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JP2005014708A - 車両用空調装置 - Google Patents

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JP2005014708A JP2003180985A JP2003180985A JP2005014708A JP 2005014708 A JP2005014708 A JP 2005014708A JP 2003180985 A JP2003180985 A JP 2003180985A JP 2003180985 A JP2003180985 A JP 2003180985A JP 2005014708 A JP2005014708 A JP 2005014708A
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Abstract

【課題】空調ユニットの小型化に加えて、空気混合部に特別な形状を設けずにエアミックス性を向上できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】冷風ドア19および温風ドア20を複数枚の板形状の開閉ドア27、28で構成し、冷風ドア19の開閉ドア27により、空気混合部18へ流入する冷風流れに冷風Aが流れる層(G層)と冷風が流れない層(H層)を形成し、一方、温風ドア20の開閉ドア28により、空気混合部18へ流入する温風流れに冷風Aが流れる層に対応する部位に温風が流れない層(G層)を形成し、冷風が流れない層に対応する部位に温風Bが流れる層(H層)を形成する。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温風と冷風の2つの空気流を混合させることにより車室内に吹き出す空気の温度を調節するエアミックス方式の車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置の温度制御方式としては、図11に示すように冷風と温風の風量割合をエアミックスドア50により調整して、車室内への吹出空気温度を制御するエアミックス方式が代表的である。
【0003】
この図11の従来例では空調ケース11の内部において、暖房用熱交換器14と、暖房用熱交換器14の車両上方をバイパスする冷風通路15と、エアミックスドア50とが配置されている。
【0004】
エアミックスドア50は、回転軸50aを中心として回転する片持ち板ドアにより構成され、図中上下方向に回転することにより、冷風通路15と暖房用熱交換器14の入口通路51を開閉して車室内への吹出空気温度を調整している。
【0005】
また、暖房用熱交換器14の空気流れ下流において、暖房用熱交換器14通過後の温風を図中上方へ導く温風通路17が形成され、さらに、温風通路17の空気流れ下流には空気混合部18が形成されている。この空気混合部18では、冷風通路15を後方に流れる冷風Aと、温風通路17を上方に流れる温風Bが衝突して混合される。
【0006】
しかし、冷風と温風は冷風通路15と温風通路17の全域から空気混合部18へ流入するため、冷風と温風が接触できるのは空気混合部18の一部(C部)に限定される。そのため、冷風Eや温風Fのように冷温風に接触できない空気流れが発生し、エアミックス性が充分でない。
【0007】
ところで、空気混合部に冷風層と温風層を交互に発生させることにより冷風と温風の接触面積を増大させ、図11の車両用空調装置に比してエアミックス性を向上させたものが特許文献1にて知られている。
【0008】
この特許文献1の車両用空調装置では図12に示すように冷風は、流れ方向を空気混合部18で図中下方へ転換している。
【0009】
図13は図12の空気混合部18の模式図で斜線部分が空気混合部18を示している。図13に示すように、冷風は上方側から下方側に向かうように空気混合部18に流入し、温風は水平方向から空気混合部18へ流入する。そのため、略立方体の空気混合部18の上面には冷風導入口52が配置され、図中奥側面には温風導入口53が配置されている。さらに、図中手前側面には両導入口52、53から導入された冷温風の混合風が流出する流出口54が配置されている。
【0010】
図14(a)は図12、13の空気混合部18の斜視図を示しており、空気混合部18には案内壁55、56が形成されている。この案内壁55、56は、冷温風導入口52、53から空気流れと平行に空気混合部18の内側に延出するとともに、両導入口52、53を複数個に仕切っている。
【0011】
これにより、図14(b)に示すように、混合空気の流出口54側から見て冷風の空気層と温風の空気層を交互に発生させることができる。そのため、冷風と温風の接触面積が増大してエアミックス性を向上できる。
【0012】
また、別の従来技術として冷風通路と暖房用熱交換器の入口通路を開閉するエアミックスドアに換えて、冷風と温風の風量調節に複数枚の開閉ドアで構成したドア手段を用いることにより車両用空調装置を小型化しているものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
この特許文献2の車両用空調装置には、図15に示すように冷風通路15に冷房側ドア手段19が配置され、暖房用熱交換器14の入口通路51に暖房側ドア手段20が配置されている。なお、57は逆止ドアであり、最大冷房時などに冷風が暖房用熱交換器14に流入して加熱されるのを防止するものである。
【0014】
冷房側ドア手段19および暖房側ドア手段20は複数枚の開閉ドア27、28で構成され、この開閉ドア27、28により冷風と温風の空気混合部18への風量割合を調整する。そして、冷房側ドア手段19を通過した冷風Aと、暖房側ドア手段20を通過して暖房用熱交換器14で加熱された温風Bは、空気混合部18で混合されて所望の温度となり車室内へ吹き出す。
【0015】
これにより、特許文献2(図15)での冷房用熱交換器13と暖房用熱交換器14の距離L2を、従来例(図11)および特許文献1(図12)での距離L1に比して短くでき、空調ユニット10を小型化することができる。
【0016】
【特許文献1】
特開2002−59720号公報
【0017】
【特許文献2】
米国特許第6189801号明細書
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1では、エアミックスドア50の他に、空気混合部18に冷温風の空気層を交互に発生させるための案内壁55、56をケース11と一体または別部品で設けなければならない。
【0019】
さらに、冷風通路15と暖房用熱交換器14の入口通路51を開閉するエアミックスドア50を用いているために冷房用熱交換器13と暖房用熱交換器14の距離が大きくなり、空調ユニット10が大型化してしまう。
【0020】
一方、特許文献2においても、図11の従来例と同様に冷風と温風が空気混合部18の一部(C部)でしか接触できず、冷温風の接触面積が小さいためエアミックス性が充分でない。
【0021】
本発明は上記点に鑑みて、空調ユニットの小型化に加えて、空気混合部に特別な形状を設けずにエアミックス性を向上できる車両用空調装置の提供を目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ケース(11)内において、暖房用熱交換器(14)をバイパスして冷風を流す冷風通路(15)と、暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側に暖房用熱交換器(14)を通過した温風を流す温風通路(17)と、冷風通路(15)と温風通路(17)の合流部において、冷風と温風を混合する空気混合部(18)と、空気混合部(18)の空気流れ下流側に配置され、混合空気を車室内へ吹き出す開口部(21、22、23)と、
冷風通路(15)に配置され、冷風通路(15)の風量を調節する冷風側ドア手段(19)と、温風通路(17)に配置され、温風通路(17)の風量を調節する温風側ドア手段(20)とを備え、
冷風側ドア手段(19)と温風側ドア手段(20)の少なくとも一方は、複数枚の板形状の開閉ドア(27、28)で構成され、前記ドア手段(19、20)のドア開度が所定開度以下の場合において、開閉ドア(27、28)は冷風通路(15)および温風通路(17)のうち、一方の通路の空気流れに空気が流れる層と空気が流れない層を形成し、空気が流れる層と空気が流れない層は、冷風通路(15)および温風通路(17)のうち、他方の通路から空気混合部(18)へ流入する空気の流れ方向から見て交互に層を成す車両用空調装置を特徴としている。
【0023】
これによると、冷風側ドア手段(19)と温風側ドア手段(20)の少なくとも一方が、通路の空気流れに複数枚の板形状の開閉ドア(27、28)により、空気が流れる層と空気が流れない層を形成する。
【0024】
この空気が流れる層と空気が流れない層は、他方の通路から空気混合部(18)へ流入する空気の流れ方向から見て交互に層を成しており、空気が流れない層に他方の通路の空気が流入することで冷温風が交互に層を成す。そのため、冷温風の接触面積が増大してエアミックス性を向上することができる。
【0025】
また、少なくとも一方のドア手段(19、20)を構成する開閉ドア(27、28)自体により空気が流れる層と空気が流れない層が形成されるため、空気混合部(18)に特別な案内壁形状を設けたり、別部品を追加したりしなくてよいので低コスト化できる。
【0026】
また、上述の効果を有する冷風側ドア手段(19)および温風側ドア手段(20)により、冷温風の風量割合を調節して車室内へ吹き出す空気温度を調節している。従って、図11の従来例および図12の特許文献1で冷温風の風量割合を調整しているエアミックスドアを無くすことができ、車両用空調装置を小型化できる。
【0027】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1において、冷風側ドア手段(19)と温風側ドア手段(20)は、いずれも開閉ドア(27、28)で構成されており、
冷風側ドア手段(19)のドア開度が所定開度以下の場合において、冷風側ドア手段(19)の開閉ドア(27)は、冷風流れに冷風が流れる層と冷風が流れない層を形成し、冷風が流れる層と冷風が流れない層は、空気混合部(18)へ流入する温風の流れ方向から見て交互に層を成し、
温風側ドア手段(20)のドア開度が所定開度以下の場合において、温風側ドア手段(20)の開閉ドア(28)は、冷風が流れる層に対応する部位に温風が流れない層を形成するとともに、冷風が流れない層に対応する部位に温風が流れる層を形成する車両用空調装置を特徴としている。
【0028】
これにより、両ドア手段(19、20)の開閉ドア(27、28)は、冷風流れと温風流れに冷風が流れない層に対応する部位に温風が流れる層を形成するとともに、冷風が流れる層に対応する部位に温風が流れない層を形成する。従って、冷風が流れる層の冷風は温風が流れない層に流入し、温風が流れる層の温風は冷風が流れない層に流入するので、より確実に冷温風が交互に層を成し、冷温風の接触面積が増大してエアミックス性を向上することができる。
【0029】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項2において、冷風通路(15)および暖房用熱交換器(14)の空気流れ上流部位に冷房用熱交換器(13)を配置し、冷房用熱交換器(13)と暖房用熱交換器(14)が略平行となるように配置し、冷風側ドア手段(19)の開閉ドア(27)が暖房用熱交換器(14)の空気流れ上流側の面(14a)の略延長面と、暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側の面(14b)の略延長面との間に配置すれば暖房用熱交換器(14)から空気流れ上流側に突き出しがないので、冷房用熱交換器(13)と暖房用熱交換器(14)の間の距離を最短とすることができ、空調装置を小型化することができる。
【0030】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、ケース(11)内において、暖房用熱交換器(14)を車両下方側に配置し、冷風通路(15)を暖房用熱交換器(14)の車両上方側に配置し、温風通路(17)を暖房用熱交換器(14)通過後の温風が車両上方側へ流れるように配置し、温風通路(17)の車両上方側に空気混合部(18)を配置し、
開口部(21、22、23)は、デフロスタ開口部(21)、フェイス開口部(22)およびフット開口部(23)であり、
空気混合部(18)の車両上方側部位にデフロスタ開口部(21)およびフェイス開口部(22)を配置し、空気混合部(18)の車両下方側部位にフット開口部(23)を配置した車両用空調装置を特徴としている。
【0031】
これによると、デフロスタ開口部(21)とフェイス開口部(22)は空気混合部(18)の車両上方側部位、つまり冷風通路(15)寄りに配置され、フット開口部(23)は空気混合部(18)の車両下方側部位、つまり温風通路(17)寄りに配置される。
【0032】
ところで、デフロスタ開口部(21)とフット開口部(23)の両方から車室内へ空気を吹き出す場合がある。この場合、エアミックス性が不充分であると冷風通路(15)寄りのデフロスタ開口部(21)からの吹き出し空気温度が、温風通路(17)寄りのフット開口部(23)からの吹き出し空気温度に比べて極端に低くなる、いわゆるクールデフという現象が発生する。
【0033】
しかし、請求項4によると、請求項1ないし3で述べたようにエアミックス性を向上できるため、各開口部(21、22、23)からの吹き出し空気温度の差を減少でき、その具体例としてクールデフ現象を解消することができる。
【0034】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4において、冷風側ドア手段(19)は3枚以上の開閉ドア(27)で構成され、開閉ドア(27)のうち、少なくとも両端に位置する開閉ドア(27)が連動して作動するようになっており、
残余の中央側に位置する開閉ドア(27)が全開していない場合は、両端の開閉ドア(27)は全閉しており、
中央側に位置する開閉ドア(27)が全開している場合にのみ、前記両端の開閉ドア(27)が開閉する車両用空調装置を特徴としている。
【0035】
これによると、冷風流れには冷風側ドア手段(19)の開閉ドアのうち、両端に位置する開閉ドア(27)により冷風が流れない層が形成される。
【0036】
この冷風が流れない層には、温風が流入し温風が流れる層を形成する。この温風が流れる層は、層の一方のみが冷風が流れる層と接触しているため、層の両方が冷風が流れる層に接触している場合に比して温風流れが遮られにくい。そのため、温風は温風通路(17)から空気混合部(18)への流入方向である車両上方向、つまりデフロスタ開口部(21)方向へ流れ易くなっている。
【0037】
その結果、請求項4に記載の発明よりも確実にデフロスタ開口部(21)からの吹き出し空気温度とフット開口部(23)からの吹き出し空気温度の差を減少でき、クールデフを解消することができる。
【0038】
また、請求項6に記載の発明のように、請求項1ないし5のいずれか1つにおいて、空気ガイド(45)により開閉ドア(27、28)通過後の空気流れを所定方向に整流してもよい。
【0039】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0040】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る空調装置を車両用空調装置に適用したものであって、室内ユニット部のうち、熱交換器部を収容している空調ユニット10を示す。
【0041】
この空調ユニット10は車室内前部の計器盤(図示せず)内側において、車両左右(幅)方向の略中央部に配置される。ここで、図1の上下前後の矢印は車両搭載状態における方向を示す。
【0042】
車両用空調装置の室内ユニット部は、上記略中央部の空調ユニット10と、計器盤内側において助手席側にオフセット配置される図示しない送風機ユニットとに大別される。
【0043】
送風機ユニットには、外気(車室外空気)または内気(車室内空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱に導入された空気を送風する遠心式送風機が備えられている。この送風機ユニットの送風空気は、空調ユニット10のケース11内のうち、最前部の空気流入空間12に流入するようになっている。
【0044】
ケース11は、ポリプロピレンのような弾性を有し、機械的強度も高い樹脂にて成形されている。ケース11は、成形上の型抜きの都合、ケース内への空調機器の組付上の理由等から具体的には複数の分割ケースに分割して成形した後に、この複数の分割ケースを一体に締結する構成になっている。
【0045】
空調ユニット10のケース11内において空気流入空間12の後方には冷房用熱交換器である蒸発器13が略鉛直方向に配置されている。従って、送風機ユニットの送風空気は空気流入空間12に流入した後、この空間12から蒸発器13を前方から後方へと通過する。
【0046】
蒸発器13は周知のように車両空調用冷凍サイクルの膨張弁等の減圧装置により減圧された低圧冷媒が流入し、この低圧冷媒が送風空気から吸熱して蒸発するようになっている。
【0047】
蒸発器13の後方(空気流れ下流側)には暖房用熱交換器をなす温水式ヒータコア14が配置されている。ヒータコア14は周知のように車両エンジンの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱するものであって、このヒータコア14も略鉛直方向、すなわち、蒸発器13と略平行に配置されている。但し、ヒータコア14はケース11内の通路断面積より小さくして、ケース11内のうち下方側に偏って配置してある。これにより、ヒータコア14の上方側に、ヒータコア14をバイパスして空気(冷風)が流れる冷風通路15を形成している。
【0048】
ヒータコア14の後方には所定間隔を隔てて温風ガイド壁16がケース11と一体に成形され、この温風ガイド壁16とヒータコア14の背面部との間には温風通路17が形成される。従って、ヒータコア14を通過した温風は、温風ガイド壁16によりガイドされて温風通路17を矢印Bのように上方へ向かって流れる。
【0049】
冷風通路15と温風通路17の合流部には空気混合部18が形成され、この空気混合部18では冷風通路15を矢印Aのように後方に流れる冷風と、上方へガイドされる温風Bが接触して混合する。
【0050】
ところで、冷風通路15において、ヒータコア14の上側部位には冷風の風量を調節する冷風側ドア手段である冷風ドア19が配置されている。また、温風通路17の終端部位、つまり温風通路17と空気混合部18の境界部位には温風の風量を調節する温風側ドア手段である温風ドア20が配置されている。これらのドア19、20については後述する。
【0051】
空気混合部18の空気流れ下流側において、ケース11の上面部位にはデフロスタ開口部21が開口しており、このデフロスタ開口部21より後方側にはフェイス開口部22が車両後方に向かって斜め上方に開口している。このデフロスタ開口部21とフェイス開口部22はともに矩形状の形状であり、より具体的には、車両左右方向が長辺となり、車両前後方向が短辺となる長方形の形状になっている。
【0052】
デフロスタ開口部21は、空気混合部18からの空調空気を車両前面ガラス内面に向けて吹き出すためのものである。また、フェイス開口部22は空気混合部18からの空調空気を乗員の上半身に向けて吹き出すためのものである。
【0053】
フェイス開口部22の下方側、かつケース11の下面部位には、内フット開口部23aが開口している。さらに、内フット開口部23aから下方に延びるように空気通路を形成するフットダクト23bが配置され、フットダクト23bの終端部にはフット開口部23が開口している。
【0054】
空気混合部18からの空調空気は、内フット開口部23aへ流入し、フットダクト23b内を下方へ流れてフット開口部23から車室内へ吹き出す。
【0055】
なお、フット開口部23はケース11の車両左右両側に開口しており、この左右のフット開口部23は運転席側および助手席側乗員の足元部に向けて空調空気を吹き出すためのものである。
【0056】
本実施形態では、吹出モード切替機構を各開口部21、22、23に配置したバタフライドアにより構成している。デフロスタドア24はデフロスタ開口部21を開閉し、フェイスドア25はフェイス開口部22を開閉し、フットドア26はフット開口部23を開閉する。
【0057】
各ドア24、25、26は、外形寸法等が異なるもののドア構成は基本的に同一構成である。各ドア24、25、26は、左右方向が長手となる長方形、かつ板形状のドア本体部24a、25a、26aと、左右の回転軸24b、24c、25b、25c、26b、26cを一体に構成している。
【0058】
左右の回転軸は、ドア本体部24a、25a、26aの短辺の中央部からドア外方側へ突き出しており、ケース11の左右両側の側壁部の軸受穴(図示せず)に回転自在に支持される。
【0059】
また、ドア本体部24a、25a、26aの外周縁部には弾性体からなるシール部24d、25d、26dが形成されており、このシール部24d、25d、26dを各開口部21、22、23のケース11面に弾性的に圧着させることにより、各開口部21、22、23を閉塞することができる。
【0060】
各ドア24、25、26は、共通の吹出モードドア操作機構(図示せず)により連動操作される。具体的には、デフロスタドア24、フェイスドア25およびフットドア26の左右両側の回転軸のいずれか一方の回転軸をケース11の左右の側壁部の外部へ突出させる。そしてこの回転軸の突出部はリンク機構を介して共通の吹出モードドア操作機構に連結される。この吹出モードドア操作機構としては、通常、モータを用いたアクチュエータ機構を使用するが、アクチュエータ機構でなく、手動操作機構を使用してもよい。
【0061】
ところで、冷風ドア19および温風ドア20は、外形寸法等が異なるものの、ドア構成は基本的に同一構成である。そこで、冷風ドア19を例にとってドア構成の具体例を図2および図2のC−C断面図である図3により説明する。なお、図2ではケース11壁および、開閉ドア27の回転軸27b、27cを支持する枠体29は透視しており、図2、図3中かっこ内の数字は温風ドア20を示している。
【0062】
図2に示すように、冷風ドア19は複数枚の開閉ドア27で構成され、開閉ドア27は左右方向に列を成し、鎧窓状となるように配置されている。
【0063】
開閉ドア27は、図3に示すように、上下方向(空気混合部18への温風流入方向)が長辺となる長方形状のドア本体部27aと、上下の回転軸27b、27cを一体に構成している。この上下の回転軸27b、27cは、ドア本体部27aの上下の短辺の中央部からドア外方側へ中空円筒形状で突き出しており、後述の枠体29の孔29aに回転自在に支持される。ドア本体部27aおよび上下の回転軸27b、27cの材質としては、ポリプロピレン、ABS等の弾性を有する樹脂が好適である。
【0064】
また、図2に示すように、ドア本体部27aの周縁部には弾性体からなるシール部27dが形成されている。このシール部27dは、ドア本体部27aと接する部分ではドア本体部27aとほぼ同じ厚さで、ドア外方側へ向かって厚さが薄くなっていく形状をしている。
【0065】
シール部27dの具体的材質として、高温では熱可塑性樹脂のように成形可能であり、一方、常温ではゴム弾性を示す熱可塑性エラストマを用いることにより、ドア本体部27aの成形時にシール部27dを一体成形できる。
【0066】
開閉ドア27の全閉時には、周縁部のシール部27dのうち、長辺側は開閉ドア27のシール部27dまたは枠体29に弾性的に圧着し、短辺側は後述する枠体29に配置されたシールリブ29b(図4)に弾性的に圧着して冷風通路15を閉塞する(図8参照)。
【0067】
さらに、左右の回転軸27b、27cには前方後円墳形状、かつ板状の従動リンク27eが備えられ、この従動リンク27eの方形部は回転軸27b、27cに接しており、回転軸27b、27cと一体に成形される。
【0068】
この方形部は回転軸27b、27cの径外方向へ延びており、その先に円形部を備えている。円形部の中心には軸形状の従動ピン27fが配置され、この従動ピン27fは円形部からドア外方側へ向かって回転軸27b、27cと平行に突き出している。
【0069】
また、従動ピン27fは、従動ピン27fの軸中心と開閉ドア27の回転軸27b、27c中心を結んだ直線がドア本体部27aの平面部から時計回りに45°ずれた位置に形成される。
【0070】
そして、左右に列を成す開閉ドア27のうち、車両右側のケース11壁から奇数番目に位置する開閉ドア27(以下奇数のドア群と称す)では、従動リンク27eが開閉ドア27の後部となるように配置され、一方、偶数番目に位置する開閉ドア27(以下偶数のドア群と称す)では、従動リンク27eが開閉ドア27の前部となるように配置されている。
【0071】
そして、奇数のドア群の従動ピン27fは、棒状の奇数リンクロッド33に設けられた孔に回転可能に取付けられる。一方、偶数のドア群の従動ピン27fは、棒状の偶数リンクロッド35に設けられた孔に回転可能に取付けられる。
【0072】
これにより、奇数のドア群は奇数リンクロッド33を介して作動が連動し、偶数のドア群は偶数リンクロッド35を介して作動が連動する。なお、両リンクロッド33、35は、図3に示すように上下両側に配置されている。
【0073】
ところで、枠体29は図4に示すように前後方向(蒸発器13からの空気流れ方向)が開口している矩形の枠形状をしており、矢印Bのように空気が吹き抜け可能となっている。
【0074】
また、枠体29の上下の二面には、図3で述べた開閉ドア27の回転軸27b、27cを回転可能に支持するための孔29aが左右方向に一列に配置されており、この孔29aの間には前述した開閉ドア27の短辺側のシール部27dが圧着するシールリブ29bが枠体29の内側に突出するように形成される。
【0075】
孔29aには、開閉ドア27の回転軸27b、27cが開閉ドア27および枠体29の弾性変形を利用してはめ込まれる。これにより、複数の開閉ドア27が枠体29と一体となる
一方、ケース11上部には、枠体29の前後方向(空気流れ方向)の長さとほぼ同じ間隔でケース11内側方向へ突出する2つのリブ11aが配置されている。さらにヒータコア14の上方には、略H字状の枠体支持部11cがケース11と一体に形成されている。この枠体支持部11cのH字の上部の凹部と2つのリブ11a間に枠体29を挿入し、さらに複数の分割ケースを一体に締結することで枠体29はケース11に組付け固定される。
【0076】
なお、図1に示すように、前述した組付方法と同様にヒータコア14は、枠体支持部11cのH字の下部の凹部とケース11下部に形成された凹部11d間に挿入して組付けられる。さらに、温風ドア20は枠体支持部11cのH字の車両後部から後方に突き出した2つのリブ11g間とケース11後部からケース11内側に突き出すように配置された2つのリブ11e間に温風ドア20の枠体30を挿入して組付けられる。
【0077】
次に、開閉ドア27を開閉するリンク機構について説明する。図4に示すように、ケース11の上部には孔11fが配置され、この孔11fは枠体29をケース11に組付けた状態において、前述の枠体29の上面に配置された左右一列の孔29aのうち、一つと重なるようになっている。
【0078】
そして、図3に示すように、ケース11の孔11fに後述する偶数中間リンク37の中間ピン37aを挿入すると、ケース孔11fと重なる枠体29の孔29aに支持された開閉ドア27の中空円筒形状の回転軸27bに中間ピン37aが圧入され、回転軸27bと中間ピン37aが一体に回転するようになる。
【0079】
本実施形態では、図2に示すように偶数中間リンク37の中間ピン37aは、偶数のドア群の一の開閉ドア27である車両右側から4番目の開閉ドア27aの回転軸27bに圧入されている。また、奇数のドア群でも同様に、車両右側から7番目の開閉ドア27の回転軸27bに奇数中間リンク39の中間ピン39aが圧入されている。
【0080】
中間リンク37、39は略I字形状をしており、その一端、かつ下面には下側へ突き出す軸形状の中間ピン37a、39aが備えられている。さらに、中間リンク37、39には中間溝39bが形成されており、この中間溝39bには、駆動リンク41の駆動ピン41aが摺動可能に係合する。
【0081】
駆動リンク41は、略V字状をしており、V字の谷部分にはサーボモータ43のモータ軸43aが連結固定され、V字の両端部には軸形状の駆動ピン41aが配置されている。
【0082】
中間溝37b、39bは、モータ軸41aと一体に回転移動する駆動ピン41aが摺動する円弧溝と、この円弧溝の一端に繋がる直線溝が組み合わさった形状をしている。
【0083】
また、本実施例ではこの直線溝が開閉ドア27のドア本体部27aの平面部から反時計回りに45°ずれる位置となるように開閉ドア27の回転軸27bに固定している。別の配置関係で述べると、この直線溝は従動ピン27f中心と開閉ドア27の回転軸27b,27c中心を結んだ直線から反時計回りに90°ずれる配置となっている。
【0084】
なお、サーボモータ43は図示しないブラケットを介してケース11に取付けられている。
【0085】
また、温風ドア20では偶数中間リンク40に冷風ドア19の奇数中間リンク39と同形状のものを使用し、温風ドア20の奇数中間リンク38に冷風ドア19の偶数中間リンク37と同形状のものを使用している。
【0086】
これにより、温風ドア20の奇数、偶数のドア群の開閉動作と冷風ドア19の奇数、偶数のドア群の開閉動作が逆になる。詳細は図7にて後述するが、冷風ドア19の奇数のドア群が開に対して温風ドア20の奇数のドア群は閉、冷風ドア19の偶数のドア群が閉に対して温風ドア20の偶数のドア群は開という開閉動作となる。
【0087】
次に、上記構成において第1実施形態の作動を説明する。図2は、最大冷房時の冷風ドア19の状態を示しており、全ての開閉ドア27のドア開度が100%(全開)となっている。当然に複数枚の開閉ドア27の集合体である冷風ドア19としてのドア開度も100%である(図5参照)。
【0088】
一方、温風ドア20は全ての開閉ドア28のドア開度が0%(全閉)となるため、冷風のみが空気混合部18に流入する。なお、図5では理解を容易にするために、開閉ドア27の枚数を5枚(ドア1〜5)で示している。
【0089】
次に、最大冷房時から中間温度時への作動を説明する。図2の最大冷房時からサーボモータ43がモータ軸43aを反時計回りに回転させると、モータ軸43aに連結固定されている駆動リンク41の駆動ピン41aも回転する。偶数中間リンク37の中間溝37bに係合している駆動ピン41aは、中間溝37bの円弧溝部を動きを妨げられることなく移動するため、駆動ピン41aから偶数中間リンク37へは力が伝わらない。
【0090】
一方、奇数中間リンク39の中間溝39bに係合している駆動ピン41aは、中間溝39bの円弧溝と直線溝が交差する部分で移動方向が妨げられることにより、奇数中間リンク39に力を伝える。奇数中間リンク39は、伝わった力により奇数のドア群のうち、一の開閉ドア27(図中車両右側から7番目の開閉ドア)の回転軸27bを中心に反時計回りに回転する。
【0091】
奇数中間リンク39はここの7番目の開閉ドア27の回転軸27bと連結固定されており、回転軸27bはドア本体部27a一体に形成させているため、奇数中間リンク39がドア本体部27aと一体に回転する。そのため、奇数中間リンク39の回転に従って、開度100%(全開)であった7番目の開閉ドア27のドア開度は徐々に小さくなっていく。
【0092】
また、奇数のドア群は、前述のように奇数リンクロッド33に従動リンク27eの従動ピン27fが回転可能に連結しているため、奇数のドア群のうち7番目の開閉ドア27の開閉に他の開閉ドア27の開閉が連動する。
【0093】
サーボモータ43のモータ軸43aが所定角度回転すると、図6に示す中間温度時となり、奇数のドア群の開度が0%(全閉)になる。なお、図6でもケース11壁および開閉ドア27の回転軸27b、27cを支持する枠体29は透視している。
【0094】
図5ではドア1、ドア3、ドア5が開度0%の奇数のドア群であり、冷風ドア19としてのドア開度は約50%である。ここで、冷風ドア19としてのドア開度は正確には40%であるが、この値は開閉ドア27の枚数により変化するため便宜上約50%と表した。
【0095】
図7は、中間温度時の温冷風の状態を示しており、冷風ドア19の偶数のドア群が全開しており、冷風ドア19を通過した冷風Aが冷風層(図中G層)を形成する。一方、温風ドア20は奇数のドア群が全開しており、図中手前方向に向かって流れる温風Bが温風層(図中H層)を形成する。そして、冷風層(G層)と温風層(H層)の境界部Jで冷温風が接触して混合する。
【0096】
次に、中間温度時から最大暖房時への作動を説明する。図6の中間温度時からさらにサーボモータ43のモータ軸43aを反時計回りに回転させると、図2とは逆に、奇数中間リンク39の中間溝39bに係合している駆動ピン41aが円弧溝部を動きを妨げられることなく移動するため、駆動ピン41aから奇数中間リンク39へは力が伝わらない。
【0097】
一方、偶数中間リンク37の中間溝37bに係合している駆動ピン41aは、中間溝37bの円弧溝と直線溝が交差する部分で移動方向が妨げられることにより、偶数中間リンク37に力を伝える。偶数中間リンク37は、伝わった力により偶数のドア群のうち、一の開閉ドア27(図中車両右側から4番目の開閉ドア)の回転軸27bを中心に反時計回りに回転する。
【0098】
そして、偶数中間リンク37はこの4番目の開閉ドア27の回転軸27bと一体に回転し、開度100%(全開)であった偶数のドア群の開閉ドア27開度は徐々に小さくなっていく。
【0099】
サーボモータ43のモータ軸43aが所定角度回転すると、図8に示す最大暖房時となり、全ての開閉ドア27の開度が0%(全閉)になる。当然に複数枚の開閉ドア27の集合体である冷風ドア19としてのドア開度も0%である(図5参照)。
【0100】
逆に温風ドア20は、全ての開閉ドア28のドア開度が100%(全開)となるため、温風のみが空気混合部18に流入する。なお、図8でもケース11壁および開閉ドア27の回転軸27b、cを支持する枠体29は透視している。
【0101】
以上の作動により、最大冷房(図2)から中間温度域(図6)を経て最大暖房(図8)まで温風と冷風の割合を変化させて所望の温度の混合空気を作り出すことができる。
【0102】
なお、車室内への空調空気吹出モードには、フェイス開口部22のみから空気を吹き出すフェイスモード、デフロスタ開口部21のみから空気を吹き出すデフロスタモード、フット開口部23から約80%、デフロスタ開口部21から約20%の割合で空気を吹き出すフットモード、フェイス開口部22から約50%フット開口部から約50%の割合で空気を吹き出すバイレベルモード、デフロスタ開口部21から約50%フット開口部23から約50%の割合で空気を吹き出すフットデフモードがある。
【0103】
次に、第1実施形態による作用効果を列挙すると、(1)冷風ドア19と温風ドア20を複数枚の開閉ドア27、28で構成し、冷温風の風量割合を調節して車室内へ流れる空気温度を調節したため、蒸発器13とヒータコア14との間の距離を短くできる。
【0104】
具体的には、複数枚の開閉ドア27、28で構成された冷風ドア19と温風ドア20により、冷温風の風量割合を調節するので、図11の従来例および図12の特許文献1で冷温風の風量割合を調整しているエアミックスドア50を無くすことができる。そのため、冷房用熱交換器13と暖房用熱交換器14との距離を短くできる。
【0105】
さらに、蒸発器13とヒータコア14が略平行となるように略鉛直方向に配置し、冷風ドア19の枠体29の蒸発器13側の面とヒータコア14の蒸発器側の面14aとが略一直線となるように配置している。この配置によると、蒸発器13とヒータコア14の間に突き出している部品が無いため、蒸発器13とヒータコア14の間を最小とすることができる。
【0106】
さらに、本実施形態では開閉ドア27がヒータコア14の空気流れ上流面14aの延長面と空気流れ下流面14bの延長面との間に配置されているため、蒸発器13と空気混合部18との車両前後方向の距離を最小とすることができる。
【0107】
これらにより、空調ユニット10の小型化ができ、車両への搭載性を向上させることができる。
【0108】
(2)冷風ドア19および温風ドア20を構成する開閉ドア27、28により、空気混合部18に交互に層を成す冷風が流れる冷風層と温風が流れる温風層を形成することができるため、冷温風の接触面積が増大し、エアミックス性を向上することができる。
【0109】
ここで、本発明者が検討した図15に示す比較例は、本実施形態と同様に冷風ドア19および温風ドア20を開閉ドア27、28で構成し、開閉ドア27、28の回転軸27a、28bを枠体29、30に回転可能に支持している。
【0110】
そして、冷風通路15を後方に流れる冷風Aと、温風通路17を上方に流れる温風Bは空気混合部18で衝突することで混合され、混合空気は矢印Dのように各開口部21、22、23へ流れる。
【0111】
しかし、図11の従来例と同様に冷風と温風が衝突するのは空気混合部18の一部(C部)でしかなく、接触面積が小さいために冷温風に接触できない冷風Eや温風Fのような流れが発生する。
【0112】
従って、空気混合部18の上方に配置されたデフロスタ開口部21には、冷風の割合が多い低温の空気(矢印E)が流れやすく、空気混合部18の下方に配置されたフット開口部23へは、温風の割合が多い高温の空気(矢印F)が流れやすくなっている。
【0113】
このような場合に、フットモードまたはフットデフモードでは、デフロスタ開口部21からの吹き出し空気温度が、フット開口部23からの吹き出し空気温度に比べて極端に低くなる、いわゆるクールデフという現象が発生する。
【0114】
そこで、本実施形態では開閉ドア27、28が空気混合部18に冷風層と温風層を交互に形成するように配置し、冷温風の接触面積を増大させて、エアミックス性を向上させている。これにより、各開口部21、22、23からの吹き出し空気温度の差を減少でき、この具体的効果としてクールデフ現象を解消することができる。
【0115】
なお、冷温風ドア19、20としてのドア開度が所定開度以下の場合に、冷風層と温風層を形成することができる。この所定開度はドア開度約50%から100%までの間の数値であるが、所定開度を境に冷風層と温風層が急に形成されなくなるのではない。
【0116】
冷風ドア19を例に説明すると、冷風ドア19としてのドア開度が約50%から開度が大きくなっていくに従い、徐々に冷風層の割合が大きくなっていき、所定開度で冷風層に温風流れが入り込まなくなり、温風層を成さなくなる事を意味している。
【0117】
また、冷温風ドア19としてのドア開度が0%(全閉)の場合も所定開度以下に含まれるが、そもそも全閉状態では冷風流れそのものがないため層を形成しないのは当然である。
【0118】
(3)冷風ドア19の左右両端の開閉ドア27が冷風が流れない層を形成し、この層を流れる温風は、デフロスタ開口部21方向へ流れやすいため、デフロスタ開口部21とフット開口部23との吹き出し空気温度の差を減少できる。
具体的には、左右両端の開閉ドア27を含む奇数のドア群は、偶数のドア群の開閉ドア開度が100%の時のみに開閉作動する(図5参照)。
【0119】
ここで、冷風ドア19の左右両端の開閉ドア27とは図5中のドア1およびドア5であり、奇数のドア群とは図5中のドア1、ドア3およびドア5であり、偶数のドア群とは図5中のドア2およびドア4である。
【0120】
これにより、冷風ドア19の左右両端の開閉ドア27は、冷風流れに冷風が流れない層を形成し、この冷風が流れない層には、温風が流入して温風が流れる層を形成する。(図7参照)
この温風が流れる層は、層の一方がケース11に接しており、層の両側が冷風が流れる層に接している場合に比して温風流れが遮られにくい。そのため、温風が温風通路17から空気混合部18への流入方向である車両上方向、つまりデフロスタ開口部21方向へ流れ易くなっている。
【0121】
その結果、デフロスタ開口部21からの吹き出し空気温度とフット開口部23からの吹き出し空気温度の差を減少でき、フットモードまたはフットデフモードでのクールデフを解消することができる。
【0122】
(4)冷風ドア19および温風ドア20を構成する開閉ドア27、28が冷風層および温風層を作ることができるため、空気混合部18に特別な形状や部品を追加しなくてもよい。
【0123】
(5)開閉ドア27、28の回転軸27a、28aを枠体29、30に回転可能に支持しているため、枠体29、30に開閉ドア27、28をあらかじめ取付けておき、その後この枠体29、30をケース11に取付けることができ、組付け性を向上できる。
【0124】
(第2実施形態)
図9は第2実施形態を示しており、蒸発器13、冷風通路15、冷風ドア19等は、第1実施形態の配置構成と同様であるが、冷風ドア19の枠体29には、空気ガイド45が枠体29と一体に形成されている。この空気ガイド45は、開閉ドア27が開度0%の時のシール部27dの位置から車両後方(空気流れ下流)に向かって延びる薄板形状をしている。
【0125】
ところで、開閉ドア27がドア開度を変化させるとドア本体部27aに沿って冷風流れの方向が変化してしまうため、対向する温風の流れ方向によっては、冷風層と温風層が交互に発生しにくくなる場合もある。
【0126】
そこで、第2実施形態では枠体29に空気ガイド45を形成し、この空気ガイド45により変化する冷風流れの方向を所定方向へ整流している。これにより、ドア開度による空気流れの変化を解消できるため、冷風層と温風層を確実に交互に発生させることができる。
【0127】
また、図10のように開閉ドア27のドア開度が100%の時の車両後方側のシール部27dの位置から車両後方(空気流れ下流)に向かって延びるように空気ガイド45を形成しても前述した整流効果を有する。
【0128】
なお、図9、10では、冷風ドア19について説明したが、温風ドアにも同様の空気ガイド45を配置できるのは当然である。
【0129】
(他の実施形態)
また、第1実施形態では、開閉ドア27を枠体29に取付け、この枠体29をケース11に設けられたリブ11aと枠体支持部11cの間に挿入する例を示したが、開閉ドア27をケース11に直接取付けて配置する方法でもよい。同様に温風ドア20の開閉ドア28をケース11に直接取付けて配置してもよい。
【0130】
また、第2実施形態では、空気ガイド45を枠体29と一体に形成した例を示したが、空気ガイド45をケース11と一体または別体にて形成してもよい。
【0131】
また、第1実施形態では、蒸発器13およびヒータコア14をともに略鉛直方向に配置する例を示したが、蒸発器13およびヒータコア14の配置形態は略鉛直方向な配置に限らず、種々変更可能である。
【0132】
また、第1実施形態では、吹き出しモードドア24、25、26にバタフライドアを用いた例を示したが、吹出しモードドアに片持ち板ドア、ロータリドアを用いてもよいのは当然である。
【0133】
また、第1実施形態では上下両側にリンクロッド33、35を配置する例を示したが、リンクロッド33、35を上下どちらか一方のみに配置した場合であっても第1実施形態と同様の作動が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す空調ユニット部の縦断面図で、フットモード時を示す。
【図2】図1のA−A断面図で、最大冷房時を示す。
【図3】図2のC−C断面図で開閉ドア形状およびリンク機構を示している。
【図4】冷風ドアの組付方法を示す斜視図である。
【図5】最大暖房時から最大冷房までの冷風ドアのドア開度と各開閉ドアのドア開度との関係を示す図である。
【図6】図1のA−A断面図で、中間温度時(冷風ドア開度約50%)を示す。
【図7】図1のB−B断面図で中間温度時(冷風ドア開度約50%)を示す。
【図8】図1のA−A断面図で、最大暖房時を示す。
【図9】図1のB−B断面の要部拡大図で、空気ガイドの配置を示す。
【図10】図1のB−B断面の要部拡大図で、空気ガイドの別の配置方法を示す。
【図11】従来例の車両用空調装置の模式図である。
【図12】特許文献1の従来装置を示す模式図である。
【図13】図12の空気混合室の模式図である。
【図14】(a)は図12の空気混合部の斜視図であり、(b)は混合空気流出口から見た空気混合部の模式図である。
【図15】特許文献2の従来装置を示す断面図である。
【図16】比較例の車両用空調装置の模式図である。
【符号の説明】
11…ケース、13…蒸発器(冷房用熱交換器)、
14…ヒータコア(暖房用熱交換器)、14a…空気流れ上流側面、
14b…空気流れ下流側面、15…冷風通路、17…温風通路、
18…空気混合部、19…冷風ドア(冷風側ドア手段)、
20…温風ドア(温風側ドア手段)、21…デフロスタ開口部、
22…フェイス開口部、23…フット開口部、27、28…開閉ドア、
45…空気ガイド。

Claims (6)

  1. 車室内へ向かって空気が流れる空気通路を形成するケース(11)と、
    前記ケース(11)内に配置され、前記空気を加熱する暖房用熱交換器(14)と、
    前記ケース(11)内において、前記暖房用熱交換器(14)をバイパスして冷風を流す冷風通路(15)と、
    前記暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側に前記暖房用熱交換器(14)を通過した温風を流す温風通路(17)と、
    前記冷風通路(15)と前記温風通路(17)の合流部において、冷風と温風を混合する空気混合部(18)と、
    前記空気混合部(18)の空気流れ下流側に配置され、前記混合空気を車室内へ吹き出す開口部(21、22、23)と、
    前記冷風通路(15)に配置され、前記冷風通路(15)の風量を調節する冷風側ドア手段(19)と、
    前記温風通路(17)に配置され、前記温風通路(17)の風量を調節する温風側ドア手段(20)とを備え、
    前記冷風側ドア手段(19)と前記温風側ドア手段(20)の少なくとも一方は、複数枚の板形状の開閉ドア(27、28)で構成され、
    前記ドア手段(19、20)のドア開度が所定開度以下の場合において、前記開閉ドア(27、28)は前記冷風通路(15)および前記温風通路(17)のうち、一方の通路の空気流れに空気が流れる層と空気が流れない層を形成し、
    前記空気が流れる層と前記空気が流れない層は、前記冷風通路(15)および前記温風通路(17)のうち、他方の通路から前記空気混合部(18)へ流入する空気の流れ方向から見て交互に層を成すことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記冷風側ドア手段(19)と前記温風側ドア手段(20)は、いずれも前記開閉ドア(27、28)で構成されており、
    前記冷風側ドア手段(19)のドア開度が所定開度以下の場合において、前記冷風側ドア手段(19)の前記開閉ドア(27)は、冷風流れに冷風が流れる層と冷風が流れない層を形成し、
    前記冷風が流れる層と前記冷風が流れない層は、前記空気混合部(18)へ流入する温風の流れ方向から見て交互に層を成し、
    前記温風側ドア手段(20)のドア開度が所定開度以下の場合において、前記温風側ドア手段(20)の前記開閉ドア(28)は、前記冷風が流れる層に対応する部位に前記温風が流れない層を形成するとともに、前記冷風が流れない層に対応する部位に前記温風が流れる層を形成することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
  3. 前記冷風通路(15)および前記暖房用熱交換器(14)の空気流れ上流部位に冷房用熱交換器(13)を配置し、
    前記冷房用熱交換器(13)と前記暖房用熱交換器(14)は略平行となるように配置されており、
    前記冷風側ドア手段(19)の前記開閉ドア(27)が前記暖房用熱交換器(14)の空気流れ上流側の面(14a)の略延長面と、前記暖房用熱交換器(14)の空気流れ下流側の面(14b)の略延長面との間に配置されることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記ケース(11)内において、前記暖房用熱交換器(14)を車両下方側に配置し、
    前記冷風通路(15)を前記暖房用熱交換器(14)の車両上方側に配置し、
    前記温風通路(17)を前記暖房用熱交換器(14)通過後の温風が車両上方側へ流れるように形成し、
    前記温風通路(17)の車両上方側に前記空気混合部(18)を配置し、
    前記開口部(21、22、23)は、デフロスタ開口部(21)、フェイス開口部(22)およびフット開口部(23)であり、
    前記空気混合部(18)の車両上方側部位にデフロスタ開口部(21)およびフェイス開口部(22)を配置し、
    前記空気混合部(18)の車両下方側部位にフット開口部(23)を配置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  5. 前記冷風側ドア手段(19)は3枚以上の開閉ドア(27)で構成され、
    前記開閉ドア(27)のうち、少なくとも両端に位置する前記開閉ドア(27)が連動して作動するようになっており、
    残余の中央側に位置する開閉ドア(27)が全開していない場合は、前記両端の開閉ドア(27)は全閉しており、
    前記中央側に位置する開閉ドア(27)が全開している場合にのみ、前記両端の開閉ドア(27)が開閉することを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記開閉ドア(27、28)通過後の空気流れを所定方向に整流する空気ガイド(45)を設けたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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WO2017065101A1 (ja) * 2015-10-14 2017-04-20 株式会社ヴァレオジャパン 車両用空調ユニット

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