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JP2005137935A - 硬質カプセル及びその製造方法 - Google Patents

硬質カプセル及びその製造方法 Download PDF

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俊治 長田
Kunio Nishi
邦夫 西
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Qualicaps Co Ltd
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Abstract

【解決手段】 プルランに、ゲル化剤としてキサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンから選ばれた1種又は2種以上を配合してゲル化させたゲルからなることを特徴とする硬質カプセル。
【効果】 本発明によれば、厳密な温度コントロール等の必要なく簡単に非ゼラチンカプセルを製造でき、得られたカプセルはポリエチレングリコール#200〜#600の充填が可能なものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医薬品、医薬部外品、食品等に用いられる非ゼラチン硬質カプセルに関する。
医薬品の固形製剤の1つとしてハードカプセル(硬質カプセル)剤がある。このものは、通常ゼラチン皮膜で形成された互いに一端の開いた帽状容体の内部に粉末、顆粒又は液状(油状)の医薬又は食品を所定量充填した後、それら容体を同軸的に結合して完成される。
非ゼラチン硬質カプセルとしては、従来、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の水溶性セルロース誘導体を基剤とする硬質カプセルが知られている(特許文献1)。
しかし、この硬質カプセルは、アルキル基、ヒドロキシアルキル基で置換されたセルロースエーテルを基剤とするものであるが、この種のセルロース誘導体は、低温の水には溶解するが、高温では溶解せず、またこれらセルロース誘導体の溶解/分散液の粘度は温度の影響を受けやすく、高温で水に分散させたセルロース誘導体の溶液の温度を徐々に下げると、50℃付近で急激に粘度が上昇する。
従って、上記セルロース誘導体を用いて硬質カプセルを製造する場合、厳密なカプセル調製液の温度コントロールが必要である。
また、上記セルロース誘導体で成型された硬質カプセルは、この中にポリエチレングリコール#200〜#600(PEG#200〜#600)を充填すると、カプセル表面にポリエチレングリコールがしみ出すことが観察されている。一方、周知の通り、近年、液状物用カプセル充填機と同封緘機の開発によって、硬質カプセルへ液状薬物を充填したカプセル剤も実用化されている。ところで、常温で液状のポリエチレングリコール(PEG#200〜#600)は、難溶薬物に対して優れた溶解作用を有し、賦形剤として好適に使用されるものであるが、上記セルロース誘導体で成型された硬質カプセルは、このポリエチレングリコール#200〜#600を充填すると、カプセル皮膜表面にポリエチレングリコールがしみ出すことが観察されている。このため、ポリエチレングリコール#200〜#600を含む内容物を上記セルロース誘導体の硬質カプセルに充填し難い。
特開平3−279325号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ポリエチレングリコール#200〜#600を充填してもしみ出しがなく、しかも厳密な温度コントロールを要することなく容易にカプセル製造が可能な非ゼラチン硬質カプセル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、プルランを基剤とし、ゲル化剤を用いて硬質カプセルを製造することが有効であることを知見した。即ち、プルランなどの多糖類は、良好な皮膜を形成することが知られており、これらの水溶液を板状の物質又は球形の物質などにコーティングし、乾燥させると皮膜が形成される。しかし、これらの水溶液でもって、いわゆるディッピング法でカプセルを製造しようとする場合、乾燥前に上記高分子の液がピンを垂れ落ち、皮膜の均質性が得られず、良好なカプセルの成型ができない。ところが、上記高分子の水溶液に対し、温度変化でゲル化しやすい物質であるキサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンの1種又は2種以上をゲル化剤として配合して、ピン上で上記高分子の液をゲル化させることで、良好にカプセル製造ができることを知見した。また、上記高分子のゲルによって形成された硬質カプセルにポリエチレングリコール#200〜#600を充填してもしみ出しが生じることがないことを知見したものである。
従って、本発明は、プルランに、ゲル化剤としてキサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンから選ばれた1種又は2種以上を配合してゲル化させたゲルからなることを特徴とする硬質カプセルを提供する。この場合、この硬質カプセルは、ポリエチレングリコール#200〜#600を含む充填物が有効に充填される。
また、本発明は、プルランと、そのゲル化剤としてキサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンから選ばれた1種又は2種以上とを含むカプセル調製液にカプセル形成用ピンを浸漬し、次いで該ピンを引き上げて、該ピンに付着したカプセル調製液をゲル化、乾燥することを特徴とする硬質カプセルの製造方法を提供する。
上記プルランは、幅広い温度の水溶液に溶解するため、先のセルロース誘導体とは温度と粘度の関係が異なり、通常の温度範囲では先のセルロースほど急激な粘度変化は生じない。しかし、プルランの水溶液にゲル化剤を添加することにより、ピンに付着した高分子が冷却されると急激にゲル化するため、カプセルが容易に成型可能なものであり、本発明者は、上述したように、プルランに関してカプセルの成型性及びポリエチレングリコール#200〜#600の充填性について検討した結果、プルランに温度変化でゲル化しやすい物質であるキサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンから選ばれた1種又は2種以上をゲル化剤として加えることにより、カプセルの成型性が向上し、更にポリエチレングリコール#200〜#600の充填が可能であることを見出したものである。
本発明によれば、厳密な温度コントロール等の必要なく簡単に非ゼラチンカプセルを製造でき、得られたカプセルはポリエチレングリコール#200〜#600の充填が可能なものである。
本発明の非ゼラチン硬質カプセルは、基剤として、プルランを用いたもので、このプルランをゲル化剤でゲル化することによって得られたものである。
プルランは、デンプンを原料とし、黒酵母の1種であるAureobasidium Pullulansを培養して得られたマルトトリオースを単位とするα−1,6結合した天然多糖類で、食品、医薬品、化粧品等の添加物として古くから知られており、プルランとしては、市販品を用いることができる。
本発明のプルランを基剤とする硬質カプセルの製造方法につき更に詳述すると、プルランとゲル化剤とを溶解したカプセル調製液にカプセル形成用ピンを浸漬し、これを引き上げて、このピン上でピンに付着したカプセル調製液をゲル化、乾燥するものである。
ここで、上記カプセル調製液中のプルランの濃度は5〜30%(重量%、以下同じ)、特に10〜20%とすることが好ましい。
また、ゲル化剤としては、温度変化によりゲル化しやすい物質が用いられ、具体的には、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンが用いられ、更にこれらの物質を2種以上混合して用いることもできる。
これら、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンは、いずれもプルランのゲル化剤として適しているが、特に、ジェランガムを用いることにより溶解の速いカプセルを得ることができる。上記ゲル化剤の濃度は、カプセル調製液中0.01〜10%、特に0.1〜1.0%とすることが好ましい。
なお、ゲル化剤としてカッパカラギーナンを用いる場合は、ゲル化補助剤として、カリウムイオン、アンモニウムイオン、カルシウムイオンを与える水溶性化合物、例えば塩化カリウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化カルシウム等を用いることができ、イオターカラギーナンを用いる場合は、塩化カルシウム等のカルシウムイオンを与える水溶性化合物を使用することができる。
また、ゲル化剤としてジェランガムを用いる場合には、ゲル化補助剤として、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオンを与える水溶性化合物、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等を用いることができ、更に有機酸及びその水溶性塩、例えばクエン酸又はクエン酸ナトリウムを使用することができる。
上記ゲル化補助剤を用いる場合、ゲル化補助剤は、カプセル調製液中0.05〜0.6%、特に0.06〜0.2%の使用が好ましい。
なお、本発明においては、色素、顔料などの硬質カプセルに通常使用される添加剤を適量添加してもよい。
本発明においては、水に上記プルラン、ゲル化剤、及びその他の所望成分を溶解してカプセル調製液を得るが、水への成分の溶解順序に特に制限はなく、プルランを先に溶解しても、ゲル化剤を溶解してもよい。溶解温度も特に制限されないが、40〜100℃、より好ましくは50〜95℃とすることが推奨される。
カプセル形成用ピンを浸漬する温度も適宜選定されるが、30〜80℃、特に40〜60℃とすることが好ましい。
なお、このピン浸漬時におけるカプセル調製液の粘度は、100〜10,000mPa・s、特に1,000〜8,000mPa・sであることが好ましい。
ピンを引き上げた後のゲル化は、放冷することによって行うことが好ましいが、ゲル化後に40〜80℃に加熱乾燥してもよい。
以上のようにして得られる本発明の硬質カプセルは、プルランを基剤とするが、特に下記組成であることが好ましい。
プルラン:70%以上、より好ましくは80%以上、
ゲル化剤:0.01〜30%、より好ましくは0.1〜10%、
ゲル化補助剤:0〜30%、より好ましくは5%以下、
水分:1〜20%、より好ましくは5〜15%、
合計 100%
本発明によるカプセルは、医薬品又は食品をはじめとして、動物又は植物用の薬品や肥料などに適用可能である。特に医薬品としては、経口投与される薬剤用、吸入剤用の容器、又は坐剤などとしても適用可能である。更に、入れ歯、眼鏡、コンタクトレンズなどの消毒・洗浄などを目的とするいわゆる医薬部外品としても適用可能である。
この場合、本発明のカプセルは、ポリエチレングリコール#200〜#600を充填してもしみ出しがないため、ポリエチレングリコール#200〜#600を含む各種充填物を充填するのに有効である。
本発明のカプセルに充填可能な他の成分としては、一般的に知られている粉末、顆粒及び錠剤以外に、アルコール/多価アルコール類として、ステアリルアルコール、セタノール、ポリエチレングリコール又はそのエステル体が挙げられ、油脂類としてはゴマ油、大豆油、落花生油、コーン油、硬化油、パラフィン油、サラシミツロウなど、その他、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸などの脂肪酸及びその誘導体、例えばトリグリセライドなども挙げることができ、液体、半固形物質の充填に適したものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
キサンタンガム0.3gとローカストビーンガム0.3gとにエチルアルコール1gを加え、その後、水170gで分散させた。これを70℃に加温し、プルラン30gを溶解させた。これを60℃に保温し、カプセル形成用ピンを投入後、取り出し、乾燥させてカプセルを作製した。
得られたカプセルについて、日本薬局方規定の溶状試験法に準じ、37±2℃に加温した精製水50mlを用いた溶状試験を行った(供試カプセル数3個)。その結果、溶解時間は9.19±0.39分であった。
〔実施例2〕
ジェランガム1gを約90℃の水168gに溶解させた。これにクエン酸ナトリウム1gとプルラン30gを溶解させた。これを55℃に保温し、カプセル形成用ピンを投入後、取り出し、乾燥させてカプセルを作製した。実施例1と同様に溶状試験を行った結果は、6.41±0.63分であった。
〔実施例3〕
カラギーナン0.2gと塩化アンモニウム0.4gを約70℃の水170gに溶解させた。これにプルラン30gを溶解させた。これを52℃に保温し、カプセル形成用ピンを投入後、取り出し、乾燥させてカプセルを作製した。実施例1と同様に溶状試験を行った結果は、8.17±0.41分であった。
〔実験例〕
実施例1〜3のカプセルについて、PEG#400を充填し、60℃で3日間保存した後、目視によるカプセルの外観検査を行い、表1のような結果を得た(供試カプセル数3個)。
Figure 2005137935

*1:ゼラチンカプセル
*2:HPMCカプセル
:変化なし
△:外観はほとんど変化しないが、強度が低下する
×:皮膜表面からPEG#400がにじみでる

Claims (14)

  1. プルランに、ゲル化剤としてキサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンから選ばれた1種又は2種以上を配合してゲル化させたゲルからなることを特徴とする硬質カプセル。
  2. プルランにゲル化剤としてキサンタンガム及び/又はローカストビーンガムを配合してゲル化させたゲルからなる請求項1記載の硬質カプセル。
  3. プルランにゲル化剤としてジェランガムを配合してゲル化させたゲルからなる請求項1記載の硬質カプセル。
  4. プルランにゲル化剤としてカラギーナンを配合してゲル化させたゲルからなる請求項1記載の硬質カプセル。
  5. ポリエチレングリコール#200〜#600を含む充填物を充填した請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬質カプセル。
  6. プルランと、そのゲル化剤としてキサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、カラギーナンから選ばれた1種又は2種以上とを含むカプセル調製液にカプセル形成用ピンを浸漬し、次いで該ピンを引き上げて、該ピンに付着したカプセル調製液をゲル化、乾燥することを特徴とする硬質カプセルの製造方法。
  7. カプセル調製液中のプルランの濃度が5〜30重量%で、ゲル化剤の濃度が0.01〜10重量%である請求項6記載の製造方法。
  8. カプセル調製液がプルランと、そのゲル化剤としてキサンタンガム及び/又はローカストビーンガムとを含むものである請求項6記載の製造方法。
  9. カプセル調製液がプルランと、そのゲル化剤としてジェランガムとを含むものである請求項6記載の製造方法。
  10. カプセル調製液がプルランと、そのゲル化剤としてカラギーナンとを含むものである請求項6記載の製造方法。
  11. 溶解温度40〜100℃でプルランを水に溶解させて上記カプセル調製液を調製する請求項6〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. カプセル成形用ピンを浸漬する際のカプセル調製液の温度を30〜80℃に調節する請求項6〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. カプセル成形用ピンを浸漬する際のカプセル調製液の粘度を100〜10000mPa・sに調整する請求項6〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. ゲル化後の乾燥温度が40〜80℃である請求項6〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
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