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JP2005258297A - 光ファイバ用クラッドパイプ及びその製造方法 - Google Patents

光ファイバ用クラッドパイプ及びその製造方法 Download PDF

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JP2005258297A JP2004072775A JP2004072775A JP2005258297A JP 2005258297 A JP2005258297 A JP 2005258297A JP 2004072775 A JP2004072775 A JP 2004072775A JP 2004072775 A JP2004072775 A JP 2004072775A JP 2005258297 A JP2005258297 A JP 2005258297A
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忠宏 気賀沢
Tadashi Ueda
忠 上田
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Abstract

【課題】 クラッドパイプ内面の平滑性を向上させる。
【解決手段】 クラッドパイプ53を溶融押出により製造する。原料ポリマー40として、結晶性ポリマーに対して非晶性ポリマーを5〜30質量%で溶融ブレンドする。溶融ブレンドの代わりにドライブレンドをしてこの混合物を溶融押出してもよい。非晶性ポリマーは、用いる結晶性ポリマーとの相溶性を有するものとし、結晶化ポリマーの結晶化を抑制する機能を有する。得られるクラッドパイプの内面は平滑性に優れ、これにコアを形成した際には発泡等が発生せず、伝送損失の低い光ファイバが得られる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、光ファイバ用クラッドパイプ及びその製造方法と、これを用いて製造した光ファイバに関するものである。
光伝送体等の光学用途においては、プラスチック系材料は、石英系材料に対して、一般には成型加工性、部材の軽量化、低コスト化、可撓性、耐衝撃性等における優位性を有している。例えばプラスチック光ファイバ(以降、POFと称する。)は、石英系光ファイバと較べると、光の伝送損失が大きいために長距離の光伝送には向いていないが、上記のプラスチックの性質により、光ファイバのコア部を数10μm以上とするような大口径化を図ることができる。この大口径化により、光ファイバの分岐や接続に用いる各種周辺部品や機器の、光ファイバとの接続精度を上げる必要がなくなる。そのため、POFは、周辺部品や機器との接続容易性、端末加工容易性、高精度の調芯が不要になるメリットを有する。その他にもPOFは、上記のようなコネクタ部分の低コスト化の他に、上記のプラスチックの性質により、人体への突き刺し災害等の危険性の低さ、高い柔軟性による易加工性や易敷設性や耐振動性、そして低価格等のメリットがある。これにより、POFは、家庭や、車載用途に注目されているだけでなく、高速データ処理装置の内部配線や、DVI(digital Video Interface)リンクなどの極短距離かつ大容量のケーブルとしても、利用が検討されている。
POFは、コア部とクラッド部とから構成され、POF素線とも呼ばれる。一般には、コア部は重合体をマトリックスとする有機化合物からなる芯材の部分であり、クラッド部はコア部より屈折率が低い外殻部分である。このPOFの代表的製法としては、POF母材(以下、プリフォームと称する)を製作してからこのプリフォームを溶融延伸する方法がある。
POFでは、光が反射する面であるクラッド内面の平滑性が問題となる。パイプの内面の平滑化を図るために、例えば、パイプを溶融押出成型する際に、溶融パイプの内面を冷媒により−30℃以下に急速冷却し、内面の表面粗さRaを最大1μmとする方法(例えば、特許文献1参照)や、冷却液体を霧化して溶融パイプの内部に噴射し、これにより冷却して、パイプの押出方向の下流側でその噴霧物を吸引して排出する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。また、管状樹脂の内周面を一度加熱した後、押出機の先端にヒートパイプが埋設されたマンドレルにより樹脂を冷却して押し出してパイプを製造する方法(例えば、特許文献3参照)や、内部に冷却水が流れる熱伝導性に優れた弾性材層を熱可塑性樹脂製の管の内部に設けて、その樹脂管内面に弾性材を接触させる方法(例えば、特許文献4参照)が提案されている。また、光ファイバ用クラッドパイプの溶融押出による製造においても、押し出された溶融パイプの内面に冷却された中子を接触させ、これにより冷却して成型するという方法がある。これらの方法は、結晶性ポリマーの溶融成型における冷却の際に、結晶性ポリマーの結晶成長を抑制することができるために、パイプ内面の平滑性や光沢度を向上させる方法として有効である。
特公平6−37060号公報 特開平8−142216号公報 特許第3242463号明細書 特開平7−9537号公報
しかしながら、上記の方法はいずれも、成型するパイプの径や肉厚に応じて、押出ダイやサイジング手段等を選択する必要があり、また、好ましい押出ダイやサイジング手段がないこともある。例えば、押し出された溶融パイプの内面に中子や弾性体を接触させる方法は、パイプの径が大きく、かつ肉厚が薄い場合には、中子等の大きさをより大きくするなどして対応することができるが、パイプの径が小さい場合や、さらに肉厚が小さい場合には、その中子等の製造や取り付け精度等が困難であるという問題がある。また、パイプ内面に冷却媒体を吹き付ける場合においても、内面全体に均一に吹き付けることができずに、内面の表面平滑性にムラができる等の問題がある。さらに、これを改善するためには、冷却媒体の吹き付けノズルの取り付け精度や吹き付け条件の制御等の向上が必要となるが現実的にはコスト等が大きくなるという問題がある。したがって、上記方法を含めた従来の方法は、特に高い平滑性と、寸法精度が要求される光ファイバ用クラッドパイプの製造には適用することができない。そこで、本発明は、内面の平滑性に優れた光ファイバー用クラッドパイプの製造方法及びこれを用いた低伝送損失の光ファイバを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の光ファイバ用クラッドパイプの製造方法では、結晶性ポリマーと、前記結晶性ポリマーとの相溶性を有する非晶性ポリマーとを混合する混合工程と、この混合工程で得られたポリマー組成物を管状に成型する成型工程とを有することを特徴として構成されている。
前記混合がドライブレンドまたは溶融ブレンドにより実施されることが好ましい。また、混合工程における非晶性ポリマーの結晶性ポリマーに対する混合率が5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、この非晶性ポリマーが(メタ)アクリル系ポリマーであることがより好ましい。そして、上記製造方法においては、結晶性ポリマーがフッ素含有ポリマーであることがさらに好ましい。
また、本発明は、上記の製造方法により製造された光ファイバクラッドパイプを含んで構成されるとともに、結晶性ポリマーと、前記結晶性ポリマーとの相溶性を有する非晶性ポリマーとの混合物を主たる材料とする光ファイバ用クラッドパイプを含んで構成されている。
そして、本発明は、上記の光ファイバ用クラッドパイプと、このクラッドパイプの中空部に形成されクラッドパイプよりも屈折率が高いコア部とを有することを特徴とする光ファイバを含んで構成されており、このコア部は、断面円形の外周から中央に向かって屈折率が変化することが好ましい。
本発明の光ファイバ用クラッドパイプの製造方法により、内面の平滑性に優れたクラッドパイプを製造することができ、これによりコアを形成した際にも発泡等が発生せず、伝送損失の少ない光ファイバが得られる。
本発明の実施の形態について図を引用しながら説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。そして、本実施形態では、プラスチック光ファイバ(以降、POFと称する)を例示するが、本発明は、POFに限定されるものではなく、各種の光伝送体に適用することができる。他の光伝送体としては、光導波路等があり、ここでは平面レンズ、球面レンズ、非球面レンズ、ファイバレーザ、ファイバアンプ、フィルタなども例示され、さらに、これらを複合的に組み合せて構成されるものも含まれる。組み合わせの例としては、光ファイバとレンズとファイバレーザとファイバアンプとの組み合わせ等が挙げられる。
本発明の本実施形態としてのPOFの構造とその性状について、図1及び図2を参照しながら説明する。POFは、図1及び図2のプリフォームを後述のように長手方向に加熱延伸して製造されるものであり、基本構造及び性状はプリフォームとほぼ同じものとなっている。図1は、プリフォームの断面図であり、図2はプリフォームの断面の径方向における屈折率を示す図である。
図1に示すプリフォーム11は、外殻部であるクラッド12と、クラッド12の中のコア13とを有し、ともにポリマーを主成分としている。これらのクラッド12とコア1 3とは、延伸によりPOFとされた際にそれぞれPOFのクラッドとコアとになる。クラッド12は、外径及び内径が長手方向に一定で、厚みが均一の管形状となっており、一方の端部はふさがれている。
図2において、横軸はプリフォームの断面径方向を示し、縦軸は屈折率を示す。屈折率は、上方向が高い値であることを意味している。横軸の符号(A)で示される範囲は、図1におけるクラッド12の屈折率であり、符号(B)で示される範囲は図2におけるコア13の屈折率である。コア13は、図2に示されるように、クラッド12との境界から中心に向けて屈折率が連続的に高くなっている。そして、クラッド12の屈折率は、コア13の屈折率より低くなっている。なお、断面円形の径方向において、屈折率の最大値と最小値との差が0.001以上0.3以下であることが好ましい。この構造によりプリフォーム11は、光伝送体としての機能を発現し、これを延伸させたものがPOFとなる。このように、外殻部のクラッド12から中心に向けて屈折率が連続的に変化するプリフォーム11を長手方向に延伸して作られるPOFは、グレーデッドインデックス(GI)型POFと称される。そして、本発明においては、製造されたプリフォーム15のコア13の屈折率が、図2に示すように、断面円形の径の外側から中心に向けて連続的に屈折率が高くなるように、コア13の生成方法として、後述するような界面ゲル重合法を適用している。
図3は、POF及び光ファイバーケーブルの製造工程図である。それぞれの工程については後で詳細に説明するものとし、ここでは工程の流れについてのみ説明する。まず、クラッド作成工程21により、管状のクラッド12を作製する。その後、このクラッド12の内部にコアを生成させるため、コア重合工程22を経る。コアの生成により、プリフォーム11が得られる。プリフォーム11は、延伸工程23により延伸されて、POF26となる。この延伸工程23では、円柱状のプリフォーム11が、加熱されて、長手方向に延伸される。プリフォーム11は、POF26とされなくとも、この状態のままで光伝送体としての機能を有するものである。そして、POF26は、その外周を被覆材により被覆される被覆工程27を経て、プラスチック光ケーブル28となる。
次に、クラッド12の製造方法について図4及び図5を参照しながら説明する。図4はクラッド12の製造装置30の概略図であり、図5は、クラッド製造装置の押出ダイの下流の断面図である。まず、クラッド製造装置30について説明をし、その後、この装置を使用したクラッド製造方法を説明する。クラッド製造装置30は、図4に示すように、上流から順に混練押出機31と、押出ダイ32と、真空冷却器35と、肉厚外径測定器36と引取機37とを有している。
混練押出機31は、この内部にクラッド12の原料ポリマー40等を供給するためのホッパ41と、原料を加熱して内部に設けられたスクリュー(図示なし)の回転により混練押出するための混練押出部42とを備えている。また、この混練押出部42は、原料を加熱するための加熱手段42aと、この加熱手段42aの温度を制御するための温度コントローラ42bとを備えている。本実施形態においては、この混練押出機31は、スクリューが2本備えられた、一般に2軸混練押出機と称されるものであるが、本発明は混練押出機の種類に依存するものではなく、他の公知の各種混練押出機を用いてもよい。他の混練押出機としては単軸混練押出機が例示される。ただし互いに異なるポリマーの混和度もしくは混練の効率性を向上させる点では二軸混練押出機がより好ましい。
また、押出ダイ32は、溶融ポリマーを管状に押し出すだめのダイであり、図5に示すように、管外周面を形成するための外部材32aと、管内周面を形成するための内部材32bとを有している。
真空冷却器35には、サイジングダイ43と、溶融クラッド46を冷却するための水を供給する給水部47と、内部の水を排出するための排水部48と、内部を所定の減圧度となるように減圧するための減圧機49とシール部材50とが備えられている。サイジングダイ43は溶融状態にある溶融クラッド46を所定の外形にし、給水部47は溶融クラッド46を水を吹き付けることにより冷却してクラッドパイプ53とする。また、肉厚外径測定器36はクラッドパイプ53の厚み(肉厚)及び外径を測定する。
引取機37は、クラッドパイプ53を狭持しながら搬送するための駆動ローラ54a,55aとニップローラ54b,55bとからなるローラ対54,55を備えており、その駆動ローラ54a、55aにはモータ54c,55cが接続され、またニップローラ54b,55bは駆動ローラ54a,55aとのクラッドパイプ53の狭持力を調整するための弾性体54d,55dが設けられている。駆動ローラ57,58とニップローラ59,60とで冷却パイプ51を搬送することにより、クラッドパイプ53の長手方向に張力を付与することができ、これによりクラッドパイプ53の強靭性を向上させる。なお、ローラ対54,55の数は、図4では2としているがこれに限定されず、適宜増減される。そして、得られるパイプ54を所望の長さに切断してクラッドパイプ12として用いる。
次に、このクラッド製造装置30を用いる場合のクラッド製造方法を説明する。ホッパ41から混練押出機31に供給された原料ポリマー40は、溶融混練機31で所定温度に加熱されて溶融される。溶融押出においてはスクリューによる剪断により混練効率が向上する。溶融されたポリマーは、押出ダイ32によりパイプ状の溶融クラッドパイプ46として押し出されて真空冷却器35内に送られる。真空冷却器35では、給水部からの水が溶融クラッドパイプ46の外面に対して吹き付けられており、これにより溶融クラッドパイプ46が冷却されてクラッドパイプ53となる。なお真空冷却器35の内部は、クラッドパイプ53に気泡が発生しないように冷却中は減圧されており、水は排水部により外部へ排出されている。次に、クラッドパイプ53は、肉厚外径測定器36によりパイプの外径と肉厚とを適宜測定されており、この検知結果に応じて、混練押出機42のスクリュ回転数と混練押出機42からの溶融クラッドの引き取り速度とが制御される。そして、このクラッドパイプ53に対して引取機37により所望の張力を付与し、クラッドパイプの強靭性を向上させる。
ここで、原料ポリマー40について詳細に説明する。本実施形態においては、クラッドの原料ポリマー40として、結晶性ポリマーと非晶性ポリマーとを用いている。具体的には、化1で示される繰り返し単位よりなるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を結晶性ポリマーとして用い、化2で示される繰り返し単位からなるポリメチルメタクリレート(PMMA)を非晶性ポリマーとして用いている。
Figure 2005258297
Figure 2005258297
本発明では、結晶性ポリマーと非晶性ポリマーとを、溶融クラッドパイプ46が形成される前に混合している。混合方法は、本実施形態においては、一般には溶融ブレンドと称される方法としており、これは、例えばペレット状である両ポリマーを、ホッパ41から混練押出機31に供給しここで溶融混練するものである。
結晶性ポリマーであるフッ素含有樹脂は、屈折率が低い樹脂である点で好ましくクラッドパイプに用いることができる。そして、本発明ではこの結晶性ポリマーに対して所定比率で非晶性ポリマーを混合することにより、非晶性ポリマーが結晶性ポリマーの結晶化を抑制して平面平滑性を発現し、これによりクラッドパイプの表面平滑性を付与するための工程や設備等を別途設けずともよいという効果がある。
ところで、非相溶系のポリマーの溶融ブレンドでは、混練押出機31が単軸であるか二軸であるか、温度条件、スクリューの回転数等により、成型された後のポリマー分子の分散または配列状態に差異が現れるとともに、相状態が微細となるように制御してもPOFとするに十分な平滑性が得られない場合が多い。これは、非相溶系のポリマー同士により得られるポリマー組成物では相分離構造の構造状態により成型物の表面に凹凸が形成されてしまうからである。そこで本発明では上記の結晶性ポリマーと非晶性ポリマーとの組み合わせを相溶系とすることにより、溶融ブレンドにおける混練条件を精緻に制御することなしに容易にPOFとするに十分な平滑性を再現性よく満足するためのポリマー組成物を得ることができる。
本発明では、結晶性ポリマーとしてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いているがこれに限定されず、例えば他の結晶性ポリマーでもよい。なかでも、屈折率が低く、可撓性を有し、機械的強度に優れる点でフッ素含有ポリマーが好ましい。ただし、フッ素系ポリマーのなかでもPVDFは、他の多くのフッ素系ポリマーと同様に屈折率が低く、光エネルギーの吸収スペクトルがフッ素(F)を水素(H)に置き換えたものに比べて可視領域の長波長側等へシフトするなどして、損失窓を広く設定することができるとともに、他のフッ素系ポリマーと比べて耐熱性と成型加工性とのバランスが良いという長所があり特に好ましい。
一方、非晶性ポリマーとしては本実施形態ではポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いているが、これは結晶性ポリマーとして用いたPVDFと良好な相溶性を有し、かつ、屈折率が低い樹脂であるからである。
なお、結晶性ポリマーと非晶性ポリマーとの混合は、上記のような溶融ブレンドとは別の混合方法により実施することも可能であり、例えばドライブレンドでも好ましく実施することができる。このドライブレンドでは、結晶性ポリマーと非晶性ポリマーとを所定の比率でペレットや粉体等の固体状態のままで混合する。この混合は、市販のタンブラーミキサー等の混合手段を用いて実施することができる。そして、得られた混合物を溶融するが、このとき、上記の混練押出機31を用いて混合物に剪断をかけながら溶融して溶融ポリマーとしてこのまま連続的にクラッドパイプを作製してもよいし、一度溶融ポリマーをペレット化あるいは粉体化してからこのペレットあるいは粉体等をクラッドパイプに溶融混練成型してもよい。
また、結晶性ポリマーに対する非晶性ポリマーの質量比率が5%以上30%以下であることが好ましい。図6には、非晶性ポリマーの結晶性ポリマーに対する質量比率と、このポリマーアロイを用いたクラッドパイプの内面の凹凸の深さとの関係を示したグラフである。クラッドパイプの内面の凹凸は、市販のデジタルマイクロスコープを用いて観察したものであり、凹凸の深さとは凸部と凹部との高低差(粗さ)を意味する。なお、このグラフは、結晶性ポリマーとしてPVDF、非晶性ポリマーとしてPMMAを用いた場合の結果を示している。
図6においては、縦軸は凹凸の深さを示し、横軸は結晶性ポリマーに対する非晶性ポリマーの質量比率(単位;質量%)を示す。図6に示されるように、結晶性ポリマーに対する非晶性ポリマーの質量比率に応じて凹凸の大きさは変化しており、両者の関係は、概ね35%以下の前記質量比率の範囲において下に凸の曲線として得られている。凹凸が特に小さくなっている範囲は、前記質量比率が15〜25%である範囲である。このように、前記質量比率が30%よりも大きくなると凹凸の深さが大きくなり平滑性がなく好ましくない。一方、前記質量比率が5%よりも小さいと、非晶性ポリマーの併用効果が得られない。また、前記質量比率については、10%以上20%以下とすることがより好ましい。また、本実施形態においては、凹凸の深さの観察の他に、凹凸の各大きさについても観察した。この凹凸の大きさとは、観察面を上方から平面としてみたときの凸部及び凹部の各径である。その結果、凹凸の深さと凹凸の大きさとは概ね同様の傾向、つまり、凹凸の深さが深いほど大きさも大きくなり、浅いほど小さくなるという傾向が観察された。
このように、本発明では、結晶性ポリマーと、この結晶性ポリマーとの相溶性を有する非晶性ポリマーとを、溶融ブレンドまたはドライブレンドにより原料ポリマーとは異なるポリマー組成物とし、これを原料ポリマー40として用いるが、このポリマー組成物に代えて以下の第2の実施形態に示すような重合体を用いることができる。
第2の実施形態における原料ポリマー40として用いた重合体は、ふたつの結晶性ポリマーの両分子の繰り返し単位を有するものであり、この一方の結晶性ポリマーの繰り返し単位が他方の結晶性ポリマーの分子鎖に導入されることにより、互いの結晶化を抑制しあう。つまり、結晶性ポリマーと非晶性ポリマーとの相溶性を利用する方法ではなく、ふたつの結晶性ポリマーの各繰り返し単位を有する重合体を生成することにより、両者の基本分子構造の共存を図り、結晶化を抑制させている。これは、各繰り返し単位のみを有するポリマーが両者とも結晶性ポリマーであっても、両者には粘度や結晶化速度、結晶化温度等の違いがあるためと発明者らは考えている。したがって、結晶性ポリマーの結晶化の抑制方法としては、第1の実施形態のような非晶性ポリマーの共存だけではないと考えられ、このように、結晶性ポリマーを用いる場合には、この結晶性ポリマーの結晶化を抑制することがクラッドパイプの内面の平滑性を発現させる上で有効であると考えられる。
本実施形態においては、一方の結晶性ポリマーの分子の繰り返し単位を前実施形態の化1に示した繰り返し単位とし、他方の結晶性ポリマーの分子の繰り返し単位を化3に示される繰り返し単位とした。化3に示される繰り返し単位のみを有するポリマーはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)として一般に知られている。なお、以下の説明において、重合体をなす一方の結晶性ポリマーの分子の繰り返し単位が連続している分子鎖部分を第1構造部と称し、他方の結晶性ポリマーの分子の繰り返し単位が連続している分子鎖部分を第2構造部と称することとする。
Figure 2005258297
上記の重合体は、第1構造部を生成するためのモノマーと第2構造部を生成するためのモノマーとを所定の重合条件により重合させることにより生成させることができる。生成方法としては、用いるモノマーの種類に応じて適宜公知の重合体生成方法を用いることができる。
第1構造部の繰り返し単位を有するモノマーとして化1に示すようなビニリデンフルオライド(VDF)を用いた場合には、第2構造部の繰り返し単位を有するモノマーとして本実施形態のテトラフルオロエチレン(TFE)の他に、次のものを例示することができる。例えば、ヘキサフルオロプロピレン、TFEにクロロトリフルオロエチレンを数%共重合したもの、TFEまたはヘキサフルオロプロピレンの各変性体等である。また、第1構造部の繰り返し単位を有するモノマーとしては、これを高分子化したときに機械的強度にも優れ、また他のポリマーと比べて屈折率が低いことからVDFが好ましい。なお、本実施形態においては、第1構造部の繰り返し単位を有するモノマーとして化1に示すようなビニリデンフルオライド(VDF)を用いた場合には、第2構造部の第1構造部に対する質量比率が10質量%以下であることが好ましい。
以上に挙げた原料ポリマーを用いてクラッドパイプを製造すると、結晶化が抑制されるので、結晶化に伴う白色化を抑制することができ、クラッドパイプの肉厚を大きくした場合でも特別な処理を施すことなく、透明なプリフォームを製造することができる。したがって、外観上優れた製品が得られるのみならず、製造中における欠陥検出時にも内部の欠陥検出等が容易にできるという効果もある。
上記の方法により得られたクラッドパイプを用いて以下の方法によりPOFを製造する。図7は、クラッドの中にコアを生成するための重合装置の断面図である。コア13の生成方法としては、本実施形態では周知の界面ゲル重合法を適用している。ただし、本発明は以下のコア生成方法ならびにPOF製造方法に依存するものではなく公知の種々の方法を適用することができる。
まず、クラッド12の一方の端部をクラッドパイプに用いられた材料と同じ材料により塞ぐ。そして、クラッド12の中に、コア13を生成するための原料である重合性化合物を注入する。以降の説明において、コア30を生成するための前記重合性化合物を、コア用モノマーと称するものとする。本実施形態においては、コア用モノマーをメチルメタクリレート(以降、MMAと称する)としている。ただし、このコア用モノマーは、MMAに限定されず、他のものでもよい。MMA以外の好適なコア用モノマーの例は後述するものとする。また、コア用モノマーとは、単量体に限定される意味で用いた語ではなく、重合性化合物であれば単量体以外の、例えば二量体や三量体等である化合物であってもよい。
なお、コア用モノマーが充填される前のクラッド12を、所定時間減圧下におくことがさらに好ましい。この減圧処理により、クラッド形成ポリマー内部に含まれている水や空気がコア用モノマーの重合時等に加熱されて体積膨張したりするなどして、クラッド12の内面に歪みやひび割れ等が発生したり、あるいはプリフォーム11の内部の分子密度がばらついてしまうという現象を抑制することができる。
また、コア用モノマーであるMMAをクラッド12の中に注入するときには、重合開始剤、連鎖移動剤、および適宜屈折率調整剤(ドーパント)等がコア用モノマーとともに注入される。これらの重合開始剤や連鎖移動剤、ドーパントの各添加量については、後述する。なお、ドーパントを用いずに、例えばコア用モノマーを2種以上用いる等によっても、コア13の断面の径方向における屈折率を変化させることもできる。本実施形態においては、ドーパントとして、高屈折率で分子体積が大きく、重合に関与しない低分子化合物を用い、これを添加することによりコア13の径方向における屈折率を変化させている。
コア用モノマーの重合は、図7に示すような重合装置60により行う。重合装置40は、重合容器41と、圧力計44と、圧力コントローラ45との他に、温度計47と温度コントローラ48とを備えている。さらに、重合容器41には、不活性ガスとしての窒素を供給する窒素供給元51が備えられている。そして、重合容器41は容器本体41aと蓋41bとを有しており、容器本体41aと蓋41bとは、ネジ(図示せず)で固定される。ただし、本発明は、重合装置の構造には依存せず、図2に示される重合装置40とは異なるものを用いてもよい。
圧力計44は、重合容器41の内部の圧力を検知する。圧力コントローラ45は、圧力計44の検知結果に応じて、窒素供給元51からの窒素供給量を調節して、重合容器41の内部の圧力を制御する。また、温度計47は、重合容器41の内部の温度を検知する。容器本体41aには加熱線(図示なし)が備えられており、温度コントローラ48は、温度計47の検知結果に応じて、加熱線を流れる電流を制御する。これにより、重合容器41の内部の温度は制御される。なお供給されるガスは不活性ガスであれば窒素に限定されず、アルゴン等でもよい。このガス供給により、重合容器41の内部空気は窒素に置換される。重合容器41は、容器本体41aと蓋41bとがネジ留めされることにより、内部の圧力と、内部への窒素の供給量とを精巧に制御することが可能となっている。
クラッド12はコア用モノマー及び重合開始剤、連鎖移動剤、ドーパント等の混合物が注入された状態で治具としてのガラス管52に挿入され、このガラス管52が容器本体41aに入れられる。このとき、ガラス管52は、垂直に静置される。なお、コア用モノマー等が注入された状態のクラッド12は、ガラス管52に挿入される前、あるいは、挿入された状態で、脱気処理を施されることが好ましい。この脱気処理方法としては、簡便さならびに効果の点で、減圧チャンバ等による減圧処理が好ましく、この減圧処理において超音波を作用させることがさらに好ましい。減圧処理は、減圧チャンバ等で30分以上行うことがより好ましい。
クラッド12が挿入されたガラス管52が容器本体41aにセットされ、蓋41bが容器本体41aにネジ留めされると、窒素供給元51から重合容器41の内部へ窒素が供給されるとともに、バルブV1を開状態とすることにより重合容器41の内部の空気が出されて、重合容器41の内部の空気は窒素に置換される。窒素置換した後、重合容器41の内部圧力は、所定の値となるように圧力コントローラ45により制御される。そして、コア用モノマーの重合は、温度コントローラ48により加熱された状態で行う。重合は所定の温度下で所定の時間行う。重合反応中における圧力は、圧力コントローラ45により所定値となるように制御されており、常圧より高くすることが好ましい。
コア用モノマーが重合を開始すると、クラッド12の内壁がコア用モノマーにより膨潤し、重合初期段階では膨潤層を形成する。この膨潤層は、ゲル状態となっており、そのため、重合が加速(ゲル効果と称する)する。そして、重合は、クラッド12の内面から開始し、クラッド12の断面円形の中心に向かって進行する。このとき、膨潤層の内部へは、分子体積の小さい化合物ほど優先的に入り込むため、重合の進行と共に、分子体積の大きなドーパントが膨潤層から前記中心方向へと押し出される。この結果、形成されたコアの中心部は、高屈折率のドーパントの濃度が高くなり、図3に示すように、断面円形の径方向における中心に向かって屈折率が徐々に高くなったプリフォームを得ることができる。なお、本実施形態においては、クラッド12の主たる成分とコア13とは、ともにPMMAであり、また、上記のように膨潤層を形成しながらプリフォーム11が作成されるということから、クラッド12とコア13とは明確な境界を有するものではない。つまり、図2では説明の便宜上クラッド12とコア13との境界を示しているが、このように、クラッド12とコア13との材料及びその親和性、または膨潤層形成の有無等の製造条件に応じて、得られたプリフォーム11におけるクラッド12とコア13との境界の明確度は異なったものとなる。
また、コア用モノマーの重合時においては、コア用モノマーが注入されたクラッド12を、図4に示すようにガラス管52等の治具により支持して重合容器41にセットすることが好ましい。前記治具は、クラッド12の挿入が可能な中空部を有する管形状であることが特に好ましい。そして、加圧下で重合が進むに従い、コア13となる領域が徐々に収縮しようとする力が増すが、これに応じてクラッド12が微小な範囲で寸法変化することができるように、前記治具は、クラッド12の外面を固定等せずにクラッド12を支持することが好ましい。例えば、クラッド12が治具に固定されて支持されている場合には、重合中のコア30の収縮に対してクラッド12が応じることができずに、コア13の中央部に空隙(ボイド)が発生し易くなってしまう。このような理由により、治具が管状である場合には、前記クラッド32の外径より大きい内径を有することが好ましい。前記管状治具の内径は、前記クラッド12の外径に対して0.1%〜40%だけ大きい径を有しているのが好ましく、10〜20%だけ大きい径を有しているのがより好ましい。ただし、前記クラッド12を垂直に立てることができ、クラッド12の寸法変化に応じてこれを支持するものであれば好ましく用いられ、管状である必要はない。
重合時の加圧の好ましい値の範囲については、用いるコア用モノマーによって適宜決定される。加圧度が大きすぎると、コア用モノマー中に加圧気体が溶解する、または、コア用モノマーに存在する溶存気体が脱離せず、加熱による延伸工程23(図3参照)でこれが気泡となるという問題がある。一方、加圧度が小さすぎると、コア用モノマーの重合工程におけるポリマー生成時の体積収縮に対して応答性が低くなり、空隙や気泡が発生しやすいという問題がある。本実施形態では、0.01MPa〜1.0MPa程度が好ましい範囲であった。このように、重合時の圧力を制御することにより、プリフォーム11のコア13あるいはPOF26(図3参照)のコア部に空隙や気泡が発生することを抑制することができる。
重合は本実施形態に示すように加熱下でなされることが好ましい。その温度は、コア用モノマーの種類等に応じて決定されるものであり、主にその重合速度と変質温度とを考慮して決定される。例えば、コア用モノマーとして、典型的なメタクリレート系低分子化合物を用い、これをコア30の主成分とした場合には、その温度は50℃〜150℃とすることが好ましく、80℃〜140℃とすることがさらに好ましい。また、重合時間は、4時間〜48時間であることが好ましいが、これもコア用モノマーの種類等に応じて決定される。しかしながら、本発明において、重合時の各条件は前述したものに限定されるものではない。
この様にして、コアおよびクラッドがプラスチックからなる、円柱状のプリフォームを作製することができ、得られたプリフォームは延伸工程に供される。そして、延伸により、所望の直径、例えば200μm以上1000μm以下のPOFを得ることができる。
本発明は、図1に示されるようなプリフォーム11を製造する場合に限定されない。例えば、クラッドまたはコアが複層構造である場合にも適用可能である。
本発明においては、プリフォームを構成するコアの材料は、光伝送の機能を損なわない限りにおいて特に限定されるものではない。特に好ましく用いられるものとしては、有機材料として光透過性が高いものである。ただし、コアを伝送する光がコアとクラッドとの界面で全反射するように、コアの材料は、クラッドの屈折よりも高い屈折率を有するようなポリマーとし、光学的異方性を生じないように非晶性のポリマーとすることが好ましい。さらに、コアとクラッドとは、互いに密着性に優れるポリマーとし、これらがタフネス等に示される機械的特性に優れ、耐湿熱性にも優れていることがより好ましい。
コアの材料例としては、(メタ)アクリル酸エステル類(フッ素不含(メタ)アクリル酸エステル(a),含フッ素(メタ)アクリル酸エステル(b)),スチレン系化合物(c),ビニルエステル類(d)、ポリカーボーネート類の原料であるビスフェノールA等を重合性化合物として用いて重合させたものとすることができる。これらを原料として、各々を重合させたホモポリマー、あるいはこれらのうち2種以上を組み合わせて重合させた共重合体、および上記のホモポリマーや共重合体の各種組み合わせによる混合物もコアの材料例として挙げることができる。そして、これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル類または含フッ素ポリマーを成分として含むものが光伝送体を構成する上でより好ましい。次に、上記の例について、より詳細に示す。
上記の(a)フッ素不含メタクリル酸エステルおよびフッ素不含アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルメチル、トリシクロ[5・2・1・02,6 ]デカニルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ノルボニルメタクリレート等が挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。
また、(b)含フッ素アクリル酸エステルおよび含フッ素メタクリル酸エステルとしては、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1 −トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、(c)スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。さらには、(d)ビニルエステル類としては、ビニルアセテート、ビニルベンゾエート、ビニルフェニルアセテート、ビニルクロロアセテート等が挙げられる。もちろん、これらに限定されるものではなく、重合性化合物の単独あるいは共重合体からなるポリマーの屈折率が、光伝送体に成型されたときに所定の屈折率分布を成型体のなかで有するように、種類や組成比を決定することが好ましい。
さらに、光学部材を近赤外光用途に用いる場合は、構成するC−H結合に起因した吸収損失が起こるために、特許3332922号公報や特開2003−192708号公報などに記載されているような、C−H結合の水素原子を重水素原子やフッ素などで置換したポリマーを用いることで、この伝送損失を生じる波長域を長波長化することができ、伝送信号光の損失を軽減することができる。このようなポリマーとしては、例えば、重水素化ポリメチルメタクリレート(PMMA−d8)、ポリトリフルオロエチルメタクリレート(P3FMA)、ポリヘキサフルオロイソプロピル2−フルオロアクリレート(HFIP 2−FA)などを例示することができる。なお、原料となる化合物は、重合後の透明性を損なわないためにも、不純物や散乱源となる異物は重合前に十分に除去されることが望ましい。
重合させてポリマーとする場合においては、重合開始剤を使用する場合がある。重合開始剤としては、例えば、ラジカルを生成するものが各種ある。例えばラジカルを生成するものとして、過酸化ベンゾイル(BPO)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(PBO)、ジ−tert−ブチルパーオキシド(PBD)、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(PBI)、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バラレート(PHV)などのパーオキサイド系化合物が挙げられる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルヘキサン)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブタン)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−メチルヘキサン)、3,3’−アゾビス(3,4−ジメチルペンタン)、3,3’−アゾビス(3−エチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジエチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジ−tert−ブチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などのアゾ系化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、これらに限定されるものではなく、また、2種類以上を併用してもよい。
コアを重合してポリマーとしたときの機械特性や熱物性などの各種物性値を全体にわたって均一に保つために、重合度の調整を行うことが好ましい。重合度の調整のためには、連鎖移動剤を使うことができる。連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択できる。各モノマーに対する連鎖移動剤の連鎖移動定数は、例えば、ポリマーハンドブック第3版(J.BRANDRUPおよびE.H.IMMERGUT編、JOHN WILEY&SON発行)を参照することができる。また、該連鎖移動定数は大津隆行、木下雅悦共著「高分子合成の実験法」化学同人、昭和47年刊を参考にして、実験によっても求めることができる。
連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類(例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ペンチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等)、チオフェノール類(チオフェノール、m−ブロモチオフェノール、p−ブロモチオフェノール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール等)などを用いることが好ましい。特に、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンのアルキルメルカプタンを用いるのが好ましい。また、C−H結合の水素原子が重水素原子やフッ素原子で置換された連鎖移動剤を用いることもできる。なお、連鎖移動剤は勿論これらに限定されるものではなく、これら連鎖移動剤は2種類以上を併用してもよい。
POFの中心部であるコア部が、中心から外周方向に向かって屈折率が異なるGI型POFの場合には、伝送性能が向上するため、より広帯域の光通信を行うことができ、高性能通信用途に好ましく用いることができる。屈折率の分布を付与する方法としては、コア部を形成するポリマーに、複数の重合単位を組み入れたり、それらのポリマーをさらに組合わせた共重合体を用いたり、または、ポリマーマトリクスに屈折率分布を付与するための添加剤(以下、ドーパントと称する)を添加する必要がある。
ドーパントは、上記のような重合性化合物とは異なる屈折率を有する化合物である。その屈折率差は0.005以上であることが好ましい。ドーパントは、これを含有するポリマーが無添加のポリマーと比較して、屈折率が高くなる性質を有する。これらは、特許3332922号公報や特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成されるポリマーとの比較において、溶解性パラメータとの差が7(cal/cm3 1/2 以内であると共に、屈折率の差が0.001以上であり、これを含有する重合体が無添加の重合体と比較して屈折率が変化する性質を有し、重合体と安定して共存可能で、且つ前述の原料である重合性モノマーの重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、いずれも用いることができる。
また、ドーパントは重合性化合物であってもよい。重合性化合物のドーパントを用いた場合には、これを共重合成分として含む共重合体が、これを含まない重合体と比較して、屈折率が上昇する性質を有するものを用いることが好ましい。上記性質を有し、重合体と安定した共存が可能で、かつ、前述のコア用モノマーあるいはクラッド原料である重合性化合物の各種重合条件(加熱および加圧等の重合条件)下において安定であるものを、ドーパントとして用いることができる。本実施の形態では、コア用モノマーにドーパントを含有させ、コア部を形成する工程において界面ゲル重合法により重合の進行方向を制御し、屈折率調整剤の濃度に傾斜を持たせ、コア部に屈折率調整剤の濃度分布に基づく屈折率分布構造を形成する方法を例示しているが、それ以外にもプリフォーム形成後に屈折率調整剤を拡散させる方法も知られている(以下、屈折率の分布を有するコア部を「屈折率分布型コア部」と称する)。屈折率分布型コア部を形成することにより、得られる光学部材は、広い伝送帯域を有する屈折率分布型プラスチック光学部材となる。
前記ドーパントとしては、例えば、安息香酸ベンジル(BEN)、硫化ジフェニル(DPS)、リン酸トリフェニル(TPP)、フタル酸ベンジル−n−ブチル(BBP)、フタル酸ジフェニル(DPP)、ビフェニル(DP)、ジフェニルメタン(DPM)、リン酸トリクレジル(TCP)、ジフェニルスルホキシド(DPSO)などが挙げられ、中でも、BEN、DPS、TPP、DPSOが好ましい。また、ドーパントは、例えばトリブロモフェニルメタクリレートのように重合性化合物でもよく、その場合、マトリックスを形成する際に、重合性モノマーと重合性ドーパントとを共重合させるので、種々の特性(特に光学特性)の制御がより困難となるが、耐熱性の面では有利となる可能性がある。ドーパントの、コア部における濃度および分布を調整することによって、プラスチック光ファイバーの屈折率を所望の値に変化させることができる。
前述した重合開始剤や連鎖移動剤、屈折率調整剤の各添加量については、用いるコア用モノマーの種類等に応じて、好ましい範囲を適宜決定することができる。本実施形態においては、重合開始剤は、コア用モノマーに対して、0.005〜0.050質量%となるように添加しており、この添加率を0.010〜0.020質量%とすることがより好ましい。また、前記連鎖移動剤は、コア用モノマーに対して、0.10〜0.40質量%となるように添加しており、この添加率を0.15〜0.30質量%とすることがより好ましい。そして、本実施形態のように、ドーパントを添加する場合の添加率は、コア用モノマーに対して、1質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。
その他、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部には、光伝送性能を低下させない範囲で、その他の添加剤を添加することができる。例えば、コア部もしくはその一部に耐候性や耐久性などを向上させる目的で、安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することができ、伝送距離が向上するので、例えば、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。これらの添加剤も、前記原料となる各種重合性化合物に添加した後、重合することによって、コア部、クラッド部もしくはそれらの一部に含有させることができる。
GI型POFのプリフォームの製造方法は、特許3332922号公報に記載されているように、クラッドとなる樹脂の中空管を作成し、その管内にコアを形成する樹脂組成物を注入し、塊状重合法の一種である界面ゲル重合法によりポリマーを重合することによりコア部を形成する方法を例示することができる。この場合の重合条件、つまり重合温度や順号時間は、用いるモノマーや重合開始剤により異なるが、一般的に好ましい条件がある。その条件とは、例えば重合温度は、60℃以上で、かつ生成するポリマーのガラス転移点以下であることが好ましく、60℃以上150℃以下であることが好ましい。また例えば重合時間は、5〜72時間であることが好ましく、5〜48時間であることがより好ましい。不活性ガス雰囲気中で重合反応を行うことが好ましく、必要に応じて、加圧や減圧を実施してもよい。この他にも、国際公開第03/19252号パンフレット記載の重合条件を適用することにより、密度揺らぎのないコア部を形成することができる。また、その他には、重合後の屈折率が異なる重合性組成物を逐次添加するコア部の形成法も知られている。なお、本発明に用いられるGI型光ファイバーのプリフォームの製造方法は、前述の如く界面ゲル重合法に限定されるものではない。また、樹脂組成物は前述のように、単一の屈折率を持つ樹脂組成物に屈折率調整剤を添加するものや、屈折率の異なる樹脂を混合するもの、共重合などが用いられる。また、プラスチック光ファイバーは、GI型の他に、シングルモード型、ステップインデックス型など様々な屈折率プロファイルを持つものが知られており、本発明は、これらPOFの製造方法に適用することもできる。
POFの場合には、曲げ、耐候性の向上,吸湿による性能低下抑制,引張強度の向上,耐踏付け性付与,難燃性付与,薬品による損傷からの保護,外部光線によるノイズ防止,着色などによる商品価値の向上などを目的として、通常、その表面に1層以上の保護層を被覆して使用する。
保護層形成用材料としては、具体的に以下の材料を挙げることができる。これらは高い弾性を有しているため、曲げなどの機械的な特性付与の観点でも効果がある。まず、ポリマーの一形態であるゴムを用いることもできる。具体的には、イソプレン系ゴム(例えば、天然ゴム,イソプレンゴムなど),ブタジエン系ゴム(例えば、スチレン−ブタジエン共重合ゴム,ブタジエンゴムなど),ジエン系特殊ゴム(例えば,ニトリルゴム,クロロプレンゴムなど),オレフィン系ゴム(例えば、エチレン−プロピレンゴム,アクリルゴム,ブチルゴム,ハロゲン化ブチルゴムなど),エーテル系ゴム,ポリスルフィド系ゴム,ウレタン系ゴムなどが挙げられる。
また、保護層形成用材料としては、室温では流動性を示し、加熱することによりその流動性が消失して硬化する液状ゴムを用いることができる。具体的には、ポリジエン系(例えば、基本構造がポリイソプレン,ポリブタジエン,ブタジエン−アクリロニトリル共重合体,ポリクロロプレンなど),ポリオレフィン系(例えば、基本構造がポリオレフィン,ポリイソブチレンなど),ポリエーテル系(例えば、基本構造がポリ(オキシプロピレン)など),ポリスルフィド系(例えば、基本構造がポリ(オキシアルキレンジスフィド)など),ポリシロキサン系(例えば、基本構造がポリ(ジメチルシロキサン)など)などを挙げることができる。
保護層形成用材料として、さらには、熱可塑性エラストマー(TPE)を用いることもできる。熱可塑性エラストマーは、室温ではゴム弾性を示し、高温では可塑化されて成形が容易である物質群である。具体的には、スチレン系TPE,オレフィン系TPE,塩化ビニル系TPE,ウレタン系TPE,エステル系TPE,アミド系TPEなどが挙げられる。なお、前記列記したポリマーは、素線のポリマーのガラス転移温度Tg以下で成形可能なものであれば、特に上記材料に限定されず、各材料間もしくは上記以外の共重合体や混合ポリマーを用いることもできる。
また、ポリマー前駆体と反応剤などとを混合した液を熱硬化させるものを保護層形成用材料として用いることができる。例えば、特開平10−158353号公報に記載のNCOブロックプレポリマーと微粉体コーティングアミンとから製造される1液型熱硬化性ウレタン組成物を挙げることができる。また、国際公開第95/26374号パンフレットに記載のNCO基含有ウレタンプレポリマーと20μm以下の固形アミンとからなる1液型熱硬化性ウレタン組成物なども用いることもできる。その他に、性能を改善する目的で難燃剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、滑剤などの添加剤や、無機化合物及び/または有機化合物からなる各種フィラーを加えることができる。
本発明の光ファイバは、必要に応じて上記の保護層を1次被覆層とし、外周にさらに2次(または多層)被覆層を設けても良い。1次被覆が充分な厚みを有している場合には、1次被覆の存在により熱ダメージが減少するため、2次被覆層の素材の硬化温度の制限は、1次被覆層を被覆する場合に比べて、緩くすることができる。2次被覆層には前述と同様に、難燃剤や紫外線吸収剤、酸化防止剤、ラジカル捕獲剤、昇光剤、滑剤などを導入してもよい。なお、難燃剤については臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤や燐含有のものがあるが、毒性ガス低減などの安全性の観点で難燃剤として金属水酸化物を好ましく使うことができる。金属水酸化物はその内部に結晶水として水分を有しており、またその製法過程での付着水が完全に除去できないため、金属水酸化物による難燃性被覆は本発明の1次被覆層の外層に耐湿性被覆を設けてその外層にさらに被覆層として設けることが望ましい。
また、複数の機能を付与させるために、様々な機能を有する被覆を積層させてもよい。例えば、前述の難燃化以外に、吸湿を抑制するためのバリア層や水分を除去するための吸湿材料、例えば吸湿テープや吸湿ジェルを被覆層内や被覆層間に有することができ、また可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層や発泡層等の緩衝材、剛性を向上させるための強化層など、用途に応じて選択して設けることができる。樹脂以外にも構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を組み込むことができる。
また、ケーブルの形状は使用形態によって、素線を同心円上にまとめた集合ケーブルや、一列に並べたテープ心線と言われる態様、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめた集合ケーブルなど用途に応じてその形態を選ぶことができる。
また、本発明により得られたPOFを用いた光デバイスは、端部に接続用光コネクタを用いて接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型、F05型、MU型、FC型、SC型などの市販の各種コネクタを利用することも可能である。
本発明の光ファイバには、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等が組み合わされる。また、必要に応じて他の光ファイバなどと組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等をはじめとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON.,VOL.E84−C,No.3,MARCH 2001,p.339−344 「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3,No.6,2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開2003−152284号公報に記載の導波路面に対する発光素子の配置;特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号等に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号等に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号等に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明(導光)、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
なお、本発明は、上記の実施形態で説明したようなGI型POFの製造に限定されるものではない。つまり、上記のような界面ゲル重合法にのみ適用が限定されるものではない。例えば、ステップインデックス(SI)型や単一モード(SM)型のPOF及びそのプリフォームの製造についても適用可能である。そして、本発明は、管状のクラッドとそのクラッドの中のコアとで形成させるような光伝送体に限定されるものではなく、平板状の光伝送体やレンズ等にも適用することができる。例えば、光導波路等の平板状の光伝送体の場合には、屈折率を平板の少なくとも一部の厚み方向で異なる(axialGRINと称される場合がある。)ように製造するときに本発明を適用することができる。また、球状のものの場合には、径方向の球中心から外表面にかけて屈折率が異なる(sphericalGRINと称される場合がある。)ように製造する場合に本発明を適用することができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、実施例3と実施例4とは、実施例1と実施例2に対する比較例として行ったものである。
[実験1]
図4に示したクラッド製造装置30を用いてクラッド12を製造した。まず、結晶性ポリマーとしてPVDFを用い、非晶性ポリマーとしてPMMA(商品グレードVH001、三菱レイヨン(株)製)を用いてこれらをドライブレンドした。ドライブレンドする前に予め、PMMAを100℃で8時間乾燥した。PVDFに対するPMMAの重量比率は10%とした。このドライブレンドされた原料ポリマー40を混練押出機で溶融した後、成型した。なお、用いた混練押出機は単軸スクリュー型押出機(スクリュー径50mm、プラスチック光学研究所製)であり、押出混練の設定温度は180℃である。サイジングダイ43は内径約25mmのものであり、溶融クラッドパイプ46が外径25mm、内径23mmとなるように引き取り速度1.0m/分で成型した。成型されたクラッドパイプ53を割断し、内面をデジタルマイクロスコープ(型式;VH−8000、キーエンス社製)にて2000倍に拡大して観察した。この内面の粗さ評価は、凹凸の深さ及び凹凸の大きさを従来品との相対評価とした。この結果については表1に示す。なお表1の評価結果の記載は以下の通りであり、評価基準は従来品の内面粗さであって以下の記載のうち△がこれにあたる。
△ ;凹凸の深さ及び大きさがともに従来品と同等である。
○ ;凹凸の大きさが50%以下であり、良好である。
◎ ;凹凸の深さが20%以下であり非常に良好である。
◎◎;凹凸の深さが20%以下、大きさが50%以下であり特に良好である。
[実験2]
PVDFに対するPMMAの重量比率を20%とした以外は実験1と同様に実施した。本実験2の結果については表1に示す。
[実験3]
PVDFに対するPMMAの重量比率を30%とした以外は実験1と同様に実施した。本実験3の結果については表1に示す。
[実験4]
PVDFに対するPMMAの重量比率を20%とし、二軸スクリュー押出機である混練押出機31(スクリュー径37mm、東芝機械(株)製)にて溶融ブレンドした以外は実験1と同様に実施した。本実験4の結果については表1に示す。
[実験5]
PVDFに対するPMMAの重量比率を15%とした以外は実験1と同様に実施した。本実験5の結果については表1に示す。
[比較実験1]
原料ポリマーをPVDFとした以外は実験1と同様に実施した。本比較実験1の結果については表1に示す。
Figure 2005258297
本実施例の結果、比較実験1で得られたクラッドパイプは、実用上光ファイバクラッドパイプとしては使用できる程度の凹凸ではあるがそれは若干大きく、製品性能の安定の点では満足できないものであった。一方、実験1で得られたクラッドパイプは、凹凸があまりなく平滑な内面であり、また、実験2のものは、実施例1よりも平滑であった。実験3で得られたものは、比較実験1と比べて凹凸の大きさがやや小さく、実験4で得られたものは、実験2のものよりもさらに平滑で非常に好適なものであった。また実験5で得られたものは、実用に好適であり、このことからパイプの肉厚を大きくしたときに、本発明の効果が大きいことがわかる。
実施例1の実験1〜5により得られた各クラッド12を重合容器から取り出し、4×102 Pa減圧した状態で、2時間保持した。その後、クラッド12の中に、コア用モノマーとしてのMMAと、ドーパントとを注入した。MMAは、水分を100ppm以下に除去した溶液であり、ドーパントとしては、硫化ジフェニルを用いて、これをMMAに対して7質量%混合した。この注入に先だって、混合溶液を、精度0.2μmの四フッ化エチレン製メンブランフィルターで濾過しつつ、濾液を直接クラッド12に注入した。この際に、クラッド12の内面にクラックは発生しなかった。
重合開始剤としてはジ−t−ブチルパーオキサイド(十時間半減期温度は123.7℃)を用い、連鎖移動剤としてはドデシルメルカプタンを用いた。MMAに対し、ジ−t−ブチルパーオキサイドは0.016質量%、ドデシルメルカプタンは0.27重量%配合した。このMMA等を注入したクラッド12は、減圧下にて5分間超音波脱気を行った後に、ガラス管52内に挿入され、重合容器41にセットされた。なお、ガラス管52は、クラッド12の外径に対し9%だけ広い内径をもつものである。ガラス管52は、重合容器51に垂直に静置した。その後、重合容器41内を窒素置換した後、0.05Mpa加圧し、100℃で48時間加熱重合した。その後、120℃で、24時間、加熱重合および熱処理を行った。重合完了後、加圧量を0.05Mpaに保持したまま0.01℃/minの冷却速度にて、コア13のPMMAのTg以下となる80℃まで降温した後に、プリフォーム11を得た。
得られたプリフォーム11には、重合完了時に体積収縮による気泡の混入はなかった。このプリフォーム11を、230℃にて加熱延伸して、直径約400〜500μmのPOF17を製造した。延伸工程23において、プリフォーム11には気泡の発生は観察されず、安定して500mのPOF26を得ることができた。得られた5種類のPOF26の伝送損失値を測定したところ、いずれも波長650nmにて170dB/kmであった。また、得られたPOF100mの伝送帯域を測定したところ、1.5GHzであった。また、同一の方法で得られたプリフォームをコア径300μm±15μmとなるように延伸したところ、延伸時の発泡がなく、伝送性能もほぼ同等の性能を示すものが得られた。更に、同一の方法で得られたプリフォームを外径が300μm±15μmとなるように延伸したところ、延伸時の発泡がなく、伝送性能もほぼ同等の性能を示すものが得られた。
本発明の実施形態としてのプラスチック光ファイバのプリフォームの断面図である。 プリフォームの径方向における屈折率を示す図である。 プラスチック光ファイバの製造工程図である。 クラッドの製造装置の概略図である。 押出ダイから真空冷却器に至る概略断面図である。 結晶性ポリマーに対する非晶性ポリマーの重量比率とクラッド内面の凹凸の深さとの関係を示すグラフである。 コア部を生成するための重合装置を示す断面図である。
符号の説明
11 プリフォーム
12 クラッド
13 コア
21 クラッド作製工程
30 クラッド製造装置
31 混練押出機
32 押出ダイ
36 肉厚・外形測定器
40 原料ポリマー
42 混練押出部
46 溶融クラッドパイプ
53 クラッドパイプ
40 重合装置

Claims (9)

  1. 結晶性ポリマーと、前記結晶性ポリマーとの相溶性を有する非晶性ポリマーとを混合する混合工程と、
    前記混合工程で得られたポリマー組成物を管状に成型する成型工程と、
    を有することを特徴とする光ファイバ用クラッドパイプの製造方法。
  2. ドライブレンドまたは溶融ブレンドにより前記混合することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ用クラッドパイプの製造方法。
  3. 前記混合工程における前記非晶性ポリマーの前記結晶性ポリマーに対する混合率が5%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバ用クラッドパイプの製造方法。
  4. 前記非晶性ポリマーが(メタ)アクリル系ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし3いずれかひとつ記載の光ファイバ用クラッドパイプの製造方法。
  5. 前記結晶性ポリマーがフッ素含有ポリマーであることを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載の光ファイバ用クラッドパイプの製造方法。
  6. 請求項1ないし5いずれかひとつ記載の製造方法により製造されたことを特徴とする光ファイバ用クラッドパイプ。
  7. 結晶性ポリマーと、前記結晶性ポリマーとの相溶性を有する非晶性ポリマーとの混合物を主たる材料とする光ファイバ用クラッドパイプ。
  8. 請求項6または7記載の光ファイバ用クラッドパイプと、
    前記光ファイバ用クラッドパイプの中空部に形成され、前記クラッドパイプの材料よりも屈折率が高いコア部と、
    を有することを特徴とする光ファイバ。
  9. 前記コア部は、断面円形の外周から中央に向かって屈折率が変化することを特徴とする請求項8記載の光ファイバ。
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