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JP2005166791A - 積層チップコモンモードチョークコイル - Google Patents

積層チップコモンモードチョークコイル Download PDF

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Abstract

【目的】ノーマルモードインピーダンスの高周波特性に優れた積層チップコモンモードチョークコイルを提供する。
【構成】1次側コイル1及び2次側コイル2をその各軸芯X、Yが互いにコイル1、2の内側にあって導体線路の幅t以上(=距離δ)離間するように内部に形成した非磁性の絶縁性積層体と成すとともに、前記一対の1次側コイル1及び2次側コイル2の各端部を絶縁体シートの外縁の異なる位置にそれぞれ前記導体線路A1、B1、A10、B10で引き出して前記非磁性の絶縁性積層体の表面に複数の外部電極を形成した構造であり、1次側コイル1導体線路と2次側コイル2導体線路との重なり部分が極めて少なくなって1次側コイル導体線路と2次側コイル導体線路との間の静電容量を低く抑えることができ、ノーマルモードインピーダンスの高周波特性が改善される。また、絶縁体シートによる非磁性の絶縁性積層体なので絶縁性に優れる。
【選択図】 図3

Description

本願発明は、各種の電子回路の伝送路のノイズ除去等に適用される自動実装機による表面実装が可能な積層チップコモンモードチョークコイルに関する。
小型で量産性に優れ、自動実装機による表面実装が可能な積層チップコモンモードチョークコイルが公知技術としてある。
例えば、下記[特許文献1]には、図5の4端子等価回路で表され、図6の外観斜視図に示されるような、表面に導体線路を形成した磁性絶縁シートを多数枚積層して磁気的に強く結合する一対のコイルを図示されない内部に形成したチップ状の磁性積層体15の表面に前記一対のコイルの4端子を引き出して導電接続した外部電極17a、17b、17c、17dを備える構造の積層コモンモードチョークコイル20が記載されている。
また、下記[特許文献2]には、コイル導体と絶縁体を積層して一対の等しい有効電流路を有する少なくとも一対のコイルを備えた構成のインピーダンスが相等しく漏れ磁束が発生しにくい構造の積層型コイル部品が記載されている。
特開平8−148354号公報
特開平8−162328号公報
近年の携帯電話や携帯パーソナルコンピュータ等の電子回路の小型化、高周波化に伴い、これらに用いられる上記積層チップコモンモードチョークコイルの高周波特性の向上が強く望まれている。
従来の一般的な積層チップコモンモードチョークコイルの場合、図7の3次元グラフィック図に示されるように、図示されない多数枚の磁性体シートを積層してなる積層体中に、交互に重なり合うように導体線路5とスルーホール導体THで形成される1次側コイル1及び2次側コイル2の一対のコイルの導体線路パターンは、導体線路5が幅のある板状パターンとなっているため、薄い磁性体シートを挟んで向き合う一対の1次側コイル1と2次側コイル2の各導体線路5間には無視できない静電容量が発生してしまう。その結果、高周波伝送路に適用された場合には、1次側コイル1及び2次側コイル2の間にあたかも短絡したようにパスが生じてノーマルモードインピーダンスの高周波特性を阻害してしまっている。
一方、この静電容量を下げるために、1次側コイル1及び2次側コイル2の各々のコイルを全く重ならないように導体線路パターンを形成すると、コイル間の結合度(磁気結合)が大きく下がってしまいコモンモードチョークコイルとしての機能を果たさないという結果になる。
例えば、前記[特許文献1]や[特許文献2]に記載されている積層チップコモンモードチョークコイルの構造は、高い結合度を得るために1次側コイル1と2次側コイル2が図8のグラフィック図から判るように軸芯上方から見ると丸点で表された1次側コイル1の軸芯Xと、2次側コイル2の軸芯Yがコイル中心で一致しており、各コイル1、2の導体線路5のパターンは上下に磁性体シートの厚さ分の間隔をもって完全に重なった状態になっており、高周波用として使用すると前述のような大きな静電容量によって短絡したと同様の状態になってしまい、今後の伝送路の高周波化に対しては適合しなくなるという難点があるのである。
本発明は、上記積層チップコモンモードチョークコイルの高周波化及び絶縁信頼性向上の課題を解決するものであり、コイル間の結合を大きく下げずに使用に十分な程度の結合度を獲得しつつ、1次側及び2次側の2つのコイルの導体線路間の静電容量を下げて、良好なノーマルモードインピーダンスの高周波特性が得られる積層チップコモンモードチョークコイルを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成するために、
(1)表面に導体線路が形成された絶縁体シートを積層しつつ前記導体線路をスルーホール導体で連結することにより1次側及び2次側の一対のコイルをその各軸芯が互いにコイル内側にあって前記導体線路の幅以上離間するように内部に形成した絶縁性積層体と成すとともに、前記一対のコイルの各端部を絶縁体シートの外縁の異なる位置にそれぞれ引き出して前記絶縁性積層体の表面に複数の外部電極を形成したことを特徴とする積層チップコモンモードチョークコイルを提供する。
(2)前記絶縁体シートとして非磁性の絶縁体シートを用いたことを特徴とする上記(1)に記載の積層チップコモンモードチョークコイルを提供する。
本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルは、上記のように構成されているため、
(1)1次側コイル及び2次側コイルが別々でなく、完全ではないが相当程度重なっていて且つ軸芯がずれている構造のため、コイル間の結合度を大きく下げずにコイル間の静電容量を軸芯が一致している従来品よりも十分に小さくできるので、良好なノーマルモードインピーダンスの高周波特性を得ることができる。
(2)絶縁体シートとして、非磁性体シートを用いたので、コイル間の静電容量をより低減することができ、高周波領域においても良好なノーマルモードインピーダンスを有する積層チップコモンモードチョークコイルができる。
本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルの実施の形態について図面に基づき説明する。なお、外観上は先に述べた従来の積層チップコモンモードチョークコイル20(図6参照)と同等であるので、専ら従来の積層チップコモンモードチョークコイル20と異なる本発明に特徴的な導体線路とスルーホール導体によって形成された一対のコイルの構成について詳述する。
図1は、本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルにおける非磁性の絶縁体シートの導体線路パターンを説明するための図である。
図2は、本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルにおける一対のコイルの導体線路パターンを3次元グラフィックで表した図である。
図3は、本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルにおける一対のコイルの導体線路パターンを軸芯上から見たグラフィックで表した図である。
図4は、本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルと従来品のノーマルモードインピーダンス(Ω)の周波数(MHz)特性である。
本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルでは、図1に示されるように、表面に黒パターンで表された1次側コイルの導体線路A1、A2、A3・・及び白パターンで表された2次側コイルの導体線路B1、B2、B3・・がそれぞれペアで表面に形成された(a),(b),(c),(d),(e),(f),(g),(h),(i),(j),(k)の各非磁性の絶縁体シートを積層しつつ前記導体線路A1とA2、A2とA3、A3とA4、・・・及び前記導体線路B1とB2、B2とB3、B3とB4、・・・を所定位置にて丸で表されるスルーホール導体THでそれぞれ連結することにより、図2及び図3に示される導体線路パターンのグラフィック図から判るように、1次側コイル1及び2次側コイル2をその各軸芯X、Yが互いにコイル1、2の内側にあって前記導体線路A2、B2、・・の幅t以上(=離間距離δ)離間するように内部に形成した非磁性の絶縁性積層体と成すとともに、前記一対の1次側コイル1及び2次側コイル2の各端部を絶縁体シートの外縁の異なる位置にそれぞれ前記導体線路A1、B1、A10、B10で引き出して前記非磁性の絶縁性積層体の表面(対向する側面が好ましい)に図6の従来品と同様の銀ペースト層と半田メッキ層を被膜した4つの外部電極17a、17b、17c、17dを形成した構造となっている。
上記のように本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルは、1次側コイル1の軸芯Xと2次側コイル2の軸芯Yは導体線路幅t以上の離間距離δだけずれているため、図3のように1次側コイル1の導体線路と2次側コイル2の導体線路との重なり部分が極めて少なくなり、1次側コイル1の導体線路と2次側コイル2の導体線路との間の静電容量を大幅に低減することができる。この点、1次側コイル1と2次側コイル2の導体線路パターンが図3のように四角形である場合は、前記離間距離δを導体線路幅tの1.5〜2倍程度にとり、且つ導体線路に対して斜め方向にずらすことによってコイル同士の重なりは実質的に直交交差部分のみとなって静電容量の低減に効果的である。上記導体線路パターンの構成によってノーマルモードインピーダンスの高周波特性が改善されることになる。
なお、本発明の構成要素である絶縁体シートには、例えばセラミックス材シートを適用して絶縁信頼性に優れたものとすることができる。この場合、高周波で使用する場合を想定すると、非磁性の絶縁性積層体であるので結合係数は多少下がることになるが、空芯コイルでも十分な性能が維持できると予想される。下記[表1]は本発明の積層チップコモンモードチョークコイルと従来品との導体線路間の静電容量と結合係数のシミュレーション結果の比較表である。表より僅かの結合係数の低下でありながら大幅な静電容量の低減が達成されていることが判る。
Figure 2005166791
また、図4から本発明の積層チップコモンモードチョークコイルと従来品のノーマルモードインピーダンスの周波数特性は、従来品が高周波領域において急激にドロップしているのに対し単調増加しており、高周波特性の改善が実現していることが判る。
なお、上記のような導体線路パターンを備える本発明の積層チップコモンモードチョークコイルの図2の3次元グラフィック図と従来品の図7の3次元グラフィック図とを比較すると明らかなように、導体線路が互いにずれていることによって層方向でスルーホール導体THの集中が避けられるため、層が薄く剥離するデラミネート(delaminate)や応力集中が防止されるという好ましい別の作用効果も得られる。
以上、本発明の積層チップコモンモードチョークコイルのように、一対のコイル1、2間の静電容量を低減することは積層チップコモンモードチョークコイルの高周波における短絡(パス)を防止するという積層チップコモンモードチョークコイルの高周波特性に重要な作用効果を与える。
念のために付言すれば、上記作用効果は、積層チップインダクタ単品における1つのインダクタの層間の容量成分を少なくしてQ値を向上させ純粋のインダクタに近い状態にするという作用効果とは別であり、異なる観点に基づくものである。
本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルにおける非磁性の絶縁体シートの導体線路パターンを説明するための図である。 本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルにおける一対のコイルの導体線路パターンを3次元グラフィックで表した図である。 本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルにおける一対のコイルの導体線路パターンを軸芯上から見たグラフィックで表した図である。 本発明に係る積層チップコモンモードチョークコイルと従来品のノーマルモードインピーダンス(Ω)の周波数(MHz)特性である。 積層チップコモンモードチョークコイルの4端子等価回路である。 公知の積層チップコモンモードチョークコイルの外観斜視図である。 従来の一般的な積層チップコモンモードチョークコイルの導体線路パターンを表す3次元グラフィック図である。 従来の一般的な積層チップコモンモードチョークコイルの導体線路パターンを軸芯上方から見たグラフィック図である。
符号の説明
1 1次側コイル
2 2次側コイル
5 導体線路
10、20 積層チップコモンモードチョークコイル
17a、17b、17c、17d 外部電極
TH スルーホール導体
X 1次側コイルの軸芯
Y 2次側コイルの軸芯
A1、A2、A3・・ 1次側コイルの導体線路
B1、B2、B3・・ 2次側コイルの導体線路
δ 離間距離
t 導体線路幅

Claims (2)

  1. 表面に導体線路が形成された絶縁体シートを積層しつつ前記導体線路をスルーホール導体で連結することにより1次側及び2次側の一対のコイルをその各軸芯が互いにコイル内側にあって前記導体線路の幅以上離間するように内部に形成した絶縁性積層体と成すとともに、前記一対のコイルの各端部を絶縁体シートの外縁の異なる位置にそれぞれ引き出して前記絶縁性積層体の表面に複数の外部電極を形成したことを特徴とする積層チップコモンモードチョークコイル。
  2. 前記絶縁体シートとして非磁性の絶縁体シートを用いたことを特徴とする請求項1記載の積層チップコモンモードチョークコイル。
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