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JP2005277405A - 画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体 - Google Patents

画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体 Download PDF

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JP2005277405A
JP2005277405A JP2005049226A JP2005049226A JP2005277405A JP 2005277405 A JP2005277405 A JP 2005277405A JP 2005049226 A JP2005049226 A JP 2005049226A JP 2005049226 A JP2005049226 A JP 2005049226A JP 2005277405 A JP2005277405 A JP 2005277405A
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Junichi Nakanishi
純一 中西
Hidemi Ito
秀己 伊藤
Takashi Takayama
隆司 高山
Hitoshi Masago
均 真砂
Tomonori Takada
知憲 高田
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Takiron Co Ltd
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Takiron Co Ltd
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Abstract

【課題】ノイズ防止成形体の導電層にカーボンナノチューブなどの極細導電繊維を用い、極細導電繊維の量を減少させて透光性を高め、導電層の厚みを薄くしても、折り曲げや延伸などの加工を施してもノイズ防止性能を維持できる画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を提供する。
【解決手段】透光性基材21の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ透光性導電層22が形成されたノイズ防止成形体であって、極細導電繊維が凝集することなく、1本づつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束づつ分離した状態で分散して互いに接触し、導電層22が10Ω/□以下の表面抵抗率を備え、その550nm波長の光線透過率が50%以上である画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体2とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁波ノイズあるいは静電気ノイズを発生する画像表示装置の内部、あるいは表面に使用される画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体に関する。
従来の透明なノイズ防止成形体の代表的なものは、透明な基材の表面に金属薄膜と金属酸化物薄膜を積層したものである。例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)の表示面前面に、アクリル樹脂板に金属酸化物膜(ITO)を蒸着した導電板を配置し、PDP前面からの電磁波ノイズをシールドすることが知られている(特許文献1参照)。
また、液晶ディスプレイにおいて、バックライトからのノイズを防止するためにITOを蒸着したポリエステルフィルムを内部に装着すること(特許文献2参照)や、静電気ノイズを防止するためにカラーフィルターなどにITOを蒸着することが知られている。
特開平10−117081号公報 特開2004−38042号公報
しかしながら、上記ITOを形成した電磁波などのノイズ防止成形体は、基板がアクリル樹脂板やポリエステルフィルムであるから蒸着時の熱に耐え難くITOの形成が難しいという問題があり、蒸着できたとしても、その後の加熱処理が困難でITOの結晶化が不十分となり、蒸着膜が薄い黄色を呈するという問題があった。また、折り曲げや延伸などの加工によりITOが割れて表面抵抗率が増加し、シールド性能を発揮しなくなるという問題もあった。
さらに、ITOを形成する蒸着などの製法はバッチ式であるため生産性が悪く、コストが高いものであった。
本発明は上記の問題に対処するためになされたもので、その目的とするところは、ノイズ防止成形体の導電層にカーボンナノチューブなどの極細導電繊維を用いた画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を提供することを解決課題とする。
また、導電層に含ませる極細導電繊維の量を減少させて透光性を高めてもノイズ防止性能を発揮する画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を提供することを解決課題とする。
また、導電層の厚みを薄くしても、ノイズ防止性能を維持しつつ透光性を向上させた導電層を有する画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を提供することも解決課題とする。
また、折り曲げや延伸などの加工を施してもノイズ防止性能を発揮する画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を提供することも解決課題としているし、コストが安く経済的な導電層を有する画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を提供することも解決課題としている。
上記目的を達成するため、本発明の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体は、透光性基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ導電層が形成されたノイズ防止成形体であって、上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備え、その550nm波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とするものである。
本発明の他の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体は、透光性基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ導電層が形成されたノイズ防止成形体であって、上記極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触し、上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備え、その550nm波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の他の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体は、透光性基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ導電層が形成されたノイズ防止成形体であって、上記極細導電繊維が1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触し、上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備え、その550nm波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とするものである。
上記の本発明において、極細導電繊維がカーボンナノチューブであることが好ましい。
更に、上記極細導電繊維が多層カーボンナノチューブであって1本ずつ分離した状態で分散して互いに接触していること、或は上記極細導電繊維が単層カーボンナノチューブであって複数本が集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触していること、或は上記極細導電繊維が2〜3層カーボンナノチューブであり、複数本が集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触していることも、それぞれ好ましい。
更に、導電層の表面抵抗率が10Ω/□以下で、且つその550nm波長の光線透過率が85%以上であることも好ましい。
更に、基材が透光性樹脂で成形された透光性ノイズ防止成形体であり、曲率半径3mmに曲げた後の表面抵抗率の増大が1.3倍以下であることも好ましい。
上記の本発明において、「凝集することなく」とは、導電層の表面を光学顕微鏡で観察し、平均径が0.5μm以上の塊がないことを意味する用語である。また、「接触」とは、極細導電繊維が現実に接触している場合と、極細導電繊維が導通可能な微小間隔をあけて近接している場合の双方を意味する用語である。
本発明の第一の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体は、導電層が極細導電繊維により形成されているので、ITOのように黄色を呈することがなく、無彩色な透光性を有する成形体とすることができる。そして、表面抵抗率が10Ω/□以下であるので、電磁波などのノイズを遮断でき、画像表示装置からの電磁波などを外部に漏らすことが抑制されたり、静電気によるノイズで画像品位が低下することを防止できる。また、導電層の550nm波長の光線透過率が50%以上であるので、該ノイズ防止成形体を通してきれいな画像を見ることができる。
そして、極細導電繊維がカーボンナノチューブであると、該カーボンナノチューブが細くて長いので、これら相互の接触がさらに良好に確保でき、導電層の表面抵抗率を10Ω/□以下に容易にコントロールできるし、高い透明性も確保でき、透光性を有するノイズ防止成形体とすることが極めて容易になる。
また、導電層の表面抵抗率が10Ω/□以下で光線透過率が85%以上であると、強い電磁波ノイズが発生しても遮断でき、プラズマディスプレイ装置は勿論のこと、液晶表示装置や表面伝導型電子放出装置(SED)やブラウン管を使用した表示装置やエレクトロルミネッセンス表示装置などに用いても、電磁波などのノイズを防止できるし、明るい表示ができる。
本発明の第二の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体は、導電層に含まれる極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触しているので、該繊維が凝集していない分だけ、極細導電繊維が解けて相互の十分な導通を確保できるので良好な導電性を得ることができる。そのため、極細導電繊維の量を減少させてもノイズ防止に必要な表面抵抗率が得られ、該繊維が減少した分だけ透光性(透明性)を向上させることができるし、導電層の厚みを薄くすることもできる。このように、極細導電繊維量を少なくしても10Ω/□以下の表面抵抗率と50%以上の光線透過率の導電層を得ることができ、透光性を有するノイズ防止成形体とすることができる。
本発明の第三の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体は、導電層の極細導電繊維が1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触しているので、分散した1本若しくは1束の極細導電繊維相互の接触機会が多くなり、十分な導通を確保でき良好な導電性と透光性を得ることができる。そのため、極細導電繊維の量を少なくしても10Ω/□以下の表面抵抗率と50%以上の光線透過率を有する導電層を有する成形体を得ることが容易となる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は本発明の板状の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を用いた液晶表示装置の側面図、図2は図1に使用する透光性ノイズ防止成形体の一実施形態を示す断面図、図3の(A)は同ノイズ防止成形体の導電層内部における極細導電繊維の分散状態を示す模式概略断面図、図3の(B)は同導電層表面における極細導電繊維の分散状態を示す模式概略断面図、図4は同導電層を平面から見た極細導電繊維の分散状態を示す模式概略平面図である。
図1に示す液晶表示装置Aは、大きくは、画像を表示する液晶パネルA1と該液晶パネルA1を照らすバックライト部A2に分かれている。バックライト部A2は、ランプ1、シート状のノイズ防止成形体2、樹脂製の拡散板3、樹脂製のプリズムフィルム4などからなり、ランプ1と拡散板3の間にノイズ防止成形体2が配置され、液晶パネルA1の表面周囲とバックライト部A2の周囲と後面とが金属製筐体A3で囲まれている。そのため、ランプ点灯時に発生するノイズは、ノイズ防止成形体2と金属製筐体A3で完全囲まれているので外部に洩れないようになされていると共に、液晶パネルA1の画像表示がノイズで乱れないようになされている。
この液晶表示装置Aに用いているノイズ防止成形体2は、図2に拡大して示すように、合成樹脂などの透光性基材21の片側の表面に、極細導電繊維5を含んだ透光性の導電層22を積層形成したものである。
なお、導電層22は基材21の片面のみではなく、基材21の両面に形成してもよい。
更に、基材21は、透明であることが好ましいが、その表面に微細な凹凸を形成したり、光拡散剤を含有させたりして、該基材21の表面に防眩機能を付与したり、基材21の表面或は内部で光拡散を行わせて透光するものであってもよい。図1のように、液晶パネルA1とバックライト部A2の間にノイズ防止成形体2が配置されるような場合は、透光性は必要であるが透明性は必ずしも必要としない。
基材21は、透明性を有する熱可塑性樹脂、熱や紫外線や電子線や放射線などで硬化する硬化性樹脂、或はガラスが使用される。前記透明熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等のビニル系樹脂、ニトロセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、芳香族ポリエステル等のエステル系樹脂、ABS樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、これらの樹脂の共重合体樹脂、これらの樹脂の混合樹脂などが使用される。また、前記透明硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などが使用される。
また、基材21は必ずしも平板状である必要はなく、四周端或は両端を曲げた形状などの異型形状のものでもよい。このような箱型形状にすると、折り曲げ部分が金属ケースと重なる構造とすることができ、ノイズが漏れる隙間をなくすことができる。
そして、好ましい樹脂としては、基材21の厚さが2mmのときに、80%以上、好ましくは85%以上の全光線透過率と、4%以下のヘーズを有するようになされる透明樹脂が特に望ましく使用される。このような樹脂としては、環状ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリジメチルシクロヘキサンテレフタレートあるいはその共重合体樹脂、これらの混合樹脂、或は硬化型アクリル樹脂が用いられる。その他、ガラスも全光線透過率が95%以上と透明性が非常に良好であるので、透光性のノイズ防止板を得るうえで好ましく用いられる。
更に、上記の如く、基材21は透明樹脂からなる透明性基材であることが望ましいが、必ずしも透明である必要はなく、光が拡散されて透視性がなくても、光が透過する透光性を有していればよい。例えば、基材21に使用される透明樹脂にアクリル粒子などの光拡散剤を含有させたり、透明基材若しくは光拡散剤含有基材の表面に微細な凹凸を付与して該凹凸で光を散乱させても、全光線透過率が80%以上あればよい。
なお、上記合成樹脂製基材21には可塑剤、安定剤、紫外線吸収剤等が適宜配合され、成形性、熱安定性、耐候性等が高められる。
基材21の厚さは、画像表示装置の種類、大きさ、使用方法などにより異なるが、通常は8μm〜10mm、好ましくは25μm〜5mm程度の厚さのものが使用される。基材21の厚さが25μm〜1mmと薄い場合は、そのまま使用し、例えばエッジライト方式のバックライトなどに用いてもよいし、他の透光性基材や拡散板やプリズム板などに積層或は接着などして強度や機能などを高めて、図1に示すような直下型のバックライトなどに使用することもできる。また、この基材21をベースとして偏光板(フィルム)やカラーフィルターに加工して使用することもできる。基材21の厚さが1mm〜5mmと厚い場合は、直下型のバックライトなどに使用することが好ましい。
この基材21の片面に形成された導電層22は、極細導電繊維5を含んだ透光性層であって、その表面抵抗率が10Ω/□以下で、550nm波長の光線透過率が50%以上となるようになされている。そのためには、上記極細導電繊維5が凝集することなく分散して互いに接触していることが好ましい。換言すれば、極細導電繊維5が絡み合うことなく1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で、分散して互いに接触するようになされている。導電層22が主に極細導電繊維5とバインダーとで形成されていると、図3(A)に示すように、該極細導電繊維5はバインダーの内部に上記の分散状態で分散し互いに接触しているか、或は図3(B)に示すように、極細導電繊維5の一部がバインダー中に入り込み他の部分がバインダー表面から突出乃至露出して上記分散状態で分散し互いに接触しているか、或は極細導電繊維5の一部は図3(A)のようにバインダーの内部に、他の極細導電繊維5は図3(B)のように表面から突出乃至露出している状態で分散していることとなる。
これらの極細導電繊維5の平面から見た分散状態を図4に模式概略的に示す。この図4から理解されるように、極細導電繊維5が多少曲がっているが1本ずつ或は1束ずつ分離し、互いに複雑に絡み合うことなく即ち凝集することなく、単純に交差した状態で導電層22の内部に或は表面に分散され、それぞれの交点で接触している。
このように分散していると、凝集している場合に比べて、繊維5が解れて広範囲に存在しているので、これら繊維同士の接触する機会が著しく増加し、その結果導通して導電性を著しく高めることができる。従来のカーボンナノチューブを用いた特許文献(特開2000−26760)と同じ10Ω/□程度の導電性を得るためには、接触点(導通の密度)を従来のものと同じにすればよいのであるから、上記分散状態にすることで極細導電繊維5の量を減少させても同じ接触機会を得ることができ、その分、極細導電繊維5の量を少なくすることができるのである。その結果、光を吸収して透光性を阻害する極細導電繊維5の量が少なくなった分だけ透光性が向上するし、また、導電層22を薄くすることもでき、一層透光性を向上させることができる。
なお、極細導電繊維5は完全に1本ずつ或は1束ずつ分離し分散している必要はなく、一部に絡み合った小さな凝集塊があっても良いが、その大きさは平均径が0.5μm以上でないことが好ましい。
一方、従来と同じ量の極細導電繊維5を導電層22に含ませると、上記分散状態にすることで、繊維同士の接触機会を従来より多くすることができる。そのため、導電性を著しく向上させることができるので、10Ω/□以下の導電性を容易に得ることができ、良好なノイズ防止性能を発揮し得るのである。
さらに、極細導電繊維5を導電層22に含ませて該導電層22の厚みを5〜500nmと薄く形成すると、極細導電繊維5が薄い厚み内に濃縮して含有されることとなり、これら相互の接触する機会が増加するので、一層導電性を高めることが可能となる。従って、導電層22の厚みを上記の範囲で薄くすることが好ましく、更に好ましくは10〜400nmにすることが望ましい。
このように、極細導電繊維5が導電層22内で多少曲がっているが1本ずつ或は1束ずつ分離し、互いに複雑に絡み合うことなく即ち凝集することなく分散された状態で接触していると、該導電層22を曲げたりしても、極細導電繊維5が伸びるために切断することが殆どない。そのため、基材21を熱可塑性樹脂にて形成すると、ノイズ防止成形体2を曲げたり延伸したりすることができ、しかも導電性を低下させることがないので、必要に応じてノイズ防止成形体2を折り曲げたり、真空成形或は圧空成形したりして、他の形状に変形させることができる。このような変形は、画像表示装置への組み込みを容易にしたり、ノイズ防止を確実に行わせたりする利点がある。後述する実施例からわかるように、本発明のノイズ防止成形体2は曲率半径3mmで曲げても、その表面抵抗率は元の成形体の1.3倍以下しか増加せず、曲率半径1mmでも1.4倍以下しか増加しないことが確認されている。
導電層22に使用される極細導電繊維5としては、カーボンナノチューブやカーボンナノホーン、カーボンナノワイヤ、カーボンナノファイバー、グラファイトフィブリルなどの極細長炭素繊維、白金、金、銀、ニッケル、シリコンなどの金属ナノチューブ、ナノワイヤなどの極細長金属繊維、酸化亜鉛などの金属酸化物ナノチューブ、ナノワイヤなどの極細長金属酸化物繊維などの、直径が0.3〜100nmで長さが0.1〜20μm、好ましくは長さが0.1〜10μmである極細導電繊維が好ましく用いられる。これらの極細導電繊維5は、これが凝集することなく1本ずつ或は1束ずつ分散することにより、該導電層22の表面抵抗率が10〜10Ω/□である時にはその550nm波長の光線透過率が50%以上であるものが得られるし、表面抵抗率が10〜10Ω/□である時には光線透過率が85%以上のものが得られる。
これらの極細導電繊維5の中でも、カーボンナノチューブは、直径が極めて細く0.3〜80nmであるので、1本ずつ或は1束ずつ分散することで該カーボンナノチューブが光透過を阻害することが少なくなり、表面抵抗率が10Ω/□以下で且つ550nm波長の光線透過率が85%以上の透光性を有する導電層22を得るうえで特に好ましい。
これらの極細導電繊維5は、導電層22の内部に或は表面に、凝集することなく、1本ずつ或は複数本が束になつたものが1束ずつ分散した状態で、互いに接触して導通性を確保している。そのため、該極細導電繊維5を導電層22に15〜450mg/mの目付け量含ませることで、その表面抵抗率を10〜10Ω/□の範囲内で自由にコントロールすることができる。該目付け量は、導電層22の表面を電子顕微鏡で観察し、表面面積に占める極細導電繊維の面積割合を測定し、これに厚みと極細導電繊維の比重(極細導電繊維がカーボンナノチューブである場合は、グラファイトの文献値2.1〜2.3の平均値2.2を採用)を掛けることで計算した値である。
ここで、凝集をしていないとは、前記の如く、導電層を光学顕微鏡で観察し、凝集している塊があれば、その長径と短径とを測定し、その平均値が0.5μm以上の塊がないことを意味する用語である。
上記カーボンナノチューブには、中心軸線の周りに複数のカーボン壁を備えた多層カーボンナノチューブや、中心軸線の周りに単独のカーボン壁を備えた単層カーボンナノチューブがある。
前者の多層カーボンナノチューブは、中心軸線の周りに直径が異なる複数の円筒状に閉じたカーボン壁が多層に重なって構成されたものと、渦巻き状に多層に形成されているものとがある。その中でも、2〜30層、より好ましくは2〜15層重なった多層カーボンナノチューブが好ましく使用される。該多層カーボンナノチューブは1本ずつ分離した状態で分散しているものが殆どであるが、2〜3層重なったカーボンナノチューブは、束になって分散している場合もある。
一方、後者の単層カーボンナノチューブは、中心軸線の周りに円筒状に閉じた単層のカーボン壁を有するチューブである。このような単層カーボンナノチューブは現在の技術では単独で存在することはなく、2本以上が集まって束になった状態で存在し、その束が1束ずつ分離して、束同士が複雑に絡み合うことなく、単純に交差した状態で導電層の内部若しくは表面に分散され、それぞれの交点で接触している。そして、好ましくは10〜50本の単層カーボンナノチューブが集まって束になったものが用いられる。
なお、本発明では、単層カーボンナノチューブが1本ずつ分離して分散した状態を除外するものではない。
上記のように、極細導電繊維5が絡み合うことなく凝集せずに導電層22中に分散してお互いに接触すると、導電層22の厚みを薄くしても、極細導電繊維相互の十分な導通が確保されるため、極細導電繊維5の目付け量を15〜450mg/mとし、導電層22の厚みを5〜500nmと薄くしても、極細導電繊維5が解れているので相互の十分な導通が確保され、表面抵抗率を10Ω/□以下にすることが容易であり、良好な導電性を発現でき、ノイズ防止性能を発揮する。そして、極細導電繊維5が解れて凝集塊がなくなり光透過を阻害しないので光透過性が良好になると共に、導電層22の厚みを薄くして極細導電繊維5の目付け量を少なくした分だけさらに光透過性が向上するようになる。そのため、透光性樹脂からなる基材21の厚みが2mmであるときには、全光線透過率が75%以上の透光性ノイズ防止成形体2とすることができる。より好ましい透光性ノイズ防止成形体2は、全光線透過率を80%以上にしたものである。透明性ノイズ防止成形体2とするときは、全光線透過率を75%以上、ヘーズを6%以下に、好ましくは全光線透過率を85%以上、ヘーズを4%以下にすることが望ましい。
そして、極細導電繊維5の目付け量を15〜250mg/m程度にすると、10〜10Ω/□の表面抵抗率である透光性(光線透過率が85%以上、具体的には85〜99%)の導電層22を得ることができる。そのため、透光性樹脂を基材21に使用すると、ノイズを防止できる透光性成形体2とすることができる。例えば、透明性ポリカーボネート樹脂を基材21に使用すると、基材21の厚みが2mmのときの全光線透過率が75%以上、ヘーズが6%以下の高透光性ノイズ防止ポリカーボネート板となる
一方、極細導電繊維5の目付け量を増加して250〜450mg/m程度にすると、10〜10Ω/□の導電性能に優れたものとすることができるうえ、導電層22の透光性(光線透過率が50%以上)も保持でき、基材21に透光性樹脂を使用することで透光性ノイズ防止成形体2とすることができる。例えば、透明性ポリカーボネート樹脂を基材21に使用すると、基材21の厚みが2mmのときの全光線透過率が45%以上、ヘーズが8%以下の透光性ノイズ防止ポリカーボネート板となる。
なお、導電層22の光線透過率は、測定に分光光度計を用い、波長が550nmにおけるノイズ防止成形体の光線透過率を、基材21のみの光線透過率で補正することにより得ることができる。
また、全光線透過率及びヘーズは、ASTM D1003に準拠して測定した値である。
極細導電繊維5を多量に導電層22内に含有し、より良好なノイズ防止性能及び透光性を発現させるには、極細導電繊維5の分散性を高め、さらに作製した塗液の粘度を下げて塗液のレベリング性を向上させ、薄い導電層を形成することが重要であり、そのためには、分散剤を併用することが好ましい。このような分散剤としては、酸性ポリマーのアルキルアンモニウム塩溶液や3級アミン修飾アクリル共重合物やポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合物などの高分子系分散剤、カップリング剤などが好ましく用いられる。
なお、この導電層22には紫外線吸収剤、表面改質剤、安定剤等の添加剤を適宜加えて、耐候性その他の物性を向上させても良い。
導電層22に使用するバインダーとしては、透光性を有する熱可塑性樹脂、特にポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ニトロセルロース、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、弗化ビニリデンなどのフッ素系樹脂が、また熱や紫外線や電子線や放射線などで硬化する透光性を有する硬化性樹脂、特にメラミンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル変性シリケートなどのシリコーン樹脂などが使用され、これらのバインダーと上記極細導電繊維5とからなる導電層22が透光性となるようにされる。なお、これらのバインダーにはコロイダルシリカのような無機材を添加してもよい。基材21が透光性を有する熱可塑性樹脂で形成されていれば、これと同種の透光性熱可塑性樹脂、又は相溶性のある異種の透光性熱可塑性樹脂が、互いの積層性に優れ、透光性ノイズ防止成形体を得るうえで好ましく使用される。このような熱可塑性樹脂をバインダーとする導電層22は、ノイズ防止成形体2を曲げ加工などを施す場合は好ましく用いられる。
また、バインダーとして硬化性樹脂やコロイダルシリカを含むバインダーを使用すると、耐磨耗性などに優れるノイズ防止成形体2を得ることができる。このように、導電層22は基材21の表面に形成されるものであるから、要求される耐候性、表面硬度、耐摩耗性などに適したバインダーを選択使用することが望ましい。
上述したように、導電層22における極細導電繊維5の目付け量を15〜450mg/mとし、導電層22の厚みを5〜500nmと薄くして、極細導電繊維5を凝集することなく1本ずつ或は1束ずつ分離して分散させることで、表面抵抗率が10Ω/□以下の良好な導電性及び透光性が発現される。より好ましい極細導電繊維5の目付け量は40〜400mg/m、導電層22の厚みは10〜400nmである。なお、極細導電繊維5の他に導電性金属酸化物の粉末を30〜50質量%程度含有させてもよい。
また、ノイズ防止成形体2のノイズ防止性能を向上するために、例えばアースを設けたり、周囲に磁性層を設けるなどの公知の手法を採用しても良い。
以上のようなノイズ防止成形体2は、例えば次の方法で効率良く量産することができる。第一の方法は、導電層形成用の前記バインダーを揮発性溶剤に溶解した溶液に極細導電繊維5を均一に分散させて塗液を調製し、この塗液を基材21の片面に塗布、固化させて導電層22を形成することによりノイズ防止成形体2を製造する方法である。
第二の方法は、基材21と同種の熱可塑性樹脂フィルム又は相溶性のある異種の熱可塑性樹脂フィルムの片面に、上記塗液を塗布、固化させて導電層22を形成した導電性フィルムを作製し、この導電性フィルムを基材21の片面に重ねて熱プレスやロールプレスで熱圧着することによりノイズ防止成形体2を製造する方法である。
さらに他の方法は、ポリエチレンテレフタレートなどの剥離フィルムに上記塗料を塗布、固化させて導電層22を形成し、必要であればさらに接着層を形成して転写フィルムを作製し、この転写フィルムを基材21の片面に重ねて圧着して導電層22若しくは接着層と導電層22とを転写することによりノイズ防止成形体2を製造する方法である。
なお、その他の公知の製法によっても製造されることは言うまでもない。
図5は本発明の他の実施形態の画像表示装置を示す側面図である。
この画像表示装置は、プラズマディスプレイ装置Bを示していて、箱状の金属製筐体B1の内部に公知のプラズマディスプレイパネルB2を装着し、金属筐体B1の前面に本発明のノイズ防止成形体20を配置してなるものである。
ノイズ防止成形体20は、その四方の周囲を内部に折り曲げて屈曲片20aを形成してなり、この屈曲片20aを金属製筐体B1に接触させてなるものである。このようにノイズ防止成形体20を折り曲げても、前述した如く、繊維が切断せずにお互いの導通が途切れることがなくて、四方の屈曲片20aを含めたノイズ防止成形体20が同じ表面抵抗率を有するので、金属製筐体B1を通じてアースを取ることができる。
その他のノイズ防止成形体20の構成は、前記ノイズ成形体2と同じであるので、説明を省略する。またプラズマディスプレイパネルは公知であるので説明を省略する。
上記各実施形態では、画像表示装置として液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置を用いて説明したが、その他のSED装置、電界発光(EL)装置、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、ブラウン管などの画像表示装置の場合でも、装置内部あるいは画像表示部の前面に本発明の透明ノイズ防止成形体を組み込めば、画像表示装置内部から出てくる電磁波や静電気などのノイズを効果的に防止できることはいうまでもない。
次に、本発明の更に具体的な実施例を挙げる。
[実施例1]
溶媒としてのイソプロピルアルコール/水混合物(混合比3:1)中に単層カーボンナノチューブ(文献Chemical Physics Letters,323(2000)P580−585に基づき合成した物、直径1.3〜1.8nm)と分散剤としてのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合物を加えて均一に混合、分散させ、単層カーボンナノチューブを0.003質量%、分散剤を0.05質量%含む塗液を調整した。
この塗液を、市販の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(全光線透過率94.5%、ヘーズ1.5%)の表面に塗布して乾燥後、更に、メチルイソブチルケトンで600分の1に希釈した熱硬化性のウレタンアクリレート溶液を塗布して乾燥することにより導電層を形成し、透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
この透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面抵抗率を三菱化学社製のロレスタ−EPで測定したところ、表1に示すように、表面抵抗率が約8.7×10Ω/□であつた。
また、このフィルムの全光線透過率とヘーズとを、ASTM D1003に準拠して、スガ試験機社製の直読ヘーズコンピューターHGM−2DPで測定したところ、表1に示すように、全光線透過率が57.1%、ヘーズが5.4%であった。
また、このフィルムの導電層の550nm波長の光線透過率を、島津製作所製の島津自記分光光度計UV−3100PCを用いて、導電層付きフィルムと元のポリエチレンテレフタレートフィルムとの波長550nmにおける光線透過率をそれぞれ測定し、それらの差を導電層の光線透過率とした。この光線透過率は、表1に示すように、60.6%であった。
さらに、このフィルムの導電層の単層カーボンナノチューブの目付け量を測定したところ、274mg/mであった。
さらに、このフィルムの導電層を光学顕微鏡で観察したところ、0.5μ以上の凝集塊は存在しておらず、単層カーボンナノチューブの分散が十分に行われていた。そして、多数のカーボンナノチューブが1束ずつ分離した状態で均一に分散し、単純に交差した状態で接触していることがわかった。
また、電磁波ノイズ防止性能を測定するために、KEC法(アンリツ(株)製MA8602B)にて電界シールド率を測定し、その電界シールド率の結果を表1に記載すると共に、図6にグラフ化して示す。なお、電界シールド率は入射電界強度を1(100%)としたときの反射電界強度を%で表したものである。
また、静電気シールド性能を確認するために、JIS L1094に基づき、シシド静電気(株)製スタチックオネストメーターH−0110で10kvを印可した時の帯電圧を測定し、結果を表1に示す。
また、このフィルムを屈曲させたときの表面抵抗率の変化を調べるために、フィルムを導電層が外側となるようにして、所定の半径の線材に半円分以上沿わせ1分間保持した後、沿わせた部分を含んだ表面抵抗率を測定した。その屈曲させる前の表面抵抗率を1(100%)としたときの表面抵抗率の増加を表1に記載した。
[実施例2]
実施例1で用いた塗液を、実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に厚みを変えて塗布して乾燥することにより導電層を形成し、該導電層中のカーボンナノチューブの目付け量が94mg/mである透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
この透明ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面抵抗率を、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、表面抵抗率が3.63×10Ω/□であつた。
また、このフィルムの全光線透過率とヘーズとを、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、全光線透過率が82.0%、ヘーズが2.5%であった。
また、このフィルムの導電層の550nm波長の光線透過率を、実施例1と同様にして測定したところ、表1に併記するように、87.2%であった。
さらに、このフィルムのノイズ防止性能を示す電界シールド率及び静電気帯電圧を、実施例1と同様にして測定した結果を表1及び図6に併記し、さらに屈曲させたときの表面抵抗率の変化についても表1に併記した。
更に、このフィルムの色相を調べるために、JIS Z8722に基づいて、日本電色工業株式会社製の色差計 ZE−2000を用いて、導電層付きフィルムの色相を測定した。表1に示すように、L*:90.48、a*:−0.29、b*:2.14、YI:4.30であった。
[実施例3]
実施例1で用いた塗液を、実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に厚みを変えで塗布して乾燥することにより導電層を形成し、該導電層中のカーボンナノチューブの目付け量が50mg/mである透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
このフィルムの表面抵抗率、全光線透過率とヘーズ、導電層の550nm波長の光線透過率、屈曲させたときの表面抵抗の変化更にノイズ防止性能を示す電界シールド率及び静電気帯電圧とを、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1及び図6に併記した。
[実施例4]
実施例1で用いた塗液を、実施例1で使用したポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に塗布して乾燥することにより導電層を形成し、該導電層中のカーボンナノチューブの目付け量が47mg/mである透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
このフィルムの表面抵抗率、全光線透過率とヘーズ、導電層の550nm波長の光線透過率、更にノイズ防止性能を示す電界シールド率及び静電気帯電圧とを、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1及び図6に併記した。
〔比較例1〕
市販されている東洋紡績株式会社製のノイズ防止用フィルムであるITOフィルム400Rを用いて、表面抵抗率、全光線透過率とヘーズ、色差、屈曲させたときの表面抵抗の変化、更にノイズ防止性能を示す電界シールド率及び静電気帯電圧とを、実施例1と同様にして測定し、その結果を表1及び図6に併記した。
表1からわかるように、実施例1〜4、及び比較例1の全ての表面抵抗率は10Ω/□以下の数値を示し、十分ノイズ防止性能を有する表面抵抗率を有していた。特に、実施例1のフィルムは、ノイズ防止用フィルムとして使用されている比較例1のITOフィルムより10Ω/□オーダー低い表面抵抗率を有し、実施例2においても同程度の表面抵抗率を有していて、十分実用可能なノイズ防止フィルムとして使用できることがわかる。そして、各実施例は57〜90%の全光線透過率を有していて、比較例1と比べても十分な透視性を有していることがわかる。
さらに、比較例1とほぼ同等の全光線透過率である実施例2は、色差で黄色味を表すb*が2.14、YIが4.30であり、比較例1のb*が2.82、YIが5.57に比べると黄色味が少ないことが分かる。一般に、フィルムを画像表示装置に使用する場合、b*で0.4以上、YIで0.5以上の差が生じると目視で黄色味が確認できるといわれている。よって、実施例2のように、色差が小さいと、画像表示装置に組み込んだときに、画像を色の補正をすることがなく表示色相通りに見ることができるので、画像表示装置に使用されるノイズ防止フィルムとしては有用な性能である。
なお、実施例1〜4の表面抵抗率から、カーボンナノチューブ含有量が多いほど、その表面抵抗率が低下することがわかる。
また、各実施例のノイズ防止性能は、表1及び図6からわかるように、例えば、実施例1のフィルムは、1〜100MHzで95%以上の電界シールド率を有し、100MHz〜1GHzでは75%以上の電界シールド率を有しているように、本実施例1〜5の各フィルムは十分なノイズ防止性能を有している。特に、実施例1、2は比較例1の実使用されているITOと同等以上の電磁波シールド性能を有していていることがわかる。
また、それぞれの実施例は、10kv印加時の帯電圧が0Vであり、静電気の帯電がなく、シールド性能を有していることがわかる。
また、表1からわかるように、実施例1の表面抵抗率が約8.7×10Ω/□であるフィルムは、沿わせる線材の半径が3mm、さらには1mmの場合でも、試験後の表面抵抗率は試験前の1.1倍以下であることがわかる。また、実施例2の表面抵抗率が約4×10Ω/□であるフィルムは沿わせる線材の半径が3mm、さらには1mmの場合でも試験後の表面抵抗率は試験前の1.3倍以下であり、更に、実施例3の表面抵抗率が約1×10Ω/□であるフィルムは、沿わせる円筒の半径が3mm、さらには1mmの場合でも試験後の表面抵抗率は試験前の1.2倍以下であることがわかる。これらのことより、実施例1〜3のフィルムは、曲率半径が1〜10mmであるような曲げ加工を行っても、元フィルムの1.3倍以下の表面抵抗率の増加しか示していないことがわかる。これらのことより、曲率半径3mmで曲げたときの表面抵抗率の増加は、1.3倍以下であることがわかった。
一方、比較例1の表面抵抗率約4×10Ω/□であるITOフィルムは、沿わせる円筒の半径が5mm以上であると試験前の1.1倍以下の増加であるが、半径が3mmになると試験後の表面抵抗率が試験前の3倍以上となり、1mmになると試験前の2700倍以上となることが確認された。
これらのことより、本発明のノイズ防止成形体は屈曲による表面抵抗率の変化が少なく、例え屈曲してもノイズ防止性能を保持するため、ITO導電層皮膜とは異なり屈曲が可能なノイズ防止成形体として、屈曲部への使用、複雑な構造体への展開が可能となった。
本発明の板状の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を用いた液晶表示装置の側面図である。 本発明に係る透光性ノイズ防止成形体の一実施形態を示す断面図である。 (A)は本発明の導電層内部での極細導電繊維の分散状態を示す模式概略断面図、(B)は本発明の導電層表面での極細導電繊維の分散状態を示す模式概略断面図である。 本発明の導電層を平面から見た極細導電繊維の分散状態を示す模式概略平面図である。 本発明の箱状の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体を用いたプラズマディスプレイ表示装置の側面図である。 本発明に係る透光性ノイズ防止成形体の電界シールド特性を示すグラフである。
符号の説明
A 液晶表示装置
A1 液晶パネル
A2 バックライト部
A3 筐体
B プラズマディスプレイ表示装置
1 ランプ
2 透光性ノイズ防止成形体

Claims (9)

  1. 透光性基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ導電層が形成されたノイズ防止成形体であって、上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備え、その550nm波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とする画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  2. 透光性基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ導電層が形成されたノイズ防止成形体であって、上記極細導電繊維が凝集することなく分散して互いに接触し、上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備え、その550nm波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とする画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  3. 透光性基材の少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ導電層が形成されたノイズ防止成形体であって、上記極細導電繊維が1本ずつ分離した状態で、もしくは、複数本集まって束になったものが1束ずつ分離した状態で分散して互いに接触し、上記導電層が10Ω/□以下の表面抵抗率を備え、その550nm波長の光線透過率が50%以上であることを特徴とする画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  4. 上記極細導電繊維がカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  5. 上記極細導電繊維が多層カーボンナノチューブであり、1本ずつ分離した状態で分散して互いに接触していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  6. 上記極細導電繊維が単層カーボンナノチューブであり、複数本が集まって束になったものが1束ずつ分散した状態で互いに接触していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  7. 上記極細導電繊維が2〜3層カーボンナノチューブであり、複数本が集まって束になったものが1束ずつ分散した状態で互いに接触していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  8. 上記導電層の表面抵抗率が10Ω/□以下で、その550nm波長の光線透過率が85%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
  9. 透光性基材が合成樹脂からなり、その少なくとも片面に、極細導電繊維を含んだ導電層が形成されたノイズ防止成形体であって、曲率半径3mmに曲げた後の表面抵抗率の増大が1.3倍以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像表示装置用透光性ノイズ防止成形体。
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