JP2005111665A - オフセット印刷用ブランケットおよびそれを用いた電極パターンの印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体層上に表面ゴム層を積層してなるオフセット印刷用ブランケットであって、前記表面ゴム層がインキ離型性のよいゴム材料(シリコーンゴムなど)よりなる厚み5〜600μm上層と、耐溶剤性のよいゴム材料(フロロシリコンゴムなど、低分子量シリコンオイルを添加しておく)よりなる厚み100〜800μmの下層の2層を具備するオフセット印刷用ブランケット。
【選択図】なし
Description
2)前記のインキ離型性のよいゴム材料がシリコーンゴムまたはフッ素ゴムであり、耐溶剤性のよいゴム材料がフロロシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、フッ素ゴム、アクリルゴムおよびクロロプレンゴムからなる群より選択された1種のゴムまたは2種以上のブレンドゴムであることを特徴とする上記1)項記載のオフセット印刷用ブランケット。
4)耐溶剤性のよいゴム材料からなる下層が低分子量シリコンオイルを含有することを特徴とする上記1)〜3)項のいずれかに記載のオフセット印刷用ブランケット。
6)前記支持体層が、JIS C2151に規定する方法で測定するとき破断伸度が5〜200%で、破断強度が150〜1000MPaである合成樹脂フィルムまたは金属フィルムで構成されていることを特徴とする上記1)〜5)項記載のオフセット印刷用ブランケット。
本発明のオフセット印刷用ブランケットにおいて、表面ゴム層の上層は5〜600μmの厚みであることを要し、この範囲ではゴム中に拡散したインキ溶剤は乾燥を受けるとすぐに揮発してしまい良好な濡れ性が保持される。これよりも薄くすると、表面ゴムの見かけの硬度が高くなり、被印刷体の表面にうねりあるときなどに対応できなくなりインキの転写が十分できなくなる。また、凹版内部へのゴム層の変形が追随できず、インキの転移がうまくいかずに印刷時にピンホール発生の原因ともなる。上記の上層の厚みは、30〜400μmの範囲がより好ましい。
本発明において、「インキ離型性のよいゴム材料よりなる厚み5〜600μmの上層」におけるインキ離型性とは、ブランケットに受理したインキが被印刷体にどの程度転写できるかをいい、インキ離型性がよいとはインキの100%またはほぼ100%が転写されることをいう。物性上から、上層の表面自由エネルギーが10dyn/cm(mN/m)〜25dyn/cm(mN/m)の範囲にあることが好ましい。当該上層を形成するゴム材料としては、例えばシリコーンゴムあるいはフッ素ゴムが挙げられる。表面自由エネルギーが25dyn/cmを超えるとブランケット表面の濡れ性がよすぎてインキ離型性が悪くなり、そのために被印刷体への転写性が低下しピンホールの発生や形状の劣化の原因となりやすい。一方、10dyn/cmを下回ると、表面の濡れ性が悪く、インキがブランケットの表面ではじいてしまい凹版で設定した形状を維持できなくなる傾向が強くなる。
本発明のブランケットの表面ゴム層は、前述のように、上下2層より構成される。上層は、インキ離型性のよいゴム材料で形成されており、このインキインキ離型性を示す指標である表面エネルギーの値が、インキの溶剤を含まない乾燥状態において、10〜25dyn/cmであるゴム材料が好ましく用いられる。上層の厚みは5〜600μmの範囲とする。ゴム硬度は、JIS−A硬度で30〜80°であることが好ましく、40〜60°であればさらに好ましい。このように上層を形成することによって、凹版から転写されたインキを100%もしくはほぼ100%転写することができる。
次に、表面ゴム層を構成する下層は、耐油性のあるゴム材料を用いて、厚み100〜800μmの範囲となるように構成される。この下層は、上層に接着されており、耐溶剤性があることからインキ溶剤が内部まで浸透することを極力抑える機能を有し、かつ表面ゴム層に適当な厚みを与えて安定性をよくする。下層のゴム硬度は、JIS−A硬度で20〜60°であることが好ましく、30〜50°であればさらに好ましくなる。
表面ゴム層を上記のように上下の2層に構成することにより、インキ溶剤が内部まで浸透することが抑えられていることから、連続印刷中、溶剤が表層側から乾燥によって容易に除去され、印刷性能がよく持続される。このとき乾燥を繰り返すと上層を構成するシリコーンゴムの中に含まれる低分子のシリコンオイルが徐々に揮発して表面の濡れ性に変化が生ずる。これを防ぐために、あらかじめインキ中に低分子量のシリコンオイルを含有させておくと、印刷時にシリコンオイルが補給されて安定した印刷を続けることができる。ただ、所望の電極パターンを印刷するためにはインキの設計の自由度をなるべく制限しないことが重要であり、この観点からシリコンオイルの含量はできるだけ少ないことが望まれる。
表面ゴム層は、上下層を前述したような厚みとさらに硬度に調整することにより、ブランケットを凹版に圧接しても上記表面印刷層が凹部内に十分に圧入されず、その結果、凹部内に充填した導電性インキ組成物を十分に転写させることができなくなり、精度の高い印刷を行えなくなるおそれがある。逆に、上記範囲を下回ると(ブランケットが柔らか過ぎると)、ブランケットを凹版やガラス基板に圧接した際に表面ゴム層の変形が大きくなり過ぎて、精度の高い印刷を行えなくなるおそれがある。表面ゴム層の層厚みは、200〜1000μmの範囲であることが好ましい。
PDPは、例えば図1に示すように、アドレス電極(Ag)10、誘電層(ガラス)16'および保護層(MgO)17'を備えた背面基板(リア基板)11と、透明電極14、バス電極15、透明誘電層16および保護層(MgO)17を備えた前面基板(フロント基板)18と、を向き合わせてなるものである。前記背面基板11には、保護層17'の表面にリブ(隔壁)12および蛍光体13(R,G,B)が形成されている。
導電性パターンの印刷形成時に原版として使用される凹版は、電極パターンに対応する凹部をその表面に形成したものであって、平板状のものや、平板状のものを円筒状に巻き付けたもの、円筒状のもの、円柱状のもの等が挙げられる。上記凹版は、その表面の平滑性が極めて重要である。凹版表面の平滑性が乏しいと、導電性インキ組成物をドクターブレードによって凹部に充填する際に凹版表面(凹部以外)の個所にインキのかき残りが発生して、非画線部の汚れ(地汚れ)を招き、印刷精度を著しく低下させる原因となってしまう。
オフセット印刷に用いる導電性インキ組成物は、前述のように、金属粉末と樹脂バインダとを溶剤中に分散または溶解させてなるペースト状のものである。PDP電極のインキ組成としては、印刷適性と特に前面電極の場合には黒色度を考慮する必要がある。金属粉末としては、例えば銀、銅、金、白金、ニッケル、アルミニウム、鉄あるいはパラジウム等が挙げられる。これらの金属粉末はそれぞれ1種を単独で使用するほか、2種以上を併用することもできる。また、メッキ複合体(例えば銀メッキ銅)や合金体として使用することもできる。また、黒色金属類として、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化マンガン(MnO2)、酸化モリブデン(MoO2)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化銅(CuO)、酸化チタン(TiO)あるいは酸化パラジウム(PdO)などの黒色金属酸化物や、Cr−Co−Mn−Fe、Cr−Cu、Cr−Cu−Mn、Mn−Fe−Cu、Cr−Co−FeあるいはCo−Ni−Cr−Fe等の複合合金が挙げられる。
また、上記ガラス基板には、パターンを高温で焼成する工程に供することを考慮して、歪み点(温度)の高いガラスを用いるのがより好ましい。具体的には、歪み点が500℃以上であるのが好ましく、それゆえ、上記例示のガラスの中でも特に高歪点ガラス(低アルカリガラス)を用いるのが好ましい。前記高歪点ガラスの具体例としては、例えば旭硝子(株)製の品番「PD200」、日本電気硝子(株)製の品番「PP8C」等が挙げられる。基板の厚みは、基板の耐熱性に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではないが、1〜10mmの範囲で適宜、厚みが設定される。
比較例1〜5
シリコーンゴム(室温硬化型の付加型シリコーンゴム、JIS−A硬度45、信越化学工業社製の「KE1600」)の厚みを表1に示すように種々に変えて表面ゴム層(1層)とし、支持体としての厚み0.3mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(JIS C2151による、破断伸度:150%、破断強度:250MPa)に積層して印刷用ブランケットを作製した。ブランケットの作製にあたっては、表面を精密研磨加工した金型を用いて、前記支持体上にITO微粉末を含むシリコーンゴムを注型法により積層する方法を用いた。ブランケットの総厚みは下層ゴム厚み(300μm)と表1における各上層シリコーンの厚みで表され、また表面印刷層の表面粗度が10点平均粗さ(Rz)で0.1μmである。
表面ゴム層をシリコーンゴム(信越化学工業社製の「KE1600」、JIS−A硬度45)を上層(最表層)とし、フロロシリコーンゴム(信越化学工業社製の「FE61」厚み300μm、JIS−A硬度25、トルエンに24時間浸漬後の体積変化率ΔV:50%)を下層とする2層より構成し、支持体である厚み0.3mmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(JIS C2151による、破断伸度:150%、破断強度:250MPa)に積層して印刷用ブランケットを作製した。ここで、上層のシリコーンゴムの厚みを表2に示すように変化させた。ブランケットの作製にあたっては、表面を精密研磨加工した金型を用いて、前記支持体上にITO微粉末を含むシリコーンゴムを注型法により積層する方法を用いた。表面印刷層の表面粗度が10点平均粗さ(Rz)で0.1μmである。
[PDP電極パターンの印刷]
上記の実施例および比較例で得た各印刷用ブランケットを用いて、PDPの前面板(対角42インチ)に導電性ペーストインキによるパターンをオフセット印刷により形成した。ここで、凹版の線幅は80μm、ピッチは360μm、深さは25μm、被印刷体はPDP用の高歪点ガラス(旭硝子株式会社製「PD200」)を用いた。導電性ペーストインキは、アクリル樹脂(100重量部)、銀粉末(1600重量部)、ガラスフリット(50重量部)、溶剤(200重量部)を配合して分散させ、3本ロールを用いて混練して作製し、最終段階で溶剤(酢酸ブチルカルビトール)を加えて粘度を250ポイズ(せん断速度10s-1)に調整した。
[評価試験]
上記の各ブランケットを用いてオフセット印刷した電極パターンについて、次の評価方法により評価を行なった。
◎;±1μm以内である。
○;±2μm以内である。
△;±5μm以内である。
×;±10μm程度またはそれ以上のバラツキあり。
◎;全くピンホール、断線がみられない(検査装置でも認めない)。
○;全くピンホール、断線がみられない(検査装置では1〜2点を認める)。
△;1〜2点のピンホール、断線が認められる。
×;5点以上のピンホール、断線が認められる。
◎;エッジ形状乱れ量は全くなし。形状は非常に良好である。
○;エッジ形状乱れ量が1〜2μm程度である。
△;エッジ形状乱れ量が3〜5μm程度である。
印刷精度:500mm角のアライメント間の距離のずれ量を測定した。
◎;±1μm以内である。
○;±2μm以内である。
△;±5μm以内である。
印刷後のブランケット表面温度:非接触赤外温度計で表面温度を測定した。
◎;室温±2℃以内である。
○;室温±5℃以内である。
△;室温±8℃以内である。
総合評価:
◎;形状、ピンホール・断線、精度がともにフォトリソ法と同程度またはそれ以上である。
○;形状、ピンホール・断線の検査結果が良好。精度もフォトリソ法に比べれば少し低いものの、実用プロセスでは問題なし。
×;実用プロセスとしては問題があり、改善は難しいレベルである。
各評価試験の結果を表1(比較例1〜5)と表2(実施例1〜4および比較例6〜9)に示す。
Claims (7)
- 支持体層上に表面ゴム層を積層してなるオフセット印刷用ブランケットであって、前記表面ゴム層がインキ離型性のよいゴム材料よりなる厚み5〜600μmの上層と、耐溶剤性のよいゴム材料よりなる厚み100〜800μmの下層の2層を具備することを特徴とするオフセット印刷用ブランケット。
- 前記のインキ離型性のよいゴム材料がシリコーンゴムまたはフッ素ゴムであり、耐溶剤性のよいゴム材料がフロロシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、フッ素ゴム、アクリルゴムおよびクロロプレンゴムからなる群より選択された1種のゴムまたは2種以上のブレンドゴムであることを特徴とする請求項1記載のオフセット印刷用ブランケット。
- 前記のインキ離型性のよいゴム材料からなる上層がJIS−A硬度30〜80°であり、耐溶剤性のよいゴム材料からなる下層がJIS−A硬度20〜70°であることを特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用ブランケット。
- 耐溶剤性のよいゴム材料からなる下層が低分子量シリコンオイルを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット印刷用ブランケット。
- 前記低分子量シリコンオイルをゴム分100重量部に対して5〜300重量部の割合で含有せしめることを特徴とする請求項4記載のオフセット印刷用ブランケット。
- 前記支持体層が、JIS C2151に規定する方法で測定するとき破断伸度が5〜200%で、破断強度が150〜1000MPaである合成樹脂フィルムまたは金属フィルムで構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオフセット印刷用ブランケット。
- 電極パターンをオフセット印刷するに際し、金属粉末とバインダ樹脂とを溶剤に分散または溶解させてなる導電性インキ組成物を凹版の凹部に充填する工程、前記導電性インキ組成物を前記凹版の凹部からブランケットの表面へ転移させる工程、導電性インキ組成物をブランケットの表面から電極基板の表面に転写させる工程とを具備し、かつ前記ブランケットとして請求項1〜6のいずれかに記載のブランケットを用いることを特徴とする電極パターンの印刷方法。
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