JP2005100493A - 光記録媒体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも表面に有機色素を主成分とする第1の記録層、第1の反射層を順次形成した案内溝を有する第1の基板と、少なくとも表面に第2の反射層、有機色素を主成分とする第2の記録層、無機保護層を順次形成した案内溝を有する第2の基板とを、有機透明中間層を介して、基板表面を外側にして貼り合わせ、第1の基板表面側から、第1及び第2の記録層に形成した信号情報の記録再生を行う光記録媒体であって、第2の記録層の光記録波長における光吸収が第1の記録層の光記録波長における光吸収よりも大きいことを特徴とする光記録媒体。
【選択図】 図3
Description
例えばDVD+Rでは、CD−Rと同様に基板上に色素をスピンコーティングして光記録層を設け、その背後に金属反射層を設けた情報記録用基板を、貼り合せ材を介して同形状の基板と貼り合せるという構成が採用されている。この場合、光記録層としては色素系材料が用いられる。CD−RはCDの規格を満足する高反射率(65%)を有することが特徴の一つであるが、上記構成において高反射率を得るためには、光吸収層が記録再生光波長で特定の複素屈折率を満足する必要があり、この要請に対して色素の光吸収特性が適していたからである。これはDVDでも同様である。
第1の記録層には凸凹状の記録マークが形成され、再生レーザー光を反射・干渉する効果によって記録信号を読み取る。2つの記録層から信号を読み取るため、最大8.5GB程度の記憶容量が得られる。また基板1及び基板2の厚みはそれぞれ0.6mmであり、透明中間層の厚みは約50μmである。第1の記録層である半透明膜は、反射率が30%程度となるように形成されており、第2の記録層を再生するために照射されるレーザー光は、第1の記録層で全光量の約30%が反射して減衰したのち、第2の記録層である反射層で反射し、更に第1の記録層で減衰を受けた後、ディスクから出ていく。再生光であるレーザー光をそれぞれ第1又は第2の記録層上に焦点が位置するように絞り、反射光を検出することによってそれぞれの記録層の信号を再生することができる。なお、DVDの場合、記録再生に用いるレーザー光波長は約650nmである。
例えば、特許文献1には、記録時に有機色素からなる2つの記録層に光情報媒体の片面から書き込みできるようにし、再生時にも2つの記録層に光情報媒体の片面から読み込みをする構成の発明が提案されている。しかし、この発明は従来の基板面入射記録構成と記録膜面入射構成の2種の基板を貼り付ける構成に留まっており、前述の第2の記録層の光吸収反射に関する問題を解決できない。また膜厚が薄い半透過層における欠陥の問題に関する記述は無い。
また、特許文献2には、色素記録層を中間層で分離した多層構成の光記録媒体が開示されているが、CD−R、DVD+Rのように反射層と色素膜の多重干渉を利用した高反射構成が採用できない。更に波長多重記録を目的とした構成であり、単一波長での2層大容量化には対応できない。
1) 少なくとも表面に有機色素を主成分とする第1の記録層、第1の反射層を順次形成した案内溝を有する第1の基板と、少なくとも表面に第2の反射層、有機色素を主成分とする第2の記録層、無機保護層を順次形成した案内溝を有する第2の基板とを、有機透明中間層を介して、基板表面を外側にして貼り合わせ、第1の基板表面側から、第1及び第2の記録層に形成した信号情報の記録再生を行う光記録媒体であって、第2の記録層の光記録波長における光吸収が第1の記録層の光記録波長における光吸収よりも大きいことを特徴とする光記録媒体。
2) 第2の記録層の最大吸収波長が第1の記録層の最大吸収波長よりも長波長であることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 第2の記録層の最大吸収波長が、605〜620nmであることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 第2の基板の案内溝深さが、200〜500Åであることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 無機保護層がZnS−Si化合物を主成分とすることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
6) 第2の反射層材料として銀合金を用い、第2の記録層を塗布製膜手段により形成することを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
図3に本発明の光記録媒体の構成例を示す。1は第1の基板、2は第2の基板、3は第1の記録層(有機色素を主成分とする記録層)、4は第2の記録層(有機色素を主成分とする記録層)、5は第1の反射層、6は第2の反射層、7は無機保護層、8は有機透明中間層であり、第1の基板面側から記録再生が行われる。
本発明1では、第2の記録層の光記録波長における光吸収が第1の記録層の光記録波長における光吸収よりも大きくなるように構成する。第1の記録層及び第1の反射層で減衰した記録再生光により第2の記録層に記録マークを形成する場合、2層DVD−ROMの場合に比べて第1の記録層による光吸収分の光減衰が生じる。そのため第2の記録層では記録感度が得にくく、また記録マークが広がり、隣接トラックへのクロストークが増加し易いという問題がある。更に、第2の基板の溝深さを第1の基板よりも浅くする必要があることがマーク広がりの要因となり、クロストークに悪影響を与える。これは溝によるマーク広がり防止効果が得にくくなるためである。
一方、色素の最大吸収波長を変化させることにより(最大吸収波長の異なる色素を選択することにより)、記録層膜厚を変更することなく容易に記録再生波長での光吸収を制御することができる。最大吸収波長の好ましい範囲は、580〜620nmであり、特に第2の記録層では605〜620nmの範囲が好ましい。記録層の最大吸収波長が上記の範囲よりも小さいと記録感度が不足し易く、上記の範囲よりも大きいと反射率が得にくくなるためである。また、第2の記録層の最大吸収波長が第1の記録層の最大吸収波長よりも長波長となるような色素を選択すれば、容易に第2の記録層の光記録波長における光吸収が第1の記録層の光記録波長における光吸収よりも大きい光記録媒体を得ることができる。なお、有機色素を主成分とするとは、記録再生に必要十分な割合の有機色素を含有することを意味するが、通常は必要に応じて添加する劣化防止剤などの添加剤を除き、色素のみで作成する。
第1の記録層に形成される記録マーク9は、第1の基板溝部10に形成される。一方、第2の記録層に形成される記録マーク12は、第2の基板溝間部14に形成される。
図4、図5に示したように、第1の基板と第2の基板に形成する溝形状は同一ではない。4.7GB、0.74μmピッチのDVD+R、DVD−Rの場合、第1の基板溝形状は溝深さ:1000〜2000Å、溝幅(底幅):0.2〜0.3μmが好ましい。図4に示したように、スピンコート製膜の場合には溝内に色素が充填される傾向があるため、色素層と反射層の界面形状はこの充填量と基板溝形状により決定され、界面反射を利用するには前記範囲が適しているからである。
一方、第2の基板溝形状は、溝深さ:200〜500Å、溝幅:0.2〜0.4μmが好ましい。図5に示したように、色素層と反射層の界面形状は基板溝形状で決定され、界面反射を利用するには前記範囲が適しているからである。第1の基板1、第2の基板2共に前記溝形状範囲よりも溝深さが深いと反射率が低下し易い。また、前記溝形状範囲よりも溝深さが浅いか又は溝幅がずれると、形成する記録マークの形状が揃い難くジッターが増加し易い。
第1の記録層は、案内溝を形成した基板上に、塗布溶媒に溶解した色素をスピンコートする一般的方法により容易に製膜できる。しかし、金属膜からなる第2の反射層上に製膜する第2の記録層の場合は、反射層材料との相性が問題となる。特に、反射率が高く低コストであるため広く用いられている純Agの上に製膜する場合には塗布欠陥が生じ易い。そこで本発明では第2の反射層材料として銀合金を用いることが好ましい。特に好ましい材料はNd、Cu、PdなどをAgに微量添加した合金である。
本発明の光記録媒体は、DVD+R、CD−Rと同様に記録層の両界面の多重干渉効果により高反射率を得る構成となっており、記録層としては記録再生波長において屈折率nが大きく、吸収kが比較的小さい光学特性が必要である。好ましいn、kの範囲は、n>2、0.03<k<0.2である。このような光学特性は色素膜の光吸収帯の長波長端部の特性を利用することにより得られる。図1に色素膜の光吸収スペクトルの一例を示す。
第1、第2の記録層として用いることができる色素材料としては、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクアリリウム系色素、アゾ系色素、ホルマザンキレート系色素、Ni、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。中でも、膜の光吸収スペクトルの最大吸収波長が580〜620nmにありDVD用レーザー光波長(約650nm)において所望の光学特性を得易い色素化合物としては、溶剤塗布による製膜性、光学特性の調整のし易さから、テトラアザポルフィラジン色素、シアニン色素、アゾ色素、スクアリリウム色素が挙げられる。
更に、必要に応じて他の第3成分、例えばバインダー、安定剤等を含有させることもできる。
第1及び第2記録層の膜厚は、50〜2000Åの範囲が好ましく、特に50〜1000Åであることが好ましい。50Åよりも薄いと記録ピットを形成するために必要な色素が不足し、変調度などの信号強度が低下する。逆に2000Åよりも厚いと記録ピットを形成し難くなり、記録感度が低下し易く、また、ジッターも増加し易い。
第1の反射層の層厚は50〜1000Å、第2の反射層の膜厚は1000〜3000Åの範囲が好ましい。
更に、第1の記録層の上に反射層を形成する場合は、光透過率が40%以上になるように膜厚を調整する必要がある。
また第1及び第2の反射層の化学的・物理的保護のために保護層を設けても良い。これらの材料としては紫外線硬化樹脂などを用いることができる。
保護層の層厚は100Å〜2000μmの範囲とする。前述したように、特に好ましい材料は、結晶性が低く屈折率が高いZnS−SiO2、ZnS−SiCである。
有機透明中間層は接着層兼用とすることが好ましく、その材料としては既存のアクリル系、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化型又は熱硬化型接着剤等が使用できる。更に、透明シートにより貼り合わせる方法を用いても良い。
本発明の光記録媒体は、下記(イ)〜(ヘ)の工程により製造される。
<第1の基板への製膜工程>
(イ)表面にグルーブ及び/又はピットが形成されている基板上に、有機色素を主成分とする記録層を塗布製膜手段により設ける工程。
(ロ)記録層上に反射層を真空製膜手段により設ける工程。
<第2の基板への製膜工程>
(ハ)表面にグルーブ及び/又はピットが形成されている基板上に、反射層を真空製膜手段により設ける工程。
(ニ)反射層上に有機色素を主成分とする記録層を塗布製膜手段により設ける工程。
(ホ)記録層上に無機保護層を真空製膜手段により設ける工程。
<貼り合わせ工程>
(ヘ)製膜済みの第1の基板と第2の基板を接着剤からなる有機透明中間層を介して貼り合わせる工程。
反射層形成工程では、前述した光反射性物質を、例えば蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより光反射層を形成する。
無機保護層形成工程では、前述した無機保護層材料を、例えば蒸着、スパッタリング又はイオンプレーティングすることにより保護層を形成する。
貼り合わせ工程では、製膜済みの第1又は第2の基板表面に接着剤を滴下し、次いで、製膜済みの第2又は第1基板を上からかぶせると共に接着剤を均一に広げたのち、紫外線照射などにより硬化させる。紫外線照射の場合は光透過性が高い第1の基板側から行うことが好ましい。
上記製造工程において、第2の反射層材料として銀合金を用い、その上に第2の記録層材料を塗布すれば、塗布欠陥の少ない記録層を製膜することができる。
本発明4によれば、更に、高反射率の光記録媒体を提供できる。
本発明5によれば、更に、無機保護層の結晶性が小さく良好なバリア効果を発揮すると共に、色素膜との密着性の良い光記録媒体を提供できる。
本発明6によれば、塗布製膜時の欠陥が少ない製造方法を提供できる。
深さ約1400Å、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する、直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板(第1の基板)上に、下記〔化1〕No.A、Bのスクアリリウム色素と下記〔化2〕のホルマザンキレート色素を、A:B:〔化2〕=1:6:3の割合で混合して、2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールに溶解した塗布液をスピンコートして厚さ約500Åの第1の記録層を設けた。
この記録層の光吸収スペクトルは図6のようであり、最大吸収波長は603nm、最大吸収波長での吸光度(Abs)は0.65であった。また658nmでの光吸収はAbs値0.13であった。
次に第1の記録層の上に、Arをスパッタガスとして、スパッタ法によりAgNdCu合金(原子比98.4:0.7:0.9)を約150Åの厚さに設けて第1の反射層を形成した。
一方、深さ約280Å、溝幅約0.25μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝凸凹パターンを有する、直径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネート基板(第2の基板)上に、Arをスパッタガスとして、スパッタ法によりAgNdCu合金(原子比98.4:0.7:0.9)を約1200Åの厚さに設けて第2の反射層を形成した。
次に第2の反射層上に、下記〔化1〕No.Cのスクアリリウム色素化合物をスピンコート製膜して厚さ約500Åの第2の記録層を形成し、その上に、Arをスパッタガスとして、スパッタ法によりZnS−SiO2(モル比80:20)を約1000Åの厚さに設けて無機保護層を形成した。
第2の記録層の光吸収スペクトルは図7(C)のようであり、最大吸収波長は620nm、最大吸収波長での吸光度(Abs)は1.52であった。また658nmでの光吸収はAbs値0.20であった。
上記製膜済みの第1の基板と第2の基板を紫外線硬化型接着剤(日本化薬製 KARAYAD DVD003)で貼り合わせ、図3に示す層構成光記録媒体を得た。
第2の記録層の色素を上記〔化1〕No.Dのスクアリリウム色素に変更した点以外は実施例1と同様にして光記録媒体を作成した。この第2の記録層の光吸収スペクトルは図7(D)のようであり、最大吸収波長は607nm、最大吸収波長での吸光度(Abs)は1.12であった。また658nmでの光吸収はAbs値0.16であった。
この光記録媒体について実施例1と同様な評価をしたところ、実施例1と同様に良好な結果を得た。(表2参照)
第2の記録層の色素を上記〔化1〕No.Eのスクアリリウム色素に変更した点以外は実施例1と同様にして光記録媒体を作成した。この第2の記録層の光吸収スペクトルは図7(E)のようであり、最大吸収波長は615nm、最大吸収波長での吸光度(Abs)は1.51であった。また658nmでの光吸収はAbs値0.17であった。
この光記録媒体について実施例1と同様な評価をしたところ、実施例1と同様に良好な結果を得た。(表3参照)
第2の基板の溝深さを500Åとした点以外は実施例2と同様にして光記録媒体を作成し、実施例2同様にして第2の記録層の反射率を評価したところ18%であった。
第2の記録層の色素を第1の記録層と同じ色素に変えた点以外は実施例2と同様にして光記録媒体を作成し、実施例2と同様にして評価をしたところ、第2の記録層のジッターが11%となり、規格値を満足できなかった。
2 第2の基板
3 第1の記録層
4 第2の記録層
5 第1の反射層
6 第2の反射層
7 無機保護層
8 有機透明中間層
8′ 透明中間層
9 第1の記録層の記録マーク
10 第1の基板溝部
11 第1の基板溝間部
12 第2の記録層の記録マーク
13 第2の基板溝部
14 第2の基板溝間部
Claims (6)
- 少なくとも表面に有機色素を主成分とする第1の記録層、第1の反射層を順次形成した案内溝を有する第1の基板と、少なくとも表面に第2の反射層、有機色素を主成分とする第2の記録層、無機保護層を順次形成した案内溝を有する第2の基板とを、有機透明中間層を介して、基板表面を外側にして貼り合わせ、第1の基板表面側から、第1及び第2の記録層に形成した信号情報の記録再生を行う光記録媒体であって、第2の記録層の光記録波長における光吸収が第1の記録層の光記録波長における光吸収よりも大きいことを特徴とする光記録媒体。
- 第2の記録層の最大吸収波長が第1の記録層の最大吸収波長よりも長波長であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 第2の記録層の最大吸収波長が、605〜620nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 第2の基板の案内溝深さが、200〜500Åであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体。
- 無機保護層がZnS−Si化合物を主成分とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
- 第2の反射層材料として銀合金を用い、第2の記録層を塗布製膜手段により形成することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
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