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JP2005023494A - タイヤ用の束撚り金属コード、その製造方法、及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用の束撚り金属コード、その製造方法、及びそれを用いた空気入りタイヤ Download PDF

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Abstract


【課題】 束撚り構造の有する利点を確保しながら、コード内へのゴム浸透性を高め、かつ寸法安定性を向上させることができる。
【解決手段】 同一直径のn本(n=9〜12)の金属素線Fからなる束撚り金属コード10である。非型付け素線20を用いた2本、3本の内の金属素線Fcによりコードコア部10cを形成するとともに、コード外側部10oを形成する他の金属素線Foは、撚り合わせ前の状態で、波の山部と谷部とを繰り返えす2次元に型付けされた少なくとも1本の型付け金属素線21を含む。
【選択図】 図2

Description

本発明は、コード内へのゴム浸透性を高めつつ、寸法安定性を向上させたタイヤ用の束撚り金属コード、その製造方法、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
自動車用の空気入りタイヤでは、カーカス、ベルト層、ビード補強層等の種々のタイヤ補強部材のコードとして金属コードを使用する場合が多い。そして、この金属コードに要求される条件としては、機械的強度に優れていること、ゴム材との接着が良好であること、及び金属コード内部へのゴム浸入性に優れていることなどが挙げられる。
他方、金属コードとしては、多数本の金属素線を同一方向、同一ピッチで一度に撚り合わせた束撚り構造、並びに、コアの外側にコアとは撚り方向及び/又は撚りピッチを違えたシースを順次形成した層撚り構造のものが広く知られている。
このうち、束撚り構造のものは、層撚り構造のものに比ベて軽量さやしなやかさに優れ、かつコード径がコンパクトでり、しかも撚り工程数が少ないため生産性や生産コストにも有利であるという利点を有する。しかしその反面、束撚り構造のものは、金属素線が密着しているためゴム浸透性に劣り、コ一ド内にゴムが浸透えない中空スペースが生じ易いなど、ゴムとの接着性および耐腐食性を損ねるという問題がある。
そこで、このゴム浸透性を改善するため、金属素線のうちの何本かを型付きフィラメントとすることが提案されているが、これらは初期伸度が大きく、寸法安定性の低下を招くという問題がある。
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、束撚り構造の有する利点を確保しながら、コード内へのゴム浸透性を高め、かつ寸法安定性を向上させたタイヤ用の束撚り金属コード、その製造方法、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的としている。
特開平9−279493号公報 特開平10−280289号公報 特開平11−200263号公報 特開2003−20580号公報

前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、同一直径のn本(n=9〜12)の金属素線を同一方向、同一ピッチで一度に撚り合わせた束撚り金属コードであって、
中心領域に位置する2本又は3本の内の金属素線は、コードの略全長さに亘って該中心領域内に位置するコードコア部を形成し、
かつ他の金属素線は、前記コードコア部の周囲に配されて又は前記周囲と中心領域との間で順次入れ替わって前記コードコア部周囲のコード外側部を形成するとともに、
前記内の金属素線は、撚り合わせ前の状態において、型付けされない非型付け素線からなり、
かつ前記他の金属素線は、撚り合わせ前の状態で、波の山部と谷部とを繰り返えす2次元に型付けされた少なくとも1本の型付け素線を含むことを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記型付け素線は、型付けの波ピッチPwを、前記金属素線の直径dの10〜35倍、かつ型付けの波高さhを前記直径dの0.5〜4.0倍としたことを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記束撚りの撚りピッチは、10〜25mmであることを特徴としている。
又請求項4の発明は、請求項1の束撚り金属コードを製造する製造方法であって、前記内の金属素線に、前記他の金属素線に比して大なバックテンションを付与しつつ撚り合わすことを特徴としている。
又請求項5の発明では、前記内の金属素線に作用させるバックテンションTcは、他の金属素線に作用させるバックテンションToの1.2〜2.0倍としたことを特徴としている。
又請求項6の発明は、空気入りタイヤであって、請求項1〜3の何れかに記載の束撚り金属コードを用いたことを特徴としている。
叙上のごとく本発明は構成しているため、束撚り構造の有する利点を確保しながら、コード内へのゴム浸透性を高め、かつ寸法安定性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明の金属コードをカーカスコードとして採用した重荷重用の空気入りタイヤを例示する子午断面図である。
図1において、空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを少なくとも具えて構成される。
前記ベルト層7は、ベルトコードを用いた2枚以上(重荷重用タイヤの場合は3枚以上)のベルトプライから形成される。本例では、ベルト層7が、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列した半径方向最内側の第1のベルトプライ7Aと、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列した第2〜4のベルトプライ7B〜7Dとの4枚構造の場合を例示している。このベルトプライ7A〜7Dは、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上設けて重置されることにより、ベルト剛性を高めトレッド部2をタガ効果を有して補強している。
又前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して70〜90°の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。該カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。又、このプライ本体部6aと折返し部6bとの間には、前記ビードコア5から半径方向外方に向かってのびる断面三角形状のビードエーペックスゴム8が配置され、ビード部4からサイドウォール部3にかけて補強される。
そして本例では、前記カーカスコードに、本発明に係る金属コード10を使用している。なお前記ベルトコードには、従来的な層撚り構造の金属コード(図示しない)を使用しているが、要求によりベルトコードに、本発明に係る金属コード10を使用することもできる。
前記金属コード10は、図2、3に示すように、同一の直径dを有するn本(n=9〜12)の金属素線Fを同一方向、同一ピッチで一度に撚り合わせた1×n構造の束撚り金属コードであって、その中心領域Cに位置する2本又は3本の内の金属素線Fcは、コードの略全長さに亘って該中心領域C内に位置することにより、コードコア部10cを形成する。又他の金属素線Foは、コードの略全長さに亘って前記中心領域C内に位置することがなく、前記コードコア部10cの周囲に配されることにより、又は前記周囲と中心領域Cとの間で順次入れ替わって配されることにより、前記コードコア部10c周囲のコード外側部10oを形成する。なお束撚りの撚りピッチは、従来的なタイヤ用の束撚り金属コードと同様、10〜25mmの範囲が好ましく採用できる。
ここで、図2の如く、コードコア部10cが3本の内の金属素線Fcからなる場合には、コード外側部10oは、前記コードコア部10cの周囲に配される金属素線Foのみから形成される。又図3の如く、コードコア部10cが2本の内の金属素線Fcからなる場合には、コード外側部10oは、前記コードコア部10cの周囲と中心領域Cとの間で順次入れ替わる金属素線Foのみから形成されるか、或いは、前記周囲に配される数本(1本の場合も含む)の金属素線Foと、前記周囲と中心領域Cとの間で順次入れ替わる数本(1本の場合も含む)の金属素線Foとによって形成される。
なお前記「中心領域C」とは、コード断面中心Oからの距離Loを、前記金属素線Fの直径dの1.25倍以下とした領域を意味し、又コード断面中心Oとは、コード断面を囲みうる円のうちの最小円の中心を意味する。
そして本発明においては、前記内の金属素線Fcは、撚り合わせ前の状態において、型付けされない真直な非型付け素線20からなるとともに、前記他の金属素線Foは、図4に示すように、撚り合わせ前の状態において、山部J1と谷部J2とを繰り返す2次元の波状(ジグザグ状を含む)に型付けされた型付け素線21を少なくとも1本含んで構成される。
この金属コード10では、コード外側部10oをなす金属素線Foが、型付け素線21を含むため、この素線間に隙間を設けることができ、コード外側部10o内へのゴム浸透性を確保することが可能となる。他方、コードコア部10cをなす金属素線Fcが非型付け素線20のみから形成されるため、コードの伸び、縮みが効果的に規制でき、コード自体の寸法安定性を高めるとともに、圧縮荷重に対する抗力低下を抑えることが可能となる。
これは、コードコア部10cがコードの芯をなし、かつ内の金属素線Fcの展開長さ(コードを展開したときの長さ)が他の金属素線Foの展開長さよりも短いなど、強度メンバーとしての寄与が大きいためである。従って、例えば5本の非型付け素線20と、5本の型付け素線21とを用いた1×10構造のコードを作成する場合などにおいて、コードコア部10cに非型付け素線20を用いた本発明に係るコードは、コードコア部10cに型付け素線21を含ませたものに比して、素線の構成が同じ場合でも、コードの伸び、縮みが相対的小さく、ゴム浸透性を確保しながら寸法安定性等を高めることが可能となる。なおコードコア部10cに、型付け素線21と非型付け素線20とを混在させた場合には、この非型付け素線20に引張荷重が集中するため破断し易く、コード強力を損ねるという他の問題も生じる。
ここで、前記ゴム浸透性の向上のためには、コード外側部10oに、型付け素線21を2本以上、さらには3以上、さらには4本以上、さらには5本以上含ませるのが好ましい。又コードコア部10cをなす内の金属素線Fcの本数は、3本を越えると、コードコア部10c内の中空スペースが増すなどゴム浸透の悪化を招き、逆に1本では充分な寸法安定性を得ることが難しくなる。
又前記型付け素線21を、前述の如く2次元型付けとすることにより、例えばスパイラル状などの3次元型付けのものを用いる場合に比して、コードをコンパクトに形成することができ、束撚り構造にとって非常に有利となる。さらに2次元型付けは、加工が容易であり、かつ寸法精度を高めうるとともにその取り扱いを簡便とするという利点も有する。
又この2次元型付けでは、前記図4の如く、型付けの波ピッチPwを、前記金属素線の直径dの10〜35倍かつ、型付けの波高さhを前記直径dの0.5〜4.0倍とするのが好ましい。前記波ピッチPwが直径dの10倍未満、又は波高さhが直径dの4.0倍を越えると、型付け加工によって素線に受けるダメージが大きくなり、強度低下の傾向となる。逆に、前記波ピッチPwが直径dの35倍を越える、又は波高さhが直径dの0.5倍未満になると、型付けが過小となって充分なゴム浸透性を確保することができなくなる。
又金属素線Fの前記直径dは、使用するコードとしての要求強度との関係で設定されるが、重荷重用タイヤの場合、0.15〜0.35mmの範囲が好ましく、0.35mmをこえると柔軟性に欠けるなど、コードのしなやかさを損ねる傾向となる。逆に0.15mm未満であると、細すぎてコード強力の点で不利となり、又製造上にも問題が生じる。なお金属素線Fには、従来的なタイヤ用の束撚り金属コードと同様、炭素含有量0.70〜0.90%の炭素鋼線を用いることが好ましく、0.70%未満では強度が不十分となり、逆に0.90%をこえると硬度が上がり過ぎ、破断し易くかつ生産性を損ねる傾向となる。またこの金属素線Fには、ゴムとの接着性を高める目的で、表面を、銅、スズ、亜鉛等あるいはこれらの合金でメッキすることができる。
なお本例では、前記金属コード10として、外周にバラケ防止用のラッピング素線を設けない場合を例示しているが、要求によりラッピング素線を設ることもできる。又このような金属コード10は、カーカスコード以外にも、ベルトコードとして、或いはビード補強層9(図1に示す)の補強コードとしても適宜使用することができる。
次に、このような金属コード10を形成するには、図5に概念的に示すように、リール30から巻き戻される金属素線Fのうち、2〜3本の内の金属素線Fcの周囲に、他の金属素線Foを配置して束ねるとともに、この束31を撚線機32を用いて同一方向、同一ピッチで一度に撚り合わせることによって金属コード10を形成できる。なお他の金属素線Foのうちの少なくとも1本には、リール30と撚線機32との間に配する型付け機33によって2次元型付けが施される。
ここで、内の金属素線Fcがコードコア部10cを形成するように、内の金属素線Fcをコードの略全長さに亘って前記中心領域C内に留めさせることが必要である。そのため、撚り合わ時に内の金属素線Fcに作用させるバックテンションTcを、他の金属素線Foに作用させるバックテンションToに比して大に、特に、バックテンションToの1.2〜2.0倍、さらには1.4〜1.8倍に設定するのが好ましい。これによって、内の金属素線Fcが中心領域Cから外れるのを確実に防止できる。なお、他の金属素線Foへの前記バックテンションToは、通常、素線1本当たり0.5〜1.5kgf(4.9〜14.7N)の範囲である。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認すべく、表1の仕様で試作した金属コードをカーカスコードとして用いた重荷重用タイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を作成し、前記金属コードのゴム浸透性、及び寸法安定性をテストした。なお比較例1、2のコード断面を図6(A)、(B)に示すように、比較例1のコードは、中心領域Cの素線が、周囲の素線と順次入れ替わるなどコードコア部を形成しておらず、又比較例2のコードは、コア部と外側部とで撚り方向、及び/又撚りピッチを違えた層撚り構造をなす。
なお表1以外のカーカス、ベルト層の仕様は、以下の如く同一である。
・ベルト層
プライ数:4枚、
コード:3+8+13×0.23(スチール)、
コード角:+65度/+20度/−20度/−20度
コード打込み数:20本/5cm、
・カーカス
プライ数:1枚、
コード角:90度、
コード打込み数:40本/5cm、
(1)ゴム浸透性;
試供タイヤから金属コードをトッピングゴムが付着した状態で取り出し、その表面からできる限りゴムを除去した後、コード断面からナイフを入れて、隣り合う2本の素線を除去する。そして、除去された2本の素線と残りの素線との間に形成されている空隙にゴムが完全に充墳されている部分の長さを約10cmに亘って測定し、ゴムが充填されている部分の長さの全長さに対する比率をもってゴム浸透率とした。
(2)寸法安定性;
(2−1) JIS G3510のスチールタイヤコード試験方法に準拠し、金属コードを、チャック間隔250mm、引張速度50mm/分の条件にて引張試験を行い、荷重2.5Nから50Nまでの伸びを、初期伸びとして測定した。値が小さいほどコ一ドの寸法安定性に優れている。
(2−2) ドラム走行試験機を用い、試供タイヤを、JISに規定された内圧、最大荷重の条件にて、時速80km/hで20万km走行させた後、走行前後のタイヤ幅を測定し、走行前のタイヤ幅を100とする指数で表示した。値が小さいほどコ一ドの寸法安定性に優れている。
Figure 2005023494
表の如く実施例のコードは、ゴム浸透性を確保しつつ、寸法安定性を向上させうるのが確認できる。
本発明の金属コードをカーカスコードとして用いた空気入りタイヤの一実施例を示す断面図である。 金属コードの一実施例を示す断面図である。 金属コードの他の実施例を示す断面図である。 型付け金属素線の一実施例を示す側面図である。 金属コードの製造装置を概念的に説明する線図である。 (A)、(B)は、表1の比較例の金属コードの断面図である。
符号の説明
10 金属コード
10c コードコア部
10o コード外側部
20 非型付け素線
21 型付け金属素線
C 中心領域
F 金属素線
Fc 内の金属素線
Fo 他の金属素線
J1 山部
J2 谷部

Claims (6)

  1. 同一直径のn本(n=9〜12)の金属素線を同一方向、同一ピッチで一度に撚り合わせた束撚り金属コードであって、
    中心領域に位置する2本又は3本の内の金属素線は、コードの略全長さに亘って該中心領域内に位置するコードコア部を形成し、
    かつ他の金属素線は、前記コードコア部の周囲に配されて又は前記周囲と中心領域との間で順次入れ替わって前記コードコア部周囲のコード外側部を形成するとともに、
    前記内の金属素線は、撚り合わせ前の状態において、型付けされない非型付け素線からなり、
    かつ前記他の金属素線は、撚り合わせ前の状態で、波の山部と谷部とを繰り返えす2次元に型付けされた少なくとも1本の型付け素線を含むことを特徴とするタイヤ用の束撚り金属コード。
  2. 前記型付け素線は、型付けの波ピッチPwを、前記金属素線の直径dの10〜35倍かつ、型付けの波高さhを前記直径dの0.5〜4.0倍としたことを特徴とする請求項1記載のタイヤ用の束撚り金属コード。
  3. 前記束撚りの撚りピッチは、10〜25mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ用の束撚り金属コード。
  4. 請求項1の束撚り金属コードを製造する製造方法であって、前記内の金属素線に、前記他の金属素線に比して大なバックテンションを付与しつつ撚り合わすことを特徴とする束撚り金属コードの製造方法。
  5. 前記内の金属素線に作用させるバックテンションTcは、他の金属素線に作用させるバックテンションToの1.2〜2.0倍としたことを特徴とする請求項4記載の束撚り金属コードの製造方法。
  6. 請求項1〜3の何れかに記載の束撚り金属コードを用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。
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