JP2005175147A - レーザーダイシング装置及びダイシング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚いウェーハであっても安定した割断を行うことのできるレーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法を提供すること。
【解決手段】レーザーダイシング装置10のレーザーヘッド40には、レーザー発振器21、集光レンズ24、集光レンズ24をウェーハWに平行に往復微小送りする圧電素子からなるリニア微動手段を設け、レーザー光を加工方向であるX方向に振動させながらウェーハWに繰返し照射するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】レーザーダイシング装置10のレーザーヘッド40には、レーザー発振器21、集光レンズ24、集光レンズ24をウェーハWに平行に往復微小送りする圧電素子からなるリニア微動手段を設け、レーザー光を加工方向であるX方向に振動させながらウェーハWに繰返し照射するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体装置や電子部品等のチップを製造するダイシング装置及びダイシング方法に関するもので、特にレーザー光を利用したダイシング装置及びダイシング方法に関するものである。
従来、表面に半導体装置や電子部品等が形成されたウェーハを個々のチップに分割するには、ダイシングブレードと呼ばれる砥石でウェーハに研削溝を入れてウェーハをカットするダイシング装置が用いられていた。ダイシングブレードは、微細なダイヤモンド砥粒をNiで電着したもので、厚さ30μm程度の極薄のものが用いられる。
このダイシングブレードを30,000〜60,000rpmで高速回転させてウェーハに切込み、ウェーハを完全切断(フルカット)又は不完全切断(ハーフカット或いはセミフルカット)していた。ハーフカットはウェーハに厚さの半分程度切り込む方法で、セミフルカットは10μm程度の肉厚を残して研削溝を形成する方法のことである。
ところで、このダイシングブレードによる研削加工の場合、ウェーハが高脆性材料であるため脆性モード加工となり、ウェーハの表面や裏面にチッピングが生じ、このチッピングが分割されたチップの性能を低下させる要因になっていた。ダイシング工程におけるこのチッピングの問題を解決する手段として、従来のダイシングブレードによる切断に替えて、ウェーハの内部に集光点を合わせたレーザー光を入射し、ウェーハ内部に多光子吸収による改質領域を形成して個々のチップに分割するレーザ加工方法に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。
特開2002−192367号公報
特開2002−192368号公報
特開2002−192369号公報
特開2002−192370号公報
特開2002−192371号公報
特開2002−205180号公報
しかし、上記の特許文献1〜6で提案されている技術は、レーザー光を用いた割断技術によるもので、チッピングの問題は解決されるが、ダイシングするウェーハに対して厳密な条件設定が必要であり、特に厚いウェーハの場合は設定された条件が少しでも不適合であると上手く割断することができないという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、厚いウェーハであっても安定した割断を行うことのできるレーザーダイシング装置及びレーザーダイシング方法を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載のレーザーダイシング装置は、ウェーハの表面からレーザー光を入射して前記ウェーハの内部に改質領域を形成し、前記ウェーハを個々のチップに分割するレーザーダイシング装置において、前記ウェーハに向けてレーザー光を照射するレーザーヘッドが設けられ、該レーザーヘッドは、レーザー発振器と、発振されたレーザー光を集光する集光レンズと、前記レーザー光を前記ウェーハに対して平行に微小移動させる駆動手段と、を有していることを特徴としている。
また、請求項6に記載のレーザーダイシング方法は、ウェーハの表面からレーザー光を入射して前記ウェーハの内部に改質領域を形成し、前記ウェーハを個々のチップに分割するするレーザーダイシング方法において、前記レーザー光を振動させながら前記ウェーハを照射することを特徴としている。
請求項1及び請求項6の発明によれば、レーザー光をウェーハに対して平行に振動させながらウェーハに繰返し照射することができるので、ウェーハ内部に多光子吸収による改質領域を確実に形成することができ、厚いウェーハであっても容易に安定して割断することができる。
以上説明したように本発明のレーザーダイシング装置は、レーザー発振器から発振され集光レンズで集光されたレーザー光をウェーハに対して平行に微小移動させる駆動手段を有しているので、レーザー光をウェーハに対して平行に振動させながらウェーハに繰返し照射することができる。このため、ウェーハを安定して割断することができる。
また、本発明のレーザーダイシング方法は、レーザー光をウェーハに対して平行に振動させながらウェーハに繰返し照射するので、ウェーハ内部に多光子吸収による改質領域を確実に形成することができ、厚いウェーハであっても容易に安定して割断することができる。
以下添付図面に従って本発明に係るレーザーダイシング装置及びダイシング方法の好ましい実施の形態について詳説する。尚、各図において同一部材には同一の番号または記号を付している。
図1は、本発明に係るレーザーダイシング装置の概略構成図である。ダイシング装置10では、ウェーハは図4に示すように、一方の面に粘着材を有するダイシングシートSに貼付され、このダイシングシートSを介してフレームFと一体化された状態で搬入され、ダイシング装置10内を搬送される。
レーザーダイシング装置10は、図1に示すように、ウェーハ移動部11、レーザー光学部20と観察光学部30とからなるレーザーヘッド40、制御部50等から構成されている。
ウェーハ移動部11は、レーザーダイシング装置10の本体ベース16に設けられたXYZθテーブル12、XYZθテーブル12に載置されダイシングシートSを介してフレームFにマウントされたウェーハWを吸着保持する吸着ステージ13等からなっている。このウェーハ移動部11によって、ウェーハWが図のXYZθ方向に精密に移動される。
レーザー光学部20は、レーザー発振器21、コリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ(集光レンズ)24、レーザー光をウェーハWに対して平行に微小移動させる駆動手段25等で構成されている。
また、観察光学部30は、観察用光源31、コリメートレンズ32、ハーフミラー33、コンデンスレンズ34、観察手段としてのCCDカメラ35、画像処理装置38、テレビモニタ36等で構成されている。
レーザー光学部20では、レーザー発振器21から発振されたレーザー光はコリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経てウェーハWの内部に集光される。ここでは、集光点におけるピークパワー密度が1×108(W/cm2 )以上でかつパルス幅が1μs以下の条件で、ダイシングシートに対して透過性を有するレーザー光が用いられる。集光点のZ方向位置は、後出のZ微動手段27によるコンデンスレンズ24のZ方向微動によって調整される。
観察光学部30では、観察用光源31から出射された照明光がコリメートレンズ32、ハーフミラー33、コンデンスレンズ24等の光学系を経てウェーハWの表面を照射する。ウェーハWの表面からの反射光はコンデンスレンズ24、ハーフミラー23及び33、コンデンスレンズ34を経由して観察手段としてのCCDカメラ35に入射し、ウェーハWの表面画像が撮像される。
この撮像データは画像処理部38に入力され、ウェーハWのアライメントに用いられるとともに、制御部50を経てテレビモニタ36に写し出される。
制御部50は、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、レーザーダイシング装置10の各部の動作を制御する。
ダイシング装置10はこの他に、図示しないウェーハカセットエレベータ、ウェーハ搬送手段、操作板、及び表示灯等から構成されている。
ウェーハカセットエレベータは、ウェーハが格納されたカセットを上下移動して搬送位置に位置決めする。搬送手段はカセットと吸着ステージ13との間でウェーハを搬送する。
操作板には、ダイシング装置10の各部を操作するスイッチ類や表示装置が取付けられている。表示灯は、ダイシング装置10の加工中、加工終了、非常停止等の稼動状況を表示する。
図2は、駆動手段25の細部を説明する概念図である。駆動手段25は、コンデンスレンズ24を保持するレンズフレーム26、レンズフレーム26の上面に取り付けられレンズフレーム26を図のZ方向に微小移動させるZ微動手段27、Z微動手段27を保持する保持フレーム28、保持フレーム28をウェーハWと平行に微小移動させるリニア微動手段であるPZ1、PZ2、及び後出のPZ3、PZ4、PZ5等からなっている。
Z微動手段27には電圧印加によって伸縮する圧電素子が用いられている。この圧電素子の伸縮によってコンデンスレンズ24がZ方向に微小送りされて、レーザー光の集光点のZ方向位置が精密に位置決めされるようになっている。
保持フレーム28は、図示しない4本のピアノ線からなる2対の平行バネで支持され、XY方向には移動自在で、Z方向の移動が拘束されている。なお、保持フレーム28の支持方法はこれに限らず、例えば複数のボールで上下に挟み込み、Z方向の移動を拘束するとともにXY方向に移動自在に支持してもよい。
リニア微動手段PZ1、PZ2、及び後出のPZ3、PZ4、PZ5は、Z微動手段27と同じく圧電素子が用いられており、一端がレーザーヘッド40のケース本体に固定され、他端が保持フレーム28の側面に当接している。
図3は、駆動手段25の平面図である。図3(a)は、圧電素子をX方向に2個配置した状態を表わし、図3(b)は、円周上に3個配置した状態を表わしている。
図3(a)に示すように、リニア微動手段であるPZ1、PZ2は夫々一端がレーザーヘッド40のケース本体に固定され、他端が保持フレーム28の側面に当接しているので、印加電圧を制御することによってコンデンスレンズ24をX方向に往復微動送りすることができ、レーザー光をX方向に往復微動送りさせたり振動させたりすることができる。
なお、リニア微動手段PZ1、PZ2のうちどちらか一方に圧電素子を用い、他方をバネ材等の弾性部材にしてもよい。
また、図3(b)の場合は、リニア微動手段であるPZ3、PZ4、及びPZ5は夫々一端がレーザーヘッド40のケース本体に固定され、他端が保持フレーム28の側面に当接しているので、PZ3、PZ4、及びPZ5夫々に加える印加電圧を制御することによってコンデンスレンズ24をXY方向の任意の方向に往復微動送りすることができ、レーザー光をXY方向の任意の方向に往復微動送りさせたり振動させたりすることができる。
図5は、ウェーハ内部の集光点近傍に形成される改質領域を説明する概念図である。図5(a)は、ウェーハWの内部に入射された加工用のレーザー光Lが集光点に改質領域Pを形成した状態を示し、図5(b)はパルス状の加工用のレーザー光LをウェーハWの表面に平行に走査して、内部に複数の不連続な改質領域P、P、…が並んで形成された状態をを模式的に表わしている。
この状態でウェーハWは改質領域Pを起点として自然に、或いは僅かな外力を加えることによって改質領域P、P、…に沿って割断される。この場合、ウェーハWは表面や裏面にはチッピングが発生せずに容易にチップに分割される。
また、ウェーハWは、図4に示すように、裏面にダイシングシートSが貼られダイシング用のフレームFにマウントされているので、個々のチップに分割されても個々のチップが1個1個バラバラになることがない。
次に、本発明に係るレーザーダイシング装置10の作用について説明する。ダイシングに当たって、最初に吸着ステージ13に載置されたウェーハWは、CCDカメラ35で表面の回路パターンやアライメントマークが撮影され、画像処理装置38を有するアライメント手段によってアライメントされる。
次に、レーザー発振器21からレーザー光Lが出射され、レーザー光Lはコリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経由してウェーハWの上面に照射される。
照射されるレーザー光Lの集光点のZ方向位置は、XYZθテーブル12によるウェーハWのZ方向位置調整、及びZ微動手段27によるコンデンスレンズ24の位置制御によって、ウェーハ内部の所定位置に正確に設定される。
この状態でXYZθテーブル12がダイシング方向であるX方向に加工送りされる。これによりウェーハ内部に多光子吸収による改質領域Pが1ライン形成される。
このとき、レーザーヘッド40に設けられたリニア微動手段PZ1、PZ2、又はPZ3、PZ4、PZ5によってコンデンスレンズ24が往復微小移動され、レーザー光LがウェーハWと平行にX方向、又は任意のXY方向に振動され、レーザー光Lの集光点がウェーハ内部で微小振動しながら改質領域Pを形成してゆく。また、必要に応じ、Z微動手段27によるZ方向の振動を加えてもよい。
また、レーザー光Lを加工方向であるX方向にゆっくり往復微動送りさせながらウェーハWをX方向に送ることにより、レーザー光Lをミシン目のように行きつ戻りつの状態で繰返し照射するようにしてもよい。
このようにレーザー光Lが振動しながらウェーハWに繰返し照射されるので、一度形成された改質領域Pに更にエネルギーが加えられるため、ウェーハWは改質領域Pを起点により割断されやすくなる。
1ラインのレーザーダイシングが行われると、XYZθテーブル12がY方向に1ピッチ割り出し送りされ、次のラインも同様にレーザーダイシングされる。
全てのラインがレーザーダイシングされると、XYZθテーブル12が90°回転され、先程のラインと直交するラインも同様にして全てレーザーダイシングされ、ウェーハWは個々のチップに分割されて1枚のウェーハWのレーザーダイシングが完了する。
このように、レーザー光Lが振動しながら繰返し照射されるため、厚いウェーハWであっても、安定して割断され、チッピング等のほとんど生じない高品質なダイシングが行われる。
次に、本発明に係るレーザーダイシング装置及びダイシング方法の別の実施形態について説明する。図6及び図7はこの別の実施形態の駆動手段25Aを表わしたものである。図6は駆動手段25Aの平面図で、図7は図6のA−О−B断面図である。
駆動手段25Aは、図6及び図7に示すように、コンデンスレンズ24を保持するレンズフレーム26A、下端がレーザーヘッド40のケース本体に固定されるとともに、上端がレンズフレーム26Aの鍔部下面にフレキシブルに連結され、レンズフレーム26Aを支持する3個のリニア微動手段であるPZ6、PZ7、及びPZ8等からなっている。
この3個のリニア微動手段であるPZ6、PZ7、及びPZ8は、図6に示すように、円周上等間隔に配置された圧電素子が用いられている。この圧電素子の伸縮によってコンデンスレンズ24がZ方向に微小送りされて、レーザー光の集光点のZ方向位置が精密に位置決めされるようになっている。
また、この3個のリニア微動手段PZ6、PZ7、及びPZ8の伸縮を個別に夫々関連付けながら制御することによって、レンズフレーム26Aに取り付けられたコンデンスレンズ24を任意の方向に所定量傾斜させることができ、レーザー光LをウェーハWに対して平行な任意の方向に微小移動させることができる。
このようにして、3個のリニア微動手段PZ6、PZ7、及びPZ8によってレーザー光Lを往復微小移動させることにより、レーザー光Lの集光点をウェーハ内部で微小振動させながら改質領域Pを形成してゆくことができる。また、必要に応じ、Z方向の振動を加えてもよい。
このように本発明の別の実施形態においても、レーザー光Lが振動しながら繰返し照射されるため、厚いウェーハWであっても、安定して割断され、チッピング等のほとんど生じない高品質なダイシングが行われる。
なお、前述の実施の形態及び別の実施形態では、レーザー光LをウェーハWに対して平行に微小移動させる駆動手段25、25Aには、リニア微動手段PZ1、PZ2、PZ3、PZ4、PZ5、PZ6、PZ7、PZ8として圧電素子を用いたが、本発明はこれに限らず、リニアモータ等の種々のリニアアクチュエーターを用いることができる。
また、レーザー光LをウェーハWに対して平行に微小移動させたが、ウェーハWを載置する吸着ステージ13側に圧電素子を組込み、レーザー光LとウェーハWとを相対的に微小往復移動させるようにしてもよい。
10…レーザーダイシング装置、21…レーザー発振器、24…コンデンスレンズ(集光レンズ)、25、25A…駆動手段、40…レーザーヘッド、F…フレーム、L…レーザー光、P…改質領域、PZ1、PZ2、PZ3、PZ4、PZ5、PZ6、PZ7、PZ8…リニア微動手段(圧電素子)、S…ダイシングシート、W…ウェーハ
Claims (9)
- ウェーハの表面からレーザー光を入射して前記ウェーハの内部に改質領域を形成し、前記ウェーハを個々のチップに分割するレーザーダイシング装置において、
前記ウェーハに向けてレーザー光を照射するレーザーヘッドが設けられ、
該レーザーヘッドは、
レーザー発振器と、
発振されたレーザー光を集光する集光レンズと、
前記レーザー光を前記ウェーハに対して平行に微小移動させる駆動手段と、を有していることを特徴とするレーザーダイシング装置。 - 前記駆動手段は、前記集光レンズを前記ウェーハに対して平行な直線上で微小移動させる駆動手段であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザーダイシング装置。
- 前記駆動手段は、前記集光レンズを前記ウェーハに対して平行な平面上で微小移動させる駆動手段であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザーダイシング装置。
- 前記駆動手段は、少なくとも1個の圧電素子を含むことを特徴とする、請求項2に記載のレーザーダイシング装置。
- 前記駆動手段は、少なくとも3個の圧電素子を含むことを特徴とする、請求項3に記載のレーザーダイシング装置。
- ウェーハの表面からレーザー光を入射して前記ウェーハの内部に改質領域を形成し、前記ウェーハを個々のチップに分割するレーザーダイシング方法において、
前記レーザー光を振動させながら前記ウェーハを照射することを特徴とするレーザーダイシング方法。 - 前記レーザー光をダイシング方向であるX方向に振動させることを特徴とする、請求項6に記載のレーザーダイシング方法。
- 前記レーザー光をダイシング方向であるX方向と直交するY方向に振動させることを特徴とする、請求項6に記載のレーザーダイシング方法。
- 前記レーザー光をダイシング方向であるX方向と直交するZ方向に振動させることを特徴とする、請求項6に記載のレーザーダイシング方法。
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