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JP2006102975A - 吐出装置及び画像記録装置 - Google Patents

吐出装置及び画像記録装置 Download PDF

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JP2006102975A
JP2006102975A JP2004288780A JP2004288780A JP2006102975A JP 2006102975 A JP2006102975 A JP 2006102975A JP 2004288780 A JP2004288780 A JP 2004288780A JP 2004288780 A JP2004288780 A JP 2004288780A JP 2006102975 A JP2006102975 A JP 2006102975A
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recording
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unit
ink
medium
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Application number
JP2004288780A
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English (en)
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Yasuhiko Kachi
泰彦 可知
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】ER効果を有する液体を用いて被吐出媒体上での液滴の合一、異なる種類の液滴の混合などの着弾干渉を防止し、むらや混色などのない好ましい画像等を形成する吐出装置及び画像記録装置を提供する。
【解決手段】印字ヘッド12から吐出されるインクには電気粘性効果を有する紫外線硬化型インクが用いられる。中間転写ドラム18上に着弾したインク滴16には電極対28から発生される電界がによって電気粘性効果を発現して粘度が高くなる。その結果、インク滴間の合一が回避されると共に着弾時の形状が保持される。また、中間転写ドラム18から記録紙20への転写が行われた後に、UV光源24からUV光が照射されて本定着処理が施されるので、転写直後のにじみや混色を回避することができ、記録紙20上には好ましい画像が記録される。
【選択図】 図1

Description

本発明は吐出装置及び画像記録装置に係り、特に電気粘性効果を発現する液体を用いた吐出装置における画像等の形成技術に関する。
近年、画像やドキュメント等のデータ出力装置としてインクジェット記録装置が普及している。インクジェット記録装置は印字ヘッドに備えられたノズルをデータに応じて駆動させ、該ノズルから吐出されるインクによって記録紙などのメディア上に画像(データ)を形成することができる。
メディア上に記録液であるインクを吐出して高速に画像を形成する場合、隣接する液滴同士が合一し、所定の着弾位置よりドットの形成位置がずれることで、画像内にむらが発生する。また、カラー画像を形成する際には各色のインクがメディア上で混ざり、混色が発生する。
このような記録液の合一によるむらや、異なる色のインク間で起こる混色による印字画像の品質低下を抑制するために、電界を作用させることで粘度が大きくなる電気粘性効果(ER効果)を持ったインクを用いてメディア上に画像を形成する方法が提案されている。
特許文献1に記載された記録装置では、記録ヘッドによりER効果を有する記録液を電界が形成された中間転写媒体に付着させ、中間転写媒体上で記録液の粘度を上昇させてドットの過剰な広がりや混色を防ぎ、記録液が乾燥してその粘度が大きくなった状態、又は記録液の電気粘性効果により記録液の粘度が大きくなった状態で中間転写媒体から被転写媒体への転写が行われるように構成されている。
また、特許文献2に記載された記録装置では、記録ヘッドによりER効果を有する記録液滴を電界が印加された被転写媒体上に付着させて被転写媒体上での記録液の粘度を大きくし、この記録液によって形成されたドットのひげ、にじみ、混色を防ぎ、記録液の乾燥及び被転写媒体への浸透が進み、にじみ及び混色が起こらなくなるまで電界を維持するように構成されている。
特開平5−4342号公報 特開平5−4343号公報
しかしながら、ER効果を持ったインクは作用させる電界の方向、電界の強度に応じてインク粘度の増加する割合が変わる性質を有し、電界を付加すると瞬時に見かけの粘度が大きくなり、電界を遮断するとその粘度は元に戻ってしまう可逆性を有している。そのために、電界の発生タイミングや発生時間(期間)をインクの吐出に合わせて制御しなければならない。
特許文献1に記載された記録装置では、転写後に記録液を定着・硬化させる手段を持たないため、被転写媒体へ転写した後に被転写媒体表面層でのにじみ及び混色を回避することができない。また、中間転写媒体の記録液付着面に電界を形成しても、効果的にインクへ電界を与えることができないので、インクの粘度を上昇させる効果はあまり期待できない。
また、特許文献2に記載された記録装置では、被転写媒体の記録液付着面に電界を形成し、この面に記録液を用いて画像を形成するように構成されるので、被転写媒体の含水量などの環境によって被転写媒体の電界が安定せず、ER効果を安定して発現させることが難しい。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ER効果を有する液体を用いて被吐出媒体上での液滴の合一、異なる種類の液滴の混合などの着弾干渉を防止し、むらや混色などのない好ましい画像等を形成する吐出装置及び画像記録装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、電気粘性効果を有する記録液を液滴化させて吐出させる吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドと対向する位置に前記吐出ヘッドから記録液滴を吐出される中間転写媒体と、前記中間転写媒体に配設され、前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴へ電界を与える、正の電極及び負の電極から成る電極対と、前記電極対に所定の電圧を供給する電圧供給手段と、前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴を被記録媒体上へ転写する転写手段と、前記転写手段によって前記被記録媒体へ記録液滴が転写された直後から前記被記録媒体上に転写された記録液滴に前記被記録媒体への定着処理を施す本定着手段と、を備えたことを特徴とする。
吐出ヘッドから吐出された電気粘性効果を有する記録液滴は、中間転写媒体上で電極対から発生される電界が付与されて電気粘性効果(ER効果)が発現し、合一、着弾干渉が抑制される。また、中間転写媒体上の記録液滴は、転写手段によって被記録媒体に転写された直後から本定着手段によって被記録媒体に定着処理が施されるので、被記録媒体上におけるにじみ、むら、混色等の画像劣化を回避することができ、被記録媒体上には高品質の好ましい画像が記録される。
記録液にはインク、レジスト、薬液、処理液など、吐出ヘッドが有する記録素子(吐出孔、ノズル等)から液滴化して吐出させることができる様々な液体を含んでいる。
吐出ヘッドには、中間転写媒体の略全幅に対応する長さにわたって記録素子が並べられたフルライン型吐出ヘッドや、中間転写媒体の全幅に対応する長さよりも短い長さにわたって記録素子が並べられた短尺ヘッドを中間転写媒体の幅方向に走査させながら中間転写媒体上に液滴を吐出させるシリアル型吐出ヘッド(シャトルスキャン型記録ヘッド)などがある。
また、フルライン型の吐出ヘッドには、中間転写媒体の全幅に対応する長さに満たない短尺の記録素子列を有する短尺ヘッドを千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、中間転写媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
中間転写媒体は、吐出ヘッドによって吐出された液滴を受ける受液媒体であり、ドラム形状、ベルト形状などの形状を有するものがある。また、所定の親液性及び転写時の液滴の剥離性を有している。
被記録媒体は、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず様々な媒体を含み、記録媒体、記録メディア、印字媒体、被画像形成媒体などと呼ばれるものを含む。
ここでいう正の電極、負の電極はそれぞれの相対的な関係を表しており、正の電極の電位が負の電極の電位に比べて相対的に大きくなることを意味する。
本定着手段には、UV光などの放射線(輻射線)を記録液滴に照射させる放射線照射手段や、熱や送風によって記録液滴の溶媒を蒸発させる(乾燥させる)加熱手段(乾燥手段)など適用可能である。
被記録媒体に液滴を本定着させる態様は、被記録媒体表面上に記録液滴の溶質を固化させる態様や、被記録媒体内に記録液滴が浸透して定着する態様があり、何れの態様であるかは被記録媒体の種類と記録液の種類の組み合わせによって決まる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の吐出装置の一態様に係り、前記電極対は、前記中間転写媒体の前記吐出ヘッドから吐出された記録液滴が着弾する領域に対応して配設されることを特徴とする。
記録液滴が着弾する領域に対応して電極対を配設するので、中間転写媒体上に着弾した記録液滴に対して効率よく電気粘性効果を発現させることができる。
電極対は、中間転写媒体の記録液滴が着弾する面の反対側面に配設される構造でもよいし、中間転写媒体と電極対との間に他の部材を配設する構造でもよい。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の吐出装置の一態様に係り、前記電圧供給手段から電極対へ供給する電圧を可変制御する電圧制御手段を備えたことを特徴とする。
電圧供給手段から供給される電圧と電極対から発生される電界の強度とは比例関係にあり、また、電界強度と記録液の粘度とは比例関係にある。したがって、電圧供給手段から電極対へ供給される電圧を可変させると、電極対から発生される電界の強度を可変させることができ、更に、中間転写媒体に着弾した記録液滴の粘度を可変させることができる。
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の吐出装置の一態様に係り、前記電極対は、前記正の電極及び前記負の電極をそれぞれ複数備え、前記電極対の少なくとも一部は前記正の電極と前記負の電極とを交互に配設する構造を有することを特徴とする。
正の電極と負の電極とを交互に配設させると、記録液滴に付与する電界を密に発生させることができる。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、前記電極対を構成する前記正の電極及び前記負の電極の平面形状は、それぞれ複数の櫛歯部を有する略櫛歯状であって、前記電極対は、前記正の電極の櫛歯部と前記負の電極の櫛歯部とを交互に配設した構造を有することを特徴とする。
櫛歯上に形成された正の電極及び負の電極の各櫛歯部をそれぞれ交互に配設することによって、中間転写媒体上に着弾した記録液滴に強い強度を有する電界を付与することが可能になる。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、隣り合う前記正の電極と前記負の電極との間隔P、前記吐出ヘッドから吐出される記録液滴の前記中間媒体上の最小記録液滴径Dは、次式P≦Dを満たすことを特徴とする。
正の電極と負の電極との間隔Pを中間転写媒体上の最小記録液滴径Dよりも小さくすることで、記録液滴1滴ごとに電気粘性効果を発現させることが可能になる。
正の電極と負の電極との間隔を、各電極間の最小距離としてもよいし、電極間ピッチとしてもよい。
請求項7記載の発明は、請求項3乃至6のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、前記吐出ヘッドと前記中間転写媒体とを相対移動させる移動手段を備え、前記電極対は、少なくとも一対の前記正の電極及び前記負の電極を備えた電極対ブロックを前記中間転写媒体の相対移動方向に複数並べた構造を有し、前記電圧制御手段から電圧を供給する前記電極対ブロックを選択的に切り換える切換手段を備えたことを特徴とする。
中間転写媒体の相対移動方向に複数の電極対ブロックを配置し、電圧切換手段から電圧を供給する電極対ブロックを選択的に切り換えるように構成するので、中間転写媒体上の記録液滴の処理に応じて、電界を発生させる電極対を選択的に切り換えることができる。また、電界を発生させる必要のない領域では電界をオフにすることができ、中間転写媒体上の記録液滴の処理に対して電界が悪影響を与えず、更に、装置の省電力化、低ノイズ化にも寄与する。
請求項8記載の発明は、請求項7記載の吐出装置の一態様に係り、前記電圧制御手段は、前記切替手段によって選択された電極対ブロックの前記電圧供給手段から供給される電圧を可変制御することを特徴とする。
電極対ブロックごとに供給される電圧を可変させるように構成するので、中間転写媒体上で領域ごとに細かく記録液滴の粘度をコントロールすることが可能になる。
電圧制御手段と請求項7に記載された切換手段とを共通化して、電極対ごとに供給される電圧を0Vから所定の電圧まで可変制御するように構成してもよい。
請求項9記載の発明は、請求項3乃至8のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、前記中間転写媒体上に吐出される記録液のデータに基づいて、前記中間転写媒体上の記録液滴量を予測する予測手段を備え、前記電圧制御手段は、前記予測手段によって予測された記録液滴量に応じて前記電圧供給手段から前記電極対へ供給される電圧を可変させる制御を行うことを特徴とする。
中間転写媒体上の記録液滴量に応じて電極対へ供給される電圧を可変制御することで、中間転写媒体上の記録液滴量によらず、記録液滴内を流れる微小電流を記録液滴1滴ごとに均一化することができる。
予測手段では、記録液滴データ(ドットデータ)から各ドットのサイズやドット数などのドット情報を求め、このドット情報に基づいて中間転写媒体上の記録液滴量が予測される。なお、記録液滴量は中間転写媒体上にある記録液滴の体積でもよいし、中間転写媒体上の記録液滴サイズがほぼ均一であれば記録液滴数でもよい。
請求項10記載の発明は、請求項7乃至9のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、前記転写手段によって前記被記録媒体上に画像が転写された後に前記中間転写媒体上に残留する記録液を除去するクリーニング手段を備えたことを特徴とする。
クリーニング手段によって中間転写媒体に残留する記録液滴を除去することで、中間転写媒体上に形成される画像の品質を保つことができる。
クリーニング手段には、多孔質部材などの吸液手段によって記録液を吸収する態様や、記録液を溶解させるクリーニング液等を中間転写媒体上に塗布する態様、ブレードなどの払拭部材(剥離部材)などを用いる態様などがある。また、上述した態様を組み合わせてもよい。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の吐出装置の一態様に係り、前記電圧制御手段は、前記クリーニング手段によって前記中間転写媒体上に残留する記録液の除去処理が行われる際に、前記電極対に電圧を供給しないように前記電圧供給手段を制御することを特徴とする。
中間転写媒体上に残留した記録液のクリーニングが行われている間は電界を発生させないように電圧供給手段を制御するので、中間転写媒体上に残留した記録液滴を容易に除去できると共に、クリーニング時における記録液の粘度は低く、中間転写媒体表面及びクリーニング手段に損傷等のダメージを与えることを回避することができる。
請求項12記載の発明は、請求項11記載の吐出装置の一態様に係り、前記切換手段は、前記クリーニング手段による前記中間転写媒体上に残留する記録液の除去処理が行われるクリーニング領域に対応する前記電極対ブロックには前記電圧供給手段から電圧を供給しないように前記電圧供給手段から電圧を供給する前記電極対ブロックを切り換えることを特徴とする。
クリーニング手段によって中間転写媒体上の残留記録液の除去処理を施すクリーニング領域では、この領域に対応する電極対ブロックへ電圧制御手段から電圧を供給しないように制御が行われるので、クリーニング手段が稼動する際にも、他の領域に対応する領域では電極対ブロックに電圧を供給することができ、中間転写媒体上の記録液に対して電気粘性効果を発現させることができる。
請求項13記載の発明は、請求項1乃至12のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、前記吐出ヘッドと前記転写手段との間に設けられ、前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴に予備定着処理を施す予備定着手段を備えたことを特徴とする。
中間転写媒体から被記録媒体へ転写を行う前に、中間転写媒体上に着弾した記録液滴の表面を硬化させるなどの予備定着処理を施すので、転写直後の被記録媒体上において隣り合う記録液滴の合一、干渉を回避することができる。
予備定着手段は本定着手段と同一の構成でもよいし、異なる構成でもよい。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の吐出装置の一態様に係り、前記予備定着手段による前記中間転写媒体上の記録液滴に施される予備定着処理及び、前記電圧制御手段による前記電極対に供給する電圧の可変制御のうち、少なくとも何れか一方を用いて、前記中間転写媒体上の記録液滴の凹凸を制御することを特徴とする。
中間転写媒体上の記録液滴に付与する電界強度を可変させて該記録液滴の粘度のコントロールを行い、該記録液滴の粘度と表面張力とのバランスをとることで中間転写媒体上の記録液滴の凹凸を制御することができる。一方、請求項13に示した予備定着手段を用いても中間転写媒体上の記録液滴の凹凸を制御することができる。これらのうち少なくとも何れか一方を用いて、転写手段によって凹凸状の記録液滴を被記録媒体に転写した被記録媒体表面状態(グロッシー、マット等)をコントロール可能である。
請求項15記載の発明は、請求項13又は14記載の吐出装置の一態様に係り、前記予備定着手段は、前記被記録媒体が記録液に対して非浸透性を有する場合には、前記中間転写媒体上の記録液滴の表面を硬化させることを特徴とする。
被記録媒体が記録液に対して非浸透性を有する場合には、予備定着手段を用いて中間転写媒体上の記録液滴の表面を硬化させることで、転写直後に被記録媒体上における記録液滴の合一、干渉を回避することができる。
請求項16記載の発明は、請求項1乃至15のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、前記被記録媒体を搬送する搬送手段を備え、前記本定着手段は、前記転写手段の前記搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記搬送手段の被記録媒体搬送速度u、前記転写手段による転写位置から前記本定着手段による定着処理終了位置までの前記搬送手段の搬送方向に沿った長さs、前記記録液の前記被記録媒体への浸透時間Tは、次式s/u<Tを満たすことを特徴とする。
本定着手段によって定着処理が行われる時間(定着処理時間)が被記録媒体の浸透時間Tよりも短くなるように被記録媒体の搬送速度uと転写手段による転写位置から本定着手段による被記録媒体への定着処理終了位置までの領域の長さsとを決めるので、被記録媒体へ記録液滴が浸透するよりも早く記録液滴の本定着処理が施され、被記録媒体上でのにじみを回避すると共に、被記録媒体の搬送速度uと転写手段による転写位置から本定着手段による被記録媒体への定着処理終了位置までの領域の長さsを制御することで、被記録媒体上の記録液滴の凹凸をコントロールすることができる。
本定着処理時間を可変制御するには、被記録媒体の搬送速度uを可変させてもよいし、定着処理が施される領域(本定着処理領域)の長さsを可変させてもよい。
なお、浸透時間Tとは、被記録媒体の表面から記録液滴がなくなる時間(一次浸透時間)としてもよい。
請求項17記載の発明は、請求項1乃至16のうち何れか1項に記載の吐出装置の一態様に係り、前記中間転写媒体は円筒形のドラム形状を有することを特徴とする。
中間転写媒体をドラム形状とすることで、中間転写媒体の構成を簡略化することが可能になる。
該ドラム内に請求項1に記載の電極対や電圧供給手段などを内蔵するように構成すると、更に、装置構成を簡略化させることができる。
前記目的を達成するために請求項18に係る発明は、被記録媒体上に記録液を用いて画像を記録する画像記録装置であって、電気粘性効果を有する記録液を液滴化させて吐出させる記録ヘッドと、前記記録ヘッドから吐出された記録液滴によって、前記記録ヘッドと対向する位置に画像を形成する中間転写媒体と、前記中間転写媒体に配設され、前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴へ電界を与え、正の電極及び負の電極から成る電極対と、前記電極対に所定の電圧を供給する電圧供給手段と、前記中間転写媒体上に形成された画像を被記録媒体上へ転写する転写手段と、前記転写手段によって前記被記録媒体へ画像が転写された後に、前記被記録媒体上に転写された画像を形成する記録液滴に前記被記録媒体への定着処理を施す本定着手段と、を備えたことを特徴とする。
中間転写媒体上では電気粘性効果によって記録液滴の形状を維持し、中間転写媒体から被記録媒体へ画像の転写が行われた後は、本定着手段によって定着処理が施されるので、被記録媒体上には、にじみ、むら、混色などが回避された好ましい画像を記録することができる。
記録ヘッドは、各色に対応した複数の記録ヘッドを有していてもよい。
本発明によれば、吐出ヘッドから中間転写媒体上に吐出された電気粘性効果を有する記録液滴に付与する電界を発生させる電極対と、中間転写媒体から被記録媒体へ中間転写媒体上に着弾した記録液滴を転写した後に、該記録液滴を被記録媒体へ本定着させる本定着手段を備えたので、中間転写媒体上における着弾干渉を電気粘性効果によって回避し、被記録媒体上におけるにじみ等を本定着手段による本定着処理で回避することができる。
以下、図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔本発明に係るインクジェット記録装置の全体構成〕
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色(C、M、Y、B)ごとに設けられた印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bを有する印字部12と、各印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bから吐出され着弾したインク滴16を保持し、その表面(印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bのインク吐出面と対向する位置)上に画像が形成される中間転写ドラム18 (中間転写媒体)と、中間転写ドラム18上に形成された画像を記録紙20(被記録媒体)に転写する転写ローラ22(転写手段)と、記録紙20上に転写された画像を構成するインク滴を記録紙20に本定着処理を施す本定着部として機能する紫外線光源(UV光源)24 (本定着手段)と、インク滴の定着が完了した印字済みの記録紙20(プリント物)を外部に排出する排出部26と、排出部26から排出されたプリント物を収容する排紙トレイ27と、を備えている。また、図1には示さないが、本画像の排出部26には、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
なお、ここでいう画像は、文字、記号、線(線画)などを含む広い意味での画像を示している。
印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bから吐出されるインクは電気粘性効果(ER効果)を有するインクであり、中間転写ドラム18の印字可能領域に着弾したインク滴16は、中間転写ドラム18に設けられた複数の電極対28に高圧電源(図1中不図示、図5中符号94として記載)より数キロVから数十キロVの高電圧を印加して得られる電界を与えることでER効果を発現し、擬似増粘する。
ER効果を有するインク(以下、ERインク又は単にインクと記載)には、分散型インクや均一系インクといった、その構成が異なる複数の種類があるが、本インクジェット記録装置10には何れの種類のERインクを用いてもよい。
インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッドに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは不図示の管路を介して各印字ヘッドと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
中間転写ドラム18は不図示の回動機構によって回動可能に構成されている。中間ドラム回動機構はステッピングモータやサーボモータなどの位置制御及び速度制御が可能なモータ(図5の符号88等)、該モータから発生される駆動力を伝達するベルト、プーリーギアなどの動力伝達部材などによって構成されている。
また、中間転写ドラム18には、各印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bに対応して印字可能領域が設けられている。該印字可能領域は、各印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bから吐出されたインク滴に対して所定の親インク性を有する部材によって構成され、また、記録紙20へ転写を行う際に好ましい転写性及び剥離性を有している。
印字部12の中間転写ドラム18の回動方向(図1中、矢印線で示す時計回り方向)の下流側には、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴16を中間転写ドラム18上で予備定着させる予備定着部30が備えられ、更に、その下流側には中間転写ドラム18上に形成された画像(印字結果)を読み取る印字検出部32を備えている。
印字検出部32は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
本例の印字検出部32は、少なくとも各印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bによるインク吐出幅よりも幅の広い受光素子列を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、赤(R)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたRセンサ列と、緑(G)の色フィルタが設けられたGセンサ列と、青(B)の色フィルタが設けられたBセンサ列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が二次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
中間転写ドラム18が転写ローラ22と記録紙20を介して接する転写部34において、転写ローラ22を反時計回り(図1中、矢印線kで示す方向)に回動させながら、転写ローラ22を中間転写ドラムに押圧させることで、中間転写ドラム18上に形成された画像が記録紙20の印字面に転写される。
記録紙20は給紙部36から転写部34へ供給される。給紙部36にはロール紙(連続用紙)のマガジンを用いる態様や、カット紙が積層充填されたカセットを用いる態様などがある。紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンやカセットを併設してもよいしロール紙のマガジンとカット紙のカセットとを併用してもよい。
複数種類の記録紙を利用可能な構成にした場合、紙の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される用紙の種類を自動的に判別し、用紙の種類に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部にロール紙のマガジンを用いる態様では、給紙部から送り出される記録紙20はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部(不図示)を備え、マガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム(不図示)で記録紙20に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、不図示の裁断用のカッターが設けられ、該カッターによってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、該カッターは不要である。
記録紙20が転写部34を通過すると、記録紙20上に転写された画像を構成するインク滴42にはUV光源24によって記録紙20への本定着処理が施される。本例では、本定着処理にはUV光源が適用され、印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bから吐出されるインクにはUV硬化型インクが適用される。
即ち、本インクジェット記録装置10には、UV硬化型インクに無機微粒子を混合したER効果を有するUV効果型インクが用いられる。
本実施形態では、UV硬化型のインクにER効果を持たせるようにしているが、このようなインクの製造方法としては、例えば、少なくとも放射線硬化モノマー、重合開始剤を含む液体に固体微粒子(シリカゲル、澱粉、デキストリン、カーボン、石膏、ゼラチン、アルミナ、セルロース、マイカ、ゼオライト、カオライト等)を分散させる方法や、顔料微粒子そのものを電気粘性効果の分散剤として利用する方法や、染料または顔料をマイクロカプセル化し、その表面を絶縁処理することにより電気粘性効果の分散剤として利用する方法、或いは、均一系電気粘性流体を混合させる方法などが考えられる。
なお、本定着処理に用いられる光源はUV光源に限定されず、電子線(EB光)、赤外線など他の周波数を有する光源 (放射線源、輻射線源)を用いてもよい。
また、UV光源24に代わり熱や送風によって画像面を乾燥させる加熱ファンを用いてもよいし、浸透系インクを用いる場合のインク溶媒の浸透を促進させる手段を用いてもよい。また、これ以外にも、熱硬化型インクを硬化させるヒータ、ソリッドインクを冷却等によって固化させる手段、化学反応によりインク滴を固化させる手段などを適用可能である。
なお、必ずしも本定着処理によってインクを完全に定着させる(反応が完了した状態にする)必要はなく、その後の工程 (下流側の工程)のハンドリングによって画像劣化が起こらない程度にインク滴を硬化、浸透させればよい。
ここでいうハンドリングとは[1]搬送時のローラやガイド等と画像面との擦れ、[2]ストッカー(プリント集積部)におけるプリント同士の擦れ、[3]仕上ったプリントを実際に取り扱うときに種々の物体による擦れ、などを意味している。
一方、転写部34の中間転写ドラム回動方向(進行方向)下流側(印字部12の上流側)には、中間転写ドラム18の印字可能領域を有する面に残留したインク滴や付着したごみなどの異物を払拭除去(かき取り除去)するクリーニングブレード44と、除去したインク滴や異物を回収する回収トレイ46と、を備えている。
クリーニングブレード44はゴムなどのインク滴及び異物除去性のよい部材で構成される。なお、クリーニングブレード44に代わり、又は併用して多孔質部材からなるスポンジなどを備え、残留したインク滴を吸液除去するように構成してもよい。
ここで、クリーニングブレード44によってインク滴の除去が行われる際には、電極対28から発生される電界をオフし、中間転写ドラム18の表面にあるインク滴の粘度を下げるように制御すると、クリーニング性能(インク滴などの除去性能)を向上させることができて好ましい。
即ち、印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bによって印字が行われ、転写部34において中間転写ドラム18から記録紙20への転写が行われるまでの期間(図1中、1点破線A〜Aで示す領域)は、電極対28から発生される電界をオンにし、クリーニングブレード44によって残留インク滴及び異物の除去が行われるクリーニング期間(図1中、1点破線B〜Bで示す領域)は、電極対28から発生される電界をオフにするように電界のオンオフ制御が行われる。
〔印字ヘッドの構造〕
次に、図2乃至図4を用いて印字部12の詳細構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図2は、印字部12の上面側から印字部12を見た図であり、印字部12の平面構造を示す平面図である。
図2に示すように、印字部12は、最大紙幅及び中間転写ドラム18の幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを中間転写ドラム18の外周方向(印字可能領域の進行方向、図2中、矢印線で図示)と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。各印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bは、中間転写ドラム18の幅を超える長さにわたってノズルが複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。なお、中間転写ドラム18の幅は、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの記録紙20の少なくとも一辺を超える長さを有している。
中間転写ドラム18の外周方向に沿って上流側からシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(B)の順に各色インクに対応した印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bが配置されている。中間転写ドラム18上の印字可能領域が外周方向に移動するように中間転写ドラム18を回動しつつ各印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bからそれぞれ色インクを吐出することにより中間転写ドラム18の印字可能領域にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色ごとに設けられてなる印字部12によれば、副走査方向について中間転写ドラム18と印字部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(即ち、1回の副走査で)、中間転写ドラム18の印字可能面の全面に画像を記録するシングルパス印字を行うことができる。これにより、印字ヘッドが主走査方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、本例では、CMYBの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。
図3(a) は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図3(b) はその一部の拡大図である。また、図3(c) は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図3(a) 、(b) 中の4−4線に沿う断面図)である。
中間転写ドラム18及び記録紙20に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図3(a) 〜(c) 及び図4に示したように、インク滴が吐出されるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリックス状に配置させた構造を有し、これにより見かけ上のノズルピッチの高密度化を達成している。
即ち、本実施形態における印字ヘッド50は、図3(a) 、(b) に示すように、インクを吐出する複数のノズル51が中間転写ドラムの外周方向と略直交する方向に中間転写ドラム18の全幅に対応する長さにわたって配列された1列以上のノズル列を有するフルラインヘッドである。
また、図3(c) に示すように、短尺の2次元に配列された印字ヘッド50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、中間転写ドラム18の全幅に対応する長さとしてもよい。
図4に示すように、各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。
圧力室52の天面を構成している加圧板 (振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53は図3(b) に示すように、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
すなわち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。例えば、主走査方向にノズル列が1列配置されていてもよいし、副走査方向に複数のノズルを有する配置でもよい。
また、本例ではアクチュエータ58の変形によって圧力室52内のインクに吐出力を与える方式を示したが、圧力室52(インク室)内にインクを加熱するヒータを備え、インクを加熱して得られるバブルの圧力によってインクを吐出させるサーマル方式を用いてもよい。
〔ノズルのメンテナンスの説明〕
次に、本インクジェット記録装置10のノズルメンテナンスについて説明する。
一般に、インクジェット記録装置では、印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。また、ノズル51内のインクにER効果が発現した結果、ノズル内のインク粘度が上昇してしまうことがある。このような状態になると、アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(アクチュエータ58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)アクチュエータ58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべく不図示のキャップ(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
更に、図1〜3に示す、印字検出部32の検出結果に基づいて各ノズルの吐出異常を判断し、吐出異常と判断されたノズルを対象に予備吐出が行われる。
一方、印字ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、アクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出させることができなくなる。このような場合には印字ヘッド50に前記キャップを当て、吸引ポンプ (不図示)で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク(不図示)へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
〔制御系の説明〕
図5はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、中間転写ドラム18の回動機構、記録紙20の搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
なお、図5に示すモータドライバ76及びモータ88には、複数のモータドライバ及びモータが含まれている。例えば、モータ88には、中間転写ドラム18を回動させるモータや、記録紙20を搬送する吸着ベルト搬送部36に用いられるモータ、転写ローラ22を回動させるモータなどを含んでいる。
画像メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、画像メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって予備定着部30等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成したドットデータをヘッドドライバ84に印加する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいてヘッドドライバ84を介して印字ヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図5において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
画像メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータ(画像情報)に変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをCMYBの4色のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
ヘッドドライバ84はプリント制御部80から与えられるドットデータに基づいて各色の印字ヘッド12C、12M、12Y、12Bのアクチュエータ58を駆動する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
プログラム格納部90には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部90はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。
なお、プログラム格納部90は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
印字検出部32は、図1で説明したように、ラインセンサを含むブロックであり、記録紙20に印字された画像を読み取り、所定の信号処理を行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつきなど)を検出し、その検出結果をプリント制御部80に提供する。
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部32から得られる読取情報に基づいて印字ヘッド50に対する各種補正を行う。
電圧制御部92は、システムコントローラ72からの指令に応じて電極対28に印加される電圧の供給源である高圧電源94の制御(オンオフ制御、出力電圧可変制御等)を行う。印字ヘッド50によって中間転写ドラム18上に印字が行われると、高圧電源94から電極対28へ数キロVから数十キロVの電圧が印加され、電極対28に発生した電界が中間転写ドラム18の上に着弾したインク滴(図1の符号16)に作用して、該インク滴にER効果が発現する。
また、システムコントローラ72は、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴 (図1中、符号16で図示)の表面層を硬化或いは増粘させる予備定着部30の制御及び、中間転写ドラム18から記録紙20に転写されたインク滴(図1中、符号42で図示)を記録紙20に本定着処理を施すUV光源24のオンオフ制御や光量制御などを行う。なお、UV光源24の制御及び予備定着部30の制御の詳細は後述する。
〔電極対の説明〕
次に、図6及び図7を用いて電極対28の構造について詳説する。
図6は、電極対28が設けられた中間転写ドラム18を示す斜視図であり、図7は、図6に示した電極対28の一部を拡大した拡大図である。
図6に示すように、中間転写ドラム18の表面側(画像形成面側)には、正の電極100及び負の電極102から成り、図7に示すように、正の電極100及び負の電極がそれぞれ櫛歯状の形状を有する複数の電極対28が設けられている。
本例に示す正の電極100及び負の電極102の櫛歯状形状は、図7における上方向及び下方向の両方向に櫛歯部100A及び102Aを有する十字形状となっており、これは、いわゆる櫛歯状形状の電極を2つ合わせたような構造になっている。
もちろん、図7の上側或いは下側の何れか一方の側のみに櫛歯部100A及び102Aを有する形状でもよいが、正の電極100及び負の電極102をできるだけ密に配置するためには、図7に示すように、上側及び下側の両方に櫛歯部100A及び102Aを有する態様が好ましい。
また、図7には、外周方向に隣り合う正の電極100の櫛歯部100Aは幅方向に同位相となる態様を示したが、これらは幅方向の位相がずれていてもよい。同様に、外周方向に隣り合う負の電極102の櫛歯部102Aも幅方向に位相がずれていてもよい。
なお、正の電極100は負の電極102に対して相対的に高い電位となり、正の電極100の電位Vp 、負の電極102の電位Vn 、正の電極100及び負の電極102間の電位差(電圧)Vとの関係は、次式〔数1〕を満たしている。
〔数1〕
V=Vp −Vn (但し、V>0)
例えば、Vn =0V(GND )として、Vp はER効果を発現させることができる所定の電
位としてもよいし、Vn を負の電位として電位差VがER効果を発現させることができる所
定の電位差となるようなVp としてもよい。
言い換えると、電位差Vがインク滴に対してER効果を発現させるだけの電界を発生させ
ることができればよく、正の電極100の電位Vp 及び負の電極102の電位Vn は正の
電位、0V(GND )、負の電位の何れでもよい。
本実施形態に示す電極対28は、中間転写ドラム18の幅方向には印字ヘッド50の吐出可能幅と略同一或いは印字ヘッド50の吐出可能幅よりも大きい幅を有し、また、中間転写ドラム18の外周方向の全面にわたって配設されており、この電極対配設領域が印字可能領域となる。
また、中間転写ドラム18に設けられた複数の正の電極100は、その端部で接続される構造を有している。同様に、中間転写ドラム18に設けられた複数の負の電極102も、その端部で接続される構造を有しており、このように正の電極100及び負の電極102を構成すると、正の電極100及び負の電極102へ電圧を印加する給電部を少なくともそれぞれ1ヶ所備えればよく、給電部の構造を簡略化することができる。
図7に示すように、電極対28は、中間転写ドラム18の外周方向には、正の電極100と、負の電極102と、を交互に配設した構造を有し、中間転写ドラム18の幅方向には正の電極100の櫛歯部100Aと、負の電極の櫛歯部102Aと、を交互に配設した構造を有している。
本例に示す電極対28は、中間転写ドラム18の外周方向の電極間距離Pr 、中間転写ドラム18の幅方向の電極間距離Pw 、中間転写ドラム18上に着弾したインク液滴の液滴径(直径)の最小値Dとの関係が、次式〔数2〕及び〔数3〕を共に満たす構造を有している。
〔数2〕
Pw ≦D
〔数3〕
Pn ≦D
即ち、正の電極100及び負の電極102の電極間距離は、中間転写ドラム18の外周方向及び幅方向共に、中間転写ドラム18上に着弾するインク滴の液滴径の最小値Dよりも小さくなる構造を有しているので、中間転写ドラム18上に着弾するインク滴の1滴ごとに安定した電界を作用させる(安定した微弱電流を流す)ことができ、インク滴1滴ごとに確実にER効果を発現させることができる。
なお、正の電極100及び負の電極102間に発生される電界強度は、上述した中間転写ドラム18の外周方向の電極間距離Pr 及び幅方向の電極間距離Pw と反比例の関係にある。即ち、正の電極100及び負の電極102間に供給される電圧が等しい場合、正の電極100と負の電極102との間の距離が小さいほうが電界強度は大きくなる。したがって、上述した中間転写ドラム18の外周方向の電極間距離Pr 及び幅方向の電極間距離Pw は小さいことが好ましく、0.1〜2mm程度であることがより好ましい。
また、正の電極100の電極幅W1 及び負の電極102の電極幅W2 が狭い方が、正の電極100及び負の電極102間に発生する電界の強度が一様となり、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴に対する電気粘性効果が大きくなり、好ましい。
正の電極100の電極幅W1 及び負の電極102の電極幅W2 が広い場合、正の電極100及び負の電極102間に発生する電界の電気力線の中間転写ドラム18表面の鉛直成分が大きくなってしまい、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴に対して十分な電気粘性効果を得ることができない。
したがって、正の電極100の電極幅W1 及び負の電極102の電極幅W2 は狭いことが好ましく、0.01mm〜1mm程度であることがより好ましい。
なお、図7では、中間転写ドラム18の外周方向の電極間距離Pr 及び幅方向の電極間距離Pw が異なる距離となる態様を示したが、これらは同一の距離でもよい。また、正の電極100の電極幅W1 及び負の電極102の電極幅W2 は同一幅でもよいし、異なる幅でもよい。
図8には、図5に示した高圧電源94の配置例を示す。図8には、高圧電源94は中間転写ドラム18の内部に組み込まれる態様を示す。
図8に示すように、中間転写ドラム18には、正の電極100及び負の電極102から構成される電極対28に電圧を印加する高圧電源94を内蔵し、中間転写ドラム18の外部にある不図示のDC電源からDCカップリング120を介して高圧電源94の主電源(+DC)を供給する態様がある。
図8に示すように構成すると、数キロVから数十キロVの高電圧を伝送する配線を中間転写ドラム18に配設できると共に該配線の長さが短くなるので、感電などの人体への危険を防止して安全性が向上し、該配線から放射される輻射ノイズを減らすことで耐ノイズ性が向上する。更に、耐ノイズ性を向上させるために、該配線にはシールド処理を施すとよい。
図9(a) には、図6、図8等に示した中間転写ドラム18の断面構造を示している。
図9(a) によれば中間転写ドラム18の表面側の絶縁性素材(絶縁層)140上には導電性皮膜層(電極層)142が形成され、エッチング等によってパターニングされて、正の電極100及び負の電極102から構成される電極対28が形成される。
また、電極層142のうち、正の電極100と負の電極102との間の電極が形成されない導電性部材が除去された部分には絶縁部材144が設けられ、正の電極100及び負の電極102間の絶縁性能が確保される。
また電極層142には微小な導電性を有する薄層である微導電層146が積層されており、この微導電層146の電極層142と反対側の面146Aは、印字ヘッド50から吐出されるインク滴が着弾する着弾面として機能する。
即ち、微導電層146の電極層142と反対側の面は印字ヘッド50のインク吐出面と対向し、印字ヘッド50から吐出されるインク滴160が着弾し、画像が形成される画像形成面となる。
なお、インク滴着弾面である微導電層146の電極層142と反対側の面146Aは、インク滴との接触角が45度以上の物性を有することが好ましい。微導電層146の電極層142と反対側の面146Aに、インクとの接触角が45度以上となる物性を有する部材を含んだインク着弾層を微導電層146に積層させてもよい。
本例における微導電層146の電気抵抗率は10の8乗〜10の12乗Ωcmであることが好ましく、また、微導電層146の厚みは、0.01mm〜1mm程度であることが好ましい。
〔ER効果の説明〕
本インクジェット記録装置10には、UV硬化型インク(非導電性溶媒)162に無機微粒子色材164を混合させたインクが用いられる。図9(a) に示すように、正の電極100及び負の電極102間に電圧が印加されない状態(或いは、所定の電圧よりも小さい電圧が印加される状態)において、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴160内の無機微粒子色材164は非導電性インク溶媒162内に分散した状態で存在する。
ここで、図9(b) に示すように、図5に示した高圧電源94から正の電極100及び負の電極102間に所定の電圧を印加すると、正の電極100から負の電極102へ向かう2点破線で示した電界(電気力線)180が発生し、インク溶媒162内の無機微粒子色材164は誘電分極し、電気力線180に沿って配列をなし、インク滴160内に微少電流が発生する。なお、図9(b) には、正の電極100及び負の電極102間に発生する電界を示す電気力線の一部を示している。
このようにインク溶媒162内において、無機微粒子色材164が電気力線180に沿って配列されると、インク滴160の粘度が擬似的に増加してインク滴160の着弾時の形状が保持される。
ここで、インク滴の合一について説明する。
図10(a) に示すように、先に中間転写ドラム18上に着弾したインク滴200と重なるように(少なくとも接するように)中間転写ドラム18上に着弾したインク滴202は、表面張力によって先に着弾しているインク滴200の方向(図10中矢印線で示すxの方向)へ引き寄せられて合一し、図10(b) の実線204に示すように扁平した形状のインク滴(ドット)が形成される。
このような形状を有するインク滴(ドット)が形成されると、画像上のむらや筋として視認され易くなり、画像品質を低下させてしまう。
したがって、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴200及びインク滴202に電界を付与してER効果を発現させ、インク滴200及びインク滴202を擬似増粘させて、図10(b) の破線に示すインク滴200及びインク滴202の着弾直後の形状を保持することで、図10(b) に示すインク滴の合一 (着弾干渉)を抑制し、好ましい画像を得ることができる。
本インクジェット記録装置10では、ER効果を安定して発現させるために、中間転写ドラム18上のインク滴量に応じて電極対28に印加する電圧を可変させるように制御を行う。
即ち、電極対28(正の電極100及び負の電極102間)に流れる電流A、中間転写ドラム18上のインク体積Vから求められる単位体積当たりのインク滴に流れる電流A/Vが一定になるように電極対28に印加する電圧を可変させる。なお、中間転写ドラム18上のインク体積は、(インク滴サイズ)×(インク滴数)で表され、インク滴サイズがほぼ一定の場合には、インク滴数Nを用いて、A/N(インク滴1滴あたりに流れる電流)が一定になるように電極対28に印加する電圧を制御してもよい。
なお、ER効果は電界を付与すると直ちに発現し、電界を遮断すると直ちに消滅する性質を有しており、少なくとも、印字ヘッド50から吐出されたインク滴が中間転写ドラム18上に着弾すると略同時のタイミングから電界を発生させ、図1に示す転写部34において中間転写ドラム18から記録紙20への転写が完了するタイミングまで電界を維持する必要がある。
したがって、図1に示す電界付与領域(図1中、1点破線A〜Aで示す領域)は印字部12よりも中間転写ドラム進行方向上流側の位置から、転写部34よりも中間転写ドラム進行方向下流側の位置までとなっている。これは、実際に中間転写ドラム18上にインク滴が存在する領域よりも少し大きくなるように電界付与領域が決められていることを示している。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10では、印字部12(印字ヘッド50)からER効果を有するインクを中間転写ドラム18上へ吐出させ、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴には中間転写ドラム18に備えられた電極対28から発生される電界が付与されて、中間転写ドラム18上のインク滴は擬似増粘される。
この状態を保持したまま、転写部34では転写ローラ22を用いて中間転写ドラム18上の画像(インク滴)を記録紙20に転写し、転写部34の記録紙20の進行方向下流側の直後に設けられたUV光源24によって記録紙20上のインク滴にはUV硬化処理(本定着処理)が施される。
したがって、中間転写ドラム18上ではER効果によってインク滴同士の合一(着弾干渉)が回避され、記録紙20への転写直後にUV硬化処理を施されるので、にじみ、混色等の画像劣化が回避され、記録紙20上には好ましい画像が形成される。
本実施形態では、印字ヘッドからインク滴を吐出されるドラム形状を有する中間転写媒体を示したが、ドラム形状以外にもベルト形状や他の形状を適用可能である。
〔変形例〕
次に、図6に示した、中間転写ドラム18に配設された電極対28の変形例を説明する。
図11に示す電極対28は、中間転写ドラム18の外周方向に分割される構造を有している。言い換えると、電極対28は外周方向に複数の電極対ブロック28A、28B、28C、28D、…、を有している。
各電極対ブロックには、共通の高圧電源94から電圧が供給されるように構成されており、電極ブロックごとに高圧電源94から供給される電圧のオンオフを切り替えるスイッチ部210を備えている。
したがって、中間転写ドラム18の回動速度(回動制御)に応じて各電極対ブロックへの電圧供給のオンオフを制御することが可能である。
例えば、クリーニングブレード44が中間転写ドラム18の表面に当接される領域を含んだクリーニング領域では、該当する電極対ブロックの電圧供給を遮断する(電圧供給をオフにする)ように制御すると、クリーニング領域における残留インク滴を除去し易くなり、クリーニングブレード44による清掃効率の向上が見込まれる。また、電界を付与しないことで低粘度のインクとなるので、電極対28及びクリーニングブレード44の磨耗を抑制することができ、クリーニングブレード44の耐久性を向上させることができる。
なお、各電極対ブロックの外周方向の長さyは、上述したクリーニング領域の外周方向に沿った方向の距離よりも小さくする態様が好ましい。
図12には、上述した電極対ブロック28A、28B、…、の詳細構造を示す。図12には複数の電極対ブロックのうち、2つの電極対ブロック28A及び28Bのみを示している。なお、各電極対ブロックはそれぞれ同一の構造を有しており、ここでは、各電極対ブロックの説明にはこれらを代表して電極対ブロック28Aを用いることとする。
図12に示すように、電極対ブロック28Aは、図7に示した電極対28と同様に、正の電極100と負の電極102から成り、正の電極100及び負の電極102は、それぞれ櫛歯部100A及び櫛歯部102Aを有する櫛歯状の形状を有している。
また、外周方向には正の電極100及び負の電極102が交互に配設され、幅方向には正の電極100の櫛歯部100A及び負の電極102の櫛歯部102Aが交互に配設されている。なお、各電極対ブロック間の距離は所定の絶縁性能を保持できる距離であればよく、正の電極100及び負の電極102間の距離と同様に0.1〜2mm程度である。
本例では、各電極対ブロックが同一形状(サイズ)及び同一構成である態様を示したが、これらは異なる形状を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。また、各電極対ブロックには共通の高圧電源から同一電圧が供給される態様を示したが、電極対ブロックごとに異なる高圧電源を備えてもよいし、更に、供給電圧を可変可能な高圧電源を備え、電極対ブロックごとに異なる電圧を印加するように構成し、強度の異なる電界を発生させてもよい。
〔インク滴のコントロール〕
次に、図13及び図14を用いて、本実施形態に係るインク液滴のコントロールについて説明する。
図13(a) に示す、中間転写ドラム18上に着弾した2つのインク滴300及びインク滴302は、ER効果の作用によって着弾時の形状を保持したまま合一(一体化)し、合一したインク滴304が形成される。
このように形成されたインク滴304の表面は凹凸形状となる。なお、図13に示すインク滴304は、凹部の高さがh1 、凸部の高さがh2 となっている。
一方、インク滴に作用させる電界強度を可変させ、インク滴の表面張力とのバランスをとるようにインク滴の粘度を制御すると、インク液滴の凹凸を制御することができる。
例えば、図13(b) に示すように、インク滴300及びインク滴302が合一して形成されたインク滴304の凹凸をインク滴の高さがh1 ’になるようにレベリングすることができる。
このようにして中間転写ドラム18上のインク滴の凹凸形状を制御することで、記録紙20に転写した後の記録紙20の表面状態(グロッシー、マット)をコントロールすることが可能である。
ここで、電界強度を可変させるには、電極対28に供給する電圧を可変させる電圧可変制御を適用してもよいし、インク滴の合一時間よりも短い周期で電極対28に供給する電圧をオンオフさせるPWM制御(ディユーティ制御)を用いてもよい。
次に、図14を用いて、本例における予備定着処理について説明する。
図1に示すように、印字部12と転写部34との間には、予備定着部30が備えられており、図14に示すように、中間転写ドラム18上に着弾したインク滴400及びインク滴410の表面層402、412を硬化させる。
このようにして、中間転写ドラム18上のインク滴400及びインク滴410を予備硬化させることで、中間転写ドラム18に形成された画像を記録紙20へ転写させた直後に、記録紙20上で起こるインク滴の合一を回避することができる。
なお、予備定着処理(予備定着工程)では、記録紙20上においてインク滴の合一が起こらない程度にインク滴の表面層を硬化或いは増粘させればよく、あまり硬化を進行させるとインク滴410と中間転写ドラム18との剥離性が悪くなり、記録紙20への転写性も悪くなる。
予備定着部30には、本定着処理と同じくUV光源を用いてもよいし、ヒータ等の加熱手段を用いてもよい。
次に、本インクジェット記録装置10の本定着処理について説明する。
図15は、図1に示した転写部34及び本定着部であるUV光源24の周辺を拡大した図であり、UV光源24と記録紙20の搬送制御との関係を示している。
図15に示すように、記録紙20の搬送速度u、転写部34の転写位置からUV光源24によるUV光源の照射終了位置までの記録紙搬送路上の長さs、記録紙20のインク滴の浸透時間Tは、次式〔数4〕を満たすように構成されている。
〔数4〕
s/u<T
即ち、記録紙20のインク滴の浸透時間Tよりも、記録紙20の搬送速度u及びUV光照射領域の長さsから求められる本定着処理時間T’(=s/u)が短くなるように、記録紙20の搬送速度uが制御される。
なお、ここでいうインク滴の浸透時間Tとは、記録紙20上からインク滴の溶媒がなくなる(一次浸透)までの時間を示す。
〔数4〕に示す関係を満たすように本定着処理時間T’を制御することで、記録紙20上に形成される画像のにじみを回避すると共に、記録紙20上のインク滴(ドット)の凹凸をコントロールさせることができる。
なお、転写部34の直後から記録紙20にUV光を照射する態様が好ましく、UV光照射領域は転写部34の直後から記録紙20の進行方向下流側に設けられている。ここでいう転写部34の直後には転写部34を含んでいてもよい。
なお、〔数4〕に示す長さsをUV光源24のUV光照射領域(本定着処理領域)の長さとしてもよい。
記録紙20の種類(メディア種)とインクの種類の組み合わせによって浸透時間Tは異なるので、予め、記録紙20の種類及びインクの種類の組み合わせごとに浸透時間Tを求め、これをデータテーブル化して記録しておき、記録紙20の種類及びインクの種類に合わせて該データテーブルから浸透時間Tを読み出すように構成してもよい。
更に、環境(温度、湿度等)ごとに複数のデータテーブルを用意し、環境に合わせて参照するデータテーブルを変更するとよい。なお、該データテーブルを記録するメモリには、図5に示した画像メモリ74や画像バッファメモリ82を用いてもよいし、図5には図示されていないメモリを用いてもよい。
本例では、記録紙20の搬送速度uを制御して本定着処理時間T’を可変させる態様を示したが、記録紙20の搬送速度uの制御に代わり、又はこれと併用してUV光源の光量(UV光の強度)を制御してもよい。
本実施形態では、ER効果を有するインクを用い、中間転写ドラム上のインク滴に電界を付与することで、該インク滴に粘度をコントロールする態様を示したが、ワックスインクなどの相変化型インクを用い、中間転写ドラム18のインク着弾面の温度を可変させてインクの粘度(状態)をコントロールしてもよい。
また、中間転写ドラム18に備えた電極対28に代わりヒータを備え、中間転写ドラム18上のインク滴の合一が起こらないように中間転写ドラム18の温度を制御してもよい。
更に、記録紙20の温度制御を行うヒータを備え、転写部34において中間転写ドラム18から記録紙20への転写に好ましい転写効率のよい温度に中間転写ドラム及び記録紙20の温度を制御してもよい。
また、クリーニング領域では中間転写ドラム上の残留インク及び異物を除去しやすいように中間転写ドラム18及びクリーニングブレード44の温度を制御してもよい。
これらの温度制御をER効果と併用することで、中間転写ドラム18上のインク滴や記録紙20上のインク滴の状態を確実にコントロールすることができる。
本実施形態では、印字ヘッドに備えられたノズルから吐出されるインクによって記録メディア上に画像を記録するインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、被吐出媒体(ウエハ、プリント基板等)上に液体(水、処理液、レジスト等)を吐出させる液体吐出装置(ディスペンサ等)にも広く適用可能である。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の基本構成図 図1に示したインクジェット記録装置の印字周辺の要部平面図 印字ヘッドの構造例を示す平面透視図 図3の4−4断面に沿った断面図 本実施形態に係るインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 図1に示した電極対の立体構造を示す斜視図 図6に示した電極対の平面構造を示す平面図 図6に示す電極対及び高圧電源の配置例を示す図 電気粘性効果を説明する概念図 インク滴の合一を説明する概念図 図6に示す電極対の変形例を示す斜視図 図11に示す電極対ブロックの平面構造を示す平面図 インク滴にレベリングを説明する図 図1に示す予備定着部による予備定着処理を説明する図 図1に示す本定着部の詳細を示す拡大図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12C,12M,12Y,12B,50…印字ヘッド、18…中間転写ドラム、20…記録紙、22…転写ローラ、24…UV光源、28…電極対、30…予備定着部、44…クリーニングブレード、72…システムコントローラ、80…プリント制御部、92…電圧制御部、94…高圧電源、210…スイッチ部

Claims (18)

  1. 電気粘性効果を有する記録液を液滴化させて吐出させる吐出ヘッドと、
    前記吐出ヘッドと対向する位置に前記吐出ヘッドから記録液滴を吐出される中間転写媒体と、
    前記中間転写媒体に配設され、前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴へ電界を与える、正の電極及び負の電極から成る電極対と、
    前記電極対に所定の電圧を供給する電圧供給手段と、
    前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴を被記録媒体上へ転写する転写手段と、
    前記転写手段によって前記被記録媒体へ記録液滴が転写された直後から前記被記録媒体上に転写された記録液滴に前記被記録媒体への定着処理を施す本定着手段と、
    を備えたことを特徴とする吐出装置。
  2. 前記電極対は、前記中間転写媒体の前記吐出ヘッドから吐出された記録液滴が着弾する領域に対応して配設されることを特徴とする請求項1記載の吐出装置。
  3. 前記電圧供給手段から電極対へ供給する電圧を可変制御する電圧制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の吐出装置。
  4. 前記電極対は、前記正の電極及び前記負の電極をそれぞれ複数備え、前記電極対の少なくとも一部は前記正の電極と前記負の電極とを交互に配設する構造を有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の吐出装置。
  5. 前記電極対を構成する前記正の電極及び前記負の電極の平面形状は、それぞれ複数の櫛歯部を有する略櫛歯状であって、
    前記電極対は、前記正の電極の櫛歯部と前記負の電極の櫛歯部とを交互に配設した構造を有することを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  6. 隣り合う前記正の電極と前記負の電極との間隔P、前記吐出ヘッドから吐出される記録液滴の前記中間媒体上の最小記録液滴径Dは、次式
    P≦D
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  7. 前記吐出ヘッドと前記中間転写媒体とを相対移動させる移動手段を備え、
    前記電極対は、少なくとも一対の前記正の電極及び前記負の電極を備えた電極対ブロックを前記中間転写媒体の相対移動方向に複数並べた構造を有し、前記電圧制御手段から電圧を供給する前記電極対ブロックを選択的に切り換える切換手段を備えたことを特徴とする請求項3乃至6のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  8. 前記電圧制御手段は、前記切換手段によって選択された電極対ブロックの前記電圧供給手段から供給される電圧を可変制御することを特徴とする請求項7記載の吐出装置。
  9. 前記中間転写媒体上に吐出される記録液のデータに基づいて、前記中間転写媒体上の記録液滴量を予測する予測手段を備え、
    前記電圧制御手段は、前記予測手段によって予測された記録液滴量に応じて前記電圧供給手段から前記電極対へ供給される電圧を可変させる制御を行うことを特徴とする請求項3乃至8のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  10. 前記転写手段によって前記被記録媒体上に画像が転写された後に前記中間転写媒体上に残留する記録液を除去するクリーニング手段を備えたことを特徴とする請求項7乃至9のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  11. 前記電圧制御手段は、前記クリーニング手段によって前記中間転写媒体上に残留する記録液の除去処理が行われる際に、前記電極対に電圧を供給しないように前記電圧供給手段を制御することを特徴とする請求項10記載の吐出装置。
  12. 前記切換手段は、前記クリーニング手段による前記中間転写媒体上に残留する記録液の除去処理が行われるクリーニング領域に対応する前記電極対ブロックには前記電圧供給手段から電圧を供給しないように前記電圧供給手段から電圧を供給する前記電極対ブロックを切り換えることを特徴とする請求項11記載の吐出装置。
  13. 前記吐出ヘッドと前記転写手段との間に設けられ、前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴に予備定着処理を施す予備定着手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至12のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  14. 前記予備定着手段による前記中間転写媒体上の記録液滴に施される予備定着処理及び、前記電圧制御手段による前記電極対に供給する電圧の可変制御のうち、少なくとも何れか一方を用いて、前記中間転写媒体上の記録液滴の凹凸を制御することを特徴とする請求項13記載の吐出装置。
  15. 前記予備定着手段は、前記被記録媒体が記録液に対して非浸透性を有する場合には、前記中間転写媒体上の記録液滴の表面を硬化させることを特徴とする請求項13又は14記載の吐出装置。
  16. 前記被記録媒体を搬送する搬送手段を備え、
    前記本定着手段は、前記転写手段の前記搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記搬送手段の被記録媒体搬送速度u、前記転写手段による転写位置から前記本定着手段による定着処理終了位置までの前記搬送手段の搬送方向に沿った長さs、前記記録液の前記被記録媒体への浸透時間Tは、次式s/u<Tを満たすことを特徴とする請求項1乃至15のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  17. 前記中間転写媒体は円筒形のドラム形状を有することを特徴とする請求項1乃至16のうち何れか1項に記載の吐出装置。
  18. 被記録媒体上に記録液を用いて画像を記録する画像記録装置であって、
    電気粘性効果を有する記録液を液滴化させて吐出させる記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドから吐出された記録液滴によって、前記記録ヘッドと対向する位置に画像を形成する中間転写媒体と、
    前記中間転写媒体に配設され、前記中間転写媒体上に着弾した記録液滴へ電界を与え、正の電極及び負の電極から成る電極対と、
    前記電極対に所定の電圧を供給する電圧供給手段と、
    前記中間転写媒体上に形成された画像を被記録媒体上へ転写する転写手段と、
    前記転写手段によって前記被記録媒体へ画像が転写された後に、前記被記録媒体上に転写された画像を形成する記録液滴に前記被記録媒体への定着処理を施す本定着手段と、
    を備えたことを特徴とする画像記録装置。
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