ特性の時定数が大きく安定性の高いPLLとなる。
通常光ディスク装置では、再生しようとするデータ領域にピックアップを移動させ(シーク動作)再生しようとするデータの頭だしを行い、この先頭データの最初の部分(プリアンブル)でPLL動作を開始し、PLLがロックした後にデータ再生が可能になる。また、多くの光ディスク装置ではデータの記録再生単位としてセクターという概念があり、このセクターの最初の部分でPLL動作を開始し、PLLがロックした後にデータ再生を行っている。このためPLL動作開始してから速やかにロックすることのできるPLLが必要とされている。一方、ディスク面に付着したごみ、傷等の影響で、再生信号が乱される場合が多々存在する。この再生信号の乱れはPLLにとっても外乱となり、これら外乱によって動作が乱されない特性もPLLに要求されている。このため、特開平6−76486公報ではセクターの最初の部分のPLL引き込み時には応答の早い時定数の小さなPLLを構成し、ロックした後に安定性の高い時定数の大きなPLLで構成している。
特開平06−76486号公報
しかしながら、この構成では、ループフィルタ7Aからループフィルタ7Bへの切り換え直前にディスク表面のごみ、媒体上の欠陥による再生信号のノイズが発生すると、応答の速さゆえにPLLが大きく振られ、大きな位相誤差をもったまま応答の遅いPLLに遷移する場合があった。この場合応答の遅いPLLにより位相誤差が引き込まれるまでの間バーストエラーが発生する。
また、応答の速いPLLを構成するためには広帯域のループ特性が必要であり、このためにPLL引き込み領域であるプリアンブル部は位相誤差のサンプル点が多く必要である。このため通常プリアンブル部は変調方式で最短マーク、あるいはそれに近い短めのマークを用いる。1−7変調であれば、2Tあるいは3Tが選択される。
また、プリアンブルで所望の周波数にPLLを高速に引き込むために、プリアンブルは一定の周期をもつマークで構成する。例えば1−7変調であれば3Tの繰り返しパターンが用いられる。
これらの制約のため、プリアンブルのパターンが限られ、データセパレータとしてPRML方式を用い、特に多値レベルをもつPR1221等の方式を採用した場合には、この3T連続では発生し得ないレベルがあり、適応等化フィルタの係数決定等に支障をきたす。
また、安定に確実に引き込みを行うためにプリアンブルを長くとると、ユーザーデータとして使用できない領域が増えるために容量的に不利となる。
本出願に係る第1の発明の目的は記録媒体からの再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する再生クロック生成回路において、一定周期パターンではない短いプリアンブル部にて、媒体の傷等の影響を受けず、安定に高速にPLLを引き込むことが可能な再生クロック生成回路を提供することにある。
また、本出願に係る第2の発明の目的はPLLのループ利得、媒体のばらつき等によらずに安定に高速にPLLを引き込むことが可能な再生クロック生成回路を提供することにある。
また、本出願に係る第3の発明の目的は、間違った周波数に引き込むことのなく、安定に高速にPLLを引き込むことが可能な再生クロック生成回路を用いた情報記録再生装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、
記録媒体からの再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、
前記再生信号を通過させる前記再生クロックで動作するトランスバーサルフィルタと、前記トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロック信号との位相差を検出する位相誤差検出器と、前記位相誤差検出器の帯域制限を行うループフィルタと、前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロックとの初期位相誤差を検出する初期位相誤差検出器と、前記ループフィルタ出力により電圧制御発振器を制御する制御手段をもち、位相同期化開始時に初期位相誤差検出を行い、初期位相誤差検出値に応じて前記トランスバーサルフィルタの係数を変更することを特徴とする。
上記構成において、トランスバーサルフィルタと位相誤差検出器とループフィルタと電圧制御発振器はフェーズロックドループ(PLL)の構成をなし、PLL開始時には初期位相検出器により開始時の位相誤差を検出し、この開始時の位相誤差に応じてトランスバーサルフィルタの係数を変更し、トランスバーサルフィルタ出力信号の位相をシフトさせ、再生クロックとの位相差を瞬時に小さくすることでPLL引き込み時間を短縮することができる。
また、上記目的を達成するため、本出願に係る第2の発明は、記録媒体からの再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、前記再生信号を通過させる前記再生クロックで動作する適応型トランスバーサルフィルタと、前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロック信号との位相差を検出する位相誤差検出器と、前記位相誤差検出器の帯域制限を行うループフィルタと、前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記ループフィルタ出力により電圧制御発振器を制御する制御手段をもち、前記適応型トランスバーサルフィルタのタップ係数が対称であることを特徴とする上記構成において、適応型トランスバーサルフィルタと位相誤差検出器とループフィルタと電圧制御発振器はフェーズロックドループ(PLL)の構成をなし、適応等化係数を対称形にすることで、適応型トランスバーサルフィルタにおいて信号の位相シフトが発生せず、適応型トランスバーサルフィルタの後段で位相誤差検出が可能になり、再生信号にばらつきが生じても安定なPLL動作が可能になる。
また、上記目的を達成するため、本出願に係る第3の発明は、位相シフト用トランスバーサルフィルタと、前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロックとの初期位相誤差を検出する初期位相検出器とをもち、位相同期化開始時に初期位相誤差検出を行い、初期位相誤差検出値に応じて前記位相シフト用トランスバーサルフィルタの係数を変更することを特徴とする。
上記構成において、適応型トランスバーサルフィルタに加えて位相シフトを行う位相シフト用トランスバーサルフィルタを設けることで、PLL開始時には初期位相検出器により開始時の位相誤差を検出し、この開始時の位相誤差に応じて位相シフト用トランスバーサルフィルタの係数を変更し、トランスバーサルフィルタ出力信号の位相をシフトさせ、再生クロックとの位相差を瞬時に小さくすることでPLL引き込み時間を短縮することができる。また、適応型トランスバーサルフィルタの後段で位相誤差検出が可能になり、再生信号にばらつきが生じても安定なPLL動作が可能になる。
また、上記目的を達成するため、本出願に係る第4の発明は、記録媒体からの再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、前記再生信号を通過させる前記再生クロックで動作する適応型トランスバーサルフィルタと、前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロック信号との位相差を検出する位相誤差検出器と、前記位相誤差検出器の帯域制限を行うループフィルタと、前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロックとの初期位相誤差を検出する初期位相検出器と前記ループフィルタ出力により電圧制御発振器を制御する制御手段をもち、位相同期化開始時には初期位相誤差検出を行い、前記トランスバーサルフィルタの係数は適応等化動作による対称形の係数を初期位相誤差検出値に応じたシフト量で補間生成することを特徴とする。
上記構成において、適応型トランスバーサルフィルタを再生信号の波形整形だけでなく、位相シフトに利用し、かつ、適応動作のためのタップ係数の対称性を維持しながら、位相シフト分を反映した形で適応型トランスバーサルフィルタの係数を設定することで、PLL開始時には初期位相検出器により開始時の位相誤差を検出し、この開始時の位相誤差に応じ適応型トランスバーサルフィルタの係数を変更し、適応型トランスバーサルフィルタ出力信号の位相をシフトさせ、再生クロックとの位相差を瞬時に小さくすることでPLL引き込み時間を短縮することができる。また、適応型トランスバーサルフィルタの後段で位相誤差検出が可能になり、再生信号にばらつきが生じても安定なPLL動作が可能になる。
また、上記目的を達成するため、本出願に係る第5の発明は、前記トランスバーサルフィルタは偶数タップで、初期位相誤差検出時にはタップ係数が対称形であることを特徴とする。
上記構成において、初期位相の符号によらず隣接するタップ係数の簡単な演算を行うことでトランスバーサルフィルタによる位相シフト量をゼロを中心とした±0.5クロック範囲で動かすことができる。
以上説明したように、本発明によれば、プリアンブルにおけるPLL開始時の初期位相を検出し、初期位相にてトランスバーサルフィルタの係数を変更し再生信号の位相をシフトすることで、高速にPLLを引き込むことが可能となる。また、PLLの帯域を必要以上に広くする必要がないので、傷、欠陥による悪影響を受けず、安定に高速引き込みが可能となる。また、プリアンブルにおいて周波数引き込みが不要となるため、一定周期パターン以外のプリアンブルパターンを用いた場合でも高速に引き込みが可能となる。このため、プリアンブルパターンを短くすることができ、フォーマット効率の高い媒体・装置を提供することができる。
また、適応等化後の信号から位相誤差を検出できるので、位相誤差品位が良く、PLLの精度があがる。
(第1の実施例)
図1に本発明を適用した第1の実施例のブロック図を示す。従来例である図10と同等のブロックには同じ番号を付している。
14はFIRフィルタでトランスバーサルフィルタとなっており、各タップの係数調整が可能となっている。
21は加算器でループフィルタ7とループフィルタ27の出力を加算する。22は初期位相誤差検出器でFIR14とVCO9の出力であるところの再生クロックとの位相差、特にPLL開始時の初期位相誤差を検出し、FIR14に伝える。
25はA/Dコンバータで、ピックアップ3により検出されたプッシュプル信号をデジタル値に変換するものである。25はウォブル位相・周波数誤差検出器であり、プッシュプル信号に含まれるウォブル信号とVCO9の出力であるところの再生クロックとの位相差、および周波数誤差を検出、出力する。27はこのウォブルによるVCO制御系のループフィルタで、帯域の制限、ループの安定化を行う。
図5はFIR14の詳細ブロック図である。101、102は図示せぬ再生クロックで動作する1クロック遅延器でいわゆるクロック同期のレジスタである。103、104,105はデジタル乗算器で入力された再生信号および101,102で遅延された信号に係数を乗算する。いわゆるタップ係数を乗算する乗算器である。タップ係数は係数設定器107により設定される。106は加算器で乗算器103,104,105の出力を総和する。この実施例では3タップのFIRで構成している。このFIRのタップ係数設定を103,104,105の各乗算器の順の係数で表現する。例えば初期の係数設定は(0:1:0)である。103の係数は0、104の係数は1、105の係数は0という意味である。係数設定器は入力される初期位相誤差により各乗算器に設定するタップ係数を変化させる。初期位相誤差がゼロの場合はタップ係数は(0:1:0)と設定する。例えば、初期位相誤差が0.1(位相誤差で+36度/360度、再生信号の方がクロックより36度すすんでいる)の場合にはタップ係数は(0:0、9:0、1)と設定し再生信号の位相を36度遅延方向にシフトして出力する。逆に初期位相誤差が−0.1の場合タップ係数は(0,1:0,9:0)。たとえば初期位相誤差が−0.25(位相誤差で90度遅れ)の場合はタップ係数(0.25:0.75:0)に設定され、出力信号を90度分進めることができる。係数設定器107に入力される初期位相誤差を1クロックあたり1と換算した入力をxとし、各乗算器に設定されるタップ係数をy1、y2、y3とすると
x>=0とき、
y1=0
y2=(1−|x|)
y3=x
x<0のとき、
y1=x
y2=(1−|x|)
y3=0
とする。
図2は本発明を実施した情報記録再生装置に用いる媒体のフォーマットの模式図である。本実施例の装置のデータ再生クロックは30MHzでデータ密度は0.15μm/bitである。媒体の線速度は3m/sとなる。図2aはプリアンブルとデータ領域の構成を示しており、プリアンブル部は600クロックの固定パターンおよびシンクパターンで構成されており、シンクパターンはプリアンブル部の最後の方に配置されている。固定パターンは4T−4T−2T−2T−3T−3Tすなわち000011110011000111の繰り返し連続である。この媒体のトラックを構成する溝はわずかな振幅で周期的に蛇行している。このウォブルトラックを図2bに示す。このウォブルトラックはFM変調、その他周知の方法でアドレス情報を持ち、媒体上のトラック位置を特定できるようになっている。a´、b´はプリアンブルの部分を拡大した模式図で、1ウォブル周期は60クロックとなっており、プリアンブル部は10ウォブルの長さに相当する。プリアンブル部の最後の方にデータ開始クロックのタイミングを得るためのシンクマークが配置されている。
データの記録時はこのウォブル信号に同期した再生クロックをクロックとして図2に示されるフォーマットでプリアンブル部とデータ部が記録される。このプリアンブルとデータ部の組で1セクタを構成しており、2KBのユーザーデータに相当する。実際に変調記録されるデータは1−7変調され、再同期のためのリシンクマーク、ECCのパリティデータが付加され、合計すると30000クロックとなる。通常1つのアドレスを表すためのウォブル数は数100ウォブル必要であるが、ウォブル一つ一つをカウントすることにより、アドレス以下の位置分解能をもたせ、本実施例のような2KBといった数10ウォブル単位の位置特定は可能である。もちろん本実施例のセクタ容量を32KBあるいは64KBといった単位にすることで、セクタをウォブルアドレスと一対一にすることも可能である。
上位装置から再生コマンドがくると、装置のコントローラが、指定のセクタのデータを再生できるようにアクセス動作を行う。指定のセクタの少し手前にアクセスし、まず、ウォブルに再生クロックを同期させるウォブルPLL動作を行う。
これらPLL系のループフィルタ7、引き込み駆動24、ループフィルタ27の出力は初期化されており、簡単のためにゼロが出力されていることとする。VCOは内部の周波数制御回路あるいはフリーラン周波数で発振しており、その周波数はデータクロック数に近い周波数である。指定セクタの少し手前に到達すると、図示せぬタイミングコントローラがループフィルタ27を能動化する。(図3のc ハイアクティブ)これによりディスクのウォブルに同期した再生クロックを得ることができる。図3のcのハイの期間はウォブルPLLが十分引き込める時間をとってある。ウォブルのアドレス情報により指定セクタに到達することを検出して、図示せぬタイミングコントローラはPLLの主体をウォブル信号から再生信号に移す。図3のcをLにすることで、ループフィルタ27の出力はホールドされ、図3のdをHにすることでループフィルタ7が能動化される。同時に図4のeをHにすることで初期位相誤差検出器22が初期位相の測定を行う。(図4の例では2μsの間H)位相誤差信号には大きなノイズが含まれるので、初期位相誤差検出器では、図4のeがHの期間の位相誤差を平均化することにより正確な位相誤差を検出する。図4のfが位相誤差を示しており、初期位相誤差検出器22は図4のeの立下り時点で初期位相誤差の平均値、図4の例であれば70度進みという初期位相誤差を検出する。70度の初期位相誤差は1クロック換算にすると70/360=0.194の位相誤差になる。FIR14の内部の係数設定器では0.194の初期位相誤差に応じて、各タップ係数を(0:0.806:0.194)と設定する。
FIR14のタップ係数が(0:0.806:0.194)と設定することによりFIR14から出力される信号は位相が70度遅れた信号になり、瞬間的に位相誤差をゼロに近づけることができる。(図4におけるタップ係数設定の矢印のタイミング)その後はPLLにより位相誤差がゼロ近傍に制御される。
上述実施例では、ウォブルPLLをかけた後、ウォブルPLLの出力をホールドと同時に再生信号系PLLループオンとし、その直後の初期位相を検出して、FIRのタップ係数を変更している。あるいは、ウォブルPLLをかけ、プリアンブル部の最初のタイミング(図4のeのタイミング)で初期位相誤差を検出し(この間ウォブルPLL中)その後タップ係数を変更。ウォブルPLLの出力ホールドと再生信号系PLLループオンというシーケンスをとってもよい。
初期位相誤差に応じてトランスバーサルフィルタに適切な係数を与えることにより、短時間でPLL引き込みが可能になる。
(第2の実施例)
図6は本発明を適用した第2の実施例の構成を示すブロック図である。第1の実施例のFIR14を等化フィルタ15に置き換えている。等化フィルタ15の詳細ブロック図を図7に示す。
図7において、等化フィルタ15は2つの部分にわけられる15aは第1の実施例でのFIR14と同等であり、説明は省略する。
15bは、5タップのFIR型適応フィルタで構成され、再生信号x(n)は、4個の遅延器(111,112,113,114)と、5個の係数乗算器(115,116,117,118,119)をもち、乗算器出力の総和(125)がフィルタ出力y(n)である。
簡単のためにまず係数対称化回路127の動作を無視した適応動作について説明する。
誤差信号生成回路は、理想波形とフィルタ出力との差を演算し、所定係数をかけ係数更新回路に出力する。
理想波形は、あらかじめわかっているテストパターンを再生する場合は、その理想波形と、再生時に判断する場合は、後段のビタビ復号等のデータセパレータの結果から、その理想波形と比較する。
係数更新回路(120,121,122,123,124)は、誤差信号生成回路(126)の出力信号と、各係数乗算回路の入力信号とを乗算し、現在の係数に加算し、次回の係数とする。
このような動作を続けるうちに、係数が最適化され、誤差が0に近づいていき適応動作は収束していく。
次に係数対称化回路127について説明する。
係数対称化回路127では各タップ係数を(0.1:0.2:0.4:0.2:0.1)といった形に左右対称とする機能をもつ。
各係数更新回路の出力をj1、j2、j3、j4、j5として
各係数対称化回路の出力をk1、k2、k3、k4、k5としたとき
k1=k5=(j1+j5)/2
k2=k4=(j2+j4)/2
k3=j3
という処理を行う。
上位装置から再生コマンドがくると、装置のコントローラが、指定のセクタのデータを再生できるようにアクセス動作を行う。指定のセクタの少し手前にアクセスし、まず、ウォブルに再生クロックを同期させるウォブルPLL動作を行う。
これらPLL系のループフィルタ7、引き込み駆動24、ループフィルタ27の出力は初期化されており、簡単のためにゼロが出力されていることとする。VCOは内部の周波数制御回路あるいはフリーラン周波数で発振しており、その周波数はデータクロック数に近い周波数である。指定セクタの少し手前に到達すると、図示せぬタイミングコントローラがループフィルタ27を能動化する。(図3のc ハイアクティブ)これによりディスクのウォブルに同期した再生クロックを得ることができる。図3のcのハイの期間はウォブルPLLが十分引き込める時間をとってある。ウォブルのアドレス情報により指定セクタに到達することを検出して、図示せぬタイミングコントローラはPLLの主体をウォブル信号から再生信号に移す。図3のcをLにすることで、ループフィルタ27の出力はホールドされ、図3のdをHにすることでループフィルタ7が能動化される。同時に図4のeをHにすることで初期位相誤差検出器22が初期位相の測定を行う。(図4の例では2μsの間H)位相誤差信号には大きなノイズが含まれるので、初期位相誤差検出器では、図4のeがHの期間の位相誤差を平均化することにより正確な位相誤差を検出する。図4のfが位相誤差を示しており、初期位相誤差検出器22は図4のeの立下り時点で初期位相誤差の平均値、図4の例でいけば70度進みという初期位相誤差を検出する。70度の初期位相誤差は1クロック換算にすると70/360=0.194の位相誤差になる。等化フィルタ15内の15aの内部の係数設定器では0.194の初期位相誤差に応じて、各タップ係数を(0:0.806:0.194)と設定する。
FIR14のタップ係数が(0:0.806:0.194)と設定することによりFIR14から出力される信号は位相が70度遅れた信号になり、瞬間的に位相誤差をゼロに近づけることができる。(図4におけるタップ係数設定の矢印のタイミング)その後はPLLにより位相誤差がゼロ近傍に制御される。
その後、位相誤差信号をモニタすることで完全にロックがかかったことが確認されると等化フィルタ15内の15bの適応動作が開始される。(図示しない制御信号により適応動作の動作/非動作モードを切り換えることができる)
係数対称化回路の処理により各タップ係数は必ず対称になるので、適応フィルタ15bを通過する信号に位相のシフトを与えることがない、よって適応フィルタ後の再生信号はトランスバーサルフィルタ15aの位相シフト分を常に保つことができる。これによりPLLループをONであっても、安定にPLLループをかけることができる。
このように適応等化を行うことで、15bの適応フィルタの位相の遅れ進みといった変化はなくなり、等化フィルタ15の出力信号を用いて位相誤差検出器6あるいは初期位相誤差検出器22において位相誤差を検出しても、正しい位相誤差を検出することが可能になり、さらにPLLを安定にかけることも可能になる。
(第3の実施例)
図8は本発明を適用した第3の実施例における等化フィルタ15の詳細ブロックである。装置全体のブロック図は図6と同じである。
再生信号は直接適応機能をもった等化フィルタ15に入り、適応フィルタの係数の変更のみにより適応動作と位相シフト動作を行う。
第2の実施例で説明した適応フィルタ動作、係数対称化回路動作については同等なので説明を省略する。
128は係数シフト回路で係数対称化回路の出力した係数に対して入力された初期位相誤差に応じた演算を行い各乗算器115〜119に係数を設定する。
初期位相誤差をx
各係数対称化回路の出力をk1、k2、k3、k4、k5として
各係数シフト回路の出力をm1、m2、m3、m4、m5としたとき
x>=0とき、
m1=(1−|x|)×k1+|x|×k2
m2=(1−|x|)×k2+|x|×k3
m3=(1−|x|)×k3+|x|×k4
m4=(1−|x|)×k4+|x|×k5
m5=(1−|x|)×k5
x<0のとき、
m1=(1−|x|)×k1
m2=(1−|x|)×k2+|x|×k1
m3=(1−|x|)×k3+|x|×k2
m4=(1−|x|)×k4+|x|×k3
m5=(1−|x|)×k5+|x|×k4
を出力する。
等化フィルタ15を上述の構成とすることで、第2の実施例で説明した動作と同等な動作を行うことができる。つまり、初期位相誤差に応じた位相シフト機能と等化フィルタの適応動作が一つの等化フィルタ15で実現できる。
本実施例の構成をとることで、等化フィルタ15を実現する回路を削減することができIC化したときのチップ面積の縮小、コストの削減、消費電力の削減に効果がある。また、第2の実施例にくらべて遅延素子の段数が少ないので等化フィルタ15の後段で位相誤差を検出する場合でも、検出遅れが少なく高速で精度の高いPLLを構成することができる。
(第4の実施例)
図9は本発明を適用した第4の実施例における等化フィルタ15の詳細ブロックである。装置全体のブロック図は図6と同じである。
第3の実施例と異なりタップ数が4つ、偶数となっている。本実施例の場合初期のデフォルト状態のタップ係数は左右対称。例えば各タップ係数は(0.1:0.4:0.4:0.1)といったものになる。
第2の実施例と同様に係数対称化回路127では各タップ係数を左右対称とする機能をもつ。
各係数更新回路の出力をj1、j2、j3、j4、として
各係数対称化回路の出力をk1、k2、k3、k4、としたとき
k1=k4=(j1+j4)/2
k2=k3=(j2+j3)/2
という処理を行う。
128は係数シフト回路で係数対称化回路の出力した係数に対して、入力された初期位相誤差に応じた演算を行い各乗算器115〜118に係数を設定する。
初期位相誤差をx
各係数対称化回路の出力をk1、k2、k3、k4として
各係数シフト回路の出力をm1、m2、m3、m4としたとき
xの符号によらずm1〜m4を決定することができて、
m1=(0.5−x)×k1+(0.5+x)×k2
m2=(0.5−x)×k2+(0.5+x)×k3
m3=(0.5−x)×k3+(0.5+x)×k4
m4=(0.5−x)×k4+(0.5+x)×k5
を出力する。
本実施例の構成をとることで、係数シフト回路の演算を初期位相誤差の符号に応じて切り換える必要がなくなり、演算回路が簡素化するのでIC化したときのチップ面積の縮小、コストの削減、消費電力の削減に効果がある。
本発明の第1の実施例に係る光ディスク再生信号処理系のブロック図。 本発明の実施例に係る光ディスクのフォーマット概念図。 本発明の実施例に係る光ディスクのフォーマット概念図。 本発明の第1の実施例に係るPLLの動作説明図。 本発明の第1の実施例に係るFIR14の詳細ブロック図。 本発明の第2の実施例に係る光ディスク再生信号処理系のブロック図。 本発明の第2の実施例に係る等化フィルタ15の詳細ブロック図。 本発明の第3の実施例に係る等化フィルタ15の詳細ブロック図。 本発明の第4の実施例に係る等化フィルタ15の詳細ブロック図。 従来の光ディスク再生信号処理系のブロック図。
符号の説明
1 光ディスク
2 スピンドルモータ
3 ピックアップ
4 アンプ
5 A/Dコンバータ
6 位相誤差検出器
7 ループフィルタ
8 D/Aコンバータ
9 VCO
10 データセパレータ
11 復調器
12 ECC
14 FIRフィルタ
15 等化フィルタ
21 加算器
22 初期位相誤差検出器
25 A/Dコンバータ
26 ウォブル位相・周波数誤差検出器
27 ループフィルタ
107 係数設定器
127 係数対称化回路
128 係数シフト回路

Claims (5)

  1. 記録媒体からの再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、
    前記再生信号を通過させる前記再生クロックで動作するトランスバーサルフィルタと、
    前記トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロック信号との位相差を検出する位相誤差検出器と、
    前記位相誤差検出器の帯域制限を行うループフィルタと、
    前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、
    前記トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロックとの初期位相誤差を検出する初期位相誤差検出器と、
    前記ループフィルタ出力により電圧制御発振器を制御する制御手段をもち、
    位相同期化開始時に初期位相誤差検出を行い、初期位相誤差検出値に応じて前記トランスバーサルフィルタの係数を変更することを特徴とする情報信号の再生クロック生成回路。
  2. 記録媒体からの再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、
    前記再生信号を通過させる前記再生クロックで動作する適応型トランスバーサルフィルタと、
    前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロック信号との位相差を検出する位相誤差検出器と、
    前記位相誤差検出器の帯域制限を行うループフィルタと、
    前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、
    前記ループフィルタ出力により電圧制御発振器を制御する制御手段をもち、
    前記適応型トランスバーサルフィルタのタップ係数が対称であることを特徴とする情報信号の再生クロック生成回路。
  3. 位相シフト用トランスバーサルフィルタと、
    前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロックとの初期位相誤差を検出する初期位相検出器とをもち、
    位相同期化開始時に初期位相誤差検出を行い、初期位相誤差検出値に応じて前記位相シフト用トランスバーサルフィルタの係数を変更することを特徴とする請求項2に記載の情報信号の再生クロック生成回路。
  4. 記録媒体からの再生信号に基づいて再生クロック信号を生成する回路において、
    前記再生信号を通過させる前記再生クロックで動作する適応型トランスバーサルフィルタと、
    前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロック信号との位相差を検出する位相誤差検出器と、
    前記位相誤差検出器の帯域制限を行うループフィルタと、
    前記再生クロック信号を生成する電圧制御発振器と、
    前記適応型トランスバーサルフィルタの出力と前記再生クロックとの初期位相誤差を検出する初期位相検出器と
    前記ループフィルタ出力により電圧制御発振器を制御する制御手段をもち、
    位相同期化開始時には初期位相誤差検出を行い、前記トランスバーサルフィルタの係数は適応等化動作による対称形の係数を初期位相誤差検出値に応じたシフト量で補間生成することを特徴とする情報信号の再生クロック生成回路。
  5. 前記トランスバーサルフィルタは偶数タップで、初期位相誤差検出時にはタップ係数が対称形であることを特徴とする請求項1、請求項3、請求項4の情報信号の再生クロック生成回路。
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