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JP4915286B2 - ゴム補強用スチールコード及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

ゴム補強用スチールコード及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤ Download PDF

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JP4915286B2 JP2007144994A JP2007144994A JP4915286B2 JP 4915286 B2 JP4915286 B2 JP 4915286B2 JP 2007144994 A JP2007144994 A JP 2007144994A JP 2007144994 A JP2007144994 A JP 2007144994A JP 4915286 B2 JP4915286 B2 JP 4915286B2
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Description

本発明は、1+6構成のゴム補強用スチールコード及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは、コードとゴムとの間に十分な接着性を確保しながら、コード径を可及的に小さくし、かつ寸法変化を抑制することを可能にしたゴム補強用スチールコード及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤに関する。
1本の芯素線の外側にN本(例えば、3本〜8本)の側素線を撚り合わせてなる1+N構成のスチールコードのゴム浸透性を改善するために、芯素線に波状又は螺旋状の癖付けを施したり、或いは、芯素線の癖付けに加えてコードを偏平形状にすることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ゴム浸透性の確保の観点から、N本の素線を同時に撚り合わせてなる1×N構成のオープン構造の検討も進められている。
しかしながら、従来の1+N構成のスチールコードにおいては、N本の側素線の内接円の内側で癖付けされた芯素線が振幅するため、コード径が大きくなる傾向があり、その結果として、ゴムとコードとの複合体からなるシートを成形したとき、そのシートが厚くなり、軽量化の点で不利である。
一方、1×N構成のオープン構造を有するスチールコードは、ゴム浸透性が良く、ゴムとコードとの複合体の厚さを低減することが可能であるが、オープン構造であるが故に伸びが大きくなる傾向がある。そのため、例えば、1×N構成のオープン構造を有するスチールコードを空気入りラジアルタイヤのベルト層に用いた場合、走行後にタイヤの寸法変化が起き易いという欠点がある。
特開平8−325962号公報
本発明の目的は、コードとゴムとの間に十分な接着性を確保しながら、コード径を可及的に小さくし、かつ寸法変化を抑制することを可能にしたゴム補強用スチールコード及びそれを用いた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明のゴム補強用スチールコードは、螺旋状の癖付けを施した1本の芯素線の外側に6本の側素線を撚り合わせて配置し、かつ前記芯素線の外接円及び前記側素線の外接円がそれぞれ楕円形状をなす偏平構造を有するスチールコードにおいて、前記芯素線が前記側素線よりも細いものであり、前記芯素線の捩じれ方向が前記側素線の撚り方向と同一であり、前記芯素線の癖付けピッチが前記側素線の撚りピッチと同一であり、前記芯素線の外接円の短径disが該芯素線の素線径dcに対してdis>dcであり、前記側素線の外接円の短径Dosが該側素線の素線径dsに対して2ds<Dos<3dsであり、前記側素線の外接円の長径Dolが該側素線の素線径dsに対して2.73ds<Dol<4.5dsであり、かつ前記短径Dosと前記長径Dolとの比がDol/Dos>1.2であることを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するための本発明の空気入りラジアルタイヤは、ベルト層にスチールコードを用いた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記スチールコードは、螺旋状の癖付けを施した1本の芯素線の外側に6本の側素線を撚り合わせて配置し、かつ前記芯素線の外接円及び前記側素線の外接円がそれぞれ楕円形状をなす偏平構造を有し、前記芯素線が前記側素線よりも細いものであり、前記芯素線の捩じれ方向が前記側素線の撚り方向と同一であり、前記芯素線の癖付けピッチが前記側素線の撚りピッチと同一であり、前記芯素線の外接円の短径disが該芯素線の素線径dcに対してdis>dcであり、前記側素線の外接円の短径Dosが該側素線の素線径dsに対して2ds<Dos<3dsであり、前記側素線の外接円の長径Dolが該側素線の素線径dsに対して2.73ds<Dol<4.5dsであり、かつ前記短径Dosと前記長径Dolとの比がDol/Dos>1.2であることを特徴とするものである。
本発明では、1+6構成の偏平構造を有するスチールコードにおいて、芯素線を側素線よりも細くし、芯素線の捩じれ方向を側素線の撚り方向と同一とし、芯素線の癖付けピッチを側素線の撚りピッチと同一とし、芯素線の外接円の短径dis、側素線の外接円の短径Dos、側素線の外接円の長径Dol、及び、短径Dosと長径Dolとの比を規定することにより、偏平化処理した際の芯素線と側素線との接触を少なくし、かつ側素線間への芯素線の割り込みを生じさせるため、1×6構成のスチールコードと同様のゴム浸透性を確保すると共に、従来の1+6構成のスチールコードに比べてコード径の増大を抑えることができる。従って、スチールコードのゴムに対する接着性を十分に確保しながら、コード径を可及的に小さくすることが可能になる。
また、側素線の内側には芯素線を配置しているため、1×6構成のスチールコードの欠点である低荷重時での伸びの発生を抑制することができる。そのため、上記スチールコードをゴム製品の補強材として用いた場合、ゴム製品の使用に伴う寸法変化を抑制することができる。特に、上記スチールコードを空気入りラジアルタイヤのベルト層に用いた場合には、タイヤの走行に伴う寸法変化(外径成長)を抑制することができる。
本発明において、側素線の素線径は0.20mm〜0.45mmであることが好ましい。このような寸法は空気入りラジアルタイヤのベルト層において好適である。但し、本発明のゴム補強用スチールコードは、ベルト層の以外のタイヤ構成部材やコンベヤベルト等のゴム製品の補強材として使用することも可能である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架され、そのカーカス層4の端部がビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層6,6が埋設されている。これらベルト層6,6は補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜し、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層6の補強コードとしては、1+6構成のスチールコードが使用されている。更に必要に応じて、ベルト層6,6の外周側には、補強コードをタイヤ周方向に巻回してなるベルトカバー層を配置しても良い。
図1は乗用車用又はライトトラック用の空気入りラジアルタイヤを図示するものであるが、本発明は図2に示すようなトラック・バス用の空気入りラジアルタイヤにも適用することが可能である。
図3は本発明の空気入りラジアルタイヤのベルト層に使用される1+6構成のスチールコードを示す断面図である。図3に示すように、スチールコード10は、螺旋状の癖付けを施した1本の芯素線11の外側に6本の側素線12を撚り合わせて配置し、かつ芯素線11の外接円C11及び側素線の外接円C12がそれぞれ楕円形状をなす偏平構造を有している。これら外接円C11,C12は長径方向が互いに一致している。芯素線11としては側素線12よりも細いものが使用されている。ベルトコードとして、芯素線11の素線径dcは0.10mm〜0.38mmの範囲とし、側素線12の素線径dsは0.20mm〜0.45mmの範囲にすると良い。また、芯素線11の素線径dcと側素線12の素線径dsとの比は、1.18≦ds/dc≦4.50の関係にすると良い。
スチールコード10において、芯素線11及び側素線12はいずれも螺旋状に癖付けするものであるが、芯素線11の捩じれ方向は側素線12の撚り方向と同一であり、芯素線11の癖付けピッチは側素線12の撚りピッチと同一である。そのため、撚り合わせ後に偏平化処理した際の芯素線11と側素線12との接触が少なくなり、しかも側素線12,12間への芯素線11の割り込みを生じ易くなる。つまり、芯素線11の捩じれ方向が側素線12の撚り方向と逆である場合、又は、芯素線11の癖付けピッチが側素線12の撚りピッチと異なる場合、偏平化処理した際に芯素線11と側素線12とが互いに接触して側素線12,12間への芯素線11の割り込みを阻止するのである。
上述のように芯素線11と側素線12との接触を少なくし、側素線12,12間への芯素線11の割り込みを生じ易くすることにより、1×6構成のスチールコードと同様のゴム浸透性を確保すると同時に、従来の1+6構成のスチールコードに比べてコード径の増大を抑えることができる。従って、スチールコード10のゴムに対する接着性を十分に確保しながら、コード径を可及的に小さくすることが可能になる。コード径を小さくすることはベルト層6を薄くしてタイヤを軽量化する上で有利である。
ここで、芯素線11の外接円C11の短径disは、芯素線11の素線径dcに対して、dis>dcの関係にすると良い。つまり、dis>dcとすることで3次元の癖付けとする。但し、コードとゴムとの複合体を軽量化するために3dc>disを満足することが望ましく、更に望ましくは2.5dc>disであり、更に望ましくは2dc>disである。
側素線12の外接円C12の短径Dosは、側素線12の素線径dsに対して、2ds<Dos<3dsの関係にすると良い。つまり、Dos<3dsとすることで芯素線11が隣接する側素線12,12間に食い込んだ状態にする。但し、側素線12の内側には芯素線11を配置する必要があるため2ds<Dosを満足することが望ましい。
側素線12の外接円C12の長径Dolは、側素線12の素線径dsに対して、2.73ds<Dol<4.5dsの関係にすると良い。つまり、2.73ds<Dolとすることで芯素線11及び側素線12の間隔を確保し、ゴム浸透性を高めることができる。但し、コードのバラケを防止するために4.5ds>Dolを満足することが望ましい。
側素線12の外接円C12の短径Dosと長径Dolとの比は、Dol/Dos>1.2の関係にすると良い。つまり、Dol/Dos>1.2によりゴム浸透性に優れた偏平構造を規定する。但し、コードのバラケを防止するために2.0>Dol/Dosを満足することが望ましい。
上述したスチールコード10は、空気入りラジアルタイヤのベルト層6において、その長径方向がベルト層6の面方向と一致するようにコートゴム中に埋設される。そして、このようなスチールコード10をベルト層6に使用した空気入りラジアルタイヤでは、スチールコード10のゴムに対する接着性が良好であり、しかもコード径(側素線12の外接円C12の短径Dos)が小さいためベルト層6を薄くして軽量化が可能である。また、スチールコード10の側素線12の内側には芯素線11が存在するため、タイヤの走行に伴う寸法変化(外径成長)を抑制することができる。
螺旋状の癖付けを施した1本の芯素線の外側に6本の側素線(ds=0.25mm)を撚り合わせて配置し、かつ芯素線の外接円及び側素線の外接円がそれぞれ楕円形状をなす1+6構成のスチールコードにおいて、芯素線を側素線よりも細くし、芯素線の捩じれ方向を側素線の撚り方向と同一とし、芯素線の癖付けピッチを側素線の撚りピッチと同一とし、芯素線の素線径dc、芯素線の外接円の長径dil及び短径dis、並びに、側素線の外接円の長径Dol及び短径Dosを表1のように種々異ならせた実施例1〜3及び比較例1〜4のスチールコードを用意した。対比のため、比較例5として、6本の素線(ds=0.25mm)を撚り合わせてなる1×6構成のスチールコードを用意した。
これら実施例1〜3及び比較例1〜5のスチールコードについて、下記の方法により、ゴム浸透率及び初期伸び率を評価し、その結果を表1に併せて示した。
ゴム浸透率:
各スチールコードをゴム被覆してコード当たり10Nの引っ張り荷重を掛けた状態で加硫した後、該スチールコードを分解し、ゴム浸透率(芯部へのゴム浸透具合)を求めた。ここで、「100%」は芯部まで完全にゴムが浸透している状態を意味する。
初期伸び率:
JIS G3510に準拠して、各スチールコードの初期伸び率(%)を求めた。つまり、各スチールコードに対する引っ張り荷重を徐々に増加させ、そのときの伸び率を測定し、荷重100N時の伸び率と荷重5N時の伸び率との差を求め、これを初期伸び率とした。
Figure 0004915286
この表1から明らかなように、実施例1〜3のスチールコードは、ゴム浸透率が高く、しかも1×6構成のスチールコード(比較例5)に比べて初期伸び率が小さいものであった。
一方、比較例1のスチールコードは、物性的には問題がないものの、Dos/dsが大き過ぎるため、コードとゴムとの複合体を成形したときゲージ厚が過大になるという不都合があった。比較例2のスチールコードは、dis/dcが1.00であって芯素線に2次元の癖付けが施されているため、ゴム浸透率が不十分であった。比較例3のスチールコードは、Dos/dsが小さ過ぎ、しかもDol/dsが大き過ぎるため、ゴム浸透率が不十分であった。比較例4のスチールコードは、Dol/Dosが小さ過ぎるため、ゴム浸透率が不十分であった。
次に、螺旋状の癖付けを施した1本の芯素線の外側に6本の側素線(ds=0.37mm)を撚り合わせて配置し、かつ芯素線の外接円及び側素線の外接円がそれぞれ楕円形状をなす1+6構成のスチールコードにおいて、芯素線を側素線よりも細くし、芯素線の捩じれ方向を側素線の撚り方向と同一とし、芯素線の癖付けピッチを側素線の撚りピッチと同一とし、芯素線の素線径dc、芯素線の外接円の長径dil及び短径dis、並びに、側素線の外接円の長径Dol及び短径Dosを表2のように設定した実施例4のスチールコードを用意した。対比のため、比較例6として、6本の素線(ds=0.37mm)を撚り合わせてなる1×6構成のスチールコードを用意した。
これら実施例4及び比較例6のスチールコードについて、上述の方法により、ゴム浸透率及び初期伸び率を評価し、その結果を表2に併せて示した。
また、実施例4及び比較例6のスチールコードをベルト層に使用した空気入りラジアルタイヤ(タイヤサイズ:11R22.5)を製作し、その外径成長を評価した。即ち、5万kmのフィールド走行後、溝底でのタイヤ外径を測定し、新品時からの成長量を求めた。評価結果は、比較例6を100とする指数にて示した。この指数値が小さいほど外径成長が少ないことを意味する。
Figure 0004915286
この表2から明らかなように、実施例4のスチールコードは、ゴム浸透率が高く、しかも1×6構成のスチールコード(比較例6)に比べて初期伸び率が小さいものであった。また、実施例4のスチールコードをベルト層に用いた空気入りラジアルタイヤは走行に伴う外径成長が少ないものであった。
本発明の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す子午線半断面図である。 本発明の他の実施形態からなる空気入りラジアルタイヤを示す子午線半断面図である。 本発明の空気入りラジアルタイヤのベルト層に使用される1+6構成のスチールコードを示す断面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ベルト層
10 スチールコード
11 芯素線
12 側素線
C11 芯素線の外接円
C12 側素線の外接円

Claims (4)

  1. 螺旋状の癖付けを施した1本の芯素線の外側に6本の側素線を撚り合わせて配置し、かつ前記芯素線の外接円及び前記側素線の外接円がそれぞれ楕円形状をなす偏平構造を有するスチールコードにおいて、前記芯素線が前記側素線よりも細いものであり、前記芯素線の捩じれ方向が前記側素線の撚り方向と同一であり、前記芯素線の癖付けピッチが前記側素線の撚りピッチと同一であり、前記芯素線の外接円の短径disが該芯素線の素線径dcに対してdis>dcであり、前記側素線の外接円の短径Dosが該側素線の素線径dsに対して2ds<Dos<3dsであり、前記側素線の外接円の長径Dolが該側素線の素線径dsに対して2.73ds<Dol<4.5dsであり、かつ前記短径Dosと前記長径Dolとの比がDol/Dos>1.2であることを特徴とするゴム補強用スチールコード。
  2. 前記側素線の素線径が0.20mm〜0.45mmであることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用スチールコード。
  3. ベルト層にスチールコードを用いた空気入りラジアルタイヤにおいて、前記スチールコードは、螺旋状の癖付けを施した1本の芯素線の外側に6本の側素線を撚り合わせて配置し、かつ前記芯素線の外接円及び前記側素線の外接円がそれぞれ楕円形状をなす偏平構造を有し、前記芯素線が前記側素線よりも細いものであり、前記芯素線の捩じれ方向が前記側素線の撚り方向と同一であり、前記芯素線の癖付けピッチが前記側素線の撚りピッチと同一であり、前記芯素線の外接円の短径disが該芯素線の素線径dcに対してdis>dcであり、前記側素線の外接円の短径Dosが該側素線の素線径dsに対して2ds<Dos<3dsであり、前記側素線の外接円の長径Dolが該側素線の素線径dsに対して2.73ds<Dol<4.5dsであり、かつ前記短径Dosと前記長径Dolとの比がDol/Dos>1.2であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  4. 前記側素線の素線径が0.20mm〜0.45mmであることを特徴とする請求項3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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