JP2005079375A - 回路基板用部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可撓性フイルムを有機物層を介して補強板に貼り合わせ、寸法精度を維持することで、高精度な回路パターンを形成した回路基板用部材にはんだリフローで電子部品を接合する場合に、回路パターンの位置ずれや平坦性の劣化を起こすことなく、良好な回路基板用部材を提供すること。
【解決手段】補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、該金属層からなるパターンの最大幅を2mm以下とする。また、補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離を5mm以上とする。
【選択図】 図3
【解決手段】補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、該金属層からなるパターンの最大幅を2mm以下とする。また、補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離を5mm以上とする。
【選択図】 図3
Description
本発明は、高精度な回路パターンを有するとともに生産性に優れた可撓性フィルムを用いた回路基板の製造方法に関する。
エレクトロニクス製品の軽量化、小型化に伴い、プリント回路基板のパターニングの高精度化が求められている。可撓性フィルム基板は、曲げることができるために三次元配線ができ、エレクトロニクス製品の小型化に適していることから需要が拡大している。
液晶ディスプレイパネルへのIC接続に用いられるTAB(Tape Automated Bonding)技術は、比較的細幅の長尺ポリイミドフィルム基板を加工することで樹脂基板としては最高の微細パターンを得ることができるが、微細化の進展に関しては限界に近づきつつある。
微細化にはライン幅やライン間のスペース幅で表される指標と基板上のパターンの位置で表される指標がある。ライン幅やスペース幅に関しては、さらに微細化する方策があるが、後者の指標である位置精度は、回路基板とICなどの電子部品を接合する際の電極パッドと回路基板パターンとの位置合わせに係わり、ICの多ピン化の進展に従い、要求される精度に対応することが厳しくなってきている。
上記位置精度の点において、特に可撓性フィルム基板加工は改良が難しい状況になりつつある。すなわち回路基板加工プロセスでは、乾燥やキュアなどの熱処理プロセス、エッチングや現像などの湿式プロセスがあり、可撓性フィルムは、膨張と収縮を繰り返す。このときのヒステリシスは、基板上の回路パターンの位置ずれを引き起こすからである。また、アライメントが必要なプロセスが複数ある場合、これらのプロセスの間に膨張、収縮があると、形成されるパターン間で位置ずれが発生するからである。
可撓性フィルムの膨張と収縮による変形は、比較的大面積の基板寸法で加工を進めるFPC(Flexible Printing Circuit)の場合には、更に大きな影響を及ぼす。位置ずれは引っ張りや捻れなどの外力でも引き起こされ、柔軟性を上げるために薄い基板を使う場合は特に注意を要する。
これに対して、回路パターンを形成しようとする可撓性フィルムに剥離可能な有機物層を介して可撓性フィルムを貼り合わせ、全体の厚みを増すことで外力による変形を抑えようとする提案がある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、可撓性フィルムの膨張、収縮ヒステリシスによる回路パターンの位置ずれはあまり軽減されない。
また、回路パターンを形成しようとする可撓性フィルムと有機あるいは無機の硬質板とを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせる提案がある(例えば、特許文献2参照)。しかし、有機硬質板を用いる場合は、特許文献1と同様に、膨張、収縮ヒステリシスによる回路パターンの位置ずれの問題が残る。
さらに、回路パターンの微細化に伴い、位置精度は、回路パターン加工プロセス加工中の基板の安定性だけでなく、回路基板作製後から電子デバイス接合までの温度、湿度による寸法変化抑制も同等に重要になってきている。特許文献1や2の例では、回路基板作製後に補強板を剥離してしまうため、回路基板作製から電子デバイス接合までの間の位置精度維持について保証されないのである。
これに対して、可撓性フィルムを補強板に貼り合わせ、寸法精度を維持する事で、非常に微細な回路パターンを形成し、その後半導体部品を接合することが提案されている(例えば、特許文献3参照)。本発明は、特許文献3に示された構成を高生産性でかつ高特性で実現する態様を提供する。
特開平5−218616号公報(第1−3頁)
特開昭60−57697号公報(第1−3頁)
国際公開第03/009657号パンフレット
本発明の目的は、上記のような問題点を解決することであり、具体的には、高精細な可撓性フィルム回路基板製造と該回路基板への電子部品の高精度実装方法を提供することにある。さらには高精細な可撓性フィルム回路基板作製および電子部品実装を生産性高く実現することにある。
上記本発明の目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。
(1)補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、該金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であることを特徴とする回路基板用部材。
(2)補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離が5mm以上であることを特徴とする回路基板用部材。
(3)可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、該可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層からなるパターンを形成し、該金属層からなるパターンに電子部品を接合する回路基板用部材の製造方法であって、はんだリフローで少なくとも一部の電子部品が接合され、かつ、該金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であることを特徴とする回路基板用部材の製造方法。
(4)可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、該可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層からなるパターンを形成し、該金属層からなるパターンに電子部品を接合する回路基板用部材の製造方法であって、はんだリフローで少なくとも一部の電子部品が接合され、かつ、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離が5mm以上であることを特徴とする回路基板用部材の製造方法。
(1)補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、該金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であることを特徴とする回路基板用部材。
(2)補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離が5mm以上であることを特徴とする回路基板用部材。
(3)可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、該可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層からなるパターンを形成し、該金属層からなるパターンに電子部品を接合する回路基板用部材の製造方法であって、はんだリフローで少なくとも一部の電子部品が接合され、かつ、該金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であることを特徴とする回路基板用部材の製造方法。
(4)可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、該可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層からなるパターンを形成し、該金属層からなるパターンに電子部品を接合する回路基板用部材の製造方法であって、はんだリフローで少なくとも一部の電子部品が接合され、かつ、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離が5mm以上であることを特徴とする回路基板用部材の製造方法。
本発明を用いることで、加工工程での熱処理プロセス、湿式プロセスによる膨張と収縮、あるいは引っ張りや捻れなどの外力による変形を抑制し、また、加工後の保管による温度、湿度による膨張、収縮を抑制して、より設計値に近い微細加工と微細な接合が可能である。更に、補強板に可撓性フィルムを貼り合わせた状態ではんだリフローを実施でき、電子部品搭載作業の精度と生産性の向上を図ることができる。
本発明において、可撓性フィルムは、プラスチックフィルムであって、回路パターン製造工程および電子部品実装での熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていることが重要であり、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのフィルムを採用することができる。中でもポリイミドフィルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点で、液晶ポリマーが好適に採用される。また、可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。
可撓性フィルムの厚さは、電子機器の軽量化、小型化、あるいは微細なビアホール形成のためには薄い方が好ましく、一方、機械的強度を確保するためや平坦性を維持するためには厚い方が好ましい点から、4μmから125μmの範囲が好ましい。
可撓性フィルムには、補強板との貼り付けに先立って、片面もしくは両面に金属層が形成されていても良い。金属層は、銅箔などの金属箔を接着剤層で貼り付けて形成することができる他、スパッタやめっき、あるいはこれらの組合せで形成することができる。また、銅などの金属箔の上に、可撓性フィルムの原料樹脂あるいはその前駆体を塗布、乾燥、キュアすることで、金属層付き可撓性フィルムを作り、これを利用することもできる。金属層としては、導電性が高いものであれば良く、例えば、金、銀、銅、アルミニウムなどを用いることができる。
本発明において補強板として用いられる素材としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸系ガラス、石英ガラスなどの無機ガラス類、アルミナ、窒化シリコン、ジルコニアなどのセラミックス、ステンレススチール、インバー合金、チタンなどの金属やガラス繊維補強樹脂などが採用できる。いずれも線膨張係数や吸湿膨張係数が小さい点で好ましいが、回路パターン製造工程における耐熱性や耐薬品性に優れている点、大面積で表面平滑性が高い基板が安価に入手しやすい点、塑性変形しにくい点、あるいは運搬時等における接触の際、パーティクルを発生しにくいなどの点で無機ガラス類が好ましい。中でもアルミノホウケイ酸塩ガラスに代表されるホウケイ酸系ガラスは、高弾性率でかつ熱膨張係数が小さいため特に好ましい。
補強板の形状は特に限定されず、例えば、長尺板等を使用することができる。金属やガラス繊維補強樹脂を補強板に採用する場合は、長尺連続体での製造もできるが、位置精度を確保しやすい点で、本発明の回路基板は枚葉であることが好ましい。また、電子部品実装においても、位置合わせや自動化が容易な点で枚葉が好ましい。枚葉とは、長尺連続体でなく、個別のシート状でハンドリングされる状態を言う。
補強板にガラス基板を用いる場合、ガラス基板のヤング率が小さかったり、厚みが小さいと可撓性フィルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着したときにガラス基板が割れることがある。また、真空吸着・脱着で可撓性フィルムが変形することになり位置精度の確保が難しくなる傾向がある。一方、ガラス基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる傾向がある。また、ロボット等によるハンドリングに負荷が大きくなり素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する傾向がある。これらの点から、ガラス基板の厚さは、0.3mmから2mmの範囲が好ましい。
補強板に金属基板を用いる場合、金属基板のヤング率が小さかったり、厚みが小さいと可撓性フィルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着できなくなったり、金属基板の反りやねじれ分、可撓性フィルムが変形することにより、位置精度の確保が難しくなる。また、折れがあるとその時点で不良品になる。一方、金属基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる。また、ロボット等によるハンドリングに負荷が大きくなり素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する。これらの点から、金属基板の厚さは、0.1mmから1mmの範囲が好ましい。
本発明に用いられる剥離可能な有機物層は接着剤または粘着剤からなり、可撓性フィルムを有機物層を介して補強板に貼り付けて加工後、可撓性フィルムを剥離しうるものであれば特に限定されない。このような接着剤または粘着剤としては、例えば、アクリル系またはウレタン系の再剥離粘着剤と呼ばれる粘着剤等を挙げることができる。可撓性フィルム加工中は十分な接着力があり、剥離時は容易に剥離でき、可撓性フィルム基板に歪みを生じさせないために、弱粘着から中粘着と呼ばれる領域の粘着力のものが好ましく使用される。
シリコーン樹脂膜の中でタック性があるものは本発明において、剥離可能な有機物層として使用することができる。また、タック性があるエポキシ系樹脂膜を剥離可能な有機物層として使用することも可能である。
本発明において、剥離力は、剥離可能な有機物層を介して補強板と貼り合わせた1cm幅の可撓性フィルムを剥離するときの180°方向ピール強度で測定される。剥離力を測定するときの剥離速度は300mm/分とする。本発明において剥離力は0.098N/mから98N/mの範囲が好ましい。
本発明において、剥離可能な有機物層として、前述した他、低温領域で接着力、粘着力が減少するもの、紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものや加熱処理で接着力、粘着力が減少するものも好適に用いられる。これらの中でも紫外線照射によるものは、接着力、粘着力の変化が大きく、さらに電子部品を高温高圧で接合することに先だって紫外線照射して架橋させておくことで、温度による軟化や圧力による変形を抑えることが可能であるので好ましい。紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものの例としては、2液架橋型のアクリル系粘着剤が挙げられる。また、低温領域で接着力、粘着力が減少するものの例としては、結晶状態と非結晶状態間を可逆的に変化するアクリル系粘着剤が挙げられる。
剥離可能な有機物層は、補強板に直接塗布しても良いし、長尺フィルムなどの別の基体に塗布してから補強板に転写しても良い。転写を用いる場合は、塗布膜厚が均一な部分だけを採用することができる長所があるが、工程が増えたり、転写用の別の基体が必要になる短所がある。また、剥離可能な有機物層を可撓性フィルム側に塗布してから、補強板に貼り合わせることもできる。この場合は、可撓性フィルム剥離時に、有機物層が補強板側に残るように有機物層と補強板表面の粘着力を大きくするための工程、あるいは、剥離後に可撓性フィルム側に残った有機物層を除去する工程が付加されることがあり生産性が低下することがある。
本発明の有機物層の厚みは、0.1μmから20μmの範囲が好ましく、0.3μmから10μmの範囲であることがさらに好ましい。
補強板と有機物層との接着力を向上させるために、補強板にシランカップリング剤塗布などのプライマー処理を行っても良い。プライマー処理以外に紫外線処理、紫外線オゾン処理などによる洗浄や、ケミカルエッチング処理、サンドブラスト処理あるいは微粒子分散層形成などの表面粗化処理なども好適に用いられる。
本発明に使用する可撓性フイルムには、補強板との貼り付けに先立って、貼り付け面である一方の面に回路パターンが形成されていても良い。この場合、該パターン形成と同時に、もう一方の面に形成される回路パターンとの位置合わせ用マークを形成することが好ましい。貼り合わせ面とは反対側の面に形成する高精細パターンの高精細さを活かすために位置合わせマークを設けて位置合わせすることは高精細パターンの作製に非常に有効である。位置合わせマーク読みとり方法は特に限定されず、例えば、光学的な方法、電気的な方法等を用いることができる。位置合わせマークは、可撓性フイルムを補強板と貼り合わせる際の位置合わせにも利用することができる。位置合わせマークの形状は特に限定されず、露光機などで一般に使用される形状が好適に採用できる。
本発明の回路基板の製造方法の一例を以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
厚さ1.1mmのソーダライムガラスにスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで、シランカップリング剤を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に比較的低粘度のシランカップリング剤の薄膜を均一に塗布するためには、スピンコーターの使用が好ましい。シランカップリング剤塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが20nmのシランカップリング剤層を得る。
次に上記シランカップリング剤層上に、スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで、紫外線硬化型有機物を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に比較的粘度が高い有機物を均一に塗布するためには、ダイコーターの使用が好ましい。有機物を塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが2μmの有機物層を得る。この有機物層に、ポリエステルフイルム上にシリコーン樹脂層を設けた空気遮断用フイルムを貼り付けて1週間熟成させる。空気遮断用フイルムを貼り合わせる代わりに、窒素雰囲気中や真空中で保管することもできる。また、有機物層を長尺フイルム基体に塗布、乾燥後、枚葉基板に転写することも可能である。
本発明において、有機物層は、最初に可撓性フィルム側に形成されていても良いし、補強板側に形成されていても良く、両方に形成されていても良い。形成の容易さや剥離界面を可撓性フィルムと有機物層となるよう制御するためには、補強板側に形成されるのが好ましい。
次に上記空気遮断用フイルムを剥がしてポリイミドフイルムを貼り付ける。ポリイミドフイルムの片面または両面に金属層があらかじめ形成されていても良い。ポリイミドフイルムは、あらかじめ所定の大きさのカットシートにしておいて貼り付けても良いし、長尺ロールから巻きだしながら、貼り付けと切断をしてもよい。このような貼り付け作業には、ロール式ラミネーターや真空ラミネーターなどを使用することができる。
ポリイミドフイルムをガラス基板に貼り付けた後、紫外線硬化型有機物層に紫外線を照射して架橋を進行させる。
ポリイミドフイルム上に、フルアディティブ法、セミアディティブ法やサブトラクティブ法で金属層からなるパターンを形成する。
フルアディティブ法は、例えば、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面にパラジウムや銀などの触媒付与処理をし、乾燥する。ここで言う触媒とは、そのままではめっき成長の核としては働かないが、活性化処理をすることでめっき成長の核となるものである。次いでフォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで塗布して、乾燥する。該フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分にレジスト層を形成する。この後、触媒の活性化処理をしてから、硫酸銅とホルムアルデヒドの組合せからなる無電解めっき液に、該ポリイミドフイルムを浸漬し、厚さ2μmから20μmの銅めっき膜を形成して、パターンを得る。
セミアディティブ法は、例えば、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面に、クロム、ニッケル、銅またはこれらの合金をスパッタリングし、下地層を形成する。下地層の厚みは、通常、1nmから1000nmの範囲である。下地層の上に銅スパッタ膜をさらに50nmから3000nm積層することは、後に続く電解めっきのために十分な導通を確保したり、金属層の接着力向上やピンホール欠陥防止に効果があり好ましい。下地層形成に先立ち、ポリイミドフイルム表面に接着力向上のために、プラズマ処理、逆スパッタ処理、プライマー層塗布、接着剤層塗布が行われることは、適宜許される。中でもエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリイミド樹脂系、NBR系などの接着剤層塗布は接着力改善効果が大きく好ましい。これらの処理や塗布は、ガラス基板貼り付け前に実施されても良いし、ガラス基板貼り付け後に実施されても良い。ガラス基板貼り付け前に、長尺のポリイミドフイルムに対してロールツーロールで、上記の接着力改善処理や下地層形成、銅スパッタ膜形成が、連続的に処理されることは、生産性向上が図れ好ましい。このようにして形成した下地層上に、フォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで塗布して、乾燥する。該フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分にレジスト層を形成する。次いで該下地層を電極として電解めっきをおこなう。電解めっき液としては、硫酸銅めっき液、シアン化銅めっき液、ピロ燐酸銅めっき液などが用いられる。厚さ2μmから20μmの銅めっき膜を形成後、フォトレジストを剥離し、続いてスライトエッチングにて下地層を除去する。
サブトラクティブ法は、ポリイミドフィルムにベタの金属層を形成し、フォトレジストとエッチング液を使ってパターンを形成する方法であり、製造プロセスが短く、低コストな方法である。ベタの金属層は、ガラス基板貼り付け前に、長尺のポリイミドフイルムに対してロールツーロールで、連続的に形成されることが生産性向上の点で好ましい。
金属層からなるパターンには、電子部品や他の基板と接合するための接合パッド、接合パッド間を結ぶ配線、位置合わせやモニターのための各種のマークや電極パッド、静電気対策のガード電極、電解めっき膜厚均一対策のダミー電極、可撓性フィルム搬送のための補強パターンなどが含まれる。位置合わせは、電子部品接合、他の基板との接合の他、ソルダーレジスト印刷など複数の工程で用いられ、光学的に読み取られるマークは、それぞれの工程で最適な形状が採用される。位置精度が比較的低くて良いものは、位置合わせのためのマークが比較的大きく、光学系に負担がかからないように設定される。また、生産性を高めるため、高精度の位置合わせが必要な場合でも、粗調整を比較的大きなマークを利用して実施してから、別の細かいマークを用いて微調整することがある。モニターのためのマークとしては、段階的に細かさを変えて配置したモデルパターンでパターニングのキレをモニターするもの、金属層の厚み測定箇所を提供するもの、位置精度の測定箇所を提供するもの、電気的にオープン/ショートを測定するための電極パッドなどがある。高密度化するために配線は微細であるが、各種のマークや測定のための電極パッドは、必ずしも微細でなく、使用する装置や工程に必要な精度に応じて比較的大きなマークや電極パッドが用いられることがある。また、これらのマークや電極パッドは、目的が果たされた後、打ち抜かれたり、切り取られたりして、最終製品に残らないことがあり、このような場合は、高密度化に注意が払われないのが通常である。本発明では、これらの比較的大きなマークや電極パッドの最大幅や接合パッドとの距離を規定することにより、はんだリフローにおいて不具合が発生するおそれがない回路基板用部材およびその製造方法を提供する。
金属層からなるパターン上に、必要に応じて金、ニッケル、錫などのめっきを施す。さらに、必要に応じて、金属層からなるパターン上にエポキシ樹脂やポリイミド樹脂などからなるソルダーレジスト層を形成する。スクリーン印刷法を用いて、所定の箇所にソルダーレジスト層を形成することができるが、微細回路パターンに対しては感光性のソルダーレジストの採用が好ましい。スピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷機などで回路パターン上に感光性ソルダーレジストを塗布し、乾燥させた後、所定のフォトマスクを介して紫外線露光をし、現像して、ソルダーレジストパターンを得る。次に100℃から200℃でキュアをする。
次いで、電子部品を金属層からなるパターンに接合する。電子部品としては、LSIなどの多ピンの部品と受動素子などの少ピンの部品がある。本発明の好適な態様の一つでは、多ピンの部品をフリップチップボンダーなどで個別に接合し、少ピンの部品をはんだリフローを用いて一括接合する。はんだ一括接合は高精度の位置合わせはできないが、少ピンの部品を高生産性で数多く搭載することができる。
多ピンの部品を金属層からなるパターンに接合するための装置としては、光学的位置検出機能と可動ステージなどの位置合わせ機能を有し、搭載精度を確保できるものが好ましく使用される。半導体部品と回路基板との接合方法としては、回路基板の接合部に形成された金属層と半導体部品の接合部に形成された金属層とを加熱圧着し金属接合させる方法が挙げられる。また、回路基板の接合部の金属層と半導体部品の接合部に形成された金属層とを圧着しつつ回路基板と半導体部品間に配置した異方導電性接着剤または非導電性接着剤を硬化させ、機械的に接合させる方法などを挙げることもできる。金属接合後、半導体部品と回路基板との間にエポキシ樹脂や無機フィラーなどからなるアンダーフィルを充填することは接合信頼性を高め、好ましい。可撓性フィルムを補強板から剥離する工程において加わる応力が金属接合部分に集中しないようにするためにもアンダーフィルの充填は好ましい。
はんだ一括接合する電子部品との接合部分にハンダペーストを塗布する。ハンダペーストは、ハンダ粉末、フラックス、バインダーなどからなる。ハンダペーストを所定の位置に塗布する方法としては、メッシュスクリーンや金属スクリーンを用いたスクリーン印刷法やディスペンサーを用いる方法が挙げられる。本発明においては、可撓性フィルムが補強板に固定されて平坦であるので、スクリーン印刷法でもディスペンサーを用いる方法でもハンダペーストパターンの形成が容易である。
はんだペースト上に自動マウンターなどを用いて電子部品を配置する。電子部品ははんだペーストの粘着性で仮固定される。この後、リフロー炉を通過させてはんだ一括接合が完了する。リフロー温度は、用いるはんだ組成によって異なるが、最高温度は通常230℃から280℃の範囲である。はんだリフローの方式には、熱風方式、赤外線方式、熱風と赤外線併用方式、レーザー方式などがあり、本発明はいずれにも効果がある。
本発明の態様の一つでは、金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であることが重要である。リフローの最高温度は230℃から280℃と高温であり、可撓性フィルムや剥離可能な有機物層に含まれた水分がリフロー時に放出される。また、可撓性フィルムや剥離可能な有機物層に含まれる低分子量成分が放出されたり、熱分解物が放出されることもある。本発明の補強板は、これらの放出ガスを通さない材質であったり、放出ガスを通す材質でも厚みが大きいので、放出ガスは、補強板との貼り合わせ面とは反対側の面から大気に放出されるべきである。しかしながら、金属層からなるパターンが可撓性フィルムの補強板との貼り合わせ面とは反対側の面にある場合は、金属層がガスバリア層となって、ガスが行き場を失い、最も強度が弱い界面に蓄積される。したがって、剥離可能な有機物層と可撓性フィルムの界面が剥がれ、可撓性フィルム表面が膨れる現象が見られることがある。リフロー後に使用される位置合わせ用マークが膨れると、マークが歪むことにより位置合わせ精度が低下する。また、可撓性フィルムに膨れが発生すると光学的にパターンの欠陥を検出する自動外観検査装置が誤動作を起こす可能性があり、好ましくない。金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であると、リフローにおいて、可撓性フィルム表面が膨れることを防止できることを本発明者らは見出した。ガス発生位置とガスが大気に放出されるまでの最短パスが問題であるので、最大幅が2mm以下であれば、長さは制限されない。また、ある程度の大きさのマークを設けたり、グランド電位を維持するなどの目的で、2mmを越える幅広のパターンを形成したい場合は、幅広の金属パターンに2mm以下の間隔でスリットを入れたり、配線であれば数条に分割したりして、本発明の構成を満足することができる。金属層からなるパターンの最大幅が1mm以下であることがさらに好ましく、0.5mm以下であることが最も好ましい。
ガスが放出されやすい点で、金属層が可撓性フィルムを被覆する面積比率は、80%以下が好ましく、60%以下がさらに好ましい。
本発明の別の態様では、金属層からなるパターンの接合パッド部と金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分との距離が5mm以上であることが重要である。上述のように、金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であると、リフローにおいて、可撓性フィルム表面が膨れることを防止できるが、なんらかの理由で、金属層からなるパターンの最大幅を2mm以下にできない場合、少なくとも接合パッド部が膨れることを防止して実質的な障害を防ぐ手段を提案するものである。接合パッドには、各種の電子部品を接続するために接合パッドとさらに他の基板と接合するための接合パッドとがある。リフローによってまさに電子部品を接合しようとしている接合パッド部分が放出ガスで膨れると電子部品の位置がずれたり、電子部品が立ち上がるいわゆる墓石現象を引き起こす原因となる。また、他の基板との接合はリフロー後に実施することが工程を簡略にでき好ましいが、リフローの際に、他の基板との接合パッド部が膨れると、接合パッド部の平坦性が失われる他、位置精度が劣化し、リフロー後の他の基板との接合の歩留まりを低下させる原因となる。一方、接合パッド間を結ぶ配線は、多少、平坦性が失われたり位置精度が劣化しても全体の性能を低下させるものではない。金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越えると、リフローの際に可撓性フィルムに膨れを生じるが、この膨れは、最大幅が2mmを越えた金属パターンの周囲5mm未満に限定されることがほとんどであるので、金属層からなるパターンの接合パッド部と金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分との距離が5mm以上であることが重要である。ここで距離は、2mmを越えた金属パターンと接合パッド部との最短距離を採り、7mm以上であることがより好ましい。
多ピンの電子部品を接合してから、はんだ一括接合をする手順を例示して説明したが、ハンダ一括接合してから多ピンの電子部品を接合することもできる。
回路基板用部材製造の中の比較的高温加熱工程として、リフローを説明したが、本発明はリフローに匹敵する最高温度や昇温カーブのその他の加熱プロセスがある場合においても効果がある。
ポリイミドフイルムに、接続孔を設けることができる。すなわち、ガラス基板との貼り合わせ面側に設けた金属層との電気的接続を取るビアホールを設けたり、ボールグッリドアレーのボール設置用の孔を設けたりすることができる。接続孔の設け方としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザー孔開けやケミカルエッチングを採用することができる。レーザーエッチングを採用する場合は、エッチングストッパ層として、ポリイミドフイルムのガラス基板貼り付け面側に金属層があることが好ましい。
ポリイミドフイルムのケミカルエッチング液としては、ヒドラジン、水酸化カリウム水溶液などを採用することができる。また、ケミカルエッチング用マスクとしては、パターニングされたフォトレジストや金属層が採用できる。電気的接続を取る場合は、接続孔形成後、前述の金属層パターン形成と同時にめっき法で孔内面を導体化することが好ましい。電気的接続をとるための接続孔は、直径が15μmから200μmが好ましい。ボール設置用の孔は、直径が80μmから800μmが好ましい。
接続孔を形成するタイミングは限定されないが、ポリイミドフイルムをガラス基板に貼り合わせた後、ポリイミドフイルムの貼り合わせ面の反対面から接続孔を形成することが好ましい。
電子部品が搭載された回路基板をさらに他の基板上に形成された回路パターンと接合する。この工程はOLBと呼ばれ、他の基板としては、液晶ディスプレイパネルであってガラス基板上に配線が形成されているものやプリント配線板が挙げられ、OLB用接合装置は、光学的位置検出機能と可動ステージなどの位置合わせ機能を有し、搭載精度を確保できるものが好ましく使用される。電子部品が搭載された回路基板と他の基板上に形成された回路パターンとの接合方法としては、電子部品が搭載された回路基板の接合部に形成された金属層と他の基板上の回路パターン上の接合部に形成された金属層とを加熱圧着し金属接合させる方法が挙げられる。また、電子部品が搭載された回路基板の接合部の金属層と他の基板上の回路パターン上の接合部に形成された金属層とを圧着しつつ回路基板と電子部品間に配置した異方導電性接着剤または非導電性接着剤を硬化させ、機械的に接合させる方法などを挙げることもできる。
必要に応じて、補強板から可撓性フィルムを剥離する。本発明において、可撓性フィルムを剥離するタイミングは、リフローで電子部品を接合する工程よりも後であれば特に限定されない。可撓性フィルムを補強板から剥離する方法としては、可撓性フィルムの端部を把持して、他の端部に向かって徐々に剥離していく方法や可撓性フィルム全体を保持して補強板を反らせつつ剥離していく方法などを挙げることができる。剥離による回路基板部材へのダメージを防止するために剥離角を鋭角に制限して剥離することが好ましい。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1、2、3、比較例1
可撓性フイルムとして、厚さ25μm、290mm幅のポリイミドフイルム(“カプトン”100EN 東レデュポン(株)製)を準備した。リール・ツーリール方式のスパッタ装置に長尺のポリイミドフイルムを装着し、厚さ6nmのクロム:ニッケル=20:80(重量比)の合金膜と厚さ100nmの銅膜をこの順にポリイミドフイルム上に積層した。
可撓性フイルムとして、厚さ25μm、290mm幅のポリイミドフイルム(“カプトン”100EN 東レデュポン(株)製)を準備した。リール・ツーリール方式のスパッタ装置に長尺のポリイミドフイルムを装着し、厚さ6nmのクロム:ニッケル=20:80(重量比)の合金膜と厚さ100nmの銅膜をこの順にポリイミドフイルム上に積層した。
補強板として準備した厚さ1.1mm、300mm角のソーダライムガラスにダイコーターで、紫外線硬化型粘着剤“SKダイン”SW−22(綜研化学(株)製)と硬化剤L45(綜研化学(株)製)を100:3(重量比)で混合したものを塗布し、80℃で2分間乾燥した。乾燥後の有機物層厚みを2μmとした。次いで、該有機物層に、ポリエステルフイルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフイルムからなる空気遮断用フイルムを貼り付けて1週間放置した。
上記空気遮断用フイルムを剥がし、ロールラミネータで、ガラスの有機物層側に、銅膜が形成されたポリイミドフイルムを貼り合わせた。ガラスにラミネートされたポリイミドフィルムは、ガラス終端に合わせてカットした。ポリイミドフイルムのガラスとの貼り合わせ面とは反対の面を銅膜面とした。
次いで、銅膜上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して90℃で30分間乾燥した。フォトレジストをフォトマスクを介して露光、現像して、めっき膜が不要な部分に厚さ10μmのフォトレジストを形成した。
用いたテスト用フォトマスクパターンの基本ユニットを図1に示した。図1において斜線部はフォトレジストの開口部である。図1のパターンの長さa、b、c、dをそれぞれ3mm、3mm、25mm、25mmとした。図1の基本ユニットの幅方向ピッチのみを縮小したユニットを作製した。すなわち、図1の基本ユニットのc、dの長さを維持したまま、a、bの長さを半分にし、かつパターン全体の大きさを図1と同じにした図2のユニットを作製した。さらにa、bの長さを10分の1の0.3mmにしたユニットを作製した。a、bが0.3mmの場合を実施例1、a、bが0.6mmの場合を実施例2、a、bが1.5mmの場合を実施例3、a、bが3mmの場合を比較例1とする。
次いで、銅膜を電極として厚さ6μmの銅膜を硫酸銅めっき液中での電解めっきで形成した。フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて、過酸化水素−硫酸系水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅膜およびクロム−ニッケル合金膜を除去した。引き続き、銅めっき膜上に、無電解めっきで厚さ0.4μmの錫膜を形成し、テスト用回路基板用部材を得た。
かくして得られたテスト用回路基板用部材を30℃、60%RH雰囲気に24時間保管後、リフロー炉を通過させた。リフロー炉のプレヒートは180℃で90秒、最高温度を240℃、235℃以上の保持時間を10秒とした。
実施例1、2および3においては、膨れは発生せず良好であった。一方、比較例1においては図1のユニット全体に膨れが発生し不良であった。
実施例4、5、6、比較例2
実施例1と同様にしてテスト用回路基板用部材を得た。リフロー炉の最高温度を280℃、275℃以上の保持時間を10秒としたこと以外は実施例1と同様にしてリフロー炉を通過させた。a、bが0.3mmの場合を実施例4、a、bが0.6mmの場合を実施例5、a、bが1.5mmの場合を実施例6、a、bが3mmの場合を比較例2とする。
実施例1と同様にしてテスト用回路基板用部材を得た。リフロー炉の最高温度を280℃、275℃以上の保持時間を10秒としたこと以外は実施例1と同様にしてリフロー炉を通過させた。a、bが0.3mmの場合を実施例4、a、bが0.6mmの場合を実施例5、a、bが1.5mmの場合を実施例6、a、bが3mmの場合を比較例2とする。
実施例4および5においては、膨れは発生せず良好であった。実施例6においては図2のユニットの中央付近に膨れが発生することがあった。一方、比較例2においてはユニット全体に膨れが発生し不良であった。
実施例7、8、比較例3
用いたテスト用フォトマスクパターンの基本ユニットを図3に示した。図3において斜線部はフォトレジストの開口部である。図3のパターンの長さa、b、c、dをそれぞれ3mm、3mm、25mm、25mmとした。接合パッド部として、幅fが10μm、長さgが50μmの長方形を配列した。図3において、長さeが、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離である。
用いたテスト用フォトマスクパターンの基本ユニットを図3に示した。図3において斜線部はフォトレジストの開口部である。図3のパターンの長さa、b、c、dをそれぞれ3mm、3mm、25mm、25mmとした。接合パッド部として、幅fが10μm、長さgが50μmの長方形を配列した。図3において、長さeが、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離である。
長さeが、6mmの場合を実施例7、8mmの場合を実施例8、4mmの場合を比較例3とする。
テスト用フォトマスクパターンを変更したこと以外は実施例1と同様にしてテスト用回路基板用部材を得た。かくして得られたテスト用回路基板用部材を30℃、60%RH雰囲気に24時間保管後、リフロー炉を通過させた。リフロー炉のプレヒートは180℃で90秒、最高温度を240℃、235℃以上の保持時間を10秒とした。
実施例7、8、比較例3とも図3の左側パターン全体に膨れが発生した。しかしながら、実施例7、8においては膨れは図3右側の接合パッド部には至らず、接合パッド部の平坦性が保たれた。一方、比較例3においては、接合パッド列の左に膨れが到達し、平坦性が損なわれた。
実施例9、10、比較例4
実施例7と同様にしてテスト用回路基板用部材を得た。リフロー炉の最高温度を280℃、275℃以上の保持時間を10秒としたこと以外は実施例7と同様にしてリフロー炉を通過させた。長さeが、6mmの場合を実施例9、8mmの場合を実施例10、4mmの場合を比較例4とする。
実施例7と同様にしてテスト用回路基板用部材を得た。リフロー炉の最高温度を280℃、275℃以上の保持時間を10秒としたこと以外は実施例7と同様にしてリフロー炉を通過させた。長さeが、6mmの場合を実施例9、8mmの場合を実施例10、4mmの場合を比較例4とする。
実施例9、10、比較例4とも図3の左側パターン全体に膨れが発生した。しかしながら、実施例9においては膨れは図3右側の接合パッド部には至らず、接合パッド部の平坦性が保たれた。実施例10においては膨れが接合パッドに至ることがあった。比較例3においては、接合パッド列の左に膨れが常に到達し、平坦性が損なわれた。
実施例11、12、比較例5
実施例7と同様にしてテスト用回路基板用部材を得た。テスト用回路基板用部材を30℃、60%RH雰囲気に24時間保管後、さらに120℃で1時間、乾燥させたこと以外は実施例9と同様にしてテスト用回路基板用部材をリフロー炉を通過させた。長さeが、6mmの場合を実施例11、8mmの場合を実施例12、4mmの場合を比較例5とする。
実施例7と同様にしてテスト用回路基板用部材を得た。テスト用回路基板用部材を30℃、60%RH雰囲気に24時間保管後、さらに120℃で1時間、乾燥させたこと以外は実施例9と同様にしてテスト用回路基板用部材をリフロー炉を通過させた。長さeが、6mmの場合を実施例11、8mmの場合を実施例12、4mmの場合を比較例5とする。
実施例11、12、比較例5とも図3の左側パターン全体に膨れが発生した。しかしながら、実施例11、12においては膨れは図3右側の接合パッド部には至らず、接合パッド部の平坦性が保たれた。比較例5においては、接合パッド列の左に膨れが到達し、平坦性が損なわれた。
本発明の回路基板用部材およびその製造方法は、例えば、電子機器の配線板、ICパッケージ用インターポーザー、ウェハレベルバーンインソケット用配線板などに使用される。
a 金属層からなるパターンの間隙
b 金属層からなるパターンの幅
c、d 金属層からなるパターンの長さ
e 金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパッド部の距離
f 金属層からなる接合パッド部の幅
g 金属層からなる接合パッド部の長さ
b 金属層からなるパターンの幅
c、d 金属層からなるパターンの長さ
e 金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパッド部の距離
f 金属層からなる接合パッド部の幅
g 金属層からなる接合パッド部の長さ
Claims (4)
- 補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、該金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であることを特徴とする回路基板用部材。
- 補強板、剥離可能な有機物層、金属層からなるパターンを備えた可撓性フィルムがこの順に積層された回路基板用部材であって、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離が5mm以上であることを特徴とする回路基板用部材。
- 可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、該可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層からなるパターンを形成し、該金属層からなるパターンに電子部品を接合する回路基板用部材の製造方法であって、はんだリフローで少なくとも一部の電子部品が接合され、かつ、該金属層からなるパターンの最大幅が2mm以下であることを特徴とする回路基板用部材の製造方法。
- 可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせ、該可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層からなるパターンを形成し、該金属層からなるパターンに電子部品を接合する回路基板用部材の製造方法であって、はんだリフローで少なくとも一部の電子部品が接合され、かつ、金属層からなるパターンの最大幅が2mmを越える部分と金属層からなるパターンの接合パッド部との距離が5mm以上であることを特徴とする回路基板用部材の製造方法。
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