JP4429689B2 - オフセット印刷方法 - Google Patents
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Description
このフラットパネルディスプレイには、例えばPDP用の前面基板(フロント基板)や背面基板(リア基板)、ELディスプレイ用の電極基板のように、主としてストライプ状の電極パターンをガラス等の透明基板上に形成してなる電極基板が用いられているが、かかる電極基板においては、導電性物質を含有するインキを用いて、線幅が10〜200μm程度の極めて微細なストライプパターンを、0.1〜10μm程度の厚みでもって形成することが要求されている。また、LCDにおいては、ガラス等の透明基板上にR(赤),G(緑),B(青)の3種のストライプパターンや黒色度の高い遮光パターンを形成してなるカラーフィルタと呼ばれる部材が用いられており、このカラーフィルタにおいても、電極基板と同様の微細かつ厚膜のパターンを形成することが要求されている。
かかる問題を生じる原因の一つとしては、印刷インキの溶剤が徐々に浸透してシリコーンブランケットを膨潤させることが挙げられる。そこで、本発明者らは先に、凹版オフセット印刷法を採用したPDP用電極基板の製造方法として、印刷用ブランケット上のインキパターンを被転写体上へと転写する工程を行った後で、印刷用ブランケットの表面に温風を噴射する等の加熱・乾燥処理を施し、さらに冷風を噴射する等の冷却処理を施す方法を提案している。かかる印刷方法によれば、温風や冷風の噴射といった簡易な方法でもって、しかも凹版から印刷用ブランケットを介して被転写体へとインキを転移・転写させる一連の印刷工程の流れを遮ることなく、インキの溶剤によって印刷用ブランケットが膨潤するという問題を解消および防止することができる(特許文献1)。
ブランケット胴に装着してなる印刷用ブランケットを印刷版の表面で転動させて当該印刷版から印刷用ブランケットの表面に印刷インキを転移する転移工程と、被転写体の表面で上記印刷用ブランケットを転動させて当該印刷用ブランケット上のインキパターンを被転写体の表面に転写する転写工程と、を含み、前記被転写体の表面に、最大線幅が200μm以下のストライプパターンまたはマトリックスパターンを印刷するオフセット印刷方法において、
上記転移工程および転写工程を所定回数実行する間は印刷用ブランケットをその軸方向に移動させず、
上記転移工程および転写工程を所定回数実行した後で一旦印刷を停止して、印刷用ブランケットをその軸方向に移動する工程を含むことを特徴とする。
本発明のオフセット印刷方法は、最大線幅が200μm以下のストライプパターンまたはマトリックスパターン(格子状のパターン)を印刷形成する用途に使用される。前記ストライプパターンは、例えばパターンが規則正しく整列してなるストライプパターン、線幅が数種あるストライプパターン、線幅やパターンのピッチが不規則なストライプパターン等であってもよい。これらのパターンを印刷形成する場合であっても、印刷版と印刷用ブランケットとをずらす量等を適宜調節することによって、インキ溶剤の浸透、膨潤に伴って印刷用ブランケットの表面形状、表面粗さ、低分子シロキサン含有量等に変化が生じる部分を適宜分散させることができ、印刷用ブランケット全体としての寿命を延ばすという本発明の作用・効果を得ることができる。
本発明のオフセット印刷方法においては、上記の転移工程と転写工程とを含む一連の印刷工程を所定回数実行した後で一旦印刷を停止して、印刷用ブランケットをその軸方向に移動して、再度、一連の印刷工程を実行する。ここで、印刷用ブランケットを移動させる頻度は、印刷インキの溶剤によって印刷用ブランケットが膨潤する程度に応じて設定するものである。具体的には、印刷用ブランケットの表面ゴムの種類、使用する印刷インキの溶剤の種類等に応じて、印刷用ブランケットを移動させる頻度を適宜設定する。
本発明のオフセット印刷方法は、一回の印刷工程で転写、形成されるインキパターンの膜厚が大きい(インキ量が多い)印刷方法に適用するのが好ましい。一度に印刷用ブランケットに転移するインキの量が多いと、ブランケットの浸透するインキ溶剤の量も多いことから、ブランケットの膨潤に伴って表面形状等の変化が大きくなり易いところ、このような場合に本発明のオフセット印刷方法を適用することで、かかる表面形状等の変化に起因した印刷用ブランケットの劣化現象を抑制するという本発明に特有の効果をより一層顕著に発揮させることができるからである。
(印刷版)
本発明を凹版オフセット印刷方法に適用する場合において、使用する印刷版の種類等については特に限定されるものではなく、従来公知の種々の凹版を採用することができる。なお、安価に凹版を作製するには、金属やガラスを凹版の基板として使用し、エッチングによって凹部のパターンを形成するのが好ましい。
凹版のコスト、版表面の耐久性(傷の付きにくさ、耐磨耗性等)の観点からは、金属製の凹版を使用するのが好ましい。具体的な材質としては、42アロイ、ステンレス等が挙げられる。表面に硬質クロムメッキを施した金属製の凹版は、耐久性の点で極めて優れている。
本発明のオフセット印刷方法において、使用する印刷用ブランケットは特に限定されるものではないが、パターンの印刷精度(パターンの形状や印刷位置の精度)を良好なものとするには、インキパターンの離型性を向上させるべく、表面エネルギーの低いゴムを用いたブランケットを使用するのが好ましい。かかる観点から、印刷用ブランケットには表面ゴムとしてシリコーンゴムを用いたもの(シリコーンブランケット)を採用するのが好適である。
(印刷インキ)
本発明のオフセット印刷方法において、使用する印刷インキは特に限定されるものではなく、印刷適性等の特性を考慮した上で、従来公知の種々の印刷インキから適宜選択すればよい。印刷インキは、樹脂と溶剤のほか、必要に応じて導電性粉末、顔料等を適量配合し、3本ロール等によって混合攪拌することによって作製される。
印刷インキ中に添加されるシリコーンオイルについては特に限定されるものではなく、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等や、種々の変性シリコーンオイルを採用することができる。
本発明に用いられる被転写体としては、製造の目的となる製品に応じて、当該製品に用いられる基材の中から適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。本発明のオフセット印刷方法を用いて、プラズマディスプレイパネル(PDP)用の電極基板を形成する場合においては、被転写体として、ソーダライムガラス、低アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラスを用いればよい。また、その他の用途のパターンを形成する場合においては、上記例示のガラスのほか、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、イミドフィルム、ポリカーボネートフィルム等の樹脂フィルム;金属フィルム;セラミック等も適用可能である。
次に、本発明に係るオフセット印刷方法を、図1および図2を参照しつつ説明する。
本発明に係るオフセット印刷方法では、まず、ブランケット胴12に装着してなる印刷用ブランケット13を回転させつつ、印刷版(例えば凹版)10の表面にて転動させることにより、印刷版のインキ担持部(凹版の場合、凹部)11に充填されたインキを印刷用ブランケット13の表面に転移させる(転移工程)。次いで、表面にインキパターン(図示せず)を担持してなる印刷用ブランケット13を被転写体14上へと移動し、回転させつつ当該被転写体14の表面にて転動させることによって、印刷用ブランケット13から被転写体14上へとインキパターンを転写させる(転写工程)。上記転移工程および転写工程を所定回数繰り返したときには一旦印刷を停止して、印刷用ブランケット13をその軸方向(図中に白抜き矢印で示す方向x)に所定量移動した上で、新たな転移工程および転写工程に移行する。図1中、点線で示したブランケット胴12’および印刷用ブランケット13’は、いずれも軸方向xに移動した後の状態を示すものである。
印刷用ブランケットの乾燥は加熱によるものが好ましく、例えば温風の噴射、赤外線の照射、印刷用ブランケットの内部または裏面に配置されたヒータによる加熱等の、種々の方法を採用することができる。なかでも、温風の噴射と赤外線の照射とを併せて行うのが、加熱・乾燥の効率や、加熱設備の取扱性の観点から好ましい。加熱は1回の印刷工程を終える毎に行うのが望ましい。
ブランケットの乾燥、冷却処理は、印刷用ブランケットを印刷版と被転写体との間で移動させている際に実行するのが、印刷工程の作業効率の観点から好ましい。
〔背面電極パターンの印刷形成〕
背面電極パターンの印刷形成は、凹版オフセット印刷法によって行った。
印刷インキには、アクリル樹脂100重量部に対して、銀粉末2000重量部と、ガラスフリット10重量部と、溶剤としてのブチルカルビトール100重量部を攪拌混合したものを使用した。
印刷用ブランケットには、表面ゴム層に厚さ0.6mmのシリコーン(JIS A硬さ40)を用いたものを使用した。このシリコーンブランケットの表面ゴム層は、2液型RTVシリコーンゴムを厚さ0.35mmのPETフィルム(支持体)上に塗布した後、セルフレベリングによって平滑化させつつ硬化させることによって作製した。
印刷は、室温23℃、湿度55%RHの環境で行い、印刷版からシリコーンブランケットの転移工程時には、インキの転移速度を15mm/sに設定し、シリコーンブランケットのニップ幅を12mmに調節した。シリコーンブランケットから被転写体への転写工程時には、インキパターンの転写速度を200mm/sに設定し、シリコーンブランケットのニップ幅を12mmに調節した。
一方、比較例1では、上記の条件で被転写体(ソーダライムガラス)500枚分を連続して印刷した。すなわち、シリコーンブランケット(印刷用ブランケット)と凹版(印刷版)との位置をずらす処理は行わなかった。
〔性能評価〕
(1)線幅変化の許容枚数
実施例1と比較例1のそれぞれについて、背面電極を形成した被転写体を、印刷処理の回数が10回経過する毎にサンプリングした。
(2)印刷形状の評価
500枚目のサンプルについて、その印刷パターンを顕微鏡で観察して、印刷パターンの直線性の良否を総合的に判断した。
500枚目のサンプルについて、その印刷パターンを精密2次元座標測定機で観察して、印刷パターンの位置とアライメント位置とのズレに基づいて、印刷精度の良否を判断した。PDP用背面電極パターンの形成に際して、印刷精度は±20μm以内であることが求められる。
12 ブランケット胴
13 印刷用ブランケット
14 被転写体
Claims (2)
- ブランケット胴に装着してなる印刷用ブランケットを印刷版の表面で転動させて当該印刷版から印刷用ブランケットの表面に印刷インキを転移する転移工程と、被転写体の表面で上記印刷用ブランケットを転動させて当該印刷用ブランケット上のインキパターンを被転写体の表面に転写する転写工程と、を含み、前記被転写体の表面に、最大線幅が200μm以下のストライプパターンまたはマトリックスパターンを印刷するオフセット印刷方法において、
上記転移工程および転写工程を所定回数実行する間は印刷用ブランケットをその軸方向に移動させず、
上記転移工程および転写工程を所定回数実行した後で一旦印刷を停止して、印刷用ブランケットをその軸方向に移動する工程を含むことを特徴とするオフセット印刷方法。 - 前記ストライプパターンは、そのピッチが前記最大線幅よりも2倍以上大きい請求項1に記載のオフセット印刷方法。
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