以下、添付した図面を参照して、本発明に係る画像形成装置について詳細に説明する。本実施形態の画像形成装置は、記録媒体(受像層)に応じて、記録媒体上に打滴された記録ドットの記録媒体への浸透速度を制御することにより、記録ドットの滲みを防止して、最適な画像を形成するようにしたものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の全体構成図である。図1に示すように、このインクジェット記録装置10は、インクを吐出する印字ヘッド(インク吐出ヘッド)を有して構成される印字部12と、印字部12に供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙(記録媒体)16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、印字部12の印字ヘッドのノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印字(印画)済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26とを備えている。
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、またはこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
給紙部18のマガジンには、用紙の種類情報を記録したバーコードあるいは無線タグ等の情報記録体18aが取り付けられている。この情報記録体18aの情報は、媒体種検出手段60によって読み取られ、使用される記録紙16の種類が自動的に判別されて、記録紙16の種類に応じた適切なインク吐出が実現されるようにインク吐出制御が行われるとともに、詳しくは後述するが、記録紙16の種類に応じて、記録ドットの浸透速度が最適に制御されるようになっている。
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことにより巻き癖が残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20において、マガジンの巻き癖方向とは逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、記録紙16の印字面が多少外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録紙16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置されている。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12の印字ヘッドのノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したように、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12の印字ヘッドのノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト33上の記録紙16が吸着保持されるようになっている。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方、例えば図1に示す例ではローラ31に、モータ37の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1に矢印で示したように、搬送速度Vで左から右へと搬送される。また、モータ37の駆動は、搬送制御手段62によって制御され、搬送制御手段62によって設定される搬送速度Vは、後述する記録ドットの最適な浸透速度の演算に用いられる。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細な図示はしないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、あるいはこれらの組み合わせ等がある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。従って、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字ヘッド12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交する方向に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっており、詳細な構造例は後述するが、印字部12は、本インクジェット記録装置10が印字対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さに渡ってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドが各色毎に黒色用印字ヘッド12K、シアン用印字ヘッド12C、マゼンタ用印字ヘッド12M、イエロー用印字ヘッド12Yとそれぞれが並列して配置されている。
図1に示すように、インク貯蔵/装填部14は、印字部12を構成する各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各印字ヘッドと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
本実施形態の印字検出部24は、少なくとも各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列とからなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されてなるエリアセンサを用いることも可能である。
印字検出部24は、印字部12の各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによって印字されたテストパターンを読み取り、各印字ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。また、印字検出部24は、打滴されたドットに光を照射させる光源を備えている。
印字検出部24の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。なお、大きめの用紙に本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター48と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。
また、図1では図示を省略したが、本画像の排紙部26には、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられている。
また、本実施形態のインクジェット記録装置10は、詳しくは後述するが、記録紙16の種類によって、UVインク(紫外線硬化インク)あるいはEBインク(電子線硬化インク)等の放射線硬化型インクに電気粘性効果を持たせたインクを用いて、このインクに電圧を印加してその粘度を変化させて記録紙16への浸透速度を最適に制御することにより、滲みを防止するようにするものであり、そのために、以上述べたものの他に、以下のような構成を有している。なお、ここで放射線硬化型インクというときの放射線には、紫外線(UV)等の電磁放射線及び電子線等の粒子線が含まれるものとする。
すなわち、本インクジェット記録装置10は、以上の他、インク種検出手段64、記録紙16上に着弾したインクに電界を付与する電界付与手段としての電極66、電極66を制御する電界強度制御手段68、記録紙16上に着弾したインクにUV光を照射して硬化・定着させる光重合照射手段としてのUV光源70及びUV光源70を制御する照射制御手段72を有している。電極66及びUV光源70は各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yの下流側にそれぞれ配置されている。また、記録紙16の種類によっては、インク粘度は低い状態のまま速く浸透定着させるようにし、このとき、隣接した記録ドットが着弾干渉(混色)を起こさないように打滴インターバル(打滴タイミング)を制御するようにしており、そのため打滴制御手段74を有している。これらの検出手段、制御手段等については、詳しくは後述する。
次に、印字部12の印字ヘッドの構造について説明する。印字部12は、各色のインク毎に設けられている。印字ヘッドは、K(黒)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインクを吐出する各印字ヘッド12K、12C、12M、12Yによって構成されるが、これらの構造は共通しているので、以下これらを代表して図2に示す
うな印字ヘッド50として説明することとする。
図2は、印字ヘッド50の構造を示す平面透視図である。図2に示すように、印字ヘッド50は、ノズル51とインク供給口53を有する圧力室52によって構成される圧力室ユニット54が2次元的に千鳥状に配列されて構成されている。
図2に示すように、各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51とインク供給口53が設けられている。各圧力室52は、インク供給口53を介してインク共通流路(図2では図示省略)と連通されている。
図2は、平面透視図であり、ノズル51は、図の紙面の裏側に向けて開口されており、図で印字ヘッド50の下側を図の矢印S方向に搬送される記録紙16に向けて(図の裏面側に)ノズル51からインクが吐出される。また、図2に示すように、印字ヘッド50は、記録紙16の搬送方向(矢印S方向)と直交する矢印M方向を長手方向として、記録紙16の最大紙幅に対応し得るラインヘッドである。
このように、記録紙16の紙幅の全域をカバーするフルライン型ヘッドである印字ヘッド50を有する印字部12によれば、矢印Sで示す記録紙16の搬送方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち、1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、印字ヘッド50が記録紙16の搬送方向と直交する図2に矢印Mで示す方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、ここで主走査及び副走査について説明する。主走査及び副走査とは、印字ヘッドにおけるノズルの駆動方法をいい、以下のように定義される。
すなわち、用紙(記録紙16)の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドにおいて、ノズルを駆動する場合には、(1)全ノズルを同時に駆動、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロック毎に片方から他方に向かって順次駆動、等の駆動方法があり、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字をするようなノズルの駆動を主走査と定義する。
例えば、図2に示すように、2次元マトリクス状にノズル51が配列された印字ヘッド50において、ノズル51を駆動する場合には、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、図2において、2次元マトリクス状に配列された各列を構成する、ノズル51−11、51−12、・・・、51−16、及びノズル51−21、・・・、51−26、及びノズル51−31、・・・、51−36、・・・等をそれぞれ1つのブロックとして、記録紙16を図中の矢印S方向に搬送しながら、各ブロック中のノズルを記録紙16の搬送速度に応じて、それぞれ、ノズル51−11、ノズル51−21、ノズル51−31、・・・から、ノズル51−16、ノズル51−26、51−36、・・・等へ向かって順次駆動することで、記録紙16上に各ノズル51から吐出された記録ドットが記録紙幅方向(搬送方向と直交する矢印M方向、主走査方向)に、1ラインとして印字される。
一方、印字ヘッドと記録紙を相対的に移動することによって、上記主走査で形成された、1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を、繰り返し行うようなノズルの駆動を副走査と定義する。
また、図3に図2中のIII-III 線に沿った圧力室ユニット54の断面図を示す。
図3に示すように、圧力室ユニット54は、圧力室52の天面を構成している加圧板(振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによって、アクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出されるようになっている。
また、インクがノズル51から吐出されると、インク共通流路55からインク供給口53を通って新しいインクが圧力室52に供給されるようになっている。
なお、本実施形態では、印字ヘッド50としては図2に示したようにノズル51(圧力室ユニット54)が2次元マトリクス状に配列されたフルライン型ヘッドとして説明するが、図4に示すように短尺の2次元に配列されたヘッド50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、記録紙16の全幅に対応する長さとしてもよい。
図5は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース78、システムコントローラ80、画像メモリ82、搬送制御手段62、プリント制御部86、画像バッファメモリ88、ヘッドドライバ90等を備えている。
通信インターフェース78は、ホストコンピュータ76から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース78にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(図示省略)を搭載してもよい。ホストコンピュータ76から送出された画像データは、通信インターフェース78を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ82に記憶される。画像メモリ82は、通信インターフェース78を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ80を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ82は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ80は、通信インターフェース78、画像メモリ82、搬送制御手段62等の各部を制御する制御部である。システムコントローラ80は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、ホストコンピュータ76との間の通信制御、画像メモリ82の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ37を制御する制御信号を生成する。搬送制御手段62は、システムコントローラ80からの指示にしたがってモータ37の駆動を制御する。
プリント制御部86は、システムコントローラ80の制御に従い、画像メモリ82内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正等の処理を行う信号制御部である。プリント制御部86において所要の信号処理が施され、該画像データに基いてヘッドドライバ90を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部86には画像バッファメモリ88が備えられており、プリント制御部86における画像データ処理時に画像データやパラメータ等のデータが画像バッファメモリ88に一時的に格納される。なお、図4において画像バッファメモリ88はプリント制御部86に付随する態様で示されているが、画像メモリ82と兼用することも可能である。また、プリント制御部86とシステムコントローラ80とを統合して一つのプロセッサで構成する態様も可能である。
また、本実施形態のインクジェット記録装置10は、前述したように、この他記録紙16の種類を検出する媒体種検出手段60、インクの種類を検出するインク種検出手段64、電気粘性効果を有するインクに電界を付与してその粘度を変化させる電極66を制御する電界強度制御手段68、放射線硬化インクであるUVインクにUV光を照射するUV光源70を制御する照射制御手段72及び隣接する記録ドット間で混色が発生しないように打滴タイミングを制御する打滴制御手段74を有している。
これらの各検出手段や制御手段は、システムコントローラ80によって制御され、特に、打滴制御手段74は、プリント制御部86内に設けられている。
本実施形態のインクジェット記録装置10は、記録媒体(記録紙16)の種類が表面定着型媒体で、用いられるインクが電気粘性効果を有するUV硬化インクの場合には、記録媒体に着弾したインクに電界を付与してインクの粘度を変えて(インクを増粘させて)記録媒体へのインクの浸透速度を制御して、表面にインク液滴が存在した状態でUV硬化を行い、滲みを防止するようにするものであり、一方、記録媒体の種類が浸透定着型媒体の場合には、着弾したインクに電界を付与せずインクの粘度が低い状態で速く浸透させて定着させるようにし、さらに、このときは隣接した記録ドット間においてその打滴タイミング(打滴インターバル)を制御して着弾干渉をも防止するようにするものである。
なお、ここで、表面定着型媒体とは、インクを主として記録媒体の表面で硬化させて、最終的に色素は記録媒体の表面で定着させるようにした記録媒体を言い、例えば普通紙が該当する。表面定着型媒体の場合、全くインクは浸透しないのではなく、一部のインクが記録媒体の内部に浸透してしまうこともある。また、浸透定着型媒体とは、インクを記録媒体中の受像層内に浸透させて、色素(溶質)を受像層内で定着させるものであり、最終的に色素は受像層内で定着するような記録媒体を言い、例えばインクジェット専用紙が該当する。このとき、インクが水系の溶媒の場合には、溶媒は、最終的には乾燥により蒸発する。
記録媒体(記録紙16)の種類は、前述したように、媒体種検出手段60が、給紙部18のマガジンに取り付けられた情報記録体18aからその情報を読み取って検出する。インク種はインク種検出手段64によって検出される。これらの検出方法は、特に限定されるものではなく、様々な方法が適用可能である。例えば、インクの場合にも、記録媒体と同様に、インク貯蔵/装填部14に装着されるインクタンクに取り付けられたインク種情報が記録された情報記録体から読み取るようにしてもよいし、別途オペレータが入力するようにしてもよい。
また、ここで用いられる電気粘性効果インクとは、電界を付与(電圧印加)することにより瞬間的に見かけ上の粘度が上昇するような効果(これを電気粘性(Electro Rheological)効果という。)を有するインクであり、電界のオン/オフにより粘度が可逆的に変化するものである。なお、このような電気粘性効果を有する電気粘性効果流体には、分散型と、均一系の2種類がある。
分散型は、電気絶縁性溶媒中に誘電体微粒子が液体内に分散させられたもので、電界が付与されない状態では、微粒子が分散されたままの状態で、粘性の低い状態であるが、電界を付与すると、分極した粒子が電界方向に繋がった鎖状構造(橋)を形成し、この橋が流体の粘度を増大させる働きをするため流体の粘度が上昇したような挙動をとるものである。分散型の電気粘性流体には、含水系と非含水系がある。
また、均一系は、液晶などのように分子やドメインが電界方向に配向し、異方性を示すものである。均一性の電気粘性流体は現状では粘性変化が少ないため、インクジェットプリンタ用途には分散型の電気粘性流体が向くと考えられている。
また、本実施形態では、放射線硬化型インク(UV硬化型インク等)が用いられるが、このようなインクに対して電気粘性効果を持たせるようにしている。このように放射線硬化型インクに電気粘性効果を持たせたインクの作成方法としては、例えば、少なくとも放射線硬化モノマー、重合開始剤を含む液体に固体微粒子(シリカゲル、澱粉、デキストリン、カーボン、石膏、ゼラチン、アルミナ、セルロース、マイカ、ゼオライト、カオライト等)を分散させる方法や、顔料微粒子そのものを電気粘性効果の分散剤として利用する方法や、染料または顔料をマイクロカプセル化し、その表面を絶縁処理することにより電気粘性効果の分散剤として利用する方法、あるいは、均一系電気粘性流体を混合させる方法などが考えられる。
記録媒体が表面定着型の場合には、記録媒体に着弾したインクを記録媒体の表面で定着させ、滲みを防止するために、着弾したインクが記録媒体に所定量以上浸透しないように、浸透速度を制御する。ここで、インクの浸透速度とは、記録媒体上に着弾したインク液滴が記録媒体に浸透するときに、単位時間に記録媒体中に浸透するインク液滴量をいうものとする。
浸透速度の制御は、記録紙16に着弾した電気粘性効果を有するインクに対して、電極66によって付与する電界強度を制御して、インクの粘度を制御することによって行われる。このとき、電界強度制御手段68において、最適な浸透速度を演算し、それに対応したインク粘度となるように電極66によって付与される電界の電界強度が制御される。
図1に示す例では、電界を付与する電極66は、印字部12の下流側に設置され、インク着弾後に電界を付与するようにしているが、印字部12より上流側に電極66を設けてインク着弾前から記録紙16に電界を付与するようにしてもよい。ただし、ノズル51内のインクが電界の影響を受けて増粘し、ノズル詰まりを起こすことも考えられるため、図1のように下流側に設ける方が好ましい。
なお、電極66の下流側には、除電手段を設けるようにしてもよい。これにより、記録紙16が帯電してベルト33から離れ難くなり搬送に支障をきたすのを防止することができる。また、この除電手段は、特別にこのための手段を設置するのではなく、例えば搬送ローラ等に導電性を持たせて、搬送中に自然に除電できるようにして、搬送ローラ等で除電手段を兼用するようにしてもよい。
また、記録媒体が浸透定着型の場合には、電界を付与せずに粘度を低くして、速く浸透させて定着させるようにする。このとき、隣接記録ドットの着弾干渉を防止するために、打滴制御手段74によって、打滴タイミングが制御される。
次に、これらの電界強度制御及び打滴タイミング制御について説明する。まず、電界強度制御手段68における電界強度制御について説明する。
図6は、電界強度制御手段68の詳細を示すブロック図である。図6に示すように、電界強度制御手段68は、浸透速度演算部102、インク粘度と浸透速度相関データ記憶部(第1の記憶部)104、電界強度とインク粘度相関データ記憶部(第2の記憶部)106及び電界強度演算部108を含んで構成されている。
浸透速度演算部102は、UV(光重合)照射エネルギー量、記録媒体搬送速度及び着弾インク液滴量から所望の最適浸透速度を演算するものである。このため、浸透速度演算部102は、システムコントローラ80を介して画像メモリ82から画像データを受け取ると、これから着弾インク液滴量を算出するとともに、照射制御手段72からUV照射エネルギー量を、また搬送制御手段62から記録媒体搬送速度を受け取る。
ここでインク浸透速度の所望の最適な値とは、図7(a)に示すように記録紙16に着弾したインク滴112が、記録紙16の表面にインク液滴が存在している状態でUV硬化を完了する必要があるため、インク着弾時からUV硬化が終了するまでの時間内に、図7(b)に示すように、記録紙16に浸透したインク滴112bの量が、図7(a)の着弾したインク滴112のうち、30%以下で、記録紙16表面に残ったインク滴112aの量が着弾したインク滴112の70%以上となるような浸透速度が好ましい。
このとき、インク浸透速度を制御して、インク滴112のうち記録紙16に浸透したインク滴112bの割合をいろいろ変化させた場合の滲みを観察、評価した結果を以下のような表1に示す。表1に示すように、着弾インク量に対する浸透インク量の割合が30%以下の場合には、滲みは視認されず、特に浸透インク量の割合が15%の場合には倍率10倍のルーペを用いても、ほとんど滲みは視認されなかった。また逆に、浸透インク量の割合が30%を越えると滲みが視認されるようになり、さらに浸透インク量の割合が多くなる程、滲みの程度が大きくなることがわかった。
このように、記録紙16に浸透したインク滴112bの量を着弾したインク滴112の量の30%以下とすることで、滲みを視認できない程度にすることができる。なお、より好ましくは、浸透するインク滴112bの量を、着弾したインク滴112の量の15%以下とすることが良い。
このような、最適の浸透速度Vo[pl/sec] は、次のようにして演算される。すなわち、画像データから算出された画像内の代表ドットの着弾インク液滴量をVd[pl]、搬送制御手段62から受け取った記録媒体搬送速度をV[mm/sec]、図1に示すインク着弾から硬化処理が終了するまでの距離(略、印字部12からUV光源70の端部までの距離)をL[mm]、着弾からUV光源70による硬化完了までの時間をtc [sec] とする。ただし、tc <L/Vとなるように、LとVが設定される。このtc は、tc =f(E,V,Vd)の関数であり、UV照射エネルギー量Eと搬送速度Vと着弾インク液滴量Vdで決まる。
このとき、記録紙16への浸透量がインク着弾時のインク液滴量の30%以下となるためのインクの許容浸透速度Voは、次の式(1)によって演算される。
Vo=0.3×Vd/tc ・・・・・・(1)
従って、Vo=0.3×Vd/tc 以下の最適浸透速度となるように、電界強度を制御するようにすればよい。
なお、上の演算において、着弾インク液滴量として、画像内の代表ドットの着弾インク液滴量Vdを用いているのは、画像内に異なる着弾インク液滴量が混在する場合を考慮したものであり、これにより複雑な画像に対しても、制御負荷を低減することができる。
インク粘度と浸透速度相関データ記憶部104は、図8に示すような、インク粘度と浸透速度との相関関係を示すデータを記録媒体種及びインク種毎に記憶している。また、電界強度とインク粘度相関データ記憶部106は、図9に示すような、電界強度とインク粘度との相関関係を示すデータをインク種毎に記憶している。なお、図9のグラフは直線となっているが電気粘性流体の種類によっては曲線となる場合もある。
電界強度演算部108は、これらのデータを用いて許容浸透速度を実現するために必要な電解強度を演算する。すなわち、いま演算した許容浸透速度Voを基に図8に示す粘度−浸透速度相関データを適用して、許容浸透速度Voに対応する許容粘度νoが算出される。また、この許容粘度に図9の電界強度−粘度相関データを適用して、対応する所定の電界強度Eoが算出される。
電界強度制御手段68は、このようにして演算した所定の電界強度Eo(またはEo以上で)で電界付与手段である電極66を駆動するための電界制御信号110を電極66に対して出力する。
電界強度制御手段68は、以上のように許容浸透速度に対応する所定の電界強度を演算するが、その結果図10に示すような、浸透速度と電界強度の関係を示すグラフが、インク種と記録媒体種毎に得られる。従って、図10に示すような浸透速度と電界強度の相関データを、インク種と記録媒体種の組み合わせ毎に、予め持っておくようにすれば、さらに演算が簡単になる。
次に、記録媒体種が浸透定着型媒体の場合に、インクを低粘度の状態で早く浸透させるとともに、画像記録時に隣接したドット間の着弾干渉防止のために行われる打滴制御手段74における打滴タイミング制御について図10乃至図15を用いて説明する。
インクジェット記録装置10では、浸透定着型媒体である記録紙16上に形成されるドットが重なり合う場合に、先に打滴されたインク滴120が記録紙16に浸透が終了する前に次に打滴されるインク滴130(図13に図示)の打滴を行うように打滴(記録)タイミングが制御される。
図11には、先に打滴されたインク滴120が示されている。インク滴120の記録紙16表面上の液滴直径はD1aである。染料系インクを用いると、記録紙16の表面に着弾したインク滴120は、時間の経過とともに記録紙16の受像層(図示省略)内に浸透し、その浸透はインク滴120の外側から内側に向かって完了するのでインク滴の直径は中心に向かって徐々に小さくなる。
所定の時間Tが経過すると、記録紙16表面の溶媒がなくなり、インク滴120は記録紙16に完全に浸透する。ここで、所定の大きさ(本実施形態では、着弾時のインク滴直径と同じ直径)を有するドットが形成される。この時間Tを完全浸透時間とする。
図12は、図11中XII-XII 線に沿う断面図であり、記録紙16にインク滴120が着弾した直後の状態を示している。図13には、インク滴120が記録紙16に着弾した後、完全浸透時間T未満の所定の時間が経過して記録紙16表面のインク滴120の直径がD1bになった状態を示している。
なお、図13中破線で示した円は、インク滴120によって形成されるドット122を示し、その大きさはインク滴120が記録紙16に着弾したときのインク滴の大きさと略同一である。すなわち、インク滴120により直径D1aのドット122が形成される。
また、図13には直径D2aのインク滴130を打滴して、ドット122とのドット中心間の間隔(ドットピッチ)Pt で、ドット直径D2aであるドット132を形成させる様子を示している。
先に打滴されたインク滴120が記録紙16に着弾してからの時間δTが経過した後の直径D1bと、記録紙16に着弾したときのインク滴130の直径D2a、インク滴120とインク滴130との間隔(インク滴120及びインク滴130より形成されるドットの中心間の距離であるドットピッチに相当する。)Ptの関係が次式(2)
D1b < 2×Pt − D2a ・・・・・・(2)
を満たす場合には、記録紙16の表面において、インク滴120とインク滴130とは混合しないので、インク滴120及びインク滴130から形成されるドット122及びドット132(図13では、インク滴130と同じ大きさで同じ位置に形成される)の形状が崩れない。従って、所望のドット形状を得ることができる。
ここで、ドット122とドット132とが重なる条件は、式、Pt<(D1a/2)+(D2a/2)で表される。言い換えると、ドット122とドット132とが重なる条件は、ドット122の半径とドット132の半径との和がドットピッチPtよりも大きい場合である。
図13に示したドット122は、インク滴120が記録紙16に浸透していない領域(インク滴120として示されている領域)と、インク滴120の記録紙16への浸透が終了し、記録紙16の受像層内部にインク色素(溶質)が保持されている領域(破線で示されたドット122の領域からインク滴120として示した領域を除いた領域)と、が存在し、上述した2つの領域のうち、インク滴120の記録紙16への浸透が終了した領域には、他のインク滴130を着弾させることができる。
図14は、図13中のXIV-XIV 線に沿ったインク滴120及びインク滴130の断面を示す断面図(図12に相当)である。インク滴130が記録紙16へ浸透する際に、ドット122とインク滴130が重なる部分では、記録紙16の受像層内においてインク滴120とインク滴130との混合が発生しても、インク滴120は既に受像層内に浸透しておりインク色素(溶質)が受像層内で保持されているので、受像層内部でのドット122の形状はほとんど変化することがない。
インク滴130が記録紙16へ着弾してから前述した完全浸透時間Tが経過すると、インク滴130の記録紙16への浸透が終了し、図14に示すように、直径D1aのドット122と直径D2aのドット132が形成される。
図16は、図15中のXVI-XVI 線に沿ったドット122及びドット132の断面を示す断面図である。
このように、2つのドットが重なる場合に、先に打滴されたインク滴の浸透が終了する完全浸透時間Tを待たずに(D1b>0の状態において)、次のインクを打滴することができる。
すなわち、先に着弾したインク滴120と次に着弾するインク滴130との間隔Pt、インク滴130の着弾時の直径D2a、からインク滴130着弾時に上記式(2)を満足するインク滴120の直径D1bを求め、求められたインク滴120の直径D1bと、インク滴120の着弾時の直径D1aと、から浸透時間δTが求められる。このように求められた浸透時間δTを打滴インターバルとしてインク滴120とインク滴130との打滴タイミングが制御される。
インク色素の分子構造が大きく、溶媒に溶解しないで溶媒中に混合される(顔料系の多くはこのタイプ)インクの場合、記録紙16の表面にインク滴が着弾すると溶媒が受像層内へ浸透し、色素は一部受像層内部へ浸透するものがあるものの、色素の多くは用紙表面上で固化する。このようにインク色素の多くが記録紙16表面で固化する顔料系インクについても上述した打滴タイミング制御を適用することが可能である。
その際、溶媒の浸透は外側から内側へ向かって完了する。従って、記録紙16表面上のインク滴どうしの混合を防止するために、上述したような打滴制御方法を好適に利用することが可能である。
図17は、上述した打滴制御を実行させる打滴制御手段74の詳細を示すブロック図である。なお、この打滴制御手段74は図5に示したシステム(プリント制御部86)に含まれている。
図5に示したホストコンピュータ76から画像データ200を取得すると、ドットデータ生成部210において、RGBデータからCMYデータへの変換、濃淡インクの振り分け、CMYKドットデータの生成が行われる。
次に、不等式演算部212において、2つのドット(例えば、図15に示したインク滴120及びインク滴130)のピッチPt、後に打滴されるインク滴(図15のインク滴130)の直径D2aから、先に打滴されたインク滴(図15のインク滴120)の直径D1bが求められる。
一方、ドット径演算・記憶部214に記憶されている使用するインク滴サイズの時間変化に関する情報が参照され、タイミング演算部216において、先に打滴されるドットを形成するインク滴における着弾時の液滴直径D1aから前述したD1bになるまでの浸透時間δT(打滴インターバル)が求められる。更に、該浸透時間δTから副走査方向のタイミング制御パラメータ(記録紙搬送速度等)、主走査方向のタイミング制御パラメータが決定される。
このようにして求められた浸透時間δT、副走査方向のタイミング制御パラメータ、主走査方向のタイミング制御パラメータに基づいて、ノズル駆動信号生成部218において、各ノズルの駆動信号220が生成される。
ここで、インク滴の記録紙16への浸透速度は、主としてインクの種類、記録紙16の種類、循環温度、湿度などに依存する。
ドット径演算・記憶部214ではこれらの情報をデータテーブル化して記憶すると共に、演算により算出された浸透時間δTを求める際のパラメータをタイミング演算部216に提供している。
なお、前記直径D1a及び前記直径D2a及びドット間隔Ptより前記直径D1bが予め計算され登録されているデータベースから前記直径D1bのデータを参照して浸透時間δTを求めてもよい。このデータベースは、インクジェット記録装置10内部に備えられてもよいし、外部に備えられていてもよい。
例えば、インクカートリッジ装填時にインク種検出手段64によりインク種類情報230を読み込み、インク種類情報230を記憶しておき、印字実行時にこのインク情報をタイミング演算部216に提供してもよい。同様に、記録紙16を装填する際に、媒体種検出手段60により、用紙種類情報232を読み込み、これを記憶することも可能である。
以下、本実施形態の作用を、図18のフローチャートに沿って説明する。
まず、図18のステップS100において、印字開始にあたり、インク種検出手段64により、インク種を検出するとともに、媒体種検出手段60により、記録紙16の種類を検出する。なお、本実施形態では、インクは前述したようなUV硬化インクに電気粘性効果を持たせたものを用いるものとし、記録紙16は、このインクとの関係で前述したような表面定着型媒体または浸透定着型媒体のいずれかに分類されるものとする。
次にステップS110において、システムコントローラ80は、この検出結果に基いて、記録紙16の種類が表面定着型媒体か浸透定着型媒体かを判断し、記録紙16の種類に応じた処理を行うようにする。この判断手法は、特に限定されるものではない。例えば、検出された記録媒体種とインク種との組み合わせで求まるインク浸透速度で閾値を予め設定しておき、インク浸透速度がこの閾値より小さい場合には、表面定着型媒体とし、インク浸透速度がこの閾値より大きい場合には、浸透定着型媒体であると判断するようにしてもよいし、あるいは、記録媒体の種類に応じて、予めプリセットしておくようにしてもよい。
ステップS110において記録紙16が表面定着型媒体であると判断された場合には、ステップS120以下の処理へ進み、インク液滴が所定量以上浸透せず、インク液滴が記録紙16の表面に存在した状態でUV硬化させるようにするために、電気粘性効果を有するUV硬化インクに対して、所定の電界を付与してインクの粘度を変化させ、インクの記録紙16への浸透速度を制御する。
すなわち、ステップS120において、まず電界強度制御手段68の浸透速度演算部102において、所望のインク浸透速度を前述したようにして算出する。次に、ステップS130において、電界強度演算部108は、インク粘度と浸透速度相関データ記憶部104の相関データを用いて許容浸透速度に対応する最適粘度を算出する。次にステップS140において、電界強度演算部108は、電界強度とインク粘度相関データ記憶部106の相関データを用いて所定の電界強度を算出する。
電界強度制御手段68は、算出された所定の電界強度に対応する電界制御信号110を生成し、これにより、記録紙16上に着弾したインクに電界を付与するための電極66を制御する。すなわち、ステップS150において、電極66は電界強度制御手段68からの電界制御信号110により電極66間の空間に電界を発生させ、その中を搬送される記録紙16表面上に着弾したインク液滴に電界を付与するようにする。またこのとき、同時に照射制御手段72はUV光源70を制御してインク液滴にUV光を照射するようにする。
次にステップS160において、画像データに基いて、印字部12により記録紙16に対して画像記録を行い、記録紙16を搬送すると記録紙16上に着弾したインクに対して電界が付与されて、インクの粘度が高くなりインクの浸透速度が遅くなる。同時にUV光が照射されインクが記録紙16の表面上に存在している間にUV硬化されて、滲みのない高画質な画像記録が実現される。
このとき、所望のインク浸透速度を実現するための必要最小限の電界を付与することにより、印字ヘッド内のインクに対する電界の影響を少なくすることが可能となり、電界によるインクの増粘による不吐出を防止することができる。
また、一方、ステップS110において、記録紙16が浸透定着型媒体であると判断された場合には、電界を付与せずにインク粘度が低い状態でインクを記録紙16に早く浸透させるようにする。即ち、ステップS170において、電界を付与しないようにしてインク粘度を低い状態に制御して、早くインクが浸透するようにする。そしてステップS180において、上述したように打滴タイミングを制御しつつ画像記録を行う。
この場合、インク浸透速度が速いので、前述したように、ドットを重ねて形成する場合でも、比較的短い打滴インターバルを設定し、前述したような打滴インターバルで打滴制御することにより、隣接ドット間の着弾干渉を防止することができる。
以上、本発明の画像形成装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
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