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JP2005082538A - 刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及びこれを用いた吸着材 - Google Patents

刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及びこれを用いた吸着材 Download PDF

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JP2005082538A JP2003317374A JP2003317374A JP2005082538A JP 2005082538 A JP2005082538 A JP 2005082538A JP 2003317374 A JP2003317374 A JP 2003317374A JP 2003317374 A JP2003317374 A JP 2003317374A JP 2005082538 A JP2005082538 A JP 2005082538A
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Abstract

【課題】水溶液中での分散性が高く、また、刺激応答による凝集分散を繰り返しても、2次凝集を起こすことがなく、更に目的物質の分離回収前後に磁性微粒子から刺激応答性ポリマーが剥がれることが殆どない、効率よく選択的に目的物質の回収が可能な刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及びこれを用いた吸着材を提供すること。
【解決手段】磁性微粒子と刺激応答性ポリマーとが、多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を介して固定されてなる刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子による。
【選択図】なし

Description

本発明は、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及びこれを用いた吸着材に関する。
リガンドが固定された微粒子を混合液に添加し、目的物質を吸着した後、微粒子を回収し、目的物質を微粒子から分離、回収する方法が知られている。具体的には、ビオチン及びアビジンから選ばれた1種以上が下限臨界溶液温度(以下、「LCST」と略す。)を有するポリマーを介して磁性微粒子に固定された熱応答性磁性微粒子と磁石の磁力を用いた生体物質の分離方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法で用いられているポリマーは、単に磁性微粒子上に巻き付いているだけで固着されておらず、目的物質の分離回収前後に磁性微粒子からポリマーが剥がれることが多く、効率のよい目的物質の回収ができていなかった。また、熱等の刺激応答により磁性微粒子の凝集分散を繰り返すと、次第に磁性微粒子同士の2次凝集が生じ、粒子の分散性が損なわれる場合があった。
国際公開第02/16571号パンフレット
そこで、本発明の課題は、水溶液中での分散性が高く、また、刺激応答による凝集分散を繰り返しても、2次凝集を起こすことがなく、更に目的物質の分離回収前後に磁性微粒子から刺激応答性ポリマーが剥がれることが殆どない、効率よく選択的にタンパク質等の目的物質(以下、「目的物」ということがある。)の回収が可能な刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及びこれを用いた吸着材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、以下の構成を採用することにより、本発明の課題を解決することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を有する。
[1]磁性微粒子と刺激応答性ポリマーとが、多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を介して固定されてなる刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[2]刺激応答性ポリマーが、磁性微粒子表面に固定された多価アルコールまたは多価アルコール誘導体にグラフト重合され、固定されていることを特徴とする前記[1]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[3]刺激応答性ポリマーが、そのポリマー末端または側鎖の官能基と、磁性微粒子表面に固定された多価アルコールまたは多価アルコール誘導体の有する官能基との結合によって固定されていることを特徴とする前記[1]項または前記[2]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[4]刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の平均粒径が、1〜1000nmであることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[5]多価アルコールが、デキストラン、ポリビニルアルコール、マンニトール及びソルビトールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[6]多価アルコール誘導体が、反応性の官能基を有する多価アルコール、または重合性の官能基を有する多価アルコールであることを特徴とする前記[1]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[7]刺激応答性ポリマーが、熱応答性ポリマーである前記[1]〜[6]のいずれか1項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[8]熱応答性ポリマーが、下限臨界溶液温度を有するポリマーである前記[7]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[9]下限臨界溶液温度を有するポリマーが、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン及びN−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体からなるポリマーであることを特徴とする前記[8]項記載の刺激応答性ポリマー磁性微粒子。
[10]熱応答性ポリマーが、上限臨界溶液温度を有するポリマーである前記[7]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[11]上限臨界溶液温度を有するポリマーが、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体からなるポリマーであることを特徴とする前記[10]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
[12]前記[1]〜[11]のいずれか1項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子と、目的物と相互に特異的吸着作用する物質とからなる吸着材。
[13]目的物と相互に特異的吸着作用する物質が、ビオチン、アビジン、グルタチオン、レクチン及び抗体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[12]項記載の吸着材。
[14]少なくとも下記手順を有することを特徴とする刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の製造方法。
1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を磁性微粒子の表面に固定するか、または多価アルコール溶液または多価アルコール誘導体中で磁性微粒子を調製する。
2)上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体または下限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体と、前記多価アルコールまたは多価アルコール誘導体が固定された磁性微粒子とを混合し、ラジカル重合法で重合を行う。
3)重合未反応物を除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
[15]少なくとも下記手順を有することを特徴とする刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の製造方法。
1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体と、上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体または下限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体とを混合し、ラジカル重合法でグラフト重合を行うか、または上限臨界溶液温度を有するポリマーまたは下限臨界溶液温度を有するポリマー上の官能基を介してグラフト重合法で結合を行う。
2)刺激応答性ポリマー固定化多価アルコール溶液または刺激応答性ポリマー固定化多価アルコール誘導体溶液中で磁性微粒子を調製する。
3)多価アルコール未反応物または多価アルコール誘導体未反応物を除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
[16]下記工程を有することを特徴とする刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の製造方法。
1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を磁性微粒子の表面に固定するか、または多価アルコール溶液または多価アルコール誘導体中で磁性微粒子を調製する。
2)刺激応答性ポリマーの末端またはポリマー側鎖に反応性の官能基を導入したポリマーを調製、精製する。
3)磁性粒子表面に官能基を介して刺激応答性ポリマーを結合する。
4)未結合ポリマーを除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
[17]少なくとも下記工程を有する、前記[7]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子とビオチンとが熱応答性ポリマーを介して固定されている、平均粒径が、1〜1000nmの吸着材を用いた、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離する方法。
1)目的タンパク質の生産菌を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞破砕懸濁液を調製する。
2)目的タンパク質のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を調製する。
3)上記2)の抗体、該抗体を抗原とするビオチン化イムノグロブリンG、アビジン及び吸着材を混合し、ここに目的タンパク質を含む細胞破砕懸濁液を加え、混合液とし、吸着材と目的タンパク質との結合体を生成させる。
4)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、前記結合体を凝集させる。
5)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
6)結合体からタンパク質を分離する。
[18]少なくとも下記工程を有する、前記[7]項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子とグルタチオンとが熱応答性ポリマーを介して固定されている、平均粒径が、1〜1000nmの吸着材を用いた、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離する方法。
1)目的タンパク質とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を生産する、微生物を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞懸濁液を調製する。
2)細胞破砕懸濁液に吸着材を加え、混合液とし、融合タンパク質と吸着材との結合体を生成させる。
3)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、結合体を凝集させる。
4)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
5)結合体からタンパク質を分離する。
本発明の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子は、水溶液中での分散性が高く、刺激応答による凝集分散を繰り返しても、2次凝集を起こすことがないため、これを用いた吸着材は、目的物を効率よく吸着することができる。
本発明の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及びこれを用いた吸着材は、目的物の分離回収前後に磁性微粒子から刺激応答性ポリマーが殆ど剥がれ落ちない。そのため、本発明の吸着材を用いることで、細胞破砕懸濁液等のタンパク質混合液から目的タンパク質を効率よく選択的に回収することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子は、磁性微粒子と刺激応答性ポリマーとが、多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を介して固定されている。この刺激応答性ポリマーは、磁性微粒子表面に固定された多価アルコールまたは多価アルコール誘導体にグラフト重合されるか、またはそのポリマー末端または側鎖の官能基と、多価アルコールまたは多価アルコール誘導体の有する官能基との結合によって、固定されている。その刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の平均粒径は、1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは、3〜200nmである。
本発明において、磁性微粒子上の鉄イオンと、多価アルコールまたは多価アルコール誘導体の有する水酸基、カルボキシル基、リン酸基等との結合により、磁性微粒子と多価アルコールまたは多価アルコール誘導体とが結合される。多価アルコールまたは多価アルコール誘導体の有する水酸基は、刺激応答性ポリマーとの結合に利用されるだけでなく、目的物と相互に特異的吸着作用する物質の有する反応性官能基との結合に利用され、更に磁性微粒子の水溶液中での分散性の向上に効果がある。そのため、本発明に用いる多価アルコールは、構成単位に水酸基を少なくとも2個有し、鉄イオンと結合可能なアルコール構造体であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、デキストラン、ポリビニルアルコール、マンニトール、ソルビトールが挙げられる。また、グリシジルメタクリレート重合体のようにエポキシ基を有し、開環後多価アルコール構造体を形成する化合物も使用できる。本発明に用いる多価アルコール誘導体は、修飾により、カルボキシル、アミノ、エポキシ、チオール、メタクリルまたはアクリル等の反応性官能基や重合性基が導入された多価アルコールが使用できる。なお、本発明において、リガンドは、タンパク質等の目的物と相互に特異的吸着作用する物質をいう。
本発明に用いる磁性微粒子は、特に制限はないが、平均粒径が、0.9nm以上、1000nm未満であることが好ましく、目的物の認識性を高めるためには、平均粒径が、2.9nm以上、200nm未満であることが特に好ましい。磁性微粒子の素材は、例えば、マグネタイト、酸化ニッケル、フェライト、コバルト鉄酸化物、バリウムフェライト、炭素鋼、タングステン鋼、KS鋼、希土類コバルト磁石及びヘマタイト等の微粒子が挙げられる。
これら磁性微粒子と、多価アルコールまたは多価アルコール誘導体との結合体は、当技術分野における周知の方法によって調製することができる。例えば、米国特許第4452773号に記載されているように、デキストラン50重量%水溶液(10ml)中に、塩化第二鉄・六水和物(1.51g)及び塩化第一鉄・四水和物(0.64g)混合水溶液(10ml)を加えて攪拌し、60〜65℃に水浴中で、7.4(V/V)%アンモニア水溶液をpH10〜11程度になるように滴下しながら、加熱し、15分反応させる方法で得ることができる。
本発明で磁性微粒子、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及び吸着材の回収に用いる磁石は、用いる磁性微粒子の有する磁力の大きさによって異なるが、前記磁性微粒子の素材であれば、マグナ社製ネオジ磁石が利用できる。このように本発明では、磁石の磁力によって、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及び吸着材等を回収するが、磁性微粒子の表面に刺激応答性ポリマーが固定されていることで、分散状態では回収困難なナノサイズの磁性微粒子を意図的に凝集させて、回収率を高めることが可能になる。
刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子は、磁性微粒子存在下で刺激応答性ポリマーを反応性の官能基を介して結合する方法、または多価アルコール上の活性水素または多価アルコールに重合性不飽和結合を導入し、磁性微粒子にグラフト重合する方法等の当技術分野で周知の方法で得られる(ADV.Polym.Sci.,Vol.4、p111、1965 や J.Polymer Sci.,Part−A,3,p1031,1965 に記載されている)。
刺激応答性ポリマーは、分散状態では回収困難な磁性微粒子に特定の刺激を与えられることで、回収可能な大きさに凝集させる能力を有していることが必要である。刺激は、熱、pH、塩濃度、光、電気等が挙げられる。刺激応答性ポリマーのなかでも、刺激のコントロールが容易な熱応答性を示すポリマー(以下、「熱応答性ポリマー」という。)が特に好ましい。
熱応答性ポリマーは、下限臨界溶液温度を有するポリマー及び上限臨界溶液温度を有するポリマーに区別される。
下限臨界溶液温度を有するポリマーは、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリン等のN置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなるポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポリビニルメチルエーテル、(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン誘導体;ポリオキシエチレンソルビタンラウレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル誘導体;(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)(メタ)アクリレート類;及び(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)(メタ)アクリレート類等のポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体等である。また、これらの重合体及びこれらの少なくとも2種の単量体からなるコポリマーも利用できる。これらのなかでも、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体からなるポリマーが好ましく利用できる。
また、上限臨界溶液温度を有するポリマーは、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシル等からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体からなるポリマーである。また、これらの少なくとも2種の単量体からなるコポリマーも利用できる。これらのなかでも、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく利用できる。
本発明では、少なくとも下記手順を有する1〜3のいずれか1種の方法で、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を得ることができる。
方法1
1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を磁性微粒子の表面に固定するか、または多価アルコール溶液または多価アルコール誘導体中で磁性微粒子を調製する。
2)上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体または下限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体と、前記多価アルコールまたは多価アルコール誘導体が固定された磁性微粒子とを混合し、ラジカル重合法で重合を行う。
3)重合未反応物を除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
方法2
1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体と、上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体または下限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体とを混合し、ラジカル重合法でグラフト重合を行うか、または上限臨界溶液温度を有するポリマーまたは下限臨界溶液温度を有するポリマー上の官能基を介してグラフト重合法で結合を行う。
2)刺激応答性ポリマー固定化多価アルコール溶液または刺激応答性ポリマー固定化多価アルコール誘導体溶液中で磁性微粒子を調製する。
3)多価アルコール未反応物または多価アルコール誘導体未反応物を除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
方法3
1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を磁性微粒子の表面に固定するか、または多価アルコール溶液または多価アルコール誘導体中で磁性微粒子を調製する。
2)刺激応答性ポリマーの末端またはポリマー側鎖に反応性の官能基を導入したポリマーを調製、精製する。
3)磁性粒子表面に官能基を介して刺激応答性ポリマーを結合する。
4)未結合ポリマーを除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
本発明では、目的物と相互的に特異的吸着作用を有する部位を磁性微粒子に導入し、固定することで、その部位と親和性を有する物質が特異的に結合できる。目的物がタンパク質の場合には、目的物と相互に特異的吸着作用する部位として、ビオチン、アビジン、グルタチオン、レクチン及び抗体等を刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子に固定することで、それらに親和性を有するタンパク質と特異的に結合できる。
ビオチンの場合は、アビジンとの特異的な結合を介してビオチン化された目的タンパク質と、またビオチン化された抗体を用いてそれらの抗原である種々のタンパク質と更に結合することが可能である。
本発明では、市販されているアビジン、ビオチン化タンパクが利用でき、ビオチン化は、当技術分野で周知の方法に従えばよい。
グルタチオンの場合は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、「GST」という。)を含有するタンパク質と特異的に結合できる。このようなGST含有タンパク質の調製は当技術分野で周知の方法に従えばよい。磁性微粒子上の刺激応答性ポリマーに、ビオチンまたはグルタチオンを固定する方法は、例えば、国際公開第01/09141号パンフレットに記載されているように、ビオチンをメタクリル基やアクリル基等の重合性の官能基と結合させて付加重合性単量体とし、他の単量体成分と共重合することにより達成される。この方法は、重合性を持つようにモノマー化されたリガンドを用いて、ポリマーの重合時に共重合させ、リガンドを固定する方法である。この方法を利用して刺激応答性ポリマーにグルタチオンを固定することができる。また、ポリマーの重合時にカルボン酸、アミノ基またはエポキシ基等の官能基を持つモノマーを他のモノマーと共重合させ、当技術分野で周知の方法に従い、この官能基を介して、リガンドをポリマー上に固定する方法が利用できる。これにより、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子と、リガンドとからなる吸着材が得られる。
本発明では、少なくとも下記工程を有する方法により、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離することができる。なお、このとき用いる吸着材は、熱刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子とビオチンとが熱応答性ポリマーを介して固定された構造であり、吸着材の平均粒径は、1〜1000nmであり、3〜200nmであることが好ましい。
1)目的タンパク質の生産菌を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞破砕懸濁液を調製する。
2)目的タンパク質のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を調製する。
3)上記2)の抗体、該抗体を抗原とするビオチン化イムノグロブリンG、アビジン及び吸着材を混合し、ここに目的タンパク質を含む細胞破砕懸濁液を加え、混合液とし、吸着材と目的タンパク質との結合体を生成させる。
4)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、前記結合体を凝集させる。
5)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
6)結合体からタンパク質を分離する。
本発明では、少なくとも下記工程を有する方法により、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離することができる。なお、このとき用いる吸着材は、熱刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子とグルタチオンとが熱応答性ポリマーを介して固定された構造であり、吸着材の平均粒径は、1〜1000nmであり、3〜200nmであることが好ましい。
1)目的タンパク質とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を生産する、微生物を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞懸濁液を調製する。
2)細胞破砕懸濁液に吸着材を加え、混合液とし、融合タンパク質と吸着材との結合体を生成させる。
3)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、結合体を凝集させる。
4)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
5)結合体からタンパク質を分離する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されることはない。また、実施例、比較例中における物性の測定方法、用いた材料の組成は以下の通りである。
・SDS−PAGE:アクリルアミド、ビスアクリルアミドから作られた10重量%のポリアクリルアミドゲルを備えた電気泳動装置を用いて、25mAの電流で電気泳動を行った。なお、マーカーは、アマシャムバイオサイエンス社製タンパク質電気泳動用有色分子量マーカーを使用した。電気泳動を行った後、ポリアクリルアミドゲルを0.5重量%のクーマシーブリリアントブルー溶液に浸すことによって、該ゲル中のタンパク質の染色を行った。なお、SDS−PAGEを行なう際に、変性処理を行うが、この処理で目的タンパクは、吸着材から外れる。
・刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子及び吸着材の粒径:大塚電子社製ELS−8000SD型「光散乱光度計」によって測定した。
磁性微粒子(40nm)の調製は、以下の方法で行った。
100ml容のフラスコに、塩化第二鉄・六水和物(1.0mol)及び塩化第一鉄・四水和物(0.5mol)混合水溶液を3ml、多価アルコールであるデキストラン(和光純薬社製、分子量32000〜40000)の10重量%水溶液60mlを入れ、メカニカルスターラーで攪拌し、この混合溶液を50℃に昇温した後、これに25重量%アンモニア溶液5.0mlを滴下し、1時間程度攪拌した。この操作で、平均粒径が約40nmのデキストランが固定された磁性微粒子が得られた。
磁性微粒子(50nm)の調製は、以下の方法で行った。
100ml容のフラスコに、塩化第二鉄・六水和物(1.0mol)及び塩化第一鉄・四水和物(0.5mol)混合水溶液を3ml、多価アルコールであるポリビニルアルコール(和光純薬社製、分子量22000)の1重量%水溶液60mlを入れ、メカニカルスターラーで攪拌し、この混合溶液を50℃に昇温した後、これに25重量%アンモニア溶液5.0mlを滴下し、1時間程度攪拌した。この操作で平均粒径が約50nmのポリビニルアルコールが固定された磁性微粒子が得られた。
磁性微粒子(60nm)の調製は、以下の方法で行った。
1L容のフラスコに、多価アルコール誘導体である分子量約3000のカルボキシデキストラン105gと水350mlを入れて溶解し、これに1.0M塩化第二鉄水溶液140mlに塩化第一鉄・四水和物13.6gを溶解した水溶液を加え、更に加温しながら3M水酸化ナトリウム水溶液242mlを添加した。これを塩酸で中和した後、2時間加熱した。この操作で平均粒径が約60nmの表面にカルボキシデキストランが固定された磁性微粒子が得られた。
ビオチンモノマー〔N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド〕の調製は、以下の方法で行った。
N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩18g、ビオチン24g及びトリエチルアミン30gを300mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、0℃に冷却した。ジフェニルホスフォニルアジド28gを50mlのDMFに溶解させた溶液を1時間かけて、この混合物中に滴下した。滴下終了後、0℃で3時間攪拌し、更に室温で12時間攪拌した。この後、減圧下で、溶媒を留去し、展開溶媒としてクロロホルム−メタノール混合溶媒を用いて、カラムクロマトグラフィーに残留物をかけたところ、白色粉末22gが得られた。これは、目的物であるN−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミドであった(収率59%)。
グルタチオンモノマーの調製は、以下の方法で行った。
還元型グルタチオンの塩酸塩307mg、1,4ブタンジオールグリシジルエーテル1010mg、0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)500μl及び0.2N水酸化ナトリウム溶液550μlを混合し、この混合物の容量を計5mlになるように蒸留水で調製し、更に混合した後、室温で1時間反応させた。この反応液に等量のアセトンを添加し、析出物を生成させた。この析出物を分離し、過剰量の1,4ブタンジオールグリシジルエーテルを除去した。析出物50mg、ジチオスレイトール15mg及び0.5Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)50μlを混合し、この混合物の容量を計500μlになるように蒸留水で調製し、更に混合した後、室温で1時間反応させた。この反応液にアセトン5mlを添加し、析出物を生成させた。この析出物を分離し、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液500μlに懸濁し、更にグリシジルメタクリレート11.4μlを添加した。室温で1時間放置することで反応させた後、アセトン5mlを添加し、析出物を生成させ、これを分離し、逆相カラムクロマトグラフィーで精製し、重合性グルタチオンモノマーが得られた。
LCST型吸着材(ビオチン結合−熱応答性ポリマー固定化磁性微粒子)の調製は、以下の方法で行った。
50mlの三口フラスコに、N−イソプロピルアクリルアミド300mg、調製したビオチンモノマー3mg、磁性微粒子(40nm)の2重量%水溶液2mlを入れ、蒸留水で20mlに調節した。この溶液を窒素置換した後、更に0.2M 硝酸二アンモニウムセリウム(IV)硝酸溶液200μlを添加し、2時間攪拌し、反応を進行させることで、LCST型吸着材が得られた。このLCST型吸着材の平均粒径は、光散乱光度計により約100nmであることがわかった。またこの微粒子はLCSTを37℃に有し、LCST未満の水溶液中では完全に分散し、磁石での回収は困難であったが、溶液をLCST以上とすると直ちに凝集し、磁石で容易に回収することが可能であった。
LCST型吸着材へのポリマー固定化の確認。
前記LCST型吸着材溶液の0.1重量%水溶液50μlを1.5mlエッペンドルフチューブにとり、さらに1g/lのアビジン溶液50μlをチューブに加え、40℃、20分混合した。その後、チューブを40℃に加熱し、吸着材を凝集させ、磁石で回収し、上清部分と分離した。凝集部分にバッファー(20mM Tris−HCl(pH7.5),150mM NaCl,0.05%TWEEN20)200μlを加え、吸着材を冷却して分散させ、再度加熱して凝集させ、凝集塊に混入した成分を洗浄し取り除いた。この操作を4回繰り返した。各操作で凝集後に回収した吸着材にそれぞれ2×SDS サンプルバッファー(20重量%グリセリン、250mM Tris−HCl、4重量%SDS、10重量%メルカプトエタノール、8M 尿素、0.004重量%ブロモフェノールブルー、pH6.8)を20μl加え、95℃で、10分間加熱し、吸着材に結合したタンパク質を抽出し、この抽出液を用いてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(以下、これを「SDS−PAGE」という。)を行い、SDSポリアクリルアミドゲルをクーマシーブリリアントブルー染色液で染色、脱色した後、バンドの濃度を比較した。この結果から、4回の洗浄でアビジンのバンド濃度に殆ど変動がなく、凝集分散操作の繰り返しによるポリマーの脱離がないことが認められた(図1のレーンA1〜A4)ここで、A1は1回目、A2は2回目、A3は3回目、A4は4回目の洗浄後に回収した吸着材に結合していたアビジンを含有する2×SDS サンプルバッファー溶液を載せたレーンである。また、添加アビジン量を5μlにした場合も同様の結果であった(図1のレーンB1〜B4)。ここで、B1は1回目、B2は2回目、B3は3回目、B4は4回目の洗浄後に回収した吸着材に結合していたアビジンを含有する2×SDS サンプルバッファー溶液を載せたレーンである。
LCST型吸着材(SP2抗体結合−アビジン結合−熱応答性ポリマー固定化磁性微粒子)による蚕由来貯蔵タンパク質(以下、「SP2」と略す。)の分離。
実施例1に準拠して、アビジンを熱応答性ポリマー固定化磁性微粒子に結合して、アビジン結合−熱応答性ポリマー固定化磁性微粒子を調製した。この微粒子の0.1重量%水溶液5μlを1mlエッペンドルフチューブに取り、1g/lビオチン化プロテインA 10μlを添加し、バッファー(20mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl)を加えトータル100μlにした。4℃で20分混合後、40℃に加熱し、微粒子を凝集させて、磁石で回収した。そこに、バッファーを添加し、同様に凝集、分散を繰り返し微粒子を洗浄した。その後、SP2抗体10μlを添加し、凝集、分散により洗浄した。SP2抗体を更に結合したLCST型吸着材が得られた。この吸着材に、5齢5日目の蚕体液を1μl添加し、混合後、加熱凝集させて、磁石で回収した後、上澄みを分離し、実施例1に準拠して凝集分散の繰り返しによるこの吸着材の洗浄を行った。このLCST型吸着材に吸着しているタンパク質をSDS−PAGEにより確認した(図2)。その結果、SP2のバンドが確認できた(レーン1)。また、比較としてSP2抗体を結合しなかったアビジン結合−熱応答性ポリマー固定化磁性微粒子では、SP2は検出されなかった(レーン2)。このことから、SP2は、LCST型吸着材内のSP2抗体により選択的に吸着され、回収されたことが確認できた。
UCST型吸着材(ビオチン結合−刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子)の調製は、以下の方法で行った。
10mM 炭酸ナトリウム溶液15mlに前記方法で調製した磁性微粒子(40nm)1mlを添加し、2時間攪拌後、グリシジルメタクリレート100mgを添加し、72時間反応させた。透析後に濃縮し、メタクリル化磁性微粒子が得られた。
50mlの三口フラスコに、N−アクロイルグリシンアミド200mg、前記メタクリル化磁性微粒子2mg及びビオチンモノマー3mgを入れ、蒸留水で20mlに調節した。この溶液を窒素置換した後、過硫酸アンモニウム30mgを添加し、50℃で2時間反応させることで、UCST型吸着材が得られた。この平均粒径は、光散乱光度計により約100nmであることがわかった。またこの微粒子はUCSTを20℃に有し、UCST未満の水溶液中では凝集し、磁石で容易に回収することが可能であった。溶液をUCST以上にすると直ちに分散し、磁石で回収することが困難であった。
UCST型吸着材(SP2抗体結合−ビオチン化抗IgG結合−アビジン結合−刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子)によるSP2の分離。
UCST型吸着材を用いた以外は実施例1に準拠して、アビジンを熱応答性ポリマー固定化磁性微粒子に結合して、アビジン結合−刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を調製した。この微粒子の0.1重量%水溶液5μlを1.5mlエッペンドルフチューブに取り、1g/lビオチン化抗IgG 10μlを添加し、40℃で20分混合後、4℃に冷却し、得られたビオチン化抗IgG−アビジン結合−刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を凝集させ、磁石で回収し、不純物を除去した。その後、バッファー(20mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.05%TWEEN20)を添加し、同様に凝集、分散を繰り返し粒子を洗浄した。その後、SP2抗体10μlを添加し、凝集、分散により洗浄した。このSP2抗体を更に結合させることでUCST型吸着材が得られた。この吸着材に、5齢5日目の蚕体液を1μl添加し、混合後、吸着材を洗浄し、冷却凝集させて、磁石で回収した。このUCST型吸着材に結合しているタンパク質をSDS−PAGEにより確認した(図3)。その結果、LCST型吸着材と同様にSP2が選択的に結合し、回収されたことが確認できた(図3のレーン1)。
LCST型吸着材に結合したタンパク質のSDS−PAGEによって得られた電気泳動結果の写真である。 LCST型吸着材に結合したタンパク質のSDS−PAGEによって得られた電気泳動結果の写真である。 UCST型吸着材に結合したタンパク質のSDS−PAGEによって得られた電気泳動結果の写真である。

Claims (18)

  1. 磁性微粒子と刺激応答性ポリマーとが、多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を介して固定されてなる刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  2. 刺激応答性ポリマーが、磁性微粒子表面に固定された多価アルコールまたは多価アルコール誘導体にグラフト重合され、固定されていることを特徴とする請求項1記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  3. 刺激応答性ポリマーが、そのポリマー末端または側鎖の官能基と、磁性微粒子表面に固定された多価アルコールまたは多価アルコール誘導体の有する官能基との結合によって固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  4. 刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の平均粒径が、1〜1000nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  5. 多価アルコールが、デキストラン、ポリビニルアルコール、マンニトール及びソルビトールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  6. 多価アルコール誘導体が、反応性の官能基を有する多価アルコール、または重合性の官能基を有する多価アルコールであることを特徴とする請求項1記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  7. 刺激応答性ポリマーが、熱応答性ポリマーである請求項1〜6のいずれか1項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  8. 熱応答性ポリマーが、下限臨界溶液温度を有するポリマーである請求項7記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  9. 下限臨界溶液温度を有するポリマーが、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン及びN−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体からなるポリマーであることを特徴とする請求項8記載の刺激応答性ポリマー磁性微粒子。
  10. 熱応答性ポリマーが、上限臨界溶液温度を有するポリマーである請求項7記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  11. 上限臨界溶液温度を有するポリマーが、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクロイルグリシンアミド、アクロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクロイルニペコタミド及びアクロイルメチルウラシルからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体からなるポリマーであることを特徴とする請求項10記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子と、目的物と相互に特異的吸着作用する物質とからなる吸着材。
  13. 目的物と相互に特異的吸着作用する物質が、ビオチン、アビジン、グルタチオン、レクチン及び抗体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項12記載の吸着材。
  14. 少なくとも下記手順を有することを特徴とする刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の製造方法。
    1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を磁性微粒子の表面に固定するか、または多価アルコール溶液または多価アルコール誘導体中で磁性微粒子を調製する。
    2)上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体または下限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体と、前記多価アルコールまたは多価アルコール誘導体が固定された磁性微粒子とを混合し、ラジカル重合法で重合を行う。
    3)重合未反応物を除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
  15. 少なくとも下記手順を有することを特徴とする刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の製造方法。
    1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体と、上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体または下限臨界溶液温度を有するポリマーが得られる単量体とを混合し、ラジカル重合法でグラフト重合を行うか、または上限臨界溶液温度を有するポリマーまたは下限臨界溶液温度を有するポリマー上の官能基を介してグラフト重合法で結合を行う。
    2)刺激応答性ポリマー固定化多価アルコール溶液または刺激応答性ポリマー固定化多価アルコール誘導体溶液中で磁性微粒子を調製する。
    3)多価アルコール未反応物または多価アルコール誘導体未反応物を除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
  16. 少なくとも下記工程を有することを特徴とする刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子の製造方法。
    1)多価アルコールまたは多価アルコール誘導体を磁性微粒子の表面に固定するか、または多価アルコール溶液または多価アルコール誘導体中で磁性微粒子を調製する。
    2)刺激応答性ポリマーの末端またはポリマー側鎖に反応性の官能基を導入したポリマーを調製、精製する。
    3)磁性微粒子表面に官能基を介して刺激応答性ポリマーを結合する。
    4)未結合ポリマーを除去し、刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子を分離する。
  17. 少なくとも下記工程を有する、請求項7記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子とビオチンとが熱応答性ポリマーを介して固定されている、平均粒径が、1〜1000nmの吸着材を用いた、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離する方法。
    1)目的タンパク質の生産菌を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞破砕懸濁液を調製する。
    2)目的タンパク質のポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を調製する。
    3)上記2)の抗体、該抗体を抗原とするビオチン化イムノグロブリンG、アビジン及び吸着材を混合し、ここに目的タンパク質を含む細胞破砕懸濁液を加え、混合液とし、吸着材と目的タンパク質との結合体を生成させる。
    4)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、前記結合体を凝集させる。
    5)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
    6)結合体からタンパク質を分離し、精製する。
  18. 少なくとも下記工程を有する、請求項7記載の刺激応答性ポリマー固定化磁性微粒子とグルタチオンとが熱応答性ポリマーを介して固定されている、平均粒径が、1〜1000nmの吸着材を用いた、微生物の細胞破砕懸濁液から目的タンパク質を分離する方法。
    1)目的タンパク質とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合タンパク質を生産する、微生物を培養し、得られた細胞懸濁液を破砕し、細胞懸濁液を調製する。
    2)細胞破砕懸濁液に吸着材を加え、混合液とし、融合タンパク質と吸着材との結合体を生成させる。
    3)前記混合液の温度を下限臨界溶液温度または上限臨界溶液温度に設定し、結合体を凝集させる。
    4)凝集した結合体を磁石で分離し、回収する。
    5)結合体からタンパク質を分離し、精製する。
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