以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の液体噴射装置の第1の実施の形態に係るインクジェット式記録装置(以下「記録装置」という)100の構成を示す概略図である。
図2(a)は、記録装置100で印刷されるターゲットである例えば記録用紙P1を示す図である。記録用紙Pは、矢印X方向の幅d1が21cm(センチメートル)、矢印Y方向の幅が29.7cmであり、日本工業規格A列4番の大きさである。
図2(b)は、記録装置100で印刷されるターゲットである例えば記録用紙P2である。記録用紙P2の矢印X方向の幅d2は、記録用紙P1の矢印X方向の幅d1より大きくなっている。
図3は、図1の記録装置100の要部を示すA−A線概略断面図である。
(記録装置100の全体構成の概略について)
図3において記録装置100は、液体である例えば顔料インクを吐出するためのノズル開口を備える液体噴射ヘッドである例えば記録ヘッド112を有している。
また、この記録ヘッド112は、キャリッジ110内に収容され、キャリッジ110は、図1に示すガイド軸120に沿って矢印X方向に移動可能に構成されている。
また、図1のキャリッジ110の下部には、記録ヘッド112のノズル形成面を露出させるための開口が形成され、この開口に記録ヘッド112のノズル形成面が配置されている。
一方、図1に示すように記録装置100には、送りローラである例えば給紙ローラ140が備わっており、記録ヘッド112のノズル開口から吐出される顔料インクで印刷等するためのターゲットである紙等の記録用紙P1を矢印Y方向に搬送する構成となっている。
このように給紙ローラ140で移動させられる記録用紙P1は、具体的には図1のプラテン部130に配置されている。プラテン部130は、記録ヘッドと記録用紙P1との間の距離を一定に保持するためのものである。記録用紙P1は、給紙ローラ140とプラテン部130との間を移動させられる構成となっている。
すなわち、給紙ローラ140からプラテン部130上に送られた記録用紙P1に対して、ガイド軸120に沿ってキャリッジ110が移動する。このキャリッジ110の下部には記録ヘッドのノズル形成面が露出しているため、ノズル開口から顔料インクを吐出することで記録用紙P1に印字等ができる構成となっている。
(プラテン部130の構成の概略等について)
図4は、プラテン部130の全体構成を示す概略斜視図である。
図5(a)は、図4のプラテン部130を矢印V方向から見た概略平面図であり、図5(b)は、図4のプラテン部130を矢印W方向から見た概略裏面図である。
図4に示すように、プラテン部130は、全体が略直方体となっている。そして、プラテン部130は、上面に開口を有する例えば樹脂等から成る枠部132を備えている。
プラテン部130には、枠部132と同様の材質より成る支持突起133が形成されている。この支持突起133は、記録用紙P1と記録ヘッド112の間の距離を適正にかつ一定に維持する高さに形成されており、記録用紙P1は、この突起133に保持される。
枠部132の内側には、図4に示すように、記録用紙P1に顔料インクを吐出する際に、はみ出した顔料インクを吸収する液体吸収材134が配置されている。この液体吸収材134は、顔料インクを吸収可能な例えばベルイータ、エバーライト等のスポンジ状部材等で構成されている。
また、プラテン部130には、図4に示すように、開口部135a,135b,135cが設けられている。開口部135a,135b,135cには、図5(a)及び図5(b)に示すように、液体吸引部である例えばキャップ136a,136b,136cがそれぞれ設置されている。
なお、本実施の形態とは異なり、開口部及びキャップは3つより多くても少なくてもよい。
そして、キャップ136a,136b,136cには、図5(a)に示すように、液体吸収部137a,137b,137cがそれぞれ格納されている。液体吸収部137a,137b,137cは、液体吸収材134と同様に、顔料インクを吸収可能な例えばベルイータ、エバーライト等のスポンジ状部材等で構成されている。
液体吸収部137a,137b,137cは記録用紙P1の縁部に記録ヘッド112が顔料インクを吐出する際に記録用紙P1の外側にはみ出した顔料インクを吸収するために設けられている。そして、キャップ136a,136b,136cは、液体吸収部137a,137b,137cに吸収された顔料インクを吸引するために設けられている。
このため、記録ヘッド112が吐出した顔料インクは、液体吸収部137a,137b,137cで吸収され、さらに、キャップ136a,136b,136cで吸引されることにより、プラテン部130における顔料インクの乾燥等による堆積等を未然に防ぐことができるので、プラテン部130上に乾燥した顔料インクが堆積等して山形障害物が形成されることがない。
したがって、前記山形障害物が記録用紙P1等に接触等し、記録用紙P1等を汚す等することがない。また、前記山形障害物が記録ヘッド112に接触等して、記録ヘッド112の吐出不良等を生じさせることがない。
図4及び図5には、液体吸収部137a,137b,137c、及びキャップ136a,136b,136cがそれぞれ3箇所設けられているが、これは、大きさが異なる複数の記録用紙の縁部に対応するためである。
具体的には、図4に示す開口部135a(0桁側開口部ともいう)は、図1の記録装置100の端部100E1側に設置されており、記録装置100に図2(a)の記録用紙P1を装着する場合には縁部P1bが開口部135aの上方に位置する。図4に示す開口部135bは図2(a)の記録用紙P1の一端の縁部P1cが配置される位置に設定されており、記録用紙P1の他端の縁部P1cは、開口部135bの上方に位置する。
記録用紙P1が、図2(b)の記録用紙P2に差し替えられた場合には、記録用紙P2の一方の縁部P2bは、開口部135aの上方に位置し、他方の縁部P2cは、開口部135cの上方に位置するようになっている。
すなわち、記録用紙の大きさ、具体的には図1のX方向の幅が異なっても、記録用紙の一方の縁部は常に開口部135aの上方に位置する。これに対して、記録用紙の他方の縁部は開口部135bまたは135cの上方に位置するようになっている。
このため、記録ヘッド112が吐出した顔料インクは、記録用紙の大きさが異なることによって縁部の位置が変化しても、複数の液体吸収部137a及び、137bまたは137cによって吸収され、さらに、液体吸収部137a及び、137bまたは137cにそれぞれ対応するキャップ136a及び、136bまたは136cが顔料インクを吸引するから、プラテン部130における顔料インクの乾燥等による堆積等を未然に防ぐことができるので、プラテン部130上に乾燥した液体が堆積等して山形障害物が形成されることがない。
なお、本実施の形態とは異なり、液体吸収部137a,137b,137cの一部または全部が存在しない構成としてもよい。
また、本実施の形態とは異なり、開口部135a,135b,135c、及びキャップ136a,136b,136cに追加して同様の構造の開口部及びキャップをプラテン部130に設置してもよい。これにより、さらに多数の大きさが異なる記録用紙に対応することができる。
さらに、本実施の形態とは異なり、キャップ137cを省略し、液体吸引部137bが図3の矢印X方向に移動することで、開口部135cの位置に移動可能な構成として、液体吸引部137bが液体吸引部137cの機能を兼ねる構成としてもよい。
(記録装置100の要部について)
図3に示すように、記録装置100には、キャップ136a,136b,136cと液体通路144によって結ばれている液体保持部152が設けられている。液体保持部152は、キャップ136a,136b,136cによって吸引され、液体通路144を通って流入した顔料インクを、液体保持部152に格納した廃液吸収体154に吸収して保持する。廃液吸収体は、顔料インクを吸収可能な例えばベルイータ、エバーライト等のスポンジ状部材等で構成されている。
液体通路144には、通路開閉手段である開閉弁146a,146b,146c及び146dが設けられており、液体保持部152からキャップ136a,136b,136c及びキャッピング手段138へ通じる液体通路144を開閉できるようになっている。開閉弁146a,146b,146c及び146dの開閉は、開閉弁制御部202によって制御される。
また、液体通路144には吸引ポンプ156が接続されている。吸引ポンプ156が駆動することによって、キャップ136a,136b,136cに負圧を与える。これにより、キャップ136a,136b,136cが、液体吸収部137a,137b,137cに吸収された顔料インクを吸引し、液体通路144を介して液体保持部152に流入させることができる。吸引ポンプ156の駆動は、吸引ポンプ制御部206によって制御される。
このため、記録ヘッド112が吐出した顔料インクは、記録用紙がP1からP2に切り替えられたために、その縁部の位置が変化した場合、その変化した記録用紙P2の縁部に対応する位置にあるキャップ136a及び136cに通じる開閉弁144a及び144cを開通状態にし、他のキャップ136b及びキャッピング手段138に通じる開閉弁144b及び144dを閉鎖状態することにより、開通状態にしたキャップ136a及び136cに通じるキャップ136a及び136cだけから顔料インクを吸引することができる。
したがって、効率的に顔料インクを吸引し、液体保持部152に流入させて保持させることができる。
なお、吸引ポンプ制御部206によって、吸引ポンプ156の回転数を制御することにより、前記キャップ136a,136b,136cに与える負圧の強さを調整することができる。
具体的には、液体吸収部137a,137b,137cに吸収された顔料インクを吸収するためには、後述する図3のキャッピング手段138によってノズルヘッド112のノズル列のすべてを吸引して洗浄する通常のクリーニングの場合と比べて、約8分の1程度の負圧で十分である。
また、液体吸収部137a,137b,137cに吸収された顔料インクは粘度が増しているので、前記通常のクリーニングの場合よりも、ゆっくりと吸引するのが適切である。
したがって、吸引ポンプ制御部206によって、吸引ポンプの回転数を前記通常のクリーニングの場合よりも、少なくするように制御することによって、適切かつ十分な吸引を行うことができるのである。
図3の記録ヘッド112は、キャリッジ110内に収容され、キャリッジ110は、図1のガイド軸120に沿って図3の矢印X方向に移動可能に構成されている。キャリッジ110の移動はキャリッジモータ118の駆動によって行われる。キャリッジモータ118の駆動は液体噴射ヘッド位置制御部である印刷動作制御部208によって制御される。図3の矢印Xは図1の矢印Xと同じ方向である。
図6は、図3の記録ヘッド112のノズル形成面113を示す概略図である。ノズル形成面113には、ブラックの顔料インクを吐出する複数のノズル開口118aから構成されるノズル開口列L1、シアンの顔料インクを吐出する複数のノズル開口118bから構成されるノズル開口列L2、マゼンタの顔料インクを吐出する複数のノズル開口118cから構成されるノズル開口列L3、イエローの顔料インクを吐出する複数のノズル開口118dから構成されるノズル開口列L4が、図6の矢印X方向に配置されている。図6の矢印Xは図1及び図3の矢印Xと同じ方向である。
なお、本実施の形態とは異なり、ノズル開口列は4列でなくてもよいし、各ノズル開口列から吐出されるインクは上記4色でなくてもよい。
図3に示すように、キャリッジ110には、記録ヘッド112の図6の各ノズル開口118a,118b,118c及び118dからインクが正常に吐出されるか否か、つまり、ドット抜けがあるか否かを検知する、ドット抜け検知装置としてのセンサユニット114が搭載されている。
図7は、センサユニット114の構成を示す概略断面図である。
図8(a)は、テストパターンを示す図である。図8(b)及び図8(c)は記録用紙P1に印刷された記録パターン像を示す図である。
ドット抜け検知動作の指令を受けた記録装置100は、記録ヘッド112から顔料インクを吐出して、記録用紙P1上に、図8(a)に示す、あらかじめ定められたテストパターンPT1の印刷を行う。
次に、センサユニット114で、記録用紙P1上に実際に印刷されたテストパターン像を読み取る。具体的には、図7に示す、光源114aからの照明光をレンズ114bで略平行光にして記録用紙P1を照明し、印刷されたテストパターン像PT11の像はレンズ114cによってCCD素子114dに投影される。
CCD素子114dに投影されたテストパターン像を図示しないテストパターン像解析部で解析し、図8(b)のPT2のように、図8(a)のテストパターンPT1と同じであれば、ドット抜けはないと判断する。テストパターン解析部は、図8(c)のPT3のように、図8(a)のテストパターンと比較して、欠落部116があれば、その欠落部116に対応するノズル開口においてドット抜けがあると判断する。
なお、本実施の形態とは異なり、ドット抜け検知装置として、記録ヘッド112の図6の各ノズル開口118a,118b,118c及び118dから吐出されるインクにそれぞれ、直接に赤外線等の光を照射し、インクがその光をさえぎるか否かを検出することによって、ドット抜けを検出する構成としてもよい。すなわち、光がさえぎられれば、検出対象のノズル開口からインクが吐出されていると判断し、光がさえぎられなければ、検出対象のノズル開口からインクが吐出されておらず、ドット抜けがあると判断する構成としてもよい。
(キャップ136a,136b,136cの構成について)
図9(a)及び図10(a)は、図5(a)に示すキャップ136aのB−B線断面図で
ある。
図9(b)及び図10(b)は、図5(a)に示すキャップ136aのC−C線断面図である。
図5のキャップ136b,136cはキャップ136aと同様の構造であるから、説明を省略し、以下キャップ136aを単にキャップ136として説明する。
図9(a)及び図10(a)に示すように、キャップ136は液体吸収部137を格納している。また、キャップ136は開口136fを有している。これにより、液体吸収部137に吸収された顔料インクを、開口136fを介して液体通路144側に吸引することができる。
図9(a)に示すキャップ136の内壁136iy,136iy間の幅Tyaは、図6のノズル列L1乃至L4の矢印Y方向の幅Tnよりやや大きい。これにより、例えば、ノズル列L1のすべてのノズル開口118aから吐出される顔料インクをカバーすることができる。
図9(b)に示すキャップ136の内壁136ix,136ix間の幅Txは、3mm(ミリメータ)としている。幅Txを3mmとした理由は、縁無し印刷によって、記録用紙P1からはみ出して吐出された顔料インク(打ちもらし部という)の幅をカバーするのに必要十分な幅だからである。
すなわち、図11は、後述する、記録装置100が縁無し印刷をするときの動作を示す図である。
図12は図11のH部分の拡大図であり、前記打ちもらし部を示している。図12に示す打ちもらし部の幅tは1mm乃至2mmである。よって、図9(b)のキャップ136の幅Txは、打ちもらし部の幅tをカバーできる幅となっている。なお、図9(b)の矢印Xは図1の矢印Xと同じ方向である。
キャップ136の幅Txを3mmとすることで、キャップ136に格納された液体吸収部137が、打ちもらし部に吐出された顔料インクを吸収することができる。
しかし、液体吸収部137の吸収能力が飽和し、顔料インクを吸収することができなくなると、いずれ顔料インクが液体吸収部137上に堆積してインク山を形成する。
図13は、プラテン部130の上に形成されたインク山を示す図である。
これに対して、本実施の形態では、打ちもらし部上に形成されるインク幅をカバーする大きさであるキャップ136によって、液体吸収部137に吸収された顔料インクを吸引することにより、液体吸収部137の液体吸収力を維持し、図13に示すインク山の形成を未然に防止することができるのである。
図9(a)及び(b)、図10(a)及び(b)に示すように、キャップ136は突出部136gを有している。この突出部136gは、後述するカム機構におけるカムフォロアー部である。
図9及び図10の130a及び130bは、図3の符号と同じであり、130aは記録ヘッド112側のプラテン部130の表面部、130bは記録ヘッド112とは反対側のプラテン部130の裏面部を示している。
図9(a)及び(b)、図10(a)及び(b)に示す突出部136gは、記録装置100内部に固定されているカム140に接触しており、断面が略楕円状のカム140が回転することによって、図示しないガイド部に沿って図9(a)及び(b)、図10(a)及び(b)の矢印Z方向に鉛直移動するように構成されている。
キャップ136が、カム140の回転に連れて鉛直移動できるように、キャップ136は図示しないスプリングによって矢印Z2方向に引かれるように付勢されている。
このように、キャップ136が鉛直方向に移動する構成となっていることから、記録装置100内部のスペースが節約できる。
図9(a)及び図10(a)に示すように、カム140は、カムモータ142によって中心軸140aを中心に回転させられる。カムモータ142は、図3に示す液体吸引部位置制御部であるカムモータ制御部204によって制御される。このように、キャップ136及びその部分であるカムフォロアー部136g、カム140、カムモータ142、カムモータ制御部204によってカム機構が構成されている。
図9(a)及び(b)は、カム140が中心軸140aからの距離d1の部分に対応する表面部140sでカムフォロワー部136gと接触している状態である。このとき、キャップ136の先端部136cは、プラテン部130の表面部130aと同じ高さである。
この状態から、カム140が矢印R方向に回転し、キャップ136が矢印Z1方向に鉛直に移動すると、図10(a)及び(b)の状態になる。
図10(a)及び(b)は、カム140が中心軸140aからの距離d2に対応する表面部140tでカムフォロワー部136gと接触している状態である。このとき、キャップ136の先端部136cは、プラテン部130の表面部130aから突き出ている。
この状態から、カム140が矢印R方向に回転し、キャップ136が矢印Z2方向に鉛直に移動すると、図9(a)及び(b)の状態になる。
このため、たとえば、液体噴射ヘッド位置制御部としても機能する図3で示す印刷動作制御部208によって、記録ヘッド112をキャップ136bに対面する対面位置に移動させ、液体吸引部位置制御部であるカムモータ制御部204により、キャップ136bを前記対面位置に移動した記録ヘッド112に向かって鉛直方向に移動することにより、記録ヘッド112に密着させ、記録ヘッド112に形成されており顔料インクを吐出する部分であるノズル開口から顔料インクを吸引し、記録ヘッド112内の液体経路を洗浄することができる。
さらに、図6で示すノズル列L1乃至L4のうち、上記した図3に示すセンサユニット114によってドット抜けが検出されたノズル開口を含むノズル列だけを、図3のキャップ136bに対面するように記録ヘッド112を移動させれば、記録ヘッド112のノズル列ごとの洗浄をすることができる。
なお、本実施の形態とは異なり、キャップ136はスプリング以外の手段によってZ2方向に付勢されていてもよいし、何らの付勢もされていなくてもよい。
また、本実施の形態とは異なり、キャップ136の全部または一部が、鉛直方向へ移動する構成ではなく、斜め方向に進退する構成としてもよい。キャップ136が、表面部130aから突出する状態と、その状態から裏面部130B側へ移動する状態が実現できればよいからである。
また、本実施の形態とは異なり、キャップ136a,136b,136cのうちいずれか一つだけではなくて、いずれか2つまたは3つ同時に鉛直移動するようにカムモータ制御部204によってカムモータ150a,150b,150cを制御してもよい。
さらに、本実施の形態とは異なり、カムモータを1つだけ配置し、カム140a,140b,140cのすべてを回転させるような構成としてもよい。
(キャッピング手段138の構成について)
図3に示すように、キャリッジ110の非印刷領域Nには、非印刷時に記録ヘッド112のノズル開口を封止するためのキャッピング手段138が設けられている。キャッピング手段138の内部は通路部144を通じて吸引ポンプ156に連通している。
キャリッジ110が非印刷領域Nに移動すると、キャッピング手段138がカム148dによってキャリッジ110方向へ移動し、記録ヘッド112のノズル形成面113を封止する。カム148dはカムモータ150dによって駆動され、カムモータ150dはカムモータ制御手段204によって制御される。
記録ヘッド112のノズル開口列に目詰まりが生じないようにする場合等に、記録ヘッド112から強制的にインクを吐出する場合には、記録ヘッド112を封止した状態で吸引ポンプ156を作動させ、吸引ポンプ156からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。
これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらには記録ヘッド112内の気泡がインクとともにキャッピング手段138に排出される。
なお、キャッピング手段138と吸引ポンプ156を結ぶ通路144には開閉弁144dが設けられている。
図3に示すように、インクジェット式記録装置100は、キャリッジモータ118、開閉弁146a,146b,146c及び146d等の各部の動作を制御する制御装置200を有している。制御装置200は、たとえばコンピュータであり、図示しないバスにより、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等からなる記憶手段が配置されている。この制御装置200は、たとえば、開閉弁146a,146b,146c及び146dの開閉を制御する開閉弁制御部202、カムモータ150a,150b,150c及び150dの駆動を制御する液体吸引部位置制御部としてのカムモータ制御部204、吸引ポンプ156の駆動を制御する吸引ポンプ制御部206、記録ヘッド112を格納したキャリッジ110の移動を制御する液体噴射ヘッド位置制御部等としての印刷動作制御部208等として機能する。
本発明の記録装置100は、以上のように構成されているが、以下その動作例について説明する。
まず、記録装置100の動作の概略を主に図11を使用して説明する。
図11は、記録装置100が記録用紙P1に縁無し印刷を行う概略説明図である。
図11に示すように、記録装置100が記録用紙P1に縁無し印刷を開始するときには、まず、記録用紙P1がプラテン部130に配置される。具体的には、開口部135a,135bの位置は、記録用紙P1の両端と合致するように設けられており、記録用紙P1の左端部P1bは開口部135aの上方に位置し、右端部P1cは開口部135bの上方に位置する。
図11に示すように、左端部P1bの縁無し印刷を行うときは、記録ヘッド112はガイド軸120に沿って、そのノズル開口が記録用紙P1の左端部P1bを跨ぐような位置に移動し、顔料インクを吐出する。
そして、左端部P1bから外れて吐出された顔料インクは開口部135aに配置された液体吸収部137aで吸収される。図11の137Iは、こうして液体吸収部137aに吸収された顔料インクを示す。
左端部P1bと同様に右端部P1cも縁無し印刷が行われ、右端部P1cから外れて吐出された顔料インクは開口部135bに配置された図5(a)の液体吸収部137bで吸収される。
このようにして、記録装置100は記録用紙P1に対し縁無し印刷を行う。そして、記録用紙P1の各端部P1b及びP1cから外れた顔料インクは、液体吸収部137a及び137bによって吸収されるので、次の印刷にかかる記録用紙P1に付着して記録用紙Pを汚す等を未然に防ぐことができ印刷品質を向上させることができる。
しかし、以上のようにして、記録装置100が多くの記録用紙P1に対して縁無し印刷を行うと、記録ヘッド112から吐出される顔料インクが、液体吸収部137a及び137bに吸収しきれず飽和状態となる場合がある。
この場合、放置すると以下のような問題がある。
すなわち、顔料インクは、特に粘性が高いため液体吸収部137a及び137bに堆積することによって山形の障害物が形成される場合があり、例えば、顔料インクが堆積したインク山が図13に示すIYのように形成されるという問題が生じるおそれがあるのである。
しかし、本実施の形態では、図5(a)に示すように、各液体吸収部137a及び137bが、それぞれキャップ136a及び136bに格納されているので、液体吸収部137a及び137bに吸収された顔料インクをキャップ136a及び136bによって吸引することで、液体吸収部137a,137b上に、顔料インクが堆積して、インク山が形成されることを未然に防止することができる。
以下、本実施の形態の、縁無し印刷の実施方法を主に図3、図11、図14及び図15を使用して、詳細に説明する。
図14は、第1の実施の形態の縁無し印刷の実施方法を示すフロー図である。
図15は、図14の各ステップST0乃至ST10に対応する、図3に示す吸引ポンプ156、開閉弁146a,146b,146c及び146d等の状況を示す図である。
図14のステップST0は縁無し印刷のスタートステップである。
図14のステップST1において、図3の記録装置100の制御装置200の図示しないユーザ命令受信部が、ユーザがインプットした縁無し印刷実行命令を受信する。
図14のステップST2において、上記ユーザ命令受信部が、ユーザがインプットした図11に示す記録用紙P1の大きさを受信し、記憶する。そして、記憶した記録用紙P1の大きさのデータを、制御装置200の開閉弁制御部202に送信する。
開閉弁制御部202は、受信した記録用紙P1の大きさのデータを記憶する。前述した通り、記録用紙P1は、図11に示す幅d1が21cm(センチメートル)である。
ステップST0乃至ST2においては、図15(a)に示すように、図3の吸引ポンプ156は休止中である。記録ヘッド112は顔料インクを吐出しておらず、印刷も停止中である。
図14のステップST3において、開閉弁制御部202は開閉弁146a及び146bを開通状態にする。
開閉弁制御部202は、上記ステップST2において記憶した記録用紙P1の大きさ、具体的には図11の幅d1を記憶しており、開閉弁146a,146b,146c及び146dのうちから、図11に示す記録用紙P1の端部P1b及びP1cに応じたキャップ136a及び136bに通じる開閉弁146a及び146bを選択し、開通状態とする。
図14のステップST4において、開閉弁制御部202は開閉弁146c及び146dを閉鎖状態にする。
開閉弁制御部202は、上記ステップST3において開通状態とした開閉弁146a及び146b以外の開閉弁146c及び146dを閉鎖状態とする。具体的には、開閉弁146c及び146dはスタートステップST0から閉鎖状態であるから、閉鎖状態を維持することになる。
ステップST3及びST4においては、図15(b)に示すように、図3の吸引ポンプ156は休止中である。記録ヘッド112は顔料インクを吐出しておらず、印刷も停止中である。
図14のステップST5は、記録ヘッド112から顔料インクを吐出する液体吐出ステップであり、記録装置100は、縁無し印刷を実行する。縁無し印刷の実施の様子は、図11を使用して上述したとおりである。
図14のステップST6は、記録ヘッド112から吐出された顔料インクを液体吸収部137a及び137bが吸収する液体吸収ステップである。
ステップST5及びST6においては、図15(c)に示すように、図3の吸引ポンプ156は休止中である。記録ヘッド112は顔料インクを吐出してり、印刷を開始している。
図14のステップST7おいて、記録装置100の図示しないパス計測部は、縁無し印刷が開始されてから、記録ヘッド112が図11の矢印X方向への往復移動の回数を計測し、規定回数往復したか否かを判断する。
例えば、本実施の形態では、規定回数として1,800回と定め、1,800回往復したかを判断する。
ここで、1,800回の往復(パスともいう)としたのは、縁無し印刷を連続して実行している本実施の形態においては、記録ヘッド112が約1,800回以上の往復をすると、液体吸収部137a及び137bの顔料インクの吸収能力が飽和し、そのまま放置すると顔料インクの堆積が起こり、さらにはインク山が形成され、記録用紙P1を汚す等の悪影響が生じるからである。
パス計測部が、記録ヘッド112が1,800回往復したと判断すれば、液体吸引ステップST8進む。パス計測部が、記録ヘッド112がまだ1,800回往復していないと判断すれば、印刷終了判断ステップST9へ進む。
なお、本実施の形態においては、パス計測部が、記録ヘッド112が1,800回往復したと判断すれば液体吸引ステップST8に進むこととしているが、顔料インクの種類の変化等によって、前記規定回数は変化する。
しかし、例えば、記録用紙P1が記録用紙P2に切り替えられても、前記規定回数を変更する必要はない。記録用紙P1の図11の矢印X方向の大きさが変わっても、記録ヘッド112が一往復する際に、矢印X方向の両端部において顔料インクを記録用紙をはみ出して吐出するのは、各端部において1回づつであり、同じだからである。
ステップST7おいては、図15(d)に示すように、図3の吸引ポンプ156は休止中である。記録ヘッド112は顔料インクを吐出しており、印刷を継続している。
なお、本実施の形態とは異なり、パス計測部の代わりに印刷時間計測部を設け、記録ヘッド112の往復回数ではなくて、縁無し印刷開始からの経過時間を判断するようにしてもよい。たとえば、本実施の形態の記録用紙P1に印刷する場合には、2往復で1秒かかるから、1,800往復に15分必要である。よって、印刷時間計測部が15分間経過したと判断すれば、キャップ吸引ステップST7に進むように構成してもよい。
図14のステップST8は、記録ヘッド112から吐出され、液体吸収部137a及び137bによって吸収された顔料インクをキャップ136a及び136bによって吸引する液体吸引ステップである。
具体的には、図3の吸引ポンプ制御部206が、吸引ポンプ156の駆動を開始させる。
液体吸引ステップST8においては、図15(e)に示すように、図3の吸引ポンプ156は駆動を開始している。記録ヘッド112は顔料インクを吐出しており、印刷を継続している。開閉弁146a及び146bは開通状態であり、開閉弁146c及び146dは閉鎖状態である。
吸引ポンプ156の駆動によって、開通している開閉弁146a及び146bに通じるキャップ136a及び136b内に負圧を生じ、キャップ136a及び136bにそれぞれ格納されている液体吸収部137a及び137bにされた顔料インクを吸引する。
このため、液体吐出ステップST5において記録ヘッド112から吐出され、液体吸収ステップST6において液体吸収部137a及び137bによって吸収された顔料インクは、液体吸引ステップST8においてキャップ136a及び136bで吸引され、その結果としてプラテン部130が洗浄されることにより、プラテン部130における顔料インクの乾燥等による堆積等を未然に防ぐことができるので、プラテン部130上に乾燥した顔料インクが堆積等して山形障害物が形成されることがない。
さらに、閉鎖状態である開閉弁146c及び146dに通じるキャップ136c及びキャッピング手段136d内には、吸引ポンプ156が駆動しても負圧は生じない。
よって、キャップ136a及び136bだけに負圧を生じさせることで、効率的に顔料インクの堆積を解消できる。
キャップ136a及び136bから吸引された顔料インクは、液体通路144及び吸引ポンプ156を介して、図3の廃液保持部152に格納された廃液吸収体154に吸収されて保持される。
液体吸引ステップST8が終了した後は、図3の吸引ポンプ制御部206が吸引ポンプ156の駆動を停止させ、ステップST5によって印刷実行を継続する。
図14のステップST9において、印刷動作制御部208が、図示しないユーザ命令受信部が記憶しているユーザによって入力された印刷命令のすべてを終了したかどうかを判断し、前記印刷命令のすべてを終了していれば印刷動作を終了し、すべてを終了していなければステップST5の印刷実行を継続する。
ステップST9においては、図15(f)に示すように、図3の吸引ポンプ156は駆動を休止している。記録ヘッド112は顔料インクを吐出しており、印刷を継続している。 開閉弁146a及び146bは開通状態であり、開閉弁146c及び146dは閉鎖状態である。
図14のステップST10は印刷終了ステップである。前記ステップST9において、印刷動作制御部が、前記印刷命令のすべてを終了していると判断し、印刷動作を停止する。
具体的には、記録ヘッド112から顔料インクの吐出を停止し、キャリッジ110を非印刷時の所定の位置(ホームポジションという)に移動させる。このホームポジションは、記録装置100において、図3のキャッピング手段138の上方の位置である。
ステップST10においては、図15(g)に示すように、図3の吸引ポンプ156は駆動を停止する。記録ヘッド112は顔料インクの吐出を停止する。開閉弁146a及び146bは開通状態であり、開閉弁146c及び146dは閉鎖状態である。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態における記録装置の構成は、上記第1の実施形態の記録装置100と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図16は、第2の実施形態における、プラテン部130の構成を示す概略斜視図である。
図16に示すように、プラテン部130には、開口部135e及び135fが設けられている。開口部135eには、後述する図19のキャップ136eが設置されている。開口部135fには、後述する図19のキャップ136fが設置されている。
まず、キャップ136eの大きさを説明する。なお、キャップ136fの大きさは、キャップ136eと同じなので、説明を省略する。
図17は、キャップ136eの概略斜視図である。図17の矢印X及びYは、図1の矢印X及びYと同じ方向である。
図17に示すように、キャップ136eは、液体吸収部137eを格納している。
図18(a)は、図17のキャップ136eのS−S線概略断面図である。
図18(b)は、図17のキャップ136eのT−T線概略断面図である。
図18(a)に示すキャップ136eにおいて、キャップ136eの内壁136eiy,136eiy間の幅Teyは、前記したキャップ136a,136b,136cの幅Txと同様であり、3mmである。
一方、図18(b)に示すキャップ136eにおいて、キャップ136eの内壁136eix,136eix間の幅Texは、図16で示す開口135aの内壁135aiと開口135cの内壁135ciとの間の距離Tiよりやや小さい。
図18に示すように、キャップ136eには、開口部136ehが設けられている。キャップ136eの内部は、開口部136ehを介して、液体通路部144と連通している。
図19は、第2の実施態様における、図1の記録装置100のB−B線概略断面図である。矢印Yは、図1の矢印Yと同じ方向である。
キャップ136eは液体吸収部137eを格納しており、キャップ136fは液体吸収部137fを格納している。
キャップ136eと連通している液体通路部144には開閉弁146eが設けられている。キャップ136fと連通している液体通路部144には開閉弁146fが設けられている。
図19に示すように、キャップ136aは、前記したように、カム140aと接触しており、カムモータ制御部206によって制御されるカムモータ150aによってカム140aが矢印R方向に回転することにより、矢印Z方向に鉛直移動する構成になっている。
これに対して、キャップ136e及び136fは、カムによって移動するようにはなっていない。
液体通路部144は吸引ポンプ156を介して液体保持部152に連通している。
縁無し印刷における、図2に示す記録用紙P1の上部P1a及び下部P1dからはみ出して記録ヘッド112から吐出された顔料インクは、前記液体吸収部137e及び液体吸収部137fで吸収することができる。そして、液体吸収部137e及び液体吸収部137fによって吸収された顔料インクは、キャップ136e及び136fによって吸引することができる。これにより、液体吸収部137e及び液体吸収部137f上にインク山が形成されることを未然に防止することができる。
以下、主に図19、図20、図21及び図22を用いて、第2の実施の形態における記録装置100の動作を説明する。
第2の実施形態における記録装置の動作は、上記第1の実施形態の記録装置100と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図20は、第2の実施の形態の縁無し印刷の実施方法を示すフロー図である。
図21及び図22は、図20の各ステップST0乃至ST10、及び、ST107乃至ST110に対応する、図19に示す吸引ポンプ156、開閉弁146a,146e,146f等の状況を示す図である。
図20のステップST0乃至ST10においては、図21(a)乃至(f)、及び、図22(e)及び(f)に示すように、第2の実施形態で追加された構成である開閉弁146e及び146fは、開閉弁146c及び146dと同じ開閉状態である。
図20のステップST5において、図19の記録ヘッド112から顔料インクが吐出され、図2の記録用紙P1の上端部P1aからはみ出して吐出された顔料インクは、図19の液体吸収部137fに吸収される。同様に、図2の記録用紙P1の下端部P1dからはみ出して吐出された顔料インクは、図19の液体吸収部137eに吸収される。
図20のステップST107では、図19の記録装置100の図示しないパス計測部は、縁無し印刷が開始されてから、記録ヘッド112が図19の紙面垂直方向(図1の矢印X方向)への規定回数の往復移動(上下吸引規定パスという)をしたかを計測し、規定回数往復したかを判断する。
たとえば、本実施の形態では、前記上下吸引規定パスとして18,000回と定め、18,000回往復移動したかを判断する。
ここで、18,000回の往復としたのは、記録ヘッド112が約18,000回以上の往復をすると、液体吸収部137e及び137fの顔料インクの吸収能力が飽和し、放置すると程度の顔料インクの堆積が起こり、さらにはインク山が形成され、記録用紙P1を汚す等の悪影響が生じるからである。
記録用紙P1の図2の両端部P1b及びP1cをはみ出して吐出された顔料インクの吸引は、第1の実施の形態において説明したように、記録ヘッド112が約1,800回以上の往復をしたときに行う。
これに対して、記録用紙P1の図2の上下端部P1a及びP1dをはみ出して吐出された顔料インクの吸引は、記録ヘッド112が前記両端部P1b及びP1cの打ちもらし部の吸引の場合の10倍の回数である18,000回往復移動した場合に行う。
これは、両端部P1b及びP1cの場合には、記録ヘッド112が1回往復するたびに必ず顔料インクがはみ出して吐出されるのに対して、上下端部P1a及びP1dの場合には、1枚の記録用紙P1に対する印刷開始及び印刷終了のときにだけ、顔料インクがはみ出して吐出されるに過ぎないからである。
つまり、上下端部P1a及びP1dの場合の顔料インクの打ちもらし量は、両端部P1b及びP1cの場合の打ちもらし量よりも少ないから、はみ出して吸引された顔料インクの吸引回数も少なくてよいのである。
パス計測部が、記録ヘッド112が18,000回往復したと判断すれば、上下開閉弁開通ステップST108に進む。進む。パス計測部が、記録ヘッド112がまだ18,000回往復していないと判断すれば、印刷終了判断ステップST9進む。
上下開閉弁開通ステップST108においては、図19の開閉弁制御手段202が、開閉弁146e及び146fを開通状態にする。
ステップST108おいては、図22(b)に示すように、図19の吸引ポンプ156は休止中である。記録ヘッド112は顔料インクを吐出してり、印刷を継続している。
本実施の形態においては、パス計測部が、記録ヘッド112が18,000回往復したと判断すれば,上下開閉弁開通ステップST108に進むこととしているが、顔料インクの種類の変化等によって、前記規定回数は変化する。しかし、例えば、記録用紙P1が記録用紙P2に切り替えられても、前記規定回数を変更する必要はない。
なお、本実施の形態とは異なり、パス計測部の代わりに印刷時間計測部を設け、記録ヘッド112の往復回数ではなくて、縁無し印刷開始からの経過時間を判断するようにしてもよい。たとえば、記録用紙P1の大きさの記録用紙に印刷する場合には、印刷時間計測部が150分間経過したと判断すれば、上下開閉弁開通ステップST108に進むように構成してもよい。
図20のステップST109は、キャップ136e及び136fによって、液体吸収部137e及び137fに吸収された顔料インクを吸引する上下キャップ吸引ステップである。具体的には、図19の吸引ポンプ制御部206が、吸引ポンプ156の駆動を開始させる。
ステップST109おいては、図22(c)に示すように、図19の吸引ポンプ156は駆動を開始する。記録ヘッド112は顔料インクを吐出してり、印刷を継続している。開閉弁146a,146bは開通状態であり、146e及び146fは開通状態とされ、開閉弁146c及び146dは閉鎖状態である。
ステップST110では、前記ステップST109において駆動を開始した吸引ポンプ156の駆動を停止する。そして、前記ステップST108において開通状態とした開閉弁146e及び146fを、図19の開閉弁制御部202によって閉鎖状態とする。
ステップST110においては、図22(d)に示すように、図19の吸引ポンプ156は駆動を停止する。記録ヘッド112は顔料インクを吐出してり、印刷を継続している。開閉弁146a,146bは開通状態であり,146e及び146fは閉鎖状態とされ、開閉弁146c及び146dは閉鎖状態である。
なお、本実施の形態とは異なり、上下開閉弁開通ステップST108において、図19の開閉弁制御手段202が、開閉弁146e及び146fを開通状態にするとともに、開閉弁146a,146bを閉鎖状態としてもよい。
これにより、開閉弁146e及び146fに通じるキャップ136e及び136fのみから、効率的に顔料インクを吸引することができる。
以上のように、本実施の形態においては、記録用紙P1の上下端部P1a及びP1dに対してはみ出して吐出された顔料インクの吸引のタイミングと、両端部P1b及びP1cに対してはみ出して吐出された顔料インクの吸引のタイミングとを、前記パス計測部が別々に計測して、吸引を実施する。
これにより、図2の矢印X方向の両端部P1b及びP1cに対して顔料インクがはみ出して吐出され、液体吸収部137a及び137bに吸収された顔料インクを吸引することにより、記録用紙P1の図2の矢印X方向の両端部の外側におけるインク山の形成を未然に防止することができるだけでなく、記録用紙P1の上下端部P1a及びP1dに対して顔料インクがはみ出して吐出され、液体吸収部137a及び137bに吸収された顔料インクを吸引することにより、記録用紙P1の図2の矢印Y方向の両端部の外側におけるインク山の形成を未然に防止することもできる。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施形態について、主に図3、図23及び図24を使用して、説明する。
第3の実施形態における記録装置の構成は、上記第1の実施形態の記録装置100と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
図23は、第3の実施の形態の実施方法を示すフロー図である。
図24は、図23の各ステップST200乃至ST211に対応する、図3に示す吸引ポンプ156、開閉弁146a,146b,146c,146d等の状況を示す図である。
本実施の形態における記録装置100は、第1の実施の形態における記録装置100と同様である。
本実施の形態は、図3の記録ヘッド112のノズル列、具体的には図6に示すL1乃至L4ごとの洗浄(独立吸引ともいう)を目的としている。
本実施の形態における、記録装置100の動作について、以下説明する。
図23のステップST200はスタートステップである。
図23のステップST201において、図3の記録装置100の図示しないユーザ命令受信部がユーザからノズルチェック実行命令を受信する。
図23のステップST202で、図3のセンサユニット114が図6のノズル開口118a乃至118dのいずれかにおいて、ドット抜けが生じているか否かを検知する。
ステップST200乃至ST202においては、図24(a)に示すように、図3の吸引ポンプ156は駆動を停止している。記録ヘッド112は顔料インクの吐出を休止している。開閉弁146a,146b,146c及び146dはすべて閉鎖状態である。
図3のセンサユニット114がドット抜けを検知しなかった場合には、図23の終了ステップST211に進行して終了する。
センサユニット114が、ドット抜けを検知した場合には、センサユニット114は、制御装置200にドット抜け情報を送信する。
本実施の形態では、図6のノズル開口118aにドット抜けが生じているものとして、以下説明する。
図23のステップST203では、開閉弁146aを開閉弁制御部202によって開通状態にする。本実施の形態では、開閉弁146aに通じるキャップ136aを、ノズル列の洗浄のための吸引用に使用することにしているためである。
図23のステップST204では、開閉弁146b,146c及び146dを閉鎖状態にする。本実施の形態では、開閉弁146b,146c及び146dは、前記ステップST200からの閉鎖状態を維持することになる。
ステップST203及びST204においては、図24(b)に示すように、図3の吸引ポンプ156は駆動を停止している。記録ヘッド112は顔料インクの吐出を休止している。開閉弁146aは開通状態であるが、146b,146c及び146dは閉鎖状態である。
図23のステップST205では、図3の記録ヘッド112の図6に示すノズル開口列L1乃至L4のうちから、制御装置200が、インク吸引により洗浄するノズル列を選択する。前記ステップST202において、ノズル開口118aにドット抜けがあることを検知しているから、ノズル開口118aが属するノズル開口列であるL1を選択する。
図23のステップ206は、記録ヘッド112を、液体噴射ヘッド位置制御部としても機能する図3の印刷動作制御部208によって、液体吸引部であるキャップ136aに対面する対面位置に移動させる液体噴射ヘッド位置移動ステップである。
具体的には、図3の印刷動作制御部208が、キャリッジ110に搭載された記録ヘッド112を、記録ヘッド112の底面に形成されているノズル形成面のノズル開口列L1ないしL4のうち、前記ステップ205において選択されたノズル開口列L1がキャップ136aに対面する位置に移動させる。
図23のステップST207は、液体吸引部であるキャップ136を、液体吸引部位置制御部として機能する図3のカムモータ制御部204によって、前記対面位置に移動した記録ヘッド112に向かって鉛直方向に進退させる液体吸引部位置移動ステップである。
具体的には、図3のカムモータ制御部204が、カムモータ150aを駆動させ、カム140aを矢印R方向に回転させる。これにより、キャップ136aが矢印Z1方向に鉛直に上昇し、記録ヘッド112のノズル形成面113に密着する。
前記ステップST206において、ノズル形成面113のノズル開口列L1がキャップ136aに対面する位置に移動しているから、本ステップST207により、ノズル開口列L1は、キャップ136aがノズル形成面113に密着することによって、キャップ136aとノズル開口列L1を含むノズル形成面113の部分による閉鎖空間が生じる。
ステップST205乃至ST207においては、図24(c)に示すように、図3の吸引ポンプ156は駆動を停止している。記録ヘッド112は顔料インクの吐出を休止している。開閉弁146aは開通状態であるが、146b,146c及び146dは閉鎖状態である。
図23のステップST208では、キャップ136aがノズル開口列L1からインク吸引を開始する。具体的には、図3の吸引ポンプ156が吸引ポンプ156を駆動させる。
これにより、吸引キャップ136aとノズル開口列L1を含むノズル形成面113の部分によって形成されている閉鎖空間に負圧が生じ、ノズル開口列L1からインクを吸引し、ノズル開口列L1の洗浄を行うことができる。
ステップST208においては、図24(d)に示すように、図3の吸引ポンプ156は駆動を開始する。記録ヘッド112は顔料インクの吐出を休止している。開閉弁146aは開通状態であるが、146b,146c及び146dは閉鎖状態である。
図23のステップST209においては、前記ステップST209のキャップ136による吸引動作を停止する。具体的には、図3の吸引ポンプ制御部206が吸引ポンプ156を停止させる。
ステップST209においては、図24(e)に示すように、図3の吸引ポンプ156駆動を停止する。記録ヘッド112は顔料インクの吐出を休止している。開閉弁146aは開通状態であるが、146b,146c及び146dは閉鎖状態である。
図23のステップST210においては、図3の制御部200が、前記ステップST202において、図3のセンサユニット114からノズル開口列L1以外のノズル開口列においてもドット抜けが生じているというドット抜け情報を受信していれば、制御部200は記録装置100に対して、前記ステップST205以下のステップを実行させる。
これに対して、図3の制御部200が、前記ステップST202において、図3のセンサユニット114からノズル開口列L1以外のノズル開口列においてはドット抜けが生じていないというドット抜け情報を受信していれば、ステップST211へ進み、制御部200は記録装置100に対して、本動作を終了させる。
ステップST211では、具体的には、記録ヘッド112のノズル形成面に密着しているキャップ136aを、図3のカムモータ制御部はカムモータ150aを駆動させ、カム140aを矢印R方向に回転させることによってキャップ136aを矢印Z2方向に鉛直に下降させる。そして、吸引動作制御部がキャリッジモータ118を駆動させることにより、記録ヘッド112を記録装置100の非印刷領域Nに設けられた非印刷時のポジション(ホームポジション)に移動させる。
ステップST210乃至211においては、図24(f)に示すように、図3の吸引ポンプ156駆動を停止している。記録ヘッド112は顔料インクの吐出を休止している。開閉弁146aは開通状態であるが、146b,146c及び146dは閉鎖状態である。
以上により、記録ヘッド112を前記液体噴射ヘッド位置移動ステップST206によってキャップ136aに対面する位置に移動し、前記液体吸引部位置移動ステップST207によってキャップ136を鉛直方向に移動させて記録ヘッド112に密着させ、ステップST209によって記録ヘッド112に形成されており顔料インクを吐出する部分であるノズル開口部から顔料インクを吸引することにより、記録ヘッド112内の液体経路を洗浄することができる。
また、前記液体噴射ヘッド位置移動ステップST206によって、記録ヘッド112を、そのノズル開口部のすべてではなくて、特定のノズル開口部L1だけがキャップ136aに対面する位置に移動させることによって、特定のノズル開口部L1だけから顔料インクを吸引し、記録ヘッド112内の特定の液体経路を選択的に洗浄することができる。
なお、本実施の形態とは異なり、キャップ136a,136b,136cのいずれかのうち、1つまたは2つだけを図3の矢印Z方向へ移動可能な構成としてもよい。
本発明は、インクジェット式記録装置、インクジェット式記録装置の洗浄方法としての上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
本発明は、液体を吐出する液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置、液体噴射装置の洗浄方法に適用できる。なお、ターゲットに対して液体を噴射させる液体噴射装置として代表的なものは液体噴射装置であるが、そのほかにも、たとえば、液晶ディスプレイ、EL (エレクトロルミネッセンス)ディスプレイおよび面発光ディスプレイの製造等に用いられる電極材や色材等の液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置がある。
100・・・インクジェット式記録装置、P1:記録用紙、110:キャリッジ、112:記録ヘッド、114:センサユニット、130:プラテン部、136a,136b,136c:キャップ、137a,137b,137c:液体吸収部、140a,140b,140c:カム、146a,146b,146c:開閉弁、152:液体保持部、156:吸引ポンプ