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JP2005218348A - 光学活性α−ヒドロキシアミドの製造方法 - Google Patents

光学活性α−ヒドロキシアミドの製造方法 Download PDF

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JP2005218348A JP2004029113A JP2004029113A JP2005218348A JP 2005218348 A JP2005218348 A JP 2005218348A JP 2004029113 A JP2004029113 A JP 2004029113A JP 2004029113 A JP2004029113 A JP 2004029113A JP 2005218348 A JP2005218348 A JP 2005218348A
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浩二 石原
Hiroaki Yamamoto
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Abstract

【課題】(R)−2−クロロマンデル酸アミドの製造において、光学純度の高い生成物を効率良く与えることができる製造方法を提供することを課題とする。また、NADPHを補酵素として、2−クロロベンゾイルホルムアミドを還元して、高い光学純度の(R)−2−クロロマンデル酸アミドを生成するα−ケトアミド還元酵素の新規な製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】サッカロマイセス・セレビジアエ中に存在する2−クロロベンゾイルホルムアミド還元活性を有する酵素のうち、立体選択性の高い酵素を精製し、その酵素科学的性質を明らかにした。精製酵素の内部アミノ酸配列の一部を解析することにより、本酵素がゲノム解析により報告されている予想オープンリーディングフレーム(ORF)YDL124wによりコードされている可能性を見いだした。YDL124wを大腸菌にクローニングし、発現させた結果、本ORFがα−ケトアミド還元酵素をコードすることを明らかにした。得られた形質転換株により、2−クロロベンゾイルホルムアミドより(R)−2−クロロマンデル酸アミドが生産できることを見いだした。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学活性アルコールを製造する方法に関する。より具体的には、還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、NADPHと略す)依存性のα−ケトアミド還元酵素を用いた、光学活性α−ヒドロキシアミド、特に、(R)−2−クロロマンデル酸アミドを製造する方法に関する。
ベンゼン環上にハロゲン置換を有しない(R)−マンデル酸アミドの製造方法としては、(R)−マンデル酸に塩化チオニルなどを作用させて、酸クロライドに変換した後、アンモニアと反応させる方法 (非特許文献1) 、(R)−マンデル酸をメチルエステルなどに変換した後に、アンモニアと反応させる方法 (非特許文献2) 、ラセミ体マンデル酸アミドからカラム分割により(R)−マンデル酸アミドを製造する方法 (非特許文献3) 、ベンゾイルホルムアミドをパン酵母により不斉還元し、(R)−マンデル酸アミドを製造する方法 (非特許文献4) などが知られている。しかしながら、(R)−マンデル酸を原料とした上記2つの方法を利用して、原料をベンゼン環上にハロゲン置換を有する(R)−マンデル酸に変えることが出来たとしても、その原料が高価であり、また、反応中に光学純度の低下が起こりうることから工業的な製造方法としては適さない。カラム分割を用いた(R)−マンデル酸アミドと同様な手法により、ベンゼン環上にハロゲン置換を有するラセミ体マンデル酸アミド誘導体からベンゼン環上にハロゲン置換を有する(R)−マンデル酸アミド誘導体を分離する方法も考えられるが、(S)体は不要となり収率は最大50%に留まるため、工業的な製造方法としては不利である。
Phytochemistry 34, 433-436 (1993) Agri. Biol. Chem. 53, 165-174 (1989) Chem. Ber. 116, 3611-3617 (1983) Aust. J. Chem. 29, 2459-2467 (1976)
本発明は、光学活性アルコール、より具体的には、NADPH依存性のα−ケトアミド還元酵素を用いた光学活性α−ヒドロキシアミド、特に、(R)−2−クロロマンデル酸アミドの製造において、光学純度の高い生成物を効率良く与えることができる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、更に効率的な(R)−2−クロロマンデル酸アミドの製造方法を開発するために、原料を理論的に100%目的物に変換可能な、ベンゾイルホルムアミドを不斉還元し(R)−マンデル酸アミドに変換する方法に直目した。本発明者らは、ベンゼン環上にハロゲン置換を有する(R)−マンデル酸アミド誘導体、特に、医薬品原料として有用な(R)−2−クロロマンデル酸アミドの製造方法に関し、鋭意検討を行った結果、パン酵母及びトロピノン還元酵素−Iを利用し、2−クロロベンゾイルホルムアミドを不斉還元することにより効率的に(R)−2−クロロマンデル酸アミドを製造できることを見いだし、報告している(特願 2002-234688)。
本発明では、まず、パン酵母(オリエンタル酵母製)を破砕し、得られた無細胞抽出液から2−クロロベンゾイルホルムアミドを不斉還元する酵素を電気泳動的に単一なバンドになるまで精製し、その諸性質を明らかにした。精製の過程において、クロマトグラフィーのフラクションによって還元反応により生成する(R)−2−クロロマンデル酸アミドの光学純度に差があることを見いだした。このことは、パン酵母中には立体選択性を異にするα−ケトアミド還元酵素が複数存在することを示している。光学純度の高い活性フラクションのみを回収し、精製することにより得られた精製酵素は、99%以上の(R)−2−クロロマンデル酸アミドを生成した。なお、特願 2002-234688に記載のパン酵母による不斉還元反応により生成した(R)−2−クロロマンデル酸アミドの光学純度は95.3%であった。
本精製酵素は、全く意外なことに、各種のα−ケトアミドを(R)体選択的に不斉還元するだけではなく、種々のα−ケトエステルを不斉還元し、極めて高い光学純度の(R)−α−ヒドロキシエステル類を生成することが見出された。
本酵素の分子量(ゲル濾過により約33,000、ドデシル硫酸ナトリウム−ゲル電気泳動(SDS−PAGE)で約36,000)、基質特異性(各種α−ケトエステルに作用し、(R)−α−ヒドロキシエステルを生成する)などから、本酵素は、中村らによりパン酵母におけるα−ケトエステル還元酵素としてとして報告されている YKER-IV (ゲル濾過による分子量が31,000、SDS−PAGEで39,000) と同一のタンパク質である可能性があるが(Kaoru Nakamura, Shin-ichi Kondo, Yasushi Kawai, Nobuyoshi Nakajima, and Atsuyoshi Ohno, Biosci. Biotech. Biochem. 58, 2236-2240 (1994))、パン酵母においては、α−ケトエステルを還元する酵素として、YKER-I, II, III, IV, V, VI, VIIの少なくとも7種類が中村らの文献に報告されており、これらのα−ケトエステル還元酵素がα−ケトアミド還元活性を有するか否か、まして、これら7種のα−ケトエステル還元酵素の内、どの酵素がα−ケトアミド還元活性を有するか、いかなる立体選択性を有するか、はこれまでに知られておらず、本発明の酵素が、α−ケトアミド還元活性とα−ケトエステル還元酵素活性を併せ持つことは非常に驚くべき結果であった。また、YKER-IVは、恐らくN末端アミノ酸がブロックされていたために、アミノ酸配列が報告されておらず、本発明の酵素とYKER-IVが同一か否かを完全に明らかにすることは現状では不可能である。
本酵素をコードする遺伝子をクローニングするために、得られた精製酵素のN末端アミノ酸配列の解析を行ったが、恐らくN末端がブロックされているために、アミノ酸配列を決定することはできなかった。
そこで本発明者らは、精製酵素をSDS−PAGEに供し、本酵素を含むゲル断片を切り出し、ゲル中においてトリプシン処理を行うことにより本酵素を断片化し、更に、逆相クロマトグラフィーにより生成した断片を分離し、得られたペプチド断片のアミノ酸配列を解析することにより、精製酵素の内部配列を決定することができた。
得られたアミノ酸配列を公開されているサッカロマイセス・セレビジアエのゲノム配列などを対象に相同性検索した結果、YDL124wとして報告されている機能未知の予想オープンリーディングフレームから予想されるアミノ酸配列の一部と完全に一致した。
さらに、このYDL124wがα−ケトアミド還元酵素をコードする遺伝子かどうかを確認するために、YDL124wの塩基配列を元にYDL124wのORFのみを増幅するためのPCR用のプライマーを合成し、サッカロマイセス・セレビジアエの染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。得られたDNA断片を大腸菌における発現ベクターpSE420D (特開2000-189170)に挿入し、発現プラスミドpSE-YDL1を調製した。該プラスミドを用いて大腸菌を形質転換し、得られた形質転換株を培養し、無細胞抽出液を調製して、酵素活性を測定した結果、極めて高いα−ケトアミド還元酵素活性が見いだされた。
さらに、プラスミドpSE-YDL1を用いて大腸菌を形質転換し、得られた形質転換株を培養し、無細胞抽出液を調製し、硫安を加え、遠心分離により得た70%硫酸飽和の沈殿画分を透析して調製した粗酵素液を用い、還元反応を行なったところ、精製酵素と同様に、2−クロロベンゾイルホルムアミドから99%ee以上の(R)−2−クロロマンデル酸アミドが、2−オキソイソ吉草酸エチルエステルから99%ee以上の(R)−2−ヒドロキシイソ吉草酸エチルが定量的に生成した。以上の結果から、YDL124wがα−ケトアミド還元酵素をコードすることが確認できた。
なお、YDL124wがコードするタンパク質の機能に関してはこれまでに何ら報告されておらず、α−ケトアミドを不斉還元し、極めて光学純度の高い(R)−α−ヒドロキシアミドを生成することは予測不可能であった。
即ち、本発明は、光学活性アルコールを製造する方法に関し、以下の〔1〕〜〔8〕を提供するものである。
〔1〕次の(1)から(5)に示す理化学的性状を有するα−ケトアミド還元酵素。
(1)作用
NADPHを補酵素としてケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。
(2)基質特異性
(a)還元反応の補酵素としてNADPHを利用する。
(b)2−クロロベンゾイルホルムアミドを還元して、98%ee以上の(R)−2−クロロマンデル酸アミドを生成する。
(3)分子量
ゲル濾過による分子量が約33,000、SDS−PAGEによる分子量が約36,000。
(4)至適pH
pH 5.5−6.5
(5)至適温度
35−47℃
〔2〕〔1〕に記載のα−ケトアミド還元酵素をケトンに作用させ、対応する光学活性アルコールを製造する方法。
〔3〕ケトンがα−ケトアミドであり、対応する光学活性アルコールが光学活性α−ヒドロキシアミドであることを特徴とする、〔2〕に記載の光学活性アルコールを製造する方法。
〔4〕α−ケトアミドがベンゾイルホルムアミド誘導体であり、対応する光学活性α−ヒドロキシアミドが(R)−マンデル酸アミド誘導体であることを特徴とする、〔3〕に記載の光学活性アルコールを製造する方法。
〔5〕下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるα−ケトアミド還元酵素を発現する形質転換株もしくはその処理物をケトンに作用させ、対応する光学活性アルコールを製造する方法。
(a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
〔6〕ケトンがα−ケトアミドもしくはα−ケトエステルであり、対応する光学活性アルコールが(R)−α−ヒドロキシアミドもしくは(R)−α−ヒドロキシエステルであることを特徴とする、〔5〕に記載の光学活性アルコールの製造方法。
〔7〕α−ケトアミドがベンゾイルホルムアミド誘導体であり、(R)−α−ヒドロキシアミドが(R)−マンデル酸アミド誘導体であることを特徴とする、〔6〕に記載の光学活性アルコールの製造方法。
〔8〕〔1〕に記載のα−ケトアミド還元酵素、または、下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるα−ケトアミド還元酵素を発現する形質転換株を培養する工程を含む、α−ケトアミド還元酵素を製造する方法。
(a)配列番号:1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド、
(b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
(e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
光学活性アルコールなどの生産に有用な、NADPH依存性のα−ケトアミド還元酵素、該酵素を製造する方法、形質転換体を利用した効率的で光学純度の高い(R)−2−クロロマンデル酸の生産方法が提供された。
(R)−2−クロロマンデル酸アミドは、各種医薬品原料として有用な化合物である。また、(R)−2−クロロマンデル酸アミド及び(R)−3−クロロマンデル酸アミドをはじめとするα−ヒドロキシアミドは、リチウムアルミニウムハイドライドや硼素などの還元剤によるアミドの還元により容易に、各種医薬品原料として有用な(R)−2−アミノ−1−(2−クロロフェニル)エタノール及び(R)−2−アミノ−1−(3−クロロフェニル)エタノールなどのα−ヒドロキシアミンの合成にも利用される。
本発明に利用するα−ケトアミド還元酵素は、下記の(1)から(5)の性質により特徴づけられる。
(1)作用
NADPHを補酵素としてケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。
(2)基質特異性
(a)還元反応の補酵素としてNADPHを利用する。
(b)2−クロロベンゾイルホルムアミドを還元して、98%ee以上の(R)−2−クロロマンデル酸アミドを生成する。
(3)分子量
ハイロード 16/60 スーパーデックス200(アマシャム バイオサイエンス製)を使用したゲル濾過による分子量が約33,000、SDS−PAGE(12.5%)による分子量が約36,000。
(4)至適pH
pH 5.5−6.5
(5)至適温度
35−47℃
なお、ゲル濾過やSDS-PAGEで測定される分子量が測定条件等によって変わりうることは、当該分野の技術常識である。よって、約33,000、約36,000における「約」とは、そのような変わりうる範囲を含むことを意味している。約33,000の範囲としては30,000〜36,000が例示でき、また約36,000の範囲としては32,000〜40,000が例示できるが、これらの範囲に限定されるものではなく、約33,000と約36,000の範囲は、当該分野の技術常識に基づき判断されるべきである。
本発明において、α−ケトアミド還元酵素活性は、例えば、次のようにして確認することができる。
2−クロロベンゾイルホルムアミドに対する還元活性測定法:
100 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)、0.2 mM NADPH、1 mM 2−クロロベンゾイルホルムアミドおよび酵素を含む反応液中30℃で反応させ、NADPHの減少にともなう340 nmの吸光度の減少を測定する。1 Uは、1分間に1μmolのNADPHの減少を触媒する酵素量とした。
上記のα−ケトアミド還元酵素は、パン酵母、サッカロマイセス属酵母、特に、サッカロマイセス・セレビジアエ (Saccharomyces cerevisiae) より精製することができる。特に、オリエンタル酵母製のパン酵母、サッカロマイセス・セレビジアエ ATCC 208277, ATCC 204505, BJ2168 などが挙げられる。
上記微生物は、YM培地(グルコース 10 g/L、ペプトン 5 g/L、酵母エキス 3 g/L、麦芽エキス 3 g/L、pH 6.0)等の酵母の培養に用いられる一般的な培地で培養される。十分に増殖させた後に菌体を回収し、2−メルカプトエタノールやフェニルメタンフルホニルフルオリド等の還元剤やプロテアーゼ阻害剤を加えた緩衝液中で破砕して無細胞抽出液とする。無細胞抽出液から、タンパク質の溶解度による分画(有機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析など)や、陽イオン交換、陰イオン交換、ゲル濾過、疎水性クロマトグラフィーや、キレート、色素、抗体などを用いたアフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせることにより精製することができる。例えば、70%硫安沈殿、DEAE−トヨパール陰イオン交換クロマトグラフィー、MonoQ陰イオン交換クロマトグラフィー、フェニル−スーパーロース疎水クロマトグラフィー、AF−Redトヨパールアフィニティクロマトグラフィー、ハイロード 16/60 スーパーデックス200ゲル濾過クロマトグラフィー等を経て電気泳動的に単一バンドにまで精製することができる。具体的には、実施例1に記載の方法を用いて精製することができる。本発明はこのような方法によって得られるα−ケトアミド還元酵素も提供する。該方法によって提供されたα−ケトアミド還元酵素の比活性は約105 U/mgであり、配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなる部分ペプチドを有する。
さらに本発明は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなる配列を有するα−ケトアミド還元酵素を提供する。本発明により提供されるα−ケトアミド還元酵素は配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質のホモログを含む。
本発明のα−ケトアミド還元酵素のホモログとは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列に1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等なタンパク質を意味する。配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、たとえば100以下、通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、あるいは5以下のアミノ酸残基の変異は許容される。一般にタンパク質の機能の維持のためには、置換するアミノ酸は、置換前のアミノ酸と類似の性質を有するアミノ酸であることが好ましい。このようなアミノ酸残基の置換は、保存的置換と呼ばれている。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trpは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有する。また、非荷電性としては、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glnが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、AspおよびGluが挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、Lys、Arg、Hisが挙げられる。これらの各グループ内のアミノ酸置換は許容される。
本発明において、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等とは、当該タンパク質が前記(1)から(5)に示す理化学的性状を有することを意味する。
当業者であれば、配列番号:1記載のDNAに部位特異的変異導入法(Nucleic Acid Res. 10,pp.6487 (1982), Methods in Enzymol.100,pp.448 (1983), Molecular Cloning 2ndEdt., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) , PCR A Practical Approach IRL Press pp.200 (1991) )などを用いて、適宜置換、欠失、挿入、および/または付加変異を導入することによりα−ケトアミド還元酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドを得ることができる。そのα−ケトアミド還元酵素のホモログをコードするポリヌクレオチドを宿主に導入して発現させることにより、配列番号:2に記載のα−ケトアミド還元酵素のホモログを得ることが可能である。
さらに、本発明のα−ケトアミド還元酵素のホモログとは、配列番号:2に示されるアミノ酸配列と少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは80%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは98%以上のホモロジーを有するタンパク質をいう。タンパク質のホモロジー検索は、例えばSWISS-PROT, PIR, DADなどのタンパク質のアミノ酸配列に関するデータベースやDDBJ、EMBL、あるいはGene-BankなどのDNA配列に関するデータベース、DNA配列を元にした予想アミノ酸配列に関するデータベースなどを対象に、BLAST、FASTAなどのプログラムを利用して、例えば、インターネットを通じて行うことができる。
本発明の配列番号:2に記載のアミノ酸配列を元にBlastを用いて相同性検索を行った結果、最も高い相同性を示したのは、キャンディダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis) 由来の共役ポリケトン還元酵素(conjugated polyketone reductase C2 protein )の47%であった。なお、この共役ポリケトン還元酵素がα−ケトアミド還元活性を有するとの報告はない。
本発明のα−ケトアミド還元酵素は、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等な活性を有する限り、付加的なアミノ酸配列を結合することができる。たとえば、ヒスチジンタグやHAタグのような、タグ配列を付加することができる。あるいは、他のタンパク質との融合タンパク質とすることもできる。また本発明のカルボニル還元酵素、あるいはそのホモログは、配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質と機能的に同等な活性を有する限り、断片であってもよい。
本発明のα−ケトアミド還元酵素をコードするポリヌクレオチドは、以下のような方法によって単離することができる。例えば、配列番号:1に記載の塩基配列を元にPCR用のプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAもしくは、cDNAライブラリーを鋳型としてPCRを行うことにより本発明のDNAを得ることができる。さらに、得られたDNA断片をプローブとして、酵素生産株の染色体DNAの制限酵素消化物をファージ、プラスミドなどに導入し、大腸菌を形質転換して得られたライブラリーやcDNAライブラリーを利用して、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーションなどにより、本発明のポリヌクレオチドを得ることができる。
また、PCRにより得られたDNA断片の塩基配列を解析し、得られた配列から、既知のDNAの外側に伸長させるためのPCRプライマーを設計し、酵素生産株の染色体DNAを適当な制限酵素で消化後、自己環化反応によりDNAを鋳型として逆PCRを行うことにより(Genetics 120, 621-623 (1988))、また、RACE法(Rapid Amplification of cDNA End、「PCR実験マニュアル」p25-33, HBJ出版局)などにより本発明のポリヌクレオチドを得ることも可能である。
なお本発明のポリヌクレオチドには、以上のような方法によってクローニングされたゲノムDNA、あるいはcDNAの他、合成によって得られたDNAが含まれる。
ハイブリダイゼーションにおいては、配列番号:1の相補配列またはその部分配列からなる核酸(DNAまたはRNA)をプローブとして、対象とする核酸に対してハイブリダイゼーションを行い、ストリンジェントな条件下で洗浄後にプローブが対象とする核酸に有意にハイブリダイズしているかを確認する。プローブの長さは例えば連続した20塩基以上、好ましくは25塩基以上、さらに好ましくは30塩基以上、さらに好ましくは40塩基以上、さらに好ましくは80塩基以上、さらに好ましくは100塩基以上(例えば配列番号:1全長)を用いる。プローブに配列番号:1またはその相補配列以外の無関係な配列(ベクター由来の配列など)が含まれる場合には、ネガティブコントロールとしてその配列だけをプローブにして同様にハイブリダイゼーションを行い、同様の条件下で洗浄後にそのプローブが対象とする配列に有意にハイブリダイズしないことを確認してもよい。ハイブリダイゼーションは、ニトロセルロース膜またはナイロン膜などを用いて慣用の方法にて実施することができる(Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, Cold Spring Harbor Laboratories; Ausubel, F.M. et al. (1994) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishe Associates/ John Wiley and Sons, New York. NY)。
ハイブリダイゼーションのストリンジェントな条件を具体的に例示すれば、例えば6×SSC、0.5%(W/V) SDS、100μg/ml 変性サケ精子DNA、5×デンハルト溶液(1×デンハルト溶液は0.2%ポリビニールピロリドン、0.2%牛血清アルブミン、および0.2%フィコールを含む)を含む溶液中、45℃、好ましくは55℃、より好ましくは60℃、さらに好ましくは65℃で一晩ハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて、4×SSC、0.5% SDS、20分を3回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 4×SSC、0.5% SDS、20分を2回、2×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 4×SSC、0.5% SDS、20分を2回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 2×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 0.5×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。より好ましくはハイブリダイゼーション後の洗浄を、ハイブリダイゼーションと同じ温度にて 2×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 1×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 0.5×SSC、0.5% SDS、20分を1回、続いて 0.1×SSC、0.5% SDS、20分を1回行う条件である。
本発明は、このようにして単離されたポリヌクレオチドもまた提供する。本発明によるα−ケトアミド還元酵素をコードするポリヌクレオチドを公知の発現ベクターに挿入することにより、α−ケトアミド還元酵素発現ベクターが提供される。
また、この発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養することにより、本発明のα−ケトアミド還元酵素を組換え体から得ることができる。本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより形質転換された形質転換体を培養する工程、を含む本発明のα−ケトアミド還元活性を有するタンパク質の製造方法もまた提供する。
本発明においてα−ケトアミド還元酵素を発現させるために、形質転換の対象となる微生物は、α−ケトアミド還元酵素を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターにより形質転換され、α−ケトアミド還元酵素活性を発現することができる生物であれば特に制限はない。利用可能な微生物としては、例えば以下のような微生物を示すことができる。
・エシェリヒア(Escherichia)属
・バチルス(Bacillus)属
・シュードモナス(Pseudomonas)属
・セラチア(Serratia)属
・ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
・コリネバクテリイウム(Corynebacterium)属
・ストレプトコッカス(Streptococcus)属
・ラクトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開発されている細菌
・ロドコッカス(Rhodococcus)属
・ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主ベクター系の開発されている放線菌
・サッカロマイセス(Saccharomyces)属
・クライベロマイセス(Kluyveromyces)属
・シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属
・チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属
・ヤロウイア(Yarrowia)属
・トリコスポロン(Trichosporon)属
・ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属
・ピキア(Pichia)属
・キャンディダ(Candida)属などの宿主ベクター系の開発されている酵母
・ノイロスポラ(Neurospora)属
・アスペルギルス(Aspergillus)属
・セファロスポリウム(Cephalosporium)属
・トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系の開発されているカビ
形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組換えベクターの構築は、分子生物学、生物工学、遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準じて行うことができる(例えば、Sambrookら、モレキュラー・クローニング、Cold Spring Harbor Laboratories)。微生物中などにおいて、本発明のNADPHを電子供与体とするカルボニル還元酵素遺伝子を発現させるためには、まず微生物中において安定に存在するプラスミドベクターやファージベクター中にこのDNAを導入し、その遺伝情報を転写・翻訳させる必要がある。
そのためには、転写・翻訳を制御するユニットにあたるプロモーターを本発明のDNA鎖の5'-側上流に、より好ましくはターミネーターを3'-側下流に、それぞれ組み込めばよい。このプロモーター、ターミネーターとしては、宿主として利用する微生物中において機能することが知られているプロモーター、ターミネーターを用いる必要がある。これら各種微生物において利用可能なベクター、プロモーター、ターミネータ−などに関して「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」、特に酵母に関しては、Adv. Biochem. Eng. 43, 75-102 (1990)、Yeast 8, 423-488 (1992)、などに詳細に記述されている。
例えばエシェリヒア属、特に大腸菌エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)においては、プラスミドベクターとして、pBR、pUC系プラスミドを利用でき、lac(β−ガラクトシダーゼ)、trp(トリプトファンオペロン)、tac、trc (lac、trpの融合)、λファージ PL、PRなどに由来するプロモーターなどが利用できる。また、ターミネーターとしては、trpA由来、ファージ由来、rrnBリボソーマルRNA由来のターミネーターなどを用いることができる。これらの中で、市販のpSE420(Invitrogen製)のマルチクローニングサイトを一部改変したベクターpSE420D(特開2000-189170に記載)が好適に利用できる。
バチルス属においては、ベクターとしてpUB110系プラスミド、pC194系プラスミドなどが利用可能であり、染色体にインテグレートすることもできる。また、プロモーター、ターミネーターとしてapr(アルカリプロテアーゼ)、npr(中性プロテアーゼ)、amy(α−アミラーゼ)などが利用できる。
シュードモナス属においては、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)などで宿主ベクター系が開発されている。トルエン化合物の分解に関与するプラスミドTOLプラスミドを基本にした広宿主域ベクター(RSF1010などに由来する自律的複製に必要な遺伝子を含む)pKT240などが利用可能であり、プロモーター、ターミネーターとして、リパーゼ(特開平5-284973)遺伝子などが利用できる。
ブレビバクテリウム属、特に、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)においては、pAJ43(Gene 39, 281 (1985))などのプラスミドベクターが利用可能である。プロモーター、ターミネーターとしては、大腸菌で使用されているプロモーター、ターミネーターがそのまま利用可能である。
コリネバクテリウム属、特にコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)においては、pCS11(特開昭57-183799)、pCB101(Mol. Gen. Genet. 196, 175 (1984)などのプラスミドベクターが利用可能である。
ストレプトコッカス(Streptococcus)属においては、pHV1301(FEMS Microbiol. Lett. 26, 239 (1985)、pGK1(Appl. Environ. Microbiol. 50, 94 (1985))などがプラスミドベクターとして利用可能である。
ラクトバチルス(Lactobacillus)属においては、ストレプトコッカス属用に開発されたpAMβ1(J. Bacteriol. 137, 614 (1979))などが利用可能であり、プロモーターとして大腸菌で利用されているものが利用可能である。
ロドコッカス(Rhodococcus)属においては、ロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodochrous)から単離されたプラスミドベクターが使用可能である (J. Gen. Microbiol. 138,1003 (1992) )。
ストレプトマイセス(Streptomyces)属においては、HopwoodらのGenetic Manipulation of Streptomyces: A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratories (1985)に記載の方法に従って、プラスミドを構築することができる。特に、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)においては、pIJ486 (Mol. Gen. Genet. 203, 468-478, 1986)、pKC1064(Gene 103,97-99 (1991) )、pUWL-KS (Gene 165,149-150 (1995) )が使用できる。また、ストレプトマイセス・バージニア(Streptomyces virginiae)においても、同様のプラスミドを使用することができる(Actinomycetol. 11, 46-53 (1997) )。
サッカロマイセス(Saccharomyces)属、特にサッカロマイセス・セレビジアエ(Saccharomyces cerevisiae)においては、YRp系、YEp系、YCp系、YIp系プラスミドが利用可能であり、染色体内に多コピー存在するリボソームDNAとの相同組み換えを利用したインテグレーションベクター(EP 537456など)は、多コピーで遺伝子を導入でき、かつ安定に遺伝子を保持できるため極めて有用である。また、ADH(アルコール脱水素酵素)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)、PHO(酸性フォスファターゼ)、GAL(β−ガラクトシダーゼ)、PGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、ENO(エノラーゼ)などのプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
クライベロマイセス属、特にクライベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)においては、サッカロマイセス・セレビジアエ由来2μm系プラスミド、pKD1系プラスミド(J. Bacteriol. 145, 382-390 (1981))、キラー活性に関与するpGKl1由来プラスミド、クライベロマイセス属における自律増殖遺伝子KARS系プラスミド、リボソームDNAなどとの相同組み換えにより染色体中にインテグレート可能なベクタープラスミド(EP 537456など)などが利用可能である。また、ADH、PGKなどに由来するプロモーター、ターミネーターが利用可能である。
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属においては、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のARS (自律複製に関与する遺伝子)およびサッカロマイセス・セレビジアエ由来の栄養要求性を相補する選択マーカーを含むプラスミドベクターが利用可能である(Mol. Cell. Biol. 6, 80 (1986))。また、シゾサッカロマイセス・ポンベ由来のADHプロモーターなどが利用できる(EMBO J. 6, 729 (1987))。特に、pAUR224は、宝酒造から市販されており容易に利用できる。
チゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)においては、チゴサッカロマイセス・ロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)由来のpSB3(Nucleic Acids Res. 13, 4267 (1985))などに由来するプラスミドベクターが利用可能であり、サッカロマイセス・セレビジアエ由来 PHO5 プロモーターや、チゴサッカロマイセス・ロウキシ由来 GAP-Zr(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素)のプロモーター(Agri. Biol. Chem. 54, 2521 (1990))などが利用可能である。
ピキア(Pichia)属においては、ピキア・アンガスタ(旧名:ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha))において宿主ベクター系が開発されている。ベクターとしては、ピキア・アンガスタ由来自律複製に関与する遺伝子(HARS1、HARS2)も利用可能であるが、比較的不安定であるため、染色体への多コピーインテグレーションが有効である(Yeast 7, 431-443 (1991))。また、メタノールなどで誘導されるAOX(アルコールオキシダーゼ)、FDH(ギ酸脱水素酵素)のプロモーターなどが利用可能である。また、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)などにピキア由来自律複製に関与する遺伝子 (PARS1、 PARS2)などを利用した宿主ベクター系が開発されており(Mol. Cell. Biol. 5, 3376 (1985))、高濃度培養とメタノールで誘導可能なAOXなど強いプロモーターが利用できる(Nucleic Acids Res. 15, 3859 (1987))。
キャンディダ(Candida)属においては、キャンディダ・マルトーサ(Candida maltosa)、キャンディダ・アルビカンス(Candida albicans)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、キャンディダ・ウチルス(Candida utilis)などにおいて宿主ベクター系が開発されている。キャンディダ・マルトーサにおいてはキャンディダ・マルトーサ由来ARSがクローニングされ(Agri. Biol. Chem. 51, 51, 1587 (1987))、これを利用したベクターが開発されている。また、キャンディダ・ウチルスにおいては、染色体インテグレートタイプのベクターは強力なプロモーターが開発されている(特開平 08-173170)。
アスペルギルス(Aspergillus)属においては、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリジー (Aspergillus oryzae) などがカビの中で最もよく研究されており、プラスミドや染色体へのインテグレーションが利用可能であり、菌体外プロテアーゼやアミラーゼ由来のプロモーターが利用可能である(Trends in Biotechnology 7, 283-287 (1989))。
トリコデルマ(Trichoderma)属においては、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)を利用したホストベクター系が開発され、菌体外セルラーゼ遺伝子由来プロモーターなどが利用できる(Biotechnology 7, 596-603 (1989))。
また、微生物以外でも、植物、動物において様々な宿主・ベクター系が開発されており、特に蚕を用いた昆虫(Nature 315, 592-594 (1985))や菜種、トウモロコシ、ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系が開発されており、好適に利用できる。
また本発明は、前記α−ケトアミド還元酵素を利用したケトンの還元による光学活性なアルコール、特に(R)−α−ヒドロキシアミド、及び、(R)−α−ヒドロキシエステルの製造方法に関する。
本発明の光学活性アルコールの製造方法におけるケトンとしては、好ましくはα−ケトアミド類、α−ケトエステル類などが挙げられ、これらを基質として光学活性アルコールを製造することができる。
本発明による光学活性なアルコールの製造方法におけるα−ケトアミドとしては、ベンゼン環状に低級アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、アルコキシ基、水酸基などを有してもよりベンゾイルホルムアミド誘導体、例えば、ベンゾイルホルムアミド、2−クロロベンゾイルホルムアミド、3−クロロベンゾイルホルムアミド、4−クロロベンゾイルホルムアミドなどを挙げることができる。また、芳香族、ハロゲン基、ニトロ基、アルコキシ基、低級アルキル基などで置換されても良いα−ケトアルキルアミド、例えば、2−オキソプロピオンアミド、2−オキソブチルアミド、2−オキソイソブチルアミド、2−オキソバレルアミド、2-オキソイソバレルアミド、2−オキソカプロイルアミド、2−オキソイソカプロイルアミドなどを挙げることができる。また、α−ケトエステルとしては、上記α−ケトアミドにおけるアミド基が低級アルキルエステルに置換されたα−ケトエステルを挙げることができる。例えば、2−オキソイソ吉草酸エチルエステルを挙げることができる。また、ピルビン酸エチルエステル、2−オキソ酪酸エチル、2−オキソ吉草酸エチル、2−オキソカプロン酸エチル、2−オキソヘプタン酸エチル、2−オキソイソ吉草酸エチル、2−クロロアセト酢酸エチル、フェニルグリオキサール、シクロヘキサン−1,2−ジオン、またはα−ケトパントイルラクトンなどを挙げることができる。これらのα−ケトアミド、α−ケトエステルに本発明の酵素を作用させることにより、それぞれに対応する(R)−α−ヒドロキシアミド、若しくは、エステルを製造することができる。α-ケトアミド誘導体は、例えば、以下のような方法により製造することができる。
トルエン、アセトニトリルなどの溶媒中にシアン化第1銅を懸濁させておき、対応する酸クロライド誘導体を攪拌下に滴下し、加熱還流後、室温まで冷却した後に濾過により不溶物を濾別し、溶媒を減圧蒸留することにより残渣として、カルボニルシアナイド誘導体を得る。次に、カルボニルシアナイド誘導体を濃塩酸に懸濁後、室温で一晩攪拌し、更に、反応液全体を水中に投入して攪拌し、生成する結晶を濾別後、洗浄、乾燥することにより、α-ケトアミド誘導体を合成することができる。または、対応するギ酸誘導体を原料として、塩化チオニルなどによるカルボニルの塩素化、もしくは、短鎖アルコールとのエステル化を経て、アンモニアと作用させることにより、α-ケトアミド誘導体を合成することができる。
本発明における反応基質であるケトン、たとえば2−クロロベンゾイルホルムアミドは、目的とする生成物を効率的に生成できるように、反応を阻害しない範囲で、適切な濃度で用いることができる。2−クロロベンゾイルホルムアミドの反応液中における濃度として、たとえば基質濃度0.01−50%、好ましくは0.1−20%、さらに好ましくは0.1−10%を示すことができる。基質の添加方法は特に限定されないが、例えば、実施例8に記載の方法で添加することができる。基質は反応開始時に一括して添加することも可能であるが、反応液中の基質濃度が高くなりすぎないように連続的、もしくは非連続的に添加することが望ましい。また、反応時間は、通常1−5日、好ましくは1−3日であればよい。反応温度は、4−60℃、好ましくは15−37℃であればよい。反応時のpHは、pH3−11、好ましくはpH5−9であればよい。
本発明の方法によって生成される光学活性アルコールとしては、(R)−α−ヒドロキシアミド、(R)−α−ヒドロキシエステルなどが挙げられ、より好ましくは(R)−マンデル酸アミド誘導体などが挙げられ、さらにより好ましくは、(R)−2−クロロマンデル酸アミド、(R)−3−クロロマンデル酸アミド、(R)−4−クロロマンデル酸アミド、(R)−マンデル酸アミド、(R)−乳酸エチル、(R)−2−ヒドロキシ酪酸エチル、(R)−2−ヒドロキシ吉草酸エチル、(R)−2−ヒドロキシカプロン酸エチル、(R)−2−ヒドロキシヘプタン酸エチル、(R)−2−ヒドロキシイソ吉草酸エチル、(S)−4−クロロ−3−ヒドロキシ酪酸エチル、(R)−マンデルアルデヒド、(R)−2−ヒドロキシシクロヘキサノン、D−パントイルラクトンが挙げられる。
なお本発明における「光学活性アルコール」とは、ある光学異性体が別の光学異性体より多く含まれるアルコール、もしくはある光学異性体のみからなるアルコールを意味する。さらに、本発明の「光学異性体」は、一般的に「光学活性体」および「鏡像異性体」と呼ばれる場合もある。
得られた光学活性アルコールの精製は、菌体、タンパク質の遠心分離、膜処理等による分離、溶媒抽出、蒸留、結晶化等を適当に組み合わせることにより行うことができる。
例えば、(R)−2−クロロマンデル酸アミドを含む反応液を遠心分離することにより菌体を除去し、限外濾過などにより除蛋白したのちに、酢酸エチルなどを用いて(R)−2−クロロマンデル酸アミドを抽出し、溶媒を減圧下に留去することにより精製することができる。
本発明の方法により生成された光学活性アルコールの光学純度(enantiomeric excess;ee)は、好ましくは80%ee以上、より好ましくは90%ee以上、さらにより好ましくは99%ee以上を有する。生成物の光学純度は、反応生成物の光学分割カラムなどによる解析によって確認できる。
また、本発明の酵素を機能的に発現する微生物等の形質転換体を反応溶液と接触させることにより、目的とする酵素反応を行わせることによって、光学活性なアルコールの製造を行うこともできる。なお、酵素と反応溶液の接触形態はこれらの具体例に限定されるものではない。また、上記方法に使用される微生物としては、配列番号:2に記載のタンパク質を機能的に発現する異種の形質転換体、例えば、pSE-YDL1で形質転換された大腸菌、補酵素NADPHを再生する酵素、例えばグルコース脱水素酵素を共発現するpSG-YDL1などを挙げることができる。
本発明におけるα−ケトアミド還元酵素を含む形質転換体の処理物には、具体的には界面活性剤やトルエンなどの有機溶媒処理によって細胞膜の透過性を変化させた微生物、凍結乾燥やスプレードライなどにより調製した乾燥菌体、あるいはガラスビーズや酵素処理によって菌体を破砕した無細胞抽出液やそれを部分精製したもの、精製酵素、形質転換体や酵素を固定化した固定化酵素、固定化微生物などが含まれる。
本発明の好ましい態様においては、本発明のα−ケトアミド還元酵素もしくはα−ケトアミド還元酵素を発現する形質転換体、もしくは該形質転換体の処理物、を2−クロロベンゾイルフォルムアミドに作用させ、(R)−2−クロロマンデル酸アミドを製造することを特徴とする、(R)−2−クロロマンデル酸アミドの製造方法を提供する。
上記還元反応に付随してNADPHから生成するNADP+の、NADPHへの再生は、微生物の持つNADP+還元能(解糖系、メチロトローフのC1化合物資化経路など)を用いて行うことができる。これらNADP+還元能は、反応系にグルコースやエタノール、などを添加することにより増強することが可能である。また、NADP+からNADPHを生成する能力を有する微生物やその処理物、酵素を反応系に添加することによっても行うことができる。例えば、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などを含む微生物、その処理物、ならびに部分精製もしくは精製酵素を用いてNADPHの再生を行うことができる。これらのNADPH再生に必要な反応を構成する成分は、本発明による光学活性アルコールの製造のための反応系に添加する、固定化したものを添加する、あるいはNADPHの交換が可能な膜を介して接触させることができる。
本方法において、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えベクターで形質転換した微生物の生菌体を前記光学活性アルコールの製造方法に利用する場合には、NADPH再生のための付加的な反応系を不要とできる場合がある。すなわち、NADPH再生活性の高い微生物を宿主として用いることにより、形質転換体を用いた還元反応において、NADPH再生用の酵素を添加することなく効率的な反応が行える。さらに、NADPH再生に利用可能なグルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素、ギ酸脱水素酵素、アミノ酸脱水素酵素、有機酸脱水素酵素(リンゴ酸脱水素酵素など)などの遺伝子を、本発明のNADPH依存性α−ケトアミド還元酵素をコードするDNAと同時に宿主に導入することによって、より効率的なNADPH再生酵素とNADPH依存性α−ケトアミド還元酵素の発現、還元反応を行うことも可能である。これらの2つもしくはそれ以上の遺伝子の宿主への導入には、不和合性を避けるために複製起源のことなる複数のベクターに別々に遺伝子を導入した組換えベクターにより宿主を形質転換する方法や、単一のベクターに両遺伝子を導入する方法、両方、もしくは、片方の遺伝子を染色体中に導入する方法などを利用することができる。
単一のベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、プロモーター、ターミネーターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラクトースオペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させることも可能である。
例えば、NADPH再生用酵素として、バシラス(Bacillus)属、シュードモナス (Pseudomonas)属、サーモプラズマ(Thermoplasma)属などに由来するグルコース脱水素酵素が利用可能であり、具体的には、α−ケトアミド還元酵素とバシラス・サブチリス由来のグルコース脱水素酵素の遺伝子を導入した組換えベクターであるpSG-YDL1、などが好適に利用される。
本発明の酵素を用いた還元反応は、水中もしくは水に溶解しにくい有機溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、クロロホルム、n−ヘキサン、メチルイソブチルケトン、メチルターシャリーブチルエステルなどの有機溶媒中、もしくは、水性媒体との2相系、もしくは水に溶解する有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシドなどとの混合系により行うことができる。本発明の反応は、固定化酵素、膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
反応系には必要に応じて補酵素NADP+もしくはNADPHが0.001 mM - 100 mM、好ましくは、0.01 - 10 mM添加できる。
NADPHの再生のために、例えば、グルコース脱水素酵素を利用する場合のグルコース、アルコール脱水素酵素を利用する場合のエタノールもしくはイソプロパノールなどが反応系に添加される。これらの化合物は、基質ケトンに対してモル比で0.1 - 20、好ましくは1 - 5倍過剰に添加することができる。一方、グルコース脱水素酵素、アルコール脱水素酵素などの、NADPH再生用の酵素は、本発明のNADPH依存性α−ケトアミド還元酵素に比較して酵素活性で0.1 - 100倍、好ましくは0.5 - 20倍程度添加することができる。
本発明のケトンの還元により生成する光学活性アルコールの精製は、菌体、タンパク質の遠心分離、膜処理などによる分離、溶媒抽出、蒸留、晶析などを適当に組み合わせることにより行うことができる。
例えば、(R)−2−クロロマンデル酸アミドでは、形質転換体を含む反応液を遠心分離し、微生物菌体を除いた後、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ヘキサン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、メチルターシャリーブチルエーテル、ブタノール、などで抽出し、これを減圧濃縮することにより、光学活性アルコールとして、採取することができる。さらに反応生成物の純度を上げるには、適当な溶媒からの再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどを行うことにより、さらに高度に精製することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1] α−ケトアミド還元酵素の精製
酵素精製のための菌体は、オリエンタル酵母より500 gの生パン酵母を購入して利用した。生パン酵母500 gを500 mLの菌体破砕液(10 mM リン酸カリウム緩衝液 (pH 8.0), 0.02% 2−メルカプトエタノール、1μM ペプスタチンA、1μM ロイペプチン及び1 mM フェニルメタンスルホニルフルオリド)に懸濁し、ミニラボ (Raney社製) により菌を破砕した。遠心分離により菌体残渣を除去し、無細胞抽出液を得た。この無細胞抽出液にプロタミン硫酸を添加し、遠心分離により除核酸した上清を得た。その上清に硫安が70%飽和になるまで添加し、遠心分離により沈殿画分として酵素を回収した。
得られた沈殿を150 mLの100 mM リン酸カリウム緩衝液 (pH 7.0) に溶解し、緩衝液A(10 mM リン酸カリウム緩衝液 (pH 7.0), 1 mM エチレンジアミン4酢酸(以下EDTAと略す)及び1 mM ジチオスライトール(以下DTTと略す))に透析した。遠心分離により生成した沈殿を除去し、予め同緩衝液Aにより平衡化したDEAE-トヨパール650S (2.6X19 cm、東ソー製) カラムに酵素を吸着させた。0-0.4 M 塩化カリウムの濃度勾配溶出により酵素を溶出させた。活性画分を限外濾過により濃縮後、緩衝液Aに透析した。
透析した酵素を同緩衝液で平衡化したMonoQ (1.0X1.0 cm、アマシャム バイオサイエンス製) に吸着させた。同緩衝液で洗浄後、0-0.2 M 塩化カリウムの濃度勾配溶出を行い、各画分毎に2−クロロベンゾイルホルムアミドに対する還元活性の測定を行なうことで、活性画分を判断した。
酵素活性画分に硫安を45%飽和になるまで添加し、緩衝液B(50 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)、1 mM EDTA、及び、1 mM DTT)で予め平衡化したフェニル−スーパロース(1.0×1.0 cm、アマシャム バイオサイエンス製)に吸着させ、2.0-0 M 硫安の濃度勾配溶出を行い、活性画分を回収した。活性画分を用いて2CBFD不斉還元反応を実施し、生成物の光学純度を確認した結果、光学純度が低い画分が見られたため、高い光学純度を与えた画分のみを回収、混合し、以降の実験に用いた。
活性画分を緩衝液C(5 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)、1 mM EDTA、及び、1 mM DTT)に透析し、予め同緩衝液Cで平衡化したAF−Red−トヨパール650Mカラム(東ソー製)に吸着した。0-1 M 塩化カリウムの濃度勾配溶出により酵素を溶出させ、活性画分を回収した。
活性画分を限外濾過により濃縮し、予め緩衝液D(100 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)、0.2 M 塩化カリウム、1 mM DTT、及び、1 mM EDTA)で平衡化したハイロード 16/60 スーパーデックス200(1.0×30 cm,アマシャム バイオサイエンス製)にアプライした。同緩衝液Dでゲル濾過を行い、活性画分を回収した。
得られた精製酵素は12.5% SDS-PAGEにおいて単一バンドを示した。精製酵素の比活性は105 U/mgであった。精製の要約を表1に示した。
[実施例2] α−ケトアミド還元酵素の分子量測定
実施例1で得られた酵素のサブユニットの分子量をSDS-PAGEにより求めた結果、約36,000であった。また、ハイロード 16/60 スーパーデックス200のゲル濾過カラムを用いて分子量を測定したところ、約33,000であった。従って、本酵素はモノマーと推定された。
[実施例3] α−ケトアミド還元酵素の至適pH
各0.1Mの酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.0-5.5)、リン酸カリウム緩衝液(pH 5.5-7.5)、トリス−塩酸緩衝液(pH 7.5-9.0)、グリシン−水酸化カリウム緩衝液(pH 9.0-10.5)を用いてpHを変化させて、実施例1で得られた酵素の2−クロロベンゾイルホルムアミド還元活性を調べ、各pHにおける活性を、最大活性を100とした相対活性で表し、図2に示した。至適pH(80%以上の相対活性を示した範囲)は、5.5-6.5であった。
[実施例4] α−ケトアミド還元酵素の至適温度
実施例1で得られた酵素を標準反応条件のうち温度だけを変化させて、2−クロロベンゾイルホルムアミドの還元活性を測定し、各温度における活性を、最大活性を100とした相対活性で表し、図3に示した。至適温度(80%以上の相対活性を示した温度範囲)は35-47℃であった。
[実施例5] α−ケトアミド還元酵素のpH安定性
精製酵素を各0.1 Mの、酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.0-5.5)、リン酸カリウム緩衝液(pH 6.0-7.5)、トリス−塩酸緩衝液(pH 8.0-9.0)、グリシン−水酸化カリウム緩衝液(pH 9.5-10.5)中で37℃、10分間処理し、処理後の酵素活性を、処理前の酵素活性を100とした相対活性で図4に示した。安定なpH範囲(80%以上の残存活性を有する範囲)は、pH 5.5-9.5であった。
[実施例6] α−ケトアミド還元酵素の温度安定性
精製酵素を100 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)中、20-50℃で30分間処理し、処理前の活性を100とした残存活性を図5に示した。安定な温度範囲(80%以上の残存活性を有する範囲)は、40℃以下であった。
[実施例7] α−ケトアミド還元酵素の基質特異性
実施例1で得られた酵素を種々のα−ケトアミド、α−ケトエステル、β−ケトエステル、アルデヒド、ケトン等と反応させ、その還元反応の活性を2−クロロベンゾイルホルムアミドに対する還元活性を100とした相対活性で表し、表2に示した。
[実施例8] α−ケトアミド還元酵素の立体選択性
精製酵素0.2 Uを各種α−ケトアミドもしくはα−ケトエステル 10μmol、NADPH 10μmolと0.1 M リン酸カリウム(pH 7.0)0.5 ml中で37℃、6時間反応させ、生成したα−ヒドロキシアミドもしくはα−ヒドロキシエステルをエーテルで抽出後、それぞれの光学純度を測定し、表3に示した。
なお、光学純度の測定は以下のように行った。
2−クロロマンデル酸アミドの光学純度の測定は、キラルHPLC法もしくはキラルGC法により測定した。キラルHPLC法では、CHIRALPAK AS-H (ダイセル化学製) を用い、n-ヘキサン:エタノール=85:15を溶離液とし、流速1.0 mL/min、カラム温度25℃、ピーク検出は254 nmにおけるUV吸収で測定した。この条件に於いて、2−クロロマンデル酸アミドは、7.5分 (R体) と10.1分 (S体) に溶出した。
キラルGC法では、GAMMA DEX 225(SUPELCO製、30 m x 0.25 mm x 0.25μm film thickness)を用い、以下の条件で行った。カラム温度190℃、インジェクション温度220℃、検出温度220℃)、キャリアーガス He, 1.0 kg/cm2。上記の条件でS体が27.0分、R体が29.3分に溶出した。
他のα−ヒドロキシエステルの光学純度は、Chirasil-DEX CB カラム(Varian 製、25 mm, 0.25 mm, 0.25μm film thickness)を用いた以下のキラルGC法で測定した。乳酸エチル(インジェクション温度180℃、カラム温度85℃、検出温度180℃、R体6.13分、S体6.82分)、2−ヒドロキシ酪酸エチル(インジェクション温度180℃、カラム温度100℃、検出温度180℃、R体5.88分、S体6.32分)、2−ヒドロキシ吉草酸エチル(インジェクション温度180℃、カラム温度110℃、検出温度180℃、R体6.17分、S体6.88分)、2−ヒドロキシヘプタン酸エチル(インジェクション温度180℃、カラム温度120℃、検出温度180℃、R体11.20分、S体12.00分)、2−ヒドロキシイソ吉草酸(インジェクション温度180℃、カラム温度90℃、検出温度180℃、R体10.42分、S体10.89分)はGAMMA DEX 225を用いて測定した。
[実施例9] α−ケトアミド還元酵素の部分アミノ酸配列
実施例1で得られた酵素を用いて、プロテインシーケンサーによりN末端アミノ酸配列を解析したが、アミノ酸は検出されなかった。N末端がブロックされている可能性が示唆されたため、12.5% SDS-PAGEを行い、α−ケトアミド還元酵素を含むゲル断片を切り出し、2回洗浄後、トリプシンを用いて、35℃で終夜イン・ゲル・ダイジェションを行った。消化したペプチドを逆相HPLC (東ソー製TSK gel ODS-80Ts、2.0 mm × 250 mm) を用い、0.1% トリフルオロ酢酸中でアセトニトリルのグラジエント溶出によりペプチドを分離し、分取した。
分取したペプチドピークをT79とし、プロテインシーケンサー(Hewlett Packard G1005A Protein Sequencer System)によりアミノ酸配列の解析を行った。T79のアミノ酸配列を配列番号:3で示した。
[実施例10] サッカロマイセス・セレビジアエからの染色体DNAの精製
サッカロマイセス・セレビジアエATCC 208277をYM培地で培養し、菌体を調製した。菌体からの染色体DNAの精製は、Meth. Cell Biol. 29, 39-44 (1975)に記載の方法により行った。
[実施例11] α−ケトアミド還元酵素遺伝子のクローニング
DDBJにAccession number 274172として登録されている配列番号:1に記載の予想オープンリーディングフレーム(YDL124w)を元にPCR用のプライマーを2種(YDL124w-A1及びYDL124w-T1)をデザインし、それぞれ配列番号:4,5に示した。
プライマーYDL124w-A1とYDL124w-T1各10 pmol、dNTP 10 nmol、サッカロマイセス・セレビジエ由来染色体DNA 200 ng、Pyrobest DNA polymerase用緩衝液 (タカラバイオ製)、Pyrobest DNA polymerase 2 U (タカラバイオ製)を含む50μLの反応液を用い、変性(94℃、30秒)、アニール(55℃、60秒)、伸長(72℃、1分25秒)を25サイクル、GeneAmp PCR System 2400 (パーキンエルマー製)を用いてPCRを行った結果、特異的な増幅産物が得られた。
増幅産物をフェノール処理後、制限酵素AflIII, XbaIで2重消化し、制限酵素NcoI, XbaIで2重消化したベクターpSE420DとTAKARA Ligation Kitによりライゲーションした。ライゲーションしたDNAにより大腸菌DH10B株を形質転換し、アンピシリン(50mg/L)を含むLB培地で生育し、得られた形質転換株よりプラスミドをMiniprep DNA Purification Kit (タカラバイオ製)により精製した。
挿入DNA断片の塩基配列を解析した結果、DDBJにYDL124wとして登録されている配列と完全に一致した。得られたプラスミドをpSE-YDL1とした。プラスミド構築の過程を図6に示した。
[実施例12] α−ケトアミド還元酵素と枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を共発現するプラスミドpSG-YDL1の構築
枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を含むプラスミドpSE-BSG1(特願2000-374593)をXbaI、HindIIIの2つの制限酵素で二重消化しXbaI-HindIII断片を調製した。pSE-YDL1を同制限酵素で二重消化し、上記DNA断片とTakara Ligation Kitを用いてライゲーションした。ライゲーションしたDNAにより大腸菌DH10B株を形質転換し、アンピシリン(50mg/L)を含むLB培地で生育し、得られた形質転換株よりプラスミドをMiniprep DNA Purification Kit (タカラバイオ製) により精製し、グルコース脱水素酵素とYGL157wを同時に発現可能なプラスミドであるpSG-YDL1を得た。プラスミド構築の過程を図7に示した。
[実施例13] YDL124wの活性確認
pSE-YDL1及びpSG-YDL1をそれぞれ含有する大腸菌DH10B株をアンピシリンを含むLB培地で培養し、0.1 mM IPTGにより誘導を4時間行い、遠心分離により集菌菌体を得た。
それぞれの菌体を菌体破砕液(50mM リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)、0.02%2−メルカプトエタノール)に懸濁し、超音波により菌体を破砕後、遠心分離により得られた上清を無細胞抽出液とした。
2−クロロベンゾイルホルムアミド還元活性を測定した結果、pSE-YDL1 において1.84 U/mg、pSG-YDL1において1.34 U/mgであった。なお、宿主のみでは、2−クロロベンゾイルホルムアミド還元活性は検出できなかった。
更に、pSG-YDL1を含む大腸菌DH10B株のグルコース脱水素酵素活性を測定した結果、1.43 U/mgであった。
なお、グルコース脱水素酵素活性は以下の方法により測定した。
100 mM D−グルコース、2.5 mM NAD+、100 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 6.5)及び酵素を含む反応液中で30℃で反応を行い、NADHの生成に伴う340 nmの吸光度の上昇を測定した。1Uは、1分間に1μモルのNADHの生成を触媒する酵素量とした。
[実施例14] YDL124wによる(R)−2−クロロマンデル酸アミドの合成
pSG-YDL1を含む大腸菌を2xYT培地(バクトーペプトン 20 g/L, バクトー酵母エキス 10 g/L, 塩化ナトリウム 10 g/L, pH 7.2)200 mLで培養し、遠心分離により菌体を得た。得られた菌体を50 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 8.0)、0.02% 2-メルカプトエタノールを含む菌体破砕液 16 mLに懸濁し、超音波により菌体を破砕した。得られた菌体破砕液を遠心分離し、無細胞抽出液を得た。
無細胞抽出液のα−ケトアミド還元活性とグルコース脱水素活性を測定した結果、それぞれ2.21 U/mg-タンパク質、2.81 U/mg-タンパク質であった。この無細胞抽出液に硫安を70%飽和まで添加し、1晩攪拌後、遠心分離により70%硫酸飽和の沈殿を得た。この沈殿画分を菌体破砕液に溶解し、同緩衝液を用いて透析後、反応に用いた。
反応並びに分析は実施例8と同様に行った結果、精製酵素と同様に、2−クロロベンゾイルホルムアミドから99%ee以上の(R)−2−クロロマンデル酸アミドが、2−オキソイソ吉草酸エチルエステルから99%ee以上の(R)−2−ヒドロキシイソ吉草酸エチルが定量的に生成し、YDL124wがα−ケトアミド還元酵素をコードすることが確認できた。
SDS-PAGEにおけるパターンを示す写真である。レーンAは分子量マーカー、レーンBは実施例1で得られた酵素を示す。 実施例1で得られた酵素の2−クロロベンゾイルホルムアミド還元活性のpH依存性を示す図である。白四角は、酢酸ナトリウム緩衝液、白菱形はリン酸カリウム緩衝液、白丸はトリス−塩酸緩衝液、白三角はグリシン−水酸化カリウム緩衝液を表す。 実施例1で得られた酵素の2−クロロベンゾイルホルムアミドの温度依存性を示す図である。 実施例1で得られた酵素のpH安定性を示す図である。 実施例1で得られた酵素の温度安定性を示す図である。 サッカロマイセス・セレビジエ由来のYDL124w遺伝子を導入したプラスミド(pSE-YDL1)の構築図。プラスミドのマップ中で、P(trc) はtrcプロモーターを、T(rrnB)はrrnBT1T2ターミネーターを、ampはアンピシリン抵抗性を示すβ−ラクターゼ遺伝子を、oriはプラスミドの複製起源を、ropはROP−protein遺伝子を、laqIqはラクトースリプレッサーを表す。 サッカロマイセス・セレビジエ由来のYDL124w遺伝子と枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を導入したプラスミド(pSG-YDL1)の構築図。プラスミドのマップ中で、P(trc) はtrcプロモーターを、T(rrnB)はrrnBT1T2ターミネーターを、ampはアンピシリン抵抗性を示すβ−ラクターゼ遺伝子を、oriはプラスミドの複製起源を、ropはROP−protein遺伝子を、laqIqはラクトースリプレッサーを、BsGlcDHは枯草菌由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を表す。

Claims (8)

  1. 次の(1)から(5)に示す理化学的性状を有するα−ケトアミド還元酵素。
    (1)作用
    NADPHを補酵素としてケトンを還元し、光学活性アルコールを生成する。
    (2)基質特異性
    (a)還元反応の補酵素としてNADPHを利用する。
    (b)2−クロロベンゾイルホルムアミドを還元して、98%ee以上の(R)−2−クロロマンデル酸アミドを生成する。
    (3)分子量
    ゲル濾過による分子量が約33,000、SDS−PAGEによる分子量が約36,000。
    (4)至適pH
    pH 5.5−6.5
    (5)至適温度
    35−47℃
  2. 請求項1に記載のα−ケトアミド還元酵素をケトンに作用させ、対応する光学活性アルコールを製造する方法。
  3. ケトンがα−ケトアミドであり、対応する光学活性アルコールが光学活性α−ヒドロキシアミドであることを特徴とする、請求項2に記載の光学活性アルコールを製造する方法。
  4. α−ケトアミドがベンゾイルホルムアミド誘導体であり、対応する光学活性α−ヒドロキシアミドが(R)−マンデル酸アミド誘導体であることを特徴とする、請求項3に記載の光学活性アルコールを製造する方法。
  5. 下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるα−ケトアミド還元酵素を発現する形質転換株もしくはその処理物をケトンに作用させ、対応する光学活性アルコールを製造する方法。
    (a)配列番号:1に記載の塩基配列を含むポリヌクレオチド、
    (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
    (e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
  6. ケトンがα−ケトアミドもしくはα−ケトエステルであり、対応する光学活性アルコールが(R)−α−ヒドロキシアミドもしくは(R)−α−ヒドロキシエステルであることを特徴とする、請求項5に記載の光学活性アルコールの製造方法。
  7. α−ケトアミドがベンゾイルホルムアミド誘導体であり、(R)−α−ヒドロキシアミドが(R)−マンデル酸アミド誘導体であることを特徴とする、請求項6に記載の光学活性アルコールの製造方法。
  8. 請求項1に記載のα−ケトアミド還元酵素、または、下記(a)から(e)のいずれかに記載のポリヌクレオチドによりコードされるα−ケトアミド還元酵素を発現する形質転換株を培養する工程を含む、α−ケトアミド還元酵素を製造する方法。
    (a)配列番号:1に記載された塩基配列を含むポリヌクレオチド、
    (b)配列番号:2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (c)配列番号:2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、
    (d)配列番号:1に記載された塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド、
    (e)配列番号:2に記載のアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
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