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JP2012109358A - 半導体基板の切断方法及び半導体基板の切断装置 - Google Patents

半導体基板の切断方法及び半導体基板の切断装置 Download PDF

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JP2012109358A JP2010256218A JP2010256218A JP2012109358A JP 2012109358 A JP2012109358 A JP 2012109358A JP 2010256218 A JP2010256218 A JP 2010256218A JP 2010256218 A JP2010256218 A JP 2010256218A JP 2012109358 A JP2012109358 A JP 2012109358A
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Takashi Fujita
隆 藤田
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Abstract

【課題】安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
【解決手段】レーザー光をウェハW内部に照射して、ウェハWの表面から略60μm〜略80μmの深さに切断ラインLに沿って予備改質領域P1を形成し、その後予備改質領域から略20μm〜略40μmだけウェハW裏面側の位置にレーザー光を照射して本改質領域P2を形成する(ステップS10)。これにより予備改質領域P1内のクラックK1が基準面とウェハW表面との間に進展される。基準面までウェハWを裏面から研削され(ステップS12)、加工変質層が除去されてウェハW裏面が鏡面加工され(ステップS14)、ウェハW裏面にエキスパンドテープが貼付され(ステップS16)、エキスパンドテープが外側へ拡張されると、ウェハWが切断ラインで破断されてチップTに分割される(ステップS18)。
【選択図】図14

Description

本発明は、半導体基板をチップに切断する半導体基板の切断方法及び半導体基板の切断装置に関するものである。
特許文献1には、裏面を上向きにして載置された半導体基板にレーザーを照射して基板内部に改質領域を形成し、半導体基板の裏面にエキスパンドテープを装着し、エキスパンドテープの上からナイフエッジを当てて改質領域を基点として基板を割ることで、半導体基板をチップに切断することが記載されている。
また、特許文献1には、裏面を上向きにして載置された半導体基板にレーザーを照射して基板内部に改質領域を形成した後で基板を研削して薄くし、半導体基板の裏面にエキスパンドテープを装着し、エキスパンドテープを伸張させることで改質領域を基点として基板を割ることが記載されている。
特許文献2には、裏面を上向きにして載置された半導体基板にレーザーを照射して基板内部に改質領域を形成することで半導体基板の厚さ方向に割れを発生させ、基板の裏面を研削及びケミカルエッチングすることで割れを裏面に露出させることで、半導体基板をチップに切断することが記載されている。そして、特許文献2には、自然に或いは比較的小さな力で改質領域から厚さ方向に割れが発生することが記載されている。
特許3624909号公報 特許3762409号公報
特許文献1に記載の発明では、ナイフエッジにより局所的に外力を印加することで基板を割るが、この場合には曲げ応力やせん断応力を基板に付与させることになる。しかし、曲げ応力やせん断応力は基板全面に一様に分布させることは難しい。たとえば、曲げ応力やせん断応力を基板にかける場合、どこか弱い点に応力が集中することになり、効率的に一様な応力を付与できない。
したがって、基板の割れにばらつきが生じ、割れが緩やかに進行しなかった場合には基板が破壊するという問題がある。また、基板を切断する部分に対して、局所的に順番に応力を与えて切断していく場合、例えば一枚の基板から多数のチップを収集する場合などでは、多数の切断ラインが存在するため、生産性が非常に低下するという問題がある。
また、外力を印加して基盤を割る場合に、基板を薄く加工していない場合には、ウェハを割る際に非常に大きい応力を必要とするという問題がある。
また、特許文献1、2に記載の発明では、研削によって、レーザー光照射により形成した改質領域を除去しない場合、基板内部に形成された改質領域は、最終的にチップ断面に残ることになる。この改質領域は、一度レーザー光により部分的に溶融状態になり、それが再度固化することにより、結晶性が失われている場合や、非常に脆くなっている場合がある。
そのため、チップ断面に改質領域が残った場合、改質領域の部分から発塵する場合がある。また、チップ断面部分が局所的に破砕した結果、その破砕した断面がきっかけとなって、チップが破断する場合もある。その結果、チップの抗折強度が、時として小さくなるという問題点がある。
特許文献2に記載の発明では、改質領域から厚さ方向に割れが自然に発生すると記載されているが、他方自必ずしも自然に割れない場合も存在する。割るという安定した効果を必然的に得るためには、時として恣意的な手段をとる必要があり、自然に割れる場合は恣意的な手段に該当しない。
また、比較的小さな力として、温度差を与えることにより熱応力を発生させて、改質領域から厚さ方向に割れを発生させることも考えられる。この場合においては、基板の面内に一様な熱勾配をどのように与えるかという点が非常に難しいという問題がある。すなわち、人為的に熱勾配を与えたとしても熱伝導によって、一部熱勾配を緩和するように基板内に熱が分散していく。したがって、一定の基板を切断する程度の安定した熱勾配をどのように絶えずに形成するか、という点が、極めて難しい問題である。
また、特許文献2に記載の発明では、半導体基板を研削後、裏面にケミカルエッチングするが、研削した後には、研削後の表面は固定砥粒による研削条痕が残り、付随して微小なクラックが形成され、加工変質層が残存している。その表面をケミカルエッチングした場合には、微小クラックなどの格子歪が大きい部分が選択的にエッチングされることになる。そのため、微小クラックはかえって助長され大きいクラックになる。そのため、切断起点領域だけではなく、時として、研削とエッチングによって形成された微小クラックから破断する場合もあり、安定した切断加工が難しいという問題がある。
また、エッチングにより基板表面の凹凸が助長されるため、基板表面は鏡面化されていない。そのため、分割されたチップにも凹凸が残るため、凹凸の大きい部分、すなわち微小クラックから破壊することが十分に考えられ、チップの抗折強度は低くなるという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定した品質のチップを効率よく得ることができる半導体基板の切断方法及び半導体基板の切断装置を提供することを目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ウェハの裏面からレーザー光を入射して前記ウェハの内部に微小空孔を含む予備改質領域を切断ラインに沿って形成する予備改質領域形成工程と、前記予備改質領域が形成された位置と前記ウェハの厚さ方向の浅い位置であって、予備改質領域と結合する深さの位置に本改質領域を形成し、前記本改質領域の形成によって発生する亀裂と前記予備改質領域とが結合することで前記予備改質領域から派生した微小亀裂をウェハ厚さ方向の深い位置に進展させる本改質領域形成工程と、前記ウェハを裏面から研削して前記予備改質領域及び前記本改質領域を除去し、派生した微小亀裂を残す研削工程と、前記研削工程で前記予備改質領域及び前記本改質領域が除去されたウェハを前記切断ラインに沿って複数のチップに分割する分割工程と、を含むことを特徴とする。
請求項1に記載された発明によれば、ウェハの裏面からレーザー光を入射してウェハの内部に微小空孔を含む予備改質領域を切断ラインに沿って形成し、その後予備改質領域が形成された位置とウェハの厚さ方向の浅い位置に本改質領域を形成する。
ここで、改質領域とは、レーザー光が直接照射されたことによって、部分的に溶融し、その後、固化して元の結晶状態とは異なる状態になったものを指す。改質領域においては、結晶性が他の部分と明らかに異なり、本質的に脆化している領域である。
それと区別される領域としては、改質領域から進展した微小亀裂領域がある。改質領域は、レーザー光照射により熱的なダメージを受けて本質的に脆化している領域であるが、微小亀裂領域は、そこから派生した領域であって結晶性そのものは内部と同一の結晶性をもち、結晶的には何ら変わりない。
改質領域は、熱的ダメージを受けて固化した場合、ところどころに微小空孔が残る。こうした熱的ダメージを受けた部分は、その周りにある熱的ダメージを何ら受けていない正常な部分に対して結晶歪を与える。改質領域で形成された微小空孔などが結晶歪により周囲に派生して、正常な部分に微小亀裂を及ぼす。こうして形成された領域を微小亀裂領域と定義する。
なお、最終的なチップ断面には、改質領域が残ると先に述べた通り、発塵を起こすことやチップそのものの抗折強度が弱くなるが、微小亀裂領域が残っても、結晶性は他の内部と変わりは無いため、その部分からの発塵は無く、またチップの抗折強度も弱くなることは無い。
予備改質領域を形成後、それよりも浅い位置に本改質領域を形成する。本改質領域は、予備改質領域と結合する程度の深さ位置にする必要がある。ここで改質領域が結合せずとも、改質領域から派生した微小亀裂同士が結合することも含む。
双方の改質領域ないしは、そこから派生した微小亀裂が結合することで、一つの大きい亀裂となる。その結果、あらかじめ形成した予備改質領域から派生した微小亀裂が、さらにその深さが進展し、最終のチップ厚み部分にまで到達する。
予備改質領域だけであれば微小亀裂は大きくないが、手前に大きな本改質領域を形成し、予備改質領域と結合させることによって、予備改質領域から生まれる微小亀裂がさらに外挿され、明らかな亀裂として進展することになる。
このようにあらかじめ形成した予備改質領域の亀裂を進展させる手段において、その手前側にレーザー光を照射して本改質領域を形成することにより、予備改質領域の亀裂をさらに下側に進展させることが可能となる。
また、引用文献2に示すような何らかの人為的な力を与える場合においては、ウェハ内でも特に改質され、強度が特に弱くなっている部分に応力が集中する。その応力が集中した部分の亀裂は特に進展する一方、強度が少し弱くなっている程度であれば、人為的な応力による変形は他と比べて少なくなり、ほとんど亀裂が進展しない部分も出てくる。
それに対して本願では、先に形成した予備改質領域の強度ばらつき状態に関係無く、その上からレーザー光を照射して本改質領域を手前側に形成して、安定して精度よく先に形成した予備改質領域の亀裂を奥側へ助長させて進展させることができる。また、亀裂進展においては、外部から人為的な力などを与えることも必要無く、また温度差を与えて熱応力を形成する必要も無い。
その結果、すべての予備改質領域で改質領域ないしは亀裂同士が安定して結びつき、安定して精度よく順番に亀裂を進展させることが可能となる。
また、予備改質領域から出る亀裂の下端を、チップの目標厚の少し上の部分で止めるように深さ方向の焦点を精度よく合わせて照射し、その後のその手前に形成する本改質領域で形成する改質層は、深さ方向に亀裂が広がるように少し焦点深度を大きくとっても良い。その様にすることで、亀裂を結合させると共に、精度よく目標チップ厚み部分に予備改質領域から出た微小亀裂を進展させることが可能となる。
これにより、予備改質領域内の微小空孔をウェハの厚み方向に進展させることができる。そして、予備改質領域及び本改質領域を研削により除去する。その結果、残されたウェハには、予備改質領域の先端部分から進展した亀裂のみが残されることになる。この残された亀裂は、改質領域とは異なり、熱的ダメージ等は存在せず、またこの部分がチップ切断の起点となり、ウェハを切断ラインに沿って複数のチップに分割する。これにより、チップの断面にレーザー光により形成された熱的なダメージを有する改質領域が残らないようにすることができる。
そのため、チップが割れたり、チップ断面から発塵したりとするという不具合を防き、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半導体基板の切断方法において、前記本改質領域は、前記予備改質領域よりも大きいことを特徴とする。
予備照射領域は、深さ方向の正確性がシビアに求められる。なぜなら、少し深い位置に焦点があった場合、すなわち最終チップ厚みに相当する部分の深さまでレーザーの改質領域が及んだ場合、最終チップ側面に改質領域が残るからである。レーザーによる熱ダメージをもつ改質領域がチップ側面に残ると様々な問題があることは先に述べた通りである。
一方、少し浅い位置に焦点があった場合、すなわち、チップ厚みから遠くに焦点を形成した場合、亀裂をそこから進展させるにしてもチップ部分の厚みにまで到達しなくなることもある。よって、目標チップ厚みに近い部分まで精度よい位置で焦点を形成する必要がある。
その結果、予備改質領域を形成する上ではレーザー照射強度も制限され、精度よく結像させることが重要になる。次に、予備照射によって深さ方向に精度よく焦点を形成し改質層を形成したならば、次に本改質領域を形成する。本改質領域を形成することの目的は、先に形成した予備改質領域から出る微小亀裂を、本改質領域との結合によりさらに奥側に進展させることが目的となるため、予備改質領域を形成したレーザー強度よりもさらに大きな強度で、最終チップ厚みとする部分から予備改質領域よりも、さらに離れた位置にレーザー光を照射することができる。
このとき形成される本改質領域は、最終チップ厚みの部分から遠く離れているため、先の予備改質領域を形成したときの深さ精度ほど、精度を制御する必要性も無く、予備改質領域と結合して、予備改質領域の先端部の微小亀裂をさらに進展させる程度の精度でよい。そのため、手前側にレーザー光を照射して形成される本改質領域は、予備改質領域と比較して大きくすることが望ましい。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の半導体基板の切断方法において、前記研削工程において研削されたウェハの裏面を、さらに化学機械研磨する研磨工程を含み、前記分割工程は、前記研磨工程において裏面が化学機械研磨されたウェハを分割することを特徴とする。
請求項3に記載された発明によれば、研削されたウェハの裏面を化学機械研磨してからウェハを分割する。これにより、チップの抗折強度を高くすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一つに記載の半導体基板の切断方法において、前記本改質領域形成工程は、前記チップの厚さに応じて複数回行われることを特徴とする。
請求項4に記載された発明によれば、チップの厚さに応じて本改質領域形成工程が複数回行われるため、チップの厚さによらず、適切に微小空孔を進展させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一つに記載の半導体基板の切断方法において、前記本改質領域形成工程は、前記ウェハの表面から前記チップの厚さ分だけ裏面側に位置する面と前記ウェハの表面との間まで前記微小空孔を進展させることを特徴とする。
請求項5に記載された発明によれば、本改質領域の形成により、ウェハの表面からチップの厚さ分だけ裏面側に位置する面とウェハの表面との間まで微小空孔が進展される。これにより、チップの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにワークを研削しても、微小空孔をワークに残すことができる。そのため、チップが割れたり、チップ断面から発塵したりとするという不具合を防き、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の半導体基板の切断方法において、前記予備改質領域形成工程は、前記ウェハの表面から前記チップの厚さ分だけ裏面側に位置する面より前記ウェハの裏面側へ略10μm〜略30μmの位置に前記予備改質領域を形成し、前記本改質領域形成工程は、前記本改質領域が形成されていない場合には、前記予備改質領域より前記ウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に前記本改質領域を形成し、前記本改質領域が形成されている場合には、前記形成されている本改質領域のうちの直前に形成された本改質領域より前記ウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に新たな本改質領域を形成することを特徴とする。
請求項6に記載された発明によれば、ウェハの表面からチップの厚さ分だけ裏面側に位置する面よりウェハの裏面側へ略10μm〜略30μmの位置に予備改質領域が形成され、予備改質領域よりウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に本改質領域が形成される。なお、既に本会室領域が形成されている場合には、直前に形成された本改質領域より前記ウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に新たな本改質領域が形成される。これにより、予備改質領域内の微小空孔を適切に進展させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の半導体基板の切断方法において、前記チップの厚さが60μmの場合には、前記本改質領域形成工程が2回行われることを特徴とする。これにより、適切な長さに微小空孔を進展させることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれかに記載の半導体基板の切断方法において、前記分割工程は、前記ウェハの表面に弾性テープを貼付する工程と、前記弾性テープを拡張する工程と、を含むことを特徴とする。
請求項8に記載された発明によれば、ウェハの表面に弾性テープを貼付して拡張することで、ウェハを複数のチップに分割することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記分割工程は、前記研削工程で改質領域が除去されたウェハを、ウェハ吸着台に平面状態で真空吸着し、ウェハを吸着した状態で前記ウェハ吸着台を凸状に膨らませるないしは、凸状に撓ませることにより、ウェハに曲げ応力を生じさせて前記微小空孔を前記ウェハの表面まで進展させることで、前記ウェハを前記切断ラインに沿って複数のチップに分割することを特徴とする。
請求項9に記載された発明によれば、ウェハを複数のチップに分割するのは、改質領域が除去されたウェハに曲げ応力を生じさせて微小空孔をウェハの表面まで進展させることにより行われる。これにより、改質領域が除去されることでウェハWが薄くなっているため、小さい曲げ応力でクラックをデバイス面まで進展させることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記分割工程は、前記凸形状を有する前記ウェハ吸着台に載置されたウェハを前記凸形状に沿って変形させながら前記ウェハの裏面に弾性テープを貼付する工程を含むことを特徴とする。
請求項10に記載された発明によれば、凸形状を有するテーブルにウェハを表面を下にして載置し、当該載置されたウェハをテーブルに吸着させることで、ウェハを凸形状に沿って変形させる。これにより、微小空孔をウェハの厚み方向に進展させ、ウェハを複数のチップへと分割することができる。
請求項11に記載の発明は、切断ラインに沿ってウェハの裏面からレーザー光を入射して前記ウェハの内部に微小空孔を含む予備改質領域及び本改質領域を形成するレーザーダイシング手段と、前記ウェハを裏面から研削して前記予備改質領域及び前記本改質領域を除去する研削手段と、前記レーザーダイシング手段から前記研削手段へ前記ウェハを搬送する搬送手段と、前記ウェハを切断ラインに沿って分割する分割手段と、を備えた半導体基板の切断装置であって、前記レーザーダイシング手段は、前記ウェハの表面が下向きに載置されるテーブルと、前記ウェハに向けてレーザー光を照射して前記予備改質領域及び前記本改質領域を形成する照射手段と、前記レーザー光が照射される位置が変わるように前記照射手段を制御する第1の制御手段であって、前記予備改質領域が形成された位置と前記ウェハの厚さ方向のみ異なる位置に前記本改質領域が形成されるように前記照射手段を制御する第1の制御手段と、を備え、前記研削手段は、前記ウェハの表面が下向きに載置され、前記ウェハの略全面を吸着する吸着テーブルと、前記ウェハを研削する砥石と、前記砥石の高さ及び回転数を制御する第2の制御手段と、を備えたことを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の半導体基板の切断装置において、前記第1の制御手段は、前記チップの厚さに応じて前記本改質領域を複数形成するように前記照射手段を制御することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項11又は12に記載の半導体基板の切断装置において、前記第1の制御手段は、前記ウェハの表面から前記チップの厚さ分だけ裏面側に位置する面より前記ウェハの裏面側へ略10μm〜略30μmの位置に前記予備改質領域を形成し、前記予備改質領域又は前記本改質領域より前記ウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に前記本改質領域を形成するように前記照射手段を制御することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記分割手段は、前記ウェハの表面が下向きに載置される凸形状を有するウェハ吸着台と、前記ウェハ吸着台に載置されたウェハを前記凸形状に沿って変形させて曲げ応力を生じさせる変形手段と、を備えたことを特徴とする。
これにより、ウェハに曲げ応力を生じさせて微小空孔をウェハの表面まで進展させることができ、効率よくウェハをチップへと分割することができる。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の発明において、前記変形手段は、前記ウェハを前記ウェハ吸着台へ真空吸着させる吸着手段であることを特徴とする。
これにより、ウェハに弾性テープを貼付することなくウェハに曲げ応力を生じさせることができる。
請求項16に記載の発明は、請求項14に記載の発明において、前記変形手段は、前記ウェハを前記凸テーブルへ押し付けながら前記ウェハの裏面に弾性テープを貼付する手段であることを特徴とする。
これにより、ウェハの変形と弾性テープの貼付を同時に行うことができる。
本発明によれば、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
レーザーダイシング装置1の概観構成を示す図。 レーザーダイシング装置1の駆動手段の構成を表わす概念図。 レーザーダイシング装置1の駆動手段の構成を表わす平面図。 レーザー光を照射する位置を示すウェハW断面図。 研削装置2の概観構成を示す図。 研削装置2の部分拡大図。 研削装置2の部分拡大図。 研削装置2の研磨ステージの概略図。 研削装置2のチャックの詳細を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は部分拡大図。 半導体基板の切断方法の処理の流れを示すフローチャート。 レーザー改質工程のうちの予備改質領域の形成を説明する図。 切断ラインを説明する図。 レーザー改質工程のうちの本改質領域の形成を説明する図。 本改質領域の形成によりクラックが進展することを説明する図。 本改質領域の形成によりクラックが進展することを説明する図。 研削除去工程を説明する図。 研削除去工程後のウェハW裏面の表面状態を説明する図。 分割・離間工程を説明する図。 分割・離間工程を説明する図。 分割装置300の概観構成を示す図。 半導体基板の切断方法の処理の流れを示すフローチャート。 エキスパンドテープ貼付工程を説明する図であり、(a)はウェハをテーブルに載置した状態を示し、(b)はウェハが真空吸着された状態を示し、(c)はウェハが真空吸着されることでクラックを進展させることを説明する図であり、(d)はエキスパンドテープを貼付した状態を示す。 エキスパンドテープ貼付工程においてクラックを進展させる別の方法を説明する図 エキスパンドテープ貼付工程においてクラックを進展させる別の方法を説明する図 チャック撓ませ手段の他の実施形態を示す説明図
以下、添付図面に従って本発明に係る半導体基板の切断方法及び半導体基板の切断装置の好ましい実施の形態について詳説する。
<<第1の実施の形態>>
本実施の形態は、レーザーダイシング装置1と、研削装置2と、レーザーダイシング装置1により加工されたウェハを研削装置2へ搬送する搬送装置(図示せず)と、研削装置2により研削されたウェハをチップへ分割する分割装置とで構成された切断装置により行われる。
<装置構成について>
(1)レーザーダイシング装置1について
図1は、レーザーダイシング装置1の概観構成を示す図である。同図に示すように、本実施の形態のレーザーダイシング装置1は、主として、ウェハ移動部11、レーザー光学部20と観察光学部30とからなるレーザーヘッド40、制御部50等から構成されている。
ウェハ移動部11は、ウェハWを吸着保持する吸着ステージ13と、レーザーダイシング装置1の本体ベース16に設けられ、吸着ステージ13をXYZθ方向に精密に移動させるXYZθテーブル12等からなる。このウェハ移動部11によって、ウェハWが図のXYZθ方向に精密に移動される。
ウェハWは、表面の一方の面に粘着材を有するBGテープBが貼付され、裏面が上向きとなるように吸着ステージ13に載置される。
なお、ウェハWは、一方の面に粘着材を有するダイシングシートが貼付され、このダイシングシートを介してフレームと一体化された状態で吸着ステージ13に載置されるようにしてもよい。この場合には、表面が上向きとなるように吸着ステージ13に載置される。
レーザー光学部20は、レーザー発振器21、コリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ(集光レンズ)24、レーザー光をウェハWに対して平行に微小移動させる駆動手段25等で構成されている。レーザー発振器21から発振されたレーザー光は、コリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経てウェハWの内部に集光される。集光点のZ方向位置は、後出のZ微動手段27によるコンデンスレンズ24のZ方向微動によって調整される。
次に、レーザー光の照射条件の一例を示す。以下に示すのは、好適なレーザー光照射条件の一例である。
ウェハ厚み:775μm、目標チップ厚み:50μmの場合についての条件を以下に述べる。また、コンデンスレンズ24の条件は、倍率が50倍、N.A.が0.55、レーザー光波長に対する透過率が60パーセントである。
<レーザー光の照射条件>
(1)予備照射 照射条件
照射深さ: チップ最深部から70μm付近に照準(改質領域:約60μm〜80μm)
光源: 半導体レーザー励起Nd:YAGレーザー、波長1080nm、
レーザー光スポット断面積: 3.14×10−8cm
発振形態: Qスイッチパルス、
繰り返し周波数:80kHz〜120kHz、
出力: 14μJ〜25μJ/パルス、
レーザー光スキャン速度: 250mm〜300mm/sec
パルス間隔: 2.1〜3.75μm
レーザー光品質:TEM00、
偏光特性: 直線偏光
ここで、より細いピッチで照射する場合は、例えば、以下の条件が好適である。
光源: 半導体レーザー励起Nd:YAGレーザー、波長1080nm、
レーザー光スポット断面積: 3.14×10−8cm
発振形態: Qスイッチパルス、
繰り返し周波数:120kHz、
出力: 14μJ/パルス(〜約25μJ/パルス)
レーザー光スキャン速度:250mm/sec
パルス間隔: 2.08μm
レーザー光品質:TEM00、偏光特性は直線偏光
予備照射は、最終チップに最も近い場所であるため、最終チップ断面に改質領域を残さないように精密に照射することが望ましい。よって、パルス間隔を狭くすると共に、出力も、その後の本照射よりも抑えて、間違っても改質領域が最終チップに至らないように、精密に照射することが必要である。
(2)本照射 1回目 照射条件
予備照射の後の本照射においては、最終チップ部分より離れた位置に照射し、また予備照射で形成した改質層からの亀裂を進展させることが目的であるため、予備照射よりも大きい出力で粗く照射してかまわない。よって、例えば以下のような条件が適用できる。
照射深さ: チップ最深部から90〜100μm付近に照準
光源: 半導体レーザー励起Nd:YAGレーザー、波長1080nm、
レーザー光スポット断面積:3.14×10−8cm
発振形態: Qスイッチパルス、
繰り返し周波数:80kHz、
パルス幅: 12.5μs、
出力: 20μJ/パルス、
レーザー光スキャン速度: 300mm/sec
パルス間隔: 3.75μm
レーザー光品質:TEM00
偏光特性: 直線偏光。
又は、以下の条件でも良い。
光源: 半導体レーザー励起Nd:YAGレーザー、波長1080nm、
レーザー光スポット断面積:3.14×10−8cm
発振形態: Qスイッチパルス、
繰り返し周波数:80kHz、
パルス幅: 12.5μs、
出力: 20μJ/パルス、
レーザー光スキャン速度:300mm/sec
パルス間隔: 3.75μm
レーザー光品質:TEM00
偏光特性: 直線偏光
上記本照射の条件の場合、レーザーパワーを予備照射よりも大きくし、多少の焦点精度が悪くても、焦点精度の悪化がチップ断面に改質層が及ぶことはない。また、多少の改質層がまばらであっても、先に照射した予備照射による改質層の亀裂を進展させるだけでよいのであるから、大きな問題はない。
また、本照射の改質層も、予備照射の改質層もいずれ研削によって除去されるのであるから、多少のばらつきがあっても、関係ない。
なお、2本のレーザー照射を立て続けに照射する場合は、特に予備照射で形成された改質層が完全に冷却されて固化する前に、本照射をすると、予備照射の亀裂が特に進展しやすい。
レーザー光スキャン速度は、ウェハを載せるステージの送り速度に依存するため、予備照射と同じ速度になり、パルス間隔も同一である方が望ましい。
(2)効果:
上記条件により得られる効果は次の通りである。即ち、このような条件により、先に照射した予備照射による改質層から延びる亀裂が、本照射によってさらに助長され、最終チップの断面部分にまで進展させることができる。この進展した亀裂を起点に最終的にチップを割断する。
観察光学部30は、観察用光源31、コリメートレンズ32、ハーフミラー33、コンデンスレンズ34、観察手段としてのCCDカメラ35、画像処理部38、テレビモニタ36等で構成されている。
観察光学部30では、観察用光源31から出射された照明光がコリメートレンズ32、ハーフミラー33、コンデンスレンズ24等の光学系を経てウェハWの表面を照射する。ウェハWの表面からの反射光はコンデンスレンズ24、ハーフミラー23及び33、コンデンスレンズ34を経由して観察手段としてのCCDカメラ35に入射し、ウェハWの表面画像が撮像される。
この撮像データは画像処理部38に入力され、ウェハWのアライメントに用いられるとともに、制御部50を経てテレビモニタ36に写し出される。
制御部50は、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、レーザーダイシング装置1の各部の動作を制御する。
なお、レーザーダイシング装置1は、図示しないウェハカセットエレベータ、ウェハ搬送手段、操作板、及び表示灯等から構成されている。
ウェハカセットエレベータは、ウェハが格納されたカセットを上下移動して搬送位置に位置決めする。搬送手段はカセットと吸着ステージ13との間でウェハを搬送する。
操作板には、ダイシング装置10の各部を操作するスイッチ類や表示装置が取付けられている。表示灯は、ダイシング装置10の加工中、加工終了、非常停止等の稼動状況を表示する。
図2は、駆動手段25の細部を説明する概念図である。駆動手段25は、コンデンスレンズ24を保持するレンズフレーム26、レンズフレーム26の上面に取り付けられレンズフレーム26を図のZ方向に微小移動させるZ微動手段27、Z微動手段27を保持する保持フレーム28、保持フレーム28をウェハWと平行に微小移動させるリニア微動手段であるPZ1、PZ2等から構成される。
Z微動手段27には電圧印加によって伸縮する圧電素子が用いられている。この圧電素子の伸縮によってコンデンスレンズ24がZ方向に微小送りされて、レーザー光の集光点のZ方向位置が精密に位置決めされるようになっている。
保持フレーム28は、図示しない4本のピアノ線からなる2対の平行バネで支持され、XY方向には移動自在で、Z方向の移動が拘束されている。なお、保持フレーム28の支持方法はこれに限らず、例えば複数のボールで上下に挟み込み、Z方向の移動を拘束するとともにXY方向に移動自在に支持してもよい。
リニア微動手段PZ1、PZ2には、Z微動手段27と同じく圧電素子が用いられており、一端がレーザーヘッド40のケース本体に固定され、他端が保持フレーム28の側面に当接している。
図3は、駆動手段25の平面図である。図3に示すように、リニア微動手段PZ1、PZ2はX方向に2個配置されており、夫々一端がレーザーヘッド40のケース本体に固定され、他端が保持フレーム28の側面に当接している。したがって、印加電圧を制御することによってコンデンスレンズ24をX方向に往復微動送りすることができ、レーザー光をX方向に往復微動送りさせたり振動させたりすることができる。
なお、リニア微動手段PZ1、PZ2のうちどちらか一方に圧電素子を用い、他方をバネ材等の弾性部材にしてもよい。また、リニア微動手段を円周上に3個配置するようにしてもよい。
レーザー発振器21からレーザー光Lが出射され、レーザー光Lはコリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経由してウェハWの内部に照射される。照射されるレーザー光Lの集光点のZ方向位置は、XYZθテーブル12によるウェハWのZ方向位置調整、及びZ微動手段27によるコンデンスレンズ24の位置制御によって、ウェハW内部の所定位置に正確に設定される。
この状態でXYZθテーブル12がダイシング方向であるX方向に加工送りされるとともに、レーザーヘッド40に設けられたリニア微動手段PZ1、PZ2によってコンデンスレンズ24が往復微小移動され、レーザー光LがウェハWと平行にX方向、又は任意のXY方向に振動され、レーザー光Lの集光点がウェハ内部で微小振動しながら予備改質領域P1(図4参照)を形成してゆく。これにより、ウェハWの切断ラインに沿って、ウェハW内部に多光子吸収による予備改質領域P1が1ライン形成される。
なお、必要に応じ、Z微動手段27によるZ方向の振動を加えてもよい。また、レーザー光Lを加工方向であるX方向にゆっくり往復微動送りさせながらウェハWをX方向に送ることにより、レーザー光Lをミシン目のように行きつ戻りつの状態で繰返し照射するようにしてもよい。
切断ラインに沿って予備改質領域P1が1ライン形成されると、XYZθテーブル12がY方向に1ピッチ割り出し送りされ、次のラインも同様に予備改質領域P1が形成される。
全てのX方向と平行な切断ラインに沿って予備改質領域P1が形成されると、XYZθテーブル12が90°回転され、先程のラインと直交するラインも同様にして全て予備改質領域P1が形成される。
全ての予備改質領域P1の形成が終了すると、図4に示すように、予備改質領域P1とウェハWの厚さ方向の位置のみ異なる位置に本改質領域P2を形成する。すなわち、予備改質領域P1及び本改質領域P2は、平面上の位置(ウェハW裏面又は表面から見た位置)は同じであり共に切断ラインに沿って形成されるが、ウェハWの厚さ方向の位置のみが異なる。
XYZθテーブル12によるウェハWのZ方向位置調整、及びZ微動手段27によるコンデンスレンズ24の位置制御によって、予備改質領域P1の形成時と照射されるレーザー光Lの集光点のZ方向位置を変更する。
この状態でXYZθテーブル12がダイシング方向であるX方向に加工送りされるとともに、レーザーヘッド40に設けられたリニア微動手段PZ1、PZ2によってコンデンスレンズ24が往復微小移動され、レーザー光LがウェハWと平行にX方向、又は任意のXY方向に振動され、レーザー光Lの集光点がウェハ内部で微小振動しながら本改質領域P2を形成してゆく。これにより、ウェハWの切断ラインに沿って、ウェハW内部に多光子吸収による本改質領域P2が1ライン形成される。
切断ラインに沿って本改質領域P2が1ライン形成されると、XYZθテーブル12がY方向に1ピッチ割り出し送りされ、次のラインも同様に予備改質領域P1が形成される。全てのX方向と平行な切断ラインに沿って本改質領域P2が形成されると、XYZθテーブル12が90°回転され、先程のラインと直交するラインも同様にして全て本改質領域P2が形成される。これにより、全ての切断ラインに沿って本改質領域P2が形成される。
(2)研削装置2について
図5は、研削装置2の概観構成を示す斜視図である。研削装置2の本体112には、アライメントステージ116、粗研削ステージ118、精研削ステージ120、研磨ステージ122、研磨布洗浄ステージ123、研磨布ドレッシングステージ127、及びウェハ洗浄ステージ124が設けられている。
粗研削ステージ118、精研削ステージ120、研磨ステージ122は、図6に示すように仕切板125(図5では省略)によって仕切られ、各々のステージ118、120、122で使用する加工液が隣接するステージに飛散するのが防止されている。
仕切板125は、図6に示すように、インデックステーブル134に固定されるとともに、インデックステーブル134に設置された4台のチャック132、136、138、140を仕切るように十字形状に形成されている。
粗研削ステージ118は、粗研磨を行うステージであり、図6に示すように、本体112の側面、天板128、及び仕切板125によって囲まれている。精研削ステージ120は、精研磨を行うステージであり、粗研磨ステージ118と同様に、本体112の側面、天板129、及び仕切板125によって囲まれている。仕切板125の上面及び側面にはブラシ(図示せず)が配設され、粗研削ステージ118、精研削ステージ120を外部から隔離している。また、天板128、129には、各ステージのヘッドが挿通される貫通孔128A、129Aが形成されている。
研磨ステージ122は、化学機械研磨を行うものであり、他のステージから隔離するために、図6に示すように、天板126Aを有するケーシング126によって覆われている。なお、天板126Aには、各ステージのヘッドが挿通される貫通孔126Cが形成されている。
ケーシング126の仕切板125が通過する側面には、図7に示すように、ブラシ126Bが取り付けられており、このブラシ126Bは、チャック140が加工位置に位置した時に、仕切板125の上面125A及び側面125Bに接触される。これにより、チャック140が加工位置に位置すると、ケーシング126、仕切板125、及びブラシ126Bによって略気密状態に保持される。
研磨ステージ122は、化学機械研磨を行うものであるため、研磨加工液に化学研磨剤が含有されている。このような研磨加工液に研削加工液が混入すると、化学研磨剤の濃度が低下し、加工時間が長くなるという不具合が生じる。研磨ステージ122を略機密状態に保つことにより、精研削ステージ120で使用される研削加工液や加工屑が研磨ステージ122に浸入するのを防止でき、また、研磨ステージ122で使用される研磨加工液が研磨ステージ122から飛散するのを防止できる。したがって、双方の加工液が混入することに起因する加工不具合を防止できる。
図8は、研磨ステージ122の構造図である。研磨ステージ122では、研磨布156と、研磨布156から供給されるスラリとによって研磨され、粗研磨、精研磨によりウェハWの裏面に生じている加工変質層が除去される。加工変質層とは、研削によって生じた条痕や加工歪(結晶が変質している)等の総称である。
研磨ステージ122の研磨布156は、モータ158の出力軸160に連結された研磨ヘッド161に取り付けられている。モータ158の側面には、直動ガイドを構成するガイドブロック162、162が設けられており、ガイドブロック162、162が、サポートプレート164の側面に設けられたガイドレール166に上下移動自在に係合されている。したがって、研磨布156はモータ158とともに、サポートプレート164に対して上下移動自在に取り付けられている。
サポートプレート164は、水平に配置されたアーム168の先端に設けられている。アーム168の基端部は、ケーシング170内に配置されたモータ172の出力軸174に接続されている。したがって、モータ172が駆動されると、アーム168は出力軸174を中心に回動することができる。これにより、研磨布56を研磨位置(図5の実線参照)と、研磨布洗浄ステージ123による研磨布洗浄位置(図5の2点鎖線参照)と、研磨布ドレッシングステージ127によるドレス位置との範囲内で移動させることができる。
研磨布156は、研磨布洗浄位置に移動された際に、研磨布洗浄ステージ123によって、その表面が洗浄されて表面に付着している研磨屑等が除去される。なお、研磨布156としては、発泡ポリウレタン、研磨布等を例示することができ、研磨布洗浄ステージ123には、研磨屑を除去するブラシ等の除去部材が設けられている。この除去部材は、研磨布156の洗浄時に回転駆動され、研磨布156も同様にモータ158によって回転駆動される。研磨布ドレッシングステージ127には、研磨布156と同じ材料、例えば発泡ポリウレタンが採用されている。
ケーシング170の側面には、直動ガイドを構成するガイドブロック176、176が設けられ、このガイドブロック176、176が、ねじ送り装置用のハウジング178の側面に設けられたガイドレール180に上下移動自在に係合されている。また、ケーシング170の側面には、ナット部材179が突設されている。ナット部材179は、ハウジング178に形成された開口部(図示せず)を介してハウジング178内に配設されたねじ送り装置のねじ棒181に螺合されている。
ねじ棒181の上端には、モータ182の出力軸184が連結されている。したがって、モータ182が駆動されて、ねじ棒181が回転されると、ねじ送り装置の送り作用と、ガイドブロック176とガイドレール180の直進作用とによって、ケーシング70が上下移動される。これによって、研磨布156が上下方向に大きく移動され、研磨ヘッド161とウェハWとの間隔が所定の間隔に設定される。
モータ158の上面には、エアシリンダ装置186のピストン188がアーム168の貫通孔169を介して連結されている。また、エアシリンダ装置186には、シリンダの内圧Pを制御するレギュレータ190が接続されている。したがって、このレギュレータ190によって内圧Pが制御されると、ウェハWに対する研磨布156の押圧力(圧接力)を制御することができる。
なお、本実施の形態では、研磨体として研磨布156を適用したが、これに限定されるものではなく、加工変質層の除去が可能であれば、例えば研磨砥石や砥粒の電気泳動等を適用してもよい。研磨砥石や砥粒の電気泳動等を適用した場合には、定量研磨を行うことが好ましい。
図5の説明に戻る。アライメントステージ116は、図示しない搬送装置によりレーザーダイシング装置1から搬送されたウェハWを所定の位置に位置合わせするステージである。このアライメントステージ116で位置合わせされたウェハWは、図示しない搬送用ロボットに吸着保持された後、空のチャック132に向けて搬送され、このチャック132の吸着面に吸着保持される。
チャック132は、インデックステーブル134に設置され、また、同機能を備えたチャック136、138、140が、インデックステーブル134の回転軸135を中心とする円周上に90度の間隔をもって設置されている。回転軸135には、モータ(図示せず)のスピンドル(図示せず)が連結されている。
チャック136は、図5においては粗研削ステージ118に位置されており、吸着したウェハWがここで粗研削される。チャック138は、図5においては精研削ステージ120に位置され、吸着したウェハWがここで仕上げ研削(精研削、スパークアウト)される。チャック140は、図5においては研磨ステージ122に位置され、吸着したウェハWがここで研磨され、研削で生じた加工変質層、及びウェハWの厚みのバラツキ分が除去される。
ここで、チャック132、136、138、140について説明する。チャック136、138、140はチャック132と同様の構成を有するため、チャック132について説明し、チャック136、138、140については説明を省略する。
図9は、チャック132の詳細を示す図であり、(a)はチャック132の平面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(b)におけるB部拡大図である。
チャック132は、緻密体で形成されたチャック本体132bに、多孔質材(例えば、ポーラスセラミックス)で形成された載置台132aが嵌めこまれることにより構成される。チャック本体132bの載置台132aが嵌めこまれる下側には、真空吸着のために吸着孔132cが形成されている。なお、チャック132は、熱伝導率の低い材質で形成されることが望ましい。
載置台132aには、図9(c)に示すように、ウェハWがBGテープBを介して載置される。載置台132aは、図9(c)に示すように、ウェハWを載置台132aに載置した時に、ウェハWの外周の一部が載置台132aからはみ出すよう形成されているが、その幅xは約1.5mm程度である。なお、本実施の形態で用いられるウェハWは、直径が約12インチ、厚さtは約775μmである。
吸着孔132cは、図9(a)、(b)に示すように、載置台132aの略全域を覆うように配置されている。吸着孔132cには、図示しない流体継手が連結され、この流体継手に連結された図示しないサクションポンプが空気を吸引する。したがって、ウェハWの略全面が載置台132aの表面にしっかりと真空吸着される。これにより、位置ずれを起こすことなく、ウェハWと載置台132aとを面で密着させることができる。
チャック132、136、138、140は、図8に示すように、その下面にスピンドル194とモータ192が各々連結され、これらのモータ192の駆動力によって回転される。モータ192は、支持部材193を介してインデックステーブル134に支持されている。これにより、チャック132、136、138、140をモータ137で移動させる毎に、スピンドル194をチャック132、136、138、140から切り離したり、次の移動位置に設置されたスピンドル194にチャック132、136、138、140を連結したりする手間を省くことができる。
モータ192の下部には、シリンダ装置117のピストン119が連結されている。このピストン119が伸長されると、チャック132、136、138、140の下部に形成された凹部(図示せず)に嵌入されて連結される。そして、チャック132、136、138、140は、ピストン119の継続する伸長動作によって、インデックステーブル134から上昇移動され、砥石146、154による研削位置に位置される。
制御部100は、CPU、メモリ、入出力回路部等からなり、研削装置2の各部の動作を制御する。
チャック132に吸着保持されたウェハWは、制御部100に接続された一対の測定ゲージ(図示せず)によってその厚みが測定される。これらの測定ゲージは、それぞれ接触子を有し、接触子はウェハWの上面(裏面)に、他の接触子はチャック132の上面に接触されている。これらの測定ゲージは、チャック132の上面を基準点としてウェハWの厚みをインプロセスゲージ読取値の差として検出することができる。なお、測定ゲージによる厚み測定はインラインで実施してもよい。また、ウェハWの厚み測定の方法はこれに限られない。
制御部100によりインデックステーブル134が図5の矢印R方向に90度回転されることで、厚みが測定されたウェハWが粗研削ステージ118に位置され、粗研削ステージ118のカップ型砥石146によってウェハWの裏面が粗研削される。このカップ型砥石146は、図5に示すように、モータ148の図示しない出力軸に連結され、また、モータ148のサポート用ケーシング150を介して砥石送り装置152に取り付けられている。砥石送り装置152は、カップ型砥石146をモータ148とともに昇降移動させるもので、この下降移動によりカップ型砥石146がウェハWの裏面に押し付けられる。
これにより、ウェハWの裏面の粗研削が行われる。制御部100は、カップ型砥石146の下降移動量を設定し、モータ148を制御する。なお、カップ型砥石46の下降移動量、即ちカップ型砥石146による研削量は、予め登録されているカップ型砥石146の基準位置と、測定ゲージで検出されたウェハWの厚みとに基づいて設定される。また、制御部100は、モータ148の回転数を制御することで、カップ型砥石146の回転数を制御する。
粗研削ステージ118で裏面が粗研削されたウェハWは、ウェハWからカップ型砥石146が退避移動した後、制御部100に接続された測定ゲージ(図示せず)によってその厚みが測定される。制御部100によりインデックステーブル134が図5の矢印R方向に90度回転されることで、厚みが測定されたウェハWが精研削ステージ120に位置され、精研削ステージ120のカップ型砥石154によって精研削、スパークアウトされる。この精研削ステージ120の構造は、粗研削ステージ118の構造と同一なので、ここではその説明を省略する。また、カップ型砥石154による研削量は制御部100により設定され、カップ型砥石154の加工移動量及び回転数は制御部100により制御される。
精研削ステージ120で裏面が精研削されたウェハWは、ウェハWからカップ型砥石154が退避移動した後、制御部100に接続された測定ゲージ(図示せず)によってその厚みが測定される。制御部100によりインデックステーブル134が図5の矢印R方向に90度回転されると、厚みが測定されたウェハWが研磨ステージ122に位置され、研磨ステージ122の研磨布156によって化学機械研磨が行われ、ウェハWの裏面が鏡面加工される。研磨布156の上下移動距離は、制御部100により設定され、制御部100によりモータ182が制御されることで研磨布156の位置が制御される。また、制御部100によりモータ158の回転数、すなわち研磨布156の回転数が制御される。
研磨ステージ122で研磨されたウェハWは、制御部100によりアーム168が回動され、研磨布156がウェハWの上方位置から退避移動した後に、ロボット(図示せず)のハンド(図示せず)で吸着保持されてウェハ洗浄ステージ124に搬送される。ウェハ洗浄ステージ124としては、リンス洗浄機能、及びスピン乾燥機能を有するステージが適用されている。研磨終了したウェハWは、加工変質層が除去されているので、容易に破損することはなく、よって、ロボットによる搬送時、及びウェハ洗浄ステージ124における洗浄時において破損しない。
ウェハ洗浄ステージ124で洗浄乾燥終了したウェハWは、ロボット(図示せず)のハンド(図示せず)に吸着保持されて、カセット(図示せず)の所定の棚に収納される。
(3)分割装置について
次に分割装置(不図示)について説明する。分割装置は、従来の通常の分割装置を使用することができる。例えば、再表2004−100240に開示されている、以下のような構成の分割装置を使用することができる。
即ち、ダイシングテープの周縁部は枠状のフレームに固定されている。ダイシングテープ周縁部の内側部分の下面にはリング部材が当接している。このリング部材の上面外周縁部は滑らかにR面取りがされている。ダイシングテープの下方には、UV光源(UV光照射手段)が配されている。
UV光源よりUV光をダイシングテープに向けて照射すると共に、フレームを下の方向に押し下げる。UV光の照射により、ダイシングテープの粘着剤を硬化させたり、テープの粘着力を変化させたりできる。
同時に、フレームに下方向に力が付与され、下方に押し下げられる。これによりダイシングテープはエキスパンドされ、チップ同士の間隔が広げられる。この時、リング部材の上面外周縁部が滑らかにR面取りされているので、ダイシングテープSはスムーズにエキスパンドされる。
フレームFを押し下げるための機構としては、公知の各種直動装置が採用できる。たとえば、シリンダ部材(油圧、空圧等による)、モータとねじ(シャフトとしての雄ねじと軸受としての雌ねじとの組み合わせ)よりなる直動装置が採用できる。
UV光の照射強度(電力)、波長領域、照射時間等の照射条件は、ダイシングテープSの粘着剤の材質、ウエーハのサイズ、割断後のチップのサイズ等に応じて適宜の値が選択できる。
ここでUV光源については、必ずしも有する必要はなくダイシングテープの粘着力を調整することにより、適切にチップを割断することが可能である。
<半導体基板の切断方法1>
次に、半導体基板の切断方法について説明する。図10は、半導体基板の切断方法の処理の流れを示すフローチャートである。
(1)レーザー改質工程(ステップS10)
表面にBGテープBが貼付されたウェハWが、裏面が上向きとなるようにレーザーダイシング装置1の吸着ステージ13に載置される。以下の処理はレーザーダイシング装置1で行われ、制御部50により制御される。
レーザー発振器21からレーザー光Lが出射されると、図11に示すように、レーザー光Lはコリメートレンズ22、ハーフミラー23、コンデンスレンズ24等の光学系を経由してウェハWの内部に照射され、ウェハWの内部に予備改質領域P1が形成される。
本実施の形態では、最終的に生成されるチップの厚さが略50μmであるため、図11に示すように、ウェハWの表面から略60μm〜略80μmの深さ、すなわちウェハW表面からチップTの厚み分だけ裏面側に位置する面である目標面から略10μm〜略30μmだけウェハW裏面側の位置にレーザー光を照射して予備改質領域P1を形成する。ウェハWの表面(デバイス面)を効率的に破断するためには、目標面に近い比較的深い位置にレーザ改質領域を形成する必要があるからである。なお、目標面と予備改質領域のウェハ厚さ方向の位置との関係は、最終的に生成されるチップの厚さにはよらず一定である。
制御部50は、パルス状の加工用のレーザー光LをウェハWの表面に平行に走査して、ウェハW内部に複数の不連続な予備改質領域P1、P1、…を並べて形成する。予備改質領域P1の内部には、微小空孔(以下、クラックという)K1が形成される。以下、複数の不連続な予備改質領域P1、P1、…が並べて形成された領域を予備改質層という。
図12に示す切断ラインLのすべてに沿って予備改質層が形成されたら、図12に示す切断ラインLのすべてに沿って、予備改質領域P1の位置とウェハWの厚さ方向のみ異なる位置に本改質領域P2を形成する。図13に示すように、ウェハWの表面から略100μm〜略120μmの深さ、すなわち予備改質層のウェハW裏面側の面から略20μm〜略40μmだけウェハW裏面側の位置にレーザー光を照射して本改質領域P2を形成する。
制御部50は、パルス状の加工用のレーザー光LをウェハWの表面に平行に走査して、ウェハW内部に複数の不連続な本改質領域P2、P2、…を並べて形成する。本改質領域P2の内部には、微小空孔(以下、クラックという)K2が形成される。以下、複数の不連続な予備改質領域P2、P2、…が並べて形成された領域を本改質層という。本実施の形態では、予備改質層と本改質層との間隔を略20μmとしているが、予備改質層と本改質層との間隔は略20μm〜略30μmであればよく、これに限定されるものではない。なお、予備改質領域のウェハ厚さ方向の位置と、本改質領域のウェハ厚さ方向の位置の関係は、最終的に生成されるチップの厚さにはよらず一定である。
このように予備改質領域P1と本改質領域P2とが所定の間隔で重ねて形成されると、本改質領域P2形成時の衝撃により、図14に示すように、予備改質領域P1内のクラックK1と本改質領域P2内のクラックK2がつながる。すなわち、クラックK2が形成されることにより、クラックK1がウェハWの厚さ方向に進展する。
クラックK2がつながる前(すなわち予備改質領域P1のみが形成されていた図11における状態)は、クラックK1のウェハW厚さ方向の長さは中心から上下方向にそれぞれ略8μm〜10μmであるが、クラックK2がクラックK1につながると、クラックK1のウェハW厚さ方向の長さは中心から上下方向にそれぞれ略20μmと長くなる。これにより、クラックK1は目標面よりウェハWの表面側まで進展する。
すなわち、本改質領域P2を形成することでクラックを微妙に進展させることが可能となる。したがって、目標面とウェハWの表面との間まで等所望の位置までクラックを進展させることができ、後に説明する分割・離間工程(ステップS18)で効率よく分割することが可能となる。
なお、最終的に生成されるチップTの厚さ、すなわち進展させたいクラックの長さに応じて、本改質領域P2に加えて本改質領域P3を形成するようにしてもよい。図15は、予備改質領域P1を1つと本改質領域P2、P3を2つの合計3つの改質領域を形成した場合の模式図である。本改質領域P2と本改質領域P3との間隔は、予備改質領域P1と本改質領域P2との間隔と同じである。
図15に示すように、予備改質領域P1、本改質領域P2が形成されているところに、本改質領域P2と所定の間隔で本改質領域P3が重ねて形成されると、本改質領域P3形成時の衝撃により、本改質領域P3内のクラックK3が本改質領域P2内のクラックK2につながり、それによりクラックK2につながっているクラックK1がウェハWの厚さ方向に進展する。
このように、本改質領域の数を増やしていくと、予備改質領域P1のクラックK1を進展させることができる。なお、新たに形成される本改質領域と、直前に形成された本改質領域との間隔は、予備改質領域P1と本改質領域P2との間隔と同じである。
表1は、照射深さ間隔20μmのときの、本改質領域の数とクラックK1の進展する長さとの関係を示すものである。表1より、最終チップTの厚さを略60μmとする場合において、初期の予備改質領域の下端が、デバイス面側から90μmの位置に照射された場合に、残り30μmほどクラックを進展させる必要があることがわかる。このとき、本改質領域の数として、表1によれば、2つ形成すればよいことがわかる。2つ形成することで初期の予備改質領域から派生する亀裂を40μm延長することができるからである。表1は、材質がSiで面方位が(100)等のウェハを用いた場合であるが、様々な別の材料によっても、本改質領域の数によってクラックが進展する長さをあらかじめ求めておくとよい。
Figure 2012109358
クラックK1が所望の長さに進展したら、ステップS10の処理を終了する。
(2)研削除去工程(ステップS12)
レーザー改質工程(ステップS10)により切断ラインLに沿って改質領域が形成されたら、 搬送装置(図示せず)によりウェハWをレーザーダイシング装置1から研削装置2へ搬送する。以下の処理は研削装置2で行われ、制御部100により制御される。
搬送されたウェハWを裏面を上側、すなわちウェハWの表面に貼付されたBGテープBを下側にしてチャック132(例示、チャック136、148、140でも可)に載置させ、ウェハWの略全面をチャック132に真空吸着させる。
インデックステーブル134を回転軸135を中心に回転させてチャック132を粗研削ステージ118に搬入し、ウェハWを粗研磨する。
粗研磨は、チャック132を回転させるとともにカップ型砥石146を回転させることにより行う。本実施の形態では、カップ型砥石146として番手が#325番以上の砥石(例えば、東京精密製ビトリファイド♯325)を用い、カップ型砥石146の回転数は略3000rpmである。
粗研磨後、インデックステーブル134を回転軸135を中心に回転させてチャック132を精研削ステージ120に搬入し、チャック132を回転させるとともにカップ型砥石154を回転させてウェハWを精研磨する。本実施の形態では、カップ型砥石154として番手が#2000以上の砥石(例えば、東京精密製レジン♯2000)を用い、カップ型砥石154の回転数は略2400rpmである。
本実施の形態では、図16に示すように、粗研磨と精研磨とをあわせて目標面まで、すなわちウェハWの表面からチップTの厚さ(本実施の形態では略50μm)だけ裏面側に位置する面まで研削を行う。本実施の形態では、粗研磨で略700μmの研削を行い、精研磨で略30〜40μmの研削を行うが、厳密に決まっているわけではなく、粗研磨と精研磨との時間が略同一となるように研削量を決定してもよい。
したがって、図16に示すように、予備改質層及び本改質層は研削工程で除去され、最終的な製品であるチップT断面にはレーザー光による予備改質領域P1及び本改質領域P2、P3・・・は残らない。そのため、チップ断面から改質層が破砕し、破砕した部分からチップTが割れたり、また破砕した部分から発塵したりということをなくすことができる。
なお、本実施の形態では、研削時の条件によっては、この研削除去工程においてもクラックK1をさらに進展させることも可能である。ウェハWの裏面(研削面)は熱膨張によって円盤状の場合外周方向に広がろうとする(熱膨張による変位)のに対し、ウェハWの表面(吸着面)は物理的に位置ずれしないように略全面が拘束されているため、ウェハ内部に歪が生じ、この内部歪によりクラックKがウェハWの厚み方向に進展するからである。なお、研削によりクラックK1を進展させるためには、研磨初期に研削水を供給せずに研削熱を上昇させるように研削することや、また、少なくともレーザー光による改質領域がウェハの中立面より下側に存在するという条件下でクラックを進展させる研削を行う必要がある。なお、この現象はウェハWの略全面を固定する場合に限定されるものであり、ウェハWをリテーナ等に嵌め込むことで基板の外周を支持する場合や、ウェハWの一部のみを吸着する場合には発生しない。
(3)化学機械研磨工程(ステップS14)
この工程は研削装置2で行われ、制御部100により制御される。
精研磨後、インデックステーブル134を回転軸135を中心に回転させてチャック132を研磨ステージ122に搬入し、研磨ステージ122の研磨布156によって化学機械研磨が行われ、研削除去工程(ステップS12)においてウェハWの裏面に形成された加工変質層が除去され、ウェハW裏面が鏡面加工される。
本実施の形態では、研磨布156としてポリウレタン含浸不繊布(例えば、東京精密製TS200L)を用い、スラリーとしてコロイダルシリカを用い、研磨布156の回転数は略300rpmである。
研削除去工程(ステップS12)により、ウェハWの裏面は、図17に示すような凹凸が多数形成されている。化学エッチングにより研磨を行う場合には、表面形状がそのまま保たれるため、凹部から割れが発生する恐れがあるし、表面が鏡面化されない。それに対し、本実施の形態では、化学機械研磨であるため、加工により生じた加工歪を除去され、表面の凹凸が除去されて鏡面化される。
すなわち、最終製品であるチップTの品質向上のためには、砥石を用いた研削除去工程と、研磨布を使用した化学液を含んだ遊離砥粒による化学機械研磨工程の二つが必要不可欠となる。
(4)エキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)
化学機械研磨工程(ステップS14)が行われたウェハWの裏面にエキスパンドテープFを貼り付ける。エキスパンドテープは弾性テープの一種であり、伸縮自在である。
本実施の形態では、化学機械研磨工程(ステップS14)においてウェハWの裏面が鏡面化されているため、エキスパンドテープFとウェハWとの密着性も格段に向上する。また、最終的に生成されるチップTの抗折強度をあげることもできる。
(5)分割・離間工程(ステップS18)
エキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)でエキスパンドテープFが裏面に貼付されたウェハWを、図18に示すようにウェハWの表面が上になるように載置する。レーザー改質工程(ステップS10)においてクラックが目標面より表面側へ進展しているため、図18に示すように、ウェハWのエキスパンドテープFが貼付されている側には進展したクラックが形成されている。
その後、図19に示すように、エキスパンドテープFを外側へ拡張する(エキスパンド)と、進展したクラックをもとにウェハWが破断される。すなわち、ウェハWが切断ラインで破断され、複数のチップTに分割される。その後、エキスパンドテープFをさらに拡張すると個々のチップTが離間する。
本実施の形態では、レーザー改質工程(ステップS10)において、クラックを目標面より下側に進展させることによって、この分割・離間工程においてエキスパンドテープFを引っ張るだけで、効率よくウェハWをチップTに分割することが可能となる。また、クラックを進展させるときに完全にウェハを割断しないため、作業効率がよい。
また、本実施の形態では、化学機械研磨工程(ステップS14)でウェハW裏面が鏡面加工されているため、エキスパンドする際にエキスパンドテープFとチップTとがずれを起こして部分的に剥離することがない。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、研削によりレーザー光により形成された改質領域内のクラックを進展させることができるため、チップTの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにすることができる。そのため、チップTが割れたり、チップT断面から発塵したりとするという不具合を防ぐことができる。したがって、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。
なお、本実施の形態では、ステップS10において本改質領域P2を形成することにより予備改質領域P1内のクラックK1を目標面とウェハWの表面との間まで進展させたが、クラックK1を進展させる位置はこれに限られない。本実施の形態では本改質領域を形成することでクラックK1を微妙に進展させることができるため、例えばデバイス面に負荷をかけることなくウェハWを完全に分割させるようにクラックK1を進展させることも可能である。この場合には、分割・離間工程(ステップS18)において、エキスパンドテープFをエキスパンドするとチップT間が離間する。
<<第2の実施の形態>>
本発明の第2の実施の形態は、ウェハWをチップTへと分割する方法が第1の実施の形態と異なるものである。
以下、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については説明を省略する。
本実施の形態は、レーザーダイシング装置1と、研削装置2と、レーザーダイシング装置1により加工されたウェハを研削装置2へ搬送する第1の搬送装置(図示せず)と、研削装置2により研削されたウェハをチップへ分割する分割装置300と、ウェハを研削装置2から分割装置300へ搬送する第2の搬送装置(図示せず)とで構成された切断装置により行われる。
<装置構成について>
レーザーダイシング装置1と、研削装置2とは、第1の実施の形態と同一であるため、分割装置300についてのみ説明する。
図20は、分割装置300の概略を示す図である。図20において、(A)は、分割装置300の平面図であり、(B)は、分割装置300の側面図である。分割装置300は、ウェハ302を吸着固定するためのウエハチャック304と、ウエハチャック304を撓ませるための撓ませ手段306と、真空ポンプ308とを主に含んで構成される。
ウエハチャック304は、独立吸着孔を有する独立吸着チャック310と、前記独立吸着孔に連通する螺旋溝を有する連通溝チャック312と、を主に含んで構成され、独立吸着チャック310と、独立吸着チャック310とは重ね合わさっている。
連通溝チャック312と、独立吸着チャック310の厚みは、それぞれ約1mmであり、二つ重なることによって約2mm程度になる。それぞれアクリル等の樹脂素材を部材として作製されることが好ましい。しかしながら、樹脂素材に限定するものではなく、セラミック等その他の素材でも良く、ウエアを真空吸着した後に、ウエハチャックを撓ませることができるものならば、どんな素材を選択しても良い。また、ウエハチャック304の素材そのものが必ずしも撓む必要はなく、ウエハチャック304全体として撓む構成、構造であればよい。
撓ませ手段306は、先端が丸まった棒状体であり、ウエハチャック304裏面の中心部を下方から上方に突き上げることによりウエハチャック304を半球状に撓ませることができる。
ウェハ302は、外周を例えば金属などのフレームで固定されたエキスパンドフィルム314上に貼り付けられたままでウエハチャック304に載せられて、真空吸着される。エキスパンドフィルム314は、多少通気性がある方が好ましく、通気性があることにより、ウェハ302自身が真空力により直接ウエハチャック304に吸着される。
ウエハチャック304は、ウェハ302を吸着したまま撓ませ手段により、半球状に撓ませられる。これにより、ウェハ302は、切断ラインに沿って分割される。
次に、チャック撓ませ手段の他の実施形態について図25を参照して説明する。図25は、チャック撓ませ手段の他の実施形態を示す説明図である。この図において、チャック撓ませ手段320以外は、図20と同じなので説明を省略する。
図25に示すように、チャック撓ませ手段32は、かまぼこ形状を成している。また、この分割装置300は、チャック撓ませ手段320をウェハ302に対して相対的に回転させる手段(図示せず)も備えている。
ウェハ302に形成されている分割ラインは、ウェハ表面内で違いに垂直であるX軸、Y軸を考えたとき、このX軸方向、Y軸方向にある場合が多い。そこで、次のようにしてウェハ302を分割する。即ち、チャック撓ませ手段320の一側面が、X軸に平行になるようにチャック撓ませ手段320の位置を合わせる。次に、分割ラインがX軸に平行になるようにウェハ302を位置合わせウエハチャック304に載せて真空吸着させる。
チャック撓ませ手段320をウエハチャック304の下面に押し付けることによってウエハチャック304と共にウェハ302を撓ませてX方向に分割する。次に、チャック撓ませ手段320をウエハチャック304から離して、90度回転させ、前記一側面がY軸に平行になるようにして、再度ウエハチャック304の下面に押し付けることにより、ウェハ302をY方向に分割する。これにより、ウェハ302は、X方向、Y方向ともに分割ラインに沿って割ることができる。
ここで、ウェハ302を真空吸着せず、弾性フィルムであるダイシングフィルムを介してチャック撓ませ手段320に押せてウェハ302を撓ませた場合は、ある一部でウェハが先に割れると、その割れた部分でウェハが急峻に曲がり、そこでチャック撓ませ手段320の曲率が吸収されるため、部分的にウェハが曲がらず、分割されないままでチャック撓ませ手段320に倣うことがある。
そこで、ウェハ302をまずウエハチャック304に真空吸着させて、ウエハチャック304でウェハ302を平面に矯正した後、そのウエハチャック304ごと撓ませると、ウェハ302内の各部分は、ウエハチャック304の撓みに対応して、ウェハ302は吸着されたまま倣うので、ウェハ302の面内に、一様に一定の曲げ応力が印加されるため、分割残りが無く、ウェハ302を分割することができる。
<半導体基板の切断方法2>
次に、上述したものとは異なる半導体基板の切断方法について説明する。図21は、半導体基板の切断方法の処理の流れを示すフローチャートである。レーザー改質工程(ステップS10)、研削除去工程(ステップS12)、化学機械研磨工程(ステップS14)については第1の実施の形態と同一であるため説明を省略する。
(1)エキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)
化学機械研磨工程(ステップS14)により化学機械研磨が行われたら、第2の搬送装置(図示せず)によりウェハWが研削装置2から分割装置へ搬送される。以下の処理は分割装置で行われる。
図22(a)に示すように、化学機械研磨工程(ステップS14)が行われたウェハWを、テーブル201の本体部201aにウェハWの裏面を上に、すなわちBGテープBが本体部201aに接触するように載置する。クラックKが目標面とウェハWの表面との間にまで進展され(亀裂進展工程)、かつウェハWが目標面まで研削されているため、テーブル201に載置されるウェハWは、裏面側にクラックKが露出している(図22(c)参照)。
その後、吸着孔201b(図16(a)、(b)では省略)を介して空気が吸引されると、図22(b)に示すように、ウェハWの略全面が本体部201aの表面にしっかりと真空吸着される。これにより、ウェハWが本体部201aに沿って変形してウェハWに曲げモーメントが働き、ウェハW内部に曲げ応力が生じる。
図22(c)は、ウェハWの略全面が本体部201aの表面に真空吸着されたときのウェハWの状態を示す図である。本体部201aは凸形状を有するため、ウェハWが変形すると、ウェハWのクラックKが露出された裏面側には引張り応力が生じる。この引張り応力によりクラックKが広がり、それによりクラックKがデバイス面にまで進展し、ウェハWが破断される。すなわち、ウェハWが切断ラインで破断され、複数のチップTに分割される。
ここで、亀裂の進展について説明する。凸形状のチャック面にウェハを吸着させると、微小亀裂が残っているウェハ裏面に対して引っ張り応力が作用し、反対にデバイス面側には圧縮応力が作用する。そのため、引っ張り応力が作用する微小亀裂を起点としてさらに亀裂は進展し、デバイス面側に到達する。この際の凸形状の曲率などは、ウェハの剛性、厚みや研削研磨時に形成した亀裂進展の深さなどを基に、さらに亀裂が緩やかに進展してウェハ割れに至る最適な引っ張り応力が作用する程度に、適宜最適化すればよい。
ウェハWが複数のチップTに分割されたら、図22(d)に示すように、本体部201aに吸引されたウェハWの裏面にエキスパンドテープFをローラ202で押圧し、ウェハWの裏面にエキスパンドテープFを貼り付ける。エキスパンドテープは弾性テープの一種であり、伸縮自在である。
本実施の形態では、研削除去工程(ステップS12)においてウェハWが目標面まで除去されている、すなわちウェハWが薄くなっているため、小さい曲げ応力でクラックをデバイス面まで進展させることができる。
また、本実施の形態では、クラックKが目標面より下側に進展されているため、このエキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)においてウェハWに曲げ応力を生じさせることで、効率よくウェハWをチップTに分割することが可能となる。また、クラックを進展させるときにはBGテープBが貼付されているため、チップTがばらばらになることがなく、作業効率がよい。
また、本実施の形態では、ウェハWの略全面を本体部201aの表面に真空吸着させるため、ウェハWにエキスパンドテープを貼付することなくウェハWに曲げ応力を生じさせることができる。
なお、本実施の形態では、ウェハWに曲げ応力を生じさせてクラックKをデバイス面まで進展させてからエキスパンドテープFを貼付したが、エキスハンドテープFを貼付してからウェハWを本体部201に真空吸着させて、ウェハWに曲げ応力を生じさせてクラックKをデバイス面まで進展させてもよい。エキスパンドテープFは伸縮自在であるため、エキスパンドテープFが貼付されていたとしても、ウェハWに曲げ応力を生じさせることでクラックKが進展し、ウェハWをチップTへと分割することができる。
また、エキスパンドテープが貼り付けられた場合、エキスパンドテープとBGテープとによってウェハは拘束されているため、ウェハが割れて破壊した際によって伝播する衝撃を抑えることが可能となる。
エキスパンドテープが張り付けられていない場合で、BGテープとウェハが密着していない場合は、割る際の衝撃によって、チップがBGテープから浮き上がり、一部はそこから飛び跳ねることもある。また、飛び跳ねずとも、割れる際の衝撃がチップ内を走り、チップが割れることもあった。しかし、エキスパンドテープとBGテープにウェハが挟まれていることにより、ウェハが割れた際の衝撃は、ウェハ両面から拘束され、なおかつ両者とも弾性フィルムであるため、その衝撃を吸収することから、こうした曲げ応力を附加することによって付随的に起こるチップ破損を大幅に防止することができる。ただし、クラックKをデバイス面まで効率よく進展させるために、エキスパンドテープFは無くてもよい。
(2)離間工程(ステップS18)
エキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)でウェハWの裏面に貼付されたエキスパンドテープFを外側へ拡張する(エキスパンド)と、個々のチップTが離間する。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、研削によりレーザー光により形成された改質領域内のクラックを進展させることができるため、チップTの断面にレーザー光により形成された改質領域が残らないようにすることができる。そのため、チップTが割れたり、チップT断面から発塵したりとするという不具合を防ぐことができる。したがって、安定した品質のチップを効率よく得ることができる。また、効率よくウェハWをチップTに分割することが可能となる。
なお、本実施の形態では、エキスパンドテープ貼付工程(ステップS16)において、ウェハWをテーブル201に真空吸着させてウェハWを変形させることで、ウェハWに曲げ応力を生じさせてチップTに分割したが、ウェハWに曲げ応力を生じさせる方法はこれに限られない。
例えば、図23に示すように、ウェハWをテーブル201の本体部201aの表面にローラ202等で押し付けることでウェハWを本体部201aの凸形状に沿って変形させるとともに、エキスパンドテープFをウェハWの裏面に貼付するようにしてもよい。この場合には、ウェハWに曲げ応力を生じさせることと、エキスパンドテープFの貼付とが同時に行われる。また、図24に示すように、まずウェハWの裏面にエキスパンドテープFを貼付し、その後エキスパンドテープFの中央部を吸引する等によりウェハWの裏面側に引張り応力を生じさせるようにしてもよい。
1…レーザーダイシング装置,2…研削装置,W…ワーク,B…BGテープ,F…エキスパンドテープ,11…ウェハ移動部,13…吸着ステージ,20…レーザー光学部,30…観察光学部,40…レーザーヘッド,50…制御部,118…粗研削ステージ,120…精研削ステージ,122…研磨ステージ,132、136、138、140…チャック,146、154…カップ型砥石,156…研磨布,300…分割装置

Claims (16)

  1. ウェハの裏面からレーザー光を入射して前記ウェハの内部に微小空孔を含む予備改質領域を切断ラインに沿って形成する予備改質領域形成工程と、
    前記予備改質領域が形成された位置と前記ウェハの厚さ方向の浅い位置であって、予備改質領域と結合する深さの位置に本改質領域を形成し、前記本改質領域の形成によって発生する亀裂と前記予備改質領域とが結合することで前記予備改質領域から派生した微小亀裂をウェハ厚さ方向の深い位置に進展させる本改質領域形成工程と、
    前記ウェハを裏面から研削して前記予備改質領域及び前記本改質領域を除去し、派生した微小亀裂を残す研削工程と、
    前記研削工程で前記予備改質領域及び前記本改質領域が除去されたウェハを前記切断ラインに沿って複数のチップに分割する分割工程と、
    を含むことを特徴とする半導体基板の切断方法。
  2. 前記本改質領域は、前記予備改質領域よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の切断方法。
  3. 前記研削工程において研削されたウェハの裏面を、さらに化学機械研磨する研磨工程を含み、
    前記分割工程は、前記研磨工程において裏面が化学機械研磨されたウェハを分割することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体基板の切断方法。
  4. 前記本改質領域形成工程は、前記チップの厚さに応じて複数回行われることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の半導体基板の切断方法。
  5. 前記本改質領域形成工程は、前記ウェハの表面から前記チップの厚さ分だけ裏面側に位置する面と前記ウェハの表面との間まで前記微小空孔を進展させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の半導体基板の切断方法。
  6. 前記予備改質領域形成工程は、前記ウェハの表面から前記チップの厚さ分だけ裏面側に位置する面より前記ウェハの裏面側へ略10μm〜略30μmの位置に前記予備改質領域を形成し、
    前記本改質領域形成工程は、前記本改質領域が形成されていない場合には、前記予備改質領域より前記ウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に前記本改質領域を形成し、前記本改質領域が形成されている場合には、前記形成されている本改質領域のうちの直前に形成された本改質領域より前記ウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に新たな本改質領域を形成することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の半導体基板の切断方法。
  7. 前記チップの厚さが60μmの場合には、前記本改質領域形成工程が2回行われることを特徴とする請求項3に記載の半導体基板の切断方法。
  8. 前記分割工程は、
    前記ウェハの表面に弾性テープを貼付する工程と、
    前記弾性テープを拡張する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の半導体基板の切断方法。
  9. 前記分割工程は、前記研削工程で改質領域が除去されたウェハを、ウェハ吸着台に平面状態で真空吸着し、ウェハを吸着した状態で前記ウェハ吸着台を凸状に膨らませるないしは、凸状に撓ませることにより、ウェハに曲げ応力を生じさせて前記微小空孔を前記ウェハの表面まで進展させることで、前記ウェハを前記切断ラインに沿って複数のチップに分割することを特徴とする請求項1に記載の半導体基板の切断方法。
  10. 前記分割工程は、前記凸形状を有する前記ウェハ吸着台に載置されたウェハを前記凸形状に沿って変形させながら前記ウェハの裏面に弾性テープを貼付する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の半導体基板の切断方法。
  11. 切断ラインに沿ってウェハの裏面からレーザー光を入射して前記ウェハの内部に微小空孔を含む予備改質領域及び本改質領域を形成するレーザーダイシング手段と、
    前記ウェハを裏面から研削して前記予備改質領域及び前記本改質領域を除去する研削手段と、
    前記レーザーダイシング手段から前記研削手段へ前記ウェハを搬送する搬送手段と、
    前記ウェハを切断ラインに沿って分割する分割手段と、
    を備えた半導体基板の切断装置であって、
    前記レーザーダイシング手段は、
    前記ウェハの表面が下向きに載置されるテーブルと、
    前記ウェハに向けてレーザー光を照射して前記予備改質領域及び前記本改質領域を形成する照射手段と、
    前記レーザー光が照射される位置が変わるように前記照射手段を制御する第1の制御手段であって、前記予備改質領域が形成された位置と前記ウェハの厚さ方向のみ異なる位置に前記本改質領域が形成されるように前記照射手段を制御する第1の制御手段と、を備え、
    前記研削手段は、
    前記ウェハの表面が下向きに載置され、前記ウェハの略全面を吸着する吸着テーブルと、
    前記ウェハを研削する砥石と、
    前記砥石の高さ及び回転数を制御する第2の制御手段と、
    を備えたことを特徴とする半導体基板の切断装置。
  12. 前記第1の制御手段は、前記チップの厚さに応じて前記本改質領域を複数形成するように前記照射手段を制御することを特徴とする請求項11に記載の半導体基板の切断装置。
  13. 前記第1の制御手段は、前記ウェハの表面から前記チップの厚さ分だけ裏面側に位置する面より前記ウェハの裏面側へ略10μm〜略30μmの位置に前記予備改質領域を形成し、前記予備改質領域又は前記本改質領域より前記ウェハの裏面側へ略20μm〜略30μmの位置に前記本改質領域を形成するように前記照射手段を制御することを特徴とする請求項11又は12に記載の半導体基板の切断装置。
  14. 前記分割手段は、
    前記ウェハの表面が下向きに載置される凸形状を有するウェハ吸着台と、
    前記ウェハ吸着台に載置されたウェハを前記凸形状に沿って変形させて曲げ応力を生じさせる変形手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項11に記載の半導体基板の切断装置。
  15. 前記変形手段は、前記ウェハを前記ウェハ吸着台へ真空吸着させる吸着手段であることを特徴とする請求項14に記載の半導体基板の切断装置。
  16. 前記変形手段は、前記ウェハを前記凸テーブルへ押し付けながら前記ウェハの裏面に弾性テープを貼付する手段であることを特徴とする請求項14に記載の半導体基板の切断装置。
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