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JP2005181954A - ホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック情報メディア - Google Patents

ホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック情報メディア Download PDF

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JP2005181954A
JP2005181954A JP2004058641A JP2004058641A JP2005181954A JP 2005181954 A JP2005181954 A JP 2005181954A JP 2004058641 A JP2004058641 A JP 2004058641A JP 2004058641 A JP2004058641 A JP 2004058641A JP 2005181954 A JP2005181954 A JP 2005181954A
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compound
holographic recording
recording medium
holographic
group
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Toshihisa Takeyama
敏久 竹山
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Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Original Assignee
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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  • Holo Graphy (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Optical Recording Or Reproduction (AREA)

Abstract

【課題】 感度が高く保存性に優れたホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック記録されたホログラフィック情報メディアを提供する。
【解決手段】 第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持されたホログラフィック記録メディアにおいて、該ホログラフィック記録層は、組成物として、バインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び該エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を少なくとも含有し、該エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が該組成物全体に対して1〜50質量%の範囲であり、且つ該光重合開始剤は少なくとも下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするホログラフィック記録メディア。
【化1】
Figure 2005181954

【選択図】 なし

Description

本発明は、大容量化、高速転送が可能なホログラフィック記録メディアに関し、さらにホログラフィック記録方法および情報が記録されたホログラフィック情報メディアに関する。
近年、インターネットの普及やブロードバンド化による高速大容量のデータのやり取りが増加しており、また各国政府の推進による電子政府の拡張により、各所属機関に保管されるデータの容量が急速に拡大してきている。さらに、テレビジョン放送におけるハイビジョンの普及や地上波デジタルの普及などにより今後高記憶容量の記録メディアが必要となると予想され、その中で、Blu−rayディスクやHD DVDディスク等の次世代の光記録メディアが今後普及していくと思われる。しかしながら、次々世代の記録メディアについては、種々の方式が提案されているが今だ本命不在な状態に有る。
この次々世代の記録メディアの中で、ページ方式のメモリシステム、特にホログラフィック記録が、従来のメモリ装置に代わるものとして提案され、高記憶容量でかつランダムアクセスが可能な高速転送可能な方式であることから近年注目を集めている。このホログラフィック記録については幾つかの総説(例えば、非特許文献1参照。)等に詳細が説明されている。
このホログラフィック記録における記録方式としては、例えばホログラフィック記録層の両側に透明な基材が配置されたホログラフィック記録メディアを用いた記録方法(例えば、特許文献1参照。)や、ホログラフィック記録層の片面側に配置された反射面とを備えたホログラフィック記録メディアを用いた記録方法(例えば、特許文献2参照。)などが提案されている。
このようなホログラフィック記録メディアは、ホログラフィック露光することにより該メディア内のホログラフィック記録層内の屈折率を変化させることにより情報を記録し、この記録されたメディア内の屈折率の変化を読み取ることにより情報を再生させることを基本原理にしており、このホログラフィック記録層としては無機材料を利用した材料(例えば、特許文献3参照。)、光で構造異性化する化合物を利用した材料(例えば、特許文献4参照。)、あるいはフォトポリマーの拡散重合を利用した材料(例えば、特許文献5参照。)など種々提案されている。これらの中で、特許文献5で記載されているフォトポリマーを使用した材料においては記録層形成組成物を作製する際に揮発性溶剤を使用をするため、記録層の厚さは最大150μm程度に制限されている。さらに、重合によって引き起こされる4〜10%の体積収縮は、記録された情報を再生する際の信頼性に悪影響を与えていた。
上述した欠点を改善するために、無溶剤で比較的体制収縮の少ないカチオン重合を利用したホログラフィック記録層形成組成物(例えば、特許文献6参照。)などが提案されている。しかしながら、この記録層形成組成物においては光カチオン重合を起こすモノマー以外が液状物質であるため、ホログラフィック露光により記録層内のモノマーが光重合して形成された島状部分が移動してしまう恐れが有ったり、装置内の環境温度の変化により液状物質の体積が膨張するなどの欠点を有していた。
このような欠点を改善するためにホログラフィック露光での記録にはラジカル重合を用い、この露光前のラジカル重合可能なモノマーを保持する為にバインダーをメディア形成後に形成させる組成物(例えば、特許文献7参照。)などが提案されており、このような組成物を用いることによってホログラフィック記録層の膜厚を厚くでき、かつ体積収縮を少なくすることができるが今だ十分であるとは言えない。
一方、ホログラフィック記録メディアにホログラフィック記録を行う場合、低エネルギーで露光できることが記録速度を向上させる為には必須となる。この記録速度、言い換えれば記録感度を向上させるためには、使用される拡散重合させる為のモノマー、バインダー形成化合物、増感色素およびラジカル開始剤の選択および組み合わせが重要となる。一方開始剤としてイミダゾールを用いたホログラム記録用感光性組成物(例えば、特許文献8、9参照。)が提案されており、このような系では感度や諸物性に対しては改善することはできるが、バインダーとしてポリマーを使用している為ホログラム記録用感光性組成物を作製する際に溶剤を必要とし、記録層の厚さが十分稼げない等の欠点を有していた。
Hans J. Coufal等著「Holographic Data Storage (Springer Series in Optical Sciences, Vol 76)」(Springer−Verlag GmbH & Co. KG、2000年08月) 米国特許5,719,691号明細書 特開2002−123949号公報 英国特許9,929,953号明細書 特開平10−340479号公報 米国特許4,942,112号明細書 米国特許5,759,721号明細書 米国特許6,103,454号明細書 米国特許5,027,436号明細書 国際公開第03/081344号パンフレット
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、感度が高く保存性に優れたホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック記録されたホログラフィック情報メディアを提供することに有る。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持されたホログラフィック記録メディアにおいて、該ホログラフィック記録層は、組成物として、バインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び該エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を少なくとも含有し、該エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が該組成物全体に対して1〜50質量%の範囲であり、且つ該光重合開始剤は少なくとも下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするホログラフィック記録メディア。
Figure 2005181954
(式中R1、R2およびR3はそれぞれ無置換または置換のアリール基を表し、それぞれ異なっていてもよく2個以上同じであってもよい。)
(請求項2)
前記ホログラフィック記録層が、エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を分光増感することができる増感色素をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項3)
前記ホログラフィック記録層が、さらに連鎖移動剤を含有することを特徴とする請求項2記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項4)
前記ホログラフィック記録層に含有されるバインダー形成化合物が、(1)イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物、(2)イソシアネート基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、(3)カルボジイミド基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物、(4)不飽和エステル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、(5)不飽和エステル基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、(6)ビニル基を有する化合物とシリコンヒドリド基を有する化合物、(7)オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、及び(8)オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン、単環アセタール、双環アセタール、ラクトン、環状オルトエステル、環状カーボナートから選ばれた基を分子中に1個以上有する化合物と熱重合開始剤の組み合わせ、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項5)
前記ホログラフィック記録層に含有されるバインダー形成化合物が、(1)イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物、(2)オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、及び(3)オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン、単環アセタール、双環アセタール、ラクトン、環状オルトエステル、環状カーボナートから選ばれた基を分子中に1個以上有する化合物と熱酸発生剤の組み合わせ、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項6)
前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物が、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項7)
前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物が、屈折率が少なくとも1.55以上の化合物をエチレン性不飽和結合を有する化合物全体に対して50〜100質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項8)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みをD1、第二基材の厚みをD2とし、ホログラフィック記録層の厚みをDhとした際に、0.15≦Dh/(D1+D2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項9)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、ホログラフィック記録層の厚みDhが200μm以上、2.0mm以下であることを特徴とする請求項8記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項10)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みD1と第二基材の厚みD2との関係がD1≦D2であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項11)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材が透明であり、ホログラフィック記録層が積層された面とは反対の面に反射防止処理がなされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項12)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の材質がガラスであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項13)
前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第二基材のホログラフィック記録層が積層される面あるいはその反対面に反射率が70%以上の反射層が積層されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項14)
前記ホログラフィック記録メディアの形状がディスク状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項15)
前記ホログラフィック記録メディアの形状がカード状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
(請求項16)
請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録するホログラフィック記録方法において、該ホログラフィック記録メディアにホログラフィック露光する以前にバインダー形成化合物同士を反応させバインダーを形成させた後に、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物をホログラフィック記録層内で拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することを特徴とするホログラフィック記録方法。
(請求項17)
前記ホログラフィック記録方法において、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射により安定化させることを特徴とする請求項16記載のホログラフィック記録方法。
(請求項18)
請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録するホログラフィック記録方法において、該記録メディアに記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録し、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射を行うことにより記録された情報を安定化させることを特徴とするホログラフィック記録方法。
(請求項19)
第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック情報記録層が挟持され、該ホログラフィック情報記録層が、低屈折率のバインダーを主成分とする領域と、屈折率が1.55以上であるエチレン性不飽和結合を有する化合物を少なくともモノマー単位として含むラジカル重合させて形成したラジカル重合体を主成分とする領域とを有することを特徴とするホログラフィック情報メディア。
本発明により、感度が高く保存性に優れたホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック記録されたホログラフィック情報メディアを得た。
以下、本発明のホログラフィック記録メディア、ホログラフィック記録方法およびホログラフィック情報メディアについて詳述する。
本発明のホログラフィック記録メディアは、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持されたホログラフィック記録メディアにおいて、該ホログラフィック記録層は、バインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び該エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を少なくとも含有し、該エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が組成物全体に対して1〜50質量%の範囲であり、且つ該光重合開始剤は少なくとも上記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴としている。なお、ここで言うバインダー形成化合物とは、記録用組成物を作製時にはバインダーとしての重合体になっていない前駆体を指し、このようなバインダー形成化合物を用いることにより後述で詳述するホログラフィック露光前後の記録メディアの収縮を防止することができるとともに、ホログラフィック記録メディアを作製する際の記録層の厚みを厚くすることができる。
本発明の必須成分として添加される前記一般式(1)で表される化合物は0〜4個の置換基を有していても良く、これらの置換基としてはハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルスルホンアミド基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールスルホンアミド基、アニリノ基、アシルアミノ基、アルキルウレイド基、アリールウレイド基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、カルボキシ基、アリール基またはヘテロ環基を挙げることができる。
このような一般式(1)で表される具体的なものとしては、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)ビイミダゾ−ル、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−カルボキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾ−ル、2,2′−ビス(p−シアノフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−フルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(m−フルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−フルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ヘキシルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ヘキシルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(3,4−メチレンジオキシフェニル−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス[m−(ベータフェノキシ−エトキシフェニル)]ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,6−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−メトキシフェニル)−4,4′−ビス(o−メトキシフェニル)−5,5′−ジフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−フェニルスルフォニルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−スルファモイルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(4−ビフェニイイル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(1−ナフチル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(1−ナフチル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(9−フェナントリイル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ジフェニル−4,4′,5,5′−テトラキス(4−ビフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ジフェニル−4,4′,5,5′−テトラキス(2,4−キシリイル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(3−ピリジル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(3−チエニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(p−トリル)−4,4′−ビス(o−トリル)−5,5′−テトラフェニルビイミダゾ−ル、2,2′−ビス(2,4−キシリル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′,4,4′,5,5′−ヘキサキス(p−ベンジルチオフェニル)ビイミダゾール、2,2′,4,4′,5,5′−ヘキサ(1−ナフチル)ビイミダゾール、2,2′,4,4′,5,5′−ヘキサフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(2−ニトロ−5−メトキシフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロ−5−スルフォフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等を挙げることができ、さらに「Photoinitiators or Free−Radical−Initiated Photoimaging Systems」,Chem.Rev.,93,p.435〜448 (1993)、S.P.Pappas編「Radiation Curing:Scienceand Technology,Plenum Press, New York,(1992)」のp.407〜412などに記載された化合物も適時選択して使用することができる。
本発明のエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合させる為の光重合開始剤は、上述で詳述した一般式(1)で表される化合物の他に、従来から公知の、ベンゾイン及びその誘導体、ベンゾフェノンなどのカルボニル化合物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ジベンゾチアゾリルスルフィドなどの硫黄化合物、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物、2−トリブロモメタンスルホニル−ピリジンなどのハロゲン化物、四級アンモニウム塩或いは置換または無置換のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩などのオニウム化合物、鉄アレーン錯体やチタノセン錯体などの金属π錯体などの光重合開始剤を併用しても良く、さらに後述で述べるホログラフィック露光する際に用いる露光光源波長に対して、該光重合開始剤のホログラフィック露光に使用されるレーザー光源の波長に対して吸収を持たない、或いは持っていたとしても極僅かで有る場合には、光重合開始剤の分光波長を波長増感させるための増感色素を併用するのがより好ましい。
尚、ここで用いる光重合開始剤の分光波長を波長増感させるための増感色素としては当分野で使用されている各種色素を挙げることができ、例えばミヒラーケトン等のカルボニル誘導体、クマリン誘導体、メチン誘導体、ポリメチン誘導体、トリアリールメタン誘導体、インドリン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、オキサジン誘導体、アクリジン誘導体、シアニン誘導体、カルボシアニン誘導体、メロシアニン誘導体、ヘミシアニン誘導体、ローダシアニン誘導体、アザメチン誘導体、スチリル誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、ポルフィラジン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ピロメテン誘導体および2,5−チオフェジル(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)等の光学増白剤等の各種色素を単独或いは必要に応じて二種以上併用して用いても良い。
このような光重合開始剤または増感色素の具体的なものとしては、例えば米国特許第5,027,436号、同5,096,790号、同5,147,758号、同5,204,467号、同5,256,520号、同6,011,180号、欧州特許第255,486号、同256,981号、同277,915号、同318,893号、同401,165号、同565,488号、同1,349,006号、特開平2−236553号、同5−46061号、同5−216227号、同5−247110号、同5−257279号、同6−175554号、同6−175562号、同6−175563号、同6−175566号、同6−186899号、同6−195015号、同6−202540号、同6−202541号、同6−202543号、同6−202544号、同6−202548号、同6−324615号、同6−329654号、同7−13473号、同7−28379号、同7−84502号、同7−84503号、同7−181876号、同9−106069号、同9−309907号、特開2002−60429号、同2002−62786号、同2002−244535号、同2002−296764号等明細書に記載されているものを適時選択して用いることができる。
上述したエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合させる為の光重合開始剤としては、光重合開始剤の分子量やエチレン性不飽和結合を有する化合物中のエチレン性不飽和結合の占める割合により一概に決めることはできないが、通常エチレン性不飽和結合を有する化合物に対して通常0.01質量部〜25質量部の範囲で用いるのが好ましい。また、光重合開始剤を分光増感することができる増感色素は色素自身の分子量やモル吸光係数により一概に規定することはできないが、通常光重合開始剤に対して通常0.1〜25質量部の範囲で用いるのが好ましい。
さらに本発明においては、一般式(1)で表される化合物から生成したラジカルをより効率的にエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合に用いる為に、連鎖移動剤を添加するのが好ましく、このような連鎖移動剤としてはたとえばN−フェニルグリシンのようなN−アリールグリシン類、ミヒラーケトンのようなジュロリジン類、ロイコクリスタルバイオレットおよびその他のアミノトリアリールメタンロイコ染料類、2,6−ジイソプロピル−N,N−ジメチルアニリンなどのN,N−ジアルキルアミノ芳香族(アルキル基は独立してC1〜C6アルキル)類、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルホウ素塩などのホウ素塩類、4−アセトアミドチオフェノール、メルカプトコハク酸、ドデカンチオール、ベータ−メルカプトエタノール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾールおよび2−メルカプトベンゾチアゾールなどの有機チオール類、1,1−ジメチル−3,5−ジケトシクロヘキサンなどが挙げられ、このような連鎖移動剤の添加量としては、通常光重合開始剤に対して10〜200質量部の範囲で用いるのが好ましい。
本発明で用いられる分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物、例えばスチレン誘導体、アリル基を有する化合物或いは不飽和オレフィンなど本発明の目的を阻害しない範囲で特に制限なく用いることができるが、記録メディアにした際の基材との密着やバインダー形成化合物との相溶性などを考慮する場合には、分子内にアシルオキシ基或いはアシルアミド基を有する化合物が好ましく、さらにラジカル重合する際の立体障害の点から(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。尚、本発明で言う(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。
本発明においては、前述したバインダー形成化合物から形成されるバインダーに対して、拡散重合で得られるエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合体との屈折率差をより顕著に持たせるためには、該エチレン性不飽和結合を有する化合物の屈折率としてバインダー形成化合物よりも高いものを用いるか、或いは低いものを用いるのが好ましい。特にエチレン性不飽和結合を有する化合物として屈折率が1.55以上の化合物を用いることが高屈折率のエチレン性不飽和結合を有する化合物の重合体が得られることから好ましく、その際はバインダー形成化合物としては屈折率が1.50前後の化合物を用いるのが好ましい。
このような、屈折率が1.55以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、一般に分子内に窒素、酸素、硫黄およびリンなどのヘテロ原子、塩素、臭素およびヨウ素などのハロゲン原子、あるいは芳香環を二個以上有する化合物が挙げられ、このような化合物の具体的なものとしては、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコールメタアクリレート、ヒドロキシエチル化oーフェニルフェノールアクリレート、ヒドロキシエチル化βーナフトールアクリレート、トリブルモフェニルアクリレート、トリブルモフェニルメタアクリレート、トリヨードフェニルメタクリレート、ポリエチレンオキサイド変性テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレンオキサイド変性テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、特開平6−301322号、特開2000−344716号、同2003−29604号等に記載されたフルオレン骨格を有する化合物などを挙げることができる。
また、バインダー形成化合物から形成されたバインダーとエチレン性不飽和結合を有する化合物の拡散重合物との間で屈折率差を設けるという目的を阻害しない範囲で、ホログラフィック記録層組成物を作製する際の相溶性や粘度調整、さらにはホログラフィック露光時の拡散重合を制御する等の目的で、屈折率が1.55未満の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をさらに添加してもよく、このような(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物として置換または無置換のフェノール、ノニルフェノール及び2−エチルヘキサノールの(メタ)アクリレート、並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物としては、置換または無置換のビスフェノールA、ビスフェノールF、フルオレン及びイソシアヌル酸のジ(メタ)アクリレート並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を3個有する化合物としては、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン及びイソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート、並びにこれらのアルコールのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等があり、(メタ)アクリロイル基を4個以上有する化合物としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、ウレタン結合を主鎖とするウレタンアクリレート、エステル結合を主鎖とするポリエステルアクリレート等の従来公知の(メタ)アクリロイル基含有系モノマー・オリゴマーなども本発明においては適時選択して用いることができる。
尚、前述した分子内にエチレン性不飽和結合を有する化合物は、一種単独で用いても良いし、二種以上を併用しても良く、通常ホログラフィック記録用組成物中1.0質量%以上、50質量%以下であり、さらには4.0質量%以上、40質量%以下にするのが好ましい。
本発明のバインダー形成化合物は、ホログラフィック記録用組成物を調製した際にはバインダー形成化合物同士で重合あるいは架橋せず、後述するホログラフィック記録メディアを作製する際に、重合あるいは架橋させバインダーとすることを特徴としている。このようにバインダー形成化合物としては、例えば(1)イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物、(2)イソシアネート基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、(3)カルボジイミド基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物、(4)不飽和エステル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、(5)不飽和エステル基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、(6)ビニル基を有する化合物とシリコンヒドリド基を有する化合物、(7)オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、並びに、(8)オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン、単環アセタール、双環アセタール、ラクトン、環状オルトエステル、環状カーボナートから選ばれた基を分子中に1個以上有する化合物と熱酸発生剤の組み合わせ、の上記8種から選ばれる少なくとも1種を適時選択して用いることができ、さらには前記選択した中で温和な条件でバインダーへと重合あるいは架橋させることができる(1)イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物、(2)オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物及び(3)オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン、単環アセタール、双環アセタール、ラクトン、環状オルトエステル、環状カーボナートから選ばれた基を分子中に1個以上有する化合物と熱酸発生剤、から選ばれる少なくとも1種の組み合わせがより好ましい。
本発明に用いられるイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物を架橋させる場合に用いられるイソシアネート基を有する化合物としては、とくに制限は無く用いることができるが上述で詳述した光重合成分であるエチレン性不飽和結合を有する化合物をホログラフィック記録メディア作製後に十分に保持する為には、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物がより好ましく、このようなイソシアネート基を有する化合物の具体的なものとしては、例えば1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチル−オクタン、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、ベンゼン−1,3,5−トリイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4′−トリイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、ビス(イソシアナートトリル)フェニルメタン、ジメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、2,2′−ジメチルぺンタンジイソシアネート、2,2′,4−トリメチルぺンタンジイソシアネート、デカンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω′−ジイソシアネート−1,2−ジメチルシクロヘキサンジイソシアネート、ω,ω−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、イソホロンジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,5−ジメチルナフタレン、ω,ω′−ジイソシアネート−n−プロピルビフェニル、1,3−フェニレンジイソシアネート、1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、1,3−ジメチルベンゼン−2,6−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、1,1′−ジナフチル−2,2′−ジイソシアネート、ビフェニル−2,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジエトキシジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネートなどが挙げられ、さらに上記の各イソシアネート化合物の2量体又は3量体のアダクト体(例えばヘキサメチレンジイソシアネートの2モルのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネート3モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート2モルのアダクト、2,4−トリレンジイソシアネート3モルのアダクトなど)、これらのイソシアネートの中から選ばれる互いに異なる2種以上のイソシアネート同志のアダクト体、及びこれらのイソシアネートと2価又は3価のポリアルコール(例えばジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパンなど)とのアダクト体(例えばトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンのアダクトなど)などが挙げられる。尚、これらのイソシアネート化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、前述のイソシアネート化合物において、後述で詳述するホログラフィック記録用組成物で構成した記録層を積層したホログラフィック記録メディアに情報を全て記録し、この記録し終えた状態で用いられるホログラフィック情報メディアは、CDやDV同様に蛍光灯下、窓辺あるいは放置される環境温度が種々多様となる可能性がある。したがって、種々の条件で記録層の着色を抑えるものが好ましく、このように着色を抑える為には、上述の化合物の中で脂肪族系のイソシアネート化合物がより好ましい。
本発明では、上述の必須成分であるイソシアネート基を有する化合物の自己架橋でバインダーを形成させても良いが、バインダー形成を温和な条件下で行わせる為には、上述で詳述したイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応する官能基を分子内に有する化合物との架橋反応によりバインダー形成するのが好ましく、このようなイソシアネート化合物と反応しうる化合物としては、例えば分子内に水酸基を有する化合物、一級または二級アミノ基を有する化合物さらにはエナミン構造を有する化合物などを挙げることができる。しかしながら、後述で詳述するホログラフィック記録用組成物で構成した記録層を積層したホログラフィック記録メディアに情報を全て記録し、この記録し終えた状態で用いられるホログラフィック情報メディアの着色を抑える為には、上述の化合物の中でイソシアネート化合物と反応しうる化合物として水酸基を有する化合物が好ましく、さらには脂肪族系のアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物がより好ましい。
このように分子内にアルコール性水酸基を2個以上有する化合物としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスルトール、ソルビトール等が挙げられ、さらに前記分子内にアルコール性水酸基を2個以上有する化合物を、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど2価のアルコールで変性したアルコールなどが挙げられる。尚、これらのアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、脂肪族系のアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物の分子量としては、化合物自身の揮発性、エチレン性不飽和結合を有する化合物、カチオン重合可能な官能基を有する化合物あるいは光重合開始剤との相溶性や溶解性を考慮した場合、通常分子量が100以上2000以下にするのが好ましく、また、脂肪族系のアルコール性水酸基を分子内に2個以上有する化合物の添加量としては、上述の必須成分であるイソシアネート化合物の種類や添加量により一概に規定することはできないが、イソシアネート基を有する化合物が有するホログラフィック記録用組成物中のイソシアネート基のモル数をN[mol]、前記アルコール性水酸基を化合物のホログラフィック記録用組成物中の水酸基のモル数をM[mol]とした際に、通常0.5≦N/M≦2.0であり、より好ましくは0.7≦N/M≦1.5の範囲にするのが相溶性や架橋反応のコントロールの面からより好ましい。
また、オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物を重合させてバインダーを形成する場合に用いられる分子内にオキシラン基を有する化合物やメルカプタン基を有する化合物としては、架橋可能な公知の化合物を特に制限なく使用することができがるが、後で詳述する本発明のホログラフィック記録メディアを作製する際に、常温で液状或いは100℃以下の温度で液状の記録用組成物を二枚の基材間に所定の厚みで挟持させることにより作製されるため、常温で液状或いは融点が100℃の化合物が好ましく、さらにはオキシラン基あるいはメルカプタン基を2個以上有する化合物がより好ましい。
上述したオキシラン基を有する具体的化合物としては、脂肪族ポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、3級カルボン酸モノグリシジルエーテル、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物、水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物、臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物およびビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの重縮合物などの末端がグリシジル基で変性された樹脂、グリシジル変性フェノールノボラック樹脂、グリシジル変性o−クレゾールノボラック樹脂などが挙げられ、更には「11290の化学商品」化学工業日報社,778〜787頁に記載の化合物なども好適に用いることができ、このような分子内にオキシラン基を有する化合物は必要に応じて2種以上併用して用いてもよい。
また、メルカプタン基を有する化合物としては、例えば、チオグリコール酸、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸ソーダ、チオグリコール酸メチル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸メトキシブチル、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸メチル、メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、メルカプトプロピオン酸トリデシル、ブタンジオールビスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールやトリメチロールプロパン等の多価アルコールとメルカプトプロピオン酸とのエステル等が挙げられる。これらチオール含有化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物を重合させてバインダーを形成する場合には、より温和な条件で重合させる為にブレンステッド塩基やルイス塩基を含有させるのが好ましく、このような塩基としては例えば、ピリジン、ピペリジン、ジメチルアニリン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)ベンゼン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどのアミン化合物を挙げることができる。
さらに、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン、単環アセタール、双環アセタール、ラクトン、環状オルトエステル、環状カーボナートから選ばれた基を分子中に1個以上有する化合物を熱酸発生剤により架橋させる場合に用いられる化合物としては、前述の官能基を有するものであれば特に制限なく用いることができるが、後で詳述する本発明のホログラフィック記録メディアを作製する際に、常温で液状或いは100℃以下の温度で液状の記録用組成物を二枚の基材間に所定の厚みで挟持させることにより作製されるため、常温で液状或いは融点が100℃の化合物が好まく、さらに、温和な条件でバインダーへと重合あるいは架橋させることができるオキシランあるいはオキセタン基を分子中に有する化合物がより好ましく、オキシラン基を有する化合物としては、上述のオキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物を重合させてバインダーを形成する場合に用いられる化合物を適時選択して用いることができる。
また、上述のオキシランあるいはオキセタン基を分子中有する化合物において、さらに重合した後に形成されるバインダーを高分子量にしたい場合は、分子内に少なくとも一つのオキセタン基を有する化合物を含むことが好ましく、このようなオキセタン基を分子内に有する化合物の具体的なものとしては、例えば特開平5−170763号、同5−371224号、同6−16804号、同7−17958号、同7−173279号、同8−245783号、同8−301859号、同10−237056号、同10−330485号、同11−106380号、同11−130766号、同11−228558号、同11−246510号、同11−246540号、同11−246541号、同11−322735号、特開2000−1482号、同2000−26546号、同2000−191652号、同2000−302774号、同2000−336133号、同2001−31664号、同2001−31665号、同2001−31666号、同2001−163882号、同2001−226365号、同2001−278874号、同2001−278875号、同2001−302651号、同2001−342194号、同2002−20376号、同2002−80581号、同2002−193965号、同2002−241489号、同2002−275171号、同2002−275172号、2002−322268号、同2003−2881号、同2003−12662号、同2003−81958号、特表平11−500422号等明細書に記載されている化合物を挙げることができ、これらの化合物は単独もしくは二種以上併用して使用することができる。
上述のオキシランあるいはオキセタン基を分子中に有する化合物を架橋することのできる熱重合開始剤としては、本発明の他の必須成分に悪影響を与えないものであれば、従来から公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩及びシラノール・アルミニウム錯体等を特に制限なく用いることができ、これらの熱重合開始剤の中で、他の必須成分が150℃以上に高温加熱しても問題がなければ、特開昭58−37003号、同63−223002号等に記載されているベンジルスルホニウム塩、特開昭56−152833号等に記載されているトリアルキルスルホニウム塩等を適宜選択して用いることができる。
また、光重合開始剤が高温加熱で活性が消失してしまう場合や、高温加熱によりラジカルを発生してしまう場合には、熱重合開始剤としては低温で重合を開始できるような化合物であることが好ましく、このような化合物の具体的なものとしては、特開昭63−8365号、同63−8366号、特開平1−83060号、同1−290658号、同2−1470号、同2−196812号、同2−232253号、同3−17101号、同3−47164号、同3−48654号、同3−145459号、同3−200761号、同3−237107号、同4−1177号、同4−210673号、同8−188569号、同8−188570号、同11−29609号、同11−255739号、特開2001−55374号等明細書に記載されている化合物を挙げることができ、このような熱重合開始剤は、単独もしくは必要に応じて二種以上併用して使用することができる。
尚、前記で詳述した熱重合開始剤は、開始自体が熱的に開裂して発生するカルボニウムカチオンをオキシランあるいはオキセタン基を分子中有する化合物の重合開始に利用することもできるし、ホログラフィック記録用組成物中に水酸基などのプロトン供与性の官能基を有する化合物が存在する時には、開裂により生成したカルボニウムカチオンが、プロトン供与性の官能基を有する化合物と反応して生成するプロトンを、オキシランあるいはオキセタン基を分子中有する化合物の重合開始剤として使用することもできる。
また、上述した熱重合開始剤の添加量としては、後述するカチオン重合可能なオキシランあるいはオキセタン基を分子中有する化合物100質量部に対して、通常0.01質量部以上、10質量部以下の範囲であり、好ましくは0.1質量部以上、5質量部以下の範囲である。
次に、記録メディアを構成する第一の基材及び第二の基材について説明する。尚、ここで言う第一の基材とは記録メディアに対して、情報を記録するためのホログラフィック露光する際に情報光及び参照光が入射する側の基材或いは再生するための再生光を照射する側の基材のことであり、第二の基材とは前記第一の基材とはホログラフィック記録層を挟んで反対の基材のことを指す。
本発明の記録メディアに用いられる第一の基材及び第二の基材としては、透明であり使用環境温度で伸縮や曲がりを発生しないもの、さらには上述した記録用組成物に対して不活性なものであれば特に制限なく用いることができ、このような基材としては、石英ガラス、ソーダガラス、カリガラス、鉛クリスタルガラス、ほう珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、チタンクリスタルガラス或いは結晶化ガラスなどのガラス、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン及びポリエーテルスルホン、ポリイミド−アミドやポリエーテルイミドなどのポリイミド、ポリアミド、環状オレフィン系開環重合物などのポリオレフィンなどの各種樹脂を挙げることができる。
前述の基材の中で、ホログラフィック露光する際の環境温度や湿度に対する厚み変動や気体透過性、ホログラフィック露光時に使用する光源波長の光の透過率の観点から、情報光及び参照光が入射する側である第一の基材の材質としてはガラスにするのがより好ましい。また、第二の基材は第一の基材同様、材質としてはガラスが好ましいが、ホログラフィック記録された情報をCCDで読み出す際に焦点補正機構を設けた装置であれば、伸縮率や厚み変動が押さえられたガラスのような基材ではなく樹脂からなる基材であっても良い。
また、情報光及び参照光が入射する側の第一の基材の入射する光の透過率は70%以上が好ましく、さらには80%以上がホログラフィック記録層に到達する光のロスが少ないことからより好ましい。このように透過率をなるべく上げるためには、ホログラフィック記録層が積層された面とは反対の第一の基材面に反射防止処理を施したものが好ましく、このような反射防止処理としては第一の基材よりも屈折率が低ければ特に制限はないが、例えばAlF3、MgF2、AlF3・MgF2、CaF2等の無機金属フッ化物、フッ化ビニリデン、テフロン(R)などのフッ素原子を含有するホモポリマー、コポリマー、グラフト重合体、ブロック重合体さらにはフッ素原子を含有する官能基で修飾した変性ポリマー等の有機フッ化物などが、基材として前述で詳述したものよりも屈折率が低くなることから好ましい。
尚、基材上にフッ素系の化合物からなる層を設ける方法としては、支持体やフッ素系の化合物の種類により一概に決めることはできないが、ゾル−ゲル法、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法或いは塗工法などの公知の方法、或いは特開平7−27902号、特開2001−123264号、同2001−264509号公報等に記載された方法などを適時選択して用いることができる。
このような反射防止層は基材の表面処理や材質などにより一概に規定することはできないが、通常0.001〜20μmの範囲であり、好ましくは0.005〜10μmの範囲である。
また、特開2002−123949号、国際公開第99/57719号等のホログラフィック記録・再生装置に用いられるような記録メディアに対しては、第二の基材ホログラフィック記録層が積層される面或いはその反対面に反射層が設けられることが好ましく、このように反射層を設ける場合には反射させる光の波長に対して反射率を70%以上にするのが好ましく、さらには80%以上にするのがより好ましい。
このような反射層は、所望する反射率が得られれば特に材質に制限はないが、通常、金属などの薄膜を基材表面に設けることにより積層することができる。例えば、このような反射層を形成するためには真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの公知の方法によって金属薄膜として、金属の単結晶または多結晶として積層することができ、金属薄膜を積層するために用いられる金属としては、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、インジウム、セレン、錫、タンタル、クロム、鉛、金、銀、白金、ニッケル、ニオブ、ゲルマニウム、珪素、モリブデン、マンガン、タングステン、パラジウム等の金属を一種或いは二種以上併用などにより形成することができる。この金属薄膜層の厚みは、所望する反射率を得ることができればどのような膜厚であっても構わないが、通常1〜3000nmの範囲であり、好ましくは5〜2000nmの範囲である。
一方、ホログラフィック記録メディアにおいては、ホログラフィック記録層をできるだけ厚くすることで、高記憶容量の記録メディアを作製することができるが、該記録メディアの使用環境や記録された情報の読み取り誤差などを考慮した場合、本発明においては、第一の基材の厚みをD1、第二の基材の厚みをD2、ホログラフィック記録層の厚みをDhとした際に、0.15≦Dh/(D1+D2)≦2.0の関係を満たすことが好ましい。
ここで、0.15>Dh/(D1+D2)ではホログラフィック記録層の膜厚を厚くできないし、或いはたとえ記録層の膜厚を厚くしたとしても基材の厚みが厚くなり、記録メディア全体が厚くなってしまう。この場合、記録メディア単体としての質量が重く装置の駆動系への負荷が生じる場合があることから好ましくない。また、Dh/(D1+D2)>2.0の場合には、記録層の膜厚を確保しつつ記録メディアの厚みを薄くすることは可能となるが、基材の厚みに対して記録層の膜厚が厚くなり、記録メディアの面精度や使用環境温度における記録層の膜厚ムラ、不慮の応力が掛かった際に記録層の膜厚変動、さらには第一の基材と第二の基材がずれてしまう場合が有ることから好ましくない。
さらに、ホログラフィック露光時のエネルギー損失の面から第一の基材の厚みD1、第二の基材の厚みD2の関係がD1≦D2であることが好ましく、また記録メディアの平面性を確保するためにはD1とD2の厚みの比率としては0.20≦D1/D2≦1.00の範囲にするのがより好ましい。
また、ホログラフィック記録層の厚みDhとしては記録層の回折効率やダイナミックレンジ、空間分解能などにより一概に決められないが、通常200μm以上、2.0mm以下であることが好ましく、200μm未満では高記憶容量の記録メディアを得ることができず、2.0mmよりも厚い場合には、記録メディアの面精度や使用環境温度における記録層の厚みムラが生じる場合が有ることから好ましくない。
一方記録メディアの形状としては、該記録メディアに使用されるホログラフィック記録・再生装置に適したものであれば特に制限はないが、例えば米国特許第5,719,691号、特開2002−123949号等に記載された装置に用いるものであればディスク状をしたものが好ましく、国際公開第99/57719号などに記載された装置を用いるのであればカード状のものが好ましい。
上述で詳述した、記録メディアの作製する方法としては、セーフライト下で常温或いは必要に応じて加温してホログラフィック記録用組成物を混合することによりホログラフィック記録層形成組成物を調製し、ホログラフィック露光時の重合阻害を押さえるために脱気した後に、第一の基材上に常温或いは必要に応じて加温したホログラフィック記録層形成組成物を付し、次いで第二の基材を所定の記録層の厚みとなるように気泡が入らないように貼合後、最後に端部を封止することにより記録メディアを製造することができる。また、セーフライト下で第一の基材と第二の基材を所定の間隙を有するように型に固定し、常温或いは必要に応じて加温したホログラフィック記録用組成物を気泡が入らないように射出成形もしくは気泡が入らないように減圧吸引させることにより第一の基材と第二の基材間に充填し、最後に端部を封止することにより記録メディアを作製することができる。尚、ここで言うセーフライト下とは、光重合開始剤が活性となる光の波長をカットした状態での作業を指す。
また、貼合により記録メディアを作製する場合には、ホログラフィック記録層形成組成物を前述した第一の基材上ではなく、第二の基材上に付しても良いし、第一及び第二の基材の両方に付しても良い。さらに、第一の基材、ホログラフィック記録層及び第二の基材の端部を封止する場合には、封止できるような湿分硬化型の接着剤に代表される液状の封止材を架橋させ封止させても良いし、予めホログラフィック記録層が所定の膜厚を確保するためのリング上の端部封止材などを用いて封止させても良い。
次に、ホログラフィック記録メディアに情報を記録する方法について詳述する。
本発明のホログラフィック記録方法に於ける第一の態様は、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持され、該ホログラフィック記録層がバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を少なくとも含有し、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が組成物全体に対して1〜50質量%の範囲であり、且つ前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤が上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも含有する記録層が積層されたホログラフィック記録メディアにホログラフィック記録する方法において、ホログラフィック露光の前にバインダー形成化合物同士を反応させバインダーを形成させた後に、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物をホログラフィック記録層内で拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することを特徴としている。
一般に厚膜の層を付す場合には希釈するための溶剤無しに記録層形成組成物を調製するため、固体或いは高粘度の組成物では、均一膜厚を得る或いは組成物調製時に巻き込まれた気泡の除去が難しくなる。そのため、記録層形成組成物を調製した際に常温または加温した状態で流動性が必要となる。この記録層形成組成物が特に常温で液状でかつ低粘度の場合には、記録メディアとして平面性を確保するのが難しかったり、ホログラフィック露光で情報を記録した後の、エチレン性不飽和結合を有する化合物により形成された重合体が記録層内で位置がずれてしまう可能性が有るので好ましくない。
そこで、上述の必須成分を含有するホログラフィック記録メディアに対して、ホログラフィック露光の前にバインダー形成化合物を架橋させることによりバインダーとし、平面性の確保とホログラフィック露光時に、エチレン性不飽和結合を有する化合物を有する化合物が拡散重合することにより形成された重合体の、ホログラフィック記録層内での移動を防止させることができる。
上述のようにしてバインダーが形成された後で、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することができる。
尚、本記録方法におけるバインダーを形成させるための架橋反応は、反応可能な官能基の組み合わせを全て架橋させても良いし、実技上支障の生じない範囲で一部のみ架橋させても良い。さらに、ホログラフィック記録メディアに情報を記録後には、記録されたホログラフィック情報を固定化する目的で、光及び必要に応じて加えられる熱により、記録層内に残存しているエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合開始剤で光重合、および残存するバインダー形成化合物の未架橋の官能基同士を熱架橋させてしまうのが好ましい。この場合、露光に用いる光は記録メディア全体に一括露光させるのが好ましく、加熱する場合には一括露光前、一括露光と同時或いは一括露光後のいずれであっても良いし、複数の加熱処理を組み合わせても良い。
本発明のホログラフィック記録方法に於ける第二の態様は、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持され、該ホログラフィック記録層がバインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を少なくとも含有し、前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が組成物全体に対して1〜50質量%の範囲であり、且つ前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤が上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも含有する記録層が積層されたホログラフィック記録メディアにホログラフィック記録する方法において、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録し、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射を行うことにより記録された情報を安定化させることを特徴としている。
本態様は、前述の第一の態様とは異なり、記録層形成組成物を調製した際に、加温した状態では流動するが常温では流動しない組成物、或いは剪断応力が加わらない限り常温ではゲル化、或いはチキソ性を有する記録層形成組成物により記録層が形成されたホログラフィック記録メディアに対して有効な記録方法である。
このような記録メディアにおいては、該記録メディアの平面性の確保と、エチレン性不飽和結合を有する化合物の拡散重合により形成された重合体の移動防止に対して、実技上問題ないレベルにすることはできるが、さらなる記録情報保存性を向上させる目的で、ホログラフィック記録メディアに情報を記録し終えた後に、光及び熱により、記録層内に残存しているエチレン性不飽和結合を有する化合物を光重合開始剤で光重合、および残存するバインダー形成化合物の未架橋の官能基同士を熱架橋させてしまうのが好ましい。この場合、上述の第一の態様と同様に露光に用いる光は記録メディア全体に一括露光させるのが好ましく、記録メディアを加熱する場合は一括露光前、一括露光と同時或いは一括露光後のいずれであっても良いし、幾つかの加熱処理を組み合わせても良い。
また、本発明の第一及び第二の態様の記録方法に用いられる、ホログラフィック記録メディアを記録・再生する装置としては、本発明の記録メディアに対して記録・再生可能なものであれば特に制限はなく、そのような記録・再生する装置としては、例えば米国特許第5,719,691号、同5,838,467号、同6,163,391号、同6,414,296号、米国公開公報2002−136143号、特開平9−305978号、同10−124872号、同11−219540号、特開2000−98862号、同2000−298837号、同2001−23169号、同2002−83431号、同2002−123949号、同2002−123948号、同2003−43904号、国際公開第99/57719号、同02/05270号、同02/75727号等に記載されたもの挙げることができる。
上に述べた記録・再生する装置に用いられるレーザーとして光源としては、記録メディア中の光重合開始剤を活性化しホログラフィック記録可能、及び記録されたホログラムを読み取ることのできるレーザー光源であれば特に制限なく用いることができ、このような光源としては青紫色領域の半導体レーザー、アルゴンレーザー、He−Cdレーザー、周波数2倍YAGレーザー、He−Neレーザー、Krレーザー、近赤外領域の半導体レーザーなどを挙げることができる。
また、記録前のホログラフィック記録メディアおよび記録された情報が少なく追記する可能性が有るホログラフィック記録メディアは、通常ホログラフィック記録に用いられる光源の波長をλnmとした際に、(λ+100)nm以下、好ましくは(λ+200)nm以下の光に対して少なくとも遮光できるケースやカセットなどに保管して置かれ、該記録メディアにレーザー光を露光し記録するときのみケースやカセットから取出し、遮光下でレーザー光を照射することにより情報が記録される。
さらに、本発明のホログラフィック記録方法により情報が記録された記録メディアは、前述した遮光できるケースやカセットなどから取り出して、CDやDVDなどと同様に明室で取り扱うことができるホログラフィック情報メディアとして使用できる。このホログラフィック情報メディアは、第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック情報記録層が挟持され、該ホログラフィック情報記録層が、低屈折率のバインダーを主成分とする領域と、屈折率が1.55以上であるエチレン性不飽和結合を有する化合物を少なくともモノマー単位として含むラジカル重合させて形成したラジカル重合体を主成分とする領域とを有することを特徴としており、このホログラフィック情報メディアでは、通常の取り扱われる条件での情報が記録された情報記録層に変化を生じにくい為、経時による再生装置での読み出し劣化がほとんど無い。
以下に本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
尚、ホログラフィック記録層形成組成物を調製する際に用いたバインダー形成化合物(A−1〜9)、エチレン性不飽和結合を有する化合物(B−1〜5)、光重合開始剤(C−1〜5)、増感色素(D−1〜7)を以下に示す。
〈バインダー形成化合物〉
(A−1)2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート
(A−2)ヘキサメチレンジシシシアネートのポリイソシアネート体(旭化成(株)製、デュラネートD−101)
(A−3)グリセリンのポリプロピレンオキサイド付加物(平均分子量1000:日本油脂(株)製、ユニオールTG−1000)
(A−4)ウレタン硬化触媒(日東化成(株)製、ネオスタンU−100)
(A−5)ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(共栄社化学(株)製、エポライト200P)
(A−6)ペンタエリスリトール(テトラキスメルカプトプロピオネート)
(A−7)2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
(A−8)3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン
(A−9)熱重合開始剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−45)
〈エチレン性不飽和結合を有する化合物〉
(B−1)EO変性トリブロモフェニルアクリレート(屈折率*1=1.564:第一工業製薬(株)製、ニューフロンティアBR−31)
(B−2)ヒドロキシエチル化β−ナフトールアクリレート(屈折率=1.583:新中村化学(株)製、NKエステルА−NP−1E)
(B−3)9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレン(屈折率=1.615:大阪ガス(株)製、BPEFA)
(B−4)フェノキシエチルアクリレート(屈折率=1.519)
(B−5)4−ブロモスチレン(屈折率=1.594)
尚、屈折率*1はスチレン50%溶液として25℃で測定した。
〈光重合開始剤、増感色素〉
光重合開始剤(C−1〜5)および増感色素(D−1〜7)を以下に示す。
(C−1)チタノセン系光重合開始剤(チバスペシャリティケミカル(株)製、イルガキュア−784)
(C−2)2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール
(C−3)2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール
(C−4)2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(3,4,5−トリメトキシフェニル)ビイミダゾール
(C−5)2,2′−ビス(1−ナフチル)−4,4′,5,5′−テトラキス(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール
Figure 2005181954
Figure 2005181954
《ホログラフィック記録層形成組成物の調製》
(ホログラフィック記録層形成組成物1)
セーフライト下で、48.92gのバインダー形成化合物(前出A−5)と8.74gのバインダー形成化合物(前出A−7)を混合し溶液1を作製した。別途作製した30.00gのバインダー形成化合物(前出A−6)と11.67gのエチレン性不飽和結合を有する化合物(前出B−5)とを含む溶液Aを溶液1に添加した。次いで0.670gの光重合開始剤(前出C−1)を添加溶溶解した後に、最後に作製した組成物を窒素で脱空気を施した後、超音波洗浄器で内包されている気体成分を除去し、比較となるホログラフィック記録層形成組成物1を作製した。
(ホログラフィック記録層形成組成物2〜9)
上述したホログラフィック記録層形成組成物1において、エチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤を表1に記載した化合物及び添加量に変更し、さらに溶液1に表1に記載した添加量の増感色素と2−メルカプトベンズチアゾール(2MBT)を溶解した以外はホログラフィック記録層形成組成物1と同様な方法でホログラフィック記録層形成組成物2〜9を作製した。
Figure 2005181954
(ホログラフィック記録層形成組成物10)
セーフライト下で、57.82gのバインダー形成化合物(前出A−3)に36.0mgの2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノールと67.1mgのウレタン硬化触媒(前出A−4)を混合溶解し溶液2を作製した。別途7.92gのバインダー形成化合物(前出A−1)、23.75gのバインダー形成化合物(前出A−2)、8.00gのエチレン性不飽和結合を有する化合物(前出B−1)および2.00gのエチレン性不飽和結合を有する化合物(前出B−4)を混合溶解して溶液Bを調製し、次いでこの溶液Bに0.500gの光重合開始剤(前出C−1)を添加溶解した後に、先に記載した溶液2に添加し、最後に作製した組成物を窒素で脱空気を施した後、超音波洗浄器で内包されている気体成分を除去し、比較となるホログラフィック記録層形成組成物10を作製した。
(ホログラフィック記録層形成組成物11〜22)
上述したホログラフィック記録層形成組成物10において、エチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤を表2に記載した化合物及び添加量に変更し、さらに溶液2に表2に記載した添加量の増感色素と2−メルカプトベンズチアゾール(2MBT)を溶解した以外はホログラフィック記録層形成組成物10と同様な方法でホログラフィック記録層形成組成物11〜22を作製した。
Figure 2005181954
(ホログラフィック記録層形成組成物23)
セーフライト下で、89.32gのバインダー形成化合物(前出A−8)、9.00gのエチレン性不飽和結合を有する化合物(前出B−1)、1.00gのエチレン性不飽和結合を有する化合物(前出B−4)、0.923gの光重合開始剤(前出C−2)、12.3mgの増感色素(前出D−3)および0.930gの2−メルカプトベンズチアゾール(2MBT)を混合溶解し溶液Cを作製した。この溶液Cに0.179gの熱重合開始剤(前出A−9)を添加溶解し、最後に作製した組成物を窒素で脱空気を施した後、超音波洗浄器で内包されている気体成分を除去しホログラフィック記録層形成組成物23を作製した。
(ホログラフィック記録層形成組成物24〜28)
上述したホログラフィック記録層形成組成物23において、エチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤、増感色素および2−メルカプトベンズチアゾール(2MBT)を表3に記載した化合物及び添加量に変更した以外はホログラフィック記録層形成組成物19と同様な方法でホログラフィック記録層形成組成物24〜28を作製した。
Figure 2005181954
《ホログラフィック記録メディアの作製》
(作製方法1)
第一の基材と第二の基材として、厚み0.5mm(d1、d2)のガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が0.1%となるように反射防止処理した。この第一の基材の反射防止処理していない面上に表4に記載の記録層の厚み(Dh)となるようにポリエチレンテレフタレートシートをスぺーサーとし、表1〜3に記載したホログラフィック記録用組成物を第一の基材に付し、次いで第二の基材の反射防止処理していない面をホログラフィック記録用組成物上に空気層を巻き込まないように貼合しスぺーサーを介して第一の基材と第二の基材を貼合させた。最後に、端部を湿分硬化型の接着剤で封止し、表4に記載した熱処理条件で熱処理しホログラフィック記録メディアを作製した。
Figure 2005181954
(作製方法2)
厚み0.5mm(d1)のガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が0.1%となるように反射防止処理を施すことにより第一の基材を、厚み0.5mm(d2)のガラスの片面を532nmの波長に対して垂直な入射光による反射率が90%となるようにアルミ蒸着を施して第二の基材をそれぞれ作製した。次いで、前述の第一の基材の反射防止処理していない面上に表5記載の記録層の厚み(Dh)となるようにポリエチレンテレフタレートシートをスぺーサーとし、表1〜3に記載したホログラフィック記録層形成組成物を第一の基材に付し、次いで第二の基材のアルミ蒸着した面をホログラフィック記録用組成物上に空気層を巻き込まないように貼合しスぺーサーを介して第一の基材と第二の基材を貼合させた。最後に、端部を湿分硬化型の接着剤で封止し、表5に記載した熱処理条件で熱処理しホログラフィック記録メディアを作製した。
Figure 2005181954
《ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価》
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価1)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを遮光下で50℃で1週間保存したものとしていないものとを、米国特許第5,719,691号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法に従って、感度(記録エネルギー)について測定、評価を行い、得られた結果を表6に示した。
(感度の測定)
セーフライト下で50℃で1週間保存していないホログラフィック記録メディアに、Nd:YAGレーザー(532nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、Nd:YAGレーザー(532nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S11)として測定した。また、50℃で1週間保存したホログラフィック記録メディアを前述と同様の方法で評価し、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S12)として測定した。
Figure 2005181954
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、保存前後において高感度であることが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価2)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを遮光下で50℃で1週間保存したものとしていないものとを、米国特許第5,719,691号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法に従って、感度(記録エネルギー)について測定、評価を行い、得られた結果を表7に示した。
(感度の測定)
セーフライト下で50℃で1週間保存していないホログラフィック記録メディアに、Nd:YAGレーザー(532nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下でNd:YAGレーザー(532nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S21)として測定した。また、50℃で1週間保存したホログラフィック記録メディアを前述と同様の方法で評価し、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S22)として測定した。
Figure 2005181954
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、保存前後において高感度であることが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価3)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを遮光下で50℃で1週間保存したものとしていないものとを、特開2002−123949号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法に従って、感度(記録エネルギー)について測定、評価を行い、得られた結果を表8に示した。
(感度の測定)
セーフライト下で50℃で1週間保存していないホログラフィック記録メディアに、Nd:YAGレーザー(532nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下でNd:YAGレーザー(532nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S31)として測定した。また、50℃で1週間保存したホログラフィック記録メディアを前述と同様の方法で評価し、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S32)として測定した。
Figure 2005181954
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、保存前後において高感度であることが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価4)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを遮光下で50℃で1週間保存したものとしていないものとを、米国特許第5,719,691号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法に従って、感度(記録エネルギー)について測定、評価を行い、得られた結果を表9に示した。
(感度の測定)
セーフライト下で50℃で1週間保存していないホログラフィック記録メディアに、青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下で青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S41)として測定した。また、50℃で1週間保存したホログラフィック記録メディアを前述と同様の方法で評価し、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S42)として測定した。
Figure 2005181954
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、保存前後において高感度であることが分かる。
(ホログラフィック記録メディアへの記録及び評価5)
上述のようにして作製したホログラフィック記録メディアを遮光下で50℃で1週間保存したものとしていないものとを、特開2002−123949号に記載の手順に従って、一連の多重ホログラムを書き込み、下記の方法に従って、感度(記録エネルギー)について測定、評価を行い、得られた結果を表8に示した。
(感度の測定)
セーフライト下で50℃で1週間保存していないホログラフィック記録メディアに、青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を備えたホログラフィック作製装置にてデジタルパターンを表示し、0.1〜30mJ/cm2のエネルギーで、このデジタルパターン化されたホログラフィック露光することによりホログラムを得た。次いで、ホログラフィック記録メディアを7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で5分間処理した後に100℃で5分間加熱処理した。この処理された記録メディアをセーフライト下で青紫色領域の半導体レーザー(405nm)を参照光に用いて、発生した再生光をCCDで読み取り、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S51)として測定した。また、50℃で1週間保存したホログラフィック記録メディアを前述と同様の方法で評価し、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量を感度(S52)として測定した。
Figure 2005181954
上表から、本発明の記録メディアは比較例に対し、保存前後において高感度であることが分かる。
(ホログラフィック情報メディアの評価)
記録された情報を固定化した表7、表8、表9及び表10で作製しホログラフィック情報メディアを下記の条件で保存し、保存前後で各情報メディアに合った方法でデジタルパターンを再生評価し、良好なデジタルパターンが再生できた最小露光量の保存前後の差を以下の方法で評価し、得られた結果を表11に示した。
(耐熱保存性)
ホログラフィック情報メディアを80℃、2週間保存し、保存前後の最小露光感度差(ΔSh)を求めた。
最小露光感度差(ΔSh)=保存後の最小露光感度(S2h)−保存前の最小露光感度(S1h)
(耐光保存性)
温度35℃で、7万ルクスのサンシャインフェードメータ下で1週間保存、保存前後の最小露光感度差(ΔSw)を求めた。
最小露光感度差(ΔSw)=保存後の最小露光感度(S2w)−保存前の最小露光感度(S1w)
Figure 2005181954
上表から、本発明のホログラフィック情報メディアは、再生する為の感度低下も無い良好な結果を示すことが分かる。

Claims (19)

  1. 第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック記録層が挟持されたホログラフィック記録メディアにおいて、該ホログラフィック記録層は、組成物として、バインダー形成化合物、エチレン性不飽和結合を有する化合物、及び該エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を少なくとも含有し、該エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量が該組成物全体に対して1〜50質量%の範囲であり、且つ該光重合開始剤は少なくとも下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とするホログラフィック記録メディア。
    Figure 2005181954
    (式中R1、R2およびR3はそれぞれ無置換または置換のアリール基を表し、それぞれ異なっていてもよく2個以上同じであってもよい。)
  2. 前記ホログラフィック記録層が、エチレン性不飽和結合を有する化合物の重合反応を開始することのできる光重合開始剤を分光増感することができる増感色素をさらに含有することを特徴とする請求項1記載のホログラフィック記録メディア。
  3. 前記ホログラフィック記録層が、さらに連鎖移動剤を含有することを特徴とする請求項2記載のホログラフィック記録メディア。
  4. 前記ホログラフィック記録層に含有されるバインダー形成化合物が、(1)イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物、(2)イソシアネート基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、(3)カルボジイミド基を有する化合物とカルボキシル基を有する化合物、(4)不飽和エステル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物、(5)不飽和エステル基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、(6)ビニル基を有する化合物とシリコンヒドリド基を有する化合物、(7)オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、及び(8)オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン、単環アセタール、双環アセタール、ラクトン、環状オルトエステル、環状カーボナートから選ばれた基を分子中に1個以上有する化合物と熱重合開始剤の組み合わせ、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  5. 前記ホログラフィック記録層に含有されるバインダー形成化合物が、(1)イソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物、(2)オキシラン基を有する化合物とメルカプタン基を有する化合物、及び(3)オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、オキセパン、単環アセタール、双環アセタール、ラクトン、環状オルトエステル、環状カーボナートから選ばれた基を分子中に1個以上有する化合物と熱酸発生剤の組み合わせ、から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載のホログラフィック記録メディア。
  6. 前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物が、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を少なくとも含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  7. 前記ホログラフィック記録層に含有されるエチレン性不飽和結合を有する化合物が、屈折率が少なくとも1.55以上の化合物をエチレン性不飽和結合を有する化合物全体に対して50〜100質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  8. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みをD1、第二基材の厚みをD2とし、ホログラフィック記録層の厚みをDhとした際に、0.15≦Dh/(D1+D2)≦2.0の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  9. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、ホログラフィック記録層の厚みDhが200μm以上、2.0mm以下であることを特徴とする請求項8記載のホログラフィック記録メディア。
  10. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の厚みD1と第二基材の厚みD2との関係がD1≦D2であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  11. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材が透明であり、ホログラフィック記録層が積層された面とは反対の面に反射防止処理がなされていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  12. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第一基材の材質がガラスであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  13. 前記ホログラフィック記録メディアにおいて、第二基材のホログラフィック記録層が積層される面あるいはその反対面に反射率が70%以上の反射層が積層されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  14. 前記ホログラフィック記録メディアの形状がディスク状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  15. 前記ホログラフィック記録メディアの形状がカード状であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディア。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録するホログラフィック記録方法において、該ホログラフィック記録メディアにホログラフィック露光する以前にバインダー形成化合物同士を反応させバインダーを形成させた後に、記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物をホログラフィック記録層内で拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録することを特徴とするホログラフィック記録方法。
  17. 前記ホログラフィック記録方法において、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射により安定化させることを特徴とする請求項16記載のホログラフィック記録方法。
  18. 請求項1〜15のいずれか1項記載のホログラフィック記録メディアに記録するホログラフィック記録方法において、該記録メディアに記録したい情報を基にしたホログラフィック露光を行い、光重合開始剤を活性化させ、この活性種によりエチレン性不飽和結合を有する化合物を拡散重合させることによりホログラフィック記録メディアに情報を記録し、ホログラフィック記録メディアへの情報記録が終了した後に、さらにホログラフィック記録メディア全体に熱および光照射を行うことにより記録された情報を安定化させることを特徴とするホログラフィック記録方法。
  19. 第一の基材と第二の基材の間にホログラフィック情報記録層が挟持され、該ホログラフィック情報記録層が、低屈折率のバインダーを主成分とする領域と、屈折率が1.55以上であるエチレン性不飽和結合を有する化合物を少なくともモノマー単位として含むラジカル重合させて形成したラジカル重合体を主成分とする領域とを有することを特徴とするホログラフィック情報メディア。
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