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JP2005281467A - 高熱伝導性樹脂、および部材、ならびにそれらを用いた電気機器および半導体装置 - Google Patents

高熱伝導性樹脂、および部材、ならびにそれらを用いた電気機器および半導体装置 Download PDF

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JP2005281467A
JP2005281467A JP2004096865A JP2004096865A JP2005281467A JP 2005281467 A JP2005281467 A JP 2005281467A JP 2004096865 A JP2004096865 A JP 2004096865A JP 2004096865 A JP2004096865 A JP 2004096865A JP 2005281467 A JP2005281467 A JP 2005281467A
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filler
high thermal
resin
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thermal conductive
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JP2004096865A
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Tetsushi Okamoto
徹志 岡本
Toshimitsu Yamada
利光 山田
Hisashi Hirai
久之 平井
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Toshiba Corp
Toshiba Industrial Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Industrial Technology Corp
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Abstract

【課題】樹脂の粘度を下げ、生産性に優れ、かつ熱伝導率を向上させること。
【解決手段】高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーを、全体のフィラー量の50%以上含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高熱伝導性樹脂、および部材、ならびにそれらを用いた電気機器および半導体装置に関するものである。
従来から、高熱伝導性を有するフィラーを樹脂に含有して成る樹脂、ならびにそれを用いた各種部材においては、高熱伝導性フィラーの体積比率を増やすことによって、熱伝導率を向上させることを実現するようにしている。
そして、このような高い熱伝導率を必要する樹脂は、例えば半導体封止材料として用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−243774号公報
しかしながら、板材料の界面やクロスの隙間等の小さい隙間に樹脂を充填する際には、フィラー量を多くすると、粘度が上がるため、樹脂を十分に充填することができない。
そこで、このような場合には、溶剤を用いて粘度を下げる方法等が考えられるが、取り扱う材料によっては、溶剤によって材料の特性が低下する等の問題がある。
本発明の目的は、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ熱伝導率を向上させることが可能な高熱伝導性樹脂を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ熱伝導率を向上させることが可能な部材を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、小型化を図ることが可能な電気機器を提供することにある。
さらにまた、本発明の他の目的は、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ製造を容易とし、しかも高性能な半導体装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明では、高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーを、全体のフィラー量の50%以上含んで成る。
従って、請求項1に対応する発明の高熱伝導性樹脂においては、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーを、全体のフィラー量の50%以上含むことにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることができる。
また、請求項2に対応する発明では、高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下の高熱伝導性フィラーとを組み合わせてなり、さらに上記熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下のものを、全体のフィラー量の0〜30%含んで成る。
従って、請求項2に対応する発明の高熱伝導性樹脂においては、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下の高熱伝導性フィラーとを組み合わせてなり、さらに上記熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下のものを、全体のフィラー量の0〜30%含むことにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることができる。
さらに、請求項3に対応する発明では、高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなるものを含んで成る。
従って、請求項3に対応する発明の高熱伝導性樹脂においては、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなるものを含むことにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることができる。
さらにまた、請求項4に対応する発明では、高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなり、さらに上記球状のフィラーを、全体のフィラー量の0〜60%含んで成る。
従って、請求項4に対応する発明の高熱伝導性樹脂においては、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなり、さらに上記球状のフィラーを、全体のフィラー量の0〜60%含むことにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることができる。
一方、請求項5に対応する発明では、上記請求項3または請求項4に対応する発明の高熱伝導性樹脂において、球状のフィラーとしては、アルミナを用いて成る。
従って、請求項5に対応する発明の高熱伝導性樹脂においては、球状のフィラーとして、アルミナを用いることにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることができる。
また、請求項6に対応する発明では、上記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂において、高熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素を用いて成る。
従って、請求項6に対応する発明の高熱伝導性樹脂においては、高熱伝導性フィラーとして、窒化ホウ素を用いることにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることができる。
一方、請求項7に対応する発明の絶縁部材は、シート状またはテープ状の基材(例えば、クロスあるいは不織布)に、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を含有して成る。
また、請求項8に対応する発明の積層部材は、上記請求項7に対応する発明の絶縁部材を積層して成る。
従って、請求項7および請求項8に対応する発明の絶縁部材および積層部材においては、シート状またはテープ状の基材に、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を含有することにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の絶縁部材および積層部材を得ることができる。
一方、請求項9に対応する発明の絶縁部材は、鱗片状のフィラーをガラスクロスに接着して成るシート状またはテープ状の基材におけるガラスクロスの面に、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を含有して成る。
従って、請求項9に対応する発明の絶縁部材においては、鱗片状のフィラーをガラスクロスに接着して成るシート状またはテープ状の基材におけるガラスクロスの面に、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を含有することにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性であり、しかも接着層の接着力を低下させない絶縁部材を得ることができる。
また、請求項10に対応する発明の絶縁コイルは、上記請求項9に対応する発明の絶縁部材を、コイル本体の周囲に巻回し、硬化させて成る。
さらに、請求項11に対応する発明の電気機器は、上記請求項10に対応する発明の絶縁コイルを備えて成る。
従って、請求項10および請求項11に対応する発明の絶縁コイルおよび電気機器においては、上記請求項9に対応する発明の絶縁部材を、コイル本体の周囲に巻回し、硬化させることにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性であり、しかも高い絶縁破壊電圧を持つ絶縁コイルならびに電気機器を得ることができる。
一方、請求項12に対応する発明の注型部材は、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を、注型用樹脂として含有して成る。
また、請求項13に対応する発明の電気機器は、上記請求項12に対応する発明の注型部材を用いて成る。
従って、請求項12および請求項13に対応する発明の注型部材および電気機器においては、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を、注型用樹脂として含有することにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、小型化された電気機器を得ることができる。
一方、請求項14に対応する発明の封止部材は、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を、封止用樹脂として含有して成る。
また、請求項15に対応する発明の半導体装置は、上記請求項14に対応する発明の封止部材を用いて成る。
従って、請求項14および請求項15に対応する発明の封止部材および半導体装置においては、上記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の高熱伝導性樹脂を、封止用樹脂として含有することにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ製造を容易とし、しかも高性能な半導体装置を得ることができる。
本発明によれば、フィラーの粒径を制御するか、あるいは2種類のフィラーを組み合わせるようにしているので、樹脂の粘度を下げ、クロスや板材料の隙間等に樹脂を流し込み易くする、あるいは溶剤を用いることなく粘度を下げることにより、材料特性を落とすことなく、しかも生産性に優れており、なおかつ高充填とすることにより、高い熱伝導率を有する高熱伝導性樹脂、および部材、ならびにそれらを用いた電気機器および半導体装置が提供できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態:請求項1、請求項6に対応)
本実施の形態では、高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、図1の特性図に示すように、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーを、全体のフィラー量の50%以上含んだ構成としている。
ここで、粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーとしては、より好ましくは、粒径が10μm以上のものを用いる。
また、高熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素を用いる。
さらに、マトリックス樹脂としては、ビスA型エポキシ樹脂を用い、溶剤としては、メチルエチルケトンを用いる。
さらにまた、全フィラー量の含有量は、75wt%である。
次に、以上のように構成した本実施の形態による高熱伝導性樹脂の作用について説明する。
図1において、横軸は、窒化ホウ素の粒径を示し、縦軸は、粘度を100mPa・sec.にするために必要なメチルエチルケトンの量を示している。
ここで、粒径は、レーザー回折法を用いている。
また、粘度は、E型粘度計により測定し、回転数100rpmで測定している。
図1から、高熱伝導性フィラーの粒径が5μm以上の領域においては、高熱伝導性フィラーの粒径を小さくするにつれて、メチルエチルケトンの量を増やさないと、粘度を100mPa・sec.に保つことができないことがわかる。これは、特に、高熱伝導性フィラーの粒径が9μm以下の領域において、顕著である。
溶剤は、樹脂を硬化する際に、材料内にボイドを形成するため、熱抵抗として作用してしまうことが明らかであり、できるだけ少ない量であることが好ましい。
また、ボイドが存在すると、全体の体積に対する高熱伝導性フィラーの量が減少する。
図2は、材料中の充填量による熱伝導率の変化を示す特性図である。
図2から、充填量が減少するにつれて、熱伝導率が低下することがわかる。
一方、例えばガラスクロスのような目の細かいもの、あるいは板材料の界面、あるいは繊維が束になった隙間等に、高熱伝導性の樹脂を流し込むことが必要である場合には、粘度をできる限り低下させる必要がある。
図1から明らかなように、高熱伝導性フィラーの粒径が9μm以下になると、9μm以上の領域に比べて粘度が増加するため、上記のような隙間に樹脂を流し込むためには、溶剤量を増やすことが必要となる。
さらには、溶剤量が増えると、流し込む対象となる基材を侵すことが考えられるため、含浸用樹脂としては好ましくない。
以上の説明から明らかなように、高熱伝導性を有するフィラーである窒化ホウ素を樹脂に含有してなる高熱伝導性樹脂において、フィラーの粒径を9μm以上にすることにより、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、高熱伝導性の樹脂を得ることができる。
また、溶剤は、基材の種類によっては、基材を傷めることがあるため、溶剤量を減ずることは、基材の特性を低下させないためにも重要である。
上述したように、本実施の形態では、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーである窒化ホウ素を、全体のフィラー量の50%以上含むようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることが可能となる。
(第2の実施の形態:請求項2、請求項6に対応)
本実施の形態では、高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、図3の特性図に示すように、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下の高熱伝導性フィラーとを組み合わせてなり、さらに上記熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下のものを、全体のフィラー量の0〜30%含んだ構成としている。
ここで、粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーとしては、より好ましくは、粒径が10μm以上のものを用いる。本例では、高熱伝導性フィラーとしては、粒径が16μmのものと2.5μmのものとしている。
また、高熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素を用いる。
さらに、マトリックス樹脂としては、ビスA型エポキシ樹脂を用い、溶剤としては、メチルエチルケトンを用いる。
さらにまた、全フィラーの含有量は、75wt%である。
次に、以上のように構成した本実施の形態による高熱伝導性樹脂の作用について説明する。
図3において、横軸は、全体のフィラー量に対する粒径2.5μmの窒化ホウ素の充填量比を示し、縦軸は、粘度を100mPa・sec.にするために必要なメチルエチルケトンの量を示している。
ここで、粒径は、レーザー回折法を用いている。
図3から、粒径が16μmの窒化ホウ素のみよりも、粒径が2.5μmの窒化ホウ素を0〜30%含有することによって、粘度を100mPa・sec.に保つことに必要なメチルエチルケトンの量を減ずることができることがわかる。
以上の説明から明らかなように、前記第1の実施の形態中でも述べたように、溶剤量を少なくすることは、材料を製造する上で重要であり、本実施の形態により、生産性に優れた樹脂を得ることができる。
上述したように、本実施の形態では、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下の高熱伝導性フィラーとを組み合わせてなり、さらに上記熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下のものを、全体のフィラー量の0〜30%含むようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることが可能となる。
(第3の実施の形態:請求項3乃至請求項5に対応)
本実施の形態では、高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、フィラーとして、図4の特性図に示すように、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなるものを含んだ構成としている。
ここで、粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーとしては、より好ましくは、粒径が10μm以上のものを用いる。本例では、高熱伝導性フィラーとしては、粒径が16μmのものとしている。
また、高熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素を用いる。
さらに、マトリックス樹脂としては、ビスF型エポキシ樹脂を用いる。
さらにまた、補助フィラーである球状のフィラーとしては、粒径が3μm程度の球状のシリカを用いる。
次に、以上のように構成した本実施の形態による高熱伝導性樹脂の作用について説明する。
図4において、横軸は、粒子系充填材の配合比を示し、縦軸は、粘度を示している。
図4から、球状のフィラーの添加量に応じて、粘度が指数関数的に低下していることがわかる。
以上の説明から明らかなように、前記第1の実施の形態中でも述べたように、溶剤量を少なくすることは、材料を製造する上で重要であり、本実施の形態により、生産性に優れた樹脂を得ることができる。
(変形例)
本変形例では、前記第1の実施の形態において、球状のフィラーを、図5の特性図に示すように、全体のフィラー量の0〜60%含んだ構成としている。
次に、以上のように構成した本変形例による高熱伝導性樹脂の作用について説明する。
図5において、熱伝導率と球状フィラーの全体量に対する体積比との関係を示している。
図5から、球状のフィラーの量が多くなると、熱伝導率が低下していることがわかる。
特に、球状のフィラーが全体のフィラー量の60%以上の範囲において、熱伝導率の低下が著しいことから、球状のフィラーの体積比率を60%以下にすることにより、高熱伝導性を著しく損なうことなく、生産性に優れた樹脂を得ることができる。
なお、本実施の形態において、球状のフィラーとしては、上記のシリカに限定されるものではなく、これ以外のものとして、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素等の高熱伝導性のフィラーを用いることができる。
これにより、樹脂の熱伝導率をより一層向上することができる。
因みに、球状フィラーの体積比率が50%の場合、球状フィラーとしてシリカを用いた場合の熱伝導率が1.6W/mKであるのに対して、球状フィラーとしてアルミナを入れた場合の熱伝導率が1.8W/mKであった。
上述したように、本実施の形態では、フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなり、さらに必要に応じて、上記球状のフィラーを、全体のフィラー量の0〜60%含むようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の樹脂を得ることが可能となる。
(第4の実施の形態:請求項7、請求項8に対応)
本実施の形態では、シート状またはテープ状の基材(例えば、クロスあるいは不織布)に、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性樹脂を含有して絶縁部材を構成し、さらに当該絶縁部材を複数積層して積層部材を構成している。
図6は、本実施の形態による積層部材の具体的な構成例を示す断面図である。
すなわち、本実施の形態による積層部材は、図6に示すように、樹脂1を含浸したガラスクロス2を複数枚(本例では5枚)積層し、プレス型3により加熱加圧して成形される積層部材において、樹脂1に、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラー4を含有して成る高熱伝導性樹脂を含有した構成としている。
本積層部材は、実際には、次のようにして作製する。
すなわち、ビスF型エポキシ樹脂1中に、窒化ホウ素4を60vol%入れ、ガラスクロス2に塗布して、絶縁部材を作製する。
次に、この絶縁部材を10枚積層し、プレス型3を用いてホットプレスにより積層部材を作製する。
ここで、硬化条件は60℃、5時間とする。
また、高熱伝導性フィラー4としては、粒径が4.5μmのフィラーと16μmのフィラーとを用いる。
この時、ガラスクロス2中へ含浸させるため、粘度が100mPa・sec.になるように、メチルエチルケトンを用いて希釈する。
以上のように作製した積層部材において、粒径が4.5μmの高熱伝導性フィラー4を用いた場合には、積層部材中に多くのボイドが見られた。
一方、粒径が16μmの高熱伝導性フィラー4を用いた場合には、ボイドが少なく、良好な積層部材を得ることができた。
以上の説明から明らかなように、ボイドが存在すると、積層部材の絶縁特性および機械特性が低下することから、ボイドを少なくすることは、積層部材を製造する上で重要であり、本実施の形態により、高性能な積層部材を得ることができる。
上述したように、本実施の形態では、シート状またはテープ状の基材に、前記
第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性樹脂を含有するようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性の絶縁部材および積層部材を得ることが可能となる。
(第5の実施の形態:請求項9に対応)
図7は、本実施の形態による絶縁部材の構成例を示す断面図である。
すなわち、本実施の形態による絶縁部材は、図7に示すように、鱗片状のフィラー5をガラスクロス6に接着して成るシート状またはテープ状の基材において、ガラスクロス6の面に、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラー7を含有して成る高熱伝導性樹脂を含有した構成としている。
本絶縁部材は、実際には、次のようにして作製する。
すなわち、鱗片状フィラー5として、フレークマイカを用い、ビスA型エポキシ樹脂中に、窒化ホウ素を60vol%入れ、ガラスクロス6に塗布する。
次に、この材料を加熱処理することにより、高熱伝導性の絶縁部材(本例では、マイカテープ)を作製する。
ここで、高熱伝導性フィラー7としては、窒化ホウ素を用いる。
また、高熱伝導性フィラー7としては、粒径が16μmのフィラーと粒径が4.5μmのフィラーとの2種類のフィラーを比較し、いずれも粘度が100mPa・sec.になるように、メチルエチルケトンを用いて希釈した後に塗布する。
以上のように作製した絶縁部材であるマイカテープをアルミバーに巻き、剥がれ難さを調べたところ、粒径が4.5μmの高熱伝導性フィラー7を用いたマイカテープは、剥がれ易く、歩留まりが20%程度になるものもあった。
これに対して、粒径が16μmの高熱伝導性フィラー7を用いたマイカテープでは、剥がれが発生しなかった。
以上の説明から明らかなように、作業性が良く、接着層の接着力を低下させず剥がれ難い絶縁部材(マイカテープ)を得ることができる。
上述したように、本実施の形態では、鱗片状のフィラーをガラスクロスに接着して成るシート状またはテープ状の基材におけるガラスクロスの面に、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性樹脂を含有するようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性であり、しかも接着層の接着力を低下させない絶縁部材を得ることが可能となる。
(第6の実施の形態:請求項10、請求項11に対応)
図8は、本実施の形態による絶縁コイルおよび電気機器の構成例を示す要部斜視図である。
すなわち、本実施の形態では、図8に示すように、前記第5の実施の形態の高熱伝導性樹脂を用いて成る絶縁部材(鱗片状のフィラーをガラスクロスに接着してなるマイカテープ)8を、コイル(導体)9の周囲に巻回し、硬化させて絶縁コイルを構成し、さらに当該絶縁コイルを備えて、回転電機、変圧器等の電気機器を構成している。
本絶縁コイルは、実際には、次のようにして作製する。
すなわち、鱗片状フィラーとして、フレークマイカを用い、ビスA型エポキシ樹脂中に、窒化ホウ素を60vol%入れ、ガラスクロスに塗布する。
次に、この材料を加熱処理し、半硬化した状態で、半硬化状態の高熱伝導性マイカテープ8を得た。
次に、この高熱伝導性マイカテープ8を、素線を束ねたコイル9の周囲に巻回し、加熱硬化することにより、熱伝導性に優れた回転電機用の絶縁コイルを作製する。
ここで、高熱伝導性フィラーとしては、粒径が16μmのフィラーと粒径が4.5μmのフィラーとの2種類のフィラーを比較し、いずれも粘度が100mPa・sec.になるように、メチルエチルケトンを用いて希釈した後に塗布する。
以上のように作製した絶縁コイルの交流絶縁破壊電圧は、粒径が16μmのフィラーを用いた絶縁コイルの方が、粒径が4.5μmのフィラーを用いた絶縁コイルの場合よりも高かった。これは、溶剤量が少ないために、マイカ層内のボイド等の欠陥を無くすことができたためであると考えられる。
上述したように、本実施の形態では、前記第5の実施の形態の高熱伝導性樹脂を用いて成る絶縁部材を、コイルの周囲に巻回し、硬化させるようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れており、かつ高熱伝導性であり、しかも高い絶縁破壊電圧を持つ絶縁コイルならびにそれを備えた電気機器を得ることが可能となる。
(第7の実施の形態:請求項12、請求項13に対応)
図9は、本実施の形態による注型部材および電気機器の構成例を示す要部斜視図である。
すなわち、本実施の形態では、図9に示すように、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラーを含有して成る高熱伝導性樹脂10を、注型用樹脂として含有して成る注型部材を、コイル(導体)11の周囲にモールドして、モールド回転電機、モールド変圧器等のモールド電気機器を構成している。
以上のような注型用樹脂を含有して成る注型部材においては、溶剤で薄めると、注型部品内にボイドが発生し、絶縁性能が低下することから、溶剤による希釈は行なわない。
また、粘度が高くなると、流動性が悪く、注型することができなくなるため、できるだけ粘度を低く保つことが必要である。
通常は、フィラーの量を低減して、流動性を保つ。
例えば、モールド変圧器に使用する樹脂として、4000mPa・sec.の樹脂を用いた場合には、粒径が16μmの単体のフィラーでは、20vol%程度しか含有することができないが、球状のフィラーを全フィラー量の20vol%添加することによって、全フィラー量として40vol%含有することが可能となる。
これにより、高充填とすることが可能となり、モールド層の熱伝導率が向上し、電流密度を上げることができるため、小型化した電気機器を得ることができる。
また、樹脂の粘度は、年数が経つに連れて上昇するため、初期の粘度をできるだけ低くすることが好ましい。
例えば、図9に示すモールド変圧器に使用する樹脂の場合には、粘度が高くなった樹脂の流動性を回復するために加温して使用するが、このような場合、樹脂の粘度上昇をさらに助長することから、樹脂のポットライフを短くする結果となる。
そこで、前記第1乃至第3の実施の形態で述べた方法により、樹脂の粘度を下げることができれば、高生産性の注型用樹脂を含有して成る注型部材を得ることができる。
(変形例)
前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラーを含有して成る高熱伝導性樹脂を、注型用樹脂として含有して成る注型部材を、絶縁スペーサとして使用し、当該絶縁スペーサにより母線(導体)を支持して、ガス絶縁開閉装置(GIS)もしくは管路気中送電装置(GIL)等のモールド電気機器を構成している。
本変形例の注型部材および電気機器においても、上記実施の形態と同様に、高充填とすることが可能となり、モールド層の熱伝導率が向上し、電流密度を上げることができるため、小型化した電気機器を得ることができる。
上述したように、本実施の形態では、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラーを含有して成る高熱伝導性樹脂を、注型用樹脂として含有するようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れた注型部材を得ることができ、さらにそれを備えた小型化された電気機器を得ることが可能となる。
(第8の実施の形態:請求項14、請求項15に対応)
本実施の形態では、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラーを含有して成る高熱伝導性樹脂を、封止用樹脂として含有して成る封止部材を、半導体ICチップの周囲に封止して、半導体装置を構成している。
以上のような封止用樹脂を含有して成る封止部材においては、溶剤で薄めると、封止部品内にボイドが発生し、絶縁性能が低下することから、溶剤による希釈は行なわない。
また、粘度が高くなると、流動性が悪く、注型することができなくなるため、できるだけ粘度を低く保つことが必要である。
通常は、フィラーの量を低減して、流動性を保つ。
例えば、半導体素子に使用する樹脂として、4000mPa・sec.の樹脂を用いた場合には、粒径が16μmの単体のフィラーでは、20vol%程度しか含有することができないが、球状のフィラーを全フィラー量の20vol%添加することによって、全フィラー量として40vol%含有することが可能となる。
これにより、高充填とすることが可能となり、封止層の熱伝導率が向上するため、製造が容易で高性能の半導体装置を得ることができる。
また、樹脂の粘度は、年数が経つに連れて上昇するため、初期の粘度をできるだけ低くすることが好ましい。
例えば、半導体装置に使用する樹脂の場合には、粘度が高くなった樹脂の流動性を回復するために加温して使用するが、このような場合、樹脂の粘度上昇をさらに助長することから、樹脂のポットライフを短くする結果となる。
そこで、前記第1乃至第3の実施の形態で述べた方法により、樹脂の粘度を下げることができれば、高性能性の封止用樹脂を含有して成る封止部材を得ることができる。
すなわち、半導体を製造する場合に、絶縁樹脂層を形成する手法として、射出成形がある。また、例えば“公開特許第2000−243774号”に示されるように、チップサイズパッケージと称される高密度集積回路に使用される半導体では、所定の樹脂を回路上に流し、自重でもって平滑化する手法等もある。
そして、これらに用いる樹脂としては、高い流動性が必要であることは勿論のこと、信頼性の面からは高い熱伝導性が必要とされる。
この点、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラーを含有して成る高熱伝導性樹脂を、封止用樹脂として含有して成る封止部材においては、以上の説明から明らかなように、高い流動性と高い熱伝導性とを兼ね備えているため、製造を容易とし、高性能な半導体装置を得ることができる。
上述したように、本実施の形態では、前記第1乃至第3の実施の形態のいずれか一つの実施の形態の高熱伝導性フィラーを含有して成る高熱伝導性樹脂を、注型用樹脂として含有するようにしているので、樹脂の粘度を下げ、生産性に優れた注型部材を得ることができ、さらにそれを用いた製造が容易で、しかも高性能な半導体装置を得ることが可能となる。
本発明による高熱伝導性樹脂の第1の実施の形態を示す特性図。 同第1の実施の形態における充填量と熱伝導率との関係を示す特性図。 本発明による高熱伝導性樹脂の第2の実施の形態を示す特性図。 本発明による高熱伝導性樹脂の第3の実施の形態を示す特性図。 同第3の実施の形態における熱伝導率と球状フィラーの全体量に対する体積比との関係を示す特性図。 本発明による絶縁部材および積層部材の第4の実施の形態を示す断面図。 本発明による絶縁部材の第5の実施の形態を示す断面図。 本発明による絶縁コイルおよび電気機器の第6の実施の形態を示す要部斜視図。 本発明による注型部材および電気機器の第7の実施の形態を示す要部斜視図。
符号の説明
1…樹脂、
2…ガラスクロス、
3…プレス型、
4…高熱伝導性フィラー、
5…鱗片状のフィラー、
6…ガラスクロス、
7…高熱伝導性フィラー、
8…絶縁部材(マイカテープ)、
9…コイル(導体)、
10…高熱伝導性樹脂、
11…コイル(導体)。

Claims (15)

  1. 高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、
    前記フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーを、全体のフィラー量の50%以上含んで成ることを特徴とする高熱伝導性樹脂。
  2. 高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、
    前記フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下の高熱伝導性フィラーとを組み合わせてなり、
    さらに前記熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が2.5〜5μm以下のものを、全体のフィラー量の0〜30%含んで成ることを特徴とする高熱伝導性樹脂。
  3. 高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、
    前記フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなるものを含んで成ることを特徴とする高熱伝導性樹脂。
  4. 高熱伝導性を有する粒子状のフィラーを、樹脂に含有して成る高熱伝導性樹脂において、
    前記フィラーとして、熱伝導率が10W/mK以上でかつ粒径が9μm以上の高熱伝導性フィラーと、球状のフィラーとを組み合わせてなり、
    さらに前記球状のフィラーを、全体のフィラー量の0〜60%含んで成ることを特徴とする高熱伝導性樹脂。
  5. 前記請求項3または請求項4に記載の高熱伝導性樹脂において、
    前記球状のフィラーとしては、アルミナを用いて成ることを特徴とする高熱伝導性樹脂。
  6. 前記請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂において、
    前記高熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素を用いて成ることを特徴とする高熱伝導性樹脂。
  7. シート状またはテープ状の基材に、前記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂を含有して成ることを特徴とする絶縁部材。
  8. 前記請求項7に記載の絶縁部材を積層して成ることを特徴とする積層部材。
  9. 鱗片状のフィラーをガラスクロスに接着して成るシート状またはテープ状の基材における前記ガラスクロスの面に、前記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂を含有して成ることを特徴とする絶縁部材。
  10. 前記請求項9に記載の絶縁部材を、コイル本体の周囲に巻回し、硬化させて成ることを特徴とする絶縁コイル。
  11. 前記請求項10に記載の絶縁コイルを備えて成ることを特徴とする電気機器。
  12. 前記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂を、注型用樹脂として含有して成ることを特徴とする注型部材。
  13. 前記請求項12に記載の注型部材を用いて成ることを特徴とする電気機器。
  14. 前記請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の高熱伝導性樹脂を、封止用樹脂として含有して成ることを特徴とする封止部材。
  15. 前記請求項14に記載の封止部材を用いて成ることを特徴とする半導体装置。
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